キャシアン・ジェロン・アンドー(Cassian Jeron Andor)は惑星ケナーリ出身の人間の男性で、反乱同盟情報部に所属した兵士である。情報将校として多くの潜入任務や戦闘を経験し、銀河帝国を倒すという大義のもと、汚れ仕事も躊躇せず引き受けた。1 BBY、彼は“ローグ・ワン”分隊の中心メンバーとしてスカリフの戦いに参加し、超兵器デス・スターの設計図奪取に貢献する。
キャシアンはもともとキャサ(Kassa)という名で、幼少期は故郷ケナーリで暮らしていた。銀河共和国時代末期、ケナーリに外界の宇宙船が墜落した際、キャサは残骸漁りに現れたクレムとマーヴァ・アンドー夫妻に拾われ、彼らの養子となった。キャサはキャシアン・アンドーと名を改め、マーヴァの指示でケナーリ生まれであることを隠し、フェスト出身を自称した。帝国時代、キャシアンはマーヴァやドロイドB2EMOと一緒にモーラーナ宙域の惑星フェリックスで暮らしていたが、実妹の行方を追った際にモーラーナ1でプリオックス=モーラーナの職員を殺めたため指名手配犯となり、結果的にルーセン・レイエルの導きでフェリックスを去ることになった。やがて同盟軍情報部の優秀な工作員となったキャシアンは、ウィリックス(Willix)、アーク(Aach)、ジョレス・スワード(Joreth Sward)、そしてフルクラムといった偽名を使い分け、冷静な判断と最小限の戦力で任務をやり遂げる姿勢から、仲間たちの尊敬を集めるようになった。また、キャシアンは帝国軍のセキュリティ・ドロイドだったK-2SOを再プログラムし、忠実な相棒として生まれ変わらせた。
1 BBY、カフリーンの環の交易地に潜入したキャシアンは、過激反乱分子ソウ・ゲレラの連絡員を務めるティヴィックと接触し、超兵器開発者ゲイレン・アーソのメッセージを携えた帝国のパイロットがソウに拘束されていることを知った。キャシアンはゲイレンの娘であるジンを伴い、ソウの本拠地がある衛星ジェダを訪れたが、彼自身はメッセージの中身を見ることができないまま、超兵器“デス・スター”の攻撃を免れるため星から逃げ出すことになった。イードゥーの秘密研究所でゲイレンの最期に立ち会った後、キャシアンたちはヤヴィン4のベース・ワンに帰還し、任務の顛末を報告した。同盟政府は帝国の新兵器に立ち向かうのは不可能だと判断したが、父親の遺した情報を信じていたジンは、最後まで希望を捨ててはならないと主張した。キャシアンをはじめ、反乱軍のために汚れ仕事をこなしてきた兵士たち、そしてジェダで旅の道連れとなったボーディー・ルック、チアルート・イムウェ、ベイズ・マルバスはジンの作戦に志願し、少数精鋭部隊“ローグ・ワン”を結成してヤヴィン4を後にする。帝国安全管理施設のある惑星スカリフで戦闘が始まると、キャシアンはジンと共にデス・スター設計図が保管されてるシタデル・タワーに潜入し、設計図を同盟宇宙軍に送信した。その直後、彼らはデス・スターの攻撃で命を落としたが、後にに反乱軍は奪取された設計図を分析し、ヤヴィンの戦いで超兵器の脅威に終止符を打つ。
経歴
生い立ち
キャシアン・ジェロン・アンドー[5] はもともとキャサという名で[1]、銀河共和国時代の末期、クローン戦争勃発以前に[9] 惑星ケナーリで暮らしていた。キャサと妹のケリが属す[1] 小さな部族は孤児で構成されており、略奪者たちによって破壊されたケナーリの自然環境を自力で生き抜いていた。[10] 彼らは大規模な鉱業活動がもたらした深い傷跡が残るケナーリの原野を渡り歩き、惑星の残骸を探索した。[11]
キャサが9歳の時[4]、銀河共和国の輸送船が部族の集落付近に落下した。キャサは落下した宇宙船を調査しに向かうチームに自ら志願した。部族員のなかにはキャサをのけ者にしようとする者もいたが、彼はリーダーの許しを得て、調査に同行した。吹き矢を兼ねたスタッフを装備したケナーリの子どもたちは、ジャングルや鉱山の跡地を抜けて墜落現場にたどり着いた。船の残骸とその付近には船員たちが倒れていたが、まだ息のあった1人が立ち上がり、部族のリーダーをブラスター・ピストルで撃った。その様子と近くで見守っていた子供たちは吹き矢で船員を倒し、倒れたリーダーを抱えて戻った。しかしキャサはひとりで現場に留まり、宇宙船のハッチへよじ登った。[12]
墜落船に乗り込んだキャサは、船内にも乗組員の死体が転がっているのを見つけた。[6] 彼らの制服には、のちの分離主義同盟と密接に関連するシンボルマークが入っていた。やがて船の司令センターにたどり着いたキャサは、怒りに任せてそこにあった制御装置を破壊した。[9] するとそこへ、マーヴァとクレム・アンドー夫妻、そしてB2グラウンドメク・ドロイドのB2EMOが現れた。彼らの目的は残骸漁りであり、共和国のフリゲートが到着する前に現場から立ち去ろうとしていた。[6]
ケナーリ語を使うキャサにはアンドー夫妻の標準語が通じなかったが、マーヴァは少年をこのまま船内に置いていけば、彼が船員を殺した犯人として共和国から報復を受ける羽目になるだろうと危惧した。そこでマーヴァはクレムの反対を押し切り、キャサを一緒に連れて行くことに決めた。キャサはマーヴァによって眠り薬を注射され、彼らの船に運び込まれた。キャサが再び目を覚ました時、船はすでにケナーリのジャングルから離陸し、はるか上空へと飛行していた。[6] その後、キャサはアンドー家の養子となり、キャシアン・アンドーという新しい名前を与えられた。マーヴァはキャシアンがケナーリ生まれであることを隠し、当局に提出する書類にはすべてフェスト出身と記し、本人にも本当の出自は隠すよう言いつけた。[12]
青年期
- 「ある日突然反乱軍と出会い、そこで生きる者がいる。私がこの戦いに加わったのは6歳のときだ」
- ―キャシアン・アンドー[出典]
9歳の時点ではケナーリに住んでいたキャシアンであるが[4]、のちに本人が語ったところによると、彼は6歳の時から反乱に加わって戦っていたという。[3] キャシアンの本当の父親は、クローン戦争中に共和国の軍国主義拡大に対する抗議運動に参加し、カリダ・アカデミーで命を落とした。キャシアンも激動のクローン戦争で共和国と戦ったという情報がある。キャシアンが参加していた抵抗分子は公式な分離主義勢力ではないが独立星系連合の後押しを受けており、アウター・リム・テリトリーで活動した。当時キャシアンも共和国のウォーカーやクローン兵士に石や瓶を投げつけるなどの運動を行ったという。[5]
実際のところ、キャシアンはクレムとマーヴァ・アンドーの養子として惑星フェリックスで生活した。[13] 18 BBY頃[14]、フェリックスが銀河帝国の支配下に入った際、リックス通りで帝国軍に対する抗議が行われた。クレムは争いに加わらないようキャシアンに命じると、通りの真ん中で過激な抗議を行っていた住民たちを止めようとした。しかしその時、帝国軍将校がクローン・トルーパーに武器を構えるよう命じ、クレムは暴徒もろとも標的となってしまった。その後、クレムの死体はリックス通りに吊るされた。[13] キャシアンはその後もフェリックスで暮らしたが、反乱行為や帝国の所有物の破壊、帝国軍兵士への暴行といった数々の犯罪行為を犯した。[12] 帝国設立後、ケナーリは帝国の鉱山事故に見舞われ、記録によると住民はみな命を落とした。[12] しかしキャシアンは妹が生きていると信じ、彼女を探すことに執着した。[1][13]
キャシアンはフェリックスに知り合いが多く、また彼らに助けられることも多かった。[1][12] ブラッソはアンドー家の親友であり、キャシアンが不在の間にしばしばマーヴァの世話をした。[15] “ゾービーのウエスタン・シップロット”で働くペグラは、キャシアンが敷地に忍び込むのを許し[16]、船を拝借していくのを大目に見てくれていた。[1] キャシアンはマーヴァの言いつけを破り、ビックス・カリーンを始めとするごく親しい友人にはケナーリ生まれであることを明かしていた。[12] キャシアンはビックスと付き合っていたことがあり[13]、他にもフェミやカーラ、ソンドリーンと付き合いがあった。[12] またキャシアンはザンワンやナーチ、ブラッソ、ディーマといった数多くの知り合いに借金をしていた。[13]
本人の言によれば、キャシアンは13歳の時から3年間、シポの少年院に入っていた。[17] そして16歳の時、刑務所から出てすぐに惑星ミンバンの戦場へ赴いた。本人曰く、彼は2年間ミンバンで戦い、わずか50人の生存者のひとりとなったが、気づいたら味方同士で戦っていたという。しかし本当にミンバンにいた期間は6か月であり、コックとして働いていた。[7] 5 BBY以前、キャシアンはスティアガードにある帝国宇宙軍基地に忍び込み、貴重なインペリアルN-S9スターパス・ユニットを盗み出すことに成功した。[6]
転機
モーラーナ1の事件
- 「じゃあ一体だれがケナーリのことをプリ=モーに喋ったの!?」
「俺かもしれない」 - ―マーヴァとキャシアン・アンドー[出典]
5 BBY、キャシアンはケナーリ生まれの女性が惑星モーラーナ1の売春宿で働いている情報を知り、妹がいるかもしれないと考えて調査に出向いた。彼はペグラに頼んで借りたブレオン・デイヴァンでモーラーナ1へ旅し、レジャー・ゾーンにある売春宿を訪ねた。しかしケナーリの女は何か月も前に店を辞めており、売春宿のホステスは代わりにタヒーナ生まれの娘を紹介しようとした。キャシアンは妹を探していることを明かし、辞めた娘の名前を問いただしたが、本名で働く者などいないと撥ねつけられた。[1]
売春宿を出て船に戻ろうとした際、キャシアンはモーラーニ星系を統治する企業当局プリオックス=モーラーナ(プリ=モー)の職員、クラヴァス・ドレザー衛兵伍長とヴァーロ・スキッフに呼び止められた。2人は売春宿で遭遇した時からキャシアンの態度が気に食わず、後をつけてきたのである。彼らはキャシアンにブラスターを突き付け、プリ=モーの権威を振りかざしてクレジットを巻き上げようとした。しかしキャシアンは不意打ちでスキッフを倒すと、ドレザーのブラスターを奪って立場を逆転させた。スキッフは倒れたはずみで死んでしまい、キャシアンは命乞いをするドレザーもその場で撃ち殺した。[1] 翌日[18]、フェリックスに戻ったキャシアンはB2EMOやブラッソに先日の自分の行動についてアリバイの口裏合わせを頼んだ。[1]
キャシアンはフェリックスから逃げる金を確保するため、ビックスの働くカリーン・サルヤードを訪れた。彼は帝国のスターパス・ユニットを高値で買ってくれるバイヤーに話をつけてほしいとビックスに頼み込んだ。ビックスはスターパスのことを自分に黙っていたキャシアンに激怒したが、最終的には友人の頼みを引き受けた。[1] のちに彼女はリパーク・サルヤードへ行き、サルマン・パークの通信機を使って謎多きバイヤーに連絡を取った。[18] 一方、キャシアンは街中でナーチに引き留められ、借金返済を求められた。ナーチは借金を取り立てるためユロデルのヴェッチまで呼び出していたが、キャシアンは何とかその場を切り抜けて立ち去った。彼は船置き場へ戻ると、昨日の行動の証拠を隠滅するためデイヴァンのIDチップ・ログを交換したが、その行為をペグラに怪しまれ、もう二度と船を貸さないと宣言されてしまった。[1]
一方、モーラーナ1ではプリ=モー保安監査チームが職員2名の殺人事件を調査し、売春宿でケナーリの女を探していた男が容疑者として浮上した。ハイン主任捜査官は犯罪率を低く抑えるため本件を事故として処理しようとしたが、シリル・カーン副捜査官は捜査を続行し、キャシアンが使ったデイヴァンの航跡を発見した。カーンは船の出どころがフェリックスであることを突き止めると、プリ=モーがケナーリ出身の人間男性を探しているという告示を出した。[1]
フェリックスからの脱出
その日の夜、自宅に帰ったキャシアンは、プリ=モーがケナーリ生まれの男について情報提供を呼びかけていることをマーヴァから知らされた。マーヴァはキャシアンが本当の出身地を他人に喋っていたことに怒り、いったい誰がプリ=モーに漏らしたのかと問い詰めたが、キャシアンは売春宿での自分の行動が原因かもしれないと思い至った。その後キャシアンは酒場でビックスと会い、バイヤーの件について話した。しかしその様子を離れた場所から見ていたビックスのボーイフレンド、ティム・カルロは、酒を煽りながら帰る途中で通信施設に立ち寄り、キャシアンの名をプリ=モーに通報してしまった。[12]
翌日、キャシアンはフェリックスから逃げるつもりであることをB2EMOに明かし、出発の準備を進めた。彼は別れを惜しむB2EMOに、マーヴァに連絡を取るための通信装置を預けた。B2EMOを家に帰らせた後、キャシアンは惑星から出る手段を確保するためザンワンが経営する貨物キオスクを訪ねた。ザンワンと従業員のグラニックはちょうどプリ=モーの告示を見て、ケナーリについて調べ物をしているところだった。キャシアンはタサーまでの輸送を頼んだが、今日中の発送かつ積み荷の内容は秘密という条件をつけたため、ザンワンは700クレジットを要求した。一方、シリル・カーンは売春宿にいた容疑者がキャシアンであることを特定し、ライナス・モスク巡査部長とともにチームを率いてフェリックスへ向かっていた。[12]
船の解体現場でブラッソに別れを告げた後、キャシアンはバイヤーとの待ち合わせ場所である第9ビルへ向かい[6]、放棄された倉庫施設で[11] 相手が来るのを待った。その間、キャシアンはマーヴァに伝言を頼むためB2EMOに連絡を取ったが、このときカーン率いるプリ=モーのチームが家に押し掛けており、通信内容を聞かれたうえ逆探知された。その直後、ルーセン・レイエルが倉庫に現れた。キャシアンはスターパス・ユニットを4万で売ると主張したが、レイエルはキャシアンが装置を手に入れた経緯に興味を持ち、話を聞くためだけに1,000クレジット上乗せした。話を聞き終えたレイエルは、装置よりも大事なものが見つかったと告げ、自分と一緒に来てほしいとキャシアンに頼んだ。[6]
キャシアンは自分の過去をよく知るレイエルに不信感を抱いたが、間もなくプリ=モーの東チームが倉庫に現れ、やむを得ず彼と一緒に戦うことになった。短い銃撃戦の後、キャシアンは泣く泣くスターパスの回収を諦め、倉庫から脱出して街へ逃げ込んだ。街では住民たちが警戒のためにパイプを叩いて金属音を鳴り響かせており、プリ=モーがリックス通りでキャシアンを待ち伏せしていた。金属音が止んだ後、キャシアンは住居に潜んでいたカーンの背後に回ってブラスターを突き付け、敵の情報を聞き出したあと拘束した。爆弾を仕掛けた無人のエアスピーダーを発車させて敵の注意を引いた後、キャシアンとルーセンはスピーダー・バイクにまたがって荒野へ向かい、混乱状態に陥った街を後にした。その後、キャシアンはルーセンのフォンドア・ホールクラフトに乗り込み、フェリックスから旅立った。[6]
アルダーニの任務
- 「奴らに屈服し、与えられたものを受け入れ、感謝するのか?」
「俺が感謝しているように見えるか?」 - ―カリス・ネミックとキャシアン・アンドー[出典]
レイエルに説得され、キャシアンは彼の言う大義のための任務に参加することになった。任務の目的は帝国軍の駐屯基地から一宙域の四半期分に相当する給料を盗み出すことであり、レイエルは報酬として20万クレジットを提示した。レイエルはホールクラフトを惑星アルダーニに着陸させると、仕事の頭金として、キャシアンにブルー・カイバーでできたクワッティ・シグネットを預けた。その後、レイエルはキャシアンを(“クレム”という偽名で)反乱者のチームのリーダーであるヴェル・サルサに紹介した。ヴェルは突然の新入り加入に戸惑い、難色を示したが、仕方なくクレムをチームの仲間に加えることにした。[7]
反乱者の野営地へ向かう途中、ヴェルはキャシアンに帝国がアルダーニやその先住民ダーニに対して行った仕打ちを説明した。野営地に到着すると、キャシアンはチームのメンバーであるアーヴェル・スキーン、カリス・ネミック、シンタ・カース、タラミン・バルコナたちを紹介された。またしばらくすると、アルダーニ駐屯部隊の一員にして反乱者のスパイであるゴーン中尉も野営地に現れた。ネミックを除き、反乱者たちは一様に新入りへの不信感をあらわにしたが、ヴェルが何とか彼らを説得した。彼らは新入りであるクレムに、3日後に発生する天文現象“アルダーニの目”に乗じて帝国軍基地からクレジットを強奪する計画を説明し、ダーニの言語や必要な情報を覚えるよう命じた。[7]
翌日より、キャシアンはチームの仲間とともに作戦の準備やリハーサルに参加した。またこの間、キャシアンはスキーンが自分と同じで帝国の元囚人であること、ネミックが反乱運動にまつわる宣言書をしたためていること、ゴーン中尉が帝国を裏切った経緯などを知った。翌朝、一行は作戦検討用の模型を焼き払い、野営地から出発した。道中、スキーンはキャシアンが高価なカイバーのネックレスを身に着けていることを暴き、彼の正体を追求した。キャシアンは自分の目的が大義ではなく報酬であることを認めたが、命がけの任務に怖気づきはしないと宣言した。その夜、駐屯基地付近の野営地に到着した後、スキーンはキャシアンと和解した。[17]
作戦当日、キャシアンとスキーン、ネミック、タラミンは帝国地上軍トルーパーに変装し、駐屯基地の近くにある聖地ナスマ・ブラーニへ向かう先住民の誘導チームに紛れ込んだ。天文現象がゆっくり始まりつつあった夕暮れ時、キャシアンたち“第3分隊”は別行動中のヴェルから準備完了の連絡を受けた。ゴーン中尉の手引きにより、彼らは駐屯部隊司令官であるジェイホルド・ビーハズの護衛として施設に侵入した。彼らは抵抗を試みたソーデン・ペティガー大佐を殺すと、ビーハズの妻と息子を人質にとり、基地の司令室を制圧した。チームは人質の見張りとしてシンタを司令室に残し、ビーハズを連れて基地の保管庫へ向かった。[19]
キャシアンたちは保管庫を制圧して金庫のロックを解除すると、ビーハズやスタッフを脅してクレジット・チューブをマックス7ロノ箱型貨物船に積み込ませた。しかし侵入者に気づいたキムジ伍長と兵士たちが保管室に現れたため銃撃戦が発生し、ゴーンとタラミンが戦死した。キャシアンは生き残ったメンバーを乗せた貨物船のエンジンを起動し、流星群に似た燃えさかるクリスタルの群れの中を飛行した。ネミックは貨物に挟まれて重傷を負ったが、辛うじてキャシアンに針路を案内した。ネミックのナビゲーションのもと、キャシアンはアルケンジ空軍基地から出撃した3機のTIEファイターによる追撃をしのぎ、船を安全圏へ離脱させた。[19]
その後、一行はフレズノへ旅し、ネミックをドクター・クワッドポーに診せた。[20] クワッドポーのテントの外で治療が終わるのを待つ間、スキーンはキャシアンに裏切りを持ちかけた。しかしキャシアンは、クレジットの山分けを提案したスキーンをその場で撃ち殺した。キャシアンがドクターのテントに戻ると、ネミックは治療の甲斐もなくすでにこと切れていた。当初ヴェルはスキーンが裏切ったという話を信じなかったが、キャシアンが事前に取り決めていた分の報酬だけ受け取って去るつもりであることを知ると、態度を和らげた。ヴェルはキャシアンからルーセンのカイバーを預かると、代わりにネミックの遺志に従って宣言書を彼に手渡した。[19]
別離と拘束
- 「お前にはお前の道がある、キャス。責めやしないよ」
- ―マーヴァ・アンドー[出典]
アルダーニの任務の3日後[21]、キャシアンはこっそりとフェリックスの自宅に帰った。キャシアンはマーヴァから、自分が起こした事件のせいでフェリックスが帝国の占領下に置かれたことや、プリ=モーに彼の情報を密告した犯人がティムだったことを知らされた。キャシアンは運よく金が手に入ったことを明かし、ここにいては危ないと語る義母に、どこか別の場所で新しい生活を始めようと持ちかけた。その後キャシアンはビックスに会いに行ったが、キャシアンのせいで散々な目に遭った彼女の態度は冷淡だった。キャシアンはルーセンについて詳しいことを聞き出そうとしたがビックスは何も知らず、友人たちに借りていた金を彼女に預けて別れを告げた。[13]
翌朝家に戻ったキャシアンは、マーヴァからフェリックスを離れるつもりはないと宣言された。皮肉にも、彼女はアルダーニで起きた事件のニュースを見て反乱に希望を見出し、フェリックスで戦い抜く決意を固めたのである。マーヴァは自分を置いて独りで行くようキャシアンに言い、妹を探すのはもうやめるよう助言した。キャシアンは再び戻ってくると告げ、自宅を後にした。実際、キャシアンがアルダーニで関与した事件の余波は大きく、帝国は報復措置として公序再判決指令(再判令)を発動した。[13] また帝国保安局のデドラ・ミーロISB監査官はスティアガードで盗まれたスターパス・ユニットや、ルーセン・レイエル(保安局は正体不明の彼に“アクシス”というコードネームをつけていた)に繋がる手掛かりとしてキャシアン・アンドーの捜索を始めた。さらにまた、フェリックスの事件がきっかけでプリ=モーの職を失ったシリル・カーンも、個人的にキャシアンの情報を探っていた。[8]
当のキャシアンは、“キーフ・ガーゴ”という偽名を名乗ってビーチの星ニアモスで新生活を開始していた。ある日、ウィンディという名の女性と一晩過ごした翌朝、キャシアンはアーキーの店でレヴノッグやピーゾを買ってきてほしいと頼まれた。しかし彼は店に向かう途中の浜辺で事件に出くわし、帝国のショアトルーパーに犯人グループの一味と誤解され、KXシリーズ・セキュリティ・ドロイドに逮捕されてしまった。再判令の影響はニアモス裁判所にも及んでおり、判事は従来であれば6か月のところ、6年の実刑判決を“キーフ・ガーゴ”に下した。キャシアンは抗議したが、文句は皇帝に言えと突っぱねられてしまった。[13]
ナーキーナ5
キャシアンは他数名の囚人とともに帝国輸送船に乗せられ、衛星ナーキーナ5の[8] 巨大な湖[22] に築かれた帝国刑務所施設へ運ばれた。輸送船から降りた囚人たちは、受け入れ担当の看守からこの刑務所兼工場施設について説明を受け、抵抗は無意味であることの実例として、タンクストイド鋼製の床を通して電撃を浴びせられた。その後、囚人服に着替えさせられたキャシアンは、刑務所施設の5階にある作業室のルーム2へ連れて行かれた。キャシアンは刑務所の規則通り両手を頭の後ろに置き、看守にザップ・ロッドで脅されながら、同じグループの受刑者たちが働く作業部屋へ降りる昇降機に乗った。[8]
看守は囚人の受け渡しが済むと去っていき、作業室は再び封鎖された。フロア・マネージャーを務める囚人キノ・ロイは、キャシアンがこれからユニット5-2-Dの一員として毎日12時間労働に従事すること、囚人は作業台ごとに7つの班に分かれて成績を競い合い、最下位の班は電気ショックの罰を受けることなどを説明した。キャシアンはジェンボックやターガ、ハム、ウラフ、ゾール、ルースコット・メルシらと同じテーブル5に割り当てられ[8]、帝国のための機械を作る組み立てラインの仕事[23] を覚えることになった。初日のシフトで2度も罰を経験した後、キャシアンは寝床へ案内された。彼はゾールから、寝床の通路は夜になると致死レベルの電気が流れることや、個室内に2人以上でいても電撃を食らうことを教わった。またキャシアンは(自分が原因を作った)帝国の再判令によって、最近この刑務所の囚人たちの刑期が不当に延長されたことを知った。[8]
30シフトが過ぎた頃[8]、キャシアンはすっかり刑務所での暮らしに慣れていた。[23] この頃、囚人のヴィーモスが自殺する事件も起きたが、5-2-Dはすぐいつもの日々に戻った。[8] しかしキャシアンはそんな過酷な環境のなかで脱獄に向けた準備と情報収集を欠かさなかった。彼はルーム2のリフレッシャーの配管に地道に傷をつけ続け、テーブル2のバーノックと協力して施設の特徴や看守の行動パターンを観察した。2階で異常事態が起きたという噂が流れた日、キャシアンはキノから看守の警備体制について情報を得ようとした。キャシアンは用心深いキノに、刑務所側が囚人の個人的な会話までわざわざ盗聴しているはずがないと訴えたが、答えを拒否された。後日、5-2-Dのメンバーは夜のシフトのマネージャー・ジンスカから、2階の囚人は皆殺しに遭ったという情報を得た。[21]
キャシアンの34回目のシフトの終わり際[24]、ここのところ調子が悪かったウラフが重度の脳卒中に見舞われた。キャシアンはメルシと一緒にウラフを運び出したが、この年老いた受刑者は通路に倒れこんでしまった。キノは他の囚人を部屋に戻らせ、キャシアンと2人でドクター・ラシヴの到着を待った。しかしラシヴは手遅れと判断し、ウラフに薬を投与して安楽死させた。その際、ラシヴは看守に聞かれないよう、2階で起きた事件の真相をキャシアンとキノにこっそり教えた。2階の囚人たちは、新入りの受刑者が4階から“釈放”された者であることを知ってしまい、口封じのため全員殺されたのである。キャシアンとキノは刑期を終えても別の施設に移されるだけであると知って衝撃を受けた。2人で部屋に戻る途中、キノはキャシアンに各階の警備員が12人程度もいないことを明かした。[21]
部屋に戻る途中、キャシアンは刑務所側と戦うことに迷いがあるキノを説得した。キャシアンは間もなく警備が増強されるはずだと語り、ウラフの代わりに新入りが入る明日しかチャンスは無いとキノに告げた。翌朝、キノは脱獄のために行動を起こすことをユニットの仲間に宣言し、キャシアンたちは覚悟を決めて仕事場へ向かった。他の囚人が普段通りを装う中、キャシアンはリフレッシャーへ向かい、ポンプを破壊して漏水させた。看守が新入りを入れるため昇降機を作動させた際、キャシアンと囚人たちは一斉に反乱を起こした。暴動に気づいた看守は床に電気を流したが、キャシアンの計画通り漏水によって周辺一帯の電気装置がショートした。[25]
キャシアンは昇降機を登って看守のDH-17ブラスター・ピストルを奪い、仲間たちの突破口を開いた。彼らは奪った武器で看守を殺し、他の作業室を解放して受刑者を解放していった。キャシアンとキノは最上層の8階へ向かい、司令センターを制圧した。スタッフを脅して施設の動力を停止させた後、キャシアンは放送設備を使って刑務所全体に脱獄を呼びかけるキノを勇気づけた。大規模な脱獄が始まり、キャシアンとキノも大勢の仲間と共にレベル8の発着用開口部へ向かった。囚人たちは次々と湖へ飛び込んだが、キノはキャシアンに泳げないことを打ち明けて立ちすくんだ。その直後、キャシアンは他の囚人に押され、キノを残して湖に落下した。最終的に、キャシアンはメルシと共にナーキーナ5の陸地にたどり着いた。[25]
反乱運動
反乱軍の情報士官
- 「反乱軍は希望の上に成り立つ」
- ―キャシアン・アンドー[出典]
帝国時代のある時、キャシアンは帝国の勅令に対して反抗を続ける無政府主義運動に巻き込まれ、やがてデイヴィッツ・ドレイヴン将軍の誘いを受けて発展途上の反乱軍(のちの共和国再建のための同盟)のメンバーとなった。キャシアンは反乱軍の諜報機関である同盟情報部に配属され、大尉の階級を与えられた。ドレイヴン将軍は反乱軍評議会で情報部の代表者を務めており[5]、しばしば上官としてキャシアンに命令を下した。[3] キャシアンは軍事情報機関のエージェントとしてしばしば前線に赴き、帝国との戦いに役立つ情報を収集した。[26]
キャシアンは帝国の機密活動に関する情報を手に入れるため、銀河系各地の情報提供者からなるネットワークを築き上げた。[27] キャシアンはいつの日か自分の行動が大きな結果につながることを期待し、反乱運動のためにできることならどんなに小さな仕事もこなした。[26] またキャシアンは大義のためと信じて汚れ仕事にも手を染めた。実際、彼はエイロロシエントやチェムヴァウで仲間を見捨てたこともあった。[28]
キャシアン・アンドーは衛星ヤヴィン4のグレート・テンプル(ベース・ワン)を拠点とするマサッシ・グループに所属した。彼は同盟情報部におけるキャリアの大半を作戦部門のために働いて過ごした。作戦部門は帝国と直接接触する任務にエージェントたちを送り出す危険な部署であり、1人のエージェントが20回の実地任務のあとに生きている確率は23パーセントとされていた。[5] また彼は任務のために群衆に溶け込み、多くの名前を使い分けた。[26] 例えば惑星オード・マンテルでは行政エージェントとして“ウィリックス”という偽名を使った。惑星ダークネルでは議会の連絡員“アーク”、また帝国のグレンドリーフ提督の補佐官として“ジョレス・スワード”を名乗ったこともあった。アルバリオ宙域で新兵勧誘エージェントを務めた際には“フルクラム”というコードネームも使用した。[5]
K-2SOとの出会い
- 「奇妙なことに、あなたを拘束するよう私を急きたてていた何かがなくなってしまった」
「それはありがたい。K2、感謝するよ」 - ―K-2SOとキャシアン・アンドー[出典]
1 BBY以前、キャシアンは退役したインペリアル級スター・デストロイヤーの心臓部が民間に売り払われたという情報を入手し、帝国のセキュリティ・プロトコル強奪を目的としたスパイ任務をドレイヴン将軍に提案した。ドレイヴンは任務を承認し、双子の姉妹カータスとリズモアをアシスタントとしてキャシアンに紹介した。3人は宇宙船でコロニーズの惑星ウィカクーへ旅し、スター・デストロイヤーが収容されている第47保管施設へ向かった。キャシアンの予想に反し、ウィカクー・シティには大勢のストームトルーパーやセキュリティ・ドロイドが配備されていた。しかしキャシアンは反乱軍司令部に報告すれば任務の中断を命じられるだけだと判断し、連絡はせずに任務を続行することに決めた。[29]
キャシアンとカータス、リズモアは帝国軍に見つからないよう下水路を通って保管施設に侵入した。双子がスター・デストロイヤーから機密情報の回収を行うあいだ、キャシアンは別の出口を確保するため物資搬入用のトンネルを探したが、その際に施設の警報装置を作動させてしまった。キャシアンは双子に作業を中断させ、倉庫に隠れて帝国軍の捜索をやり過ごそうとした。しかしキャシアンがうっかり物音を立てたため、KXシリーズ・セキュリティ・ドロイドのK-2SOが侵入者の存在に気づいた。K-2SOがスタンカフを持って近づいてきた際、キャシアンは素早く背後に回って首の後ろにあるはずの停止スイッチを探したが見つからず、地面に叩きつけられた。双子が正しいスイッチを押してくれたおかげでK-2SOは機能停止したが、この種のドロイドの記憶消去の方法についても、キャシアンの知識は時代遅れになっていた。再起動されたK-2SOはまだ記憶が3分の1ほどしか消えておらず、キャシアンの首を絞めようとした。[29]
ドロイドを再停止させ、十分な時間をおいて再起動をかけた後、キャシアンはK-2SOに宇宙船へ戻るまでの護衛を命じた。しかしK-2SOは反乱軍のスパイを護衛中であることをストームトルーパーに明かしてしまい、銃撃戦が発生した。何とか宇宙船の近くへたどり着いた際、カータスは目的の機密情報はすべてK-2SOの中にあると告げ、キャシアンが逃げ切るための囮役をリズモアと一緒に買って出た。敵の注意は双子に向けられたが、キャシアンたちが乗ってきた船は爆破されてしまった。キャシアンはまだ少し記憶が残っているK-2SOの扱いに手を焼いたが、帝国が施したプログラミングの基礎レイヤーから使用メモリーを遮断すれば言うことを聞くようになるのではと思いつき、賭けに出た。帝国の新たなストームトルーパー部隊が迫る中、K-2SOは最後の再起動を経てついに従順になった。[29]
キャシアンはドロイドに逃亡用の船の強奪と、ストームトルーパーの排除を命じた。K-2SOは逃亡に成功する確率は11.8パーセントしかないと計算したが、命令通り帝国軍と戦い、宇宙船のハッチを力ずくで破った。キャシアンは船を操縦してウィカクー・シティから飛び立つと、K-2SOが行った計算に従ってハイパースペース・ジャンプした。無事に逃げおおせた後、キャシアンはドロイドに自分の名前を名乗った。またキャシアンはK-2SOが度重なる再起動を経てもなおK-2SOのまま、すなわち帝国のプログラミングがしぶとく残っていることを確認し、カータスに言われた通りこのドロイドから帝国の新しいセキュリティ・プロトコルを回収すればよいと判断した。[29]
その後の任務
- 「あいつは回路に浮かんだことをそのまま口にする傾向がある。再プログラムの副作用だ」
- ―K-2SOについて、キャシアン・アンドー[出典]
キャシアンはK-2SOの個性を再フォーマットするという困難な仕事に取り組み、アラキッド・インダストリーズ社が施したプリセットの大半を除去した。結果、K-2SOは同盟軍に忠実なドロイドとなったが、その大きな副作用として、どんな状況でも厳密な評価値を指摘してしまう馬鹿正直な性格になってしまった。[5] 以降、キャシアンはK-2SOと常に行動を共にし、数多くの任務をともにこなした。[30] やがてK-2SOはキャシアンのことを誰よりもよく知る存在となり、ドレイヴン将軍ですら知らないようなキャシアンの行動も目撃した。例えばジェノポートにて、キャシアンはブラスターを見つめて涙を流す姿をK-2SOに見られてしまった。その際、K-2SOはキャシアンが今後も“威厳を保ち、必要な任務を継続できるように”と気を使い、自分の記憶消去を提案した。[28]
ある時、キャシアンとK-2SOは帝国の貨物船を襲撃して同盟地上軍が必要としている物資を強奪する任務を与えられた。2人はUウイング・スターファイターに乗り込んでフツナー星系に赴き、密輸業者の仕業に見せかけるため毒ガスを使って貨物船内のストームトルーパーを眠らせた。彼らは物資を手に入れて次の襲撃作戦のチームと合流する必要があり、回収作業を急いだ。しかしキャシアンは貨物室で眠っているウーキーの子どもたち(ドライラ、ドコータ、ワイハイアット)を発見した。帝国がウーキーの子どもを捕虜にしているのには何か理由があるはずだと考えたキャシアンは、K-2SOの反対を押し切り、物資と一緒に子どもたちも解放して連れて行くことに決めた。[31]
Uウイングに乗って貨物船から離脱したキャシアンは、一握りの密輸業者しかその存在を知らないバータン宙域の月チャリシアへ向かった。キャシアンは自分が次の襲撃作戦から戻るまでの間、この安全な場所でウーキーたちの子守りをしているようK-2SOに命じた。K-2SOは自分より“小さくて柔らかい”キャシアンの方が子守りに向いていると抗議したが、キャシアンは聞き入れなかった。その後、無事に襲撃作戦を終えたキャシアンは、反乱軍司令部に連絡を取ってウーキーたちの新しい住み家を手配し、反乱軍パイロットたちとともにチャリシアへ戻った。K-2SOもまた無事に仕事をやり遂げており、案外自分はウーキーの子守りという過酷な役目に向いていたと認めた。のちの時代、ワイルド・スペースの製図家であるエミル・グラフは、時には自分に向いていないと思える仕事もやってみることが大事だという一例として、チャリシアにおけるキャシアンとK-2SOの物語をCR-8Rに語って聞かせた。[31]
ローグ・ワン
カフリーンの環
1 BBY当時、キャシアン・アンドーは情報部のエイレン・クラッケン将軍の命令に従い、帝国がパトリームやホーラズといった辺境の星系にカイバー・クリスタルを運び込んでいるという噂を調査していた。[32] 彼は調査にかなりの時間と費用を費やしたが、すでに確認済みの事実しか手に入らなかった。[28] しかしコルラグを経てコルサントを訪れた際、彼は帝国がカイバー・クリスタルの積み荷を民間の輸送船団に紛れ込ませているという噂を耳にした。[32] またこの頃、反乱同盟は帝国が建造しているという“究極兵器”の噂について調査を進めており、少なくとも、ターキン・イニシアチヴが何らかの兵器を開発していることは事実だと判断した。[33] キャシアンもアダログやゼミアズ・デンで兵器の情報を入手したが、どれも空振りに終わった。[28]
そんな中、ボーディー・ルックという名の貨物パイロットが帝国から離反し、衛星ジェダにいるという情報が流れた。帝国の研究者ゲイレン・アーソによって送り出されたというこのパイロットは、“プラネット・キラー”に関する情報を持っているとされた。同盟軍情報部はゲイレンの素性を知るためヴァルプターにデータ強奪を仕掛け、ゲイレンが帝国の兵器研究者であることの確証を得た。情報部はジェダの状況を詳しく把握するため、キャシアンに調査を命じた。[33] やがてキャシアンは連絡員のひとりであるティヴィックからメッセージを受け取り、コルラグを抜け出してカフリーン小惑星帯へ急行した。ティヴィックはジェダで活動するソウ・ゲレラのパルチザンの一員であり、以前にもキャシアンに情報を提供したことがあった。[28]
並行して、キャシアンは帝国によるカイバー輸送についても引き続き調査を進め、未知領域の方角からやって来た貨物がカフリーンに到着したのち、謎の目的地へと運びだされている事実を突き止めた。[32] 貨物パイロットの離反の翌日、キャシアンはカフリーンの環のセクション9でティヴィックと落ち合い、帝国が新兵器のためにカイバーを集めていることや、その兵器が“プラネット・キラー”と呼ばれていること、貨物パイロットがゲイレンに頼まれてゲレラを探していることを聞き出した。その直後、彼らは2人のストームトルーパーに見つかり、スキャンドクを提示するよう命じられた。キャシアンは隠し持っていたブラスター・ピストルで2人を素早く撃ち殺し、腕を怪我していて足手まといになるティヴィックを口封じも兼ねて始末した。[3] キャシアンは路地裏の壁面を登って逃げ出し、1時間後にはカフリーンの環を出発するシャトルに乗り込んでいた。[28]
新たな任務
- 「ゲイレン・アーソは帝国の兵器プログラムにとって不可欠な重要人物だ。“救出”はない。見つけたら、その場で殺せ」
- ―キャシアン・アンドーに対し、デイヴィッツ・ドレイヴン将軍[出典]
キャシアンの調査により、帝国が兵器のためにカイバー・クリスタルを運んでおり、兵器の規模を隠すため積み荷の大半を民間の輸送船団に紛れ込ませていることが裏付けられた。[33] カフリーンにおける任務の顛末と調査結果はキャシアンからエイレン・クラッケン将軍へ伝えられ[32][33]、クラッケンからモン・モスマに報告された。また同時に、カフリーンがカイバーの輸送拠点のひとつであることも分かった。[33]
同盟情報部はゲイレン・アーソがボーディーを通してゲレラに伝えようとしている情報を確認する必要に迫られたが、当時反乱同盟はパルチザンと険悪な関係にあり、ゲレラが情報を共有してくれる保証がなかった。そこで彼らは、アーソの娘でゲレラの知り合いでもあるジン・アーソを探し出して味方につけ、交渉に利用することにした。[33] キャシアンもモスマやドレイヴン、ベイル・オーガナ議員らの依頼でジンの回収任務に参加することになった。[34] それに合わせ、キャシアンは長年在籍した情報部作戦部門から回収部門に異動となり、回収作戦の立案に携わった。[5]
当時ジンは“リアナ・ハリク”という偽名を名乗り、惑星ウォバニにある帝国収容施設に服役していた。[3] 任務に先立ち、キャシアンはリアナ・ハリク名義のジンの囚人票に目を通した。キャシアンはターゲットの特徴を確認すると同時に、彼女が名乗っている様々な偽名について情報を追加した。回収作戦は[33] キャシアンの友人である[35] パスファインダーズ隊員、ルースコット・メルシ軍曹によってまとめられた。メルシは同盟軍特殊部隊の精鋭たちを集めて救出チーム・ブラボーを編成したが、キャシアンはK-2SOも任務に同行させることをメルシに提案した。[33] 彼らは計画通りウォバニでジンを回収すると[3]、Uウイング<ブラボー・ワン>でウォバニ星系から脱出し[36]、ヤヴィン4のベース・ワンに帰還した。[3]
モン・モスマがベース・ワンの会議室で直々にジンと会話した際、キャシアンもドレイヴン将軍とともに同席し、彼女が突然ここへ連れて来られた理由を説明した。ドレイヴンがジンの本名を確認した後、キャシアンは彼女が最後に父親やソウ・ゲレラに会ったのはいつかと尋ねた。キャシアンたちは帝国の超兵器や、反乱同盟とゲレラの関係、そしてゲイレン・アーソが送り込んだ元帝国パイロットがゲレラのもとにいることを全て包み隠さず話し、ゲレラと接触する際の仲介役になってほしいと頼んだ。ドレイヴンは、キャシアンの任務は事実を確認して可能ならゲイレンを見つけることだと説明し、モスマはゲイレンを連れ出したら元老院の証言台に立たせたいと語った。ジンは任務が成功したら自由の身になるという条件で、やむを得ず反乱軍に協力することになった。[3]
キャシアンの新たな任務はフラクチャー作戦と名付けられた。その主目的はゲイレンを見つけ出して可能なら連れ帰ること、そして超兵器の研究内容を持ち帰ることであり、副目的としてジェダにおけるカイバー・クリスタルの輸送状況の観察および妨害、パルチザンや兵器実験に関する情報収集が挙げられた。[32] しかしドレイヴンはキャシアンを離着陸ベイで呼び止め、モスマの意思に反する裏の指令を与えた。将軍はゲイレンが帝国の兵器開発に欠かせない重要人物であることを理由に、見つけ次第“救出”でなく“抹殺”するようキャシアンに命じた。その後、キャシアンはUウイングLMTR-20に乗り込み、ジンにK-2SOを紹介した。キャシアンはジンがいつの間にか所持していたA-180ブラスターを取り上げようとしたが、紛争地帯であるジェダに行くのに丸腰を強要されたら信頼関係は成り立たないと反論され、やむを得ず彼女が武器を携帯するのを許した。[3]
ジェダの紛争
- 「牢と一口に言ってもいろいろだ、キャプテン。君の牢は己の心にある」
- ―キャシアン・アンドーに対し、チアルート・イムウェ[出典]
人物
概要
キャシアン・アンドーはケナーリ人の[12] 人間男性で、白い肌に黒い髪、茶色の目をしていた。[3] 身長は1.78メートル(5フィート10インチ)。[5] キャシアンは6歳の頃から暴力に巻き込まれ[26]、人生の大半を通して、銀河帝国が銀河系を荒らし尽くす様を目の当たりにしてきた。やがて彼は反乱同盟の熟練した情報士官となり、銃撃戦のなかでも冷静さを保てる才能で仲間たちから尊敬を集めた。[4]
青年期
反乱軍のエージェント
1 BBY当時、キャシアンは反乱軍の指導者であるモン・モスマを尊敬していたが、彼女のことを理想主義者とみなしていた。キャシアンは、ゲイレン・アーソを捕まえて元老院で証言させるというモスマのアイデアは明らかに不可能だと考えており、ゲイレンを見つけ次第殺せというドレイヴン将軍の命令の方が現実的だと判断した。そのためキャシアンはモスマとドレイヴンの相反する命令に心を悩ませることはなかった。またキャシアンは、モスマが元老院の聴聞会を望むのは、それが効力を持つと信じているからではなく、単にそうすべきだという義務感に駆られているだけではないかと考えていた。[28]
デス・スター設計図の送信に成功し、ジン・アーソと共に最期を迎えた時、キャシアンはもしかしたら仲間たちのもとに設計図が届いておらず、帝国が戦いに勝利したのかもしれないと疑問を抱いたが、もはやその答えが気にならなくなっていた。キャシアンは、戦いに勝ったにせよ負けたにせよ、自分が過去に手を染めてきた“汚い仕事”が帳消しになるわけではないと考え、少なくとも今回の任務を正しくこなすことができただけで十分だと判断した。キャシアンはこうした感情を口には出さず、ジンともたれ合って体を休め、痛みを感じながらも心を和ませた。最後の瞬間、彼は過去の任務についても未来についても考えるのをやめ、目と耳と鼻で感じるものに集中して過ごすことに決めた。[28]
制作の舞台裏
ディエゴ・ルナがスター・ウォーズ アンソロジー・シリーズの映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でキャシアン・アンドーを演じた。ルナのキャスティングは2015年8月15日に発表された。