- 「プロ・クーン将軍から連絡がありません。遭難信号すらキャッチできないところを見ると…彼の艦隊も他の部隊と同じく全滅したと思われます。すぐにでも救援任務に向かいます」
- ―アナキン・スカイウォーカー[出典]
アブレガドの戦い(Battle of Abregado)はクローン戦争序盤の22 BBYにアブレガド星系で発生した銀河共和国と独立星系連合の戦闘である。グリーヴァス将軍が指揮するサブジュゲーター級重クルーザー<マレヴォランス>と、この新型超兵器の正体を追っていたジェダイ将軍プロ・クーン率いる共和国艦隊が衝突した。クーンは謎に包まれていた<マレヴォランス>を発見することに成功したものの、彼が指揮する3隻のヴェネター級スター・デストロイヤーは超兵器に搭載されたメガ=イオン砲の餌食となり、完全に機能を停止してしまった。スター・デストロイヤーがターボレーザーの砲撃で大破する直前、クローン・トルーパーの生存者は救命ポッドで宇宙空間へ脱出し、クーンも“ウォルフ”の愛称で知られるクローン・コマンダーCC-3636や、クローン・サージェント・シンカー、ブーストらとともにポッドに乗り込んだ。
ドゥークー伯爵は、超兵器の秘密を共和国に伝える証言者となりかねない生き残りを全員始末するため、ロケット・バトル・ドロイドを載せたボーディング・クラフトを脱出ポッド狩りに送り出した。バトル・ドロイドを撃退して残党狩りを生き延びることができたのは、クーンと3人のクローン兵士だけだった。間もなくジェダイ・ナイト・アナキン・スカイウォーカーと彼のパダワン、ジェダイ・コマンダー・アソーカ・タノが貨物船<トワイライト>で救援に駆けつけ、クーンとクローンたちを救い出した。<トワイライト>は<マレヴォランス>に発見されたものの、イオン砲から放たれたブラストを間一髪でかわし、ハイパースペースにジャンプした。アブレガドの戦いは連合の勝利に終わったが、彼らは生存者を残す過ちを犯し、新兵器の正体が共和国に知られてしまった。
背景[]
クローン戦争序盤の22 BBY[6]、独立星系連合は新型のサブジュゲーター級重クルーザー<マレヴォランス>を銀河共和国との戦いに投入した。この超兵器はメガ=イオン砲から放たれる波紋状のエネルギー・フィールドによって、敵宇宙船のパワー系統をすべて停止させてしまう能力を有していた。ひとたびイオン砲の攻撃を浴びた船は、偏向シールドを使うことすらできず、<マレヴォランス>のターボレーザー砲の無力な餌食となった。[7] <マレヴォランス>はドロイド軍最高司令官を務めるグリーヴァス将軍の旗艦となり、共和国宇宙軍に対して一連の攻撃を仕掛けた。<マレヴォランス>は12もの星系に姿を現したが、そのたび1人も生存者を残すことなく敵を全滅させていたため、共和国とジェダイ・オーダーは“謎の兵器”の正体をつかめずにいた。[4]
フュ星系の戦いを含む一連の攻撃で[1] 共和国軍艦隊に多大な犠牲が出た後、ジェダイ最高評議会は未知の兵器の正体を突き止めるため、ジェダイ将軍のプロ・クーンを調査任務に派遣した。クーンは旗艦の<トライアムファント>を含む3隻のヴェネター級スター・デストロイヤーからなる艦隊を指揮し、クローン・コマンダーCC-3636(通称“ウォルフ”)率いるクローン・トルーパー部隊ウルフパックとともに<マレヴォランス>を追跡した。最終的に彼らは、アブレガド星系の赤色恒星[4] アンザ[8] 付近で速度を緩めた<マレヴォランス>と相対した。[4]
戦闘[]
<マレヴォランス>襲来[]
- 「シールドがすべて消滅! エネルギー・フィールドによって丸裸にされました!」
- ―プロ・クーンに対し、コマンダー・ウォルフ[出典]
クーンはもし敗北したとしてもできるだけ多くの情報を確保できるよう、分離主義艦隊に近づく前に[4]、近隣のビス星系にいる[9] ジェダイ・ナイト・アナキン・スカイウォーカー将軍とそのパダワンであるジェダイ・コマンダー・アソーカ・タノに連絡を取った。一方、グリーヴァスとともに<マレヴォランス>に乗り込んでいた連合の国家主席にしてシス卿のドゥークー伯爵は、超兵器の秘密を守るために共和国の通信を妨害するよう将軍に命令した。クーンとコマンダー・ウォルフがスカイウォーカーとタノに現在位置を知らせた直後、彼らのホログラム通信は妨害によって途絶してしまった。[4]
<マレヴォレンス>のイオン砲をこの機会にもう一度テストしようと、グリーヴァスは超兵器の発射を命じた。連合軍艦隊が近づいていることに気づき、クーンはクルーザーに砲撃を命じたが、射程外だったため実行することができなかった。そうこうしているうちに<マレヴォレンス>からイオン砲が発射され、クーンとクローン・トルーパーはエネルギー波の衝撃に備えて身構えた。波は艦隊を飲み込むように過ぎ去っていき、その過程でクルーザーのシールドを無力化し、完全に丸裸となった共和国艦は<マレヴォレンス>の大量のレーザー砲撃にさらされることになった。<トライアムファント>が破壊される直前、クーンと一部のクローン・トルーパーが脱出ポッドに乗ってクルーザーから逃げ出すことに成功した。クーンの艦隊はバラバラに引き裂かれ、破壊された3隻のクルーザーの残骸の破片がアブレガド星系に散らばり[4]、デブリ帯を形成した。[9] クーンとコマンダー・ウォルフ、サージェント・シンカー、トルーパー・ブーストらを乗せた脱出ポッドのパワーも失われ、生命維持装置や通信チャンネルが停止した状態で宇宙をさまようことになった。[4]
クーンからの連絡が途絶えた後、スカイウォーカーとタノはシーヴ・パルパティーン最高議長とジェダイ評議会に連絡をとって状況を話し合った。スカイウォーカーは、通信が遮断される前にクーンがアブレガド星系にいたことを報告し、遭難信号すら届いていないため、艦隊が全滅した可能性があると知らせた。スカイウォーカー艦隊を含む共和国の戦闘グループは補給船団を守るため再配置されることになり、評議会はスカイウォーカーにクーン艦隊の救援は諦めるよう指示した。アナキンはタノとともに[4] G9リガー級軽貨物船[7]<トワイライト>で偵察に出向くという名目で、輸送船団の護衛をウルフ・ユラーレン提督に任せた。しかしスカイウォーカーは評議会の命令に背き、生存者を探し出すためアブレガド星系へ向かった。[4]
スカイウォーカーとタノ、アストロメク・ドロイドR2-D2は<トワイライト>で星系内にハイパースペース・ジャンプした。デブリ・フィールドに入ると、R2-D2は船のスキャナーを起動して、戦場で生き残った生命体を探した。しかし辺り一面クルーザーの残骸が漂っているばかりで、成果は得られなかった。捜索活動中、ジェダイ将軍オビ=ワン・ケノービから貨物船に連絡が入り、スカイウォーカーとタノが生存者を見つけられなかったと知ると、自分の艦隊と合流するよう命令した。R2-D2が緊急通信チャンネルの信号を拾ったため、タノはなんとか生存者と連絡を取ろうと、緊急通信チャンネルから信号を発信した。[4]
ポッド狩り[]
- 「ハンターを送り出せ。救命ポッドを一つ残らず破壊するのだ」
- ―ドゥークー伯爵[出典]
ドゥークー伯爵は、<マレヴォレンス>の超兵器の正体が生存者の口から共和国に漏れる可能性を一切排除するため[4]、B1シリーズ・ロケット・バトル・ドロイド[10] を搭載したボーディング・シップを何機か派遣し、救命ポッドの破壊を命じた。バトル・ドロイドは複数のポッドを破壊し、中にいたクローンの生存者を宇宙空間の真空に曝け出した。一方、クーンのポッドは電力を回復して通信チャネルにアクセスし、別のポッド[4] 1977[9] と連絡をとった。しかしジェダイとクローン兵士たちは、間もなくこのポッドがロケット・バトル・ドロイドによって破壊されるのを目の当たりにすることになった。この時点で他のポッドをすべて破壊し終えていたバトル・ドロイドたちは、まだクーンのポッドが残っていたことに気づき、最後の獲物に近づいていった。[4]
ボーディング・シップがポッドに迫ってきたため、クーンはポッドの外に出て直接バトル・ドロイドと戦うことを決意した。[4] 彼の種族は短いあいだなら宇宙の圧力に耐えることができたのである。[9] シンカーとブーストはアーマー・スーツを使って酸素を確保し、アーマーの無いウォルフがポッドの中で通信信号の維持に取り組むあいだ、ジェダイ将軍とともに宇宙空間に出た。ロケット・ドロイドが接近して、ポッドのビューポートを切断する準備をしていた時、クーンと2人のクローンが不意に姿を現してドロイドを攻撃した。ドロイドはボーディング・シップの中に退却し、この船に搭載されたスパイクによる挟み撃ちでポッドを潰す作戦に切り替えた。しかしクーンはフォースを使ってドロイドがいる船の後ろにシンカーを押し込んで移動させ、シンカーはブラスターでバトル・ドロイドのほとんどを排除することに成功した。[4]
ポッドの内部では、ウォルフがアソーカ・タノの信号を傍受していた。しかしロケット・バトル・ドロイドとの戦いでポッドが損傷を負ったため、ウォルフはメッセージを返すことができなかった。まだ脱出ポッドの外にいたクーンは、連合軍のボーディング・シップのスパイクをライトセーバーで切断し、脱出ポッドの自由を取り戻した。そしてクーンはフォースでボーディング・シップを押しのけ、シンカーをポッドの方に引き戻した。ボーディング・シップは破壊されたヴェネター級艦の破片に衝突して爆発したが、この船との連絡が途絶えたことで、<マレヴォランス>のクルーは共和国側にまだ生存者がいる可能性に気づいた。[4]
救出[]
- 「軍曹、助けは来ないと考えるわけを教えてくれんか」
「自分たちはクローンです。消耗品だと思われています」
「私は思わん」 - ―プロ・クーンとシンカー[出典]
スカイウォーカーが艦隊の司令部を不在にしていることに気づいたパルパティーン議長は、<トワイライト>に連絡をとり、生存者捜索は中止して自艦隊の再配置をするよう命令した。しかしスカイウォーカーがいよいよ捜索を断念しようとしたとき、タノはクーンの存在をフォースで探知し、<トワイライト>の操縦桿を握った。ポッドで救出を待っていたクーンたちを発見すると、<トワイライト>はトウ・ケーブルを使ってポッドを引き寄せ、生存者をハンガーに収容した。クローンたちが2-1Bシリーズ医療ドロイドTB-2の治療を受けるなか、クーンは操縦席にいるスカイウォーカーとタノに加わり、<マレヴォランス>のイオン砲に関する情報を共有した。[4]
<トワイライト>のスキャナーが<マレヴォレンス>の接近を感知すると、クーンは発見を免れるためすぐに電源を切るように命令した。彼らはR2-D2も含めて船の全システムを停止したが、医療ドロイドの電源を切るのを忘れていたため、<マレヴォレンス>のスキャナーに引っかかってしまった。<マレヴォランス>が生存者を始末するために動き始めると、ジェダイは医療ドロイドを忘れていたことに気づいてすぐに船を再起動した。スカイウォーカーは<トワイライト>を操縦して敵艦から距離を取り、連合軍のイオン砲をかわしてハイパースペースにジャンプするチャンスを狙った。R2-D2はクーンによって再起動され、すぐにハイパースペースのコース計算を始めた。<トワイライト>が逃げ始めたため、グリーヴァスはイオン砲の発射を命令した。スカイウォーカーはイオン衝撃波が迫りくる中、デブリ帯をかいくぐりながら貨物船を飛ばし、エネルギー・フィールドに飲み込まれる直前でハイパースペースに飛び込んだ。[4]
その後[]
- 「致命的な失敗をしでかしたな。我がマスターに報告せねばならぬ」
- ―グリーヴァス将軍に対し、ドゥークー伯爵[出典]
アブレガドの戦いの結果、アブレガド星系には3隻のリパブリック・クルーザーの残骸によるデブリ帯が形成された。またプロ・クーン将軍の部隊は、クーン本人と3人のクローン・トルーパーを除いて壊滅した。しかしクーンとスカイウォカー、タノが戦場から生還したことで、ジェダイ評議会はついに<マレヴォランス>の超兵器の正体を掴むことができた。一方、クーン艦隊を滅ぼすという勝利を挙げたにも関わらず、ドゥークーは共和国の生存者を逃したことを大きな失態と捉えた。彼はグリーヴァスに対して不快感を露わにし、この件を自身のシス・マスターであるダース・シディアスに報告すると告げた。[4]
<マレヴォランス>の全貌を突き止めた後、スカイウォーカーはBTL-B Yウイング・スターファイター/ボマーによって構成されるシャドウ中隊を率いて超兵器への反撃計画を考案した。<マレヴォランス>がリンデリア星系で共和国の医療船団を壊滅させる事件を起こした後、スカイウォーカーはグリーヴァスの次の攻撃目標がカリーダ星雲付近にある共和国のカリーダ・ショールズ医療センターであることに気づいた。医療ステーションが攻撃を受ける前に<マレヴォランス>を仕留めるべく、スカイウォーカー率いるYウイング部隊は危険なバルモーラ・ランを通過する近道を選び、超兵器との決戦に臨んだ。[3]
制作の舞台裏[]
アブレガドの戦いは2008年10月3日に放送されたTVシリーズ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』のエピソード『マレボランス襲来』で描かれた。本作は「クローン・ウォーズ シーズン1」の第2話であり、アナキン・スカイウォーカーやアソーカ・タノ、プロ・クーン、R2-D2、オビ=ワン・ケノービ、パルパティーン議長、メイス・ウィンドゥといった主要キャラクターたちのTVシリーズ初登場作品である。またこの戦いで<マレヴォランス>のビジュアルが初公開された。[4]
登場作品[]
- クローン・ウォーズ – 待ち伏せ (初登場) (回想シーン)
- クローン・ウォーズ – マレボランス襲来
- クローン・ウォーズ – マレボランスの影 (回想シーン)
- クローン・ウォーズ – ジェダイの遭難 (回想シーン)
参考資料[]
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科
- スター・ウォーズ ビークルのすべて
- 週刊 スター・ウォーズ R2-D2:第31号 (ドロイド仕様書:B1シリーズ バトル・ドロイド Part2) (ビジュアルのみ)
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション (間接的に言及)
- B1-series Rocket Battle Droid - 公式データバンク (間接的に言及)
- Battle Droid - 公式データバンク
- Clone Commander Wolffe - 公式データバンク
- "Rising Malevolence" Episode Guide - The Clone Wars - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
脚注[]
- ↑ 1.0 1.1 週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン 第43号 (スターシップ・ファクトファイル:ヘビー・クルーザー マレボランス)
- ↑ クローン・ウォーズ – 補給線をつなげ
- ↑ 3.0 3.1 クローン・ウォーズ – マレボランスの影
- ↑ 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 4.12 4.13 4.14 4.15 4.16 4.17 4.18 4.19 4.20 4.21 4.22 4.23 4.24 4.25 4.26 4.27 4.28 4.29 4.30 4.31 4.32 4.33 4.34 4.35 4.36 4.37 4.38 4.39 4.40 4.41 4.42 4.43 4.44 4.45 4.46 4.47 4.48 4.49 4.50 4.51 クローン・ウォーズ – マレボランス襲来
- ↑ Battle Droid - 公式データバンク
- ↑ 6.0 6.1 スター・ウォーズ ギャラクティック アトラス
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科
- ↑ スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 "Rising Malevolence" Episode Guide - The Clone Wars - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ B1-series Rocket Battle Droid - 公式データバンク
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