ジェダイ・イニシエイト(Jedi Initiate)、あるいはジェダイ・ヤングリング(Jedi youngling)はジェダイ・オーダーによって銀河系の各地から集められた、さまざまな種族からなるフォース感応者の子供たちである。彼らはクランと呼ばれるグループに組み分けされ、惑星コルサントのジェダイ・テンプルで修行を積んだ。ある程度の段階に達したイニシエイトたちは惑星イラムに旅してギャザリングと呼ばれる通過儀礼に参加し、カイバー・クリスタルを見つけ出して自分のライトセーバーを制作した。ジェダイのグランド・マスター・ヨーダはその長いキャリアのなかで、あらゆるイニシエイトたちにフォースの指導を行った。やがて彼らはイニシエイト・トライアルという試練を受け、合格した者は特定のジェダイ・ナイトやマスターのパダワン見習いに昇格した。
クローン戦争中、シスの暗黒卿ダース・シディアスは賞金稼ぎキャド・ベインを雇い、ジェダイ・イニシエイトの候補者であるフォースに敏感な幼児たちのリストを手に入れた。シディアスは彼らを誘拐してムスタファーの施設へ連れ去り、ダークサイドの手先として訓練しようとした。この企みはジェダイによって阻止されたものの、フォースの力を持つ幼児をシスの目的のために誘拐する計画は帝国時代にも継続して行われた。戦争終結時にジェダイの大粛清が行われ、幼い子供を含む大部分のジェダイが命を落としたため、イニシエイトの育成にも終止符が打たれた。新共和国時代にはルーク・スカイウォーカーがジェダイの復興を試みたものの、短期間に終わった。一方、対象者を幼少の頃から鍛え上げるというジェダイの訓練手法は、ブレンドル・ハックス司令官に評価され、皮肉にもファースト・オーダーのストームトルーパー育成プログラムに影響を与えることになった。
概要[]
ジェダイの未来[]
銀河共和国の平和と正義を守ることを目的とする禁欲的組織、ジェダイ・オーダーは[5]、フォースの才能を備えた生後間もない子どもを銀河系各地から見つけ出しては、新たなメンバーに加えていた。[6] 彼らは血液検査によって対象者のミディ=クロリアン数値を測定し[7]、さまざまな種族のフォース=センシティブの幼児を見つけ出した。[6] こうした幼児たちはジェダイに加わる以前からフォースの特定の一面に長けているケースが多いが、ジェダイの訓練を積むことで他の面にも習熟していった。[8] フォースの感応能力を認められた幼児[1]、あるいは小児は[9] 惑星コルサントにあるジェダイ・テンプルへ連れて行かれ、パダワンになるまでそこで暮らし、訓練を積んだ。[1][4] 通常、テンプルへ連れて来られるフォース感応者の年齢はきわめて幼く、アナキン・スカイウォーカー以前の最年長記録は5歳でオーダーに加わったラエル・アヴェロスだった。[10]
ジェダイ・オーダーはフォースの感応能力が確認された子供たちの名前や居場所といった個人情報をリストにして管理していた。[11] こうした子供たちはジェダイの未来を担う重要な存在であることから[12]、ジェダイ最高評議会はリストをオーダーの内部に安全にとどめておくため最大限の配慮を払っていた。[11][12] リストはカイバー・メモリー・クリスタルと呼ばれる小さな記録保管媒体に保存され、ジェダイ・ホロクロンを使わなければ内容が見られない仕組みになっていた。[11] そしてホロクロンはジェダイ・テンプルのアーカイブ内にある保管庫に仕舞われていた。[12] メモリー・クリスタルとホロクロンを両方手に入れたとしても、リストを開くことができるのはフォースのテレキネシス能力を使って両者を組み合わせることができる者だけだった。[11] またクリスタルはジェダイ・マスター・ボーラ・ロポルをはじめとするジェダイ・オーダーの一部メンバーによって管理されていた。[13]
イニシエイトのクラン[]
- 「感じるのじゃ。周りに満ちているフォースをとらえよ。感覚を研ぎ澄ますのじゃ」
- ―ベア・クランのイニシエイトに対し、ヨーダ[出典]
ジェダイ・オーダーに加わったイニシエイトたちは、およそ20名の生徒によって構成される10のクランのいずれか組み分けされた。[1] そのうちのひとつがベア・クランであり、4歳から8歳のジェダイ・イニシエイトで構成されていた。[14] 幼くしてオーダーに連れてこられたイニシエイトたちにとって、クランの同級生たちは新しい家族のような存在となった。[15] イニシエイトはクランの仲間と一緒に生活し、訓練を受け、最終的にイニシエイトを卒業するための試験、“イニシエイト・トライアル”を一緒に受けた。合格者は特定のジェダイのパダワンに選ばれ、クランを去った。落第者は、さらにもう1年クランでの修行を言い渡されるケースがあった。[16]
訓練[]
- 「800年の間、ジェダイを訓練してきたのだ、わしはな。誰を訓練するかは、このわしが決める」
- ―ヨーダ[出典]
イニシエイトたちはクランに参加したのち、ジェダイの技術の基礎的な訓練を開始した。[1] クランには特定のジェダイの監督者がいたが、他にも多くのジェダイ・マスターがイニシエイトのクランを相手にそれぞれの専門分野の授業を受け持っていた。[16] イニシエイトたちは本物のライトセーバーを持たされる前に、木剣のライトセーバー訓練用スタッフや[17] エレクトロブレードを使って訓練を積んだ。[16] また標準よりも小型で低出力のトレーニング・ライトセーバーを使い、訓練用リモートから放たれるブラスター弾を変更する訓練が行われることもあった。[4][18]
一人前のジェダイになるための次なるステップは、自分自身のカイバー・クリスタルを手に入れ、ジェダイの武器である本物のライトセーバーを組み立てることだった。この試練は、ギャザリングと呼ばれる通過儀礼を通して行われた。[9] ギャザリングはクローン戦争の何世紀も前から続く重要な伝統行事であり[19]、イニシエイトたちはフォースを通じて自分と共鳴するクリスタルを見つけ出す必要があった。イニシエイトはギャザリングに参加するためにコルサントのジェダイ・テンプルを離れ[9]、未知領域に属す極寒の惑星[20] イラムのクリスタル洞窟へ旅した。[9] ここはジェダイ・オーダーにとって最も神聖な場所のひとつとされていた。[19] クリスタルを手に入れた後もライトセーバーを手に入れるための試練は続き、イニシエイトたちはすべての必要な部品をフォースで浮遊させ、慎重に新たな武器を組み立てる必要があった。[21]
ジェダイ・オーダーの伝説的なグランド・マスターであるヨーダは[22]、その長い生涯で800年にわたってジェダイたちの教師を務め[23]、イニシエイトの指導を行った。[4][24] ヨーダはイニシエイトたちにライトセーバーを使った戦闘技術の初歩を教え、己の感覚を研ぎ澄ませてフォースの導きに従うよう子供たちに教えていた。[4] またライトセーバーの基礎訓練に加え、ヨーダはギャザリングに臨むイニシエイトたちのガイド役も務めた。[9]
同じく老齢のジェダイ・マスターであるテラ・シヌーベは、ホークバット・クランをはじめとするイニシエイト・クランの監督者を務めた。[16] シヌーベはイニシエイトのライトセーバー訓練教官も務め、ジェダイ・テンプルの訓練場などで指導を行っていた。[25] クランの監督を務めるマスターたちは、年長者の経験談をイニシエイトに聞かせてやるため、パダワンなどをゲストとして教室に招くこともあった。[26] またイニシエイトにライトセーバーの正しい作り方を教えるのは、ヒュイヤン教授と呼ばれるアーキテクト・ドロイドの仕事だった。ヒュイヤンはイラムへの旅に使われるパラディン級コルベット<クルーシブル>に乗り込み、千世代に及ぶイニシエイトたちのライトセーバー制作を監督した。若き日のヨーダも、ヒュイヤンに学んだ生徒の1人だった。[27]
歴史[]
クローン戦争中の21 BBY[2]、シスは次世代のジェダイ候補である子供たちを誘拐するため、ジェダイ・ホロクロンと[12] カイバー・メモリー・クリスタルを盗み出す計画を立てた。[11] 表向きにはシーヴ・パルパティーン最高議長の名で知られる[28] シスの暗黒卿ダース・シディアスは、ニュー・オーダー体制のもとで自身に仕えるダークサイドの使い手集団を手に入れるため、子供たちを実験的な手法で育成しようと企んでいたのである。シディアスは銀河系各地から数名の子供を連れ去るところまでは成功したものの、ジェダイ・ナイトのアナキン・スカイウォーカーやパダワン・アソーカ・タノによってムスタファーの秘密施設を見つけ出され、計画は一度は失敗に終わった。[6]
戦争終結時、スカイウォーカーはダークサイドに転向してシディアスの弟子となり、シス卿ダース・ヴェイダーの名を与えられた。銀河系各地でオーダー66が実行される中、ヴェイダーは新たなマスターの命令でジェダイ・テンプルへの軍事攻撃を指揮した。かつての仲間たちに一切の情けをかけぬよう命じられたヴェイダーは、幼いイニシエイトたちに対してもその命令を忠実に実行した。最高評議会室に隠れていたイニシエイトのひとりは、スカイウォーカーがまだジェダイ・ナイトだと思い込み、クローン・トルーパーの大軍を前に自分たちは何をすればよいかと尋ねた。しかしヴェイダーは質問に答えず、子供たちを殺すためライトセーバーを起動した。ジェダイ・オーダーは銀河帝国の台頭に伴って壊滅状態となり、イニシエイトたちも虐殺されたため、次世代のジェダイの育成もいったんは途絶えてしまった。[28]
オーダーは滅びたが[28]、ジェダイのごく少数の生き残りはシスや帝国に追われながら暗黒時代を生き抜いた。[23][29] しかし生存者たちは姿を隠して生活していたため、この時代のフォース=センシティブの子供たちのほとんどはジェダイになる機会を得られなかった。[8] それどころか、帝国はフォース=センシティブの子供たちの居場所を特定し[30]、シディアスのクローン戦争当時からの野望を達成すべく、ハーヴェスター計画の一環としてヴェイダーや尋問官といった追っ手を差し向けた。[31][32]
帝国が滅びた後、ジェダイ・オーダーは短いあいだではあったが、ジェダイ・マスター・ルーク・スカイウォーカーの指導のもとで復活を遂げ、新世代の育成が始まった。[33] 一方、幼い子供たちを集めて育成するというジェダイ・オーダーの訓練手法は、帝国のブレンドル・ハックス司令官にも影響を与えた。帝国アカデミーの教官を務めていたハックス司令官は、ジェダイ・オーダーや共和国グランド・アーミーのクローン兵士の訓練法を高く評価していた。[34] ハックス司令官が考案した新手法は、のちにファースト・オーダーのストームトルーパー育成プログラムに活かされた。[35] ファースト・オーダーはリザレクション計画を実行して各地の星々から子供たちを誘拐し[36]、エリート兵士になるための訓練を積ませた。ハックス司令官が考案したプログラムは、彼の嫡出子であるアーミテイジ・ハックス将軍によって受け継がれ、継続された。[35]
制作の舞台裏[]
ジェダイ・イニシエイトは2002年公開のプリクエル・トリロジー第2作『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』で初めて登場した。[4]