クローン・フォース99(Clone Force 99)は“バッド・バッチ”(Bad Batch)という通称で知られたエリート・クローン・コマンドー分隊である。彼らはクローン戦争で活躍した共和国グランド・アーミーの特殊部隊であり、オリジナル・メンバーである隊員4名は遺伝子操作の結果“好ましい”突然変異を備えており、標準的なクローン・トルーパーとは異なる能力に恵まれていた。分隊のリーダーを務めるクローン・サージェント・“ハンター”は、ドロイドの電磁フィールドすら感知できる優れた感覚能力を持っていた。“クロスヘアー”は並外れた視覚により長距離からの狙撃を得意とし、“レッカー”は怪力の持ち主で、“テク”は優秀な頭脳と技術的能力を備えていた。アナクセスの戦いの後、もともと標準的なクローンだったアドバンスト・レコン・コマンドーのCT-1409“エコー”が5人目の隊員としてバッド・バッチに加わった。
19 BBYにクローン戦争が終結した際、クロスヘアーを除くバッド・バッチのメンバーは突然変異の副作用で行動抑制バイオチップの影響を受けず、オーダー66の指令に従わなかった。ハンターは惑星カラーでパダワン・ケイレブ・デュームを逃がし、彼は死んだと虚偽の報告を行った。惑星カミーノに戻った後、バッド・バッチはニュー・オーダー宣言によって共和国が銀河帝国へ再編されたことを知ったが、クロスヘアーを除く隊員は新体制を拒絶し、オメガという名のクローンの少女を連れて脱走した。
特徴[]
概要[]
クローン・フォース99はもともと共和国グランド・アーミーの特殊作戦旅団に属すエリート・クローン・コマンドー分隊だった。[3] 隊員たちは自らを“バッド・バッチ”と称した。部隊の名称は、クローン・トルーパーの故郷である惑星カミーノを分離主義勢力から守るために命を落とした奇形の整備担当クローン[30] “99”にちなんでいる。[1] この部隊のメンバーはそれぞれ、遺伝子操作によって[31] 兵士として“好ましい”突然変異の特性を備えていた。そのためクローン・フォース99の隊員は外見や声などの特徴が標準的なクローン・トルーパーと大きく異なっており、チームを際立たせるユニークな能力を身に着けていた。[32]
彼らの存在は銀河共和国の兵士たちのあいだでも噂になっており、任務を100パーセントの確率で成功に導くと評判だった。彼らは標準的なクローン・トルーパーと行動を共にすることが少なく、任務によってはクローン・マーシャル・コマンダーCC-2224“コーディ”といったクローン・トルーパー・オフィサーの指示を受けることもあったが[1]、特定の指揮官の部下として動いているわけではなかった。[8] また彼らは標準的なクローンのことを“レック”(Regs)と呼んで区別していた。クローン・フォース99の隊員“レッカー”は、レックと一緒に任務をするときはいつも、どんな船に乗っていても撃ち落されてしまうと不満を垂れていた。[1] 反対に、バッド・バッチのメンバーはその特異な外見のせいで、しばしば標準的なクローンから軽蔑や敵意を向けられることがあった。共和国の再編に伴い、クローン・フォース99も新政府銀河帝国の所属となったが、帝国時代初頭に離反して独立したユニットとなり[6]、やがて逃亡・潜伏資金を確保するため傭兵チームとして活動するようになった。[2]
隊員[]
クローン・サージェント(軍曹)の“ハンター”がクローン・フォース99の隊長を務めた。彼はリーダーシップと、ドロイドが発する電磁フィールドを感知できる優れた感覚を備え、トップ・シークレットの危険任務に就くことが多いクローン・フォース99にとって非常に貴重な能力の持ち主だった。ハンターは標準的なクローン・トルーパー(通称“レック”)と一緒に行動すると、分隊の持ち味である型破りだが効果的な戦術が活かせなくなってしまうと考え、彼らとの共同作戦には消極的だった。[33] CT-9904[6]、通称“クロスヘアー”は標準的なクローンよりはるかに優れた視力を持ち、標的を超長距離から仕留めることができた。クロスヘアーはクローン・フォース99の仲間に対しては献身的だったが、普通のクローンのことは消耗品とみなし、軽視していた。[33]
隊員の“テク”はチーム常駐の天才的頭脳として評価されていた。彼は熟練したスライサーであると同時に、武力ではなく緻密な計画によって敵を倒すことを好む、問題解決の専門家だった。テクは暗号解読や言語能力、軍事戦術、そして即興性といった才能にも恵まれていた。“レッカー”はチームの怪力担当であり、ダークなユーモアの持ち主だったが、チームの仲間と、その尊敬を勝ち得た者に対しては深い忠誠を尽くした。彼は戦闘を愛し、ドロイドをスクラップに変えたり、対象を吹っ飛ばすことを楽しんでいた。[33]
以上の4人がクローン・フォース99のオリジナル・メンバーだが[1]、クローン戦争の終盤に5人目が部隊に加わった。アドバンスト・レコン・コマンドーのクローン・コーポラル(伍長)CT-1409“エコー”は、他の4人と違ってもともと標準的なクローン・トルーパーだった。彼はローラ・サユーの戦いで分離主義勢力に捕らえられ、サイボーグとして生かされていたところを救出されたのである。アナクセスの戦いで銀河共和国の勝利に貢献した後、エコーは分隊に加わることを決意し、新たなアーマーを身に着けた。[33]
装備[]
- 「これはどういう船なんだ?」
「オミクロン級アタック・シャトルの改造船だろう」 - ―<マローダー>に乗り込んだクローン・トルーパーの会話[出典]
クローン・フォース99のメンバーは、各自のクローン・トルーパー・アーマーに髑髏のアイコンを入れていた。これはいわば彼らを他のクローン部隊と区別する、非公式のロゴマークのようなものだった。[32] クローン・フォース99はオミクロン級アタック・シャトル<マローダー>を改造し、部隊の宇宙船として使用していた。[34]
歴史[]
クローン戦争[]
ヤルベク・プライムの暴動[]
- 「ヤルベク・プライムの暴動を鎮圧中に連絡を受けました。現地で想定外の事態に巻き込まれまして」
- ―クローン・コマンダー・コーディに対し、サージェント・ハンター[出典]
19 BBY、クローン・フォース99は暴動を鎮圧するためにヤルベク・プライムへ送り出された。この任務の途中、彼らはCC-2224“コーディ”から連絡を受け、惑星アナクセスで次の任務に就くよう要請を受けた。しかしレッカーがヤルベクの女王の針を生きたまま切断してしまったせいで、クローン・フォース99は雄のヤルベク全員から交尾を求められるというトラブルに見舞われた。彼らはなんとかこの予想外の状況を切り抜けてヤルベク・プライムを離れることができたが、アナクセスへ駆けつけるのが遅れてしまった。[1]
サイバー・センター潜入[]
- 「あいつらの噂は色々と耳にしてるぜ」
「任務達成率100パーセントだそうだ」 - ―ジェシーとキックス[出典]
バッド・バッチのメンバーは共和国軍基地フォート・アナクセスに到着すると、コーディやクローン・キャプテンCT-7567“レックス”、ARCトルーパーCT-5597“ジェシー”、クローン・トルーパー・メディックCT-6116“キックス”らと合流した。コーディがバッド・バッチを他のクローンに紹介した後、一行はLAAT/iガンシップに乗り込んだ。彼らの任務は分離主義勢力の頭脳中枢であるサイバー・センターへの潜入だったが、ガンシップはセクター1で待ち構えていたDSD1ドワーフ・スパイダー・ドロイドの砲撃を受け、渓谷に墜落してしまった。バッド・バッチのメンバーは無傷だったが、コーディは残骸の下敷きになって負傷し、レッカーによって救い出された。間もなくバトル・ドロイドの大軍が渓谷になだれ込んできたため、ハンターは分隊隊員にプラン82の実行を命じた。隊員たちはレッカーが持ち上げたガンシップのドアの残骸に隠れながら前進すると、テクが角度を計算し、ハンターが指定された角度通りにEMPグレネードを投げ、クロスヘアーが空中のグレネードを的確な位置で射抜いて起爆させた。バッド・バッチが残ったドロイドをブラスターや格闘で片づけると、コーディは治療のためキックスとともに共和国の陣地に戻った。[1]
残りのメンバーはキャプテン・レックスの指揮のもと、サイバー・センターを目指した。目的地付近の分離主義勢力保安基地にたどり着いた際、ハンターから指示を求められたレックスは、バッド・バッチに倣って迅速な突撃を命じた。彼らは保安基地を制圧すると、ハンターとレッカー、テクが駐機場にあったフリットノット・スピーダー・バイクを奪い、サイバー・センターの裏口に回った。一方、共和国の動きに気付いたトレンチ提督は、大型兵員輸送車のドロイド小隊を送り出した。クローンたちは敵の増援に追いつかれる前に迅速に行動を起こし、ジェシーとレックス、クロスヘアがサイバー・センターの前方で陽動を行い、裏口に回った3名が施設に侵入した。間もなくクローンは施設内にいたすべてのバトル・ドロイドを倒し、トレンチ提督と連絡を取っていたドロイドのコマンダーはクロスヘアーに狙撃された。テクはレックスから戦略アルゴリズムを受け取ると、施設のコンピューターをハッキングし、シーケンスが一致するデータを捜した。その結果、サイバー・センターが惑星スカコ・マイナーからライブ信号を受信していることが判明した。その信号はクローン・トルーパー・“エコー”の認識番号を繰り返しており、レックスは死んだと思っていた仲間が生きていたことを知った。[1]
スカコ・マイナーの任務[]
パーコルのタワー[]
制作の舞台裏[]
構想[]
クローン・フォース99、通称“バッド・バッチ”はTVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』のために創り出された。初登場作品はシーズン7第1話『不良分隊』。[1] なお『不良分隊』から始まる4部作は、『クローン・ウォーズ』シリーズが中止になった際にいちど制作が打ち切られた経緯がある。2015年4月17日、セレブレーション・アナハイムのイベントで、この4部作がストーリー・リールと呼ばれる未完成アニメーションの状態で公開された。[35] また4月19日には公式サイト StarWars.com でもストーリー・リールが公開された。[36] 2020年にシーズン7が『クローン・ウォーズ』のファイナル・シーズンとしてリバイバルされ、『不良分隊』を始めとするエピソードも改めて完成版が Disney+ で公開される運びとなった。[1]
スター・ウォーズの創造者であるジョージ・ルーカスは、クローンの中にも他と比べてユニークな能力の持ち主がおり、強化されたスキルを持つ特殊部隊のようなものがあるのではないかという構想を膨らませ、バッド・バッチのアイデアを思い付いた。[37] ルーカスのヴィジョンは非常に具体的であり、彼は『特攻大作戦』のクローン・バージョンを望んでいた。シリーズの製作総指揮を執るデイヴ・フィローニが隊員たちの外見をスケッチし、脚本家ブレント・フリードマンやマット・ミクノヴェッツが各キャラクターの声や性格を描き出した。[38]
未完成エピソード[]
バッド・バッチが惑星キャッシークへ派遣されるエピソードも『クローン・ウォーズ』の構想段階にあったが、シリーズ打ち切りによって実現せずに終わった。このエピソードは4部作となる予定で、クローンたちがバブワ・ヴェノモーという名のトランドーシャンの分離主義者と戦う内容となっていた。2015年、セレブレーション・アナハイムのイベントで本エピソードのムービー・クリップが流され、バッド・バッチとウーキーが8匹のキンラスを撃退する場面が公開された。[39]
『バッド・バッチ』[]
2020年7月13日、『クローン・ウォーズ』の続編にしてスピンオフ作品にあたる新シリーズ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』が公開されることが発表された。[40] 本シリーズは2021年5月4日に動画配信サービス Disney+ で日米同時に配信が始まった。[6] なお『クローン・ウォーズ』の日本語版ではチームの通称である Bad Batch がシーズン7第1話の邦題と同じく不良分隊と訳されていたが[1]、本シリーズからバッド・バッチとカタカナで表記されるようになった。[6]
登場作品[]
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参考資料[]
- スター・ウォーズ:レベル・ファイルズ
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション
- スター・ウォーズ:カード・トレーダー
- スター・ウォーズ クローン・ウォーズ キャラクター事典
- Clone Force 99/Bad Batch - 公式データバンク
脚注[]