ハイパースペース大戦[1](Great Hyperspace War)は、5000 BBYに銀河共和国とシス帝国が繰り広げた戦争である。建国以来孤立し、その存在を知られていなかったシス帝国が、ハイパースペース探検家のゲイヴとジョリ・ダラゴン兄妹によって再発見されたことがきっかけで勃発した。
当時シス帝国ではシスの暗黒卿マルカ・ラグノスの後継者の地位をめぐり、シス卿ナガ・サドウとルド・クレシュが内戦状態にあった。拡大主義者のサドウは保守的なクレシュを破り、ダラゴンによってもたらされた知識を利用して、共和国の領域を侵略した。ジョリ・ダラゴンから事前の警告を受けていたエンプレス・テタ率いる共和国軍がシスを迎えうち、オダン=ウーアといったジェダイが彼女を助けた。この戦争は銀河共和国全土に及ぶものとなったが、主要な戦いはコルサント、コロス・メジャー、キレックという共和国の3惑星に集中した。戦場はやがてプリマス・ガルードが位置する辺境の星系へと移動し、最後の戦いはシスの霊廟惑星コリバンで行われ、共和国が勝利を収めた、
シスによる初めての侵略という衝撃を乗り越えた銀河共和国は、シス帝国を完全に滅ぼすために艦隊を編成し、シス卿のナガ・サドウは衛星ヤヴィン4へと逃れた。
目次
背景
シスの黄金時代
- 「広い宇宙と未知のルートで共和国と隔てられていたシス帝国は、シス魔術やダークサイドの魔術を操り、二〇〇〇年のあいだに、力をたくわえていた」
- ―銀河同盟の歴史文書[出典]
第一次グレート・シズムと呼ばれる、初期のジェダイ・オーダーの内戦で敗北したフォースのダークサイドの支持者たちは、銀河共和国の領域を逃れて惑星コリバンにたどり着いた。野蛮で赤い肌をしたコリバンの種族、シスは、このダーク・ジェダイたちを神々として扱った。
やがてコリバンを統治するようになっていたダーク・ジェダイとフォース=センシティブのシス種族との間には、シス錬金術によって子孫が生まれ、シスはひとつの民族となった。団結したシスの連合は、魔術によって支配された、非常に豊かで強力な帝国を形成する。おそらく初期のラカタの無限帝国の残骸から形作られたと思われる、ダークサイドによるテクノロジーを発達させた。何世紀という時間が経過し、ダーク・ジェダイの追放者の記録が銀河共和国から忘れ去られた時代、シスも同様に共和国に関する記録を失っていた。ふたつの文明はそれぞれ孤立して成功をおさめ、互いのことを知らないままだった。
シス帝国の発見

シス帝国の最盛期、銀河共和国の惑星コロス・メジャー出身のふたりのハイパースペース探検家が、偶然にもシスの霊廟惑星、コリバンにやってきた。新しいハイパースペース・ルートを発見することで莫大な借金を帳消しにしようとしていたゲイヴとジョリ・ダラゴン兄妹が、押収されていた宇宙船<スターブレーカー12>を盗み出し、ナビゲーション・コンピューターにでたらめな座標を打ち込んでジャンプした結果、シス帝国にたどり着いたのだった。兄妹の“運”の良さは、訓練されていないフォースの能力によって助けられたものでもあった。
ダラゴン兄妹がコリバンに到着したとき、それまでシス帝国を統治していたシスの暗黒卿、マルカ・ラグノスの葬儀がちょうど行われていた。<スターブレーカー12>が軌道から降りたとき、支配者の称号を巡ってシス卿のルド・クレシュとナガ・サドウが暗黒卿の墓地で決闘を繰り広げていた。
ゲイヴとジョリは着陸と同時に捕えられ、シスの首都である氷の惑星、ジオストへと、尋問のために連行された。忘れ去られていた共和国の存在を知ると、クレシュが率いるシス卿の議会はダラゴン兄妹をスパイと宣言し、ふたりを死刑にすることを決定した。しかし、ナガ・サドウはこの考えに反対だった。彼はダラゴン兄妹が、シス帝国の領土を拡大する鍵を握っていると考えたのである。サドウは錬金術によって強化されたマサッシの戦士を使い、ダラゴン兄妹の脱獄を手助けした。サドウはまるで共和国のエージェントがダラゴン兄妹を脱出させたかのような証拠をでっち上げた。
サドウはゲイヴとジョリをカー・シアンにある要塞に移し、自分がふたりの仲間だと嘘をついた。同時に、サドウは兄妹の脱出を利用してシス卿たちに、共和国が彼らを侵略する可能性があるという衝撃を与えることに成功する。サドウはダラゴン兄妹を別々の場所に配置し、ゲイヴにシスの魔術を教え始めた。
ルド・クレシュはすぐにサドウの偽装を見抜き、サドウの要塞を攻撃するために自分の支持者を集めた。クレシュの艦隊が到着したとき、ナガ・サドウは<スターブレーカー12>に乗ったジョリをシス帝国の領域から逃がした。銀河共和国にシス帝国の脅威を警告するため、ジョリは故郷へと急いだ。ジョリが去った後、サドウは隠しておいた大艦隊を使ってクレシュの軍隊を破った。クレシュは死を装うため、自分の旗艦を敵に破壊させた。暗黒卿の称号を巡る競争相手がいなくなったと考えたサドウは、新しい暗黒卿を自称し、シスの勢力を集結させた。ジョリの<スターブレーカー12>にホーミング・ビーコンを仕掛けていたサドウは、共和国に至る航路を手に入れ、侵略艦隊を出撃させた。
一方、多少の遅れがあったものの、ジョリ・ダラゴンはコロス星系を支配するエンプレス(女帝)、テタにシス帝国の侵略を警告した。エンプレスとその助言者であるジェダイ・マスターのメミット・ネイディル、そして同じくジェダイのオダン=ウーアとマスター・ウールーは、ジョリの警告を信じた。テタはコルサントの元老院に差し迫った侵略を警告したが、彼女の話に耳を貸すものはほとんどいなかった。
戦争
シスの侵略

コルサントの戦い
ナガ・サドウの侵略艦隊は、数々の共和国の惑星に同時に攻撃を開始した。サドウは赤い巨星プリマス・ガルードの付近に目の形をしたシス・メディテーション・スフィアを配置し、戦場の軍隊を助けるために戦闘瞑想を行った。残忍なシスの侵略は、共和国宇宙軍を間もなく劣勢に追い込んだ。
サドウの弟子となっていたゲイヴ・ダラゴンは、プリマス・ガルードを通過してコロス・メジャーに向かう侵略艦隊の指揮を執った。サドウはコロス・トランク・ラインを使い、カイキエリウスやフォーロストの造船所を攻撃した後、首都惑星コルサントを襲った。侵略軍は立法地区に降り立ち、元老院ホールへと向けて進軍し、ジェダイの防衛軍と戦った。艦隊の別の部隊は、メテロスやバシリスク、ショウケンといった惑星で戦いを繰り広げた。
ゲイヴ・ダラゴンが故郷の星系に到着したとき、重要な戦いが始まった。戦闘中、ゲイヴはコロス・メジャーに降りてアールバ・ザ・ハットの修理ドックで妹のジョリを探した。しかし彼のマサッシのボディガードは、ダラゴン家の友人であるアールバを敵対者と勘違いして殺してしまった。現場に駆け付けたジョリは、兄がアールバを殺したと思い込み、オダン=ウーアから与えられたライトセーバーでゲイヴを攻撃した。ゲイヴはコロス・メジャーから逃げ去り、プリマス・ガルードのマスターのもとへと戻った。
プリマス・ガルードに到着したゲイヴは、サドウを裏切ってメディテーション・スフィアを攻撃した。シス卿の集中が乱れたため、遠く離れたコルサントの戦場ではシス魔術による効果がなくなり、戦況は共和国の兵士にとって有利に傾いた。同時に惑星キレックでも戦いが行われており、ジェダイ・マスター・ウールーは自らの命を犠牲にしてマサッシの兵士たちを倒した。サドウがフォースの幻を使って軍隊を大規模に見せかけていたことが発覚したため、戦いの流れは変わった。惑星アナクセスの宇宙軍基地はコルサントの防衛軍を援助し、共和国軍はコロス・メジャーへとシス勢力を押し戻した。
ジョリとエンプレス・テタは大規模なコロス艦隊を率いてプリマス・ガルードへと進軍した。戦いが自分に不利だと理解したサドウは、集結した艦隊を捨て、プリマス・ガルードを超新星へと変化させた。サドウに見捨てられたことを知ったゲイヴは、シス帝国が手薄であることをエンプレス・テタに伝え、帝国のハイパースペース座標を送信した。彼はテタとジョリに危険を警告し、コロス艦隊はプリマス・ガルードの爆発直前に星系を離れた。サドウは脱出し、ゲイヴの乗るメディテーション・スフィアは破壊された。
シス帝国の崩壊
ナガ・サドウはなんとかシス帝国の領域へと逃げ帰ったが、かつての戦いを生き延びていたルド・クレシュが姿を現し、整えておいた軍隊を使ってサドウを待ち伏せした。サドウの策略に感づいたクレシュは、敵に自分が死んだと見せかけていたのだった。しかし、クレシュの複雑な計画も、結局失敗に終わった。サドウの宇宙船の1隻が、コリバンで繰り広げられたシス卿同士の戦いの中で、クレシュの旗艦へと突撃し、宇宙船ごとクレシュを滅ぼしたのだった。
シス卿が戦いを繰り広げていたとき、ゲイヴ・ダラゴンから受け取った座標を使い、共和国艦隊がシス帝国へとやって来た。共和国艦隊は、クレシュとサドウの両方の艦隊に十字砲火を浴びせ、軍を壊滅させる。サドウは艦隊の生き残りを、自分自身の脱出を確実なものにするために犠牲にした。トリックと魔術を用いて追っ手を破壊したサドウは、損傷を負った旗艦に乗って戦場を逃れた。
戦いの余波の中、共和国の最高議長パルティモは、シス・スペースへの侵略を共和国軍に命じた。共和国とジェダイ・オーダーはシス帝国が支配する領域のいたるところで軍事的な探索を行い、まだ残っていたシスの拠点を探し出し、それらを破壊した。シス卿シャー・ダカンが共和国への自殺的な攻撃を命令したとき、共和国は撤退を余儀なくされ、一時的に彼らの探索の手は緩められた。しかしシスの多くは儀式的に自ら死を選び、戦争においてむしろ共和国艦隊を有利にしていた。
その後
銀河共和国
ハイパースペース大戦終結後、ジェダイのオダン=ウーアは惑星オッサスに大規模な博物館都市を築き上げた。無数の図書館と金庫室の中には、戦争で命を落とした彼のマスター、ウールーが集めた古代ジェダイの遺産や、侵略戦争の残骸から集められたシスの遺産が収められていた。こうしたシスの遺物の中には、オダン=ウーアがコロス・メジャー付近に遺棄されていた宇宙船で見つけた、シス・ホロクロンも含まれていた。その後数世紀を経て、オッサスはジェダイ・ライブラリー、アーカイブ、そして銀河共和国のアカデミーが集まる知識の都となった。
ハイパースペース大戦で活躍した指導者、テタを称え、コロスの民衆は星系と惑星にエンプレス・テタという名前を付けた。
シス
シスの一部は、惑星アンブリアやスール、タンド、ヴジュンへと逃げていった。他にも、逃げるつもりではなく、ケシュに遭難したシスもいた。ハイパースペース大戦ではシス種族の多くが死んだが、こうした亡命者の存在が、シスの伝統の存続をそれぞれの惑星で確実にしていた。ナガ・サドウとマサッシ戦士の生き残りは、辺境のヤヴィン星系へ去り、その第4衛星に隠れた。サドウはシス魔術を使って体を保ったが、マサッシの使用人はゆっくりと退化し、野蛮な種族に変化した。
とあるシスの生き残りは、未知領域へと逃げ、その後20年間、共和国軍を避けるため闇雲なハイパースペース・ジャンプの逃亡生活を送った。彼とその艦隊はやがて忘れ去られていた惑星ドロマンド・カスを発見し、彼はそこでシス皇帝を名乗った。そこでシス皇帝は闇の儀式を行い、惑星の電離圏を激しい雷雨に変化させ、自分の寿命も延ばした。共和国が弱体化し、次なる侵略の準備が整うまで、彼はシス艦隊を再建し、時期を待ち続けた。その後、シス皇帝は3681 BBYから3653 BBYまで続く大銀河戦争を引き起こす。
知られている戦い
主要な参加者
銀河共和国
シス帝国
登場エピソード
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参考資料
- スター・ウォーズ・エンサイクロペディア
- 週刊スター・ウォーズ ファクトファイル
- スター・ウォーズ クロノロジー
- スター・ウォーズ 全史
- スター・ウォーズ アルティメット・ビジュアル・ガイド 特別篇
Great_Hyperspace_War ‐ Wookieepedia
脚注
- ↑ 訳語は『スター・ウォーズ 全史』による。