- 「あと1秒でも長くわたしの忍耐力を試してみろ。どうなるかわからんぞ」
- ―ドライデン・ヴォス[出典]
ドライデン・ヴォス(Dryden Vos)は近人間種族の男性で、クローン戦争期から帝国時代にかけての犯罪王である。ヴォスはクリムゾン・ドーンと呼ばれる犯罪シンジケートの表向きの首領であり、元シス卿のモールに仕えていた。洗練された紳士を自認するヴォスはカレヴァラン・スター・ヨット<ファースト・ライト>からシンジケートの指揮を執り、船の最上部にある書斎に、厳選された戦利品や記念品を飾っていた。彼はこの豪勢なヨットで開かれるパーティで銀河系の富裕層や有名人と交流を持ち、裏では違法取り引きや暗殺に手を染めていた。冷酷なギャングであるヴォスは自身の期待を裏切った者たちに容赦せず、気に入らない者は特注品のキューゾ・ペターで自ら斬殺した。13 BBY以降、ヴォスはコレリアでキーラという名の女性を助け出し、組織に忠誠を誓わせて自らの副官にした。
10 BBY、ヴォスはトバイアス・ベケットに惑星ヴァンドアにおけるコアクシウム強奪作戦を任せたが、ベケットはクラウド=ライダーズの妨害に遭って任務に失敗し、手ぶらでヨットに戻ってきた。ヴォスはベケットを始末しようかと考えたが、キーラの提案もあり、ベケットとその新しいクルーであるハン・ソロ、チューバッカたちに挽回のチャンスを与えることに決めた。ベケットのクルーはキーラとともに惑星ケッセルへ旅立ち、パイク・シンジケートの管轄下にあるスパイス鉱山から未精製コアクシウムを強奪してサヴァリーンの精製所へ運ぶことに成功する。しかし幼い頃からの仲であるハンとキーラは、クラウド=ライダーズを率いるエンフィス・ネストに説得され、コアクシウムを反乱運動に提供するためヴォスを出し抜く計画を立てた。ヴォスはベケットから事前に2人の裏切りを密告されていたが、それすらハンに読まれており、シンジケートの保安部隊はネストの義賊の待ち伏せに遭って制圧されてしまう。急な状況の変化を受け、ベケットはヴォスの用心棒を射殺し、コアクシウムを奪って<ファースト・ライト>から姿を消した。書斎に残されたヴォスは1人でハン・ソロと戦ったが、最後はキーラの不意打ちで命を落とした。
経歴[]
クローン戦争[]
- 「ひとたびクリムゾン・ドーンに入った者は、二度と去ることはない」
- ―ドライデン・ヴォス[出典]
ドライデン・ヴォスは銀河系で最も冷酷な犯罪シンジケートのひとつであるクリムゾン・ドーンの幹部で[2]、クローン戦争当時から[4] 帝国時代にかけて活動した。ヴォスは洗練された紳士とみなされることに誇りを持っていたが、彼が特権階級の育ちであるかどうかは不明であり、最も古い記録においても彼は冷酷な犯罪者とされていた。ヴォスはクリムゾン・ドーンの公の“顔”であり[2]、影の指導者であるザブラクの犯罪王モールに仕えていた。[1] ヴォスは<ファースト・ライト>という名のカレヴァラン・スター・ヨットを所有していた。熱心な収集家でもあったヴォスは、<ファースト・ライト>の最上階近くにある自身の書斎に、銀河系各地の遺物や芸術品を展示していた。[2]
クローン戦争終盤の19 BBY当時、ドライデン・ヴォスとクリムゾン・ドーンはモール率いる犯罪同盟シャドウ・コレクティヴに所属していた。この頃、モールは惑星マンダロアを実効支配し、銀河共和国やマンダロア・レジスタンスと対立していた。マンダロア包囲戦で劣勢に立たされた際、モールはシャドウ・コレクティヴに所属する犯罪シンジケートの代表者たちに連絡を取った。ドライデン・ヴォスはパイク・シンジケートのマーグ・クリムやブラック・サンのジットン・モジらとともに連絡に応じ、しばらく姿を隠すよう命じられた。モールは戦争の終結と、それに続く混沌のなかで銀河帝国が誕生することを予見していたのである。[4]
クリムゾン・ドーンの顔[]
- 「帝国はたかが脱走兵を追うのに執行官のチームを送り込みはしない。だがドライデン・ヴォスはやる」
- ―トバイアス・ベケット[出典]
帝国時代、エンフィス・ネスト率いるスウープ・ギャング集団、クラウド=ライダーズが長年にわたってクリムゾン・ドーンへの妨害を続け、ヴォスの悩みの種となった。[1] この時代、プロの泥棒であるトバイアス・ベケットとその仲間のヴァル、リオ・デュラントたちが、多額の借金を返済するためにヴォスやクリムゾン・ドーンの仕事を請け負うようになった。ある時、エンフィス・ネストはヴォスの名前を騙ってベケットのクルーに秘密メッセージを送り、未記載のIDチップを奪う任務を依頼した。ベケットたちはまんまと騙されてIDチップを回収し、宇宙ステーション・ムント・オントダルでクラウド=ライダーズの待ち伏せに遭った。ネストがヴォスの名前を利用したことに気付いたベケットは、チップを宇宙船もろとも爆破し、ネストが戦利品を横取りするのを阻止した。[5]
13 BBY以降、ヴォスはサーキン・エネブという名の奴隷商人からコレリアンの奴隷キーラを買い取った。キーラはもともとグリンダリッドのレディ・プロキシマが率いる犯罪集団ホワイト・ワームズの一員だったが、惑星コレリアから逃げ出そうとしたことでプロキシマの不興を買い、奴隷として売り飛ばされたのだった。最初の1年の間、キーラは何度も逃亡を企て、そのたび失敗に終わった。ある時、キーラは衛兵を殺して宇宙ヨットの脱出ポッドにたどり着いたが、ヴォスは先回りして待ち伏せし、この先キーラが自由になることは無いと言い聞かせた。しかしキーラの戦闘能力に目を付けたヴォスは、彼女にテラス・カシの武術を教え込んだ。キーラが訓練室で自分を打ち負かすまでに成長すると、ヴォスは囚人を連れてきて、彼女に最初の殺人を経験させた。またヴォスは、サーキン・エネブを見つけ出して殺すようキーラに命じた。ヴォスはキーラに束縛のない暮らしを与え、クリムゾン・ドーンのビジネスにも関わらせ、やがて彼女を忠実な右腕とみなすようになった。[6]
帝国時代、クリムゾン・ドーンとパイク・シンジケートの関係は不安定なものとなっていた。[1] ある時、クリムゾン・ドーンはラッツ・ラジィの犯罪組織ラジィ・シンジケートが管理する倉庫を略奪し、数々の工芸品や武器を押収した。キーラは押収品の目録をまとめて私見を添え、ヴォスに提出した。略奪した品の中には低品質のアンドリス・スパイスも含まれており、キーラはラジィがスパイス・トライアングルにまで手を出している可能性を指摘し、ゾルバ・ザ・ハットを“絞って”事情を聞き出すことを提案した。[7] またある時、ベケットが賞金稼ぎのオーラ・シングを殺した際、ヴォスはこの手柄に機嫌を良くし、ベケットにボーナスを与えた。[6]
コアクシウム強奪[]
ヴァンドアの面会[]
10 BBY、ヴォスはトバイアス・ベケットのクルーに精製済みコアクシウムを手に入れる任務を与えた。ベケットたちは銀河帝国が保有するコアクシウムを強奪するため、惑星ヴァンドアのイリディウム山脈でレールクローラー・コンヴェイエクスに攻撃を仕掛けた。しかしヴォスが提供した事前の情報に反し、エンフィス・ネスト率いるクラウド=ライダーズもコンヴェイエクスの情報を掴んでいた。ベケットはネストの妨害でコアクシウムの確保に失敗したばかりか、リオとヴァルを失ってしまった。観念したベケットは、なんとか失敗の埋め合わせをさせてもらうため、新入りのハン・ソロとチューバッカを連れてヴォスに会いに行くことにした。[1]
ベケットたちがヴァンドアのフォート・イプソに停泊している<ファースト・ライト>を訪れた時、ヴォスは[1] エクスパンション・リージョンのダイルズ・アネヴィ総督[2] と面会していた。[1] この会合の目的は、クリムゾン・ドーンの宇宙船がグレート・グラン・ラン航路を通過する際に特定の航行規則を免除してもらえるよう取り決めを結ぶことであり、アネヴィは見返りとして慈善事業への経済支援を求めていた。[2] ところがヴォスは会見の途中で激高し、キューゾ・ペターを使って総督を切り殺してしまった。ハイロボン・エンフォーサーからベケットの到着を知らされたヴォスは、ペターを無頭人の部下に預けて代わりにクアニャを受け取ると、訪問者たちの待つパーティ会場へ向かった。[1]
ヴォスはパーティ会場でベケットと対面し、新顔のソロとチューバッカを紹介された。ソロはコレリア出身で、キーラと同じ元スクラムラットだった。ヴォスはすぐに彼らを書斎へ案内し、今回の任務の失敗について話し合った。ベケットはクラウド=ライダーズに情報が漏れていることは知らなかったと言い訳したが、ヴォスは彼の言葉を遮り、二度と自分の忍耐力を試すなと警告した。キーラは感情が昂ったヴォスとベケットたちのあいだを取りなし、失敗の埋め合わせについて話し合いを進めた。約束の物を手に入れると主張するベケットに、ヴォスは今回以外で精製済みコアクシウムが手に入る場所などないと却下した。するとソロは、精製前のコアクシウムを手に入れればいいと提案した。[1]
ソロはキーラに助け舟を出してもらいながら会話を続け、パイク・シンジケートが管理しているコアクシウムを惑星ケッセルのスパイス鉱山から盗み出す計画を説明した。ヴォスはクリムゾン・ドーンとパイクが微妙な関係であることを理由に作戦を一度は却下し、ベケットたちを部下に始末させようとした。しかしベケットのクルーとクリムゾン・ドーンの繋がりがパイクに知られていないことを指摘されると考えを改め、キーラと共に計画を再検討した。最終的にヴォスは、惑星サヴァリーンに帝国管轄外の精製所があるという情報と、“腕利きのパイロット”を自認するソロの大胆な態度を受け、彼らの作戦を承認した。またヴォスはキーラをお目付け役としてベケットのクルーに同伴させることに決めた。[1]
サヴァリーンにおける死[]
- 「教えてくれ、この世で最も信頼していた相手が自分を裏切ったらどうすればいい?」
「理由を尋ねます。一瞬魔が差しただけなのか、あるいは…」
「で、どうする?」
「改めて相手の忠誠心を証明させます。愛する者の命を奪わせることによって」 - ―ドライデン・ヴォスとキーラ[出典]
ベケットのクルーは密輸業者ランド・カルリジアンやパイロット・ドロイドL3-37の助けを借りてケッセルの仕事をやり遂げ、<ミレニアム・ファルコン>に積んだコアクシウムをサヴァリーンのナコティック・コーストにある精製所へ運び込んだ。ヴォスは約束の品を受け取るため<ファースト・ライト>でサヴァリーンを訪れたが、再会に先立ってベケットから連絡が入り、ソロとキーラが彼を裏切ろうとしていることを知らされた。2人はエンフィス・ネストからコアクシウムを犯罪勢力に渡さないで欲しいと頼まれ、彼女の活動に協力することに決めたのである。大切なハイパー燃料がクラウド=ライダーズの手に渡るのを阻止するため、ヴォスは前もってエイモン・グレム率いるハイロボン・エンフォーサーたちをナコティック・コーストの村へ送り込んでおき、裏切りのことなど知らない風を装いソロやキーラを書斎に迎え入れた。[1]
キーラとソロは、ベケットはケッセルで死んだとヴォスに嘘をついた。ヴォスは2人にコロ・クロー・フィッシュの料理を勧めると、ベケットのことは尊敬していたと語った。また彼はキーラにねぎらいの言葉をかけ、彼女ほど信頼できる者は他にいないと告げた。続けてヴォスは、コアクシウムの箱を開けて中身を見せるようソロに頼んだ。ソロは爆発しやすく危険だと反対したが、ヴォスはコアクシウムのカプセルを受け取り、つぶさに観察した。ソロが持ってきたコアクシウムは偽物に違いないと信じ込んでいたヴォスは、手にした品が本物そっくりであることに驚いた。ヴォスはこのとき初めて、ベケットの密告によりソロとキーラの企みを事前に知っていたことを明かし、ベケット本人を書斎へ呼んだ。ベケットはソロとチューバッカにブラスター・ピストルを向けて牽制し、ヴォスの用心棒に命じて、コアクシウム容器の蓋の裏に隠してあったソロのDL-44重ブラスター・ピストルを没収させた。間もなくグレムからヴォスに、クラウド=ライダーズを制圧して積み荷を確保したとの連絡が入った。[1]
ヴォスはキーラに近寄り、最も信頼していた者に裏切られた場合、自分はどういう行動を取ればいいか彼女自身に説明させた。キーラは相手に理由を尋ね、愛する者の命を奪うことで改めて忠誠を証明させると答えた。しかしその直後、グレムから再び連絡が入り、精製所で確保したコアクシウム容器の中身が空っぽであることが知らされた。ソロはベケットの密告を予期しており、空の容器を餌にしてヴォスの用心棒を誘い出す罠を仕組んだのである。グレムたちは待ち伏せしていたネストとクラウド=ライダーズによって逆に制圧され、連絡は途絶えてしまった。するとベケットは、書斎にいるヴォスの用心棒2名を素早く射殺し、チューバッカを脅してコアクシウムを容器に戻させた。ベケットはいまや<ファースト・ライト>の警備が手薄で、目の前には本物のコアクシウムがあるという状況を素早く分析し、ヴォスを裏切ることが得策だと判断したのである。[1]
ヴォスはベケットに、その行動は最後の過ちになるだろうと警告したが、ベケットはチューバッカに容器を運ばせてターボリフトに乗り、書斎から去っていった。ターボリフトの扉が閉じた瞬間、ヴォスは台座に置かれているキューゾ・ペターを取りに走り、ソロは床に落ちているDL-44ブラスターを回収した。ヴォスは物陰に隠れながらソロの銃撃をかわし、一緒にベケットを追わないかと提案したが、ソロは誘いに乗らなかった。ヴォスは収集品が壊れるのも構わずソロと戦いを繰り広げ、もし自分に勝てたとしても背後に怯える人生が待っているだけだと警告した。ソロがヴォスを仕留めようとした時、それまで隠れていたキーラがブンドキ・バイブロカットラスでDL-44を薙ぎ払い、ソロを追い詰めた。ヴォスは部下が再び忠誠心を示してくれたと思い満足げな表情を見せたが、次の瞬間キーラは不意打ちでヴォスの腕を切り裂いた。ヴォスは短く熾烈な切り合いで追い詰められ、最終的にバイブロカットラスの二又の刃に挟まったキューゾ・ペターを胸に突き付けられ、絶命した。[1]
その後[]
- 「残念ながら、ドライデン・ヴォスは亡くなりました」
- ―モールに対し、キーラ[出典]
ヴォスを殺した後、キーラは自分もあとで合流すると告げ、ソロにひとりでベケットの後を追わせた。その後キーラはヴォスの亡骸からクリムゾン・ドーンの印章リングを回収し、書斎のデスクにセットしてモールに連絡を取った。彼女はヴォスがトバイアス・ベケットによって殺されたと嘘の報告を行い、コアクシウムはベケットによって持ち去られ、生き残ったのは自分だけだと告げた。[1] モールはヴォスの縄張りと所有権を当面はキーラに管理させることに決め[6]、<ファースト・ライト>に乗って自分のいるダソミアに来るよう彼女に命じた。[1]
人物[]
- 「私は同じことを二度は頼まないぞ、ハン」
- ―ドライデン・ヴォス[出典]
ドライデン・ヴォスは白色人種の近人間で[2]、目は青、髪はブロンド[1]、身長は1.92メートルだった。彼の顔面には、循環器系の活動やアドレナリン・レベルにリンクした細い筋が入っており[2]、激高するとこの筋が赤く染まった。[1] 顔の筋は激怒するほどに黒ずみ、まるで皮膚の近くを走る血液の色のようだった。キーラはヴォスが人間ではないことは理解していたが、具体的に何の種族であるかは知らず、彼の顔を赤く染めるもののことを陰で“乗客”と呼んでいた。[6] またドライデン・ヴォスの親指は通常の人間と比べて尖っていた。[1] 10 BBY当時、ヴォスの額には近年負ったばかりの怪我の跡が残っていた。この切り傷はお抱えの医師によって手当され、メクノホッチキス(mechnostaple)で留められていた。[2]
クリムゾン・ドーンの幹部にして[2] 組織の表向きの“顔”であるドライデン・ヴォスは、富と趣味を備えたギャングスターでありながら、同時に無慈悲な執行人でもあるという矛盾を抱えていた。[3] クリムゾン・ドーンは銀河系の犯罪組織のなかでも特に冷酷だと評判だったが、ヴォス本人は下卑た人殺しと思われるより、贅沢品を好む洗練された紳士とみなされることに誇りを持っていた。しかし彼の出自は知られておらず、少なくとも記録の上では昔から冷酷な犯罪者であり、むらの激しい気性だった。ヴォスはこそこそ影に潜むのを好まず、人前に出て堂々と裕福な人々や有名人と付き合いを持ち、見えないところで違法な取引を行い、邪魔者を始末した。[2] ヴォスは激怒すると我を忘れ[1]、教養ある紳士から無慈悲な殺人者へと様変わりした。[2] またヴォスは「同じことを二度は頼まない」と公言し、期待を裏切った部下が言い訳をするのを嫌った。[1]
ドライデン・ヴォスはクリムゾン・ドーンの真の指導者であるモールに、身のすくむような恐怖を抱いていた。ちょうどトバイアス・ベケットがヴォスを失望させることを恐れていたように、ヴォス自身はモールを失望させることを恐れていたのである。[6] ヴォスはキーラに早くから目を付け、やがて彼女を右腕にした。キーラはヴォスが最も信頼を置く部下であり、スケジュールの管理だけでなく、戦略家と顧問としての役割も彼女に任せていた。[2] そのためヴォスはキーラにケッセルにおける危険な仕事のお目付け役を任せることにしたが[1]、キーラが幼馴染のハン・ソロに対して抱いている想いを読み違えていた。[3] ヴォスはかねてから、敵の弱点を見つけてそれを利用するようキーラに教えていた。しかしサヴァリーンでキーラの裏切りに遭ったヴォスは、死の瞬間、キーラこそ自分にとっての弱点だったことを悟った。[6]
技術と能力[]
ドライデン・ヴォスはテラス・カシと呼ばれる武術の熱心な修練者だった。[8] キーラが自分の用心棒を倒したことを知ったヴォスは、彼女にもテラス・カシの戦闘技術を仕込んだ。やがてキーラは、訓練室でヴォスを打ち負かすまでに成長した。[6] ヴォスは近接戦闘において、自らの戦闘スタイルに合わせて設計されたキューゾ・ペターを使用した。[8] <ファースト・ライト>の書斎でハン・ソロと戦った際、ヴォスは素早く物陰に飛び込み、ブラスター・ピストルの銃撃をかわした。[1] ヴォスはテラス・カシの技術を駆使し、壊れた装飾品のガラスが飛び散った床の上を素早く移動して間合いを詰め、ソロを驚かせた。ヴォスはこの戦いで武器を使った攻撃の合間に蹴りや突きを織り交ぜ、キューゾ・ペターをかわすことに気を取られているソロを追い詰めていった。彼は戦闘中に突きや蹴りを数発命中させ、ソロの手からブラスターを落とすことに成功した。しかしヴォスはその後キーラとの戦いで守勢に回り、最初の一撃で肩を切られ出血した。ヴォスはキューゾ・ペターのレーザー刃でなんとか攻撃をそらすことしかできず、最終的に自分自身の刃を胸に打ち込まれ、命を落とした。[6]
装備[]
- 「オフィスに置いておいてくれ。後で必要になるかもしれない」
- ―キューゾ・ペターを部下に渡しながら、ドライデン・ヴォス[出典]
ドライデン・ヴォスはパントラ絹でできた黒いハンドメイドのスーツを身に着け、その上にバッフルウィーヴのマントを羽織っていた。このマントには武器スキャナーを通しにくいという特性があった。また彼は暗号化されたデータパッドと金銭トラッカーをベルトにつけ、右腕にリスト・コムとバイオリズム・リーダーをはめていた。またヴォスはクリムゾン・ドーンの紋章がかたどられたオーロディウム製の印章リングを身に着けていた。この指輪は保護されたデータ・システムにアクセスするための暗号が組み込まれており、クリムゾン・ドーンで最も信頼のおける幹部しか着用を許されていなかった。[2] この指輪を<ファースト・ライト>のデスクにはめ込むことで、組織の真の指導者であるモールに連絡を取ることができた。ヴォスの印章リングは、彼の死後キーラによって回収された。またヴォスはエイモン・グレムと連絡を取る際に、手首のリスト・コムとは別の通信装置を使用していた。[1]
ヴォスは近接戦用の武器として、一対のキューゾ・ペターを所有していた。[8] この武器は特注品であり、ヒューマノイドであるヴォスの指と親指の爪に合わせてデザインされ、彼の腕の長さや戦闘スタイルに合わせた重量を加えられていた。このキューゾ・ペターの刃はカーボン製、ナックル・ガードはブロンジウム製で、手のひらに収まる柄の部分にパワー・セルが内蔵されていた。キューゾ・ペターは動力が無くとも強力な武器だったが、ボタンを押すことで単分子エネルギー・コードが刃に流れ、殺傷能力が高まった。[2] 10 BBY、ヴォスはキューゾ・ペターを使ってダイルズ・アネヴィ総督を殺害した。またハン・ソロとの戦いでもこの武器を使用したが、ソロを仕留めることはできなかった。キーラの裏切りに遭った際、ヴォスは自分自身のキューゾ・ペターを胸に打ち込まれて命を落とした。[1]
ドライデン・ヴォスはカレヴァラ・スペースワークス社が製造したカスタムメイドのナゥーア級ヨット、<ファースト・ライト>を所有していた。[9] このヨットには銀河系で最も高級なホテルやスターライナーにも匹敵する豪華な宿泊施設が備わっていた。ヴォスは自分がいかに趣味がよく洗練されているかを見せつけるため、<ファースト・ライト>にかける金を惜しまなかった。[2] <ファースト・ライト>はヴォスが銀河系のエリートたちと交流を持つ社交場であり[3]、ときには緊迫した会合の場となった。[10] ヨットの最上階付近に設けられた書斎には、ヴォスの収集品であるさまざまな古代遺物や芸術品、クリーチャーが飾られていた。しかしこの展示品はヴォスのコレクションの一部に過ぎず、タナブやビブロス、ケイト・ニモーディアといった惑星の倉庫に残りの貴重品が保管されていた。[2] ヴォスの最後の戦いのさなか、収集品のひとつである暴君ジムのマストヘッドはソロの銃撃で破壊され、踊る女神はヴォス自身のキューゾ・ペターで切り裂かれた。[1] またマンダロリアン・ラリー・マスターのアーマー[2] にも傷がついた。[6]
制作の舞台裏[]
- 「我々はこのキャラクターの外見を、スター・ウォーズに登場する別の犯罪王とは正反対にしたかった。そう、肥満の問題を抱えてるあいつのことだ」
- ―ジョン・カスダン(Twitterから翻訳)[出典]
ドライデン・ヴォスは2018年公開のスター・ウォーズ アンソロジー・シリーズ第2弾『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場したキャラクターである。俳優はポール・ベタニー。[1] もともとヴォスはピューマに似たエイリアンのキャラクターとして描かれる予定で、俳優のマイケル・ケネス・ウィリアムズがモーション・キャプチャを使って演じることになっていた。[11] しかしフィル・ロードとクリストファー・ミラーが『ハン・ソロ』の監督を降りてロン・ハワード監督と交代することになった際、ウィリアムズは映画『紅海リゾート -奇跡の救出計画-』の撮影があったため追加撮影にスケジュールを合わせることができず、降板となった。[12] ドライデン・ヴォスはジェダイ・マスターのクインラン・ヴォスとラストネームが同じだが、ルーカスフィルムは偶然の一致だと明言している。[13]
ドライデン・ヴォスに影響を与えたもののひとつは、1981年公開のマイケル・マン監督による映画『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』に登場するレオである。偶然にも、レオを演じた俳優ロバート・プロスキーは1992年の映画『遥かなる大地へ』で『ハン・ソロ』の監督ロン・ハワードと一緒に仕事をしている。また AMC のテレビ・シリーズ『マッドメン』の主人公ドン・ドレイパーからも影響を受けている。[14] 脚本家ジョン・カスダンによれば、ヴォスは『ハン・ソロ』の第1稿で『ゴッドファーザー』シリーズに登場するトム・ヘイゲンのような人物として描かれていた。ここでヴォスはカジアーと呼ばれる人物に仕えていたが、最終的にこのキャラがカットされ、代わりにモールがヴォスの上官となった。[15] またベタニーが俳優を志すきっかけとなったのはスター・ウォーズのオリジナル作品であるという。[16] 映画の製作クルーは、ヴォスの外見を1983年公開の『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』に登場するハットの犯罪王ジャバ・デシリジク・ティウレとは正反対にしたいと考えていた。[17]
初期のコンセプト・アートではヴォスは鳥類のエイリアンとして描かれ、その後爬虫類のエイリアンに、そしてラサットに変更された。また映画脚本の原案では、ヴォスはターナブ種族がベースとなる予定になっていた。[14] ポール・ベタニーによると、ヴォスの顔の模様は CGI で作られたものであり、ハワード監督から写真が送られてきた時に初めて知ったという。[16] 怒ると赤く浮き上がる顔の模様は、『ハン・ソロ』より2年先駆けて2016年に始まったTVシリーズ『LEGO スター・ウォーズ/フリーメーカーの冒険』に登場するキャラクター、ナアレと類似性がみられる。ルーカスフィルム ストーリー・グループのスタッフであるリーランド・チーもこの共通点を指摘しているが[18]、あくまで指摘にとどめており、公式設定として両者の関連が明示されたわけではない。[19]
2020年、ドライデン・ヴォスは Disney+ で配信されたTVシリーズ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』ファイナル・シーズンの第10話『幻影の弟子』に登場した。ヴォスはシャドウ・コレクティヴ幹部の会合シーンに映るだけで台詞はなく[4]、このシーン自体がデザイン段階ではなくアニメーション段階で追加されたものである。ヴォスの3Dモデルは、マンダロリアンのモブ市民と、既存のマンダロリアン大臣を組み合わせて顔を微調整し、オビ=ワン・ケノービの髪形を加えて制作された。[20]
登場作品[]
- クローン・ウォーズ – 幻影の弟子 (ホログラムでの登場)
- スター・ウォーズ:ベケット (言及のみ)
- ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
- ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 小説版
- ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー ジュニアノベル版
- ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー コミック版