- 「Vウイングはないよりあったほうがいい。違うか?」
- ―チャム・シンドゥーラ[出典]
アルファ3ニンバス級Vウイング・スターファイター(Alpha-3 Nimbus-class V-wing starfighter)、別名ニンバス・ファイター(Nimbus fighter)、あるいは単にVウイングは技術者ワレックス・ブリセックスが設計し、クワット・システムズ・エンジニアリング社が製造した小型で快速のスターファイターである。パイロット1名とアストロメク・ドロイド1体によって運用された。Vウイングは銀河共和国のために開発され、クローン戦争で導入された。全長7.9メートルのこの戦闘機は速度重視で設計されており、ジェダイが使用するデルタ7イーサスプライトやイータ2アクティスといったインターセプターに匹敵するスピードを誇った。しかしハイパードライブを搭載していないためハイパースペース航行時は外付けのブースター・リングを使う必要があり、また生命維持装置も省かれていたためパイロットは密封型のヘルメットを常時コックピットで着用しなければならなかった。
デルタ7と複数の類似点を持つVウイングは、共和国宇宙軍で当初から採用されていたV-19トレント・スターファイターより素早く、また重武装のARC-170スターファイターより俊敏だった。Vウイングは、従来の戦闘機ではクローン・トルーパー・パイロットがジェダイ・スターファイターに追いついて一緒に戦うことができないという問題を解決し、クローン戦争終盤に導入されたにも関わらず、あっという間にV-19を追い抜いて最も数の多いスターファイターになった。Vウイングは大量の敵と戦うことを想定して設計されており、大規模な艦隊行動や防衛任務において支援機として活躍した。ハイパードライブを持たないVウイングは主にヴェネター級スター・デストロイヤーから配備され、ARC-170の護衛を標準的な役割としていたが、Vウイング自体も効率的な攻撃兵器として戦うことができた。またごく一部のVウイングには、シーヴ・パルパティーン最高議長からの直々の依頼でハイパードライブが搭載された。
19 BBY、Vウイングは他の共和国軍戦闘機とともにコルサントの戦いで目覚ましい活躍を挙げた。またこの頃、共和国宇宙軍のエリート・ユニットであるシャドウ中隊はVウイングを使ってパルパティーン議長の個人用シャトルを護衛する任務を任せられていた。クローン戦争が終結した後、Vウイングは初期の銀河帝国においても使用された。皇帝がダース・ヴェイダーを救うためシータ級T-2cシャトルでムスタファーへ旅した際も、Vウイング部隊が護衛機を担当した。またVウイングのデザインは、レイス・サイナーが設計した帝国宇宙軍の主力戦闘機TIE/ln制宙スターファイターに大きな影響を与えた。サイナーはクワット・システムズ・エンジニアリング社が開発した共和国戦闘機のコスト面の利点をTIEプロトタイプに取り入れ、さらに強力かつ操作性の高いツイン・イオン・エンジン戦闘機を造り上げた。帝国におけるVウイングの役割は、このTIEファイターとその派生機たちに取って代われることになった。
特徴[]
機体[]
クワット・システムズ・エンジニアリング社(KSE)が開発したアルファ3ニンバス級Vウイングは小型の短距離用スターファイターであり[2]、由緒正しいデルタ=シリーズのインターセプターの系譜に属した。シリーズの先行モデルと同様、Vウイングも幅のある“ダガー型”[3]、もしくは“楔型”と描写される特徴的な機体を有した。[2] 全長は7.9メートル、横幅は3.8メートル、高さは翼を広げた状態で5.84メートル。[7] Vウイングはデルタ=シリーズに搭載されていた小型の折り畳み式Sフォイル翼に代わり、上下方向にのびる大型の可変翼を両側に備えていた。[3] Vウイングは単座式で、クローン・トルーパー・パイロット1名が搭乗し、コックピットの真後ろに副操縦士のQ7シリーズ・アストロメク・ドロイドを収容するためのソケットが設けられていた。[7] アストロメク・ドロイドは飛行中のナビゲーションとメンテナンスを担当した。[2]
軽装甲でありながら頑丈な機体、丈夫な船内システム、強力なエンジン、軽量ながら充実した兵器類など、Vウイングは近代的なインターセプターに見られる一般的な特徴をすべて備えていた。[3] またVウイングには攻撃型偵察機170スターファイター(ARC-170)やV-19トレントの技術的に優れた部分が取り入れられてり、デザインはジェダイ・スターファイターの影響を受けていた。[6] 可変翼は分節構造の継ぎ輪の上下に取り付けられており、着陸時に90度回転させることができた。翼は酷使された機体から熱を効率よく逃がすためのラジエーター・パネルとして機能した。[7] またこの可変翼は下向きに畳んで着陸装置として用いることもできた。機体後部の上面に取り付けられた2枚のパネルは偏向シールド用ヒート・シンクで、操縦士を守る役目も果たした。[2]
Vウイングは速度を重視して設計されたため生命維持装置が搭載されておらず、クローン・パイロットは飛行服に加え、常時完全密封された特別なフライト・ヘルメットを装着する必要があった。[2] コックピットのキャノピーは前後スライド式で、パイロットの正面部に操縦桿とディスプレーが設けられていた。[14] Vウイングのコックピットは窮屈で、デルタ7イーサスプライト級軽インターセプターが広々と感じられるほどだった。キャノピーにはトランスパリスチールが嵌め込まれ、視界は開けていたが、パイロットは閉ざされているような圧迫感を感じた。また蝶番で動く照準コンピューターが左舷側の視界を遮っていた。[10] Vウイングは機体の前方にセンサーや通信およびスキャナー用プロセッサを内蔵し、コックピットの隣にリパルサーリフト方向制御板や反応物質のタンクを備えていた。[7] しかしVウイングの長距離センサーの性能は大したものではなかった。[15]
推進装置[]
- 「支援機を送ってさっさと撃ち落とせ」
- ―ウィルハフ・ターキン[出典]
速度重視で開発されたVウイングは、ジェダイのイータ2アクティス級軽インターセプターやデルタ7イーサスプライト級軽インターセプターに匹敵する銀河共和国唯一のスターファイターだった。[2] Vウイングは強力な反応炉を搭載し[7]、機体の後部に縦に連なった2基のイオン・ドライブ・スラスターが配置されており、最高時速は5万2000キロメートルに達した。[2] Vウイングは大型可変翼と洗練されたベクター・スラスト・システムによって驚くほど機敏に動き[3]、急な旋回も可能だった。[7] また強力なツイン・イオン・ドライブと先進的なアビオニクス装置により、Vウイングは撃ち落とすことはおろか追いつくことすら困難なターゲットとなった。[3] Vウイングは共和国で使われた先行機種のV-19スターファイターより素早く[2]、ARC-170よりもはるかに小回りが利いた。[7]
Vウイングには機動性をあげるため最新鋭のテクノロジーが用いられており[7]、クローン・パイロットの反応時間を早める新型のコンピューター飛行システムも取り入れられていた。標準的なVウイングはスピードを優先するため、ハイパードライブを搭載していなかった。これはジェダイ・スターファイターとの共通点であると同時に[2]、KSE社の多くの戦闘機と共通する大きな欠点でもあった。そのためハイパースペース航行を必要とする長距離の任務に就く際には、Vウイングはジェダイ・スターファイターと同様アストロメク・ドロイドやハイパースペース・ドッキング・リングを活用する必要があった。[2][3] ただしごく少数のVウイングには、共和国のシーヴ・パルパティーン最高議長からの発注で特別にハイパードライブが取り付けられていた。[2]
攻撃および防衛装置[]
Vウイング・スターファイターの主要兵器は[3] 両翼の支柱の旋回台に搭載された速射式二連レーザー砲であり、広範囲の砲撃が可能だった。[2] レーザー砲は翼の接合部で旋回させることが可能で、旋回台の中にレーザー砲用のキャパシターや動力供給装置が組み込まれていた。Vウイングのレーザー砲は敵の意表をつく恐るべき攻撃力を誇った。[7] また前方に配置された震盪ミサイル発射装置によって、Vウイングは優れた対艦戦闘能力も備えていた。[3]
Vウイングは偏向シールド発生装置を搭載しており、機体前方にシールド・プロジェクター・ユニットやその動力管が配置されていた。[7] Vウイングは機体が小さいためセンサーに引っかかりにくいという利点もあったが[3]、ヴェネター級スター・デストロイヤーのDBY-827重ターボレーザー砲塔や[16] バトル・タンクのキャノンといった重火器による砲撃が直撃した場合はひとたまりもなかった。[17] また翼の結合部に対して精密射撃を行えば、ブラスター・ピストルでもVウイングを撃墜することが可能だった。[14]
Vウイングはカスタマイズ性が高く、戦闘においてより特殊な役割を果たせるよう二種類のコンフィギュレーションに改造することができた。そのひとつ、アルファ3B“ベシュ”バージョンは攻撃力のポテンシャル増大に重点が置かれ、兵器弾薬のスロットが追加されたことで、軽・高速ボマーとしての運用が可能になっていた。またアルファ3E“エスク”バージョンは優れた追跡機であり、敵船の動きを止めるためのイオン砲が搭載された。[18] 楔型の機体の舳先にはさみ込むように二連イオン砲を搭載したタイプもあった。[10]
役割[]
Vウイング・スターファイターはそのスピードと機敏性を活かし、大量の敵と戦うことを想定して設計されていた。[2] Vウイングは大気圏および宇宙用の高速戦闘機として用いられ、高速機動によってあらゆる敵に対抗することができ、スピードと高速連射ブラスター、ヒート・シンクのコンボによりハンターとして圧倒的な性能を誇った。[12] クローン戦争終盤の時点で、Vウイングは共和国において最も数が多く[2]、より新型の戦闘機でであり、大規模な艦隊行動や要塞惑星の防御などの局面で活躍した。Vウイングは小型で高性能の支援戦闘機であり[7]、護衛任務に最適だった。[6]
Vウイングにはハイパードライブが搭載されていないため、通常はヴェネター級スター・デストロイヤーなどの主力艦で戦闘ゾーンまで運ばれた。Vウイングはその速度と機動性を役立て、重武装のARC-170スターファイターの援護を任されることが多かったが、Vウイング自体も効率的な攻撃兵器として活躍することができた。[2] 実際、この戦闘機はクローン・パイロットがスピードのあるヴァルチャー・ドロイドやドロイド・トライ=ファイターとドッグファイトを繰り広げるのに適していた。[7] 一方で、Vウイングは火器と装甲が控えめという欠点もあり、Vウイング・パイロットたちはしばしばアストロメク・ドロイドに助けられながら集団戦術で敵を圧倒した。[8] 共和国のキャリアーや軍艦から発進したVウイングの大編隊は、敵にとって極めて撃ち落としづらい標的となった。[7]
歴史[]
共和国時代[]
開発史[]
ジェダイ・スターファイターと同様、Vウイングも高名な技術者ワレックス・ブリセックスの手で設計され、クワット・システムズ・エンジニアリング社(KSE)によって製造された。ブリセックスはVウイングを設計するにあたり、ジェダイのパイロットであるアナキン・スカイウォーカーやプロ・クーン、サシー・ティンが各々のデルタ7イーサスプライト級軽スターファイターに施していた特別な改造を参考にし、そこに自分の新しいアイデアをいくつか加えた。デルタ7はフォースを備えたジェダイ・パイロットが操縦する優れた戦闘機であり、共和国宇宙軍で使われたクローン用のV-19トレントでは、とうてい追いつくことができないという問題があった。そのためジェダイは戦闘中にクローン・トルーパーの飛行隊から孤立してしまい、無防備な状態で単独飛行することが多かった。[2]
ブリセックスはこの問題を理解し、新型のVウイングによってその解決法を探った。彼は複雑な戦術飛行ルーチンに基づく新しいコンピューター飛行システムの作成を監督し、Vウイングに搭載させた。クローン・パイロットはこのシステムのおかげで反応時間が早まり、ようやくジェダイに追いつけるようになった。[2] 戦争中、Vウイングは共和国軍のために大量生産された。[9] 銀河共和国はクローン戦争の最終局面で初めてVウイングを投入したが、この新型機はあっという間に先行機のV-19トレントを抜き去り、もっとも数の多い共和国軍戦闘機となった。また共和国の最高議長であるシーヴ・パルパティーンは、一部のVウイングにハイパースペース航行能力を付与するようKSE社に依頼した。その結果、少数のVウイングにハイパードライブが搭載され、シールドも強化された。この改造が行われたのは共和国時代だったが、もっと先までを見据えたパルパティーンのマスタープランの一環に過ぎなかった。[2]
クローン戦争[]
クローン戦争終盤の19 BBY[19]、グリーヴァス将軍率いる分離主義勢力が共和国の首都惑星であるコルサントに奇襲を仕掛けた際、イータ2やARC-170[11]、V-19[20] といったスターファイターと並んでVウイングもコルサントの軌道[21] および大気圏内における戦闘に参加した。CT-4981“コントレール”はこの戦いでVウイングを操縦し、戦火に包まれた連邦地区上空を飛行した。[22] GC-1000“クリック”はVウイングを操縦し、コルサントの軌道でヴァルチャー・ドロイドと戦闘を繰り広げた。[23] Vウイングは他の戦闘機と共にコルサントの戦いで目覚ましい活躍を遂げた。[2] 戦争最後の数か月間、共和国のエリート部隊であるシャドウ中隊はパルパティーン議長の個人用シータ級T-2cシャトルをVウイングでエスコートするといった、極めて重要な任務を任せられていた。[24] ジェダイ・マスターのプロ・クーンは惑星ケイト・ニモーディアで専用機のデルタ7に乗り込み、Vウイングの編隊を指揮したことがあった。[25]
19 BBYにオーダー66が発令され、ダース・ヴェイダー率いる第501軍団がジェダイ・テンプルを襲撃した際、テンプルから脱出したジェダイ・マスター・カレラン・ベクとグローグーを2機のVウイングが追跡した。ベクはBARCスピーダーでテンプルから逃げ出したのち、味方のナブー王室保安軍のHタイプ・ヌビアン・ヨットに乗り込み、コルサントのプラットフォームから離陸した。2機のVウイングはベクを追撃しながらレーザーを浴びせたが、ヌビアン・ヨットはコルサントの軌道でハイパースペースにジャンプし、逃げ去ってしまった。[26] またオーダー66発令直後に元ジェダイのアソーカ・タノとレックスがヴェネター級スター・デストロイヤー<トライビューナル>で第332師団の兵士たちと戦いを繰り広げた時、ハンガーのメンテナンス・ベイに少なくとも1機のVウイングが係留されていた。Vウイングを始めとする大半の機体は修理中だったため、タノとレックスは飛行可能なBTL-B Yウイング・スターファイター/ボマーを使ってスター・デストロイヤーから逃げ出した。[27] 終戦当時、惑星カミーノのティポカ・シティにもVウイングが配備されていた。クローン・フォース99(バッド・バッチ)のオミクロン級アタック・シャトル<マローダー>は惑星カラーの戦場から引き上げてカミーノに戻った際、2機のVウイングに左右を固められ、承認コードを送信するよう命じられた。[28]
帝国時代[]
終戦直後[]
- 「未確認の輸送船、承認コードを送れ」
- ―Vウイング・パイロット[出典]
クローン戦争が終わり、銀河帝国が設立された直後、新政府の皇帝となったパルパティーンは弟子のダース・ヴェイダーを救うため惑星ムスタファーに向かった。[11] その際、かつてパルパティーンの指示でハイパードライブが取り付けられた3機のVウイングが、皇帝のシータ級シャトルを護衛した。このVウイングには腕の確かな操縦士が割り当てられた。[2] 皇帝がムスタファーで重傷を負ったヴェイダーを回収した後、3機のVウイングはコルサントのギャラクティック・シティにあるグランド・リパブリック医療施設までシータ級シャトルをエスコートした。[11] 帝国時代の初期、Vウイングは帝国宇宙軍でも使用された。[8] パルパティーンとヴェイダーがヴェネター級スター・デストロイヤーからDS-1デス・スター機動バトル・ステーションの建造現場を視察した際、灰色に塗装されたVウイングが編隊を組んで周辺を飛行した。[11]
帝国の治世が始まった後も、カミーノではしばらくのあいだVウイングがティポカ・シティの哨戒機として使われた。[29] 帝国時代初頭、ハンターとカット・ロクウェインは惑星サルーカマイで1隻のトウ・トラックがVウイングを町の押収施設へ運び込んでいくのを目撃した。[30] 帝国の占領下に入った元・分離主義勢力の惑星ラクサス・セカンダスでは、Vウイングが飛行制限エリアの警戒にあたった。バッド・バッチの<マローダー>もラクサスを訪れた際にVウイングから承認コードを求められたが、情報屋シドから受け取っていたコードを使って事なきを得た。[31] 同じ頃、Vウイングは帝国支配下の惑星ライロスや[32]、帝国の秘密基地がある惑星ダロにも配備されていた。バッド・バッチがグレガーを救出するためダロに侵入した際、TKトルーパーが操縦するVウイング部隊が迎撃のため基地から出撃した。彼らは<マローダー>のシールドをダウンさせることに成功したが、レッカーが操作する船尾砲座の反撃で多数の機体を撃ち落とされてしまった。[33] 19 BBYに[34] 帝国がティポカ・シティを破壊した後、カミーノアンの主任医療科学者ナラ・セはVウイングによって護衛されたロー級輸送シャトルで惑星ウェイランドのタンティス山にある秘密研究施設へ運ばれた。[35]
帝国時代初頭、帝国軍が惑星セレノーの宮殿からドゥークー伯爵の戦利品の運び出しを行った際、クラス4コンテナ輸送船1隻につき数機のVウイングが護衛に割り当てられた。バッド・バッチは戦利品を横取りするため宮殿の敷地に潜入し、貨物コンテナから注意をそらすため、駐機されていたVウイングを2機爆破した。しかし現場に駆け付けたクローン・キャプテン・ウィルコは、爆発の原因が不明であることを知ると、最後の輸送船の出発を急がせるよう命じた。[36] バッド・バッチはすぐに帝国に見つかり、ハンターとレッカーが宮殿の丘の下に広がるセレノー・シティの廃墟へ逃げ込んだ。ウィルコのチームが2人の隠れている場所を特定した後、1機のVウイングが航空支援のために駆け付けたが、レッカーはタンクの残骸から回収したキャノンを使ってこの戦闘機を撃墜した。[17] のちにバッド・バッチとレックスがコルサント造船所で改修を受けていたエドモン・ランパート中将のヴェネター級艦VZ-114に潜入した際、迎撃のため複数のVウイングが同施設から出撃した。このVウイングは共和国当時の紋章やカラーリングのままで、クローン・パイロットが操縦士を務めた。このうち2機のVウイングは、バッド・バッチの隊員エコーが操作するVZ-114のターボレーザーで撃墜され、造船所に墜落した。その後、複数のVウイングが周辺を飛行する中、バッド・バッチとレックスは脱出ポッドを使ってヴェネター級艦から逃げおおせた。[16]
帝国がジロ・ビーストのクローン“検体A”を再確保するため惑星シラに回収隊を派遣した際、VウイングとLAAT/iガンシップのチームがヴェネター級スター・デストロイヤーから展開された。帝国の研究輸送船が検体Aを捕まえるあいだ、Vウイングとガンシップは<マローダー>と交戦した。この戦闘で少なくとも1機のVウイングが<マローダー>に撃墜され、また別の1機がガンシップと衝突して破壊された。[37] レックスのクローン反乱グループがハウザーを救出するため惑星バルモーラ上空で帝国のゴザンティ級クルーザーを襲撃した際、援護に駆け付けたヴェネター級艦からVウイングのチームが出撃した。しかしグレガーとファイアボールが操縦する輸送船<レモラ>は3機のVウイングを撃墜し、ハイパースペースへ逃げ去っていった。[38] 惑星エリアドゥで帝国サミットが開催された際、ドクター・ロイス・ヘムロックはVウイングに護衛されたシャトルでウィルハフ・ターキン総督の施設レイヴンズ・ピークに降りた。[39] レイヴンズ・ピークが反乱分子による攻撃を受けた後、ターキンの命令でVウイング部隊が出撃し、バッド・バッチが乗っているレール・ラインの車両を銃撃した。ハンターはDC-17ハンド・ブラスターによる精密射撃でVウイングを1機撃墜したが、ケーブルカー1台がレールから外れ、テクがケーブルで車両からぶら下がる格好になった。Vウイングが再び迫り来る中、テクは前方車両の仲間を救うため連結部を撃ち、レールから外れた車両もろとも地上へ落下した。[14]
のちに惑星オード・マンテルでドクター・ヘムロックに捕まったオメガは、Vウイングに護衛されたシャトルでタンティス山の施設へ運ばれた。[14] 帝国の極秘プロジェクトの研究施設であるタンティス基地には、徴兵トルーパー・パイロットたちが操縦するVウイング部隊が配備されていた。18 BBY頃、皇帝パルパティーンがタンティス保管庫を視察するためウェイランドを訪問した際、4機のVウイングが皇帝のロー級シャトルを惑星軌道から基地の離着陸場までエスコートした。同じ日、タンティスの囚人であるオメガとクロスヘアーが基地から脱出し、ジャングル地帯セクター4における戦闘で帝国のロー級シャトルをハイジャックした。この報告を受け、4名の徴兵トルーパー・パイロットがVウイングに乗ってタンティス基地から出撃し、逃亡者に奪われたシャトルを追撃した。シャトルは基地のターボレーザーによる攻撃でダメージを追っており、Vウイング部隊はウェイランド上空でこの機体をロックオンした。しかし同時に、ドクター・エメリー・カーの報告によって、オメガの血液には帝国の極秘研究プロジェクトへの適性があることが判明した。当初ヘムロックはシャトルを撃墜するようパイロットたちに命じていたが、オメガを失うわけにはいかないと気づいて攻撃中止を指示した。Vウイングが銃撃を中止して方向転換した直後、オメガとクロスヘアーのシャトルはハイパースペースへ逃げ去った。[40]
帝国におけるVウイング[]
- 「フライトチームを呼べ。Vウイング出撃だ」
- ―ダース・ヴェイダー[出典]
18 BBY以前[41]、サイナー・フリート・システムズ社(SFS)のCEOであるレイス・サイナーは、グランドモフ・ウィルハフ・ターキンから帝国宇宙軍の新型戦闘機を発注された。その際、サイナーはSFS社の主要ライバル企業であるKSE社の製品からも設計要素を取り入れた。彼はアルファ3ニンバス級Vウイングやイータ2アクティス級軽インターセプターのデザイン的要素を盛り込み、帝国のツイン・イオン・エンジン式スターファイターを設計した(Vウイングはもともと、格納式のラジエーター翼、2基のイオン・エンジンといった特徴がリパブリック・サイナー・システムズ社製スター・クーリエと共通していた)。サイナーはハイパードライブの非搭載をはじめとする、KSE社の共和国戦闘機の最も経済的な特徴をTIEファイター・プロトタイプに取り入れ、さらに強力かつ操作性の高い新型機を造り上げた。[9]
やがてTIEファイターとその派生機はVウイングに取って代わる存在となったが、クローン戦争以降もVウイングはわずかながら帝国のもとで軍務に就いた。しかしアストロメクは使われなくなり、パイロットだけで運用されるようになった。[2] チスの戦略家ミスローニュルオド(スローン)は、ワイルド・スペースの惑星でヴォス・パーク艦長指揮下の帝国軍と初接触した際、森の中に張り巡らせたモノフィラメント線を使って帝国のVウイングを墜落させた。彼は死んだパイロットからパワー・パックやコムリンク、震盪グレネードといった装備品を奪ったうえで、フライト・スーツに発酵したピュッス・ベリーを詰め込んだ。その後、スローンはパワー・パックを森の夜行性クリーチャーにくくりつけ、ピュッス・ベリーの匂いに向かって進む即席の追尾爆弾を造った。パークがVウイング部隊に周辺の捜索を命じた際、スローンはVウイングをさらに1機墜落させ、新しい通信装置を確保した。スローンは最終的に帝国軍に捕まったが、彼の才能に感服したパークは、このエイリアンの戦術家を皇帝パルパティーンに引き合わせることに決めた。[42]
14 BBY[34]、ライロス解放運動のメンバーであるポックらがヤガ・マイナーの造船所で帝国の兵器輸送艦をハイジャックした際、ダース・ヴェイダーはイータ2の専用機からVウイング中隊を指揮し、強奪犯を追跡した。彼らはハイパースペース・リングを使ってジャンプを繰り返し、星図に載っていない星系にたどり着いた。ポックはここでライロス解放運動の仲間であるチャム・シンドゥーラと落ち合うつもりだった。ヴェイダーとVウイング部隊は輸送艦のシールドを落とすと、エンジンを破壊してこれ以上のハイパースペース・ジャンプを阻止した。輸送艦に乗り込んでいた反乱者たちはヴェイダーによって皆殺しにされたが、チャムとその仲間たちはガス巨星を取り巻くリングの中に隠れ続け、Vウイングによる捜索をやり過ごした。[15]
それからしばらくして、チャム率いるライロス解放運動は皇帝パルパティーンとヴェイダー、オーン・フリー・ター元老院議員らが乗るインペリアル級スター・デストロイヤー<ペリラス>をライロス星系の端で待ち伏せした。解放運動が仕掛けた機雷によって<ペリラス>のシールドが弱体化したため、ヴェイダーは再びイータ2に乗り込み、Vウイング部隊を率いて出撃した。彼らはまず機雷を排除するつもりだったが、敵の改造型ヴァルチャー・ドロイドに自爆型バズ・ドロイドが満載されていることに気づき、標的を変更した。小回りの利くVウイングは、バズ・ドロイドを積んでいるため鈍重なヴァルチャーを何機も撃墜したが、バズ・ドロイドの反撃により犠牲も出た。しかしヴェイダーがフォースを使って何十というヴァルチャーを一度に始末し、残りをVウイングが片付けた。ライロスの帝国軍が事件の一報を受けた直後、モフ・デリアン・モーズの拠点があるライロス最大の衛星からVウイング部隊が出撃し、<ペリラス>の援護に向かう修理チームを護衛した。しかし第83修繕隊には反乱分子の工作員が紛れ込んでおり、<ペリラス>は破壊されてしまった。[15]
皇帝とヴェイダーが乗るシャトルがライロスに避難した際、チャムの部下であるカロンは改造型ドロイド・トライ=ファイターを送り出し、護衛のVウイングを攪乱した。ライロス解放運動は帝国の裏切り者であるベルコール・ドレイ大佐から手に入れた船舶IDをもとにシャトルを撃墜したが、皇帝とヴェイダーは墜落を生き延びた。またドレイは自分に従順な者たちでVウイング部隊を編成し、モフ・モーズを探し出して抹殺するよう指示した。しかしVウイングを率いるアリム・ミーンザ隊長は、モーズやスティーン・ボーカス少佐の乗る輸送船と遭遇した際、真の裏切り者はドレイであることを知らされた。モーズとボーカスは即座にドレイに反撃するのではなく、皇帝の救助を優先するためしばらくはドレイの命令に従うふりをするようミーンザに命じた。一方のドレイは、自分を利用してきたチャムを皇帝もろとも滅ぼそうと考え、皇帝のいるトワイレックの村の座標をVウイング部隊に送信した。しかしミーンザのVウイング部隊はモーズの船と共に姿を現し、トワイレックの村ではなくドレイの偵察船を銃撃で撃破した。チャムの方も、あてにしていたVウイングによる援護射撃が行われず、作戦が破綻した。戦いに敗れたライロス解放運動はVウイングによる掃討攻撃にさらされたが、チャムは部下のゴルによって戦場から運び出された。[15]
14 BBY[34]、バーチ・テラー率いる反乱分子がターキンから奪ったステルス・シップ<キャリオン・スパイク>で銀河系各地の帝国施設を襲撃した際、Vウイングの護衛部隊が複数の戦闘に参加した。ガリドラーンIIIの軌道に浮かぶガリドラーン・ステーションでは、VウイングとARC-170スターファイター部隊が<スパイク>に応戦し、姿の見えない敵に苦戦した。ルカゼックにあるタッグ社の採鉱施設では、複数のVウイングが反乱分子に破壊されてしまった。フィンダーではVウイングのイエロー中隊がヴェイダーのイータ2に率いられて<スパイク>を追跡した。この戦いではターキンもコールサイン・“イエロー2”としてVウイングに搭乗した。彼がVウイングを操縦するのは数年ぶりのことだった。帝国はこの戦いでイエロー5、7、8、12を含む多数の犠牲を出した。その後、Vウイングはガルフ・オブ・タトゥイーンで繰り広げられた帝国とテラーの反乱分子の最後の戦闘でも活躍した。ターキンのスター・デストロイヤー<エグゼキュートリクス>から出撃したVウイングは反乱分子の戦力を構成するドロイド・スターファイターを次々と撃墜し、勝利に貢献した。[10]
14 BBY頃[34]、衛星ジェダの軌道にも帝国のVウイング部隊とヴェネター級スター・デストロイヤーが配備されていた。海賊ホンドー・オナカーと骨董屋ドク=オンダーは、ウィルズの寺院でカイバー・クリスタルの彫刻品を入手した後、フレアスター級アタック・シャトルでジェダ・シティから離陸した際に帝国のパトロール隊と遭遇した。しかしホンドーは彼らの母艦であるヴェネター級艦に近づくことでVウイングによる銃撃を回避し、なんとかハイパースペースに逃げ込んだ。[43]
新共和国時代以降[]
- 「スターファイターと輸送船よ。どっちに攻撃を集中する?」
「全部落とすわ。しっかりついてきて」 - ―ゼイとアイデン・ヴェルシオ[出典]
冷戦の時代、ニモーディアンの収集家パウ・マッコン男爵はさまざまなファイターをコレクションし、惑星ケイト・ニモーディアにある自身の宮殿に展示していた。そのひとつが改造型Vウイングであり、Aウイングやデルタ7、Eウイング、N-1スターファイター、TIE/fo制宙戦闘機、T-47エアスピーダーといった他のコレクションとともに宮殿の広間に飾られていた。マッコンの改造Vウイングはもともとケッセルのスパイス権力者が所有していたもので、白と黄色に塗装され、通常よりも長い可動翼が取り付けられていた。レジスタンスの任務でケイト・ニモーディアを訪れた際、ブラック中隊の隊長ポー・ダメロンはファースト・オーダーのマララス中佐に奪われてしまったT-70 Xウイング<ブラック・ワン>の代わりに、マッコン男爵から借りた改造型Vウイングに乗り込んだ。ダメロンは<ブラック・ワン>と並んで飛行しながらBB-8を回収すると、Vウイングを急旋回させ、相手の機体をレヤ男爵の宮殿に衝突させた。[13]
ジナータ星系の法執行機関であるジナータ・セキュリティは、冷戦期もVウイングやARC-170、N-1スターファイターといった共和国時代の戦闘機を使用していた。ジナータ・セキュリティの他の艦船と同様、彼らのVウイングの機体は青と赤で塗装されていた。34 ABY、アイデンとゼイ・ヴェルシオ、シュリヴ・スールガヴからなるインフェルノ分隊は、惑星アスラ付近でコマンダー・リーマ・カイ率いるジナータ・セキュリティ船団と遭遇した。インフェルノ分隊はVウイングを始めとする戦闘機部隊を撃退し、ジナータのEF76ネビュロンBエスコート・フリゲート<オポチュニティー>を降伏させた。[12]
制作の舞台裏[]
アルファ3ニンバス級Vウイング・スターファイターは2005年に公開されたプリクエル・トリロジー第3作『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で初登場を果たした。[11] AウイングとTIEファイターの特徴を併せ持つVウイングは、オリジナル・トリロジーに多く登場した [アルファベット - ウイング] 式の命名パターンを持つプリクエル初の戦闘機である。[44] 戦闘機の正式名称はレジェンズの設定資料集『スター・ウォーズ エピソード3 クロスセクション』(2005年)で初めて紹介された。[45] 正史媒体では2015年発売の『アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科』で初めて正式名称が言及された。[1]
『シスの復讐』の特殊効果スーパーバイザーを務めたロブ・コールマンは当初、映画の最後に帝国のTIEファイターを登場させたいと考えていた。しかしジョージ・ルーカス監督はTIEファイターが登場する『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』と本作の時系列にはおよそ20年の開きがあると考え、代わりに新しいVウイングを登場させることにした。Vウイングのデザインは、特に後ろから見た時にTIEファイターを彷彿とさせる外見になっている。VウイングがTIEファイターの直系の祖先であることを明確にするため、この戦闘機のエンジンにはTIEと同じ音響効果が加えられた。[2]
コンセプト・アーティストのラッセル・チョンはTVシリーズ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』のエピソード『やり残した仕事』のために“部分的に組み立てられたVウイング”(V-wing paritially built)と題されたコンセプト・アートを制作した。アートの制作日は2012年8月9日付となっている。[46] しかし2020年に公開された『やり残した仕事』の本編にVウイングは登場していない。[47] 結果的に、シリーズ最終話である『勝利と死』が『クローン・ウォーズ』におけるVウイングの唯一の登場作品となったが、ヴェネター級スター・デストロイヤーの格納庫の戦闘シーンで背景に一瞬映り込むだけに留まっている。[27] 2021年に始まった『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』にて、TVシリーズとしては初めてVウイングの飛行シーンや戦闘シーンが描かれた。[48] アーロン・ファムが『バッド・バッチ』第1話『余波』のためにVウイングとそのアストロメク・ドロイドのコンセプト・アートを手がけた。アートの制作日は2019年2月22日付となっている。[49]
登場作品[]
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参考資料[]
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 (表記はアルファ=3・ニンバス)
- 週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン 第36号 (スターシップ・ファクトファイル:ARC-170スターファイター)
- 週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン 第58号 (スターシップ・ファクトファイル:アルファ3ニンバス級Vウイング)
- きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック
- スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- スター・ウォーズ ビークルのすべて
- TIEファイター オーナーズ・ワークショップ・マニュアル
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション
- "Unfinished Business" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- Star Wars: X-Wing Second Edition – Nimbus-class V-Wing Expansion Pack
- スター・ウォーズ/ビークル・クロスセクション完全版
- "Aftermath" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- V-wing Fighter - 公式データバンク