スター・デストロイヤー(Star Destroyer)は銀河共和国や銀河帝国、ファースト・オーダーによって使用された、ダガー型の船体を持つ強力な主力艦の系統である。有名なスター・デストロイヤーとして、共和国宇宙軍のヴェネター級スター・デストロイヤーや、その後継種である帝国宇宙軍のインペリアル級スター・デストロイヤーが挙げられる。
名称[]
クローン戦争中、銀河共和国のアナクセス軍事大学校が新しい主力艦分類システム(アナクセス軍事大学校式分類法)を制定した際[1]、「スター・デストロイヤー」という名称の使い方が大きな議論を呼んだ。純粋主義者たちは、それはクワット・ドライブ・ヤード社のブランドだと主張したが、大学校側はすでに共和国軍の大型軍艦にスター・デストロイヤーという名称が使われており、分離主義勢力でもそう呼ばれている軍艦があると反論した。なおクワット・ドライブ・ヤード社製の最初のスター・デストロイヤーはヴェネター級艦であり、これが登場した時点でさらに多くのデザインが開発中だった。[2]
歴史[]
クローン戦争中、クワット・ドライブ・ヤード社によって製造されたヴェネター級スター・デストロイヤー(リパブリック・アタック・クルーザー)が銀河共和国の艦隊に配備された。このスター・デストロイヤーはまたたく間に共和国宇宙軍最強の主力艦となり、帝国時代以降も受け継がれていくことになる、くさび型軍艦の草分け的存在となった。ヴェネター級艦はクローン戦争を通して前線に留まり[3]、コルサントの戦いをはじめとする数々の戦闘で分離主義勢力の宇宙軍と相まみえた。[4] また共和国艦隊ではヴィクトリー級スター・デストロイヤーも使用されていた。[5]
クローン戦争の終結と銀河帝国の台頭に伴い、ヴェネター級スター・デストロイヤーも帝国宇宙軍の所属となり、赤かった船体は灰色に塗り直された。[4] やがて帝国では、何千という造船所で作られたより大型かつ強力な軍艦、インペリアル級スター・デストロイヤーがヴェネター級に取って代わり、帝国の軍事力の象徴として台頭した。インペリアル級艦は幅広い任務をこなすことができ、それ自体が強力な兵器プラットフォームであるだけでなく、TIEファイターを目標へ配備する、惑星侵略作戦の拠点にもなり得た。[6] 提督やグランドモフ、帝国保安局のエージェントといった帝国の高官がインペリアル級艦を移動司令室として利用し、スター・デストロイヤーだけでなくその指揮官も一般市民の畏怖の対象になっていた。[3]
初期反乱運動の時代、インペリアル級スター・デストロイヤーは銀河系の各地で反乱分子や、共和国再建のための同盟の兵力と衝突した。[7][8] インペリアル級艦はロザルをはじめとする反乱分子の活動が激しい惑星の包囲に用いられたり[9]、アトロンの戦いやスカリフの戦いでは、同盟宇宙軍と正面衝突した。[10][11] また反乱同盟との全面戦争である銀河内戦が始まった後も、タトゥイーンの秘密任務や[8] ホスの戦い[12]、エンドアの戦いなどで活躍した。[13]
また帝国ではインペリアル級に加え、クワズ級[5]、セキューター級[14]、テクター級[15]、オナガー級[16]、重力井戸発生装置を搭載したインターディクター級[17]、“スーパー級スター・デストロイヤー”の異名を持つエグゼクター級スター・ドレッドノートなどの級種が使用されていた。[18]
エンドアの戦い以降、反乱同盟の後継政府である新共和国は、シードの戦いや[19] アキヴァの反乱[20]、クワット・ドライブ・ヤード社の戦い、キャッシークの解放といった数々の戦闘で、帝国のスター・デストロイヤーを多数破壊、もしくは拿捕することに成功した。5 ABYの時点で、レイ・スローネ大提督はエンドア以前に存在したインペリアル・スター・デストロイヤーの75パーセントが既に破壊、または拿捕、または“興味深いかたちで失われた”と試算してた。しかしコルサントにある帝国記録ホールのアーカイブを探ったスローネは、残りの25パーセントが謎の失踪を遂げており、それらが破壊されたという噂は捏造であることを突き止めた。[21]
のちにスローネは、ガリアス・ラックス元帥がアルマゲストやレクルース星雲、ケルーハン星雲、ロ=ルー・トライアングル、イナモラータといった領域で秘密裏に帝国艦隊の指揮を執っていることを知った。この艦隊は何百隻というスター・デストロイヤーと、何千という小型スターシップによって構成されていた。シャンドリラ攻撃の後、ラックス元帥はこれらの軍艦を惑星ジャクーに集結させた。[21] ギャリック・ヴェルシオ提督の<エヴィセレイター>や[22] サイエナ・リー艦長の<インフリクター>をはじめ、多数のスター・デストロイヤーがジャクーの戦いに参加し、そして破壊された。この戦いの後、帝国は銀河協定への署名を強いられ、銀河内戦の敗戦国となった。[23]
エンドアの戦いから30年が経過した当時も、ジャクーの砂漠にはかつての戦いで墜落したスター・デストロイヤーの残骸が横たわっており、ゴミ漁りたちが価値のある部品を求めて回収活動を行っていた。[24] 帝国の後継者であるファースト・オーダーは、旧帝国軍のインペリアル級スター・デストロイヤーを引き続き使用したが[25]、新世代の軍艦であるリサージェント級スター・デストロイヤーも開発された。リサージェント級艦はインペリアル級艦のほぼ2倍の大きさを誇り、銀河市民への精神的な働きかけを狙って、旧帝国艦のデザインを意図的に模倣していた。[26] リサージェント級艦は冷戦や、レジスタンスとの戦争で使用された。[24]
スター・デストロイヤーの艦種[]
インペリアル級スター・デストロイヤー[]
インペリアルI級スター・デストロイヤー[]
クワット・ドライブ・ヤード社によって製造された全長1,600メートルの主力艦。共和国が使用したヴェネター級スター・デストロイヤーの後継者であり、帝国の軍事力の象徴だった。[3] 銀河皇帝シーヴ・パルパティーンによって行われた大規模な軍備増強計画のもと、クワットやコレリア、リンゴ・ヴィンダ、フォンドアといった銀河各地の施設が、インペリアル級艦を大量生産することができる民間の乾ドックや軍事港に作り変えられた。[27] スローン大提督の旗艦である<キメラ>や[28]、グランドモフ・ウィルハフ・ターキンの旗艦<エグゼキュートリクス>、シス卿ダース・ヴェイダーの旗艦<デヴァステイター>などが知られる。[27]
インペリアルII級スター・デストロイヤー[]
全長はI級と同じく1,600メートル。I級艦はブリッジ・タワーの上にトラクター・ビーム照準アレイを配置していたが、II級艦は通信タワーを搭載していた。[29] 最後のI級艦である<デヴァステイター>が就航した後、クワット・ドライブ・ヤード社によってII級艦の建造が開始された。[27] また<デヴァステイター>をはじめとする一部のI級艦は、アップグレードによってII級艦の特徴である通信タワーの取り付けが行われた。[30] ロース・ニーダ艦長の<アヴェンジャー>、ザミュエル・レノックス艦長の<タイラント>[12]、ギャリック・ヴェルシオ提督の<エヴィセレイター>[22]、ラー・デュヴァット艦長の<トーメント>などが知られる。[19]
インターディクター級スター・デストロイヤー[]
4基の重力井戸発生装置を搭載した、銀河帝国の[31] スター・デストロイヤー。[17] 全長1,129メートル、サイナー・フリート・システムズ社製。[31] インターディクション・フィールドを作り出し、ハイパースペース航行中の標的をリアルスペースへ引き戻したり、ハイパースペース・ジャンプを妨害することができた。4 BBY、この級種の実験艦である“インペリアル・インターディクター”のテスト運用がデル・ゼニス星系で行われた。[32] スローン大提督の第7艦隊に複数のインターディクター級艦が配備され、アトロンの戦いでは惑星包囲網の形成に使用されたが、反乱同盟軍の抵抗で破壊されてしまった。[10]
オナガー級スター・デストロイヤー[]
T字型の船体を特徴とするスター・デストロイヤー。船体の中央部を走る溝の中に、強力な超重合成ビーム・ターボレーザーを搭載しており[16]、反乱同盟には“シージ・ブレイカー”というニックネームで知られていた。[33] 超重合成ビーム・ターボレーザーは銀河帝国でもっとも破壊的な兵器のひとつとされ、自艦の乗員には危険が及ばないほど長距離から軌道爆撃を行うことができた。[16] デス・スターの存在がまだ明確になっていなかった頃、反乱同盟はカイバー・クリスタルを利用した帝国の超兵器の正体を探る過程で、シージ・ブレイカーが大量生産される可能性を考慮に入れた。[33]
クワズ級スター・デストロイヤー[]
クローン戦争の直後に帝国宇宙軍で使用されていたスター・デストロイヤー。[5]
リサージェント級スター・デストロイヤー[]
クワット=エントラーラ・エンジニアリング社によって製造されたファースト・オーダーのスター・デストロイヤー。全長2,915.81メートル。銀河協定を破って開発が進められ、未知領域に設けられた造船所や秘密施設で建造された。[26] リサージェント級艦は帝国のインペリアル級艦よりも強力な、カイバー・クリスタルを出力源とするターボレーザーを搭載し、スターファイターの配備能力も改善されていた。[34] アーミテイジ・ハックス将軍やカイロ・レンの旗艦である<ファイナライザー>や[24]、キャプテン・カーディナルがストームトルーパー候補生の訓練を行っていた<アブソリューション>などが知られる。[35]
セキューター級スター・デストロイヤー[]
クワット・ドライブ・ヤード社が製造した帝国軍のスター・デストロイヤーであり、バトルクルーザーやキャリアーにも分類されることがあった。クワット社が製造した帝国の艦船の中で最もヴェネター級スター・デストロイヤーとよく似た特徴を持ち、数キロメートルにも及ぶ平たい船体の上面に、ツイン構造のブリッジを備えていた。セキューター級艦はその優れた積載能力により、多数の人員とスターファイター、ビークルを配備でき、容易に惑星を包囲することが可能だった。[36] セキューター級艦は帝国時代の初期からすでに使用されていた。ドッド・ランシット中将が指揮した<コンクエスト>がこの級種。[14]
テクター級スター・デストロイヤー[]
銀河帝国が銀河内戦で使用したスター・デストロイヤーの一種。[15] インペリアル級艦とよく似ていたが、腹面ハンガー・ベイが無い等、わずかに違いがあった。テクター級艦の姿はエンドアの戦いで確認されている。[13]
ヴィクトリー級スター・デストロイヤー[]
共和国宇宙軍[5] および帝国宇宙軍が使用したスター・デストロイヤー。14 BBY当時、ヴィクトリー級艦はベルドロンの帝国施設をはじめとする各所に配置されていた他、首都コルサントのインペリアル・パレスにもヴィクトリー級艦を収容可能なハンガーがあった。[14] また0 ABY当時も、ヴィクトリー級艦はインペリアルI級艦をはじめとする他のスター・デストロイヤーと並んで現役で使用されていた。[37]
ヴェネター級スター・デストロイヤー[]
共和国宇宙軍の主力としてクローン戦争で活躍したスター・デストロイヤー。リパブリック・アタック・クルーザーという通称に加え、ジェダイ将軍たちが指揮を執ったことからジェダイ・クルーザーという異名でも知られていた。[3] 全長1,155メートル。[38] バトルシップとキャリアー両方の役割を担い、船体中央に0.5キロメートルものフライト・デッキが設けられていたため、扉が開けばすぐにでもスターファイターを発進させることができた。[3] アナキン・スカイウォーカー将軍とウルフ・ユラーレン提督の旗艦である<レゾリュート>や[39]、オビ=ワン・ケノービ将軍の旗艦<ネゴシエーター>[40] および<ヴィジランス>などが知られる。[41]
ジストン級スター・デストロイヤー[]
クワット=エントラーラ社によってシス・エターナルのために建造されたスター・デストロイヤー。別名、シス・スター・デストロイヤー。[42] パルパティーン率いるファイナル・オーダーの戦力として秘密裏に準備され、シス艦隊を構成した。[43] ジストン級艦はインペリアル級艦をベースにデザインされており、さらなる大型化と効率化を遂げていた。船体下面に配置されたアキシャル・スーパーレーザーは、惑星を軌道から破壊することが可能な超兵器だった。[42] 35 ABY、シス艦隊の存在が初めて明るみに出た後、ジストン級艦によって惑星キジーミが破壊された。ところが、残りのシス艦隊は拠点であるエクセゴルから出発する前にレジスタンスの攻撃を受け、エクセゴルの戦いで壊滅した。[43]
関連する艦種[]
スター・デストロイヤーと呼ばれることもある巨大軍艦の艦種: