『クローン・ウォーズ レガシー』(The Clone Wars Legacy)はTVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』の未完成エピソードを他メディアで描き直すマルチメディア・プロジェクトである。『クローン・ウォーズ』シリーズが2014年のシーズン6をもっていったん打ち切られた後、2014年から2015年にかけて『レガシー』作品群が公開された。なおこれとは別に『クローン・ウォーズ』は2020年にリバイバルされ、“ファイナル・シーズン”と題した正式な完結編であるシーズン7が公開された。
『レガシー』シリーズにて、4部作のアニメ・エピソードを想定していた「ダソミアの後継者」編がコミック化された。また「ウータパウのクリスタル危機」編4部作と「不良分隊」編4部作はストーリー・リール(未完成映像)の段階のままネット上で公開された。「ダーク・ディサイプル」編8部作は小説化された。なお「不良分隊」編の4エピソードはのちに完成版が制作され、シーズン7の最初の作品として再公開された。
また本ページでは『レガシー』以外の未完成エピソードや構想についても解説する。
経緯[]
告知と公開[]
本シリーズの最初の作品であるコミック・ミニ=シリーズ『スター・ウォーズ:ダース・モール ダソミアの後継者』の発売は2014年1月7日に発表された。ただしこの時点ではまだ『クローン・ウォーズ レガシー』というシリーズ表記は使われていなかった。[1] 2作目となる小説『ダーク・ディサイプル』は2014年7月25日にサンディエゴ・コミコンでアナウンスされた。[2] 同年9月25日、公式サイト StarWars.com で『クローン・ウォーズ レガシー』というシリーズ名が正式に明かされ、未完成のアニメ・ストーリー・リールという形式で「ウータパウのクリスタル危機」4部作がオンライン公開された。[3]
2015年4月9日、「不良分隊」4部作のストーリー・リールがセレブレーション・アナハイムで上映されることが StarWars.com で発表された。[4] ちなみに本4部作の脚本家であるブレント・フリードマンは既にこれらのエピソードの内容に関する相当量の情報を自身の Twitter アカウント上で明かしていた。[5][6]
公開以降[]
StarWars.com 上で公開されていた『クローン・ウォーズ レガシー』の公式ページはのちに閉鎖され、同シリーズとしての作品展開は事実上終了している。『レガシー』と題して発表された作品は「ダソミアの後継者」編、「ウータパウのクリスタル危機」編、「不良分隊」編、「ダーク・ディサイプル」編の計4編である。[3] しかし『クローン・ウォーズ』のために制作された未完要素は『レガシー』以外にもさまざまな形で再活用されており、2020年のシーズン7では「不良分隊」に加えて「アソーカの放浪」や「マンダロア包囲戦」編の完成版も制作された。[7] また『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』でも未完成エピソードの要素が再利用されている。
レガシー シリーズの作品[]
ダソミアの後継者[]
コミック・シリーズ『ダソミアの後継者』(Son of Dathomir)は制作版番号6.21~6.24が割り振られた未完成エピソード4話分が基になっている。これらのエピソードは制作番号上はシーズン6となっているが、放送上はシーズン7に含まれる予定だった。[8] 未完成エピソードの脚本はマット・ミクノヴェッツとアイダ・マシャカ・クロールが担当した。コミックの脚本はジェレミー・バーロウが手掛け、2014年、ダークホースコミックスがスター・ウォーズの出版権を手放す直前に出版した。翻訳版は2019年に発売された。[9]
原書の各号およびTPBの発売日は以下の通り:
号数 | タイトル | 発売日 | TPB | TPB発売日 |
---|---|---|---|---|
1 | Part One | 2014年5月21日 | Darth Maul— Son of Dathomir |
2014年10月1日 |
2 | Part Two | 2014年6月18日 | ||
3 | Part Three | 2014年7月16日 | ||
4 | Part Four | 2014年8月20日 |
コミックの原作となった未完成エピソードは次の通り:
話数 | 仮題 | 邦題 (仮) | 制作No. |
---|---|---|---|
The Enemy of My Enemy | 敵の敵は味方 | 6.21 | |
A Tale of Two Apprentices | 2人の弟子の物語 | 6.22 | |
Proxy War | 代理戦争 | 6.23 | |
Showdown on Dathomir | ダソミアの決戦 | 6.24 |
ウータパウのクリスタル危機 編[]
ウータパウのクリスタル危機(Crystal Crisis on Utapau)は制作番号6.01~6.04の未完成エピソード4部作であり、2014年9月25日にストーリー・リール(未完成映像)の状態のまま公式サイト StarWars.com で公開された。またこれらの未完成エピソードは『クローン・ウォーズ ザ・ロスト・ミッション』のブルーレイ版にも収録された。
話数 | 画像 | タイトル | 公開日 | 制作No. |
---|---|---|---|---|
ジェダイの死 A Death on Utapau |
6.01 | |||
クリスタルを捜して In Search of the Crystal |
6.02 | |||
クリスタルの危機 Crystal Crisis |
6.03 | |||
ビッグバン The Big Bang |
6.04 |
不良分隊 編[]
不良分隊(Bad Batch)はシーズン7の初作となることが予定されていた4部作のエピソードである。制作番号上は6.09~6.12。2015年4月17日にセレブレーション・アナハイムで未完成ストーリー・リールが上映されたのち、4月29日に StarWars.com でも公開された。2019年4月14日、セレブレーション・シカゴにて「不良分隊」4部作の完成バージョンが『クローン・ウォーズ シーズン7』で公開されることが明かされた。[10] セレブレーションでの告知通り、2020年2月21日より動画配信サービス Disney+ にて完成版の「不良分隊」4部作が順次公開された。なお日本では Disney+ の国内サービス開始に伴い同年6月11日から公開が始まった。[7]
話数 | 画像 | タイトル | 公開日 | 制作No. |
---|---|---|---|---|
不良分隊 The Bad Batch |
6.09 | |||
エコーの呼ぶ声 A Distant Echo |
6.10 | |||
キーラダックの翼に乗って On the Wings of Keeradaks |
6.11 | |||
やり残した仕事 Unfinished Business |
6.12 |
ダーク・ディサイプル[]
アサージ・ヴェントレスとクインラン・ヴォスが主人公の小説『ダーク・ディサイプル』(Dark Disciple)は未完成エピソード8部作をもとに執筆された。クリスティ・ゴールデン著。原作となったエピソードの制作番号は6.13~6.16、7.05~7.08。なお2015年のセレブレーション・アナハイムでダーク・ディサイプル編のコンセプト・アートや、ヴォスとヴェントレスが出会う場面のストーリー・リールが公開された。
小説の原作となった未完成エピソードは次の通り:
話数 | 仮題 | 邦題 (仮) | 制作No. |
---|---|---|---|
Lethal Alliance | 危険な同盟 | 6.13 | |
The Mission | 任務 | 6.14 | |
Conspirators | 共謀者 | 6.15 | |
Dark Disciple | 闇の門弟 | 6.16 | |
Saving Vos Part I | ヴォスの救出 パート1 | 7.05 | |
Saving Vos Part II | ヴォスの救出 パート2 | 7.06 | |
Traitor | 裏切り者 | 7.07 | |
The Path | 道 | 7.08 |
レガシー以外で完成に至った作品[]
アソーカの放浪 編[]
アソーカの放浪(Ahsoka's Walkabout)編は6.05~6.08の制作番号が割り振られた4部作であり、ジェダイ・オーダーを去る決断をしたアソーカ・タノのその後を描く。本作ではアソーカがコルサント・アンダーワールドを旅し、ニックス・オカミという名の青年と出会って親しくなる模様や、裏社会やパイク・シンジケートと関わる中でジェダイの教えに葛藤する姿が描かれる予定だった。こうした構想は2016年に開催されたセレブレーション・ヨーロッパで明かされた。[11] 2019年4月14日、セレブレーション・シカゴにて「アソーカの放浪」がシーズン7のエピソードとして正式に公開されることが告知され、ニックス・オカミがトレースとラファ・マルテス姉妹に変更されたことも明かされた。[12] 告知通り、この4部作は2020年3月20日から Disney+ で順次公開された。日本での公開は同年7月10日からとなった。[7]
話数 | 画像 | タイトル | 公開日 | 制作No. |
---|---|---|---|---|
夢見るトレース Gone with a Trace |
2020年3月20日 | 6.05 | ||
危険な取引 Deal No Deal |
2020年3月27日 | 6.06 | ||
取引の果て Dangerous Debt |
2020年4月3日 | 6.07 | ||
再結束 Together Again |
2020年4月10日 | 6.08 |
マンダロア包囲戦 編[]
マンダロア包囲戦(The Siege of Mandalore)編は制作番号7.21~7.24が割り振られた4部作であり、『クローン・ウォーズ』全体を通した最終章である。本章では、ダース・モールがシャドウ・コレクティヴの残党を従えて再台頭したことがボ=カターン・クライズからの報告で判明し、アソーカ・タノが戦いに向けてアナキン・スカイウォーカーやオビ=ワン・ケノービたちと再会する。しかし同時期にグリーヴァス将軍がコルサントに奇襲を仕掛けてパルパティーン最高議長を誘拐したため、アナキンとオビ=ワンはパルパティーン救出に向かうことになり、アソーカはレックスや残りのクローン・トルーパーたちと共に戦いに臨むことになる。またアソーカに仕える“332nd”の装甲服には、アソーカの顔の模様を模したマーキングが施されている。これらの情報やコンセプト・アートは2016年に開催されたセレブレーション・ヨーロッパでデイヴ・フィローニらから明かされた。[11]
2015年、TVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ 反乱者たち』のエピソード『消えた戦士たち』にて、作品中で初めてマンダロア包囲戦が言及された。[13] 2016年、小説『アソーカ』(E・K・ジョンストン著)のプロローグでマンダロア包囲戦が部分的に描写された。[14] 小説執筆当時、ジョンストンはシーズン7リバイバルの予定があることを知らなかったが、マンダロア包囲戦の戦闘シーンを小説中で描写しないよう指示されていた。[15] マンダロア包囲戦はリバイバルされた『クローン・ウォーズ』シーズン7に盛り込まれ、2020年4月17日より4つのエピソードが順次公開された。日本では同年8月7日からの公開となった。[7]
話数 | 画像 | タイトル | 公開日 | 制作No. |
---|---|---|---|---|
忘れがたき旧友 Old Friends Not Forgotten |
2020年4月17日 | 7.21 | ||
幻影の弟子 The Phantom Apprentice |
2020年4月24日 | 7.22 | ||
崩壊 Shattered |
2020年5月1日 | 7.23 | ||
勝利と死 Victory and Death |
2020年5月4日 | 7.24 |
未完成エピソード[]
2016年3月、ルーカスフィルム ストーリー・グループのパブロ・ヒダルゴはシーズン6放送終了時点でまだ13編の物語が残っていることを明かした。[16] 脚本家のブレント・フリードマンによると、シーズン7とシーズン8全話の脚本がシリーズ打ち切り前にすでに完成していた。[17] またフリードマンによるとこれらのシリーズのエピソードは全て4部作構成になっていた。[18] ヒダルゴが明かしたところによると、実際に公開された話数と制作時点での話数は異なり、シーズン5は全25話、シーズン6と7は全24話を想定して作られていた。[19]
賞金稼ぎ 編[]
この章はマット・ミクノヴェッツが脚本を担当した4つのエピソードからなる。[20] 制作番号は5.22~5.25。この章では賞金稼ぎのボバ・フェットとキャド・ベインが惑星タトゥイーンでチームを組み、タスケン・レイダーにさらわれた子供の救出任務に臨む。ベインはもともとジャンゴ・フェットを知っており、本シリーズではベインとボバの関係に焦点が当てられる予定だった。またストーリーはジョージ・ルーカスも好きな『捜索者』から強く影響を受けていた。本章のコンセプト・アートにはボバとベイン以外にも賞金稼ぎオーラ・シングやセリパス、C-21ハイシンガー、エンボ、ラッツ・ラジィ、ボスクといったキャラクターも描かれている。キャド・ベインの衣装は本シリーズのために一新され、<ジャスティファイア>というベインの新しい宇宙船もデザインされた。また過去のエピソードと同様、ベインはドロイドのトド360を連れている。そのほか、コンセプト・アートに描かれた要素としてタスケン・レイダーのシャーマンやデューバック[21]、モス・アイズリーの施設「ミニオンズ・レック・アンド・ウェアズ」[22]、ドロイドのラックル[23]、そしてトゥーングのランセク・トレヴォラスなどがある。[24]
2015年のセレブレーション・アナハイムにて、本章のコンセプト・アートやボバとキャド・ベインの会話シーンの未完成映像が公開された。[21] また2017年のセレブレーション・オーランドでは、本章の決闘シーンの未完成映像が公開された。映像によると、ボバの起こした反乱は他の賞金稼ぎたちによって阻止され、セリパスと新キャラクターの[25] スティム[26] はC-21ハイシンガーによって拘束されている。またエンボとマーロックがスギのものとおぼしきEE-3カービン・ライフルとバイブロブレードを地面に投げ捨てる。このやり取りの後、ベインとボバが早撃ちの決闘に臨み、両者が地面に倒れる。このとき、ベインの銃撃が命中したためボバのヘルメットに凹みができる。[25] ボバの声優であるダニエル・ローガンは2018年のコミコンにて、未完成エピソード7話分(決闘のエピソードを含む)の台詞がすでに収録済みだったことを明かした。[27]
キャッシーク 編[]
この章はマット・ミクノヴェッツが脚本を担当した[28] 4つのエピソードからなる。[29] 制作番号は6.17~6.20で[30][31]、ヨーダとバッド・バッチが惑星キャッシークへ派遣される物語である。[21] コンセプト・アーティストのジム・ムーアは2012年から2013年にかけて本章のためにキャッシークやウーキーのコンセプト・アートを制作した。[30][31] デイヴ・フィローニ監督は2013年のセレブレーション・ヨーロッパIIにて、「ウーキーとは仲が良い」という『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』のセリフにちなんでヨーダを本章に登場させることを明かした。[32]
2015年、フィローニはセレブレーション・アナハイムで本章の構想を語った。この章では登場人物たちがウーキーにとって神聖な生き物である巨大なサル型トカゲクリーチャーに乗る。またターフルが木の精霊に語りかけ、バブワ・ヴェノモー率いるトランドーシャンや分離主義同盟と戦う許しを求める場面もある。クローン・トルーパーたちは街から敵を追い出すために樹木を焼き払うことを何とも思わないが、ウーキーたちにとっては一大事となる。分離主義者と戦う中で、クローンとウーキーは共通点を見出すことになる。ヨーダの部下の中に、ヨーダの頭のシルエットが描かれたヘルメットを身に着けているトルーパーがいる。また本章はエコーがバッド・バッチの一員になった後の物語である。セレブレーション・アナハイムでは、クロージート少佐率いるウーキーとバッド・バッチがネットキャスターと戦う場面の未完成映像が公開された。[21] ネットキャスターはレジェンズのゲーム『スター・ウォーズ:旧共和国の騎士』に登場するキンラスをベースにしてデザインされた。[33] またミクノヴェッツはチューバッカが本章で大きな役割を果たす予定だったこと[34]、『スター・ウォーズ・ホリデー・スペシャル』に関する要素が取り上げられる予定だったことを自身の Twitter で明かした。[35]
レックスとR2の『トップガン』[]
この章はブレント・フリードマンが脚本を手がけた4つのエピソードからなる。[36] 主人公はレックスとR2-D2であり、デイヴ・フィローニ監督は本章を“クローンによる『トップガン』”と表現している。本章ではクローンの地上軍兵士とクローン・トルーパー・パイロットが口論になり、そこにアストロメク・ドロイドも巻き込まれ、R2-D2が別のアストロメクを侮辱する。口論の結果、レックスが副操縦士のR2-D2と一緒に戦闘機に乗り込むことになる。彼らはライロスの衛星のひとつに墜落して取り残され[21]、物語の大部分がそこで展開される。[37] 2015年のセレブレーション・アナハイムでは、口論を繰り広げるクローンとアストロメク・ドロイド、飛行中のARC-170スターファイターのコンセプト・スケッチが公開された。[21] フリードマンが Twitter で部分的に明かした情報によると、レックスとR2-D2はB2スーパー・バトル・ドロイドを再プログラムし、このドロイドに愛着を抱くようになる。[38] またレックスが負傷する場面がある。[39] 物語は明るく楽しく始まるが、“あまりに予期せぬ暗い場所”へ行きつくことになり、フリードマンが手がけた中で“最も奇妙な章”だったという。[40]
ユージャン・ヴォング[]
ユージャン・ヴォングを『クローン・ウォーズ』に登場させる構想もあった(ユージャン・ヴォングはレジェンズのニュー・ジェダイ・オーダー・シリーズに登場したことで知られる他銀河からの侵略種族)。[21][41] ただしフィローニによると、物語とユージャン・ヴォングの接点はごくわずかな形になる予定だったという。2015年のセレブレーション・アナハイムでは、共和国の戦力やジェダイの正体を探りに来たユージャン・ヴォングの偵察船のコンセプト・スケッチが公開された。またパブロ・ヒダルゴによると本作は“エイリアン・アブダクション”(宇宙人による誘拐事件を指すオカルト用語)的な雰囲気を持ち、『クローン・ウォーズ』における『X-ファイル』的エピソードだったという。[21] ヒダルゴがのちに Twitter で明かしたところによると、『クローン・ウォーズ』に登場予定だったユージャン・ヴォングはジョージ・ルーカスのフォース観に沿っており、レジェンズ設定のようなフォース無感知・無影響な存在ではないという。[42] またヒダルゴによると、本作におけるユージャン・ヴォングの出身地はあくまで“どこか”であり、ストーリーは彼らの出自に関わる内容ではなかったという。[43]
再びジェダイ・テンプルへ[]
この章ではアソーカ・タノがジェダイ・テンプルに帰還し、ジェダイたちと一緒にテンプルの下層を探検する予定だった。パブロ・ヒダルゴによると、この頃のアソーカは新しい人生を歩もうと努力するも、自分自身を変えることはできず、アンダーワールドのヴィジランテのような存在になっている。アンダーワールドでとある“邪悪な存在”を知ったアソーカは、再びコルサントの上層に戻ってジェダイと合流する。アソーカはアナキンたちと一緒にコルサントの下層に潜り、ジェダイ・テンプルの地下奥深くにシス・テンプルがあることを突き止める。フィローニによると、ジェダイの寺院が古代シス寺院の上にあるというのは、現実世界でも多くの教会が異教徒の遺跡の上に建てられているケースと似ており、ジェダイもはるか昔にシスの聖地の上に寺院を建てる事でダークサイドへの勝利を誇示したのだという。これらの構想は2016年のセレブレーション・ヨーロッパで明かされた。[11]
セレブレーション・ヨーロッパでは、本章でのアソーカの新衣装や、楕円型の探索マシーンに乗り込んだアソーカとアナキン、シス・テンプル、壁にライトセーバーを突き立てているときにフォース・ライトニングを浴びたアソーカのラフ・スケッチが公開された。フィローニによると、最後のスケッチはアソーカがホロクロン保管庫を守るためにセーバーをドアの隙間に刺し、溶かして封鎖している瞬間であるという。このときドアの向こうにはダース・シディアスがおり、セーバーの刃ごしにライトニングを送り込んでいる。アソーカとシディアスが間近で対決した瞬間であるが、あいだにドアがあるため互いの顔は見ていない。[11]
再びモン・カラへ[]
本章では再び惑星モン・カラが『クローン・ウォーズ』の舞台となる。パルパティーン最高議長が長く権力の座に留まることに反対していたパドメ・アミダラは、リー=チャー王に会うためアナキンとともにモン・カラに戻る。彼女たちはそこで、クオレンの指導者であるノーソア・ライが殺され、ティッケスが暫定指導者に任命されたことを知る。パドメはパルパティーンを罷免するためクオレンからも支持を得ようとするが、クオレンのタンドラ・ドウメイア議員は政府が膠着状態のため機能していないと説明する。彼女たちはティッケスと対面し、ティッケスはパルパティーンへの不満を口にする。
正史作品との関連性[]
- 「その核となる物語は実際に起きたできごとだと考えている」
- ―『クローン・ウォーズ』の未完成エピソードの内容について、パブロ・ヒダルゴ[出典]
『クローン・ウォーズ』の一部のエピソードはお蔵入りとなったが、パブロ・ヒダルゴはその内容について、未完成に終わったとはいえ核となる物語は“実際に起きたできごと”だと考えていると発言した。[44] 彼の発言通り、未完成エピソードのコンテンツの中には、のちに他作品で言及されるなどして正史設定に組み込まれているものもある。一方で、未完成エピソードの内容とその後の正史作品の設定に矛盾が生じたケースもある。[45][46]
例えば『クローン・ウォーズ』で描かれるはずだった、ジェダイ・テンプルの地下には古代のシスの神殿があるという設定は、2014年の正史の小説『ターキン』(ジェームズ・ルシーノ著)で言及され、正史に組み込まれている。ただし『ターキン』ではダース・ヴェイダー(アナキン・スカイウォーカー)がシスの神殿の存在を知らないことになっている。[45] 未完成エピソードではアナキンたちがヨーダを捜索するためテンプルの地下を旅することになっていたため、矛盾が生じている。[11]
モン・カラの未完成エピソードの内容もまた、現行の正史作品と矛盾している。未完成エピソードではクオレンのノーソア・ライが殺される予定だった。[47] しかし正史媒体では、ライは2019年に発売されたコミック『スター・ウォーズ:去りし日の希望』で再登場しており、クレイトの戦い時点でまだ生きていたことが確定している。[46]
2023年に公開されたTVシリーズ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2のエピソード『部族』にて、レッカーが“キャッシークへ行くのは久しぶり”だと発言する。[48] これは未完成エピソードで描かれるはずだったキャッシーク編のできごとを指している。また本作ではネットキャスターやマイラヤ、バブワ・ヴェノモーといった未完成エピソードのために作られたデザインや設定が再利用された。[48][49] ただし未完成エピソードと『部族』とではネットキャスターの描かれ方が少し異なる。[48]