キャスティロン(Castilon)は銀河系のワイルド・スペース付近に位置する、ミッド・リムおよびウエスタン・リーチの海洋惑星。両生類の知覚種族チェリダイの母星で、小規模な居住プラットフォームや浮遊施設が点在した。そのひとつであるトランター級スーパータンカー燃料基地<コロッサス>は、新共和国時代にキャスティロンの海上都市として機能し、さまざまな種族の住民が暮らした。<コロッサス>は飛行可能な宇宙ステーションだったが、長年にわたってキャスティロンの海上に留まり、スカイ・レースの開催地として繁栄した。またキャスティロンにはシャーヴォ・フィッシュやスナールフィッシュといった魚類や、両生類のキャスティロン・ゴーグ、巨大な触手クリーチャーのロクナ、水鳥のスピーガルといった様々な水生クリーチャーが生息していた。
キャスティロンは辺境の惑星だったが、クローン戦争や銀河内戦で戦場になり、海の底には宇宙船の残骸が沈んでいた。やがてキャスティロンには金儲けを企む人々が集まり、廃品回収事業が行われるようになった。キャプテン・イマニュエル・ドーザが運営する<コロッサス>プラットフォームは少なくとも20年はキャスティロンに留まり、燃料や仲間を求める人々や、レーサー志望者、スピード狂たちの目的地として栄えた。冷戦の時代、<コロッサス>はファースト・オーダーに目を付けられ、たびたび海賊団ウォーバード・ギャングによる襲撃にさらされた。34 ABY、レジスタンスはファースト・オーダーの協力者の存在を探るため、パイロットのカズーダ・ジオノをスパイとして<コロッサス>に送り込んだ。
ジオノの派遣からしばらくして、ファースト・オーダーは<コロッサス>を事実上の占領下に置いた。プラットフォームにはストームトルーパーの駐屯部隊が配備され、<コロッサス>の住民は厳しい規制と行動制限を課せられた。その結果、ファースト・オーダー=レジスタンス戦争の勃発と前後して、ジオノを中心とするチーム・コロッサスが占領軍に対して反旗を翻し、キャスティロンの戦いが発生した。プラットフォームからトルーパーを追い出した後、<コロッサス>は約20年ぶりにエンジンを起動して飛翔し、ファースト・オーダーに裏切られたウォーバード・ギャングと一緒にキャスティロンから脱出してハイパースペースにジャンプした。のちにジオノとジャレク・イェーガーはファースト・オーダーに転向した友人タム・リヴォーラを救出するため、久しぶりにキャスティロンに帰還した。
特徴[]
キャスティロンの海とふたつの月
惑星キャスティロンは銀河系のミッド・リムおよび[1] ウエスタン・リーチに位置し[2]、タシュター宙域の[3] キャスティロン星系に属した。[4] 標準銀河グリッド座標ではI-16に属し[7]、惑星タコダナや[2] ワイルド・スペースとの境界線の付近に位置していた。[4] この惑星は単一の太陽の軌道を周回し[5]、ふたつの衛星を有した。[6] キャスティロンは人間をはじめとする様々な知覚種族が呼吸可能な大気を有しており、表面は広大な海に覆われ[5]、島が点在していた。[4] キャスティロンではしばしば嵐が発生したが、その中でも前が見えないほど激しい嵐は住民たちのあいだで“トリプル・ダーク”と呼ばれていた。[14]
キャスティロンにはチェリダイと呼ばれる固有の知覚生物が住んでいた。チェリダイは両生類だが、水の上で生活することを好んだ。[12] またキャスティロンには鳥類のスピーガル[10]、両生類のキャスティロン・ゴーグ[8]、魚類のシャーヴォ・フィッシュや[5] スナールフィッシュ[9]、そして極めて巨大な触手クリーチャーのロクナなど、さまざまな非知覚動物が生息していた。[11] 水鳥のスピーガルは泳ぎが上手で、魚類や甲殻類といった自分たちより小型のクリーチャーを捕食した。彼らは4つの目を備え、獲物を追うと同時に天敵を警戒することができた。ロクナは知覚種族の居住区画を脅かすほどの存在だったが、ふだんは非暴力的で、深海から姿を現すこと自体が稀だった。[4]
キャスティロンの表面には小規模な居住プラットフォームや浮遊施設が点在しており、その中で最も有名な旅の目的地が燃料補給ステーションにして交易所の<コロッサス>だった。[4] 漁師たちはしばしばシャーヴォ・フィッシュやスナールフィッシュなどの小さい海の幸を食料として釣り上げた。[4][9] スピーガルは常に漁師の傍らに居座り、漁師に食べ物をねだるか、さもなくば網から魚を奪っていった。[4]
歴史[]
過去の戦い[]
- 「このステーションはもう20年も動いていないんだぞ」
- ―<コロッサス>について、イマニュエル・ドーザ[出典]
キャスティロンで戦うリーパー中隊
何千年という歴史の中で、数々の戦闘がキャスティロンの上空で繰り広げられ、多数の宇宙船の残骸が海の底へと落下した。[4] クローン戦争ではクローンZ-95ヘッドハンターによって構成される銀河共和国のリーパー中隊がキャスティロンへ派遣され、海の上でスターファイター戦を繰り広げた。[15] 銀河内戦中、エンドアの戦いより後、キャスティロンで銀河帝国と新共和国の戦いが発生したこともあった。[16] やがてキャスティロンには金もうけを企む人々が集まるようになり[4]、海の底に沈んだ船の残骸の廃品回収事業も行われるようになった。[11]
トランター級スーパータンカー燃料基地<コロッサス>は遅くとも14 ABY頃から、キャスティロンの海を拠点にし始めた。<コロッサス>はブースターやハイパードライブを搭載した宇宙ステーションでありながらおよそ20年にわたってキャスティロンに留まり続けたため、住民の中にすら<コロッサス>に飛行能力があることを知らない者もいた。[17] キャプテン・イマニュエル・ドーザの指揮のもと、<コロッサス>はスカイ・レースの開催地として栄え、銀河系にその名を知られるようになった。[18] キャプテン・ドーザは娘のトーラとともに<コロッサス>のドーザ・タワーで暮らした。またドーザ・タワーはトーラも所属するエース中隊の拠点でもあった。エース中隊はエリート・レーサーたちによって構成され、<コロッサス>のレースの花形であると同時に、このプラットフォームの防衛部隊でもあった。[10]
ファースト・オーダーの脅威[]
<コロッサス>のスカイ・レース
冷戦の時代、ファースト・オーダーは<コロッサス>に中継拠点としての利用価値があると考え、この補給ステーションを支配下に置こうと企んだ。[14] キャプテン・ドーザはファースト・オーダーの管理下に入ることを拒否しつつ[10]、当初はなんとか彼らと友好的な関係を保とうとした。[13] そんな中、レジスタンスは<コロッサス>にいる誰かがファースト・オーダー軍の形成に力を貸しているという情報を掴んだ。[5] 34 ABY[19]、レジスタンス・パイロットのポー・ダメロン中佐は、新共和国から転向してきたばかりのカズーダ・ジオノとアストロメク・ドロイドBB-8にキャスティロンでのスパイ任務を託した。[5]
ファースト・オーダーは密かに海賊クレイガン・ゴール率いるウォーバード・ギャングを雇って<コロッサス>を何度も襲撃させ、キャプテン・ドーザに海賊から身を守るためにはファースト・オーダーの力が必要だと圧力をかけた。[14][20] そんな中、ジオノはチーム・ファイアボールの一員としてジャレク・イェーガーの整備工場で働きつつ、ドーザやファースト・オーダーの動向に探りを入れた。[5] この間も、<コロッサス>ではイェーガーの弟である著名なレーサー、マーカス・スピードスターを招いたプラットフォーム・クラシックや[18]、アウター・リム最大のレースとの呼び声も高いオール・エース・バトル・ロイヤルといった一大レース大会が開催された。[21] また廃品回収に紛れて<コロッサス>にやって来たビボという名の赤ん坊のロクナを取り戻すため、巨大な母ロクナがプラットフォームを襲撃する事件も起きたが、ニーク・ヴォゾがビボを母親に返したことで事なきを得た。[11]
ファースト・オーダーに抗議する<コロッサス>の住民
<コロッサス>滞在中、ジオノは人知れず海賊撃退に一役買い[14]、惑星テハールにおける虐殺を生き延びてプラットフォームに逃げてきたケルとエイラ兄妹をファースト・オーダーから匿ったこともあった。[13] また彼はファースト・オーダーの手先である自称マイニング・ギルドのテロジ・キーが貴重な鉱業器具であるフェーズ・コネクターをキャスティロンから持ち出すのを阻止した。[22] 一方、ウォーバード・ギャングは<コロッサス>に潜入させた内通者シナーラ・サンからの情報をもとに、ファースト・オーダーのためにトーラ・ドーザを誘拐した。ファースト・オーダーはすぐにウォーバード・ギャングを裏切り、海賊から“救出”したトーラをキャプテン・ドーザのもとへ無事に返し、これ以上ない説得材料を作った。[23]
結局、<コロッサス>はトーラ誘拐事件を機にファースト・オーダーの事実上の占領下に入ることになった。[24] 住民のあいだでもその賛否については意見が分かれ、ファースト・オーダーの武力を伴う実効支配を快く思わない者もいれば、海賊の脅威がなくなったことで以前よりも安全になったと考える者もいた。しかしファースト・オーダーによる規制は瞬く間に強化されていき[25]、当初は彼らを歓迎していた者も[24]、やがて反感を抱いて抗議運動を行うようになった。[25] コマンダー・パイアの指揮の下、コロッサス駐屯部隊は反抗的な住民の取り締まりを開始し、星外へ送り出すため彼らを捕まえて拘束した。[26]
<コロッサス>の脱出[]
- 「キャプテン・ドーザ、ステーション封鎖の準備を。ニークがハイパードライブを動かします」
「まだ上昇中だ。惑星の重力の影響があるうちはジャンプできない」 - ―カズーダ・ジオノとイマニュエル・ドーザ[出典]
海に沈められた<コロッサス>
レジスタンスのスパイであることがファースト・オーダーに知られた後、ジオノはジャレク・イェーガーやニーク・ヴォゾと協力してレジスタンスに救援要請のメッセージを送る計画を立てた。ファースト・オーダーによる通信妨害を解くためにはプラットフォーム最上部タワーに設けられた装置にたどり着く必要があったため、ジオノたちは<コロッサス>を密閉し、施設の大部分を海に沈めることで、タワーまで泳いでいけるようにした。ジオノはレジスタンスにメッセージを送ることに成功したが、イェーガーはファースト・オーダーに捕まってしまった。またレジスタンスのレイア・オーガナ将軍から届いた返答は、レジスタンスには援軍を送る余裕が無いというものだった。ジオノは外部の助けを借りず、自分たちで占領軍と戦うしか道はないと決断した。[27]
キャプテン・ドーザはファースト・オーダーが自分の権限を無視していることに不満を抱いて反抗を試みたが、コマンダー・パイアによって逮捕された。一方、ジオノとトーラたちはキャプテンやイェーガーを救出するために<コロッサス>の制御室を制圧し、海水を利用して占領部隊のストームトルーパーを施設外へ追い出す作戦を実行に移した。またニーク・ヴォゾは制御室がハイパードライブの機関室も兼ねていることを発見し、<コロッサス>に飛行能力があることを突き止めた。同時刻、ファースト・オーダーは超兵器スターキラー基地を使って新共和国の首都惑星ホズニアン・プライムを破壊した。その模様は<コロッサス>でも中継された。[28]
およそ20年ぶりにエンジンを始動し、キャスティロンの大気圏を上昇する<コロッサス>
ジオノとトーラはドーザとイェーガーを救出し、ニークは<コロッサス>を海面から飛翔させた。<コロッサス>の支配権を失ったコマンダー・パイアとファースト・オーダー保安局のエージェント・ティアニーはプラットフォームからの撤退を決意した。その際、チーム・ファイアボールの一員であるタマラ・リヴォーラは自らの意志でファースト・オーダーについていくことを選んだ。間もなくファースト・オーダーのリサージェント級スター・デストロイヤー[17] <サンダラー>[29] がキャスティロンに現れ、大気圏を上昇中の<コロッサス>を砲撃した。しかし<コロッサス>はエース中隊の活躍と、ファースト・オーダーに裏切られたウォーバード・ギャングの支援を得て、ハイパースペース・ジャンプが可能な高度に到達した。彼らは中隊と海賊の船を収容すると、オーガナから教わった惑星ディカーの座標へジャンプした。[17]
<コロッサス>が逃げ去った後も、ファースト・オーダーのスター・デストロイヤーはしばらくのあいだキャスティロンの上空に留まった。その際、パイアとティアニーはキャプテン・ファズマに状況を報告し、<コロッサス>を何としても見つけ出すよう指令を受けた。[30] 一方<コロッサス>では、宇宙空間の旅が続いて閉塞感を感じている住民たちのために、ニーク・ヴォゾがコロッサス市場の天井にキャスティロンの空を投影した。[31] クレイトの戦いの後、マズ・カナタの知人の泥棒が入手したファースト・オーダーの標的リストに、最終目撃地点がキャスティロンとなっている人物が複数名記載されていた。[32]
<コロッサス>はキャスティロンを離れた後もファースト・オーダーによる執拗な追撃を受けた。<コロッサス>がバラベシュ星系に隠れていた時、カズーダ・ジオノとジャレク・イェーガーはタマラ・リヴォーラからメッセージを受け取り、ファースト・オーダーからの離脱を希望している彼女を回収するため、盗んだファースト・オーダー・トランスポーターに乗って久しぶりにキャスティロンに戻った。一方、リヴォーラは訓練飛行という名目で2機のTIEファイターを引き連れてキャスティロンにジャンプした。2機のTIEはジオノたちを確認すると銃撃を開始したが、リヴォーラによって撃墜された。イェーガーとジオノはリヴォーラとの再会を果たすと、彼女が気絶させた副操縦士ジェイス・ラックリンをトランスポーターへ運び込み、キャスティロンから離れようとした。しかし彼らの船は惑星の軌道で<サンダラー>のトラクター・ビームに捕まってしまった。[3]
住民[]
こちらの記事も参照: チェリダイ
キャスティロン原住のチェリダイ種族(左2名)と、<コロッサス>の住民ニーク・ヴォゾ、カズーダ・ジオノ
チェリダイ種族はキャスティロンの海底から発展を遂げた最も知的な生物であるが[4]、水中よりも水上での生活を好んだ。[12] 彼らは両生類種族で、背中に大きな甲羅を運び、壁をよじ登る能力を備えた。チェリダイは非常にゆっくりとしたペースで活動・会話し、独自の言語で会話したが、銀河ベーシック標準語を理解することができた。新共和国時代、多数のチェリダイが<コロッサス>でメンテナンス担当の技術者として働き、コロッサスのエンジニアリング・レベルで暮らした。[13]
チェリダイを除けば[4]、キャスティロンを故郷と呼ぶものはほとんどいなかったが、補給ステーション<コロッサス>は燃料や物資、仲間を求める人々の目的地となっていた。[33] 新共和国時代、このステーションはスター・パイロットのたまり場として知られ、元帝国軍や元反乱軍、海賊など、様々な経歴のスピード好きが集まっていた。当時<コロッサス>には人間やアリーナ、アクアリッシュ、アルコーナ、ビス、チャドラ=ファン、フリゴーシアン、ギリアンド、ゴウタル、ゴーゾ、アイソリアン、ケル・ドア、クラトゥイニアン、ノートラン[5]、ミリアラン[20]、カダッサニクト、ローディアン、スニヴィアン、サラスタン、シーリン[5]、トロイグ[21]、アグノート、名称不明の口の無いエイリアン種族といったさまざまな知覚種族の住民が暮らしていた。[5]
地名[]
こちらの記事も参照: コロッサス
<コロッサス>に向かって飛行する<ファイアボール>
キャスティロンの海面に鎮座する<コロッサス>は古い燃料補給基地[5] 兼宇宙ステーションであり[28]、惑星に点在する居住施設のひとつで[2]、浮揚都市のような役割を果たしていた。[33] このプラットフォーム周辺の海域にはスカイ・リングが設置され、新共和国時代には人気レーサーたちによるスカイ・レース・イベントが開催された。[5] しかし<コロッサス>はファースト・オーダーによる占領と解放を経て、34 ABYにキャスティロンから離脱してしまった。[17] その際、一部のスカイ・リングはキャスティロンの海上に取り残された。[3] キャスティロンには他にも小規模な居住用プラットフォームや浮揚機が各地に散らばっていた。[4] キャスティロンの水中にはカラヴィアン海溝と呼ばれる場所があり[6]、ロクナの生息地になっていた。[4] シナーラ・サンはカラヴィアン海溝で廃品回収を行った際にZ-95ヘッドハンターを引き揚げ[6]、残骸に紛れ込んでいたビボも一緒に<コロッサス>に連れ帰ったことがあった。[11]
制作の舞台裏[]
『レジスタンス』のコンセプト・アート
キャスティロンは正史のTVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ レジスタンス』の舞台として制作された。2018年8月17日にリリースされた『レジスタンス』のトレーラーで初めてキャスティロンのシーンが公開され[34]、のちに公式データバンクの<コロッサス>の記事で名称が判明した。[35] その後、キャスティロンは2018年10月7日に放送された第1話『スカウト』で初登場を果たした。[5] キャスティロンおよび<コロッサス>は『レジスタンス』シーズン1全体を通した物語の主要舞台である。[36]
キャスティロンの初期のコンセプト・アートはポリゴン・ピクチュアズによって制作された。StarWars.com のエピソード・ガイドに掲載されている本アートには、『レジスタンス』本編には登場しない2基目の海上構造物と、キャスティロンの陸地が描かれている。[37]
『アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション』や『THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録』ではキャスティロンの属す領域がアウター・リム・テリトリーとされている。[4][33] しかし『スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ:バトゥー旅行ガイド』や『スター・ウォーズ ギャラクシー・マップ ポスター』といった銀河マップ付きの資料ではミッド・リムに位置付けられている。[1][7]
Castilon のカタカナ表記はメディアによってばらつきがある。アニメ・シリーズでは発音通りキャスティロンと表記されているが[36]、『THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録』ではカスティロンと表記されている。[33] また『レジスタンスの復活』ではカスティリアンと誤表記されている。[32]
登場作品[]
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