センサー(Sensor)はデータを探知して分析する様々な装置の総称である。近距離放射線検出器といった惑星探査に役立つ単純なものから、宇宙船での旅に不可欠な精密な装置に至るまで、さまざまなセンサーが存在した。遠距離にあるものを拡大して映像データを記録するマクロバイノキュラーもセンサーの一種である。センサーが探知する対象は、光や無線通信、電磁放射、音、動き、振動、重力場、放射線、電磁場、熱、気圧、化学的痕跡、あるいは別のセンサーなど、装置によってさまざまだった。[1]
概要[]
分類とモード[]
センサー・テクノロジーは主に、アクティブ(能動)型センサーとパッシブ(受動)型センサーという2種類に大別される。アクティブ・センサーは制御されたエネルギーを有効範囲に向けて放ち、物体から“跳ね返る”反射エネルギーを収集する。一方、パッシブ・センサーはほかの発生源から放たれるエネルギーを感知する。望遠鏡や熱感知器はパッシブ・センサーに分類される。センサーは宇宙航行の必需品だが、センサーが発するエネルギーは総じて他の宇宙船のセンサーからも“見える”ため、逆探知されてしまうことに注意する必要があった。ただし、アクティブ・センサーは高エネルギーを使うため探知されやすいのに比べ、パッシブ・センサーはさほどエネルギーを必要としないため、比較的見つかりにくいという利点があった。宇宙船に搭載されるアクティブ・センサーには、以下の3種類のモードがあった。[1]
- スキャン(走査)モード:船体周囲の全体的な状況を探知し、基本的な情報を入手する。例えば探知圏内に他の宇宙船が存在するか、何隻いるかといった情報を手に入れ、潜在的な危険を探知した場合には警告指示器でパイロットに注意を促す。なお時間をかけて綿密にスキャンを行うこともあれば、手早く済ませるやり方もあった。[1]
- サーチ(捜索)モード:船や放射性周波数など、パイロットやセンサー担当者が指定した特定の対象物だけを探知する。そのためサーチを行う前に、パイロットやセンサー担当者は対象物の種類を明確にしておく必要があった。宇宙船が編隊を組んで飛行する際、パイロットたちは互いのセンサーが重なる範囲を“サーチ”し、先頭パイロットが前方を、他のパイロットが側面や後方を担当するなどして、役割を分担した。また航法コンピューターと組み合わせることで、緊急脱出ルートの計算にも役立てることができた。[1]
- フォーカス(集中)モード:パイロットやセンサー担当者が指定した特定の範囲だけを集中的に探知する。当該エリアについてはより詳細な情報を手に入れることができるが、エリア外については全く情報を探知できない。そのためフォーカス=モードは、他のモードで異常な物体や通信が検出された後に使われることが多かった。[1]
センサー関連機器[]
宇宙船にはセンサー・アレイ(配列)と呼ばれる、センサー関連機器一式が搭載されていた。典型的なセンサー・アレイの場合、適切に機能するには3つのコンポーネントが必要となった。宇宙船の周囲をスキャンしてデータを集める長距離センサーと、そのデータを評価するコンピューター、そしてその評価結果を二次元もしくは三次元で表示するディスプレイである。一般的に、大型の宇宙船ほど大きなコンピューター・ルームを装備可能であり、特殊なセンサーを接続するポートも多く、戦術的に有利だった。しかしその分エネルギーを大量に放ち、より多くの光を反射し、大きな重力の乱れを起こすため、標的になりやすいという欠点もあった。[1]
妨害装置[]
センサーによる探知を阻止する手段として、センサー・ジャマー(妨害装置)と呼ばれるテクノロジーが存在した。[2] センサー・ジャマーは静電気や不規則なシグナル、偽の応答信号を使って自船の存在を覆い隠した。しかし妨害装置を使うことで、妨害シグナルそのもののエネルギー放出により、自船のおおまかな位置が相手に知られてしまうという欠点もあった。[1] またクローキング装置を使えば自船から放出される様々なシステムやセンサーの電子的痕跡を消し去り、外部の電子探知システムから“見えない”ようにすることが可能だった。[3] バッフルウィーヴと呼ばれる素材はセンサーを攪乱する性質を持ち、スパイが身に着ける衣類の素材として用いられた。[4]
使用例[]
宇宙船[]
- 「光速にジャンプした船の記録がセンサーに残っていないか?」
「いいえ。クロノー放射の痕跡はありません」 - ―ウィルハフ・ターキンと専門官[出典]
センサーは主に宇宙船の周囲の情報を収集して、危険や障害が無いかを分析するために使用された。ほとんどの宇宙船には、広帯域のスペクトル分析が可能なセンサー・スイートが装備されていた。[5] 大型の宇宙船には、センサー士官と呼ばれる専門の役職が置かれることもあった。[6] 航行や衝突回避、研究、探査などに最適なセンサー一式があれば、銀河系のコア領域にある多くの惑星を行き来するのに充分な装備だったが、辺境領域の、海賊に襲われる危険のある星系を飛行する場合には、用心のため更なるセンサー機器の搭載が推奨された。[1]
市場では何千種類という宇宙船用センサーが販売されていたが、完全無欠なセンサーというものは存在しなかった。センサーは太陽放射や水素雲、小惑星帯、重力井戸といった自然現象の干渉を受けて満足に機能しないこともあれば、未知の妨害装置や隠蔽工作によって欺かれることもあるためである。センサーさえあればあらゆる障害物を回避できるという保証はないが、それでもなお、宇宙の旅で危険を生き延びるには多様なセンサー・アレイが極めて重要な装備となった。[1]
ハイパースペース突入時、宇宙船はクロノー放射と呼ばれる放射線を発した。クロノー放射のスペクトルを観測できる特殊なセンサー機器を使えば、宇宙船のジャンプを特定することができた。一部の宇宙船はセンサーによる感知を妨害するためセンサー・ジャマーを搭載した。また、船体を不可視状態にするクローキング装置と呼ばれるテクノロジーも開発されていた。
その他、宇宙船に搭載されるセンサーの種類として、あらゆる事象を探知する複数のスキャナーを満載した“万能センサー”こと全波長トランシーバー(FST)や、通常光や紫外線、赤外線といったさまざまな波長のデータを統合してスクリーンに表示する光電受容器(EPR)、音波や光、放射線データを組み合わせて詳細な地形をスクリーンに表示する地形追跡センサー(TFS)などがあった。またコムリンクの送受信や航行ビーコン、熱、レーザー光線といった電磁放射を探知できる専用エネルギー受容器(DER)と呼ばれるセンサーもあったが、一部の例外を除き、民間船に取り付けるのは違法行為とされていた。[1]
ドロイド[]
ドロイドには視覚センサーにあたるフォトレセプター(光受容器)や、聴覚センサー、マイクロ波センサー[7]、近接センサー[8]、嗅覚センサーなど、さまざまなセンサー機器が搭載されていた。[7] 特に、宇宙船や宇宙空間で活動するアストロメク・ドロイドはフル装備したセンサーやスキャナー機器を駆使して仕事にあたった。アストロメク・ドロイドは様々な角度からの映像を一度に捉えるため、フォトレセプターやホログラフィック・カメラなど、複数の環境センサーを搭載していた。またアストロメクは周辺環境の把握に加え、任務によってはホログラム・メッセージの記録や再生にもセンサーを活用した。[9]
基地や建物[]
パイロットたちはしばしば新規設営した地表の基地の周辺にセンサー・マーカーを設置し、目には見えない防衛ラインを形成して、侵入者や乗り物を検知した。[9] タトゥイーンの水分農場では、動体検知器などの保安センサーを活用し、タスケン・レイダーの襲撃者や砂漠のモンスターに備えていた。[10]
主なセンサー機器製造企業[]
登場作品[]
参考資料[]
脚注[]
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 YT-1300 ミレニアム・ファルコン オーナーズ・ワークショップ・マニュアル
- ↑ スター・ウォーズ/最後のジェダイ クロス・セクション
- ↑ スター・ウォーズ/ビークル・クロスセクション完全版
- ↑ Bazine Netal - 公式データバンク
- ↑ スター・ウォーズ/フォースの覚醒 クロス・セクション
- ↑ スター・ウォーズ 最後のジェダイ 小説版
- ↑ 7.0 7.1 スター・ウォーズ ビジュアル・ディクショナリー新完全版
- ↑ MSE-6と人間—ある視点から見た物語
- ↑ 9.0 9.1 スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- ↑ スター・ウォーズ コンプリート・ロケーションズ
- ↑ スター・ウォーズ:反乱の夜明け ビジュアル・ガイド
- ↑ 12.0 12.1 スター・ウォーズ:カード・トレーダー