『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(Star Wars: Episode II Attack of the Clones)は、2002年に公開されたスター・ウォーズ映画の第5作でプリクエル・トリロジーの2作目である。『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』に始まり、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で完結するプリクエル・トリロジーの2作目。ライブ=アクション・シーンのほとんどにデジタル24フレーム・システムを使用した最初のスター・ウォーズ映画でもある。
物語はナブーの戦いの10年後から始まり、銀河は内戦勃発の瀬戸際に立たされていた。脱退したジェダイ・マスター・ドゥークー伯爵指揮の下、数千の星系が共和国離脱を迫られていた。ナブーの元女王パドメ・アミダラ元老院議員暗殺未遂事件が起きるとジェダイ・アプレンティス・アナキン・スカイウォーカーがその護衛に派遣され、スカイウォーカーのマスター・オビ=ワン・ケノービは黒幕を探りに旅立つ。やがてジェダイは独立運動の中心に入り込み、ついには新たなる戦争、クローン戦争が幕を上げる。
ジェームズ・マクティーグを共同アシスタントとしジョージ・ルーカスがメガホンを取った。本作はアメリカ国内で3億ドルの売上を記録し興行的に成功した。しかしながら前作『ファントム・メナス』の興行収入には及ばなかった。そして『スター・ウォーズ』映画としては初めてその年の最高興行収入映画にならなかった作品である(この年の最高興行収入映画は高い評価を得た『スパイダーマン』である)。『スター・ウォーズ』映画の中ではもっとも興行収入が低い作品でもある。
オープニング・クロール[]
Episode II ATTACK OF THE CLONES |
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概要[]
『ファントム・メナス』の出来事から10年後、銀河共和国は混乱のさなかにあった。かつてのジェダイ・マスター・ドゥークー伯爵(別名シス卿ダース・タイラナス)率いる分離主義運動が平和を脅かし、銀河元老院は共和国を守るための常備軍を設置する軍隊創設法案について協議していた。ナブーの元女王、パドメ・アミダラ元老院議員は法案反対に投票するためコルサントに戻ったが、銀河にはもはや平和を維持できるほど充分にジェダイはいなかった。
アミダラがコルサントに到着すると、彼女はかろうじて暗殺計画を生き延び、影武者のコーデが代わりに命を落としてしまう。結果としてシーヴ・パルパティーン最高議長は彼女を守るためジェダイ・ナイト・オビ=ワン・ケノービとその弟子アナキン・スカイウォーカーを派遣する。
その晩、暗殺者ザム・ウェセルは新たな暗殺計画を実行するがジェダイの妨げに遭う。ふたりのジェダイはギャラクティック・シティを通ってウェセルを追跡しバーで拘束する。オビ=ワンとアナキンはバーの外でウェセルを尋問するが、ジェダイが雇い主の名前を聞き出す前に謎の男がセーバーダートで彼女の口を封じて飛び去っていった。ジェダイ・テンプルに戻ったオビ=ワンは評議会から暗殺者を殺した男を探すよう命じられる。一方、アナキンは議員の警護を継続し彼女の故郷である惑星ナブーまで護衛を担当することになる。オビ=ワンの批判に苛立ちを感じることが多かったアナキンはひとりで任務をこなすことができるこのチャンスを喜んだ。さらに、アナキンはパドメに心奪われており彼女と時を過ごすチャンスを楽しんでもいた。パドメ不在の間はジャー・ジャー・ビンクスが準惑星代表として彼女の職務を代行することになった。
調査によって、オビ=ワンはジェダイ・アーカイブから抹消されていた謎多き惑星カミーノにたどり着く。ここでは共和国のためにクローン軍団が生成されていた。ラマ・スー首相はオビ=ワンに、10年ほど前にジェダイ・マスター・サイフォ=ディアスから依頼されて作り始めたと告げたが、オビ=ワンはそのころにはサイフォ=ディアスは死んでいたことに疑問を持つ。クローンのオリジナルとしてバウンティ・ハンター・ジャンゴ・フェットが雇われていた。オビ=ワンはカミーノでジャンゴに会い彼こそが追っていた暗殺者だと確信を持つ。ジャンゴ捕獲を試みたオビ=ワンは一対一の熾烈な戦いを繰り広げる。ジャンゴはブラスターやミサイルを駆使し荒れ狂う眼下の海にオビ=ワンを落として勝利した。オビ=ワンが死んだと思ったジャンゴは、息子ボバを連れてカミーノを発つ。ジャンゴ捕獲に失敗してオビ=ワンはジャンゴの船<スレーヴI>にホーミング・ビーコンをつけて惑星ジオノーシスまで追跡する。
そのころナブーでは、アナキンとパドメはお互いに楽しみつつ草原で戯れてともに時間を過ごしていた。やがてアナキンはパドメに対する深い愛を打ち明け望む事ならどんなことでもすると誓う。ところがパドメは、元老院議員とジェダイという立場から、ふたりが一緒になるのは不可能であるとしてこれを拒否する。アナキンはこの出来事と自分の胸中でせめぎ合うパドメへの想い、およびジェダイとして責務の葛藤に怒りを覚えた。
アナキンはまた、母親が命の危機に立たされていることを感じ取り、オビ=ワンからのナブーに残るようにという指示を破って一緒に故郷タトゥイーンまで行くよう、パドメを説得する。タトゥイーンに到着したアナキンはまず、かつての主人ワトーを訪ね、母親がクリーグ・ラーズという水分農夫と結婚したと聞いてラーズ農場へと向かった。そこでアナキンとパドメはC-3POと再会しアナキンの義兄オーウェンを紹介される。クリーグはアナキンの母親は一か月前にタスケン・レイダーに一団に誘拐されたという恐るべき真実を打ち明ける。一晩中飛び回ったアナキンはタスケンのキャンプで拘束されていた母親を発見する。母親はアナキンの腕に抱かれたまま息を引き取った。怒りと絶望に駆られたアナキンは男、女、子どもまでキャンプのタスケンを皆殺しにする。一方、コルサントではヨーダが激しいフォースの闇を感知していた(ヨーダにはアナキンに止めるよう呼びかけるクワイ=ガン・ジンの声が聞こえていた)。それからアナキンは母親の死体を農場に持ち帰って埋葬した。
ジオノーシスでは、オビ=ワンがドゥークー伯爵とコマース・ギルド代表者たちの会合を盗み聞きし、彼らが分離主義運動の支持者であり新たなドロイド軍を製造していることを突き止める。彼はまたナブーの戦いにおけるトレード・フェデレーション敗北への報復としてヌート・ガンレイがアミダラ暗殺計画の黒幕だったことを知る。オビ=ワンはアナキンとパドメの船を経由して情報を評議会に伝えたが、報告を終える前にドロイデカに包囲され捕獲されてしまう。
ドゥークーの軍隊の存在を知ったジェダイ評議会はメイス・ウィンドゥを筆頭に部隊をジオノーシスに派遣した。評議会は知らなかったが、アナキンとパドメもオビ=ワンを救うためにジオノーシスに潜入していた。一方、ビンクス準惑星代表はパルパティーン最高議長に非常事大権を与えるよう呼びかけ、新たに発見されたクローン軍団を実戦投入させようとしていた。
ジオノーシスでは、ドゥークー伯爵が味方に加わるようオビ=ワンを説得しダース・シディアスが元老院をコントロールしていると警告した。オビ=ワンは伯爵を信用せずそれが事実ならジェダイが感知しているはずだと答える。惑星に到着したアナキンとパドメはすぐにジャンゴ・フェットに捕らえられ死刑を宣告され、オビ=ワンとともにジオノーシスのアリーナで公開処刑に処されることとなった。貴賓席にはドゥークー伯爵、ヌート・ガンレイ、ルーン・ハーコ、ポグル・ザ・レッサー、ジャンゴ・フェット、ボバ・フェットらが詰めており、処刑の開始を見守っていた。オビ=ワン、アナキン、パドメの3人はリーク、ネクスー、アクレイと戦わなければならなかった。3人が悪戦苦闘しているとメイス・ウィンドゥ率いるジェダイ攻撃チームが救出に駆けつけドゥークーのドロイド軍団との戦いが始まった。無数のジェダイが一箇所に集まったのを見たジャンゴはジェットパックでアリーナの地上に降りウィンドゥに対決を挑む。短い攻防の後、ウィンドゥはジェットパックが誤作動を起こしたジャンゴの首を切り落として殺したが、それでもジェダイの劣勢は目に見えていた。幸運にもヨーダが共和国の新たなクローン軍団を引き連れて到着しガンシップでアリーナに着陸してパドメと生き残ったジェダイを救い出した。
アリーナの外では共和国のクローン軍団と独立星系連合のドロイド軍の間により激しい戦いが勃発した。ヌート・ガンレイトルーン・ハーコはガンレイの船で素早く脱出する。ポグル・ザ・レッサーはドゥークー伯爵にデス・スターの初期設計図を託した。ドゥークーも逃亡を図ったがオビ=ワンとアナキンが彼の秘密格納庫に現れ、ライトセーバー戦が始まる。ところが、ダークサイドに精通しそのライトセーバー戦・スタイルを使うドゥークーにとってふたりのジェダイはたいした相手ではなかった。ドゥークーはアナキンにフォース・ライトニングを浴びせ、オビ=ワンを負傷させてアナキンの右腕を切り落とした。ドゥークーがその場を離れようとした時にヨーダが登場し、対面したフォースのマスターふたりはすさまじい決闘を繰り広げる。ヨーダには勝てないと悟ったドゥークーは大きな柱をオビ=ワンとアナキンめがけて倒し時間を稼ぐ。ヨーダがフォースを使って柱を止める隙にドゥークーはソーラー・セーラーで飛び立っていった。コルサントの工業区画に到着したドゥークーはマスターであるダース・シディアスと顔を合わせる。予定通りに戦争が始まったと知ったシディアスは喜びを顕にした。
ジェダイ・テンプルではオビ=ワン、メイス、ヨーダが、元老院はダース・シディアスにコントロールされているというドゥークーの警告について話し合っていた。ヨーダはダークサイドは恐怖と混乱をもたらすことができると述べてこれを信じることをためらった。ヨーダとウィンドゥは元老院を注意深く見守る必要があるということで同意した。そのころ、パルパティーン最高議長とベイル・オーガナら元老院議員たちは巨大なクローン・トルーパーの軍団の出発を見守っていた
ナブーでは新しい機械の義手をつけたアナキンとパドメがC-3POおよびR2-D2のみの立会いのもと密かに結婚式を挙げていた。
登場人物・用語[]
制作の舞台裏[]
映画撮影は2000年6月26日から9月20日まで続いた。撮影は主にシドニーのフォックス・スタジオで行われ、チュニジア、スペイン・セビリアのスペイン広場、イタリア・コモ湖のヴィラ・デル・バルビアネッロとカゼルタ宮殿で追加ロケが敢行された。ピックアップ・ショットはイーリング・スタジオで撮影された。
2001年12月、イン・シンクのメンバーがエキストラとして『クローンの攻撃』に出演するという噂が流れた。それから数日感、この話は勢いを増し製作のリック・マッカラムがメンバー3人(ジョーイ・ファトゥーンJr、JC・シャゼイ、クリス・カークパトリック)にジェダイ役やナブー人民役を与えたと報じられた。後日ルーカスフィルムがニュースを認めたが、バンドのファンであるケイティとアマンダが父親であるジョージ・ルーカスに頼んで出演させたという噂は否定した。また、ジャスティン・ティンバーレイクは自身とランス・バスは出演しないがカークパトリックの兄弟スティーヴは出演すると認めた。多くのスター・ウォーズ・ファンはこのニュースに否定的であり、かつてスター・ウォーズ・ファンの一部がジャー・ジャー・ビンクスやイウォークに反応した時と同じようにこれをスター・ウォーズが「売り切れ」てしまったさらなる証拠と見る向きもあった。
公開[]
ホーム・ビデオ[]
『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』は2002年11月にDVD化された。この際、ジョージ・ルーカスによって細部に変更が加えられ劇場公開時とは微妙に異なったバージョンが発売された。2011年9月にはブルーレイ版が発売された。
2015年4月7日、ウォルト・ディズニー・スタジオ、20世紀フォックス、ルーカスフィルムは公開済みの『スター・ウォーズ』6作品のデジタル・リリースを共同で発表した。エピソード1~3、5~6のデジタル配信権はルーカスフィルムが有しており、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメントは2015年4月10日に『クローンの攻撃』ダウンロード版を公開した。
評価[]
興行収入[]
この映画はアメリカ国内で310,676,740ドルを稼ぎ海外では338,721,588ドルを売り上げた。興行的には大ヒットとなったが前作の『ファントム・メナス』の収入には及ばなかった。また、『スター・ウォーズ』映画として初めてその年の最高興行収入映画にランクインすることもなかった。この年の最高興行収入映画は『スパイダーマン』、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』で3作とも高い評価を受けた。
批評家の反応[]
最初の評価は賛否のふたつに別れたが概してアクション・シーンと特殊効果に関しては高く評価されていた。むしろキャラクター描写やセリフ、特にパドメとアナキンの関係といった基本の映画的要素の出来に批判が集まった。この映画のマーケティングはDVD発売までにはストーリーに対する批判を把握し人気のあるヨーダの戦闘シーンを強調した。批評家たちは本作のセリフを「活気がない」「平板」と評価した。それと同様に演技についても低評価を与える批評家もいた。
クレジット[]
キャスト[]
- ユアン・マクレガー - オビ=ワン・ケノービ
- ナタリー・ポートマン - パドメ・アミダラ
- ヘイデン・クリステンセン - アナキン・スカイウォーカー
- クリストファー・リー - ドゥークー伯爵/ダース・タイラナス
- サミュエル・L・ジャクソン - メイス・ウィンドゥ
- フランク・オズ - ヨーダの声
- イアン・マクダーミド - パルパティーン最高議長/ダース・シディアス
- ペルニラ・アウグスト - シミ・スカイウォーカー
- テムエラ・モリソン - ジャンゴ・フェット
- ジミー・スミッツ - ベイル・オーガナ元老院議員
- ジャック・トンプソン - クリーグ・ラーズ
- リーアナ・ウォルスマン - ザム・ウェセル
- アーメド・ベスト - ジャー・ジャー・ビンクス
- ローズ・バーン - ドーメ
- オリヴァー・フォード・デイヴィス - シオ・ビブル
- ロナルド・フォーク - デクスター・ジェットスターの声
- ジェイ・ラガーイア - キャプテン・タイフォ
- アンディ・セコーム - ワトーの声
- アンソニー・ダニエルズ - C-3PO
- サイラス・カーソン - キ=アディ=ムンディとヌート・ガンレイ
- エイヨシャ・ダーカー - ジャミーラ女王
- ダニエル・ローガン - ボバ・フェット
- ジョエル・エドガートン - オーウェン・ラーズ
- ボニー・マレー・ピエス - ベルー・ラーズ
- アンソニー・フェラン - ラマ・スーの声
- レナ・オーウェン - トーン・ウィーの声
- アレゼナ・マグラス - マダム・ジョカスタ・ヌー
- スージー・ポーター - ハーマイオニー・バグワ
- マット・ドーラン - エラン・スリーズバガーノ
- アラン・ラスコー - ロット・ドッド
- デイヴィッド・ヒーリー - ルーン・ハーコとギルラモス・リブカス
- クリストファー・トラスウェル - ルーン・ハーコ (クレジットなし)、ギルラモス・リブカス、シュ・マーイ、サン・ヒル、ワット・タンバーたちの声
- マット・スローアン - プロ・クーン
- ヴェロニカ・セグラ - コーデ
- デイヴィッド・ボワーズ - マス・アミダ
- スティーヴ・ジョン・シェパード - ナブーの中尉
- マシュー・ローワン - オーン・フリー・ター元老院議員
- スティーヴ・ボイル - アスク・アーク元老院議員
- ゼカリア・ジェンセン - キット・フィストー
- アレックス・ノール - J・K・バートラ
- フォエーブ・イアムキアティ - マリー・アミゼスト
- ケニー・ベイカー - R2-D2
- エイミー・アレン - アイラ・セキュラ (クレジットなし)
- ジェロミ・ブレイク - オポー・ランシセス
- ハッサニ・シャピ - イース・コス
- ジン・クラーク - アディ・ガリア
- カーン・ボンフィルズ - サシー・ティン
- ジェシー・ジェンセン - サシー・ティン (アリーナの場面)
- ミカエラ・コットレル - イーヴン・ピール
- ディピカ・オニール・ジョティ - デパ・ビラバ
- クレジットなしの女優 - ヴァーセ
- メアリー・オヤヤ - ルミナーラ・アンドゥリ (クレジットなし)
- オーリー・ショーシャン - シャアク・ティ (クレジットなし)
- トゥクス・アキンドエニ - エージェン・コーラー (クレジットなし)
- ウィリアム・クレイ - イスター・パディー
- マートン・チョーカス - ポグル・ザ・レッサーの声
- ミミ・ドラフェット - バルター・スワン
- ニコール・ファントル - レクシー・ディオ
- サンディ・フィンレイ - スライ・ムーア
- ヒルトン・ハウソン - トゥーンバック・トゥーラとログワ・ウォドラータ
- ナリーニ・クリシャン - バリス・オフィー
- アマンダ・ルーカス - アドナマ
- ケイティ・ルーカス - ルネイ・ミンクス
- リーアム・ニーソン - クワイ=ガン・ジンの声
- リリー・ニャムワサ - スタス・アリー
- カイル・ローリング - ジャクラド・ダンヴァ
- スティーヴ・ソーアーズ - ロネット・コーアー
- ゼイナップ・セルカク - ゼイ・ネップ
- イアン・ワトキン - COO-2180
- マシュー・ウッド - マガルーフとセボカの声
クルー[]
- 監督 - ジョージ・ルーカス
- 脚本 - ジョージ・ルーカス
- 製作 - リック・マッカラム
- 製作総指揮 - ジョージ・ルーカス
- 撮影監督 - デイヴィッド・タッターサル
- プロダクション・デザイナー - ギャヴィン・ボクェット
- 編集と音響監督 - ベン・バート
- 衣装デザイン - トリシャ・ビッガー
- 音楽 - ジョン・ウィリアムズ
脚注[]
外部リンク[]