以前から考えていたことではありますが、『ボバ・フェット』最終話を観てまたぞろ気になり始めたので放流してみます。皆様のご意見もお聞きしたいところです。
Wookieepedie英語版によると偏向シールドは大まかに対レーザー兵器用のレイシールドと対高速物理弾体用の粒子シールドの二種類に分けられる、とあります(他に宇宙船がデブリを防ぐための振盪シールドなどもあるようですが、これは粒子シールドの亜種と捉えられると思います)。よってたいていのシールドは、ジェネレーター出力に応じこの二種類を同時展開するか、もしくは状況によってどちらかのみを展開して様々な脅威に対処している、と考えられそうです。
さて、シールドの性質を考えるうえで避けて通れないのはやはりドロイデカのシールドでしょう。アニメ『クローン・ウォーズ』などで描写がある通り、ドロイデカのシールドは高速で投げ込まれたデトネーターは弾くものの、ゆっくり投げ込まれたデトネーターは通してしまうという性質があります。デトネーターは実体があるので、少なくともドロイデカの粒子シールドにはこうした速度制限の仕組みがあると言えます。この速度制限に関してですが、宇宙船のハンガー入り口などに設置されているシールドにも共通の性質があるのではないかと考えました。ヴェネター級のハンガーなどが顕著ですが、あれらのシールドは発艦・着艦する機体は通す一方で空気は艦内に閉じ込めたままにするという何とも便利な性質を持っています。空気というのは厳密には高速で移動する気体分子であり、ハンガー用シールドがドロイデカのような「速いものを弾き、遅いものは通す」という性質を持っているとすれば、空気は分子が高速であるからこそハンガーから出られないのだと考えることができるのではないでしょうか(まあ実際のところウィルズ銀河の空気が気体分子からできているかどうかはわかりません。なにせ宇宙空間で音が鳴り炎が上がる世界ですから……)。なのでスターファイターも、ハンガー内からあまりにも急発進した場合はもしかしたらシールドにぶち当たるのかもしれませんね。
またスカリフの惑星シールドなどそもそも何者も通してはいけないタイプのシールドもあるので、通す/通さないの速度設定はシールドごとに設定可能だとしたいところです。ドロイデカがごく遅い物体は通す設定にしてあるのはおそらく歩行するからでしょう。何も通さない設定にしようとすると、そもそも地面のわずかな凸凹に引っかかって歩けなくなります。高速移動用のホイールモードでシールドがオフになるのはそのあたりの兼ね合いではないでしょうか。
この仮説を踏まえると興味深い場面が『シスの復讐』にあります。映画冒頭のコルサント上空戦で、ヴェネター級スター・デストロイヤー<ガーララ>とプロヴィデンス級ドレッドノート<インヴィジブル・ハンド>が反航戦にて至近距離で撃ち合うシーンです。<インヴィジブル・ハンド>舷側に設置されている砲は実体弾を高速で射出するマスドライバー砲なのですが、この砲身はよく見ると砲台デッキを覆うシールドの外側に突き出ており、上記の仮説に沿うものであると言えそうです。つまり、砲台デッキをカバーしているシールドは艦内の空気を逃がさないよう高速の物体を通さない設定になっているため、マスドライバー砲の砲身が艦内に入っていると高速で射出された砲弾がそもそも自艦のシールドを抜けられないということになります(砲手はバトル・ドロイドなので別に空気が抜けてしまってもいい気がしますが、まあ連合艦もニモーディアンなどの生物を少数乗せていることが多いのでそのためでしょう)。ヴェネター級舷側の砲身に関しては作品によってシールドの外に出ているものと出ていないものがありまちまちなのですが、砲自体は映画『クローン・ウォーズ』序盤のクリストフシス戦で使用された重砲AV-7と同タイプらしく、設定によるとこれが発射する砲弾はプラズマでできているそうなのでレーザー砲の一種として分類されるものと思われます(映画TCWでこの重砲を完全防御している連合側のシールドは兵士やビルは通しているため逆説的にレイシールドということになり、砲弾がレーザータイプであることを裏付けているように思います)。となるとレーザー砲弾と空気を逃がさないように砲台デッキを覆っている粒子シールドとは特に干渉しないため、砲身が外に出ていようが出ていなかろうが問題ない、ということになるのではないでしょうか。なお<ガーララ>の場合は砲身が艦内にあります。
これらを踏まえて『ボバ・フェット』最終話に登場したスコープネク・ドロイドのシールドについて考えてみます。ブラスター弾とサイクラーライフル弾の両方を防いでいるため本ドロイドはレイシールドと粒子シールドの両方を同時展開しているものと思われます。ディン・ジャリンも武器の速度に言及しているため、実質的にはドロイデカのシールドをきわめて強力にしたものと考えて問題ないでしょう。少なくともスコープネク・ドロイドの歩行スピードより遅い物体は通すと思われるので、対ドロイデカ戦法のようにゆっくりと爆弾を投げ込むか進行ルートに爆弾を仕掛けておくことは可能であったと思われるのですが、まあフリータウンの皆さまはドロイデカを相手取ったことのない一般人なので思いつかなくても無理はないと思います。大名様と賞金稼ぎ氏には思いついて頂きたかったところですが……。面白いのはシールドが火炎放射を防いでいる描写があるところで、これは何によるものなのか今後考えてみたいところです。レイシールドの定義は「レーザーなどの一定以上の熱量の侵入をガードする」なので火炎放射も防げる、粒子シールドを全面展開したことによりシールド内部には燃焼に必要な空気がないためシールド面で炎が止まってしまう、など色々考えられそうです。なおドロイデカのように砲身がシールドから出ていないことに関してはそれほど問題ではないかな、というのが個人的な所感です。シールドは一方通行的性質を持つものもあるそうなので、ドロイデカとスコープネク・ドロイドの間での技術革新やらジェネレーター性能の違いやらで解釈できる範疇ではないでしょうか。
長々と書いてきましたが、『スター・ウォーズ』は作品数が膨大で全部きっちり覚えていられるわけもなく、いろいろ見落としもあるかと思います。また設定資料や小説媒体などもまだまだ読めていないものの方が多いので、もしかするととっくに解決済みのことをだらだら書き連ねているだけかもしれません。そうした諸々も含めて考察を深める材料としたいので、反例だろうと何だろうと何かお気づきのことがありましたら是非色々書き込んでいただけますと幸いです。
反例:『フォースの覚醒』で<ミレニアム・ファルコン>が<エラヴァナ>のハンガー内からいきなりハイパージャンプする描写があるが、ハイパースペースに入る前にリアルスペースで行われる急激な加速がシールドの速度制限に引っかかるのではないか?(ハンガーから出る時点ではまだそれほど加速しきっていないか、もしくは全く逆で目的地等の設定次第で加速がハンガー内部のわずかな距離で終了するジャンプがあるものとします……)