- 「アレスター・クルーザー。キャントウェル級。距離は3クリック」
- ―フォンドア・ドロイド・モッド[出典]
キャントウェル級アレスター・クルーザー(Cantwell-class Arrestor Cruiser)、別名キャントウェル級410クルーザー(Cantwell-class 410 cruiser)はクワット・ドライブ・ヤード社が銀河帝国のために製造したクルーザーの艦種。帝国司法局や帝国宇宙軍の要望のもと、他の宇宙船を拿捕することを目的に設計されており、強力なトラクター・ビーム発生装置を搭載していた。アレスター・クルーザーは不審な貨物船やフリゲート、あるいは別のクルーザーの動きをトラクター・ビームで静止し、理想的な射程距離まで牽引もしくは押し出したのち、重イオン砲による攻撃で対象を無力化することができた。またアレスター・クルーザーは2つの大型ドッキング・ベイにTIEファイター等の戦闘機2個中隊を収容載可能で、他にもストームトルーパーを敵船へ乗船させるためのシャトルやTIEボーディング・クラフトなどを運ぶことができた。
著名な宇宙船設計士、ワレックス・キャントウェル・ブリセックスにちなんで名づけられたこのクルーザーは、帝国のスペースレーンの取り締まりや、反乱分子が活動している領域、重要な建築プロジェクトが行われている領域のパトロール等に用いられた。ハン・ソロは帝国軍士官候補生だった頃にアレスター・クルーザーに配属され、オニクス中隊のパイロットを務めた。5 BBY、反乱ネットワークの構築者であるルーセン・レイエルはセグラ・マイロの上空でエルク艦長指揮下のアレスター・クルーザーに捕捉された。しかしレイエルはフォンドア・ホールクラフトに隠された兵器を使ってアレスター・クルーザーのトラクター・ビーム発生装置を破壊し、TIEファイターの追っ手を撃退してセグラ・マイロ星系から逃げ去ることに成功した。また同じころ、帝国の超兵器であるDS-1デス・スター機動バトル・ステーションの建造現場であるスカリフにもアレスター・クルーザーが配備されていた。
特徴[]
船体[]
クワット・ドライブ・ヤード社(KDY)によって製造されたキャントウェル級アレスター・クルーザーは、細長い矢じり型のシルエットを特徴とする[1] パトロールおよび拘留用クルーザーである。強力なトラクター・ビーム発生装置を搭載しており、他の宇宙船を拿捕することを主目的に設計されていた。全長は1,363.13メートル(4,472フィート3インチ)、横幅は667.42メートル(2,189フィート8インチ)、全高は229.78メートル(753フィート11インチ)。矢じり型の船体はKDY社が製造したデストロイヤーによくみられる特徴で、銀河帝国の銀河規模宇宙軍事力のアイコンでもあったが、アレスター・クルーザーは[2] インペリアル級スター・デストロイヤーを始めとする[7] 他の帝国軍艦と異なり、矢じり型船体の先端が前ではなく後ろを向いていた。この逆三角形のセクションは船の後ろ半分を構成しており、前半分は逆三角形から突き出した細長い船体になっていた。[1]
アレスター・クルーザーの司令ブリッジは船体後部上面、逆三角形の頂点付近にそびえるタワーの上に設けられていた。[2] ブリッジには指揮官が前方を見渡すことができる窓が設けられ、フロア中央部分に乗組員の作業用ピットが配置されていた。複数名の乗組員がこのくぼみの中に設置された端末からトラクター・ビームや各種スキャナーを操作した。[3] ブリッジ・タワーの上部には、標的の状況を精査するための[2] 中距離用[1] センサー・マストが立ち並んでいた。[2] アレスター・クルーザーの後部セクションの左右には、前方に面した大型のドッキング・ベイが1つずつ設けられていた。[1] またその後方には税関職員や国境検問職員が働くためのオフィス・スペースが存在した。船体前方の細長い部分には張力を軽減するための補強が施されており、反応炉と直結したトラクター・ビーム用の動力ラインその内部に巡らされていた。[2] できるだけ落ち着いたカラーリングを使うという帝国の慣習通り[8]、アレスター・クルーザーの船体も薄い灰色に塗装されていた。[1]
キャントウェル級クルーザーには2,770名の将校とパイロット、下士官が乗り込んだ。また144名の兵士を収容可能で[1]、数名のストームトルーパーがブリッジの護衛に割り当てられた。またブリッジでは通常の士官に加え、帝国宇宙軍トルーパーがクルーとして作業に当たることもあった。[3]
性能[]
キャントウェル級アレスター・クルーザーは3基の強力なRT-17リパルサー=トラクター・ビーム放射装置を搭載していた。[1] メインの放射装置は船首、補助装置となる残り2基は後部船体左右の頂点部分にそれぞれ配置されていた。トラクター・ビーム放射装置は可動式マウントの上に取り付けられており、基部のポジション調整システムによって円盤型のパラボラ・アンプの向きを変えることができた。[2] アレスター・クルーザーはこの装置を使って捕捉した標的船を引き寄せることも、反対方向へ押し返すこともでき[1]、ターゲットを自艦のドッキング・ベイまで引き込んだり、応援が到着するまでその場にとどめておくといった対応をとることができた。[2] またこの装置のトラクター・フォースの出力は数段階に調整可能だった。[3]
トラクター・ビームの他に、アレスター・クルーザーはタレット式重イオン砲2門(両舷に1門ずつ)に加え、軽レーザー砲12門(前方、両舷、後方に3門ずつ)[1] または重ターボレーザー砲塔3門[2] を搭載していた。この艦はトラクター・ビームで捕捉した船を適切な射程距離に動かし、イオン砲を浴びせて無力化することができた。またアレスター・クルーザーは左右のドッキング・ベイに1個中隊ずつ、計24機のスターファイターを収容でき、無力化した敵船にストームトルーパーを運ぶためのシャトルないし着陸船、その他多用途船も積載できた。[1] 例として、キャントウェル級艦にはTIE/ln制宙スターファイターや[3] TIEブルートなどの戦闘機[4]、そしてTIEボーディング・クラフトなどの運搬船が収容されることがあった。このクルーザーは船尾に3基の亜光速エンジン(大型1基、小型2基)を装備し[3]、ハイパースペース航行用にクラス2(バックアップはクラス12)のハイパードライブを搭載していた。[1]
用途[]
- 「逃げられると思っているのか? 海賊のホールクラフトが?」
- ―アレスター・クルーザーの乗員[出典]
キャントウェル級クルーザーは他の宇宙船の拿捕という単一の機能に特化しており、銀河帝国のスペースレーンにおける取り締まりを専門としていた。[2] このクルーザーは不審な貨物船やフリゲート、あるいは他のクルーザーを捕捉して無力化できるよう設計されており、指名手配犯や禁制品を運んでいる業者にとってはその姿を見るだけでも恐ろしい存在だった。アレスター・クルーザーは強力なトラクター・ビームを搭載していたため、逃亡中の船を追跡する際には、ある程度の距離を維持するだけで対象船の確保が可能だった。アレスターは動けなくした対象船をイオン砲で無力化して自艦へ引き込むこともできれば、その始末を戦闘機中隊に任せることもできた。アレスターは必要に応じて自衛のためスターファイターを発進させ、また周囲に群がる敵機にはレーザー砲で対応した。[1] アレスター・クルーザーはしばしば海賊が横行する星系に送り込まれ、指示に従わない怪しい船を格納庫に引き込んで調査を行った。[9] またアレスター・クルーザーは反乱分子が活動する領域のパトロールや[3]、超兵器の建造現場の警備に使われることもあった。[10]
歴史[]
- 「最後の警告だ、ホールクラフト。ただちにパワーを落とせ。さもなければ深刻な結果を招くぞ」
- ―エルク艦長[出典]
銀河帝国の形成期、帝国司法局と帝国宇宙軍は捕獲作戦に特化した軍艦を製造するため、資金調達に専念した。どちらの部門も、密輸業者や海賊、反乱分子を捕まえて公開裁判にかけるのに役立つ宇宙船に価値を見出していたのである。建造プログラムに承認が下りた後、クワット・ドライブ・ヤード社との間に契約が結ばれ、開発と試作運用に3年の歳月が費やされた。クワットの造船所から就航したこの新型クルーザーは[1]、著名な宇宙船設計士のワレックス・キャントウェル・ブリセックス1世にちなんでキャントウェル級クルーザーと名づけられた。[2] 帝国時代に惑星コレリアのコロネット宇宙港等で放送されていた帝国宇宙軍の新兵勧誘映像には、キャントウェル級クルーザーが数隻のインペリアル級スター・デストロイヤーとともに登場していた。[6]
13 BBY[11]、ホワイト・ワームズのメンバーであるハンとキーラはコロネット宇宙港からコレリア脱出を試みた。キーラと生き別れた後、ハンは港内でアレスター・クルーザーが登場する帝国の新兵募集映像を目にし、そのまま軍隊に志願した。[6] ハンはカリダ・アカデミーで訓練を積、やがてリッタン・ドリー士官候補生らとともにオニクス中隊の一員として[4] アレスター・クルーザー[12] に配属された。[4] 10 BBY[11]、海賊のZ-95ヘッドハンターと交戦した際、ハンはドリーを救うため命令違反を犯し、ダメージを負ったTIEブルートでクルーザーのハンガーに何とか帰艦した。この事件の後、ハンは軍法会議にかけられて宇宙軍から追放され、帝国地上軍トルーパーとしてミンバンの戦場に送り出されることになった。[4]
5 BBY[2]、エルク艦長指揮するアレスター・クルーザーと、その戦闘機部隊によって構成されるセグラ=マイロ帝国パトロール隊が[3] アウター・リムのジョスプロ宙域に属す[2] 惑星セグラ・マイロ周辺の警戒にあたった。当時この領域ではソウ・ゲレラ率いる反乱分子パルチザンが活動しており、エルクは不審な宇宙船の取り締まりを行った。そんな中、反乱ネットワークの構築者であるルーセン・レイエルがセグラ・マイロの地上にあるパルチザン基地を訪れた。ゲレラと対面した後、レイエルはフォンドア・ホールクラフトで離陸し、惑星軌道に留まりながら、コルサントにいるクレヤ・マーキと連絡を取った。しかし間もなくホールクラフトはエルクのアレスター・クルーザーに見つかって通信を妨害された。エルク艦長からトランスポンダー・コードの提示を求められたレイエルは、偽の船籍IDを提示した。IDを確認する間、エルクはホールクラフトをトラクター・ビームで捕捉しておくよう部下に命じた。[3]
レイエルが適当な会話で時間を稼ぎながら反撃の準備を進める中、エルクは部下にこの不審船の熱反応をチェックさせた。ホールクラフトがスラスターを停止していないことに気づいたエルクは、スタビライザーのパワーを落とすようレイエルに求めた。間もなくホールクラフトの船籍がオルデラン通商同盟であることが確認できたが、エルクは訓練も兼ねてこの船に部隊を乗船させることに決めた。ところが次の瞬間、レイエルはトラクター・ビームに捕まった状態でスラスターを噴射した。エルクはトラクター・フォースを5に上げるよう命じ、レイエルに最後の警告を送った。しかしレイエルは[3] トラクター・ビームに特化したアレスターの機能を逆手に取り[2]、ホールクラフトの弾道チャフ発射装置を起動して[3] 敵艦が大量の弾道チャフを自ら引き寄せるよう仕向けた。[2] アレスターのトラクター装置は破壊され、ホールクラフトはトラクター・フォースから解放された。エルクはすぐさま戦闘機部隊を出撃させたが、ホールクラフトはTIEボーディング・クラフト1機とTIEファイター2機をあっという間に破壊し、損傷を負ったクルーザーを残してセグラ・マイロ星系から逃げ去っていった。[3] また同じ時代、惑星スカリフ上空のDS-1デス・スター機動バトル・ステーションの建造現場には少なくとも2隻のアレスター・クルーザーが配備されていた。[10]
制作の舞台裏[]
劇中の描写と設定[]
キャントウェル級アレスター・クルーザーは2018年5月25日に公開されたアンソロジー映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で初登場を果たした。ただし本作ではクルーザーの実物は登場せず、帝国宇宙軍の勧誘ホログラムに映り込んでいるに過ぎない。[6] 『ハン・ソロ』の脚本では<ミレニアム・ファルコン>がトラクター・ビームに捕まる場面があり、この構想がアレスター・クルーザーの原型となった。[13] またハン・ソロが帝国軍士官候補生だった頃にTIEブルートを操縦してアレスター・クルーザーに帰艦する場面も制作されたが、映画本編からカットされた。[6] ただしこのシーンは映画の小説版(ムア・ラファティ著)で忠実に再現されている。[4] 2018年5月31日、ルーカスフィルム ストーリー・グループのスタッフであるリーランド・チーが自身の Twitter で“キャントウェル級”という名称を明かした。[14] コンセプト・モデラーのコリン・キャントウェルが名前の由来となっている。[15] 2020年、ロールプレイング・ゲーム用設定資料集『Starships and Speeders』で初めて正式な形で名称が判明し、詳細な設定も追加された。[1]
デザイン[]
キャントウェル級アレスター・クルーザーのデザインは、コリン・キャントウェルが映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年)のために制作したアートが基になっている。キャントウェルはこのアートを映画冒頭に登場するスター・デストロイヤーのデザイン案としてジョージ・ルーカスに提示したが[16]、不採用に終わった。[7] キャントウェルは第二次世界大戦の空母にインスパイアされてこのデザインを制作した。また船体の左右ではなく上下からアンテナ型兵器が突き出したバージョンも描かれた。キャントウェルの公式ウェブサイトでは、この船は“シス・キャリアー”と呼ばれていた。またアンテナ兵器のデザインはデス・スターのスーパーレーザーのデザインに転用された。[17] のちに『ハン・ソロ』の製作クルーがルーカスフィルムのアーカイブを見直した際にキャントウェルのデザインを発見し、インダストリアル・ライト&マジックが映画のために忠実なCGモデルを作った。[13]
登場作品[]
- ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー (初登場) (ホログラムでの登場)
- ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 小説版
- キャシアン・アンドー – フェリックスの娘
- キャシアン・アンドー – リックス通り
参考資料[]
- アート・オブ・ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
- Starships and Speeders
- THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録
- "Daughter of Ferrix" Episode Guide | Andor - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- Andor Analyzed: 5 Highlights from Episode 11, "Daughter of Ferrix" - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- スター・ウォーズ:反乱の夜明け ビジュアル・ガイド
- スター・ウォーズ・エンサイクロペディア:スター・ウォーズ銀河総合ガイド
- Captain Elk - 公式データバンク
脚注[]
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 1.20 1.21 1.22 1.23 1.24 1.25 1.26 1.27 1.28 1.29 1.30 1.31 1.32 Starships and Speeders
- ↑ 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 2.12 2.13 2.14 2.15 2.16 2.17 2.18 2.19 2.20 2.21 スター・ウォーズ:反乱の夜明け ビジュアル・ガイド
- ↑ 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 3.11 3.12 3.13 3.14 3.15 3.16 3.17 キャシアン・アンドー – フェリックスの娘
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 小説版
- ↑ 『Starships and Speeders』によるとアレスター・クルーザーは帝国時代に3年の開発期間を経て導入された。『スター・ウォーズ タイムライン』によると帝国の設立が19 BBYであるため、アレスター・クルーザーの導入時期は早くて16 BBYということになる。またアレスター・クルーザーは『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の過去編パートに登場しているため、『タイムライン』に照らし合わせると、遅くとも13 BBYには導入されていたことになる。
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
- ↑ 7.0 7.1 スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望
- ↑ A New Hero
- ↑ THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録
- ↑ 10.0 10.1 キャシアン・アンドー – リックス通り
- ↑ 11.0 11.1 ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー オフィシャルガイド
- ↑ 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の削除されたシーンの描写と、本場面が小説版にて忠実に再現されている事実に基づく。
- ↑ 13.0 13.1 アート・オブ・ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
- ↑ @HolocronKeeper(リーランド・チー) - X (旧Twitter). “I will share with you the tidbit that it's a Cantwell-class.”
- ↑ "Daughter of Ferrix" Episode Guide | Andor - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ Colin Cantwell - Instagram: The origins of the Imperial Arrestor Cruiser. "The creation of the #Stardestroyer - I asked George about the scenes. We had a few words in which he described the scenes. I then asked "Is it bigger than Burbank?" to determine the size of the Imperial Cruiser and the opening scenes of the movie." (バックアップ)
- ↑ Birth of the X-Wing & Star Destroyer - www.cantwellcollection.com