シンタ・グレイシャー・コロニーの任務(Mission to Sinta Glacier Colony)はレジスタンスがシンタ・グレイシャー・コロニーの採鉱監督であるブーリオと接触するため、35 ABYに行った任務である。ファースト・オーダーのスパイから極秘メッセージを入手したブーリオは、宇宙船<タナヴィーIV>を修理するのに必要な部品を渡したいという理由で、レジスタンスをコロニーに呼び出した。ブーリオは自分ではメッセージを解読することができなかったものの、使われている暗号から、上級将校からきたものだと考え、レイア・オーガナに渡すべきだと判断したのである。ブーリオの真の意図を知らないまま、レジスタンスはポー・ダメロンやフィン、チューバッカ、クラウド、R2-D2らを乗せたYT-1300軽貨物船<ミレニアム・ファルコン>をシンタ・グレイシャー・コロニーへ派遣した。
レジスタンスが現れると、ブーリオはコロニーのハッチ越しにデータ・ケーブルを投げ、R2-D2にメッセージを転送した。間もなくファースト・オーダーのTIEファイター部隊がコロニーに出現し、<ファルコン>はデータを受け取るや否や逃走を開始した。ダメロンが操縦する<ファルコン>はコロニーの氷の壁を突き破ってハイパースペースへジャンプしたが、数機のTIEファイターがそれに追従した。そこでダメロンは、カードヴァイトのクリスタル・ケイオスからアイヴェクシアのミラー=スパイアへ、さらにタイフォニック星雲のメガファウナ・キャズムへと危険な“光速スキップ”を行い、ファースト・オーダーを振り切ることに成功した。
<ファルコン>がエイジャン・クロスの基地に戻った後、レジスタンスはスパイのメッセージを解読し、皇帝シーヴ・パルパティーンの復活と、ファイナル・オーダーと呼ばれる大艦隊の存在を知った。一方、ブーリオはファースト・オーダーに捕まり、カイロ・レンによって殺された。のちにレジスタンスは、メッセージを提供したスパイの正体がファースト・オーダーのアーミテイジ・ハックス将軍であったことを知った。メッセージを受けて皇帝のいる惑星エクセゴルの位置を調査・特定したレジスタンスは、エクセゴルの戦いで皇帝率いるシス・エターナルを滅ぼした。
背景[]
35 ABY[3]、エンドアの戦いで死んだと思われていた[4] 銀河皇帝シーヴ・パルパティーンが銀河系に対して放送を行い[1]、シスの復讐が果たされる日は近いと宣言した。[5] これを受け、戦争を繰り広げていたレジスタンスとファースト・オーダーの双方が、真相を突き止めるため情報収集を開始した。先に真相にたどり着いたのは、ファースト・オーダーの最高指導者にして、レン騎士団のマスターであるカイロ・レンだった。カイロは未知領域の惑星エクセゴルで皇帝本人と対面し[1]、シス・エターナル[2] の存在と、シスのカルト教徒たちが長い年月を費やして築き上げた大艦隊“ファイナル・オーダー”の存在を知った。パルパティーンは最後のジェダイであるレイを殺せば、ファイナル・オーダーの指揮権を与えるとカイロに告げた。[1]
ファースト・オーダーのアーミテイジ・ハックス将軍は、ライバルであるカイロ・レンの敗北が見たい一心で、ファイナル・オーダーやエクセゴルに関する情報を敵対勢力に流すことにした。彼はスパイとなり[1]、ファースト・オーダーがシンタ・グレイシャー・コロニーの立入検査を行った際に、暗号化されたデータがレジスタンスの協力者の手に渡るよう取り計らった。この鉱業コロニーで採鉱監督を務めるオヴィッシアンのブーリオは、検査官たちが立ち去った後、オフィスのデータパッドに謎のデータファイルが残されていることに気づいた。ブーリオはファイルのメッセージを解読することができなかったが、使われている暗号からして高階級のファースト・オーダー軍将校から提供されたものだと判断し、仲介者を通してレジスタンスに連絡をとった。しかしブーリオは通信機器によるやり取りを信用しておらず、機密情報を手に入れたことを明かすリスクを冒したくなかったため、CR90コルベット<タナヴィーIV>の修理に必要なレギュレーターを[2] 安価で[5] 提供したいという理由で、レジスタンスをシンタ・グレイシャー・コロニーに呼び出した。[2]
当時レジスタンスはジャングルの衛星エイジャン・クロスに基地を置き、ファースト・オーダーと再び戦うため再起を図っていた。前年、<タナヴィーIV>は本来の所有者であるレイア・オーガナ将軍の手元に戻り、レジスタンスの戦力に加えられたばかりだった。<タナヴィーIV>は当時のレジスタンス宇宙軍最大の宇宙船であると同時に[2]、レイアの司令基地兼通信センターとして活用された。しかし<タナヴィーIV>を再び最高の状態で飛ばすにはレギュレーターを始めとする部品が必要であり、このコルベットはエイジャン・クロスの洞窟で交換部品の到着を待っていた。[5] レジスタンスはブーリオが提供してくれるという部品を回収するため、ポー・ダメロンやフィン、チューバッカ、クラウド、R2-D2ら乗せたYT-1300軽貨物船<ミレニアム・ファルコン>をシンタ・グレイシャーへ送り出した。[2]
シンタはファースト・オーダーが巡回する領域に位置していたため、任務に危険がつきまとうことは、あらかじめ危険が予想されていた。とはいえ、トロダトームのクラウドは、任務の目的が単なる部品回収とされていたため、メカニックとして<ミレニアム・ファルコン>のクルーに加わったに過ぎなかった。[2] <ファルコン>は前回の任務以来ショートに悩まされていたため、クラウドはシンタ・グレイシャーへの旅の間、この軽貨物船の電子機器の修理に取り組んだ。[5] その間、ダメロンとフィン、チューバッカはデジャリックのゲームに興じた。[1] レジスタンスはシンタ周辺にファースト・オーダーがいることに気づいたが、<ファルコン>に確認を取ることができなかった。[6] ケイデル・コー・コニックス中尉は<ファルコン>がまだ戻らないことをレイアに知らせ、次の指示を仰いだ。[1]
任務[]
情報回収[]
- 「ブーリオ、会えて嬉しいよ。何をくれるって?」
「新しい仲間から送られてきた。ファースト・オーダーのスパイだ」
「スパイ? 誰だ?」
「知らねえ」 - ―フィンとブーリオ[出典]
光速を抜けて[5] シンタ・グレイシャーに到着すると、<ファルコン>はこの巨大な氷塊に築かれた小惑星コロニーの中に入り、ブーリオとの合流地点へ向かった。[1] この時点で、追っ手の存在は検出されていなかった。ダメロンが氷の洞窟の中を飛行し、<ファルコン>をコロニーのハッチの真下につけると、フィンが<ファルコン>側のハッチを開き、オヴィッシアンの情報提供者と対面した。ハッチ越しに挨拶を済ませると、フィンはブーリオに、これから何をやり取りするか確認をとった。するとブーリオは、事前に連絡していたレギュレーターではなく、ファースト・オーダーのスパイがもたらしたデータを渡すつもりであることを初めて明かした。[5] フィンはスパイとは誰のことかと訪ねたが、その答えはブーリオも知らなかった。[1]
ブーリオはフィンにネットワーク・ケーブルを投げ渡し、急いで情報をレイアに届けるよう指示した。[1] ブーリオはスパイが自分のもとに情報を置いていった以上、自分とレジスタンスの関係がファースト・オーダー側にも知られているはずだと考えていた。[5] フィンはすぐにケーブルをR2-D2につなぎ、データをアストロメク・ドロイドへ転送し始めた。その直後、TIEファイター・パイロットの[1] トフィッド・ブラスター中尉[2] が先導するファースト・オーダー軍のTIE/sfおよびTIEウィスパー・スターファイター部隊がシンタ・グレイシャー・コロニーに姿を現した。[1] コックピットにいるダメロンは、船の修理部品をひとつ回収するだけなのにフィンは何をもたついているのかと不満に思いながら[5] 敵の出現を警告した。TIEが迫りくる中、R2-D2はデータの転送を完了し[1]、情報をメモリー・バンクに加えた。[2] ブーリオとの別れ際、レイアから部品代として金を預かってきていたフィンは、今回の礼はどうしたらいいかと尋ねたが、ブーリオは戦争に勝て、とだけ告げてハッチを閉じた。[5]
ダメロンは<ファルコン>を即座に出発させ、TIEファイターの銃撃をかわしながらシンタ・グレイシャーの氷の通路のひとつに飛び込んだ。[1] フィンはブーリオの真の目的を仲間たちに伝える暇もなく、敵機に応戦するため貨物船の銃座についた。フィンは[5] AG-2G四連レーザー砲[2] でTIEファイターを1機撃墜したものの、まだ多くの敵が<ファルコン>の後方に群がっていた。チューバッカの指摘で、前方に巨大な採掘機械が突き出していることに気づいたダメロンは、敵を機械の下敷きにする作戦を思いついた。フィンは自分も同じことを考えていたと告げ、ダメロンが<ファルコン>の上下を反転させると、レーザー砲で機械を撃ち落とした。彼らの目論見通り、後ろをつけていたTIEは機械と衝突して爆発した。[5]
フィンは勝利を喜び、基地に戻ろうと呼びかけたが、<ファルコン>が氷の穴を抜けて別の通路に入ると、さらなるTIEファイターの大軍が前方に現れた。[1] TIEファイターの向こうに、機械と鉱物にまみれた氷の壁があることに気づいたダメロンは、壁を突き破ってそのままハイパースペースへジャンプするアイデアを思いついた。ダメロンはスロットルを引いて機体を壁に向かって直進させ、船に激震が走った瞬間、ハイパードライブを使用した。[5]
光速スキップ[]
- 「よし、最後のジャンプだ。人生最後のジャンプになるかもな!」
- ―ポー・ダメロン[出典]
<ミレニアム・ファルコン>がジャンプした先は、輝く石筍の柱が立ち並ぶ洞窟のような空間[5]、カードヴァイトのクリスタル・ケイオスだった。[2] しかしファースト・オーダーのTIEファイターも直後にジャンプして<ファルコン>に追いつき、リアルスペースに出るや否や銃撃を続行した。[1] クリスタルの柱に反射した光が目を刺す中、ダメロンは石筍とレーザーを交わしながら巧みに飛行したが、TIEファイター数機は衝突して爆発した。[5] ダメロンは航法コンピューターを叩いて次の目的地を入力すると[6] 間髪入れずに再びハイパースペースへ“光速スキップ”し、フィンを驚かせた。[1] <ファルコン>には工兵隊のリーダーである技術者のローズ・ティコによって重量調整器が取り付けられており、準軌道でのハイパースペース・ジャンプや[2]、素早い連続ジャンプが比較的安全にこなせるようになっていたのである。[5]
<ファルコン>と追っ手のTIEファイターは、輝く白い塔が並ぶアイヴェクシアのミラー=スパイアの真っ只中へ飛び出した。鏡の塔がいくつもの像を反射するため本物の区別がつきにくく、ここでも数機のTIEが衝突を回避することができず大破した。[5] ダメロンはシリウーク語で文句を言うチューバッカを制すと、航法コンピューターを操作して再度ハイパースペースのレバーを引いた。そこは緑色のガスが立ち込める[6] タイフォニック星雲のメガファウナ・キャズムであり[2]、追っ手の数はわずか2機にまで減少していた。3本の歯が生えた巨大クリーチャーが彼らの眼前に立ちはだかったが、ダメロンは最後のジャンプと宣言して衝突直前にハイパースペース・ジャンプを行った。一方、TIEファイターは宇宙生物の口に直撃して爆発した。[1]
その後[]
- 「ファースト・オーダーのスパイがもたらした情報を解読した。最悪の事態だ。なんらかの形で、パルパティーンが復活した」
- ―ポー・ダメロン[出典]
TIEファイターの追跡を振り切った<ミレニアム・ファルコン>はなんとかエイジャン・クロスに戻ることができたが[1]、船体の外側は焼け焦げて変色し、船体プレートが吹っ飛んで電線管やワイヤーがむき出しになり、エンジンやコンプレッサー、変速機、着陸装置も煙を上げているというひどい有様だった。基地の需品係将校であるアートン・チリーン中尉がすぐさま消火班を呼び[2]、大勢のドロイドやメカニックによって消火活動が行われた。[5] レイは仲間が無事に戻ってきたことを喜びつつも、今は亡きハン・ソロの宇宙船に傷をつけたダメロンに苛立ちを隠せなかった。一方、ダメロンも自分のアストロメク・ドロイドBB-8がレイのジェダイの修行中に破損したことに気づき、2人は言い争いになった。ダメロンが光速スキップを行ったことを知るとレイの口調はさらにきつくなったが、BB-8が木の下敷きにされたことを知ったダメロンもそれに応酬した。[1]
<ファルコン>がシンタ・グレイシャー・コロニーから持ち帰ったメッセージは、ボーモント・キンやプロトコル・ドロイドC-3POによって解読された。[5] その後、レイア・オーガナ将軍以下、エイジャン・クロス基地のメンバーは<タナヴィーIV>の近くに集まり、ダメロンからメッセージの内容を聞いた。ローズ・ティコやアフタブ・アクバーはパルパティーンの復活を信じられなかったが[1]、シスに詳しい歴史学者の[2] ボーモントは、闇の科学やクローニングといったシスのみが知る秘儀が使われた可能性を指摘した。またダメロンは、ファイナル・オーダーの攻撃が16時間後に迫っていることや、彼らの拠点が未知領域のエクセゴルであることを仲間たちに伝えた。エクセゴルの座標はどの星図にも記載されていなかったが、レイはルーク・スカイウォーカーから受け継いだジェダイの聖典[1] 『ラマゴン』[2] に、エクセゴルを見つけるための道具シス・ウェイファインダーに関する記述があったことを思い出した。レイは仲間たちと一緒に、かつてルークがウェイファインダーを探すため訪れて行き詰まった惑星、パサーナへ向かうことになった。[1]
一方、ブーリオはレジスタンスに情報を提供した後ファースト・オーダーに捕まり、リサージェント級スター・デストロイヤー<ステッドファスト>へ連行された。フランティス・グリス提督によってカイロ・レンの前に連れて行かれたブーリオは、即座にカイロのライトセーバーで首を切り落とされた。[6] カイロはファースト・オーダー最高評議会の会議に出席した際、ブーリオの首をテーブルに置き、レジスタンスに情報を流しているスパイがいると呼びかけた。その後、ダメロンとフィンがキジーミにおける任務でファースト・オーダーに捕まった際、ハックス将軍は2人を逃し、自分がスパイであることを明らかにした。しかし間もなくハックスはエンリク・プライド忠誠将軍に裏切りを見抜かれ、射殺されてしまった。[1]
結局、レジスタンスが探していた皇帝のウェイファインダーはカイロ・レンによって破壊されたが、レイはカイロが所有していたウェイファインダーを手に入れ、エクセゴルにたどり着くことができた。レジスタンスもレイの航跡を頼りにシスの秘密の惑星を見つけ出し、エクセゴルの戦いが発生した。彼らは民衆の艦隊の助けを借りてファイナル・オーダーを破り、シス・エターナルの脅威に終止符を打つことに成功した。[1]
制作の舞台裏[]
この出来事は2019年12月20日公開のシークエル・トリロジー最終作『スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』で初めて描かれた。[1] また「シンタ・グレイシャー・コロニーの任務」という呼称は、映画公開日に発売された設定資料集『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け ビジュアル・ディクショナリー&クロスセクション』(パブロ・ヒダルゴ著)で初めて使用された。[2]
登場作品[]
- スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け (初登場)
- スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 小説版
- スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け ジュニアノベル版
参考資料[]
脚注[]
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 1.20 1.21 1.22 1.23 1.24 1.25 1.26 1.27 1.28 1.29 1.30 1.31 1.32 1.33 1.34 1.35 1.36 1.37 1.38 1.39 1.40 1.41 1.42 1.43 1.44 1.45 スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け
- ↑ 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 2.12 2.13 2.14 2.15 2.16 2.17 2.18 2.19 2.20 スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け ビジュアル・ディクショナリー&クロスセクション
- ↑ 3.0 3.1 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け ビジュアル・ディクショナリー&クロスセクション』によれば映画『スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』の時系列はホズニアン事変の1年後である。『スター・ウォーズ ギャラクティック アトラス』によればホズニアン事変は34 ABYであるため、シンタ・グレイシャー・コロニーの任務が描かれた『スカイウォーカーの夜明け』の時系列は35 ABYとなる。
- ↑ スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還
- ↑ 5.00 5.01 5.02 5.03 5.04 5.05 5.06 5.07 5.08 5.09 5.10 5.11 5.12 5.13 5.14 5.15 5.16 5.17 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 小説版
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け ジュニアノベル版
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