インペリアルI級スター・デストロイヤー(Imperial I-class Star Destroyer)は帝国宇宙軍で使用されていたインペリアル級スター・デストロイヤーの級種のひとつである。単にインペリアル級スター・デストロイヤーやスター・デストロイヤーとも呼ばれた。インペリアルI級艦はくさび型の船体を持つ主力艦で、多数の火器を搭載し、歩兵部隊や攻撃船、TIEファイター等を運ぶことができた。銀河帝国の絶頂期、インペリアル級艦のブリッジには宇宙軍で最も優秀な将校たちが配属されていた。
当初、スター・デストロイヤーはクローン戦争終結後の銀河系で各地の宙域および星系に配備され、反乱の芽を摘む役割を果たしていた。やがて帝国と共和国再建のための同盟とのあいだに銀河内戦が始まると、スター・デストロイヤーの役割は反乱軍や彼らの基地の討伐に取って代わられた。クワット・ドライブ・ヤード社によって製造されたインペリアルI級艦のデザインは、クローン戦争期の軍艦であるヴェネター級スター・デストロイヤーの流れを汲んでおり、後継機種としてインペリアルII級スター・デストロイヤーが製造された。
特徴[]
形状[]
インペリアルI級スター・デストロイヤーはクワット・ドライブ・ヤード社(KDY)が製造したインペリアル級艦の一種であり、全長1,600メートル(5249.2フィート)のくさび型の船体を特徴とする主力艦である。クローン戦争期に銀河共和国が使用したヴェネター級スター・デストロイヤーの後継機種であり、ヴェネター級艦よりも460メートル(1509フィート)近く長かった。[1] 赤いマーキングが施されていたクローン戦争期のヴェネター級艦とは異なり[12]、インペリアルI級艦はできるかぎり落ち着いた色を使うという帝国の慣習に則り[13]、船体は灰色一色に塗装されていた。[1]
乗組員[]
インペリアルI級スター・デストロイヤーは37,000人を超えるクルーによって運用され、そのうち将校が9,235名、下士官が27,850名だった。また9,700名のストームトルーパーを乗せることができ、乗組員と乗客の合計は46,785名だった。[1] ブリッジは船体の後方上部に設けられており、将校用の区画はその真下に位置した。[14] 莫大な人数の乗組員を維持するため、インペリアル級艦はそれぞれ2年分の消耗品を積み込み[8]、液体の貯蔵庫や原料の倉庫は船首付近に位置していた。[14] 上部ブリッジ・セクションへ続く船の“首”の部分は、4つの“階層”となって隆起しており、その2つ目の階層に[1] 乗組員の兵舎や砲手用の区画[7]、会議室、訓練場、そして監房ブロックが設けられてた。またブリッジの上には偏向シールド発生装置や通信アレイが設置されていた。[1] 船体側部のくぼみの部分には、供給用在庫補充デッキが設けられていた。[7]
他のスター・デストロイヤーと同じく、インペリアル級艦にも帝国保安局の国内情勢部門に属す局員が乗艦し、乗組員のあいだに不服従や反乱の兆候がないか目を光らせ、また囚人の尋問なども担当した。[15] また帝国宇宙軍の他の艦船と同様、インペリアルI級艦でもリバクサン・コルムニ社製のMSE-6シリーズ修理ドロイドがメッセンジャーや修理および管理業務のアシスタントとして艦内で活用されていた。[16]
兵器とシールド[]
インペリアルI級スター・デストロイヤーはテイム&バック社製XX-9重ターボレーザー砲塔60基、ボーステル社製NK-7イオン砲60基を搭載していた。また、捕捉した宇宙船をメイン・ハンガー・ベイに引き込むことができるファイロン社製07トラクター・ビーム発生装置10基を備えていた。[1] くさび型の先端の最前部にはトラクター・ビーム・アレイが設けられていた。またインペリアルI級艦は他にも二連重ターボレーザー砲塔6基、四連重ターボレーザー2門、三連中型ターボレーザー3門、中型ターボレーザー2門を備えた。船体上面司令タワーの周囲には、二連重イオン砲2門が並んでいた。またくさび型船体後方の端にも、局所防衛レーザー砲が配置されていた。[7]
上記のうち、インペリアルI級艦において最大の火力を誇る兵器は6基の二連重ターボレーザー砲塔である。直径50メートルにも及ぶこの砲塔は、それぞれが敵の偏向シールドをオーバーロードさせ、重装甲を貫通するほどの威力を有した。砲塔では小型で素早い船に命中させるのは困難だったが、かすめただけでも破壊することが可能だった。[17] またインペリアル級スター・デストロイヤーの旋回ターボレーザー砲塔は、補助用パワー・セルの巨大なアレイに接続されていた。[14] ブリッジ・タワーの上部に設けられたトラクター・ビーム照準アレイの左右には、偏向シールド発生ドームがそれぞれ1基ずつ配置されていた。また他にも、船首下面に航行用の偏向シールド発生装置があった。[7] これらのシールドのおかげで、インペリアルI級艦はGR-75中型輸送船と正面衝突しても船体にダメージを受けることはなかった。[18]
積載能力[]
インペリアルI級スター・デストロイヤーは船体下面に広大なハンガー・ベイを有し、最大でTIE/ln制宙スターファイター72機、ラムダ級T-4aシャトル8機、AT-ATウォーカー20両、AT-STまたはAT-DPウォーカー30両、帝国軍兵員輸送機15両という大量の補助ビークルを積載することができた。[1] インペリアル級スター・デストロイヤーは惑星制圧および迅速な兵員配備にとって不可欠とされていたにもかかわらず、帝国宇宙軍でもっとも資源を消費する宇宙船のひとつとして知られていた。[19]
インペリアル級スター・デストロイヤーはシールド発生装置が弱点であり、TIEファイターを72機配備可能という優位性があるにも関わらず、シールドを失った無防備なブリッジを守ることが難しかった。そのため熟練したスターファイター・パイロットを相手にしたインペリアル級艦は、ドロイド・スターファイターを相手にしたヴェネター級艦と比較して防御力に劣っていた。[1]
推進装置[]
インペリアル級スター・デストロイヤーは7基のエンジン・ユニットから推進力を得ており、船尾にスラスト・ノズルが並んでいた。[6] そのうち大きい3つはクワット・ドライブ・ヤード社製デストロイヤーIイオン・エンジン、残りの小さい4つは補助用のシグナス・スペースワークス社製ゲモン4イオン・エンジンであり[5]、最高速度は時速975キロメートル(606マイル)に達した。[20] しかしインペリアル級艦は惑星の大気圏内での活動には向いておらず、上空にとどまるには全開のパワーが必要とされた。重要な機材がすべて保護されてたとしても、大気圏内でわずかでも動力供給に障害が生じれば、船の破壊を招くこととなった。[19]
インペリアル級艦の主要パワー・ジェネレーターである[6] ソーラー・イオン化反応炉[5] は船体下面のやや後方に位置し、ジェネレーターを収容する大きな半球が正面から見えるほど突き出ていた。[6] またインペリアル級艦はハイパースペースを航行するためにクラス2のハイパードライブを搭載していた。[1] スター・デストロイヤーがハイパースペースにジャンプする際、船内の廃棄物を宇宙空間へ投棄するのが帝国の標準的なプロトコルだった。[21]
ブリッジ・タワー[]
インペリアル級艦の大きな特徴はそのブリッジ・タワーにあった。タワーの最上部にはトラクター・ビーム照準アレイと2つの偏向シールド発生ドームが設置されていた。[6] ブリッジの内部には、フロアよりも低い位置に設けられた2つの細長いピットがあり、ピット内の壁にはモニターやコントロール・パネルなどの機器が取り付けられていた。またそれぞれのピットには6つの職務用コンソールが並んでいた。より高位の将校はピットを取り囲むウォークウェイに立って指揮を執った。ピットの各コンソールは、このウォークウェイに対して垂直に配置されていた。またメイン・ブリッジの奥にはブラスト・ドアで仕切られた小部屋があり、ここにはホロテーブルなどの通信機材が設けられていた。[22]
役割[]
インペリアルI級スター・デストロイヤーは帝国宇宙軍の主力艦であり[1]、ブリッジには帝国の艦隊でもっとも優秀なクルーたちが乗り込んでいた。[23] スター・デストロイヤーは銀河皇帝シーヴ・パルパティーンの命令を確実に遂行するために設計されており、惑星を武力で屈服させ、地方政府を傀儡政権化することが大きな役目のひとつとなっていた。[1] またインペリアル級スター・デストロイヤーはそれ自体が強力な兵器プラットフォームであるだけでなく、惑星侵略の拠点として、TIEファイターを戦場へ運ぶキャリアーとしての役割も果たした。また惑星軌道における封鎖線や非常線の構築にも有効であり、アウター・リム・テリトリーを蝕む密輸業者や反乱分子の逮捕に一役買った。[23]
歴史[]
当初、スター・デストロイヤーはクローン戦争後の混乱に巻き込まれた宙域や星系に配備され、星々の征服や、抵抗運動や反乱運動の兆しを殲滅する役目を担っていた。銀河内戦中、スター・デストロイヤーの役割は反乱同盟軍の重要な標的や軍事基地の討伐に変わった。スター・デストロイヤーはタトゥイーンの秘密任務やホスの戦い、エンドアの戦いといった戦闘に参加した。