エリート・スクワッド・トルーパー(Elite Squad Trooper)は初期の銀河帝国に仕えた特殊部隊のトルーパーである。クローン戦争が終わり、惑星カミーノにおけるクローン製造に終止符が打たれるまでのあいだ、帝国地上軍の兵力の大部分は共和国グランド・アーミーの遺産であるクローン・トルーパーによって占められていたが、エリート・スクワッド・トルーパーは徴兵によって集められた最初の兵力として軍隊に加えられた。エドモン・ランパート中将やウィルハフ・ターキン提督といった帝国軍将校たちは、このエリート兵士がクローン・トルーパーに取って代わる帝国軍の新戦力になることを期待していた。
ランパート中将は高度な訓練を積んだエリート・スクワッド・トルーパーのES-01、ES-02、ES-03、ES-04からなる分隊を編成し、クローン・コマンダーCT-9904“クロスヘアー”を彼らの指揮官に任命した。エリート・スクワッド・トルーパーの存在は、銀河共和国においてクローン製造の役割を担ってきたカミーノアンにとっては脅威だったが、ランパートやターキンにとっては期待の存在だった。帝国時代初頭、彼らはソウ・ゲレラの抵抗勢力を掃討するため惑星オンダロンへ派遣されたのを皮切りに、帝国から離反したクローン・フォース99の捜索といった数々の任務に送り出された。
歴史[]
起源[]
- 「銀河系の秩序を保つためにはクローン・トルーパーが必要でしょう」
「確かに。だが徴兵された兵士なら費用は半分で済む」
「我々のクローンの技術レベルや性能は、徴兵された兵士をはるかに上回ります」 - ―ラマ・スー首相とウィルハフ・ターキン提督[出典]
エリート・スクワッド・トルーパーは、クローン・トルーパーに代わる新兵士を作り出すことを目的とした銀河帝国のプロジェクト、“ウォー=マントル計画”のもとで発案された。[2] 帝国軍の前身である銀河共和国のグランド・アーミーはクローン・トルーパーによって構成されており、クローン戦争が終結して銀河皇帝シーヴ・パルパティーンによるニュー・オーダー体制が敷かれた後も、彼らが第一世代のストームトルーパーとして引き続き新国家に仕えていた。[3] しかしウィルハフ・ターキン提督はクローン製造が帝国の経済を必要以上に圧迫することを懸念していた。[4]
分離主義勢力の指導者たちを排除し、クローン戦争が終結した後、皇帝はそれまで共和国のクローン・トルーパーを製造してきたカミーノアンの科学者たちへの支援を打ち切った。また帝国は、かつて銀河共和国とカミーノアン政府のあいだで取り交わされたクローン・トルーパー継続生産の契約は、新政府においては無効とみなした。[4]
最初の徴募兵[]
- 「徴募された兵士は軍事的な習熟度において同じレベルにはなれません。クローンは生まれた時から訓練を受けていますので」
「スキルは教えられます。彼らは自ら志願して入隊した。わたしはその忠誠心を重んじます」 - ―ラマ・スー首相とランパート中将[出典]
帝国のエドモン・ランパート中将は、非クローン・トルーパーの兵士を徴兵して訓練する計画を発案した。ランパートはクローンが優秀な兵士であることは認めていたが、クローンに依存しながら帝国に忠実な軍隊を作る必要はないと考えていた。彼は帝国地上軍に自ら志願してきた入隊者に目を向け、忠誠心をプログラムされたクローンたちよりも、進んで帝国への奉仕を望む者たちに大きな可能性を感じたのである。クローン・トルーパーを監督するため惑星カミーノに配属された機会を活用し、ランパートはウォー=マントル計画の一環として選抜した4人の優秀な兵士をターキン提督に披露した。銀河系各地から集められた新兵たちは[1] 名前の代わりにES-01、ES-02、ES-03、ES-04という番号を与えられ、最初のエリート・スクワッド・トルーパーとなった。[2]
カミーノアンのラマ・スー首相は、生誕時から訓練を受けているクローン・トルーパーの方が徴兵制より優れていると主張したが、ランパートは経験豊富なクローンを教官につければ、彼らと同じスキルを身に着けることが可能だと反論した。ランパートの提案を受け、ターキンはクローン・コマンダーCT-9904“クロスヘアー”をエリート分隊の指揮官に任命した。遺伝子変異クローンとして生まれたクロスヘアーは、エリート部隊“クローン・フォース99”の隊員のうち、唯一帝国への残留を選んだ忠実な兵士だった。クロスヘアーのエリート分隊はカミーノのティポカ・シティにあるクローニング施設に滞在し、訓練や経過観察を受けることになった。しかしES-01は検査を受けるために入隊したわけではないと主張し、カミーノアンの医療ドロイドに不満をぶつけた。ES-04は戦争が終わったいま自分たちは誰と戦うのかと疑問を持っていたが、ES-01は食料や住処、報酬といった待遇が良いから入隊しただけであることを明かした。[1] クローン戦争では志願兵よりもクローン兵士が優遇されていたため、共和国の下ではこうした好待遇が得られなかったのである。[5]
ターキンはエリート分隊の実地テストを行うことに決め、エリート・スクワッド・トルーパーとそのクローンの指揮官を惑星オンダロンへ派遣し、ソウ・ゲレラ率いる反乱分子の排除を命じた。オンダロニアンの母星へ旅する途中、ES-01は上官であるクロスヘアーに対し、クローンがコマンダーを務めることへの不満をあらわにした。彼は帝国が非クローンの新兵を採用していることを根拠に、クローン・トルーパーは間もなくお役御免になるのだと信じていた。ターキンやランパートと同様、ES-01も帝国軍がクローンへの依存を打ち切ることを予想していたが、それでもクロスヘアーの部下としてこの任務に参加することを受け入れた。[1]
エリート・スクワッド・トルーパーたちはオンダロンの森の中でゲレラの支持者たちを待ち伏せし、大半を始末した。また彼らは抵抗勢力の残党が難民を連れてLAAT/leパトロール・ガンシップで逃げ出すのを阻止した。しかし野営地にはゲレラの姿が無く、クロスヘアーは民間人を含む捕虜たちを尋問した。彼は答えることを拒んだ敵の兵士1名をその場で射殺し、残りの民間人を処刑するようトルーパーたちに命じた。しかしES-01は指揮官の行動に抗議し、今回の任務の標的はゲレラの兵士であり、非武装の民間人を殺すのは命令ではないと主張した。ES-01は非道徳的な命令に従うことを拒否し、他のトルーパーにも命令拒否を呼び掛けたが、クロスヘアーは命令に従うことが良い兵士の条件だとして、ES-01を撃ち殺した。そのため残りのエリート・スクワッド・トルーパー3名はやむを得ず命令に従い、無抵抗の民間人を皆殺しにした。[1]
クローンの未来[]
ターキンとランパートはカミーノに戻ってきたエリート分隊を出迎え、クロスヘアーからゲレラのキャンプを破壊したことを知らされた。ゲレラを仕留めるという目的こそ果たせなかったものの、以前クロスヘアーの元チームメイト(ハンター、レッカー、テク、エコー)たちは同じ任務で命令違反を犯していただけに、ターキンは今回のクローン・コマンダーの成果を高く評価した。またES-01の死についても、ランパートは“残念なことだが、任務にリスクはつきもの”だとして受け止めた。この任務により、ターキンとランパートは帝国がクローンを廃止して徴兵制に切り替えても、軍隊を維持していくことが可能であると判断した。しかしターキンはクロスヘアーの活躍を受け、クローンを完全に廃止するのではなく、しばらくはクローン・トルーパー・プログラムを継続していく方針に決めた。その後、ターキンはプロジェクトをランパートに一任し、カミーノを離れた。[1]
エリート分隊の兵士は新たなストームトルーパー・プログラムの到来を告げる存在となり、コストがかかる過去の遺物とみなされていたクローンの“古参兵”(Old guard)にとって脅威となった。[2] カミーノアンはこの状況を危惧し、ラマ・スー首相やドクター・ナラ・セはランパートの計画が自分たちの未来を脅かすことを恐れた。当時、クローンのオリジナルであるジャンゴ・フェットの遺伝子物質は劣化が進む一方だったため、新たなクローン・トルーパーの製造がおぼつかない状況だった。そこでカミーノアンは帝国における自分たちの未来を守るため、より優れたクローンの製造を目標に掲げた。[1]
訓練[]
- 「ウォー=マントル計画の進捗はどうなっている?」
「予定通りです。最も優秀な新兵たちはここで訓練を受けます。新たな司令官のもとで」 - ―ウィルハフ・ターキンとランパート[出典]
エリート・スクワッド・トルーパーは高度な訓練を積んだ志願兵によって構成された。[2] 彼らはクローン兵士でなくとも充分に役割を果たせることを証明するため、銀河系の反帝国分子を排除する任務を任された。[6]
ランパート中将は最初のエリート・スクワッド・トルーパー4名を、銀河系で最も優秀な兵士としてターキン提督に紹介した。ランパートは充分な時間と資源さえあれば、このトルーパーたちが史上最も優れた軍事力になれる可能性を秘めていると信じていた。また中将は、エリート・スクワッド・トルーパーの教官や指揮官の役割を、CT-9904のようなベテランのクローン・トルーパーに任せることを提案した。カミーノアンのラマ・スー首相は、徴募された兵士たちでは生まれた時から訓練を積んでいるクローン・トルーパーのスキルに達することができないと主張したが、ランパートは志願兵でもクローンのスキルを身に着けることは可能だと考えていた。[1]
装備[]
初代エリート分隊のトルーパーたちは改造型のクローン・トルーパー・アーマーを身に着けた。遺伝子的に同一なクローン・トルーパーのために造られたオリジナル版と異なり、彼らの装甲服は非クローンの徴募兵の身体に合わせて特別に設計されていた。[7] 彼らの装甲服はフェーズIIクローン・トルーパー・アーマーに似ており、黒いボディ・グローブの上に装甲板を着用する点も同じだが[1][8]、装甲版の色は黒で、ヘルメットのレンズは緑色だった。[7] エリート分隊のトルーパーは標準的なクローン・トルーパーと同じDC-15Aブラスター・カービンやDC-15Aブラスター・ライフルといった兵器を使用した。またES-04はクロスヘアーの部下として活動した際に火炎放射器を使用した。[1]
クロスヘアーが身に着けたアーマーも、エリート分隊の部下たちと同じく黒い塗装で、レンズが緑色だった。しかし彼が共和国時代に身に着けていたアーマーと違い、バッド・バッチのカラーパターンは取り除かれ、より標準化されたアーマー・プレートを用いた帝国式の意匠になっていた。[7] 全体的なデザインはカターン級コマンドー・アーマーに似ており、ヘルメットの側部にアンテナが付属していた。[1] またクロスヘアーはバッド・バッチのスナイパーだった時代から引き続き[4]、773ファイアパンチャー・ライフルやDC-17ハンド・ブラスターといった武器を使用した。[1]
制作の舞台裏[]
エリート・スクワッド・トルーパーは2021年5月14日に動画ストリーミング・サービス Disney+ で配信された『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン1第3話『エリート分隊』で初登場を果たした。[1] メディアデビューは2020年12月10日に公開された予告編であり[9]、Elite Squad Trooper という呼称は2021年1月29日に StarWars.com に掲載された関連商品紹介記事で初めて使用された。[10]
登場作品[]
- バッド・バッチ – エリート分隊 (初登場)
- バッド・バッチ – 再会
- バッド・バッチ – 失われた賞金
- バッド・バッチ – 悪魔の契約
- バッド・バッチ – ライロスからのSOS
- バッド・バッチ – ウォー・マントル
- バッド・バッチ – カミーノへの帰還
参考資料[]
- "Replacements" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- "Reunion" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- Rescue on Ryloth Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- War-Mantle Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- "Return to Kamino" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- Elite Squad - 公式データバンク
脚注[]
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 バッド・バッチ – エリート分隊
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 Elite Squad - 公式データバンク
- ↑ Stormtroopers - 公式データバンク
- ↑ 4.0 4.1 4.2 バッド・バッチ – 余波
- ↑ スター・ウォーズ プロパガンダ:銀河系における扇動絵画の歴史
- ↑ Star Wars: The Black Series (Elite Squad Trooper)
- ↑ 7.0 7.1 7.2 "Replacements" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ Clone Trooper Armor - 公式データバンク
- ↑ Sizzle | The Bad Batch | Disney+ スター・ウォーズ公式YouTube チャンネル
- ↑ Hasbro Pulse Reveals Lucasfilm 50th Anniversary Products and More - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)