トランスポンダー・シグナル、応答信号(Transponder signal)、あるいはトランスポンダー・コード(Transponder code)は宇宙船を識別するために送信される固有の信号である。応答信号には船名や型式、所有者といった船籍の主要データが含まれていた。応答信号は何千年にもわたって銀河系の艦船に関するデータの管理を行ってきた宇宙船舶局によって割り当てられた。トランスポンダーは亜光速エンジンに組み込まれており、信号を変更する最も手っ取り早い方法は、エンジンを交換することだった。
概要[]
- 「<ロスト・アンド・ファウンド>号、識別情報を確認しました」
- ―応答信号を偽造した<ミレニアム・ファルコン>に対し、帝国軍将校[出典]
トランスポンダー・コードは識別のために各宇宙船が継続的に発信する固有のシグナルであり、船名や型式、所有者といった船籍データが含まれていた。トランスポンダーは亜光速エンジンに組み込まれており、エンジンの排熱周波数のわずかな違いが、それぞれの船特有のコードをつくり出していた。こうした固有の特徴は、船に関するデータと一緒に、船内のエンジンそのものに封入されたトランスポンダー・ディレクター内部に暗号化されて記録された。[1] そのため船の識別情報は理論上は変更することができず、変更しようと試みることがそもそも違法行為だった。船の所属情報を発信する装置は特に、敵味方識別トランスポンダー(IFFトランスポンダー)と呼ばれる。[2]
トランスポンダー・コードを管理する宇宙船舶局(BoSS)の職員には賄賂が効かないことで有名であるが、トランスポンダー・コードを変える方法は3つあった。もっとも簡単な方法は亜光速エンジンの交換であり、よりきれいな経歴のエンジンほど理想的だった。2つ目の方法は、既存のエンジンに偽のトランスポンダー・コードをインストールすることであり、船がスキャンされたとしても、異なる船籍で読み取られるよう仕向けることができた。エンジンを丸ごと取り換えるより楽な方法にも思えるが、実際には複雑な手順を踏む必要があり、偽造テクノロジーには金がかかるうえ、失敗すれば偽のトランスポンダーがエンジン内の部品をメルトダウンさせてしまう恐れもあった。最後の方法はBoSSのファイル・ディレクトリを直接改ざんすることであるが、コードの暗号解読は困難であり、実現はほぼ不可能だった。[1]
宇宙船のトランスポンダー自体は変更せず、トランスポンダーを複製した装置をばらまくことで相手を攪乱するトリックもあった。[3] コレリアン・エンジニアリング社が製造したマスキング・トランスポンダーは、単に識別データを送信するだけでなく、偽のプロフィールを表示させることが可能であり[4]、複数の装置から同じ信号を一斉送信することで本物の宇宙船がどこにいるか判別しにくくすることができた。[3]
歴史[]
BoSSは何千年にもわたって銀河系の文明が発達した領域内にあるすべての宇宙船に関するデータの保管と管理を行っていた。彼らはこの目的に加え、記録を常に最新の状態に保つため、すべての宇宙船にトランスポンダー・コードを割り当てた。[1]
密輸業者のハン・ソロは銀河帝国が船舶の敵味方を区別する際に使うIFFトランスポンダーを自身のYT-1300軽貨物船<ミレニアム・ファルコン>に取り付けていた。このトランスポンダーはいくつもの異なるトランスポンダーを送信することができ、<ファルコン>をドローン・バージに見せかけたり、帝国軍の探査船に見せかけることもできた。[1]
5 BBY当時、反乱者ルーセン・レイエルが所有するフォンドア・ホールクラフトには正体を隠すために使う偽のトランスポンダーIDが複数用意されていた。セグラ・マイロ上空で帝国パトロール隊のキャントウェル級アレスター・クルーザーと遭遇した際、レイエルは船に備え付けられたフォンドア・ドロイド・モッドに命じ、オルデラン通商同盟の所属を名乗るトランスポンダーを提示した。偽のIDは帝国に見破られずに済んだが、クルーザーのエルク船長がクルーの訓練を兼ねて乗船検査を行おうとしたため、小規模な戦闘が発生した。[5]
1 ABY[6]、マコ=タの戦いの直前、ハン・ソロとチューバッカ、C-3POは新品のトランスポンダー・コード一式を手に入れるためカフリーンの環を訪れ、アラファニとの交渉に臨んだ。ジャバ・ザ・ハットに雇われた賞金稼ぎが姿を現したためハンは交渉を早めに切り上げることにしたが、アラファニにクレジット・チップを支払って無事にトランスポンダー・コードを手に入れることができた。[7]
9 ABY、新共和国のパイロット、カーソン・テヴァ大尉とトラッパー・ウルフは、T-65B Xウイング・スターファイターでパトロールを行っていた時、トランスポンダー・シグナルを発信していないガンシップ<レイザー・クレスト>を発見した。<クレスト>のパイロットであるマンダロリアンのディン・ジャリンは、自分の船は帝国以前に建造されたためビーコンを発信する義務はないと主張したが聞き入れられず、逃亡を試みた。しかしテヴァは<クレスト>の記録を調べ、ジャリンが新共和国の兵士を救おうとした過去があることを知って彼を見逃すことに決め、トランスポンダーを直しておくよう告げた。[8]
<ミレニアム・ファルコン>を盗んだ泥棒たちは、本来の持ち主であるハン・ソロに位置を突き止められないよう、トランスポンダーに手を加えた。[1] しかしジャクーに住むゴミ漁りのレイが、当時ジャンク屋アンカー・プラットの所有物だった<ファルコン>を勝手に発進させた時、トランスポンダーが再起動された。[1][9] <ファルコン>のビーコンがついた時、幸運にも偶然近くに居合わせたソロは、チューバッカと一緒に船を取り戻した。[10]
登場作品[]
- バッド・バッチ – メタモルフォーゼ (言及のみ)
- レベル・ライジング
- キャシアン・アンドー – フェリックスの娘
- スター・ウォーズ:希望は死せり (言及のみ)
- シャドウ・フォール
- マンダロリアン – チャプター10:乗客
- ボバ・フェット – チャプター5:マンダロリアンの帰還
- マンダロリアン – チャプター21:海賊
- シャドウ・オブ・ザ・シス
- スター・ウォーズ:カイロ・レンの夜明け