ジャクーの戦い(Battle of Jakku)は5 ABY、エンドアの戦いから1年と4日後に発生した銀河内戦最後の大規模軍事衝突である。銀河帝国の残存勢力がインナー・リムの砂漠の惑星ジャクーに集結していることを知った新共和国が、これを一網打尽にするため艦隊を派遣した。両軍とも知らなかったが、この戦いは亡き皇帝シーヴ・パルパティーンが遺した終末司令の一環として、“帝国の助言者”を自称するガリアス・ラックス元帥によって仕組まれたものだった。シス卿であるパルパティーンは、帝国が皇帝を失ったまま存続することを望まず、自分が死んだ時はすみやかに帝国を滅亡させるようラックスに命じていたのである。皇帝の命令通り、帝国残存勢力の指導者となったラックスは自身の故郷でもあるジャクーに帝国艦隊を集結させた。
ラックスはジャクー観測所を利用して惑星を破壊し、古き帝国を新共和国もろとも滅ぼすつもりだった。同時に、ラックスは銀河系を支配するにふさわしい新帝国設立の野望を実現するため、ブレンドル・ハックス司令官をはじめとする一握りの幹部を引き連れて未知領域に姿を消す計画を立てていた。ジャクーに帝国が集まっていることを知った新共和国は、帝国の残党を一度に滅ぼすチャンスを逃すまいと、防衛艦隊を派遣した。ギアル・アクバー率いる新共和国軍は宇宙空間と地上で帝国の残党と激突し、グランドモフ・ランドのスーパー・スター・デストロイヤー<ラヴェジャー>をはじめとする大量の宇宙船が砂漠の地表へ墜落した。ラックスの計画は彼の部下であるレイ・スローネ大提督によって阻止され、ジャクーの戦いは帝国の一方的な大敗北に終わった。
ジャクーの戦いの後、帝国のマス・アミダ大宰相は新共和国との和平条約である銀河協定に署名し、戦争に終止符が打たれた。ラックスから死の間際に野望を託されたレイ・スローネは、一部の残党を率いて未知領域に姿を消した。また大量の宇宙船が墜落した戦場跡地は“宇宙船の墓場”と呼ばれるようになり、ジャクーではゴミ漁りたちによる廃品回収業が栄えるようになった。
背景[]
帝国の崩壊[]
銀河帝国は4 ABYに発生したエンドアの戦いで共和国再建のための同盟(反乱同盟)に大敗を喫し、第2デス・スター・バトル・ステーションを失った。この戦いのさなか、反乱軍に所属するジェダイ・ナイトのルーク・スカイウォーカーは父親であるシス卿ダース・ヴェイダーを説得し、彼をフォースのダークサイドから転向させた。ヴェイダーはジェダイのアナキン・スカイウォーカーとして銀河皇帝シーヴ・パルパティーンに立ち向かい、このシス・マスターをデス・スターの反応炉に落として葬った。その後、反乱同盟は帝国との戦争に勝利したことを喜び、森の月エンドアで祝典を開いた。[21] しかし反乱同盟が新共和国として生まれ変わった後も、銀河帝国との血なまぐさい戦争はエンドアの戦いからさらに1年も継続したのだった。[22]
エンドアの戦いから数ヶ月、銀河帝国との戦いで勝利を重ねた新共和国は、銀河系の大部分の支配権を掌握し、惑星シャンドリラで銀河元老院を再建した。一方の帝国は、ユーブリック・アデルハード総督率いるアノート宙域の残存勢力や、グランドモフ・ローゼン・トルラック率いるキャッシークの残党など、数々の派閥に分裂した。表向きの指導者は惑星コルサントを統治するマス・アミダ大宰相であったが、彼にはほとんど実権が伴っておらず[23]、内戦状態にある帝国の首都惑星において事実上の軟禁状態に置かれていた。[4]
5 ABYの時点で、ガリアス・ラックス元帥がヴァルピナス星雲やアルマゲスト、レクルース星雲、ケルーハン星雲、ロ=ルー・トライアングル、イナモラータといった領域で帝国軍残存勢力の指揮権を掌握していた。また帝国最後のスーパー・スター・デストロイヤーとされる<ラヴェジャー>もラックスの指揮下にあった。ラックスは自ら表舞台には立たず、有能な指揮官であるレイ・スローネ大提督を帝国の公の指導者に立て、彼女を通して残存勢力を操っていた。この年、彼はスローネがシャンドリラで新共和国との偽りの和平会談を行うよう仕向けた。和平会談のさなかに新共和国に対するテロ攻撃を起こし、スローネにその罪をなすりつけた後、ラックスはいよいよ自ら指導者の地位につき、“皇帝の助言者”を称した。そして彼は<ラヴェジャー>をはじめ、必ずしも全軍とは言わないまでも、帝国の残党の大部分をジャクーに集結させた。[23]
終末司令[]
ラックスに仕えるシャドウ評議会ですら知らなかったことだが、皇帝パルパティーンは自分が死んだ場合に備えて“終末司令”を準備しており、ジャクーはその鍵となる場所だった。シス卿であるパルパティーンははじめから自分の帝国を誰かに引き継がせるつもりはなく、自分が死んだ後は、すみやかに崩壊させることを望んでいたのである。[4] 25 BBY、パルパティーンは当時若き孤児であったラックスとジャクーで出会った。この少年に将来性を感じたパルパティーンは[23]、のちに“ジャクー観測所”施設となる[4] プレインティヴ・ハンド高原の謎多き発掘現場を守る任務をラックスに与えた。[23] この任務と引き換えに、パルパティーンはラックスに教育を施し、彼が元帥の地位に上り詰めるよう手配した。ラックスは皇帝の計画の執行者となるべくして育ち、成長したのである。[4]
ラックスの指揮のもと、帝国軍は新共和国が偶然彼らの存在に気づく数ヶ月前からジャクーに根を下ろしていた。長い待ちぼうけと、砂漠の惑星の荒涼とした過酷な気候が相まって、帝国軍には重い精神的な負担がのしかかった。中には地元の住民から食料や水を盗む者も出るほどだった。そんな中でもラックスは、この星における目的について疑問を差し挟む者に厳しい懲戒処分を下した。ストームトルーパーのRK-242は、これ以上ジャクーにいたくないと口にしたばかりに、ライロン軍曹や同僚から罰として暴力を加えられた。[4]
軌道上の帝国艦隊に加え、ラックス元帥はシンキング・フィールドの帝国軍基地にも地上部隊を配備していた。またラックスは地元の犯罪王であるニーマ・ザ・ハットと取り引きをしていた。ニーマに仕える奴隷や手下たちは、帝国のために小さな村や“隠者”たちの運営する孤児院から子どもたちを誘拐した。ラックスは幼い頃に隠者コロブの使用人として働かされていた苦い過去があり、隠者たちに自らの過酷な生い立ちの復讐を求めていたのである。連れ去られた子どもたちはブレンドル・ハックス元司令官による訓練を受け、ラックスの命令ならば殺人もいとわない冷酷な少年兵士団となった。一方、ブレンティン・ロアー・ウェクスリーとともにシャンドリラから脱出したレイ・スローネは、ラックスを捜索するうちに彼の生い立ちを知った。ラックスの過去にまつわる意外な真実を知ってもスローネの決意は揺るがず、シャンドリラで自身を失脚させた元帥に対する憎しみを強めるばかりだった。[4]
またラックスはジャクーのプレインティヴ・ハンド高原で“観測所”と呼ばれる帝国施設を管理していた。観測所には皇帝の個人用ヨット<インペリアリス>のレプリカや、チスのスローン大提督の知識に基づいた未知領域のコンピューター・マップなどが保管されていた。また観測所はジャクーのコアにつながる深い掘削孔のうえに建てられていた。皇帝の遺した終末司令の一環として、ラックスは観測所を使って惑星を吹っ飛ばし、帝国軍の残党を新共和国軍もろとも破壊しようと画策していたのである。しかしラックスは、皇帝の計画とは別に独自の野望も抱いていた。彼はブレンドル・ハックスやその息子アーミテイジ、そして少年兵士団のメンバーのような新国家にふさわしい人材を未知領域に逃し、新たな帝国を築きたいと考えていたのである。[4]
新共和国の対応[]
新共和国のメンバーであるノラ・ウェクスリーと彼女のチームは、夫ブレンティンと一緒に逃亡したレイ・スローネを探していたときに、ジャクー上空でラックスの帝国軍残存勢力を発見した。ノラと賞金稼ぎジャス・エマリは脱出ポッドを使ってジャクーの地表に降り、ノラの息子であるテミン・ウェクスリーとシンジャー・ラス・ヴェラスはスターシップ<モス>で新共和国の首都シャンドリラに戻った。またテミンは母親の手助けをするためにB1バトル・ドロイドの相棒ミスター・ボーンズをジャクーへ送った。ノラとジャスはストームトルーパーに捕まってしまい、ノラはケシウム・ガス採掘施設で労働を強いられ、首に賞金が懸けられていたジャスはニーマ・ザ・ハットと賞金稼ぎマーキュリアル・スウィフトの捕虜になった。タリスでジャスに嵌められた恨みを持つスウィフトは、復讐のため彼女をブラック・サンに引き渡そうと考えていた。[4]
一方、レイ・スローネとブレンティン・ロアー・ウェクスリーもジャクーを訪れ、ガリアス・ラックスに対する復讐を模索していた。彼らはニーマ・ザ・ハットを巧みに説得し、プレインティヴ・ハンド高原にあるラックスの武器庫へ案内させた。またノラはミスター・ボーンズの助けを借りて帝国のもとから脱出し、ジャスもスウィフトから逃れてノラと合流した。2人はスローネの追跡を再開し、プレインティヴ・ハンド高原を目指した。しかしニーマのキャラバンの中にスローネがいることに気づいたラックスは、彼女を観測所にたどり着かせまいと、爆撃を開始した。ノラとジャスは現場近くに居合わせたが、スローネとブレンティンが帝国に捕まるのを離れて見ていることしかできなかった。その後、スローネとブレンティンはラックスが新共和国の破滅的な結末に向けて準備を進めていたジャクーの主要帝国基地へと連行された。[4]
その頃、テミンとシンジャーはジャクーに帝国の残党が集まっているというニュースを携え、シャンドリラに戻った。2人はこの事実をモン・モスマ議長やプリンセス・レイア・オーガナ、ハン・ソロたちに伝えた。しかしレイアとハンが所有する子守ドロイドT-2LCに仕掛けられた盗聴器によって、会話の内容がモスマの政敵であるトルワー・ワートル元老院議員に盗み聞きされていた。ワートルはこのニュースをメディアに流し、情報を公にしなかったモスマを糾弾する材料にした。その後、新共和国の手順通り銀河元老院で会議が開かれ、新共和国防衛軍による大規模な軍事行動を許可するか否かの投票が行われることになった。[4]
シャンドリラの元老院で行われた最初の投票では、モン・モスマは過半数の支持を得ることができず、ジャクーへの派兵を否決された。この問題は、新共和国の首都をミッド・リムの農耕惑星ナカディアに移す議論と時期が重なったこともあって複雑化した。やがてモスマは、ワートル議員が銀河内戦を長引かせる目的でブラック・サンやレッド・キー・レイダースと共謀し、5人の元老院議員(アンサン・プライムのアシュミン・エク、フロングのレサロウ、ローディアのドア・ウイード、グレルカ・ソルカ、ニム・ター議員)を買収・脅迫してモスマの決議に反対票を投じさせていたことを突き止めた。仲間たちがその裏付けのために奔走するあいだ、モスマはナカディアで行われる再投票を先延ばしにして時間を稼ごうと、ワートルの宇宙船にプタ・フルーツを持ち込んだ。ナカディアは農業惑星であるためバイオセキュリティが厳しく、ワートルの船は数時間にわたって隔離され、投票の開始が遅れた。[4]
一方、モスマによって派遣されたハン・ソロとテミン、シンジャー、元新共和国軍特殊部隊兵士ジョム・バレル、シンジャーのボーイフレンドのコンダー・キルは、5人の元老院議員をスパイし、モスマの決議に賛成票を投じるよう説得した。彼らはアシュミン・エクとレサロウ、ドア・ウィード議員が貿易協定を持ちかけられて買収されていたことを突き止めた。またニム・ター議員は息子を、グレルカ・ソルカ議員はペットのジャーバを誘拐され、脅迫を受けていた。ハンのチームはニムの子どもをギャングから救い出し、シンジャーはモスマの顧問のふりをして5人に接触し、再決議でモスマを支持すれば彼らの違法行為を見逃すと持ちかけた。シンジャーの機転により、その後の決議でジャクーに新共和国軍を派遣することが決まった。[4]
指揮官と戦力[]
銀河元老院がジャクーへの派兵を決定した後、新共和国は軍隊の動員を開始した。[4] ジャクーは資源的・戦略的価値がほとんど無い惑星だったが、その星に帝国が結集しているという事実は、新共和国にしてみればたった一度の攻撃で敵艦隊を一掃できるまたとないチャンスだった。[13] ジャクーにおける新共和国の作戦目標は帝国の残存艦隊を撃破することだけでなく[4]、銀河内戦の重要な戦局を有利に進めることや、ジャクーにある帝国の兵器施設を確保することが含まれていた。[8] 発展途上の新共和国防衛艦隊がスターシップ不足に直面していた上、帝国がいまだに銀河系の主要造船所をいくつか支配していたこともあり、カーリスト・ライカン将軍は敵からスター・デストロイヤーを奪取するため複数の移乗攻撃部隊を編成した。スター・デストロイヤーの構造やハイパードライブ、自爆メカニズムの仕組みに詳しい元帝国宇宙軍パイロットのセイン・カイレル中尉やケンディ・イデルらがこの攻撃部隊に参加していた。[1] モン・カラマリのギアル・アクバー元帥とキルスタ・アガト准将が新共和国の宇宙攻撃の指揮を執り、ブロックウェイ中将とタイベン将軍(彼はシャンドリラから遠隔で指令を出した)が地上攻撃部隊の指揮官を務めた。[4]
一方、ガリアス・ラックス元帥もジャクーの上空で帝国の全軍を動員し[4]、エンドア以来となる大規模戦闘に備えた。[13] ラックスはグランドモフ・ランドに帝国艦隊の指揮を託し、ホドナー・ボラム将軍にジャクーの地上にいる部隊の指揮を任せた。戦いが始まる前、ラックスは終末司令の一環として少年兵士団に命じて帝国のプロパガンダ活動家であるフェリック・オブデュアを密かに暗殺させた。またラックスは“古き帝国”を滅ぼす陰謀をレイ・スローネとブレンティンに誇示するため、2人の見ている前で少年兵師団にストームトルーパーの一団を処刑させた。のちにラックスは帝国軍を鼓舞するスピーチを行い、敵にわずかばかりの情けもかけてはならない、勝利は目前にあると煽り立てた。このスピーチはホログラムを介して帝国軍全体に伝わった。しかし彼は終末司令に従って帝国軍の大部分をこの惑星で消し去るつもりだった。新共和国もろとも古き帝国を滅ぼしたあかつきには、彼は一握りの幹部とともに<インペリアリス>のレプリカで未知領域に消えるつもりだったのである。[4]
ジャクーの戦い当時、帝国はすでに弱体化していたにも関わらず、多くの帝国軍将校がいまだにスター・デストロイヤーを宇宙軍の究極的な力の象徴とみなしていた。彼らは直接の対決で新共和国を簡単に破れるものと信じていた。一方、新共和国艦隊の将校たちは度重なる勝利を経験して自信に満ちていた。また帝国のTIEファイター・パイロットは戦いに慣れたベテランと、訓練が不十分で規律に欠けた徴募兵が入り混じっていた。[13]
帝国が銀河系の各地で軍事的敗退を重ね、軍事物資が枯渇していたため[5]、新共和国のほうが帝国を勢力で上回っていた。新共和国軍の戦力には、アクバー元帥の旗艦であるMC80スター・クルーザー<ホーム・ワン>、アガトの旗艦<コンコード>をはじめとする3隻のナディリ・スターホーク級バトルシップ、オルデラニアン・エスコート・フリゲート<サンスパイア>などが含まれた。[4] また新共和国はAウイングや[8] Bウイング[10]、Yウイング、Xウイング[8]、Uウイングなどのスターファイター部隊を配備し、地上にはエリートの特殊部隊と[4] 新共和国地上軍を展開した。[8] またアクバーが戦闘開始後に味方の全艦隊に招集をかけると、MC80スター・クルーザー20隻超とCR90コルベット数隻、インフェルノ分隊のレイダー級コルベット<コルウス>が戦いに加わった。[2]
それに対し、帝国の戦力にはラックスのエグゼクター級スター・ドレッドノート<ラヴェジャー>、グロフ艦長のスター・デストロイヤー<パニッシュメント>[4]、サイエナ・リー艦長のスター・デストロイヤー<インフリクター>[1]、ギャリック・ヴェルシオ提督のスター・デストロイヤー<エヴィセレイター>をはじめ、多くのスター・デストロイヤーが参加していた。[2] 他にもTIEファイターやTIEストライカー[4]、TIEボマー、TIEインターセプターといった戦闘機や[2]、ストームトルーパーやサンドトルーパーといった歩兵部隊、AT-ATやAT-STといったウォーカーが帝国の戦力を構成した。[8] またラックスは帝国軍にも新共和国軍にも秘密で、ジャクーのコアを爆発させて一握りの幹部を除く全軍を破壊するための秘密兵器を準備していた。[4]
戦闘[]
宇宙戦[]
<ラヴェジャー>の最期[]
ジャクーの戦いはエンドアの戦いから1年と4日後に始まった。[1] 新共和国艦隊はハイパースペースから脱してすぐに帝国宇宙軍への砲撃を開始し、帝国もこれに応え、艦隊戦が開始した。両軍ともスターファイター隊を展開し、ジャクー上空の宇宙空間と大気圏高層でドッグファイトが繰り広げられた。ウェッジ・アンティリーズ大尉が率いるファントム中隊にはテミン・ウェクスリーやココ、ヤーラ、ジェスパーといったパイロットたちが参加し、Xウイング・スターファイターに乗り込んで新共和国の主力艦を帝国のTIEファイターから護衛した。また彼らは新共和国軍のコマンドー部隊を運んでジャクーに降りるUウイング・ファイターを大気圏内へエスコートした。帝国は新共和国軍地上部隊の惑星降下に応えるため、複数のウォーカーをジャクーの砂漠に配備し、迫り来る敵軍から帝国主要基地を防衛した。[4]
ジャクー上空に集まった新共和国軍は数で勝っていたにも関わらず、密集した帝国艦隊を突破するのに苦戦を強いられた。帝国軍はスーパー・スター・デストロイヤー<ラヴェジャー>の周りにスター・デストロイヤーを配備して強力な防衛ラインを形成し、新共和国の攻撃を鈍らせた。<ラヴェジャー>が新共和国艦隊に対してその圧倒的な火力を発揮できるよう、帝国の小型軍艦は戦闘中に繰り返し疎開隊形をとって射線を確保した。軍隊を前進させるにあたり、アクバー提督とアガト准将は帝国の陣形を破るため新共和国の最新鋭艦である3隻のスターホーク級バトルシップとCR90コルベット数隻を楔形に配置し、帝国の防衛範囲を狭めようとした。しかしそれでもなお新共和国艦隊は帝国の防衛線を突破することができず、数隻の軍艦を失った。[4]
戦いの流れが変わり始めたのは、正気を失ったグロフ艦長のスター・デストロイヤー<パニッシュメント>がスターホーク級バトルシップ<アミティ>に突撃したときだった。グロフの特攻は<アミティ>を破壊したまでは良かったが、同時に帝国の防衛網に隙を生じさせてしまった。アクバー提督の要請に従い、アガト准将が指揮官を務めるスターホーク<コンコード>が突破口を通って<ラヴェジャー>に直接攻撃を仕掛けた。<コンコード>は<ラヴェジャー>の砲撃で深刻なダメージを負ったが、アガト准将はこのバトルシップに搭載された最新鋭のトラクター・ビーム発生装置でスーパー・スター・デストロイヤーをロック・オンした。アガトの旗艦は<ラヴェジャー>を引きつけながらジャクーの大気圏へと落下していき、アクバーが送り込んだ新共和国軍の軍艦と戦闘機がスーパー・スター・デストロイヤーのエンジンを破壊してこれに加勢した。[4] XウイングとBウイングによって構成されるブレード中隊もエンジンの破壊に貢献したが、ブレード・リーダーのジーナ・ムーンソング中尉が乗るBウイングはトラクター・ビームの巻き添えになり、ジャクーに墜落した。[10]
<コンコード>と<ラヴェジャー>はともに大破しながらジャクーの地表へ落下していった。アガト准将は自艦と運命をともにしたが、グランドモフ・ランドは脱出ポッドで<ラヴェジャー>から逃れた。<ラヴェジャー>が惑星地上に向かって急速に落下したため、アクバー提督は地表で戦っている新共和国軍トルーパーやパイロットにデブリの落下に注意して身を隠すよう警告を行った。[4] 劣勢を強いられた帝国は、非常線を形勢するためジャクーの大気圏高層に退却し、地上の秘密研究施設を防衛すべく新共和国軍に必死の抵抗を繰り広げた。いよいよ敗北の時を迎えた帝国の宇宙船は、トラクター・ビームを使って新共和国の船を掴み、墜落の道連れにした。墜落した船に乗っていたほとんどのクルーは、砂漠の地表に激突した瞬間に即死した。即死を免れた者も、手持ちの救命キットでは近くの集落にたどり着けないほど広大で過酷な砂漠の環境にさらされた。[16]
移乗攻撃部隊[]
- 「スター・デストロイヤーの拿捕?」
「そうだ。現在でも未だに造船所の多くは帝国軍の支配下にある。だが我々にはより多くの宇宙船が必要だ」 - ―セイン・カイレルとカーリスト・ライカン将軍[出典]
スター・クルーザー<ストライキング・ディスタンス>から戦いの指揮を執るカーリスト・ライカン将軍は、マスマリス・リートギートの移乗攻撃部隊にイモビライザー418クルーザー<グラシエイト>への潜入を命じた。彼らは帝国から奪ったアサルト・シャトルを使い、<グラシエイト>を守るTIEファイターやターボレーザーをくぐり抜け、船体に穴を開けて機関室に侵入した。艦内に潜り込んで宇宙服を脱いだ後、リートギートはラナット特有の嗅覚を活かして船のシステムを這い進み、反応炉の調整器を発見する。彼は新共和国のバイパスを装置に配線し、<グラシエイト>を宇宙空間で完全停止させることに成功した。[13]
<ラヴェジャー>を破壊した後[4]、新共和国軍は宇宙と地上の両方で、帝国の集団に一斉攻撃を開始した。エンドアの戦い当時の軍事的優位性をもはや持たない帝国軍は、時代遅れの戦術や、リーダーシップの不備が原因で勝利から遠ざかっていった。また帝国の司令部にみられる中央集権的な体質も、新共和国に対する帝国軍の対応能力に限界を生じさせていた。戦いの流れが帝国不利に傾いた際、<インフリクター>のサイエナ・リー艦長は、ジャクーにおける帝国の作戦がグランドモフや提督たちのパワープレーのせいで破綻してしまったのではないかと疑った。新共和国による帝国軍の側面に対する攻撃も、帝国が大きな損失を出す一因となった。[1]
リー艦長は艦隊を複数に分けて新共和国のスター・クルーザーを多角的に攻撃する作戦や、TIEファイターを支援するためにトゥエンティ=ガン・レイダー船を大気圏に派遣するアイデアを思いついたが、グランドモフ・ランドに連絡をとって作戦を提案する暇もなく、敵の移乗攻撃部隊が<インフリクター>に侵入した。この部隊にはリーのかつての恋人であるセイン・カイレルも参加していた。他に選択の余地がなかったため、リー艦長はスター・デストロイヤーの自己破壊装置を作動させようとしたが、すでに侵入部隊によってシステムが無効化されていた。最終的に彼女はクルーに退艦命令を出し、現状打破の手段として、そして帝国への誓いを守りつつ帝国から逃避するための手段として、<インフリクター>をジャクーの地表にぶつけて破壊することを決意した。[1]
<インフリクター>がジャクーの大気圏に向かって落下する中、カイレルはスター・デストロイヤーのブリッジに辿り着いた。自ら命を絶つことで帝国への誓いから逃れたがっていたリーは、<インフリクター>が墜落する前に、自分を残して脱出ポッドで逃げるようカイレルに頼んだ。しかしカイレルは恋人を見捨てることができず、彼女を無理やりブリッジから救い出した。彼はリーをなんとかスタンさせ、スター・デストロイヤーが墜落する前に脱出ポッドへと運び込んだ。その後2人はジャクーの砂漠に落下し、のちに新共和国の兵士によって発見された。その後、リーは新共和国の捕虜となった。[1]
地上戦[]
新共和国軍の降下[]
地上にある帝国の施設を攻撃するため、タイベン将軍とブロックウェイ中将は新共和国軍のコマンドー部隊を乗せたUウイング・ファイターを大気圏内へ送り込んだ。新共和国のUウイングはファントム中隊や[4] フェニックス中隊[13] をはじめとする新共和国軍スターファイター隊の複数のユニットに護衛されて地上に降りた。またテミン・ウェクスリーとファントム中隊隊員は帝国軍のウォーカーに対して地上掃射を行った。着陸活動のさなか、新共和国特殊部隊の兵士ジョム・バレルは自分の乗っているUウイングに帝国の震盪ミサイルが迫っていることに気づき、ジェットパックをつけて機体から飛び降り、ミサイルを遮った。バレルの犠牲により、Uウイングに乗り込んでいた仲間の命は救われた。[4]
ライカン将軍の<ストライキング・ディスタンス>に所属するAウイング・パイロットのオダヴィア・エイナルも兵員輸送船を護衛するため大気圏内で戦った。エイナルは戦場の上空を飛行しながら地上掃射を行い、TIEファイターの迎撃隊と交戦した。しかし彼女のAウイングは対空ミサイルに被弾し、砂漠の地表へ墜落してしまう。墜落場所はコマンドーたちから遠く離れていたため、エイナルは1人で、標準兵装のブラスター・ピストルだけでストームトルーパーと戦い抜いた。帝国のAT-ATウォーカーが研究施設を守るため新共和国軍コマンドーの塹壕に照準を定めたとき、エイナルは死んだトルーパーからロケット・ランチャーを取り、先頭のウォーカー<ヘルハウンド2>に砲撃を行った。<ヘルハウンド2>は6発のミサイルを弱点に食らって倒れたが、その頃にはエイナルも息絶えていた。死後、彼女は武勇記章を授与されている。[13]
地上戦のさなか、ノラ・ウェクスリーとミスター・ボーンズはブレンティンとレイ・スローネ大提督を見つけるため、盗んだ帝国のシャトルでシンキング・フィールドにある帝国基地へ向かった。テミンはあやうく母親の乗るシャトルを撃ち落としかけたが、ボーンズがシャトルのランプを下げてテミンにシグナルを送った。短い会話を交わした後、母子は再びそれぞれの任務に戻った。ノラとボーンズは帝国の主要基地に辿りつき、ラックスの拘束下から自力で抜け出していたブレンティンとスローネを発見する。ノラはスローネがシャンドリラ攻撃の首謀者だと思いこんでいたが、スローネはなんとか誤解を解き、真の黒幕であるラックスを止める必要があると説得した。共通の敵の陰謀に終止符を打つため、ノラはスローネと行動をともにすることになった。[4]
一方、ノラをスローネのもとへ向かわせるために1人で留まったジャス・エマリは、賞金稼ぎマーキュリアル・スウィフトの一味に捕まった。スウィフトはジャスをナー・シャダーに届けようとしたが、戦いのせいで惑星から出ることができず、ジャスはその間にスウィフトの仲間のデンガーとエンボ、ジータを説得しにかかった。新共和国の戦いに協力すれば彼らの分の特赦を取りつけるという申し出に乗った賞金稼ぎたちは、抗議するスウィフトをコレリアン・シャトルから放り出し、ジャスの仲間に加わった。この取り引きがきっかけとなり、のちに賞金稼ぎたちは新共和国から特赦を得て、しばらくはジャスのクルー・メンバーとして活動することになる。[4]
帝国軍の後退[]
- 「帝国は私の人生だ。全てを捧げてきた。いまやこれだけとはな…」
- ―ギャリック・ヴェルシオ[出典]
戦いの激しさが増す中、タイベン将軍はアクバー提督にホログラムで連絡を取り、ブロックウェイ中将率いる新共和国軍が帝国地上軍を相手に若干有利に立ち、敵の前線を一歩また一歩と後退させていることを知らせた。いまや帝国は暴徒のように戦い、自殺的な戦略を使い始めていたため、新共和国の地上部隊も大きな犠牲を出していた。しかしタイベンはこの犠牲に耐えきることができるならば、夕暮れまでに帝国の主要基地を制圧したいと考えていた。またタイベンは帝国が新共和国の進撃を遅らせるためなら甚大な被害も辞さない姿勢であることをアクバーに知らせた。シャンドリラから指揮に参加していたタイベンは自分もジャクーにいるべきだと訴えたが、アクバーはこの戦いが敵の計略であった場合に備えてこのまま距離を置いておくよう命じ、通信を切った。[4]
<ラヴェジャー>の破壊は、地上においても戦いの潮目が変わるきっかけとなり、新共和国の有利が決定的なものとなった。戦闘中、テミンのXウイングは落下してきたスターシップのデブリと衝突してダメージを負い、砂漠に不時着した。彼は<ラヴェジャー>と<コンコード>の墜落を目撃し、それによって引き起こされた砂嵐をXウイングのコックピットでやり過ごした。その後、テミンはAT-STウォーカーと3人のサンド・トルーパーに殺されそうになったが、ノラと別行動を取っていたミスター・ボーンズに窮地を救われる。その後ボーンズはAT-STドライバーを殺してウォーカーをジャックすることに成功したが、不運にも友軍のAウイング・インターセプターから攻撃を受け、AT-STもろとも破壊されてしまった。[4]
ブレード中隊のジーナ・ムーンソング隊長は<ラヴェジャー>と戦った際にBウイングの制御を失ったが、落下するスーパー・スター・デストロイヤーが大気圏突入時の熱シールドの役目を果たし、墜落を生きのびた。Bウイングの残骸から脱出した後、ジーナは徒歩で10キロメートルも移動し、放棄されたストームトルーパーのキャンプを発見してE-11ブラスター・ライフルと水を確保する。また彼女はこのキャンプでテミン・ウェクスリーと出会い、栄養食をもらった。その後2人は第3偵察部隊のアガーン軍曹率いる新共和国軍トルーパーたちと合流し、彼らの上官であるランツ少佐のもとへ連れて行かれた。ランツはゴルガ・ステーションの前哨基地に向かう帝国補給部隊の待ち伏せを計画しており、テミンとジーナにも協力を求めた。[10]
ランツの部隊は、ジーナのアイデアで敵の通り道にパワー・パックを設置し、2機目の帝国軍兵員輸送機が通過した際に爆発させた。彼らは後続の輸送機もロケットで破壊し、ストームトルーパーの生存者と銃撃戦を繰り広げた。ジーナとテミンは最初の輸送機に乗り込んだが、助けを呼ぶための長距離通信ディッシュは破損していた。テミンはディッシュを修理していたときにスタンされたが、ムーンソングは新共和国の戦闘機司令部に声のメッセージを送信した。ランツはストームトルーパーを止めようとした際に犠牲になり、残った兵士たちもTIEファイターの掃射にさらされた。しかしジーナたちが最後の抵抗に臨もうとしていたとき、ブレイレン・ストラムらが操縦するブレード中隊のBウイングがTIEファイターを破壊し、生存者たちを救った。[10]
また別の戦場にて、帝国の敗北を悟ったストームトルーパーTK-605ことコーラックは、最後まで戦うよう命じる上官の伍長を射殺した。TK-603ことテレックスは同僚の反逆行為に驚いたが、帝国の秩序はこの戦いで完全に失われたというコーラックの言葉を受け入れ、彼と行動をともにすることにした。コーラックとテレックスは新共和国軍による残党狩りを避けるためストームトルーパーのアーマーを脱いで砂に埋め、日が沈むなか砂漠を徒歩で旅した。その後、彼らはしばらくジャクーに潜伏しながらAT-ATの頭部を用いたつぎはぎのスターシップを完成させ、惑星外に脱出した。[17]
帝国からの離反者アイデン・ヴェルシオ率いるインフェルノ分隊もレイダー級コルベット<コルウス>でジャクーの戦いに参加した。デル・ミーコが指揮する<コルウス>が大気圏の激戦に加わった後、アイデンとシュリヴ・スールガヴはXウイングでコルベットから出撃した。戦闘中、2人はXウイングから降りてスター・デストロイヤーの墜落船を制圧し、TIEボマーの発進を阻止した。また2人は、カーボン・リッジへの進軍中にAT-ATに取り囲まれたリンジー大尉の部隊に加勢した。その後アイデンは再びXウイングに乗り込み、帝国時代の同僚であるギデオン・ハスクのTIEインターセプターを空中戦で破った。アイデンは退艦活動が始まっていた<エヴィセレイター>に1人で乗り込み、父親のギャリック・ヴェルシオ艦長を連れ出そうとしたが、彼は既に艦とともに死ぬ覚悟を決めていた。父親と最後の会話を交わした後、アイデンは脱出ポッドで砂漠に落下した。アイデンがデルに救出された時、ジャクーの戦いは既に収束し、辺り一面墜落船だらけになっていた。[2]
ラックスの破滅[]
戦いのさなか、ガリアス・ラックスはブレンドルやその息子アーミテイジ・ハックス、ユープ・タシュ顧問、少年兵士団のメンバーらとともにシャトルでジャクー観測所へ移動した。着陸ドームに入った後、ラックスはハックス父子と少年兵士たちに皇帝のヨット<インペリアリス>で待機しておくよう命じ、終末司令の最終段階を完了するためタシュ顧問とともに観測所に入った。2人はジャクーのコアへと続く深い井戸に行き、シスのマスクを身に着けたタシュがシス・ホロクロンを起動してダークサイドの儀式を始めた。詠唱が終わった後、ラックスはよもや殺されるとは思っていないタシュを井戸へ突き落とした。[4]
強力なシスの遺物を身に付けたタシュが落下したことでジャクーのコアは不安定になり、そのままいけば惑星の破壊をもたらす連鎖反応を開始した。しかしラックスを追い続けていたノラとブレンティン、レイ・スローネが観測所に姿を現し、帝国の助言者の前に立ちはだかった。スローネがラックスと素手の戦いを繰り広げるあいだ、ノラとブレンティンはジャクーの破壊を止めるため、伸縮式ヴェントを使ってシャフトを封鎖しようとした。ノラはスローネを完全には信用していなかったため、彼女に武器を与えていなかった。スローネは激しく抵抗したが、最終的にラックスが優位に立ち、スローネの指を数本折った。スローネの悲鳴を聞きつけて加勢したブレンティンはラックスに殺されてしまったが、スローネはノラから受け取ったブラスターを使い、ラックスに致命傷を与えた。[4]
死の間際、ラックスは自分の野望をスローネに託すことを決意した。彼はスローネに、ハックスたちとともに<インペリアリス>に乗って未知領域へ行き、皇帝の旗艦<エクリプス>と合流するよう命じた。またラックスは未知領域を旅するのに必要なハイパースペース・ルートの座標を記録したデータ・スパイクが<インペリアリス>に保管されていることを伝えた。ラックスが息絶えると、スローネはノラと合流し、ブレンティンがやり遺したシャフトの密閉作業は自分が完了すると約束した。かつては敵同士だった2人の女性は平和的に別れを告げ、スローネは約束通り観測所の自爆システムをシャットダウンし、ノラはジャス・エマリの賞金稼ぎチームによって回収された。ジャクーでの役目を終えたスローネは、ラックスの遺言に従いブレンドルやアーミテイジ、少年兵士たちとともに<インペリアリス>で未知領域へ旅立った。[4]
その後[]
戦争の終結[]
ジャクーの戦いでガリアス・ラックスが死んだ後、マス・アミダ大宰相はアンクルバイター・ブリゲードの助けを借りてコルサントのインペリアル・パレスから脱出した。アミダは降伏のためモン・モスマ議長に連絡を取り、ジャクーにおける帝国の大敗北の直後に、惑星シャンドリラで銀河協定に署名した。この協定をもって、銀河内戦に正式に終止符が打たれた。帝国降伏文書の条約により、帝国の残存勢力は戦闘中止を強いられ、帝国政府はすみやかに解体された。ほとんどの帝国軍将校は戦争犯罪者となり、非戦闘員の役人は条件付きの恩赦を与えられた。銀河協定の実現に貢献したアミダは起訴を免れ、戦争終結以降も臨時政府の長としてコルサントを統治することを許された。しかし彼は新共和国当局による監視のもとで無力な臨時政府を率いる表看板に過ぎなかった。[4]
帝国政府が公式に降伏したにも関わらず、ジャクーの帝国残存勢力は降伏を拒否し、数ヶ月間戦い続けた。新共和国軍はジャクーにある帝国の主要基地を制圧したが[4]、帝国軍は撤退時に研究施設と武器庫を破壊してから未知領域に姿を消した。[5] 一部の帝国軍艦長はトラクター・ビームを使って新共和国の宇宙船を道連れにして散った。一方、戦いを生きのびた艦長は謎の多いハイパースペース座標を使って未知領域へ向かった。過酷な戦いが数ヶ月続いた後、新共和国はようやく最後までジャクーに留まっていた残党を倒すことができた。[4] ジャクーの戦い以降、帝国は新共和国に対して大規模な攻勢を仕掛けようとしなかった。ぼろぼろになった帝国は懲罰的な和平条約でがんじがらめになり、コア・ワールドとインナー・リム内にいるすべての帝国船は定められた境界線内にとどまることを義務付けられ、首都惑星コルサントの支配権も失った。厳しい戦争賠償金と軍事規制により、帝国は新共和国の属州へと成り下がった。[5]
ジャクーにおける敗北の後も、銀河系の各地に帝国の残党がまだ残っていたが、いまや銀河系をおおかた支配した新共和国にとってほとんど脅威ではなくなっていた。とはいえまだ帝国の残党が存在していたため[4]、新共和国防衛艦隊はジャクーの戦いの直後も戦時体制を崩さなかった。グランドモフ・ランドやナッシュ・ウィンドライダーといったジャクーの生存者たちが率いる艦隊は、ケルーハン星雲で小規模だがよく武装された残存勢力を形成し、新共和国との新たなる戦いに備えた。[1] またジャクーの戦いを逃れた3隻のインペリアルII級スター・デストロイヤーは、エイリアンの海賊エレオディ・マラカヴァニアによって破壊された。ワイルド・スペースの海賊支配者として知られ、“マラカヴァニア主権領域”を自称する国家の指導者であるエレオディは、この3隻の軍艦をあえて拿捕せず破壊することで、新共和国との交渉材料にした。[4]
墓場と異説[]
ジャクーの戦いの後、ニーマ・ザ・ハットはスターシップの残骸から回収したジャンクや武器、コンピューター、エンジン等をやり取りする闇市場を設立した。[4] エグゼクター級スター・ドレッドノート<ラヴェジャー>をはじめ、戦闘中に落下した新共和国や帝国のスターシップの残骸は、数十年後になってもジャクーの砂漠に大量に残っており、この地域は“宇宙船の墓場”[16] や“巨人の墓場”と呼ばれた。[8] 大半の宇宙船は墓場に落下したが、墓場以外にも、戦闘機や軍艦の残骸、その他さまざまなデブリがケルヴィン峡谷やカーボン・リッジ、ゴアゾン荒地といったジャクーの各地で散見された。[16]
ジャクーの戦いで戦闘機から脱出したパイロットや、脱出ポッドで墜落死を免れた乗組員たちは、入植地を探し求めて広大な砂漠をさまようことになった。当時ジャクーにはほとんど住民がいなかったため、彼らの多くはゴアゾンを歩き回っているときに息絶えたか、飢え死にしたか、リッパー=ラプターの餌食となった。そのためジャクーの砂漠は死体だらけになり、制服をつけて脱出用シートに縛り付けられたままの遺骨など、数十年後になっても骨があちこちに散らばっていた。またシンキング・フィールドと呼ばれる砂漠地帯では、埋まっていた墜落船が砂の流動によって地上に姿を現すこともあれば、再び砂に吸い込まれて消えることもあった。[16] スチールペッカーと呼ばれる生き物は、金属の磁気に吸い寄せられて戦場跡に集まり、残骸の腐った鉄を食らった。他にも、宇宙船の墜落を生きのびた外来種や寄生生物のように、過酷な砂漠の環境で生きのびたクリーチャーも存在した。[5]
ニーマ・ザ・ハットによってニーマ・アウトポストと呼ばれる入植地が設立された後、ジャクーでは宇宙船の墓場から回収した貴重なテクノロジーをやり取りする廃品回収業の経済ができあがった。のちにニーマは賞金稼ぎの手にかかって殺されたが、彼女の名前を冠した入植地は残り、やがてクロルートの“ジャンク・ボス” アンカー・プラットが商売を取り仕切るようになった。ジャクーの食料供給を独占したアンカーは、ニーマ・アウトポストの売店から廃品回収業を牛耳り、貴重な回収品を持ってきたゴミ漁りたちにわずかばかりの食べ物を分け与えた。ニーマ・アウトポストはジャクーで最も都市に近い集落に発展し、一攫千金を狙う者や逃亡者たちが小規模ながらひっきりなしに出入りするようになった。[5] しかしその中にジャクーの戦いを生で目撃した者はほとんどいなかったため、大量の宇宙船が墜落した戦いの経緯について、ゴミ漁りたちのあいだでいくつもの異説が囁かれるようになった。[16]
後世のゴミ漁りたちは、帝国の宇宙船の多くが戦闘でひどいダメージを負っているのに対し、新共和国の一部の船はそうでもないことに気づいた。この事実は、帝国が敵船をトラクター・ビームで道連れにしたとする説を裏付ける根拠となったが、なぜ帝国がそのような抵抗に及んだのか、そもそもの原因に関しては人々のあいだで解釈が分かれた。解釈のひとつに、帝国がカーボン・リッジの秘密研究基地を守るために戦ったという説があった。実際、カーボン・リッジにはジャクーの戦いの30年近く後になっても“デッド=エンダー”と呼ばれる謎の老人の集団が居座っており、彼らは秘密基地の守衛だと噂されていた。デッド=エンダーはよれよれになった帝国の装甲服を身に着け、奇妙な数字を口ずさみ、誰かが縄張りに侵入すると岩を投げつけて攻撃した。[16]
ゴミ漁りの1人であるレイは秘密基地説を信じておらず、次のような仮説を立てていた:帝国の宇宙船のうち1隻が、墓場ではなくカーボン・リッジに突っ込んだ。生き残った司令官たちはストームトルーパーに墜落現場を守るよう指示し、レスキュー隊が来るのを待った。難破船はくずれた岩の下敷きになったが、ストームトルーパーは今も現場を守り続けている…。レイはこの仮説のほうが秘密基地説よりも説得力があると考えていた。またレイが幼い頃、アンカー・プラットは6人の手下をカーボン・リッジの宝探しに送り出したことがあった。しかし彼らはデッド=エンダーに襲われて2人を失い、探し当てたのは空っぽの洞窟だけで、持ち帰ることができたのはぼろぼろのストームトルーパー・アーマーだけだった。この事件以来、人々はカーボン・リッジに近づかなくなった。[16]
またジャクーの戦いの原因について、帝国が守っていたのは軍事施設ではなく、帝国が略奪した古代文明の宝物を隠す倉庫だと唱える者もいた。この説によれば、帝国の施設はカーボン・リッジではなく、シンキング・フィールドの地下にあるとされていた。またジャクーには皇帝の玉座の間が隠されており、銀河系のさらなる征服および遠征の拠点になるはずだったという第3の説を主張する者もいた。[16] またジャクーの原住民であるティードーは、ジャクーに吹き荒れる砂嵐を“ザスリィーア”と呼び、その嵐がさまざまなものごとの原因だと信じていた。ティードーによれば、空から大きな金属の塊が降ってきたのもザスィーアのせいであり、宇宙船の墓場はリィーア神の怒りの記念碑だとされていた。[24]
後世への影響[]
数十年後、新共和国の教育システムでは、ジャクーの戦いは帝国が最後に行った大規模な抵抗のひとつだと教えられていた。この時代、帝国の遺物を収集するコレクターの1人が、“ジャクーの復讐”という偽名を名乗っていた。[20] 帝国に勝利した新共和国は、銀河系の秩序の回復に力を注ぎ始めた。[5] 一方、未知領域に逃げた帝国の将校や貴族、技術者たちは地上部隊と艦隊の再建に取り組み、やがてファースト・オーダーと呼ばれる軍事政権を設立した。ファースト・オーダーは最高指導者スノークの指揮下に入り、銀河系に帝国の栄光を取り戻すための戦いを開始した。[25]
34 ABY当時、ゴミ漁りのレイはジャクーの戦いで倒れたAT-ATウォーカー<ヘルハウンド2>を我が家にしていた。[16] この年、フォースの教会の信徒が暮らすジャクーの聖なる村トゥアナルで、ファースト・オーダーによる虐殺が行われた。レイはこの事件をきっかけにファースト・オーダーから離反したストームトルーパーのフィンと出会い、彼と一緒にYT-1300軽貨物船<ミレニアム・ファルコン>でファースト・オーダーから逃げ出した。<ファルコン>は宇宙船の墓場で敵の追跡をしのぎ、2機のTIE/fo制宙戦闘機を撃墜してジャクーから脱出した。[19]
制作の舞台裏[]
ジャクーの戦いは2015年に発売されたクラウディア・グレイによる小説『ロスト・スターズ』で初めて描写された。2015年12月8日(映画『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』公開の2週間前)には、TVゲーム『Star Wars バトルフロント』でジャクーのマップがプレー可能になった。ジャクーの戦いの戦場跡地は、映画『フォースの覚醒』の舞台となっている。
登場作品[]
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参考資料[]
- Star Wars Battlefront Battle of Jakku - EA公式サイト (表記はバトルオブジャクー)
- スター・ウォーズ フォースの覚醒 レイのサバイバル日記
- スター・ウォーズ/フォースの覚醒 ビギナー・ゲーム
- スター・ウォーズ:オン・ザ・フロントライン
- スター・ウォーズ フォースの覚醒のなかまたち100
- きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック 増補改訂版
- スター・ウォーズ プロパガンダ:銀河系における扇動絵画の歴史
- スター・ウォーズ/フォースの覚醒 コンプリートガイド
- Star Wars THE GALACTIC EXPLORER’S GUIDE
- THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録
脚注[]
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