パイルーン・サルーン(Pyloon's Saloon)は惑星コーボーのランブラーズ・リーチ村に存在した酒場。ラテロのグリーズ・ドリタスが経営者で、彼の曾祖母パイルーンにちなんで名づけられていた。グリーズはもともと<スティンガー・マンティス>の船長としてジェダイのシア・ジュンダやカル・ケスティスたちと行動を共にしていたが、9 BBY以前に銀河帝国やハクシオン・ブルードとの戦いから身を引き、バーテンダー・ドロイドの“モンク”ことM-6NKと一緒にパイルーン・サルーンを経営し始めた。開業にあたり、グリーズはシアから2,000クレジットの資金援助を受けた。グリーズはこの酒場を第二の我が家として大切にするつもりだったが、コーボーではレイヴィス率いる盗賊団ベッドラム・レイダーの活動が活発化しており、サルーンの客足にも悪影響を及ぼした。
9 BBY、カルは<マンティス>を修理するためコーボーを訪れた際に、パイルーン・サルーンの外でベッドラム・レイダーと住民ターグルのトラブルに遭遇した。レイダーの一員ズィークを倒した後、カルはグリーズと再会し、しばらくコーボーに滞在した。ハイ・リパブリック時代のドロイドZN-A4“ジー”を発見して酒場に連れ帰ったのをきっかけに、カルは旅先で出会った人々を酒場や村に招き、サルーンを着実に繁栄させていった。同時に、カルはレイダーと対立しながらタナローの探求の旅を開始し、<マンティス>のパイロットに復帰したグリーズがカルと行動を共にする間は、モンクが独りでサルーンを切り盛りした。レイダーがサルーンに押しかけてジーを誘拐する事件も起きたが、間もなくカルがジーを救出し、レイヴィスやダガン・ゲラを倒すと、ランブラーズ・リーチ村にはかつてない平和が訪れ、酒場も新規の客で賑わいだした。
カルはDJのアッシュ・ハヴィとDD-ECをステージ・ミュージシャンとしてパイルーンに招き、ホロタクティクス・ゲームの運営者であるトゥーリ・ムーとビーマ・オークに酒場でのゲーム設営を勧めた。またカルは植物学者ピリ・ウォルドにサルーンの屋上庭園の世話を、釣り師スクーヴァ・スティヴには店内の水槽への魚の提供を求めた。カルのクルーが“コーボー深淵”の航行に成功した際、グリーズはタナローにも酒場を開店してパイルーンをフランチャイズ展開すると息巻いた。しかし間もなくコーボーでは帝国軍の影響力が増し、惑星を去る人が増え始めた。パイルーン・サルーンでも常連客が一人また一人と姿を消していき、カルが最初に訪れた頃の客足に戻ってしまった。しかし酒場を新たな我が家と定めたジーのように、コーボーに留まる道を選ぶ者もおり、モンクはカルに自分たちのことを心配する必要はないと請け合った。
特徴[]
外装と店内通路[]
- 「グリーズに会えるのは嬉しいわ」
「元気だぞ。パイルーン・サルーンという酒場を始めた」
「曾祖母の名前を付けたというの?」
「グリーズにとって、家族より大事なものはないからな」 - ―メリンとカル・ケスティス[出典]
サルーンの内装
ひなびた酒場のパイルーン・サルーンは、アウター・リムの惑星コーボーのランブラーズ・リーチ村に存在した。村の中心部を通るメインストリート沿いに建てられており、道を挟んで向かい側にはドーマ・デンドラが経営する骨董品店があった。建物は石造りで、木製のデッキと階段があり、錆びた赤と黄色の金属が基部や屋根を支えていた。屋根は3つの低いドーム型構造物からなり、大きなタービンが付属していた。建物の外にはジェネレーターや通気口があり、古いXJ-6エアスピーダーやドロイドの部品、コンテナといった雑多な品々が置かれていた。建物の入り口にはオーラベッシュのアルファベットで SALOON と書かれたシンプルな看板があり、両開きの自動ドアの上にライトが取り付けられていた。また入り口を構成する円柱の屋根の下から緑色のバナーが垂れ下がっていた。[1]
ドアを開けると、メインのバー・エリアへと続く通路があった。通路はフローリングで、薄汚れたオレンジ色のポトリ織りソファが3台置かれており、天井からは薄明りの照明器具が吊り下げられていた。通路の壁には骨の装飾品やフーカ・パイプ、DC-15LEブラスター・ライフル、E-5sスナイパー・ライフルなどが飾られていた。壁にはボグリングへの餌やり禁止を呼びかけるポスターや、WA-7シリーズ・ウェイトレス・ドロイドが描かれたポスター、パイルーン・パイの宣伝ポスターといった広告が貼られていた他、随所に落書きがされていた。バーの入り口付近にはドロイド探知機が置かれていたが[1]、9 BBY当時[2] この装置は機能していなかった。またバーに続くドアの横にはTT-8L/Y7ゲートキーパー・ドロイドが設置されており、必要に応じて壁の中から姿を現し、来客の観察を行った。[1]
バー1階[]
バーカウンターに立つM-6NK。カウンターの奥の水槽はバーの2階部分まで繋がっていた
通路のドアの先には、手すりが付いた数段の下り階段があり、金属で縁取られた石造りのバー・フロアが広がっていた。ドアを入って右側に半楕円型の大きなバーカウンターがあり、その内側に巨大な水槽があった。水槽の手前にはキッチンと、各種ドリンク・ディスペンサーが配置されていた。バーテンダー・ドロイドのM-6NK(モンク)が接客したりキッチンへ移動したりできるように、カウンター内の床にはレールが設置されていた。カウンターには客用の固定席はなく、来客に応じて小さなスツールが随時用意された。店が繁盛していないとき、こうしたスツールはカウンターやテーブルの上に逆さまに置かれて片づけられた。また店主グリーズ・ドリタス専用の電動式シートがカウンター手前側に配置されており、店内全体を見渡せるようになっていた。この専用シートの背もたれには、グリーズの頭文字であるオーラベッシュの文字グレック(
)が描かれていた。[1]
バー・エリアは2階建てになっており、ちょうどカウンターの真上が吹き抜けのバルコニーになっていた。1階の中央エリアの頭上には、吹き抜けの基部を支える梁がかけられており、梁の上に共和国のクローン・トルーパー・ヘルメットやセール・バージの模型が飾られていた。[1] 9 BBYに[2] サルーンに活気が出始めて以降、梁や吹き抜け、天井部に新たな装飾が追加され、赤や紫を基調とした垂れ幕が飾られるようになった。バーのドアの左右の壁には、グリーズの好みである文化的なアートが飾られていた。他にも各種ポスター(通路に貼られていたのと同じものに加え、店名の由来であるグリーズの曾祖母パイルーンを描いたもの、ドーマの店の宣伝、GNKの充電に関する掲示など)や[1]、訪問者たちがお互いに情報を交換するための掲示物(レイヴィスやB1バトル・ドロイドについての警告、ジャワの入植地についての情報提供、行方不明者、その他様々な噂話)が貼られていた。[1][4]
1階の最奥のブース席
1階のドアを入って向かって左側の壁沿いには3つのブース席が並んでおり、ブースとカウンターのあいだの中央エリアに独立したテーブル席が2つ配置されていた。テーブル席では、スツールに座る客もいれば立ち飲みする客もいた。モージー・シンマロンは手前側のテーブル席、ダーナとグロックは奥側のテーブル席をしばしば利用した。手前のブースには赤いソファが置かれ、棚に動物の頭蓋骨や壺などが飾られていた。閑散期、手前のブースは物置となって塞がっていたが、のちに開放され、一時期はガンスリンガーのボード・アクーナがよく使用した。中央のブースは他より簡素で、テーブルが置かれていた。ケイジ・ヴァンダがよく利用した最奥のブース席には赤いソファが設置され、壁にクローン・トルーパーのヘルメットやベッドラム・レイダーのB1バトル・ドロイドの頭部、動物の頭蓋骨、ハクシオン・ブルードの賞金稼ぎのものを含む3つのヘルメットが飾られていた。またテーブルの上にはホロパックが積み上げられ、ソファの反対側にはE-5およびE-11ブラスター・ライフルや雑多な品々が置かれていた。[1]
1階のブース席の先、店内左奥の片隅には、ぼろぼろの演奏ステージがあった。ステージは円形で、赤いカーテンがかけられており、閑散期には音楽機材が雑多に置かれ、BGMが無人で流れていた。占い師のツーラックはしばしばブースとステージのあいだに立ち、他の客と会話を交わした。2階へ続く階段は2か所あり、グリーズの専用席の右側と、バーの最奥部に階段への入り口があった。閑散期には、2階への階段は閉鎖されていた。またカウンターの奥の席はミリアランの常連客モランの特等席となっており、店内右奥の片隅にはキッチンへ続くロビー・エリアの自動ドアがあった。パイルーン・サルーンではスリッパリー・モンクなどの飲み物に加え、プロテト・ナンバ・ハンバーグなどの食事も提供されていた。[1]
アッシュ・ハヴィとDD-ECのステージ
9 BBY[2]、グリーズの友人であるカル・ケスティスはDJのアッシュ・ハヴィとそのコラボレーターであるドロイドのDD-ECをパイルーン・サルーンに勧誘した。アッシュはこの店をいたく気に入り、奥のステージでDD-ECによる音楽の演奏が行われるようになった。DD-ECは客のリクエストに応じてアガサーの楽曲『イーリン・シーナー』、『エセリン・ヴァサヒナ』、『ホホチュウ』、『スガン・エッセナ』、ナータートの『夕暮れのフィールド』、『グラウンド・パルス』、『スパイスマン』、アルティン・レーザー・ブラスターの『ハイウェーブ』、『ランブル・ドロイド』、『ショートポーの踊り』、ユブニブ・ゼックと主な登場人物の『エボンの流れ』、『サバック・テーブルで会おう』、『タリスを嘆く者』、ミスター・モクウェルの『リビジット・ウォーターズ』、『崇高なレイドII』、『ザナラ』といった楽曲を演奏した。[1]
バー2階[]
- 「実は、パイルーン・サルーンに誰も手入れしていない水槽があるんだ」
「パ、パイルーン・サルーン? あの谷間の汚い酒場か?」 - ―カル・ケスティスとスクーヴァ・スティヴ[出典]
パイルーン・サルーンの2階
パイルーン・サルーンの2階には2か所の階段からアクセスすることができた。2階の大部分は、1階バーカウンターの真上に位置するバルコニーが占めており、その中心部分に大型水槽が配置されていた。中に大きな岩が配置されたこの水槽は、床を貫通して1階バーカウンターまで続いていた。カル・ケスティスが初めてサルーンを訪れた当時、この水槽は誰も手入れしておらず、緑色に濁っていた。水槽の制御装置は2階にあり、その隣はオヴィッシアンのハールの特等席となっていた。水槽の隣には小さな部屋がひとつあったが、カルが初めてサルーンを訪れた当時、この部屋は使われていなかった。またハールの立ち位置から見て正面には、屋上へ続く階段のドアがあった。バーの他の場所同様、2階の壁もさまざまなポスターと貼り紙で飾られていた。[1]
2階バルコニーのフロアは木製で、1階を見下ろせる吹き抜け部分には木製の手すりがついていた。巨大水槽の周りには、3つのテーブルと多数のスツール、椅子が配置されていた。手前側のテーブル席は、カル・ケスティスによって発見・再起動されたハイ・リパブリック時代のドロイドZN-A4(ジー)の特等席となった。ZN-A4はこのテーブルで、古いデータディスクを解読するサービスを展開するようになった。奥のテーブル席はジグ・ソーザとウィニ・エレスが座ることが多かった。2階の湾曲した壁沿いには小さな腰掛があり、そこに色とりどりのクッションが置かれていた。カル・ケスティスのクルーの一員であるナイトシスターのメリンも、サルーンに滞在するときはよく2階を利用した。[1]
パイルーン・サルーンの水槽(2階部分)
9 BBY[2]、カル・ケスティスはプロスペクターズ・フォリーのフットヒルの滝で出会ったサカヴィアンの漁師スクーヴァ・スティヴに、捕まえた魚をパイルーン・サルーンの水槽に提供してほしいと頼んだ。スクーヴァは頼みを引き受け、サルーンを訪れて水槽のタンクを掃除した。その後、彼はコーボーで捕まえたシー・フィッシュ、ヴィシッド・ラーカー、フィンガーリップ・ガーポン、バーブド・フックフィッシュ、ミー・フィッシュ、フリルニュート、ブルーフィン・ザリガニ、大口のファー、グロットサムクラブ、眩惑レイフィッシュ、そして衛星ジェダで捕まえたスネークフィッシュ、ファンテール・ラーをサルーンに持ち帰り、水槽に追加した。[1]
またカルはランブラーズ・リーチ渓谷のボイリング・ブラフでホロタクティクス・ゲームの運営者トゥーリ・ムー、ビーマ・オークと出会った際、2人がゲームの設営場所を探していることを知り、パイルーン・サルーンを紹介した。その後、トゥーリとビーマは2階の空き部屋にホロテーブルを設置し、客に娯楽を提供した。ホロタクティクスは2名のプレイヤーが参加し、ホログラムで表示される手駒を戦わせる戦闘ゲームで、カル・ケスティスとBD-1が各地で集めた野生生物や敵対勢力の映像がゲームデータとして再利用されることになった。2階の部屋はホロタクティクスの常連で賑わい、カルやターグル、グリーズ・ドリタス、ツーラック、メリン、ケイジ・ヴァンダ、スクーヴァ・スティヴ、T-1N8、そしてトゥーリ・ムーといった数々のプレーヤーがゲームに興じた。[1]
その他の施設[]
リフレッシャー
1階バー・フロアの入り口から見て向かって右側の隅にリフレッシャーへ続く通路があった。湾曲した数段の階段を下った先にあるリフレッシャー・ルームには、左側にトイレの個室が3つ、右側に洗面台と汚い鏡が配置されており、手前の壁にハンド・ドライヤー、奥の壁にGNKパワー・ドロイドの充電装置が設置されていた。リフレッシャーの壁には、他の場所と同じくさまざまな貼り紙が貼られており、随所に落書きもされていた。[1]
1階バー・フロアの最奥右側にあるドアの先には、左側に小さな部屋、右側にキッチンがあるロビー・エリアがあった。ロビーはバーより床が数段低く、フロアは木製で、丸い絨毯が敷かれていた。このエリアは店の備品の物置となっており、使われていないテーブルやスツール、樽が置かれ、棚にはクッションや食器が並んでいた。また2体のGNKパワー・ドロイドがこのエリアで待機していた。左側の小さな部屋は、常連客のモランがM-6NKから間借りしており、彼の所持品が保管されていたが、普段は扉が閉鎖されていた。ロビーを右側に進むと、カウンター奥のキッチン・スペースを覗くことができた。またロビーの奥には地下室へ続く湾曲した階段があった。この階段の途中の壁も物置となっており、食器類が雑多に置かれていた。[1]
地下室は店主グリーズ・ドリタスの部屋であり、廃品回収で集めたと思しき品々や、7弦ホリクセット、グリーズの趣味である植物などが飾られていた。またグリーズは友人カル・ケスティスがいつ戻ってきてもいいように、彼の解体業者時代の衣類をはじめとする所持品を部屋に保管していた。地下室は中央に円形の絨毯が敷かれ、天井にはリング型の照明器具が設置されていた。部屋の奥に二段ベッドがあり、その右側に比較的大型の植物の栽培装置、左側にクローゼットがあった。部屋の左側には作業台があり、浮遊式拡大鏡やメクノ=アームが天井から吊るされ、BXシリーズ・ドロイド・コマンドーの頭部をはじめとする各種ドロイド・パーツが台や床に置かれていた。作業台とクローゼットの間の壁には、くすんだ鏡がかけられていた。[1]
クローゼットの奥には、グリーズが経営者になる前から存在した“密輸人のトンネル”への入り口が隠されていた。グリーズはこの地下洞窟を宇宙船の予備部品などの物置にしていたが、害獣駆除をしていなかったため、ゴージャーやシヴァーピード、ボグリングといった様々な動物の住み家になっていた。また2階からアクセスできる屋上庭園は、カルが初めて訪れた当時は管理されておらず、雑草が茂っていた。[1]
屋上庭園
屋上庭園に立ち入れるようになった後、カル・ケスティスは旅の途中で見つけた植物の種をパイルーン・サルーンに持ち帰り、庭園に植え始めた。またカルは衛星ジェダで出会った植物学者のピリ・ウォルドにサルーンを紹介した。安全に植物を育てられる場所を探していたピリは誘いに応じ、サルーンの屋上庭園を拡張して、ガーデニングを手伝うようになった。カルとピリはこの庭園でコーボー・スパイカーやブルーベル・スクイッシュ、サボテンボール、クリムゾン・ジェリー・スピアア、ファイア・パイナップル、ゴールデンライト・モス、パームフルーツ・シェル、パイン・ファーン、スパイン・フラッフ、チューバー・モーといったさまざまな植物を育てた。[1]
歴史[]
ひなびた酒場[]
酒場の地下にあったグリーズの部屋
パイルーン・サルーンと名づけられる以前、この酒場はアベル・ドロンガイトによって経営されていた。コーボーの探鉱者グルーとギドによると、アベルが店主の時代はツケを100サイクルものあいだ支払わずに済み、必要なら店の床で寝ることすら許されていたという。またアベルは裏で密輸組織を運営しており、酒場の地下には密輸用のトンネルがあった。サルーンの地下を通るトンネルは、村の着陸場に近いため余計な人目にさらされる心配がなく、密輸に最適だった。しかしアベルはレイヴィス率いる盗賊団ベッドラム・レイダーとトラブルを起こし、盗賊のひとりにブラスターで撃ち殺されてしまった。[1]
その後、ラテロのパイロットであるグリーズ・ドリタスとドロイドのモンクが店を受け継いだ。グリーズはもともとヨット<スティンガー・マンティス>の船長だったが、銀河帝国との戦いに固執するジェダイ・ナイトのカル・ケスティスに船を任せることに決め、自身は戦いから身を引いたのである。店を始めるにあたり、グリーズは友人であるジェダイ・マスターのシア・ジュンダから2,000クレジットの開業資金の援助を受けた。ランブラーズ・リーチ村の事実上の長であるドーマ・デンドラは、グリーズが酒場を買うと知ったとき、彼もプライオライト狙いの山師のひとりで、カモからクレジットを奪ったら姿を消すに違いないと考えていた。しかしグリーズが店を大切にするのを見て、ドーマは印象を改めた。[1]
モンクとグリーズ
グリーズはこの店を<マンティス>と同じくらい大切に思っていたため、曾祖母であるパイルーンの名前を店名にした。グリーズが購入した当初、店は酷い有り様で、どこもシミだらけ、食べ物も飲み物も古く、体の一部が床に落ちていた。またシヴァーピードが巣を作っており、グリーズは片づけようとしたときに危うく頭を食われかけた。まともな電力と水の供給が始まるまでには2週間を要した。グリーズは帝国軍やハクシオン・ブルードの危険から逃れたいと考えていたが、結局コーボーでも、ベッドラム・レイダーの脅威に悩まされることになった。一方、モンクはもともと裏社会の賭場で働いていたため、この職場は以前の雇い主よりマシだと考えていたが、客層がプライオライトで一攫千金を狙う埃まみれの探鉱者ばかりであることには嫌気がさしていた。[1]
レイダーの脅威[]
カル・ケスティスの到着[]
- 「パイルーンは第二の家になるはずだった。でも、レイダーがすべてを台無しに」
- ―グリーズ・ドリタス[出典]
初めてランブラーズ・リーチを訪れた際、カルは酒場の前でベッドラム・レイダーとターグルのトラブルに遭遇した
9 BBY[2]、カル・ケスティスとBD-1は惑星コルサントにおける任務でダメージを負った<スティンガー・マンティス>を修理するため、友人であり船主のグリーズを頼ってコーボーを訪れた。カルは<マンティス>をドレッジャー・ゴージに着陸させると、徒歩でランブラーズ・リーチ村に辿り着いた。しかし彼がサルーンに入ろうとした瞬間、常連客のターグルがベッドラム・レイダーの一員であるズィークによって店の外へ投げ飛ばされた。ターグルはレイダーに共和国チューナー装置の偽物を売りつけようとしたため、首領レイヴィスの逆鱗に触れたのである。カルは見ず知らずのターグルを救うためズィークと戦い、勝利を収めた。レイヴィスは久しぶりに見るジェダイの戦いに感銘を受け、余計な対立は避けてその場を去っていった。[1]
一連の事件は町の事実上の長であるドーマ・デンドラに目撃されており、いきなり現れてレイダーを倒した新参者の噂は、すぐに町に広まった。カルとBD-1はサルーンでグリーズと再会し、モンクから“スリッパリー・モンク”を振舞われた。カルはグリーズの勧めで地下室で一休みした後、<マンティス>の修理に必要なジャイロ・モジュールを手に入れるため、BD-1と一緒に地下の“密輸人のトンネル”を探索した。2人はジャイロを見つけたが、地盤の崩落に巻き込まれ、さらに地下深くにある古代通路に迷い込んだ。カルはこの通路を進み、“二重性の間”の跡地でハイ・リパブリック時代のドロイドZN-A4(ジー)が機能停止しているのを見つけた。カルはジーを復活させて地下から脱出し、この古いドロイドをパイルーン・サルーンに連れ帰った。この時、カルのクルーの一員であるボード・アクーナが店を訪れており、カルの所在を巡ってグリーズと言い争いになっていた。カルが到着し、2人が知り合いであると分かると、グリーズは態度を豹変させた。[1]
パイルーン・サルーンで再会したカルとボード
ジーはグリーズたちに自己紹介すると、カルにチューナーを手渡し、これを使って“森のアンテナ”を開いてきてほしいと頼んだ。かつてジェダイ・オーダーの従者だったジーは、コーボーが災害に見舞われた時に、マスター・サンタリ・クリィからこの任務を託されたが、地下通路の崩落に巻き込まれたため果たせずにいたのである。その後、グリーズとボードは<マンティス>の修理に着手し、カルは玄武岩の森の探索に向かった。復活したばかりで機能が万全ではないジーはサルーンに留まり、モンクによる再整備を受けることになった。ジーは再び光り輝くボディに生まれ変わり、自分が機能停止していた約200年のあいだに起きた出来事をモンクから教わった。ジーはその後もサルーンに留まり、2階のバルコニーで、客が持ち込んだハイ・リパブリック時代のデータディスクを解読してあげるサービスを開始した。[1]
タナローの探求[]
- 「ここだと違って見えるな、カル」
「そうか?」
「よりリラックスしてる」
「かもな。グリーズがよく維持してる。まるで家同然だ」 - ―ボード・アクーナとカル・ケスティス[出典]
バーのカウンターにて、M-6NK“モンク”
カルはジーから託された任務をやり遂げ、森のリハビリテーション・ウイングで長い眠りについていたハイ・リパブリック時代のジェダイ・ナイト、ダガン・ゲラを解放した。しかしダガンはフォースのダークサイドに転向しており、“コーボー深淵”の向こうに隠れた秘境の惑星タナローの探求を巡り、カルやその仲間たちと対立することになった。ダガンより先にタナローを見つける必要性に迫られたカルは、ボードとグリーズに手助けを求めた。カルの強い要望を受け、グリーズは<マンティス>のパイロットに復帰することを決意し、自分が不在の間はモンクにサルーンの運営を一任した。またタナロー探求の旅と並行し、カルが着実な努力で村に人を集めた結果、酒場は賑わいを増していった。[1]
ジェダへ旅し、シア・ジュンダやイーノ・コルドヴァから助言を得た後、カルのクルーはコーボーに戻ってきた。中央邸宅を調査するため“石の尖塔”地域に赴いた際、カルは荒廃した集落でハクシオン・ブルードの賞金稼ぎコレジ・リムに襲われ、返り討ちにした。この時、カルはサルーンの常連客でもある賞金稼ぎケイジ・ヴァンダと知り合った。ケイジはカルに、今後またハクシオンの追っ手が現れた時は自分が情報提供をしてやると持ちかけ、パイルーン・サルーンでカルに会うたび情報を渡すようになった。“砕かれた月”の探索を経て、カルのクルーが再びジェダを再訪していた時、サルーンはダガンの指揮下に入ったベッドラム・レイダーの襲撃を受け、ZN-A4が誘拐されてしまった。このときモンクは(本人がのちに語ったところによると)レイダーに対し「撃てよ。コーボーで1番のバーテンを殺すことになるぞ」と啖呵を切ったという。ナイトシスターのメリンを連れてジェダから戻ってきたカルは、グリーズや酒場の防衛をメリンとモージー・シンマロンに任せ、ボードとともにレイダーの拠点<プライマシー>からZN-A4を救い出した。[1]
酒場での日々[]
パイルーン・サルーンにて、トア(中央)
玄武岩の森を探索した際、カル・ケスティスはバサルト・リフトで野営していたトワイレックの歴史学者トアと知り合った。カルは帝国軍と遭遇する危険性を警告し、村に戻るよう彼女に勧めた。以来、トアはパイルーン・サルーンの常連客となり、しばしばハイ・リパブリック時代のジェダイ瞑想場に関する情報をカルに提供した。酒場でトアから聞いた噂話をもとに、カルはアンテイムド・ダウンズにある明晰の間、ヴィシッド・ボグにある繋がりの間、サザン・リーチにある不屈の間、マウンテン・アセントにある孤立の間を探索した。[1]
サルーンに滞在していた時、カルはモンクから、コーボーに現れたミュージシャンの噂を聞いた。その後、カルはハーヴェスト・リッジでDJアッシュ・ハヴィとドロイドのDD-ECと出会い、2人を酒場のステージに誘った。以来、アッシュとDD-ECは酒場で客のリクエストに応えながら演奏を行うようになった。またカルはジェダのブルスタリー・メサで出会った植物学者ピリ・ウォルドにもパイルーン・サルーンを紹介した。その後、ピリは屋上庭園を拡張し、カルのガーデニングを手伝った。狩人のモージー・シンマロンは、コーボーに出没するさまざまなクリーチャーの噂をカルに提供した。カルはモージーから聞いた情報をもとに、ヴァイル・バイルモーやマイア・テラー、ゴロッコ・マトリアーチを討伐した。また常連客モランはカルと会話を重ねるうちに胸襟を開くようになり、酒場で間借りしている自室への立ち入りを許可し、中に置いてあるものを好きに使っていいとカルに告げた。[1]
ホロタクティクス・ゲーム
サルーンに滞在していた時、カル・ケスティスは常連客モランから奇妙な2人組の噂を聞いた。その後、カルはボイリング・ブラフでホロタクティクス・ゲームの運営者であるトゥーリ・ムー、ビーマ・オークと出会い、2人を獰猛なモーグーから救った。その後、トゥーリとビーマはサルーンにホロタクティクスを設置し、客にゲームの娯楽を提供するようになった。またプロスペクターズ・フォリーを探索した際、カルはフットヒルの滝でサカヴィアンの漁師スクーヴァ・スティヴと出会った。スクーヴァはカルの頼みに応え、サルーンの水槽を掃除し、新しい魚を捕まえるたび持ち帰って水槽に加えるようになった。[1]
ZN-A4を救出するためヴィシッド・ボグを訪れた際、カルとジグ・ソーザは沼地でインテリア・デザイナーのウィニ・エレスと出会った。失くしたデータパッドをカルに見つけてもらった後、ウィニはジグと2人で頻繁にサルーンに姿を現すようになった。またオヴィッシアンのハールは、カルの活躍でランブラーズ・リーチ村の状況がマシになったという噂を聞きつけ、サルーンによく姿を現すようになった。村の古株のひとりであるハールは、しばしば過去の住民や事件に関する情報をカルに提供した。[1]
帝国の影[]
- 「帝国軍だらけで景気は良くないが、どうにもならないことに熱くなっても仕方ない」
「俺のマスターが言ってた。『変えられないことで悩むのは愚かだ。賢者は眠る』」
「賢者のアドバイスだ」
「俺はいつもよく眠れないんだ」
「まあ、そんなに私たちを心配するな。なんとかなるから。何にせよ、コーボーが災難に遭うのはこれが初めてじゃない」 - ―モンクとカル・ケスティス[出典]
パイルーン・サルーン
その後、カルは“砕かれた月”の月面研究所でレイヴィスを破り、コーボー観測所における戦いでダガン・ゲラを倒した。ベッドラム・レイダーは指導者を失って弱体化し、その影響から、パイルーン・サルーンは新鮮な客でいっぱいになった。モンクはこの状況を喜ぶ一方で、現実主義者のモランと同様に、良いことは必ずしも長続きはしないと考えていた。のちにカルのクルーは、ジェダでボードの裏切りに遭った。シア・ジュンダは帝国軍の襲撃で命を落とし、グリーズはパイルーン・サルーンの開店を援助してくれたシアを、とうとう店に招待できずじまいになってしまったことを残念がった。のちにカルのクルーは深淵を渡ってタナローに辿り着き、裏切り者ボードとの決着をつけた。カルはシアの遺志を受け継ぎ、タナローを“ヒドゥン・パス”の活動のための避難所として役立てることに決めた。またグリーズは、タナローにも酒場を建ててパイルーン・サルーンをフランチャイズ展開するつもりだと息巻いた。[1]
観測所における戦い以降、コーボーでは帝国の影響力が増していき、空にインペリアル級スター・デストロイヤーが常駐するようになった。帝国軍が現れたことでコーボーを離れる人が増えていき、スター・デストロイヤーの存在はパイルーン・サルーンでも話題の種となった。バーテンダーのモンクはスター・デストロイヤーが現れた記念に何か新しい飲み物でも作ろうかと冗談を飛ばした。そんな中、カルたちはボードの娘カタ・アクーナをクルーに加え、コーボーに帰還した。カタはパイルーン・サルーンでは好きな音楽をリクエストできることを知り、お気に入りのトランドーシャン・ファンクを聞きたいと発言した。カルたちがタナローでのプロジェクトに向けて準備を進める間、カタはサルーンの屋上庭園でピリから園芸を学んだ。またグリーズは村が再び物騒になったため用心棒を追加で雇うことを検討したが、モンクは利幅が減ることと、余計な注意を引きかねないことを理由に反対した。[1]
ケイジ・ヴァンダとの取引が始まって以降、カルは酒場を訪れるたび彼女からハクシオン・ブルードの新たな追っ手の情報を受け取っていた。しかしカルが最後の追っ手である“人喰いジョー”を倒した後、ケイジは「すべてが始まった場所で会おう」というメッセージを残し、酒場から姿を消した。ケイジの真の目的は、カルの賞金を狙うライバルの排除と、賞金額の吊り上げだったのである。結局、ケイジの計画はカルとボバ・フェットによって挫かれることとなり、彼女がいつも座っていたブースは空席となった。またグロックはサルーンでカルと顔を合わせた際、プロスペクターズ・フォリーで帝国の燃料噴射装置を盗む一世一代の計画を説明したが、のちにストームトルーパーに撃たれて命を落とした。以来、彼のパートナーであるダーナは独りで酒場に現れるようになった。しかし彼女の野心は衰えておらず、その後も酒場でカルやトアにコーボーで金を稼ぐための計画を語り続けた。[1]
コーボーにおける帝国の影響力が増すにつれ、パイルーン・サルーンの常連客達も自分たちの進むべき道を見つめなおすようになった。ジグは帝国軍を避けるためコーボーを離れるべきだと考えたが、ウィニは帝国に人生を左右されることを嫌い、留まりたいと反論した。ジグとウィニは酒場でカルと会話し、2人で一緒にいるのが一番安全だとアドバイスを受けた。最終的に2人は、一緒にコーボーを離れる決意を固め、カルにさよならを告げた。占い師のツーラックやトア、モージーもまた、カルに別れの言葉を告げたのち酒場から姿を消した。一方、ジーはカルからタナローに誘われたにも関わらず、酒場を今の自分の居場所と見なし、コーボーに留まる道を選んだ。パイルーン・サルーンの客は明らかに数が減っていき、モンクいわくカルが最初に来た頃と同じくらいに戻ってしまった。しかしモンクは、コーボーが災難に遭うのはこれが初めてではないと語り、心配する必要はないとカルに告げた。[1]
制作の舞台裏[]
- 「ファンがキャラクターを愛するように、我々もキャラクターを愛しています。プレイヤーがちょっとしたカタルシスを求めているかもしれないと思って、カンティーナにいる友人たちとの会話や、カルが経験したことを整理できるような会話をたくさん書きました……ファンがゲームをクリアした後も戻ってきて、探検や、パイルーンにいるお気に入りのキャラクターと会話して過ごす時間を作りたかったのです。もちろんその相手はターグル……だったり、あるいはスクーヴァかもしれません」
- ―ダニー・ホーマン[出典]
パイルーン・サルーンは2023年4月28日にエレクトロニック・アーツから発売された正史のゲーム『Star Wars ジェダイ:サバイバー』で初登場を果たした。[1] パイルーン・サルーンの登場場面は、同年3月20日にリリースされたゲームの公式ストーリー・トレーラーで初公開された。[5] プレイヤーはメインストーリーでパイルーン・サルーンを初めて訪問した後、ストーリーの本筋とは別に、酒場に現れるキャラクターたちと会話をしたり、探索中に出会ったキャラクターたちを酒場に招くことができるようになる。[1]
プレイヤーはパイルーン・サルーンで出会うキャラクターたちから、瞑想場の探索や、ボスの討伐といったサイドミッションの「噂」を受注することができる。また本筋とも「噂」とも関係のない会話も多く[1]、ゲームクリア後にしか見ることのできない会話も用意されている。ゲームのリード・ライターを務めたダニー・ホーマンいわく、制作チームは、ファンがゲーム本編で強く感情を揺さぶられることを踏まえ、スタッフロールが流れた後にその感情を解きほぐすスペースを設けたかったのだという。ホーマンは、ファンがゲームクリア後もお気に入りのキャラクターと会話して過ごす時間を作りたかったとコメントしており、その試みはファンやコミュニティこそが第一であるという考えに基づいたものであるという。[6]
登場作品[]
- Star Wars ジェダイ:サバイバー (初登場)
参考資料[]
Star Wars Jedi: Survivor – Official Story Trailer - EA スター・ウォーズ公式 YouTube
The Star Wars Jedi: Survivor Team Drills Down Into Cal Kestis' Story - StarWars.com (アーカイブ)- アート・オブ・Star Wars ジェダイ:サバイバー
- スター・ウォーズ・エンサイクロペディア:スター・ウォーズ銀河総合ガイド
脚注[]
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 1.20 1.21 1.22 1.23 1.24 1.25 1.26 1.27 1.28 1.29 1.30 1.31 1.32 1.33 1.34 1.35 1.36 1.37 1.38 1.39 1.40 1.41 1.42 1.43 1.44 1.45 1.46 1.47 1.48 Star Wars ジェダイ:サバイバー
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4
Star Wars Jedi: Survivor - StarWars.com (アーカイブ)によると『Star Wars ジェダイ:サバイバー』は前作『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』の5年後の物語である。『スター・ウォーズ タイムライン』によれば『フォールン・オーダー』の時系列は14 BBYであるため、『サバイバー』の時系列は9 BBYということになる。
- ↑ 誤訳部分を訂正。原文は次の通り:「パイルーン・サルーンへようこそ。ゼルトロスを代表する最高の店だ」
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@EAStarWars(EA Star Wars) - X (旧Twitter). “Rumors run rampant in Pyloon’s Saloon. Have you investigated any of these? 👀 #StarWarsJediSurvivor”
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Star Wars Jedi: Survivor – Official Story Trailer - EA スター・ウォーズ公式 YouTube
- ↑
The Star Wars Jedi: Survivor Team Drills Down Into Cal Kestis' Story - StarWars.com (アーカイブ)