デジャリック(Dejarik)、別名ホロチェス(Holochess)は銀河系で人気のホログラフィック・ボードゲーム。起源はクローン戦争よりはるか昔に遡り、その歴史は銀河帝国やファースト・オーダー、ファイナル・オーダーの時代より先まで続いた。デジャリックは、2名のプレイヤーがホロモンスターと呼ばれる駒を専用のホロチェス・テーブルの上で戦わせる戦略ゲームであり、駒はそれぞれ実在や神話上の生物をモデルにして作られていた。デジャリックは銀河各地の家庭や宇宙船内で一般的に楽しまれており、ハイパースペース航行中の暇つぶしにも持ってこいだった。またホログラムの代わりに実体の駒とサイコロを使用するバージョンも存在した。
デジャリックは人間やクローン、エイリアン、ドロイドが対等にプレーできるゲームだったが、ウーキーは負けた時に癇癪を起すため悪名高かった。
概要[]
- 「なぜだか知らんが、勝つのに飽きることはないもんだ」
- ―トバイアス・ベケット[出典]
デジャリック、別名ホロチェスは[7] ホログラムで映し出された実在もしくは神話上の生物を駒として使う戦略ゲームである。[3] デジャリックに使用する専用のボードはホロチェス・テーブルと呼ばれ[2]、駒はホロモンスターとも呼ばれた。[3] ホロモンスターを実体の駒で代用すれば、デジャリックはホログラム装置が無くてもプレーすることができた。[8] 逆に、ボード部分までホログラムで表示するタイプのデジャリックもあった。[9] デジャリックは2名のプレーヤーによって争われ、それぞれが怪獣のチームを指揮して戦い[3]、ホロゲーム・テーブル上で駒同士のシミュレーション戦闘が行われた。[2]
デジャリックの勝利条件は相手のホロモンスターを全滅させることであり、プレーヤーはそれぞれ4種類のホロモンスターを、放射状のマスが描かれた円形のボード上で操作した。ゲームの開始時点で、両プレーヤーの手前に各4体、計8体のホロモンスターがテーブル上に表示された。[3] しかしモンスターの種類自体は8つより多く存在し[2][10]、ラカン・インダストリーズ社製ホロゲーム・テーブルの場合[3]、一度に10体のホロモンスターを表示することができた。[2] デジャリックに使用される駒として、ギック、キンタン・ストライダー、クロアスラッグ、ヌゴック、フージックス、マンテリアン・セイヴリップ、モノック、モレイトアの“グリンタッシュ”[11]、スクリンプ、バルボス[3]、そしてカルカスなどが知られる。[10] 各ホロモンスターにはそれぞれ固有の動き方と攻撃方法が設定されており、相手の駒がいるマスに自分の駒を移動させることで、相手モンスターを殺すことができた。[12] また実体の駒を使用するデジャリックには、サイコロを使う運要素もあった。[4]
デジャリックは知的であると同時に残忍なゲームであり、勝つためには鋭い戦略が要求されるが、ホロモンスターの暴力的な動きに依存する部分も多く、親しい者どうしの対局であってもホログラム上では極めて残酷な戦闘が繰り広げられた。[2] ホロチェス・テーブルはデータ・モジュールによって駒を静止状態もしくは“ライブアクション”状態でも表示可能であり、難易度が設定できるものもあった。ライブアクション・モードの場合、駒は敵の動きに呼応して動き、毒針や原始的武器、暴力、超自然的能力といった各自の手段で戦いを繰り広げた。ホロモンスターはテーブル上で取っ組み合い、相手の手足をもぎ取り、殺し、時には敵を貪り食うことすらあった。[3] デジャリックは人間とドロイド、クローン、エイリアンが対等に遊べるゲームだったが、特にウーキーは負けたときに激しく取り乱すことで有名だった。[5]
デジャリックにはブラック・スパイア・ルールをはじめとする複数のルールが存在し、シャンドリラン・ギャンビットなどの戦術があった。[6]
歴史[]
クローン戦争期、惑星アバファーの街ポンズ・オーラには“アバファー・ジュニア・デジャリック・クラブ”というデジャリック愛好会の看板が出ていた。クラブの看板にはオーラベッシュ文字で「ウーキーお断り!」と書かれていた。[13]
密輸業者ハン・ソロが所有するYT-1300軽貨物船<ミレニアム・ファルコン>の船室にはデジャリックのテーブルがあった。ヤヴィンの戦いの直前、ソロの一等航海士を務めるウーキーのチューバッカは、オルデランへ向かう<ファルコン>の船内でアストロメク・ドロイドのR2-D2とデジャリックの対局をした。プロトコル・ドロイドのC-3POは相棒のR2-D2を応援したが、その様子を見ていたソロは、ウーキは負けた時に対戦相手の腕を引きちぎることがあると忠告した。C-3POは仕方なくわざと対局に負けるようR2に助言した。[1]
エンドアの戦いの約30年後、ファースト・オーダーの脱走兵フィンは<ファルコン>の船内で誤ってデジャリックのテーブルを起動してしまった。スイッチの切り方がわからず困っているフィンを見たハン・ソロは、彼が世の中にありふりれたデジャリック・セットをうまく扱えないことを奇妙に思った。[14][15]
制作の舞台裏[]
オリジナル[]
デジャリックは1977年に公開された『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で初めて登場した、スター・ウォーズ世界のボードゲームである。[1] 『新たなる希望』のデジャリックの駒のプロップはフィル・ティペットとジョン・バーグによって制作され、撮影はストップモーション・アニメーションで行われた。[16] ジョージ・ルーカス監督はもともと大きなチェスボードの上にコスチュームを着た人間を配置して撮影を行おうとしていたが、そこへちょうど[17] 『未来世界』(1976年)[17][18] が発表され、似たようなシーンが描かれてしまった。そんな中ルーカスは、ティペットとバーグがモス・アイズリー・カンティーナの場面用に作った小さな粘土細工のモンスターを見て、デジャリックの駒になると閃いた。[17]
ティペットとバーグは、ルーカスが気に入った粘土細工をデジャリックの場面用に再調整した。[19] 2人はわずか2週間のうちに、関節のある鉄の骨組みの上にラテックスや合成ゴム、プラスチック、粘土をかぶせ、全てのプロップを完成させた。[17] ティペットによると、プロップ制作当時はスケジュールがぎりぎりまで追い込まれており、同時期にILMでは撮影の打ち上げパーティが行われていたほどだった。[16] 『新たなる希望』に登場したデジャリックの駒は8体であるが[1]、オリジナルの模型は10体制作された。[20] 『新たなる希望』に登場したのはギック、キンタン・ストライダー、グリンタッシュ・ザ・モレイトア、クロアスラッグ、ヌゴック、フージックス、マンテリアン・セイヴリップ、モノックの8体で[11]、登場しなかった2体は、制作クルーのあいだでバルブ(Bulb)、スクリンプ(Scrimp)と呼ばれていた。[20]
デジャリックのボードはグラント・マッキューンによって制作された。ティペットとバーグによる、デジャリックのストップモーション・シークエンスの撮影には、ルーカス監督も立ち会った。[19] 撮影には5日を要した。[17] モンスターたちの鳴き声は、サウンド・デザイナーのベン・バートが手掛けた。[19] 撮影後、デジャリックのモンスターのプロップはルーカス監督にトロフィーとして贈られ、しばらくのあいだ彼のデスクに飾られた。[20]
続編での復刻[]
2015年[20]、フィル・ティペットはキャスリーン・ケネディから『新たなる希望』のチェス・セットを再現したいと依頼され[16]、ティペット・スタジオが新作映画『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』のために8体のデジャリック・モンスターを再制作することになった。ティペットはオリジナルのプロップをルーカスに贈ったことを覚えていたが、結局は特殊効果班のメンバーがスカイウォーカー・ランチにあるルーカスフィルムのアーカイブからプロップを見つけ出さなくてはならなかった。またこれらのプロップは発泡素材やラテックスでできているため、30年もの時間経過によって崩れやすくなっており、うかつに動かすことはできなかった。[20] ティペット・スタジオはプロップをスキャンし、コンピューターに取り込んで再構築し、3Dプリントで型を作った。この工程には、オリジナルの制作時より長い期間を要した。[16]
登場作品[]
参考資料[]
- スター・ウォーズ 反乱者たち:ビジュアル・ガイド
- スター・ウォーズ 反乱者たち:ヘッド・トゥ・ヘッド
- サビーヌ マイ・レベル・スケッチブック
- きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック
- 週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン 第39号 (スターシップ・ファクトファイル:VCX-100軽貨物船ゴースト)
- 週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン 第48号 (銀河系ガイド:オード・マンテル訪問)
- スター・ウォーズ/フォースの覚醒 ビジュアル・ディクショナリー
- スター・ウォーズ/フォースの覚醒 クロス・セクション
- スター・ウォーズ ローグ・ワン アルティメット・ビジュアル・ガイド
- スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック 増補改訂版
- スター・ウォーズ 最後のジェダイ ビジュアル・ディクショナリー
- STAR WARS クリーチャーズ&エイリアンズ大全 制作秘話と創造の全記録
- スター・ウォーズ ビジュアル・ディクショナリー新完全版
- スター・ウォーズ:エイリアン・アーカイブ
- YT-1300 ミレニアム・ファルコン オーナーズ・ワークショップ・マニュアル
- スター・ウォーズ:スマグラーズ・ガイド
- スター・ウォーズ:イウォークに食べられない方法、銀河サバイバル・スキル
- "Rampage" Episode Guide | The Bad Batch - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- "Common Ground" Episode Guide - The Bad Batch - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- スター・ウォーズ100オブジェクツ
- Dejarik - 公式データバンク
脚注[]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 スター・ウォーズ100オブジェクツ
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 3.7 YT-1300 ミレニアム・ファルコン オーナーズ・ワークショップ・マニュアル
- ↑ 4.0 4.1 ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (Disney+ 音声解説)
- ↑ 5.0 5.1 Dejarik - 公式データバンク
- ↑ 6.0 6.1 ワイルド・スペースからの物語:勝ち負け—アドベンチャーズ(2017) 24
- ↑ スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- ↑ スター・ウォーズ ローグ・ワン アルティメット・ビジュアル・ガイド
- ↑ バッド・バッチ – 猛獣
- ↑ 10.0 10.1 ラスト・ショット
- ↑ 11.0 11.1 きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック
- ↑ スター・ウォーズ:イウォークに食べられない方法、銀河サバイバル・スキル
- ↑ クローン・ウォーズ – 生きていた兵士
- ↑ スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒
- ↑ スター・ウォーズ フォースの覚醒 小説版
- ↑ 16.0 16.1 16.2 16.3 TRANSCRIPT: Making the Stop-Motion Holochess Scene in Star Wars: The Force Awakens - Tested
- ↑ 17.0 17.1 17.2 17.3 17.4 STAR WARS クリーチャーズ&エイリアンズ大全 制作秘話と創造の全記録
- ↑ フィル・ティペットへのインタビューでは、『未来世界』ではなくその前作であるマイケル・クライトン監督の『ウエストワールド』(1973年)とされている。
- ↑ 19.0 19.1 19.2 Let the Wookiee Win: The Story Dejarik - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ 20.0 20.1 20.2 20.3 20.4 How Tippett Studio (And Some Serendipity) Created A Solo Easter Egg - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)