エグゼクター級スター・ドレッドノート(Executor-class Star Dreadnought)、別名スーパー級スター・デストロイヤー(Super-class Star Destroyer)、通称スーパー・スター・デストロイヤー(Super Star Destroyer)は銀河帝国が使用した超大型軍艦である。帝国軍最大級にして最強の宇宙船であり、帝国の思想と力をもっとも的確に体現する存在だった。クワット・ドライブ・ヤード社によって製造されたこのスター・ドレッドノートは、全長19,000メートルにも及ぶ矢じり型の船体を持ち、合計で5,000基を超えるターボレーザーとイオン砲で武装していた。また大量のスターファイターやウォーカーを積載しており、単体で敵艦隊全体と交戦したり、ひとつの星系を封鎖可能な戦力を備えていた。しかし製造と運用に莫大な資源と人員を要するため、従来のスター・デストロイヤーほどの数は製造されなかった。
反乱同盟は実際に製造されたエグゼクター級艦の数は10数隻ほどだろうと見積もっていたが、プロパガンダと軍事機密予算のせいで真相は不明瞭だった。このうち<アナイアレイター>はヤヴィンの戦い以降にカシオ・タッグ大将軍の旗艦として使用された。また級名を冠した<エグゼクター>はシスの暗黒卿ダース・ヴェイダーの旗艦であり、デス小艦隊の司令船として銀河内戦で活躍した。4 ABY、<エグゼクター>はエンドアの戦いで破壊され、第2デス・スターの表面に墜落した。勢力を失った帝国が反乱同盟の後継組織である新共和国に追い詰められる頃には、現存するエグゼクター級艦は世に知られている限りで<ラヴェジャー>1隻のみとなっていた。そしてその<ラヴェジャー>も5 ABYのジャクーの戦いで沈み、宇宙船の墓場と呼ばれるようになるジャクーの砂漠に墜落した。
特徴[]
概要[]
エグゼクター級スター・ドレッドノートは銀河帝国の宇宙船の中で最大級かつ最強の軍艦の一種である。[1] “スーパー・スター・デストロイヤー”とは本来、インペリアル級スター・デストロイヤーより大規模な数種類の艦船をまとめた総称であるが、エグゼクター級艦はその中でも最大であり[4]、これほどまでに帝国の思想と力を体現した軍艦は他に存在しなかった。[2] エグゼクター級艦の全長は19,000メートル(62,335フィート10インチ)に及び[4]、なめらかな船体は上から見ると矢じりのような形をしていた。巨大な船体の中央部分には居住可能な規模の“島”があり、あたかも都市のような重層的な構造の表面に兵器が配置されていた。この居住区画の後方の端付近にブリッジを擁する台形型の司令タワーがあり、タワーの上部に測地通信ドームと偏向シールド発生ドームが設けられていた。島の下には、エンジニアリング区画と上部構造の複雑なネットワークが広がっていた。[10]
推進装置[]
エグゼクター級スター・ドレッドノートの船尾には、中央の主要駆動エンジンを含む巨大な亜光速エンジン[11]・スラスターが13基搭載されており、まるで血のような赤い光を発しながら宇宙空間を進んだ。[10] スター・ドレッドノートの最高速度は時速100キロメートル(62マイル)に達した。[4] またエグゼクター級艦はハイパースペースを航行するためにクラス1のハイパードライブを搭載し、クラス10のバックアップも備えていた。[2]
兵器とシールド[]
- 「提督、ブリッジの偏向シールドが消失しました!」
「前方砲塔からの攻撃を強化しろ。何も通すな」 - ―<エグゼクター>のクルーとファーマス・ピエット提督[出典]
エグゼクター級スター・ドレッドノートの中央構造部には、合計5,000基を超えるターボレーザーとイオン砲が搭載されており[4]、単体でひとつの艦隊を滅ぼせるほどの火力を誇った。兵器の内訳として、二連重ターボレーザー砲塔750基、砲架搭載二連軽ターボレーザー砲塔1,000基、二連戦艦イオン砲100門、強襲震盪ミサイル発射装置125基、砲架搭載四連レーザー砲250門などが含まれる。またエグゼクター級スター・ドレッドノートは偏向シールド発生装置を搭載しており[5]、船体はチタンで強化されていた。[4]
宇宙船どうしの戦闘において、スター・ドレッドノートにそれなりのダメージを与え得る船はほぼ存在しなかったが、スターファイターの支援が無い単独の状態や、不利な場所へおびき出された時、また造船所で準備が整っていない状態のエグゼクター級艦は、火力で劣る反乱同盟にとって理想的な標的となった。[2]
乗組員と司令タワー[]
エグゼクター級スター・ドレッドノートは280,784名の将校およびパイロット、下士官によって運用された。また38,000名の兵員と支援要員を運ぶことができた。[2] 長大な船体の後方上部、分厚い構造物の上に設けられたエグゼクター級艦の司令タワーは全長が285メートルにも及び、それ自体が宇宙船のような規模だった。このタワーはクワット・ドライブ・ヤード社が製造する一般的な軍艦で多用されていた標準的なモジュールであり[6]、インペリアル級艦のそれともよく似ていた。[8] 司令タワーには偏向シールド発生装置や通信システム、センサー・アレイ、将校の居室、作戦室、高級士官用の脱出ポッドといった重要な装備が集中していた。[6]
司令タワーの頂上部中央部にはトラクター・ビーム照準アレイがあり、その左右にはローカル=エリア用シールド発生装置のドームが配置されていた。またこのドームには、船の火器システムに目標情報を送る長距離スキャナーやハイパーウェーブ・トランシーバーも内蔵されていた。司令タワーのジェネレーターは上層の構造物の中央付近に設けられていた。タワー内部の上下移動にはターボリフトが使用された他、修理ドロイドが階層間を高速で行き来できるように、外壁に真空シャフトも設置されていた。司令タワーには他にも、通信/スキャン・パワー・モジュレーターや照準レンジファインダー、ラジエーター・グリル、ヒート・シンク・パネル、宇宙線探知機、大気タンク、将校用食堂、脱出ハッチなどの機器や施設が備わっていた。[6]
エグゼクター級スター・ドレッドノートのブリッジは艦の中心線上に位置した。ブリッジには高さ2メートルのトランスパリスチール製のビューポートがあり、目標をはっきりと視認した上で攻撃を行うことができた。ブリッジのビューポートはシールドで保護されており、まるで帝国の傲慢さを見せつけているかのようだった。[6] インペリアル級スター・デストロイヤーのブリッジと同様[8]、エグゼクター級艦のブリッジには、中央の通路より低い階層にピットが設けられ、クルーが作業を行うコンソールが並んでいた。[6]
積載能力[]
エグゼクター級スター・ドレッドノートは105,000トンの積載能力を持ち[2]、下面前部にメイン・ハンガー・ベイが設けられていた。[1] エグゼクター級艦は1,000隻を超える宇宙船を収容可能で[4]、TIE/ln制宙スターファイターやTIE/saボマー、TIE/inインターセプターなどを含む[1] TIEシリーズの戦闘機144機、強襲シャトルや輸送シャトル、支援船など200隻、AT-ATウォーカー24機、AT-STウォーカー50機、プレハブ式駐屯基地2基を搭載していた。こうした補助装備を備えたエグゼクター級艦は、1隻で星系全体を包囲可能な戦闘能力を有した。[2]
エグゼクター級艦のハンガーはラムダ級T-4aシャトルなどの輸送船を収容可能で、なおストームトルーパーなどの人員がその周囲に整列できるだけの広さがあった。[8] またエグゼクター級艦はAT-ATやAT-STウォーカーを惑星の地表に運ぶため、Y-85タイタン・ドロップシップを運用することがあった。[6]
役割[]
- 「全軍に指令を出せ。艦隊を展開しろ」
- ―<エグゼクター>のファーマス・ピエット提督[出典]
エグゼクター級スター・ドレッドノートの多くは宙域艦隊の旗艦として使用され、主要な帝国軍の提督たちによって指揮された。何百隻のインペリアル級スター・デストロイヤーに相当する火力を備えているにも関わらず、エグゼクター級艦はしばしば10数隻もの支援船の艦隊を伴って任務についた。エグゼクター級スター・ドレッドノートには膨大な資源が投資されていたため、帝国はこれらの貴重な軍艦を失うリスクをなんとしても避けたかったのである。[2]
歴史[]
- 「ヴェイダーはあの船にいる」
- ―ルーク・スカイウォーカー[出典]
エグゼクター級スター・ドレッドノート[1]、別名スーパー級スター・デストロイヤーは[12] 銀河帝国時代にクワット・ドライブ・ヤード社によって建造された。[1] 最初のエグゼクター級艦はヤヴィンの戦いの直後に就航した。[2] スター・ドレッドノート・アサルト・プロトタイプ、スター・ドレッドノート・コマンド・プロトタイプという少なくとも2隻の試作型が造船された。[13] またエグゼクターI級、エグゼクターII級スター・ドレッドノートという下位モデルも存在した。
帝国軍の高官の多くは、デス・スター計画を“ターキンの愚行”とみなし、膨大な経費と資材、人員を浪費する技術的実験と嘲笑していた。[6] 実際、この超兵器は[14] 0 BBYに発生した[15] ヤヴィンの戦いで反乱同盟に破壊されてしまい、司令官であるグランドモフ・ウィルハフ・ターキンも命を落とした。[14] デス・スターに否定的だった者たちは、皇帝シーヴ・パルパティーンはデス・スターではなくエグゼクター級スター・ドレッドノートを数多く建造するためにこそ資源を使うべきだったと論じた。[6] そうした帝国軍将校のひとりで、かねてからデス・スターの弱点を指摘していたカシオ・タッグ将軍は、ヤヴィンの戦いの後に皇帝から大将軍に任命され、エグゼクター級スター・ドレッドノート<アナイアレイター>から帝国の軍事活動全体を統括することになった。[16]
反乱同盟はヴロガス・ヴァスの戦い以前からエグゼクター級スター・ドレッドノートの情報を掴んでいた。モン・カラマリのギアル・アクバー提督は「エグゼクター級スター・ドレッドノート」と題された報告書RI 043-N1をまとめ、モン・モスマ議長に提出した。アクバーは、エグゼクター級艦は軍艦というより機動司令センターに近いと述べつつ、単独で艦隊を滅ぼせる戦闘能力も備えていることを指摘した。反乱同盟はクワット・ドライブ・ヤード社の記録を入手し、エグゼクターという級名や、クワット造船所で起きた混乱により就航が遅れていることも突き止めていた。この報告書が作成された時点で、反乱軍は<エグゼクター>、<アナイアレイター>、<アービトレイター>、<ラヴェジャー>、<エクリプス>が就航中もしくは建造中であることを把握していた。[17] 彼らはエグゼクター級艦が10隻以上存在すると考えていたが、帝国のプロパガンダや軍事機密予算のせいで実態把握が困難であり、同盟軍情報部も正確な数を確認できていなかった。[6]
制作の舞台裏[]
2018年、LINEマンガで連載されたウェブコミック版『ロスト・スターズ』(小宮山優作画)にて、フダラ星系に少なくとも15隻のエグゼクター級スター・ドレッドノートが集結しているシーンが描かれた。[18] この描写は、クラウディア・グレイによる原作小説の記述と矛盾している他[19]、『スター・ウォーズ コンプリート・ロケーションズ』で紹介されている設定(反乱軍はエグゼクター級艦が10隻以上存在すると考えているが、正確には把握できていない)とも整合性がとれていない。[6] 掲載後に小宮山がこの問題を確認し、のちに単行本でエグゼクター級艦の数が3隻に修正され、代わりに多数のインペリアル級スター・デストロイヤーが追加された。[18][20] ただし原作小説ではフダラ星系に集まった戦力はホスの戦いと同程度とされており[19]、ホスの戦いにはエグゼクター級艦は<エグゼクター>1隻しか参加していないことから、コミックの描写は修正を考慮に入れても大規模である。