<トライビューナル>(Tribunal)はクローン戦争の終盤に銀河共和国の軍艦として使用されたヴェネター級スター・デストロイヤーである。船体にはオープン・サークル艦隊の紋章が入っていた。戦争終結直前の19 BBY、元ジェダイ・パダワンのアソーカ・タノはマンダロア包囲戦で元シス卿モールを拘束し、彼の身柄を<トライビューナル>へ移送した。タノとクローン・コマンダーCT-7567“レックス”はモールを惑星コルサントのジェダイ最高評議会へ送り届けるため、マンダロア星系からハイパースペースへジャンプした。しかしタイミング悪く、ダース・シディアスが共和国グランド・アーミーに対してオーダー66を発令し、銀河系の全クローン・トルーパーがジェダイの抹殺を命じられたため、このスター・デストロイヤーの艦内でも戦闘が発生した。
ジェダイ・オーダーから離籍した身であるにも関わらずクローン・トルーパーの標的となったタノは、攻撃をしのぐためやむを得ずモールを解放することにした。モールが第332師団と戦っているすきに、タノはアストロメク・ドロイドたちの助けを借りてレックスを待ち伏せし、艦内の医療ベイへ運び込んだ。行動抑制チップを摘出されたレックスはシスの陰謀による行動支配から解放され、タノの脱出に力を貸した。その後、モールによってハイパードライブを破壊された<トライビューナル>は制御を失ってリアルスペースへ離脱し、そのまま衛星に墜落した。モールとタノ、レックスだけが何とか脱出に成功し、スター・デストロイヤーの乗員や第332師団の兵士はみな命を落とした。その後、タノとレックスは墜落現場を訪れて犠牲となった兵士たちを埋葬した。<トライビューナル>の残骸は、のちの時代に銀河帝国によって再発見され、そこに残されていたタノのライトセーバーはダース・ヴェイダーによって回収された。
特徴[]
- 「サー、ハイパードライブ・ジェネレーターに異常発生!」
「解除しろ! 解除だ!」
「手遅れです!」 - ―クローンのクルーと指揮官[出典]
<トライビューナル>[4] はやじり型の船体を持つヴェネター級スター・デストロイヤーであり、船体後部に2つのブリッジ・タワーを有し、船体上面にアクセス・ドアがついた長い中央ハンガーを備えていた。このハンガーには低空強襲トランスポート/兵員用やロー級輸送シャトル[1]、ニュー級輸送船といったスターシップを駐機できるスペースがあった。[2] このスター・デストロイヤーは複数の脱出ポッドを備え[1]、エンジンには逆噴射機構が搭載されていた。[2]
他のヴェネター級艦と同様、<トライビューナル>のブリッジも、中央のウォークウェイの両側に、クルーが作業にあたるデータ・ピットが配置されていた。またブリッジに直結している部屋にはホロテーブルが設置されており、ブリーフィングなどに使用された。艦内には医療ベイがあり、ドアにはレッド・シジルの紋章が掲げられ、FX-7医療補助ドロイドやスキャナーなどの設備が備わっていた。また艦内には他にも、囚人を拘留しておく営倉や、アストロメク・ドロイドの待機場所であるドロイド・ベイなどの施設があった。艦内の通路や室内などの各所に、ドロイドがアクセス可能なスコンプ・リンクが設置されていた。[1]
歴史[]
オーダー66[]
- 「艦内に隠れる場所は無数にある。捜索隊を編成しろ。散開してすべてのセクションを捜せ」
- ―コマンダー・レックス[出典]
クローン戦争終盤の[1] 19 BBY当時[3]、ヴェネター級スター・デストロイヤー<トライビューナル>は銀河共和国の宇宙軍で使用されていた。[1] この年、共和国軍は元シス卿のモールを捕まえるため、マンダロア・レジスタンスと協力してマンダロア包囲戦を行った。[5] その際、このスター・デストロイヤーも現地へ派遣され、惑星マンダロア付近に配置された。地上で行われた作戦は成功に終わり、元ジェダイ・パダワンのアソーカ・タノがモールの身柄を拘束することに成功した。タノとクローン・コマンダーCT-7567“レックス”は、囚人をジェダイ最高評議会に引き渡すため[1]、マンダロリアン・ヴォールト[6] に閉じ込めたモールをロー級輸送シャトルで<トライビューナル>に運び込んだ。[1]
モールがクローン・ショック・トルーパーによって営倉に入れられた後、<トライビューナル>はコルサントへ移動するためマンダロア星系からハイパースペースへジャンプした。旅の途中、タノはブリッジでレックスと会話を交わし、クローン戦争で培った彼との友情を感謝した。レックスがクローン航法士官からブリーフィングに呼び出された後、ブリッジに残ったタノと、営倉の中のモールは、それぞれフォースの乱れを察知した。[1] 同じころにコルサントで、アナキン・スカイウォーカーがフォースのダークサイドに転向したためである。[7] その直後、レックスはシーヴ・パルパティーン最高議長からオーダー66の実行を命じられた。[1] オーダー66はクローン・トルーパーにジェダイの抹殺を命じる緊急司令であり[7]、タノもすでにジェダイではないにも関わらず標的となった。自分たちの脳内に行動抑制バイオチップが埋め込まれていることを知っていたレックスは、タノに“ファイヴスを探せ”というヒントを告げた後、チップの影響で攻撃を開始した。[1]
タノは銃撃をかわしてレックスを押し倒し、ブリーフィング・ルームの扉をフォースで閉鎖したが、すぐに反対側の扉が開き、クローン・ルテナントCT-5597“ジェシー”たちがなだれ込んできた。しかしタノは四方からの銃撃をすべてライトセーバーで防ぎ切り、天井に穴をあけて姿を消した。レックスはショック・トルーパーにモールを殺してくるよう命じた後、第332中隊の兵士たちに捜索隊を編成して艦内をセクションごとに探すよう指示した。一方、タノはクローンに対する陽動のためモールを解放することに決め、営倉でショック・トルーパーをノックアウトした。マンダロリアン・ヴォールトから出されたモールは共闘を提案したが、タノは拒否し、それぞれ別方向へ向かった。囚人が解放されたことを知ったレックスは、船の脱出ポッドを全て破壊してハンガー・デッキの警備を固めるよう部下に命じた。[1]
その後、タノはドロイド・ベイでアストロメク・ドロイドのR7-A7、“チープ”ことCH-33P、“G-G”ことRG-G1を起動し、手助けを求めた。R7-A7はタノの指示でスター・デストロイヤーのコンピューターにアクセスし、CT-5555に関する保護ファイルを映し出した。その結果、タノはカミーノアンのナラ・セが行動抑制チップの故障について説明するホログラム記録と、チップが本来と違う目的に使われる可能性を指摘するレックスの報告を発見した。一方、モールはフォースでクローン・トルーパーと戦いながらメイン・ハンガーへの前進を続けていた。トルーパーたちは、壁から金属板を引きはがして自在に操るモールに歯が立たず、隔壁を封鎖することでハンガーへの侵入を阻止した。しかしモールがクローン・トルーパーからリスト・コムを回収したため、共和国軍の動きは彼に筒抜けになった。[1]
墜落[]
- 「船は墜落する。あの兵士たちは、自分の兄弟たちは、死を覚悟して我々を道連れにしようとしている」
「あなたは良い兵士よ、レックス。あそこにいる兄弟たちもね。死の覚悟もしているでしょう、でも私の手で彼らを殺すのは嫌」 - ―レックスとアソーカ・タノ[出典]
モールがクローン・トルーパーと戦うあいだ、タノとアストロメク・ドロイドたちはレックスの周辺の隔壁を封鎖して閉じ込め、気絶させることに成功した。彼女たちはこのクローン・コマンダーを医療ベイへ運び込み、ホログラムの記録通り、彼の脳内にチップが埋め込まれていることを確認した。トルーパーたちが医療ベイのドアをこじ開けようとする中、タノは医療ドロイドに命じてレックスのチップを摘出した。外科用ポッドでの手術が終わり、オーダー66の呪縛から解放された状態で目を覚ましたレックスは、タノを救うため他のクローン・トルーパーたちと敵対した。[1] しばらくの間、レックスが行方不明として扱われたため、<トライビューナル>艦内のトルーパーたちの指揮権はルテナント・ジェシーに委ねられた。ジェシーたちがレックスの背信行為について確認を急ぐなか、モールは艦の機関室に侵入し、ハイパードライブを破壊した。その結果、スター・デストロイヤーは無理やりリアルスペースに引き戻され、船体に傷を負いながら近隣の衛星に向かって直進し始めた。[2]
ハンガーのコントロール・ルームにたどり着いたタノとレックス、ドロイドたちは、スター・デストロイヤーの現状を知ると同時に、ジェシー率いる[2] 第332師団[8] の兵士が彼女たちの脱出を阻止するためハンガーで待ち受けていることに気付いた。ベイ12に駐機されているニュー級輸送船にたどりつくため、タノはレックスに捕まったふりをしてジェシーの部隊に近づき、その間にドロイドたちをハンガー・デッキのリフト操作端末に近づかせた。レックスがタノを処刑する気がないことを知ったジェシーは、彼の行動を反逆行為とみなし、即時処刑を宣告した。次の瞬間、ドロイドが端末を操作し、ハンガーにいたクローン・トルーパーたちの足場であるリフトが急降下した。しかし続いて発生した銃撃戦のさなか、ハンガーに現れたモールがタノをフォースで押しのけ、ニュー級輸送船を奪取した。タノはフォースを使って輸送船を食い止めようとしたが、さらなるトルーパーが現れたため劣勢を強いられ、仕方なく輸送船を見逃すことになった。またR7-A7はこのときトルーパーの銃撃で破壊された。[2]
銃撃から逃れるため、タノはライトセーバーで床を切断し、レックスとともにハンガーの下のフロアに降りた。G-Gとチープが再びリフトを操作し、下のフロアで待ち受けていたクローン・トルーパーたちを上階へ放り上げたが、間もなく2体のアストロメクはトルーパーに見つかって破壊されてしまった。タノとレックスは、メンテナンス・ベイに駐機されているスターファイターの中から、飛行可能なBTL-B Yウイング・スターファイター/ボマーを見つけ出した。タノはレックスをYウイングの方へフォースで押し飛ばすと、彼がコックピットに乗り込むあいだ、ジェシーたちの銃撃をライトセーバーで防御した。このとき、<トライビューナル>は衛星の大気圏に突入し、ブリッジでは指揮官のクローンが逆噴射ロケットの点火をクルーに命じた。しかし船のシステムはすでに制御不能になっており、直後にブリッジは爆炎に包まれた。ハンガーではクローン・トルーパーがタノを圧倒しつつあったが、戦闘は爆発によって中断された。[2]
大勢のクローンが傾いたハンガーを落下していくなか、タノはライトセーバーを床に突き立てて持ちこたえ、Yウイングに飛び乗ろうとした。しかしこの戦闘機は空中に放り出され、タノもその後に続いた。タノは大気圏を落下していくスター・デストロイヤーのデブリの上を走りながら再びYウイングに向かってジャンプし、何とか銃座に乗り込むことができた。一方、<トライビューナル>は地表に墜落し、歪んだ船体の一部が砂に埋もれた。乗組員に生存者は一人もおらず、レックスとタノはYウイングで地上に降り、ジェシーを含む犠牲者たちを艦の近くの地面に埋葬した。また、タノはR7-A7の残骸を艦内から回収した。その後、タノは[2] 自らの死を装うため[9] 墜落現場にライトセーバーを残していった。[2]
帝国時代、銀河帝国はこの衛星で<トライビューナル>の墜落現場を調査した。当時、墜落現場周辺には雪景色が広がり、スター・デストロイヤーの残骸にも雪が降り積もっていた。ヴァイパー・プローブ・ドロイドやストームトルーパー、スノートルーパーによる一帯の調査が行われていた時、シス卿ダース・ヴェイダーも現地を訪れた。ヴェイダーはクローン・トルーパーたちの埋葬場所に近づくと、棄てられたタノのライトセーバーを回収し、墜落現場を後にした。[2]
司令官と乗組員[]
- 「CT-7567の状況は?」
「コマンダー・レックスは依然、行方不明です」
「タノの逃走を助けたのか?」
「分かりません」 - ―ジェシーとクローン・トルーパー[出典]
惑星マンダロアを離れた時点で、第501軍団のクローン・コマンダーであるCT-7567“レックス”がスター・デストロイヤー<トライビューナル>の指揮を執っていた。[1] ただしレックスとは別にクローン航法士官がこのスター・デストロイヤーのブリッジに配置されており、船の航行や運用業務の監督を行っていた。[2] また元ジェダイ・コマンダーのアソーカ・タノはすでに共和国軍の正式なメンバーではなかったが、マンダロア包囲戦に際してレックス率いる第332中隊の顧問に位置付けられ、クローン・トルーパーたちからも“コマンダー”と呼ばれていた。[5] そのためマンダロア包囲戦に共和国が勝利した後も、彼女はオーダー66発令までのあいだは艦内で敬意を払われていた。[1]
オーダー66発令後、レックスは行動抑制チップを摘出したためシーヴ・パルパティーン議長の指令を無視できるようになったが、CT-5597“ジェシー”以下、艦内の他の全クローンは依然としてチップの影響下にあり、アソーカ・タノとモールの抹殺を試みた。当初レックスは仲間たちから行方不明になったと思われていたが、タノの逃走を手助けしていることが知られると、オーダー66を拒否した反逆者として扱われるようになった。[2]
<トライビューナル>の医療ベイにはFX-7医療補助ドロイドが備え付けられており、アソーカ・タノはこのドロイドを使ってレックスのチップ除去を行った。またオーダー66発令当時、アストロメク・ドロイドのR7-A7、CH-33P、RG-G1たちが艦内のドロイド・ベイでスタンバイしていた。この3体のドロイドはレックスの捕獲とタノの逃亡に力を貸し[1]、最終的にクローン・トルーパーとの戦いで破壊された。[2]
制作の舞台裏[]
<トライビューナル>はTVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』シーズン7第11話『崩壊』で初登場を果たした。サウル・ルイス監督、デイヴ・フィローニ脚本による本作は2020年5月1日に Disney+ で公開された。[1] なお艦名は2021年4月発売予定の設定資料集『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ キャラクター事典』(ジェイソン・フライ著)の商品紹介ページで判明した。[4]
公式サイト StarWars.com に掲載されている『崩壊』および次話『勝利と死』(2020年5月4日放送)のエピソード・ガイドには、<トライビューナル>のコンセプト・アートが掲載されている。[10][11] 前者にはスター・デストロイヤーのドロイド・ベイ(コーラス・ゴーチェ画)やモールが艦内の通路で戦う場面(モリー・デンマーク画)[10]、後者には艦内の各種戦闘シーンや衛星への墜落シーン(いずれもモリー・デンマーク画)、ダメージを負った船体のイラストとハイパードライブ機関室の設定画(アンドレ・カーク画)、ハンガーの各種設定画(それぞれキリアン・プランケット、アーロン・ファム、ジム・ムーア画)が掲載されている。[11]
登場作品[]
参考資料[]
- "Shattered" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- "Victory and Death" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録 (間接的に言及)
- スター・ウォーズ クローン・ウォーズ キャラクター事典
- スター・ウォーズ タイムライン
脚注[]
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 1.20 1.21 1.22 1.23 1.24 1.25 1.26 クローン・ウォーズ – 崩壊
- ↑ 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 2.12 2.13 2.14 クローン・ウォーズ – 勝利と死
- ↑ 3.0 3.1 このスター・デストロイヤーが墜落した『勝利と死』の時系列はジェダイの大粛清の開始と同時期であり、『スター・ウォーズ ギャラクティック アトラス』によればその年代は19 BBYとなる。
- ↑ 4.0 4.1 Star Wars The Clone Wars Character Encyclopedia: Join the battle! - Amazon.co.uk (バックアップ)
- ↑ 5.0 5.1 クローン・ウォーズ – 忘れがたき旧友
- ↑ Mandalorian vault - 公式データバンク
- ↑ 7.0 7.1 スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
- ↑ THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録
- ↑ アソーカ(小説)
- ↑ 10.0 10.1 "Shattered" Concept Art Gallery - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ 11.0 11.1 "Victory and Death" Concept Art Gallery - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)