スカリフの戦い(Battle of Scarif)は1 BBYに発生した銀河内戦最初の大規模戦闘である。この戦いをきっかけに初期反乱運動の時代が終わり、銀河帝国と共和国再建のための同盟(反乱同盟)のあいだに戦争の火蓋が切って落とされた。スカリフの戦い以降、反乱同盟軍は銀河系各地を転々としながら数年間にわたって抵抗をつづけ、4 ABYのエンドアの戦いに勝利した後、帝国に代わる新共和国政府を樹立する。
スカリフの戦いの直前、同盟情報部は科学者ゲイレン・アーソが帝国の新型超兵器の開発に携わっているという情報を入手した。同盟軍の指導者であるモン・モスマ議長は、ゲイレンに関する情報を集めるため、彼の娘であるジン・アーソとキャシアン・アンドー大尉を衛星ジェダへ派遣する。ジェダ・シティで超兵器“デス・スター”の脅威を目の当たりにした後、彼らはゲイレンのメッセージを反乱軍の秘密基地へ持ち帰った。同盟市民政府のメンバーは、帝国が惑星破壊バトル・ステーションを作り上げた以上、今後も反乱運動を続けるのは無謀だと考えたが、ジンは父親の遺した情報に望みを託し、デス・スター設計図さえ手に入れれば希望はあると訴えた。キャシアン、ウィルズの守護者チアルート・イムウェ、その相棒ベイズ・マルバス、元帝国貨物パイロットのボーディー・ルック、K-2SOをはじめとする仲間たちがジンの作戦に志願し、“ローグ・ワン”というコールサインを名乗る即席の分隊が誕生する。彼らは惑星スカリフのシタデル・タワーから設計図を奪取すべく、同盟市民政府の決定を無視して秘密基地から出発した。
ローグ・ワンは同盟軍が入手した帝国の貨物シャトルでスカリフに降り立ち、ジン、キャシアン、K-2SOを安全管理施設内に潜入させるため、陽動攻撃を開始する。帝国軍先進兵器研究部門のオーソン・クレニック長官は、グランドモフ・ウィルハフ・ターキンからデス・スター計画の主導権を取り戻すべく、ローグ・ワンの企みを挫こうとやっきになったが、ラダス提督率いる同盟宇宙軍がスカリフに駆け付け、戦いは更に激化する。この報せを受けたターキンは、デス・スターを使ってスカリフの施設を設計図もろとも消し去ろうと考えた。しかし、ローグ・ワンはスーパーレーザーが放たれる直前に設計図のデータをMC75スター・クルーザー<プロファンディティ>へ送信することに成功した。反乱軍の兵士たちは設計図をシス卿ダース・ヴェイダーから守り抜き、プリンセス・レイア・オーガナの乗る<タナヴィーIV>に送り届けた。<タナヴィーIV>はスカリフの戦場から脱出し、ジェダイ・マスターの隠遁者オビ=ワン・ケノービに助けを求めるため惑星タトゥイーンへ向かった。
スカリフの戦いの直後、ヴェイダーは旗艦のインペリアル級スター・デストロイヤー<デヴァステイター>で<タナヴィーIV>を追跡し、タトゥイーン上空でレイアを捕らえた。しかし、設計図はアストロメク・ドロイドのR2-D2に託され、無事にケノービの手に渡った。その後、一連の事件を経てヤヴィンの戦いが発生し、デス・スターは反乱軍パイロットのルーク・スカイウォーカーによって破壊される。ゲイレン・アーソが故意に仕組んだデス・スターの設計上の弱点と、スカリフにおける反乱軍兵士たちの活躍は、ヤヴィンの勝利に大きく貢献した。
背景[]
デス・スターの脅威[]
- 「兵器の名前はデス・スターだ。これ以上ふさわしい名は無い。実用化される日がすぐそこまで来ている。私はそのシステムの奥深くに弱点を隠した。その欠陥は小さいが強力で、奴らは絶対に気づかないだろう。 [中略] リアクター・モジュールが鍵だ。そこに罠を仕掛けた。不安定だが巧妙に隠されている。どの部分でも一度撃てば、ステーション全体が砕け散る。設計図を手に入れろ。リアクターを見つけるには設計図が必要だ。スカリフのシタデル・タワーにはあらゆる設計文書を収めた情報保管庫がある。リアクター・モジュールを爆破すれば、ステーション全体が連鎖反応でたちどころに……」
- ―ゲイレン・アーソ[出典]
1 BBY[4]、銀河帝国の超兵器デス・スターの完成が目前に迫っていた頃、主任設計者の1人であるゲイレン・ウォルトン・アーソが本プロジェクトの情報を外部に流した。帝国軍先進兵器研究部門を率いるオーソン・カラン・クレニック長官に強要され、無理やりプロジェクトに参加させられていたゲイレンは、自分が開発した超兵器が実用化されることを恐れていた。デス・スターの設計の中に致命的な弱点を仕込んだゲイレンは、貨物船パイロットのボーディー・ルックにメッセージを託し、ボーディーの出身地である衛星ジェダで反乱分子パルチザンを指揮する過激派指導者、ソウ・ゲレラへの伝言を頼んだ。しかしゲレラは帝国から離反してきたというボーディーを疑い、ボー・ガレットを使って彼を拷問した。[1]
一方、共和国再建のための同盟はカフリーンの環に情報部のキャシアン・アンドー大尉を派遣し、ジェダにいる貨物船パイロットが未確認超兵器に関する情報を持っていることを突き止めた。反乱同盟は険悪な関係にあるゲレラと接触するため、彼の古い知り合いで、ゲイレン・アーソの娘であるジン・アーソを惑星ウォバニの帝国収容キャンプから救出して任務への協力を求めた。ジンはキャシアンや再プログラムされたセキュリティ・ドロイドのK-2SOとともにジェダへ赴き、パルチザンの本部で父親のメッセージを確認した。間もなくジェダ・シティはデス・スターによって破壊されたが、彼女たちは現地で仲間になったボーディーやウィルズの守護者チアルート・イムウェ、ベイズ・マルバスらと一緒にジェダから脱出した。[1]
ゲイレンのメッセージは、反乱軍にデス・スターの弱点を教え、惑星スカリフのシタデル・タワーにある情報保管庫からデス・スター設計図を奪取するよう指示するものだった。キャシアンとジンの一行はゲイレンを救出するため惑星イードゥーの帝国研究所へ向かったが(このときキャシアンはゲイレン暗殺の密命を帯びていたが、途中で任務を放棄した)、ゲイレンはデイヴィッツ・ドレイヴン将軍が派遣したXウイング・スターファイター部隊の攻撃で命を落とした。その結果、ゲイレンのメッセージの内容を直接見た者はジンただひとりとなった。彼女はデス・スターの脅威とその破壊方法を反乱同盟に伝えるため、衛星ヤヴィン4にあるベース・ワンに戻った。[1]
ローグ・ワン結成[]
ベース・ワンに戻ったジン・アーソは反乱軍評議会の会合に出席し、モン・モスマ議長をはじめとする反乱同盟の指導者たちに報告を行った。しかし評議員たちはデス・スターの脅威を前に弱腰になるか、超兵器設計者の娘の言葉の信憑性を疑った。ジンはスカリフに精鋭部隊を送るよう訴えたが聞き入れられず、評議会は戦いを回避する決定を下した。会合の後、キャシアンは反乱同盟の大義のためにスパイや破壊工作、暗殺といった後ろ暗い任務をこなしてきた者たちを集め、志願者のチームを結成した。[1] メンバーにはタイドゥ・セフラ大尉やパスファインダーズのルースコット・メルシ軍曹、コマンドーのパオといった同盟軍特殊部隊隊員に加え、ストーダン・トンク伍長といった非特殊部隊の兵士も参加していた。[6]
志願者のチームは、キャシアンとジンが率いるデス・スター設計図の強奪作戦に志願した。ベイズとチアルート、ボーディー、K-2SOもチームに加わった。彼らは反乱軍評議会の決定を無視して戦いの準備を始め、帝国から奪ったゼータ級重貨物シャトルSW-0608に乗り込んだ。反乱軍基地から出発する際、ボーディーが管制官に対してその場の思いつきで発した“ローグ・ワン”というコールサインが彼らのチームの名前となった。一方、評議会の会議では派兵を断念したものの、モスマ議長とベイル・オーガナ元老院議員は帝国との戦争は不可避だと考えていた。ベイルは惑星タトゥイーンで隠遁生活を送っているジェダイ・マスター・オビ=ワン・ケノービにも助力を求めるため、義娘のプリンセス・レイア・オーガナを遣いに送ることに決めた。[1]
同じ頃、クレニック長官もスカリフの帝国安全管理施設へ向かっていた。デス・スター計画の情報漏洩を許すという失態を演じたクレニックは、惑星ムスタファーの城塞でシスの暗黒卿ダース・ヴェイダーと面会し、ゲイレン・アーソがデス・スターに余計な手を加えていないことを証明するよう、厳命を下された。彼はゲイレンがこれまでに発信した全ての通信内容を確認するため、スカリフのシタデル・タワーへ赴いた。[1]
戦闘[]
スカリフ潜入[]
- 「10人を100人に見せるんだ」
- ―キャシアン・アンドー[出典]
スカリフは惑星規模のシールドに覆われており、シールド・ゲートと呼ばれる宇宙ステーションが唯一の出入り口になっていた。ローグ・ワンを乗せた貨物シャトルSW-0608はイードゥーのフライト・ステーションから経路変更されたと主張し、無事にシールド・ゲートを通過することに成功した。[1] 着陸パッドに降りる途中、ローグ・ワンの一員であるタイドゥ・セフラ中尉は、これから仲間たちの前で演説するジン・アーソを軍曹に任命した。[5] ジンは“失うもののない戦士が鋭い棒を手にすれば無敵だ”というソウ・ゲレラの言葉を引用し、自分たちの行動はいつか反乱軍の勝利に繋がると語って仲間たちを鼓舞した。キャシアンはベイズとチアルート、ルースコット・メルシ軍曹、パオたちに本隊の指揮を命じ、自分とジン、K-2SOがシタデル・タワーに潜入するあいだ、陽動攻撃で敵の注意を引きつける役目を任せた。ボーディーは脱出に備えてシャトルで待機することになった。[1]
SW-0608が安全管理施設の周辺にあるハンガーのひとつ、着陸パッド9に到着すると、甲板士官のフロッブ少尉が監査チームを船内に送り込んだ。ローグ・ワンは監査チームのコリン・ハケリア中尉とケント・ディーズリング技師を待ち伏せし、帝国軍将校と帝国軍地上クルーの制服を手に入れる。[6] 帝国の人員に扮したキャシアンとジンはK-2SOとともに下船すると、着陸パッドのコンソールを操作する[1] トビックス・シャサー中尉[6] の目を欺いてバンカーのドアを通過し[1]、シタデル・タワーへ続くレールスピーダー[13] に乗り込んだ。一方ローグ・ワン本隊のメンバーは、外の様子を監視していたボーディーの合図で[1]、シャトルから放出される冷却材の霧にまぎれて[6] 船体下部ハッチからパッドに降りた。彼らは帝国軍の目を盗みながら移動し、各地の着陸パッドに爆弾を設置するため散開した。[1]
メルシ軍曹率いる本隊はシャトルの東のジャングルへ向かい[1]、近くに帝国の兵舎がある低い丘にたどり着いた。メルシは磁石のついた爆弾を部下たちに配り、散開して着陸パッドごとにひとつ爆弾を設置していくよう命令した。しかしチアルートとベイズは爆弾を受け取らず、潜入活動の障害となるストームトルーパーの制圧に向かった。[5] チアルートとベイズは見張りのストームトルーパーを静かに始末し、ローグ・ワンが他のパッドに侵入するための道を切り開いた。[1] 爆弾の設置が終わると、チームのメンバーは兵舎にいるメルシのもとに再集合し[5]、キャシアンからの行動開始の合図がくるまで待機した。[1]
シタデル・タワーの中に入り込んだ後、キャシアンとジン、K-2SOは通路ですれちがったKXシリーズ・セキュリティ・ドロイドの後をつけ、端末機器が並ぶ小部屋にたどりついた。K-2SOは背後からこの同型ドロイドの首にデータ接続端子を突き刺し、ハッキングしてデータを抜き取ることに成功した。[5] 彼らは安全管理施設のマップを手に入れたが、データ保管庫までの最善のルートを選択しても道中には89名のストームトルーパーが配置されており、K-2SOは今のままでは3分の1も進むことができず殺されることになるだろうと計算した。施設の中にいるスカリフ展開部隊を外におびき出すため、キャシアンはコムリンクでメルシに連絡を取り、計画通り陽動攻撃を開始するよう指示した。[1]
陽動攻撃[]
- 「何をしている? 駐屯部隊を向かわせろ!」
- ―クレニック長官[出典]
ローグ・ワンが着陸パッドで爆発を起こした時、クレニック長官はシタデル・タワーの司令センターに居合わせた。窓から見える光景に周囲の将校たちが呆然としていることに気づいたクレニックは、すぐに駐屯部隊を出動させるよう怒鳴った。[1] クレニックはすぐに敵が反乱同盟であることに気づき、おそらく彼らの行動にはゲイレン・アーソのメッセージが関連していて、狙いはデス・スターの設計図だと感づいた。[5] ショアトルーパーやストームトルーパーによって構成されるスカリフ駐屯部隊は、着陸パッドのバンカーを出た途端に待ち伏せしていたローグ・ワンの集中攻撃に遭った。[1] 戦いが始まって5分ほどの間は、ローグ・ワンが銃撃戦で優位に立った。[5]
デス・スターに乗っていたグランドモフ・ウィルハフ・ターキンは、ハースト・ロモディ将軍から戦闘発生の報せを受け取った。スカリフに設計図が保管されていることを思い出したターキンは、ヴェイダー卿にも連絡を入れるよう指示し、デス・スターでスカリフへハイパースペース・ジャンプする準備を始めるよう命じた。一方ヤヴィン4のベース・ワンでも[1]、信号情報部に所属する技術者のテンジゴ・ウィームズ兵卒[6] が帝国の通信を傍受し、スカリフで戦いが起きていることを突き止めた。[1] ジン・アーソたちの姿が消えていることが分かった時点で、既に戦闘準備を始めていたラダス提督は、旗艦であるMC75スター・クルーザー<プロファンディティ>のブリッジで報告を聞き、同盟宇宙軍の出発を命じた。[14] ウィームズがモン・モスマにも情報を伝えた後、ベース・ワンで同盟軍スターファイター隊の緊急出動が開始された。[1]
スカリフの各パッドに配置されたスタッフは、シタデル・タワーの司令センターに被害状況の報告を行った。シャトルSW-0608でそのやり取りを聞いたボーディーは通信に割って入り、パッド2に敵がいると虚偽の報告を行った。また彼はトンク伍長にも通信装置を渡し、パッド5に援軍を要請させた。司令センターの[1] マイタス・アデマ中尉[6] はパッド12や10、8にも被害報告を求めた後、ボーディーたちの情報撹乱に欺かれ、パッド5に援軍を派遣してしまった。一方、キャシアンとジン、K-2Oは陽動攻撃のおかげで情報保管庫にたどりつき[1]、警備将校のミルトン・パトナ中尉[6] を倒してデス・スター設計図の捜索を開始した。[1]
反乱軍の奇襲を受けた駐屯部隊は、パニックこそ起こさなかったものの、敵を確認しないうちに犠牲者の埋め合わせをしようとやっきになったため、初めのうちは不利な戦いを強いられた。一方、ローグ・ワンは移動と再編成を繰り返しながら敵の部隊を分離させ、増援が到着するごとに狙撃を行った。しかし、やがてトルーパーの増援は10人、20人単位で来るようになり、戦線を維持することが難しくなっていった。[5] 着陸パッドのひとつで銃撃戦に参加していたチアルートは、全地形対応装甲貨物トランスポート(AT-ACTウォーカー)の接近にいちはやく気づき、ベイズに警告を発した。反乱軍の兵士たちはウォーカーの攻撃をかわすため散り散りになり、パッドを離れて近くのジャングルへ逃げ込んだ。[1]
同盟軍艦隊の到着[]
ラダス提督率いる同盟軍艦隊は、スカリフのシールド・ゲートの外へ一斉にハイパースペース・ジャンプした。艦隊には<プロファンディティ>やEF76ネビュロンBエスコート・フリゲート、GR-75中型輸送船、スフィルナ級コルベット(ハンマーヘッド・コルベット)、CR90コルベット、VCX-100軽貨物船<ゴースト>といった艦船に加え、ブルー中隊やレッド中隊、ゴールド中隊[1]、グリーン中隊[6] のスターファイターが戦力として参加していた。[1] 一方、ゴーリン提督率いるスカリフ軌道司令部[7] の戦力は、2隻のインペリアル級スター・デストロイヤー<インティミデイター>と<パーセキュター>によって構成されていた。[1][10] 到着後すぐ、ラダス提督はブルー中隊にシールド・ゲートの通過を命じた。[1] ブルー・リーダー・アントック・メリック将軍の機体<ブルー・ワン>[6] を始めとするT-65B Xウイング・スターファイター7機と[1]、ブルー11のラーレン・ジョーマが操縦する[6] UT-60D Uウイングが大気圏突入に成功したが、間もなくゲート士官によってシールドが封鎖され、回避行動が間に合わなかったXウイングが数機シールドに激突して破壊された。[1]
ラダスは艦隊の3分の1ずつをレッドおよびゴールド中隊の援護に回し、残りの艦船には、敵の増援が現れた場合に備えて側面を守らせた。これはカーサンザやネクセイターで使った戦術を組み合わせた単純な作戦だったが、ラダスは勝利を目的とした戦略を練るよりも、先制攻撃を重視した。ゴーリン提督は同盟軍の戦力ではスカリフの脅威とならないと判断したが、クレニックは敵の目的が惑星の制圧でないことを見抜いていた。クレニックは即座に、スカリフの施設を全て封鎖するようラムダ将軍に命じた。[5] シールド・ゲートが閉じたことで地上と軌道の戦場は分断され、互いに通信することもできなくなった。情報保管庫にいるキャシアンとジンは、このままでは設計図を手に入れても脱出は不可能だと気づいた。しかしK-2SOは惑星シールドを破ることさえできれば、設計図を軌道に送信することができると指摘した。キャシアンはすぐにボーディーに連絡を取り、なんとか軌道と通信する方法を見つけ、味方艦隊にそのことを伝えるよう命令した。[1]
地上ではウォーカーがローグ・ワンを追い散らし、その過程で数名の反乱軍兵士が戦死した。ベイズとチアルートは十数名の生き残りとともに海岸に出て、浜辺へと走っていった。彼らはストームトルーパーが海からの侵入を防ぐために作ったものと思われる、水際の塹壕へ避難する。そこでベイズは、仲間の兵士が急いで差し出したロケット・ランチャーを使ってAT-ACTウォーカーの頭部を砲撃したが[5]、一瞬体勢を崩すことができただけで、大きなダメージを与えることはできなかった。しかし次の瞬間、メリック将軍率いるブルー中隊が空からウォーカーを仕留め、海岸にいる兵士たちの命を救った。地上の兵士たちは援軍の到着に歓喜の声を挙げた。[1]
一方ボーディーはトンクや[1] ジャヴ・メフラン伍長[6] を始めとするシャトルの待機組に自分たちが置かれている状況を教え、軌道の同盟軍艦隊と連絡を取るために考え出したプランを説明した。彼はシタデルの通信タワーを利用すればシールドを通り抜ける強い信号を送れると思いついた。[1] しかし通信タワーはスイッチを使って機械的・物理的に接続する構造になっており、そのスイッチは保安のためコンピューター網から完全に切り離されていた。[5] ボーディーは手動の接続作業を自ら行い、その間にタワーとの回線を有効にするマスター・スイッチを誰かに探させるよう、トンクに命令した。トンクはこの指示をビーチで戦うメルシに伝達した。[1]
分断された戦場[]
- 「“スターダスト”。これだわ」
「なんでわかる?」
「これはわたしのことだから」 - ―ジン・アーソとキャシアン・アンドー[出典]
ラダス提督は引き続き地上との連絡を試みるよう部下に命じ、スター・デストロイヤーやシールド・ゲートとの戦闘を開始した。Xウイング部隊やゴールド中隊がシールド・ゲートの表面に設置された砲塔を攻撃すると、帝国はゲートから大量のTIE/ln制宙スターファイターを出撃させてこれに応えた。同盟軍の戦闘機はすきを見てゲート中心のシールド自体にも爆撃を行ったが、エネルギー・フィールドは消滅の気配を見せなかった。そんな中、隊列から外れたレッド5の[1] ペドリン・ゴール[6] がTIEファイターに取り囲まれ、撃墜されて命を落とした。[1]
地上では、Uウイングのデッキで砲手を務める[1] イアカルのビスタンが、“ローバ”M-45連射式イオン・ブラスター[6] を使ってAT-ACTウォーカーの脚を破壊することに成功した。またブルー中隊はさらに1機のウォーカーを銃撃で撃破した。その後、ラーレン・ジョーマはUウイングをホバリングさせ、増援の反乱軍兵士たちをビーチに降ろした。帝国軍は大気圏内のブルー中隊に対処するため、TIE/sk x1試作型制空戦闘機からなる航空防衛部隊を出撃させた。その頃パッド9では、ボーディーが手動による回線接続作業を行っていた。[1] トンク伍長のアイデアで、シャトル待機組の兵士たちは不意に敵が現れた際にボーディーを守るためパッドの周りに散開した。[5] 彼らが予期した通り、間もなく大勢のトルーパーがパッド9に到着し、銃撃戦が始まった。ボーディーは物陰に隠れ、シャトルに戻れず身動きが取れなくなった。[1]
キャシアンとジンはパトナ中尉の右手を使って生体認証装置を解除し、いくつものデータ・カートリッジが重なったデータ・タワーへ通じる制御室に入った。2人が帝国の建造プロジェクトのファイルの中から目的の設計図を探すあいだ、K-2SOは部屋の外の端末で彼らの作業を手助けした。異変に気づいたストームトルーパーたちが保管庫に駆けつけると、K-2SOはデータ・タワーの部屋のドアを閉じ、ジンから与えられたブラスター・ピストルでトルーパーに応戦した。保管庫のファイルはコードネームで記録されていたが、ジンはゲイレンが自分を呼ぶときに使っていた愛称と同じ“スターダスト”というファイルを見つけ、これが設計図に違いないと気づいた。[1]
間もなく大勢のストームトルーパーが保管庫になだれ込み、K-2SOでは対処しきれなくなった。ブラスターで撃たれて満身創痍のK-2SOは、“スターダスト”のデータ=テープが保管されている位置を特定した後、時間稼ぎのため保管庫のドアをロックし、データ・タワーを直接登るようキャシアンたち告げ、機能停止した。キャシアンとジンはブラスター・ピストルで制御室の[1] ガラス製のビューポート[5] を破壊し、K-2SOに言われた通り、設計図を直接手に入れるためタワーに飛び移った。その頃、司令センターで戦いを見守っていたクレニック長官のもとに、保管庫で不正アクセスが発生したという報告が届いた。クレニックは配下のデス・トルーパー部隊もビーチの戦いに投入するよう命じ、2名のトルーパーを引き連れて自ら保管庫へ向かった。[1]
シールド・ゲート破壊[]
- 「ハンマーヘッド・コルベットを呼べ。わしに考えがある」
- ―ラダス[出典]
シタデル・タワー周辺では、援軍のブルー中隊もしだいに帝国の航空部隊に圧され始めていた。メリックのXウイングとジョーマのUウイングはいずれもTIEストライカーに撃墜された。またクレニック配下のデス・トルーパー部隊がTIEリーパーで戦場へ運ばれ、反乱軍兵士との銃撃戦に加わったため[1]、Uウイングで送られてきた増援兵士の数も削られていった。[5] 一方、ボーディーはパッド9の銃撃戦のなかを駆け抜け、なんとかSW-0608にたどり着いた。トンクはボーディーを守るため身を乗り出したところを敵に撃たれ、命を落とした。[1] メルシ率いる小隊はマスター・スイッチにアクセスするため防空複合施設へ向かったが、その過程で大勢の兵士がトルーパーの狙撃に倒れた。施設にたどり着くことができたのは、負傷したメルシとチアルート、ベイズ、セフラを含む数名の兵士だけだった。[5]
セフラとメルシが死んだ後、チアルートは隠れていた場所から歩みだし、守護者のマントラを唱えながらゆっくりとマスター・スイッチのコンソールへ近づいていった。[1] チアルートは杖で地面を叩いて地中に埋められたケーブルの方向を感じ取り、ザマ=シウォの技を使いながら、祈りの導きに従ってコンソールまでたどり着いた。[5] スイッチを起動した直後、チアルートはデス・トルーパーの銃撃で発生した爆発で吹っ飛ばされ、駆けつけたベイズの腕の中で息絶えた。通信が接続されたのを確認したボーディーはすぐに同盟軍艦隊に連絡をとり、手に入れた設計図を軌道に送信するには、惑星シールドを消滅させる必要があるとラダス提督に報告した。その直後、ボーディーはショアトルーパーが船内に投げ入れたC-25破砕性グレネードの爆発で命を落とした。またベイズも、数名のデス・トルーパーを殺した後、グレネードの爆風で戦死した。[1]
ボーディーから連絡が入った時、軌道の戦場では、ジョン・ヴァンダー隊長率いるゴールド中隊のYウイング・ボマーがイオン魚雷を使ってスター・デストロイヤー<インティミデイター>のエンジンを停止させることに成功した直後だった。ラダス提督は敵のスター・デストロイヤーを利用してシールド・ゲートを破壊する作戦を思いつき[1]、ケイドー・オクォーネが船長を務めるハンマーヘッド・コルベット<ライトメイカー>[5] に<インティミデイター>への体当たりを命じた。ラダスの計画通り、コルベットの突撃を受けた<インティミデイター>は隣りにいた<パーセキュター>と玉突き式にぶつかって破壊され、もつれ合いながらシールド・ゲートへ落下した。これによってゲートは破壊され、惑星を守っていたシールドも消え去った。[1]
ジン・アーソがデータ・タワーから目的のデータ=テープを手に入れた直後、クレニック長官がタワーに通じるドアから姿を現した。キャシアンは銃撃戦で2人のデス・トルーパーを倒したが、クレニックの射撃でデータ・タワーから落下してしまった。ジンはクレニックの死角に入り、データ送信用のアンテナがあるシタデル・タワーの最上部を目指してデータ・カートリッジの塔を登り続けた。クレニックはジンを追うため一度引き返し[1]、保守用のターボリフト[5] を使って上階へ向かった。ジンは最上階でデータ=テープをアンテナ端末に挿入し、プラットフォームから突き出した細長い通路の先にある装置を使ってアンテナを調整した。プラットフォームに戻る途中、TIEストライカーの攻撃で通路が破壊され、ジンは危うく落下しかけたが、なんとか壊れた通路にしがみついた。[1]
決着[]
- 「父はあんたの機械の中心に導火線をつけた。わたしは銀河中に火の付け方を知らせたわ」
- ―クレニック長官に対し、ジン・アーソ[出典]
ジンがアンテナ端末に戻る途中、クレニックが柱の陰から姿を現し、彼女にブラスター・ピストルを向けた。ジンは自分はゲイレン・アーソの娘だと名乗り、父親がデス・スターに仕込んだ弱点を銀河中に知らせたところだと語った。クレニックはシールドがある限り設計図が外部に漏れることはないと反論し、ジンを撃ち殺そうとした。しかし生きていたキャシアンが駆けつけて背後からクレニックを撃ち、ジンの危機を救った。クレニックが倒れた後、ジンは即座にアンテナを起動し、設計図のデータを軌道の艦隊へ送信した。アンテナの通信は<プロファンディティ>によって受信され、間もなく全てのデータが反乱同盟の手に渡った。[1]
その直後、デス・スターがスカリフの軌道にハイパースペース・ジャンプした。ターキンは間もなく到着するヴェイダーに同盟軍艦隊との戦いを任せ、まずはスーパーレーザーを使ってシタデル・タワーを砲撃するようロモディ将軍に命じた。スーパーレーザーはクレニックが倒れているシタデル・タワー最上部を消し飛ばし、基地周辺のビーチに着弾して大爆発を引き起こした。[1] シタデル周辺数百キロメートル圏内にいたあらゆる生命体を、帝国軍と反乱軍とを問わず全て滅ぼし去った。[8] ジンとキャシアンは、デス・スターの目的に気づいた士官やトルーパーがパニックを起こしたためか、誰とも遭遇すること無くタワーから出ることができた。[5] 2人はスカリフの海岸にたどりつき、スーパーレーザーの衝撃波が迫りくる中、互いに抱き合いながら運命を受け入れた。[1]
デス・スターの砲撃で死んだローグ・ワンがフォースとともにあることを祈った後、ラダスは同盟軍艦隊に撤退開始を命じた。3隻のCR90コルベット、2隻のGR-75中型輸送船、ハンマーヘッド・コルベット[1] <コンソナンス>[8] をはじめとする艦船は無事にハイパースペースへ飛び込んだが、ヴェイダーの旗艦であるスター・デストロイヤー<デヴァステイター>の到着により、残りの船は戦場に取り残された。GR-75輸送船のうち1隻は回避行動が間に合わず、<デヴァステイター>との衝突で大破した。逃げ遅れたネビュロンBフリゲートは破壊され、<プロファンディティ>は航行不能状態に陥り[1]、ラダス提督も戦死した。[11] 敵旗艦が設計図を受信したことを知ったヴェイダーは、乗船攻撃の準備をするよう[1] シェイフ・コーシン指揮官[6] に命じた。[1]
ラダス提督は本来、オビ=ワン・ケノービのもとへ向かうレイアをエスコートする予定だったため[15]、スカリフの戦い当時<プロファンディティ>にはレイアのコルベット<タナヴィーIV>が係留されたままだった。[1] <プロファンディティ>のクルーは<タナヴィーIV>への避難を開始し[5]、デス・スター設計図はデータカードに移され、反乱軍兵士によって<プロファンディティ>のコンピューターから持ち出された。しかしコルベットへ続く接続口のドアは故障しており、兵士たちは船に乗り込んできたダース・ヴェイダーに追いつめられた。仲間たちが次々とヴェイダーのライトセーバーに倒されていく中、兵士の1人はわずかに開いたドアの隙間から手をのばし[1]、トシュマ・ジェフキン[13] にデータカードを託した。ジェフキンはなんとか<タナヴィーIV>に乗り移り、ドッキングを解除して仲間たちに発進を命じた。その後、データカードはレイマス・アンティリーズ船長を通じてブリッジのプリンセス・レイア・オーガナに届けられ、<タナヴィーIV>はスカリフの戦場からハイパースペースへ飛び立った。[1]
その後[]
- 「何を送ってきたんでしょう?」
「希望です」 - ―レイマス・アンティリーズ船長とレイア・オーガナ[出典]
スカリフの戦いは反乱同盟にとって最初の大規模勝利となり[2]、銀河内戦の発火点となった。反乱同盟は帝国との全面戦争を避けていたが[1]、スカリフの戦いではそれまでの反乱軍の歴史でも類の見ないほどの戦力が帝国と艦隊戦を繰り広げた。[5] デス・スター設計図の損失は帝国にとって大きな痛手となったが、帝国の高官の多くはデス・スターの力を過信してそのことを重大視しておらず、設計図も間もなく奪還されるものと思い込んでいた。[2]
スカリフの戦いの後、<タナヴィーIV>はタトゥ星系の上空で<デヴァステイター>に拿捕された。ヴェイダーに捕まる直前、プリンセス・レイアは設計図をドロイドのR2-D2に託し、C-3POとともに脱出ポッドでタトゥイーンの地表へ避難させた。2体のドロイドは水分農夫のルーク・スカイウォーカーと巡り合ってオビ=ワン・ケノービのもとへたどり着いた。その後、オビ=ワンとルークは密輸業者のハン・ソロとチューバッカを雇い、<ミレニアム・ファルコン>でオルデランへ向かった。オルデランは既にデス・スターによって破壊されていたが、彼らはデス・スターからレイアを救い出し、設計図をヤヴィン4へ持ち帰った。反乱同盟が設計図を解析してバトル・ステーションの弱点を突き止めた後、ルークは反乱軍パイロットとしてヤヴィンの戦いに参加し、弱点である排熱孔にプロトン魚雷を命中させ、デス・スターを破壊することに成功した。[2]
出撃中隊[]
制作の舞台裏[]
デス・スターの設計図奪取に関する情報は、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年)のオープニング・クロールで初めて言及された。その後発売されたスピンオフ作品で、反乱軍が設計図奪取に成功した“トプラワの戦い”や、ヤヴィンの戦いへと繋がる“スカイフック作戦”が描かれたが、これらはいずれも2014年の設定改変に伴い非正史(レジェンズ)扱いとなった。
2016年、正史設定に属すアンソロジー・シリーズ映画第1弾、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でデス・スター設計図の奪取が大々的に取り上げられた。
登場作品[]
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参考資料[]
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科
- きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック 増補改訂版
- スター・ウォーズ:オン・ザ・フロントライン
- 最後のジェダイ:ローズ・ティコ:レジスタンス・ファイター
- スター・ウォーズ:レベル・ファイルズ
- Star Wars THE GALACTIC EXPLORER’S GUIDE
- THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録
- スター・ウォーズ:銀河系を変えた戦い
- スター・ウォーズ タイムライン
脚注[]
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