- 「あれが援軍のクルーザー? ただの古い輸送船だよ」
「今はもらえるものなら何でもありがたいさ」 - ―エズラ・ブリッジャーとケイナン・ジャラス[出典]
スフィルナ級ハンマーヘッド・コルベット(Sphyrna-class Hammerhead corvette)はコレリアン・エンジニアリング社やレンディリ・スタードライブ社によって製造されたコルベットの級種である。ハンマーヘッド・コルベットの通称で広くされた。名前の由来でもある特徴的な船首のデザインは、何世紀も前にレンディリ・ハイパーワークス社が製造した宇宙船から受け継がれたものだった。レンディリ社からは“武装中型輸送船”として位置づけられていたこのコルベットは、銀河系のスペースレーンで一般的に使用されていた。ハンマーヘッドは大きくがっしりとした船体を持ち、物資や人を安全に輸送できるよう設計されており、大型のモジュラー式貨物倉庫や外部接続用のドッキング・ポイントを備えていた。レーザー砲やターボレーザーからなる充分な武装に加え、システムのアップグレードが容易であることから、一部は海賊や密輸業者の艦隊に渡り、兵器や貨物積載能力にさらなる改良が施された。
初期の反乱分子や反乱同盟もハンマーヘッド・コルベットを手に入れ、銀河帝国との戦いに投入した。3 BBYには、惑星オルデランの王室が3隻のハンマーヘッド・コルベットを人道支援の名目で惑星ロザルへ運び、反乱分子のフェニックス戦隊へ引き渡すことに成功した。そのうちの1隻である<ライトメイカー>は、1 BBYにケイドー・オクォーネ艦長指揮のもとスカリフの戦いに参加した。同盟宇宙軍のラダス提督は<ライトメイカー>をインペリアルI級スター・デストロイヤー<パーセキュター>に体当たりさせ、スカリフ軌道のシールド・ゲートを破壊することに成功した。それから数十年後、レジスタンスの宇宙軍でも<スターディク・スター>をはじめとするハンマーヘッドが使用された。また35 ABYには、複数のハンマーヘッド・コルベットが民衆の艦隊の一員としてエクセゴルの戦いに参加し、シス・エターナルの軍勢と空中戦を繰り広げた。
特徴[]
概要[]
- 「用意はいいか、艦長?」
「肝要でない乗員は退避させました」 - ―ラダス提督とケイドー・オクォーネ艦長[出典]
スフィルナ級ハンマーヘッド・コルベット[14]、別名ハンマーヘッド級クルーザーは[11]、帝国時代から[15] さかのぼること数世紀前にレンディリ・ハイパーワークス社が設計した宇宙船のデザインから影響を受けていた。[2] スフィルナ級コルベットはコレリアン・エンジニアリング社や[1] レンディリ・スタードライブ社によって製造された。巨体でがっしりとした輸送船であるハンマーヘッドは護衛艦を必要とせず、安全かつ快適に物資や人を輸送するために設計されていた。ハンマーヘッドの円筒型の船体には多数の大型モジュール式貨物倉庫と、貨物コンテナを接続するための外部ドッキング・ポイント、外部貨物リフトが搭載されていた。[2]
角張った縦長の船首にはフライト・デッキやクルーの寝台、客室が配置されており、この区画が船の特徴的なシルエットと名前の由来になっていた。[2] 後方の3基の巨大なパイロンにRSD 88D-IIブライトスター・イオン・エンジンが搭載されており[6]、亜光速での最高速度は時速900キロメートルを誇った。[1] エンジンは逆三角形のブロックに配置され、船の主要反応炉やハイパードライブ、エンジニアリング・セクションの大部分がここに収められていた。[16] ハンマーヘッドはクラス3の主要ハイパードライブを搭載し、補助用にクラス15のドライブを備えた。また航法コンピューターや中距離センサーも搭載していた。[2]
エンジン・ブロックは船の主要胴体部分に接続されており、最終的には船の前方にある広々としたコックピットに繋がっていた。ハンマーヘッドのブリッジには4つのクルー・セクションがあり、2名のクルーによって操縦可能で、場合によっては1人だけで運用することもできた。[16] しかしハンマーヘッドの正規の乗組員数は35名であり、さらに125人の乗客を収容することができた。乗組員は円形の戦術ディスプレー・コンソールを使ってブリーフィングを行い、しばしば戦闘群の指揮官が船の連携を調整した。コンソールはブリッジ・ルームの中央、指揮官の椅子の後ろに配置されていた。ハンマーヘッドは6か月分の消耗品を積み込むことができ、製造に1,000,000クレジットのコストがかかった。[2] またハンマーヘッドは22,833メトリック・トンの貨物積載能力を有した。
攻撃及び防衛システム[]
- 「コルベット5、標的をロック。衝撃に備えろ」
- ―ケイドー・オクォーネ艦長[出典]
ハンマーヘッド・コルベットは重レーザー砲およびターボレーザーからなる優秀な武装を備えており、標準型の場合はブリッジの脇に前方二連重レーザー砲2門、背面のエンジン・ブロックにタレット搭載二連軽ターボレーザー砲塔を装備していた。この船の内部システムはメンテナンスやアップグレードが容易であり、数多くの余剰システムに支えられていた。そのため、強力な偏向シールドを装備していることも相まって、ハンマーヘッドは宇宙航行に適しており、偶発的な衝突に見舞われても比較的軽度なダメージで済むことができた。[2] またハンマーヘッドは発射体を放つ外部兵器ラックを船体に取り付けることができた。[17]
変種と改造型[]
- 「ロザルの市民のために救援物資を運んできました。帝国元老院の許可は得てあります」
- ―貨物ベイを搭載したハンマーヘッド・コルベットの乗組員[出典]
その歴史上、ハンマーヘッド・コルベットにはいくつかのバリエーションが存在した。たとえば初期の反乱分子がよく使用したバージョンは、腹面部に貨物ベイを備え、二連レーザー砲3門をを搭載していた。[7] また反乱同盟も設立間もない頃にこのモデルを使用していた。[18] 他にもハンマーヘッド・スカウト・コルベットや[3] ハンマーヘッド・トーピド・コルベットと呼ばれる変種が存在した。[4] ハンマーヘッド・コルベットはシステムがアップグレードしやすく、船殻が丈夫であることから、密輸業者や海賊のハンマーヘッドにはしばしば高度な改造が施され、さらに強力な武装や優れた貨物システムが与えられていた。[2]
1 BBY当時、反乱同盟は<ライトメイカー>をはじめとするハンマーヘッド・コルベットを改修し[10]、以前のモデルとは少し異なる改造型を使用していた。左舷・右舷のドッキング・チューブに搭載されたモジュール2基や、腹面および背面のタレット搭載型二連軽ターボレーザー砲塔によって総兵器数が増加しているなど、改造型ハンマーヘッドの構造にはオリジナルには無かった新要素が追加されていた。また貨物ベイに代わって[9] 6基の脱出ポッドが追加された他[1]、3つの主要亜光速イオン・ドライブの上に4基目が付け足されており、ハンマーヘッド単体で非稼働状態のインペリアルI級スター・デストロイヤーを押して動かすことが可能だった。さらにまた、船体やフレームに追加のモジュールやコンパートメントが付属していた。[9]
役割[]
- 「ハンマーヘッド・コルベットを呼べ。わしに考えがある」
- ―ラダス提督[出典]
レンディリ社の公式な分類によれば、ハンマーヘッドは“武装中型輸送船”とされている。[6] 民間では、輸送会社が物資や人員を移動させるためにハンマーヘッド・コルベットを使用していた。また密輸業者や海賊もハンマーヘッド・コルベットを利用し、艦隊の戦力に加えていた。軍隊では、同盟宇宙軍が帝国宇宙軍に対してハンマーヘッド・コルベットを配備し、大きな効果を上げていた。同盟軍はハンマーヘッドを重攻撃艇として使用し、集団を組んで同サイズあるいはそれ以上の規模の敵艦と戦わせていた。ハンマーヘッドは体当たり攻撃に特化しており、敵艦とのあいだに強力なシールドを保持しながら標的に近づき、衝突に備えて隊列を保つなどの戦術が採られた。[2] ハンマーヘッドは他にも軍事面において護衛艦や[9] 偵察船[3]、牽引船としての役割を果たすこともあった。[10]
歴史[]
初期[]
スフィルナ級コルベットは何世紀も前にレンディリ・ハイパーワークス社が製造した宇宙船のデザインを受け継いでいた。[16] このコルベットの歴史はコレリアン・エンジニアリング社が製造したCR70コルベットなどのCRシリーズよりも古かった。[16]
反乱運動[]
帝国時代、ハンマーヘッド・コルベットはすでに何十年も時代遅れの船とみなされていたが、この頃も個人の輸送会社や密輸業者、海賊の艦隊、その他の派閥において現役で活躍し[2]、惑星オルデランの王室も複数のハンマーヘッドを保有していた。[7] 19 BBYに銀河帝国が設立されて間もない頃、惑星ブラッカの宇宙船解体現場には、ヴェネター級スター・デストロイヤーやプロヴィデンス級ドレッドノート、アクラメイター級アサルト・シップといった他の軍艦と並び、ハンマーヘッドの残骸が廃棄されていた。[19]
3 BBY、反乱分子のフェニックス戦隊がガレルの戦いで損失を出したことを知ったオルデランのベイル・オーガナ元老院議員は、彼らに3隻のハンマーヘッド・コルベットを援軍として提供することに決めた。オルデランは表向きには帝国の一員だったため、オルデラニアン艦隊のコルベットP1とP2、P3[7] (別名ライトメイカー、ダッチェス・セナ、アミティズ・アロー)[10] は議員の養女であるプリンセス・レイア・オーガナの指揮のもと、帝国元老院から認可を受けた救援物資運搬任務という名目で惑星ロザルへ届けられた。フェニックス・リーダー、キャプテン・ヘラ・シンドゥーラから援軍到着の知らせを受けたジェダイのケイナン・ジャラスは、コルベットを回収するためパダワンのエズラ・ブリッジャーを連れてジャラース・シティへ向かった。[7]
レイア・オーガナはスペクターズの反乱者たちと秘かに接触し、オルデランの反乱運動支援がばれないような形でコルベットを回収する計画を立てた。一方、帝国のヨガー・リステ大尉は3隻のコルベットに重力ロックをかけた上、駐機所付近にAT-ATウォーカーを配備して警戒に当たらせた。しかしスペクターズの協力者である元ロザル総督のライダー・アザディは、帝国の刑務所に入れられていた時に重力ロックの組み立てに携わった経験があった。アザディの助けもあり、反乱者たちは3隻のコルベットの奪取に成功し、拡大を遂げていた反乱軍艦隊の戦力に加えた。[7]
コルベット受け渡しが終わった後、レイア・オーガナはオルデラン保有船が反乱者に“奪われた”責任を帝国に問いただし、ロザル宙域のモフ・スタッタータに“帝国による完全なる賠償”を求めた。その内訳は、コルベット1隻につき650,000クレジット、そして船に満載されていた救援物資の貨物68,000メトリック・トンの補償としてさらに292,500クレジットというものであり、レイアは問題を元老院に報告すると脅しをかけた。[10] その後、元シス卿のモールはフェニックス戦隊が保有するハンマーヘッド・コルベットのうち1隻を襲撃した。モールは遭難信号を受け取って駆け付けた<ゴースト>のクルーを待ち伏せし、ジェダイと交渉する際の人質として生け捕りにした。[20]
2 BBY、銀河帝国がマイカポ星系の取り締まりを強化しようとしていることが判明した際、フェニックス戦隊は現地の反乱分子を救出するため、ハンマーヘッド・コルベットと<ゴースト>、そしてRZ-1 Aウイング・インターセプターの護衛機からなる部隊を惑星マイカポへ派遣した。避難活動は無事に終わり、コルベットは<ゴースト>を残して先に星系から離脱した。[21] のちにアトロンの戦いが発生した際、ハンマーヘッド・コルベットのP2がスローン大提督率いる帝国艦隊との戦闘で破壊された。[22]
銀河内戦[]
- 「残っているのはわたしと基幹乗員、数台のドロイドのみです。針路は固定しました」
「では始めよう」 - ―ケイドー・オクォーネ艦長とラダス提督[出典]
反乱同盟は銀河内戦でも引き続きハンマーヘッド・コルベットを使用した。[9] <ライトメイカー>はこの頃になるとエンジンが1つ追加されるなどの改造を施されていた。1 BBY、ケイドー・オクォーネ艦長指揮下の<ライトメイカー>を始めとする複数のハンマーヘッドがラダス提督率いる同盟宇宙軍の一員としてスカリフの戦いに参加した。戦闘中、ラダスは惑星スカリフの軌道に浮かぶ帝国のシールド・ゲートを破壊するために一計を案じ、<ライトメイカー>を機能停止状態にある帝国のインペリアルI級艦<パーセキュター>に体当たりさせた。ハンマーヘッドの体当たりで突き動かされた<パーセキュター>は、別の同型艦<インティミデイター>と衝突し、崩壊しながらシールド・ゲートへ落下した。[9]
ゲートが壊れ、惑星シールドが消滅した結果、反乱同盟はスカリフの地上にいるローグ・ワンからデス・スター設計図を受信することに成功した。しかし<ライトメイカー>も衝突のダメージで破壊され、オクォーネを始めとする乗員たちは命を落とした。[8] 一方、戦闘に参加したハンマーヘッド・コルベット<コンソナンス>は[23]、ラダスの旗艦<プロファンディティ>が設計図を手に入れた後、インペリアル級艦<デヴァステイター>が出現する直前に戦場から離脱した。[9] <コンソナンス>の通信士官であるルーン・バスコン中尉はスカリフから発信されていた帝国の通信を傍受することに成功しており、その記録を後世に残した。[23]
新共和国時代[]
ファースト・オーダー=レジスタンス戦争の時代、<スターディク・スター>という名のハンマーヘッド・コルベットがレジスタンスの宇宙軍で使用されていた。しかしこのコルベットは任務で損傷を負ってトールに不時着し、C-3POとドロイドのチームを除いて乗組員は死んでしまった。[12]
35 ABY、レジスタンスが惑星エクセゴルでシス・エターナルの大艦隊ファイナル・オーダーとの決戦に臨んだ際、<ミレニアム・ファルコン>のランド・カルリジアンとチューバッカがコア・ワールドでレジスタンスへの助力を呼び掛けた結果、多数のハンマーヘッド・コルベットが戦いに志願した。[13] 呼びかけに応じた宇宙船は14,000隻の大艦隊となり[24]、レジスタンスに加勢すべく惑星エクセゴルの大気圏へジャンプした。[13]
孤軍奮闘していたレジスタンスはシス・エターナル軍との空中戦で多くの犠牲を出していたが、民衆の艦隊が到着したことで戦いの流れが変わった。ハンマーヘッドを始めとする艦船は、単体で惑星を破壊する力を持つファイナル・オーダーのジストン級スター・デストロイヤーと戦いを繰り広げた。戦闘中、シスの暗黒卿ダース・シディアスが空に向かて強大なフォース・ライトニングを放ち、民衆の艦隊の船は一時的に制御を失って落下を開始した。しかしジェダイのレイがシディアスに立ち向かったためライトニングが止まり、船は再び制御を取り戻すことができた。最終的にシディアスはレイによって倒され、民衆の艦隊もシス艦隊に勝利した。戦いが終わった後、ハンマーヘッドを含む多数の船が<ファルコン>やレイのXウイング・スターファイターとともにエクセゴルから撤退した。[13]
制作の舞台裏[]
スフィルナ級コルベットは2016年1月20日に公開されたTVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ 反乱者たち』シーズン2の第12話『ロザルに来た姫』で初登場を果たした。この船のデザインはレジェンズのゲーム『スター・ウォーズ:旧共和国の騎士』に登場するハンマーヘッド級クルーザーが基になっている。[25] 艦種名に使われている Sphyrna とは、現実世界のシュモクザメの属名である。
設定のブレ[]
2017年に発売された正史の設定資料集『スター・ウォーズ:レベル・ファイルズ』では、レジェンズのゲーム『スター・ウォーズ:オールド・リパブリック』に登場するスランタ級コルベットの画像が、誤ってスフィルナ級コルベットの画像として掲載されている。[10][26]
スフィルナ級コルベットの全長について、2018年発売の設定資料集『スター・ウォーズ ビークルのすべて』では315メートル(1,033フィート5インチ)と紹介されているが[1]、『スター・ウォーズ 反乱者たち』のエピソードや映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』での描写、特に<ゴースト>をはじめとする他の艦船との対比をみると、明らかに315メートルより小型である。のちにルーカスフィルム ストーリー・グループのスタッフであるリーランド・チーは315メートルという記載が誤りであることを認め、『ローグ・ワン』の制作リストに記載されている全長は116.7メートル(383フィート)であると自身の Twitter で発言した。[5]
2018年に発売されたファンタジー・フライト・ゲームズ社の設定資料集『Dawn of Rebellion』によれば、ハンマーヘッド・コルベットの製造元はレンディリ・スタードライブ社である。[6] しかし同じ年に発売された『ビークルのすべて』ではコレリアン・エンジニアリング社と紹介された。[1] 2020年発売のファンタジー・フライト・ゲームズ社の設定資料集『Starships and Speeders』では再びレンディリ・スタードライブ社と解説されている。[2] 本サイトでは両設定を併記している。
登場作品[]
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参考資料[]
- スター・ウォーズ ローグ・ワン アルティメット・ビジュアル・ガイド
- スター・ウォーズ:オン・ザ・フロントライン
- きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック 増補改訂版
- STAR WARS GEEKTIONARY THE GALAXY FROM A to Z
- スター・ウォーズ:レベル・ファイルズ
- スター・ウォーズ ビークルのすべて
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション
- 反乱軍スターファイター オーナーズ・ワークショップ・マニュアル
- THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録
- Hammerhead Corvette - 公式データバンク