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「わたくしに言わせていただけるなら、議長に実権などございません。根拠のない汚職の容疑で告発され、威信は地に落ちております。実権を握っているのは官僚です」
―アミダラ女王に対し、パルパティーン議員[出典]

フィニス・ヴァローラム(Finis Valorum)は惑星コルサント出身の人間男性で、銀河共和国政治家。彼は名門ヴァローラム家に生まれ、共和国の衰退期に銀河元老院最高議長を務めた。ヴァローラムの時代、元老院は汚職と官僚主義に蝕まれ、最高議長の手に負えないところまで堕落しきっていた。

ヤヴィンの戦いの32前、ヴァローラムはトレード・フェデレーションによるナブー侵略事件を解決しようとしたが、有効な手立てを講じることができなかった。ナブーのパドメ・アミダラ女王は最高議長の対応に不満を持ち、不信任案を提出した。ヴァローラムが失脚した後、ナブー代表のシーヴ・パルパティーン元老院議員が新議長に選ばれたが、彼の正体は銀河帝国の創設を目論むシスの暗黒卿ダース・シディアスだった。パルパティーンはナブー危機を画策した黒幕で、この事件を利用してヴァローラムを議長の座から蹴落としたのである。

議長の座を失ってから10年が過ぎ、共和国と独立星系連合の間にクローン戦争が繰り広げられていた頃、ヴァローラムはジェダイ・オーダーの調査活動に力を貸した。ジェダイはマスターサイフォ=ディアスの死にまつわる真相を知りたがっていた。議長だった頃、ヴァローラムはパイク・シンジケートと呼ばれるスパイス商人の紛争を解決すべくサイフォ=ディアスに調停を依頼したことがあり、当時の出来事をグランド・マスターヨーダに説明した。その後の調査で、ジェダイはサイフォ=ディアスがクローン軍団を発注した後にシスの陰謀に巻き込まれ、パイク・シンジケートに暗殺されていたことを突き止めた。パルパティーンによって銀河帝国が創設された後も、コルサント市民の中にはヴァローラムの時代を懐かしむ人びとがいた。

経歴[]

共和国最高議長[]

「ヴァローラムは選挙に勝たなかった。ただ勝つことを許されただけだ。元老院のなかには、官僚的なあいまいな言葉や難解な手続きに簡単に巻き込むことができる議長を必要とするグループがいる。そのようにして法の抜け道や違法行為が見逃されてきたのだ」
ウィルハフ・ターキンに対し、ヴァローラム議長の再選について語るシーヴ・パルパティーン[出典]

フィニス・ヴァローラムは初代最高議長の血を引く名門一族ヴァローラム家のメンバーとして[7]銀河共和国首都惑星コルサントで生まれた。[1] 代々政治家を輩出してきた一族の出であるヴァローラムは、幼少期から最高議長のオフィスの座に就くべくして成長していった。[4] やがてヴァローラムは一族の名声が強い影響力を持つ政治の世界へ足を踏み入れ、銀河共和国の官僚となる。ヴァローラムはもともと最高議長カルパナの党派に行政官として仕えていた。この頃、惑星サラストにある飛行学校サラスト・セクター・スペースフェアラー・アカデミーで卒業式および任命式が開催され、ヴァローラム行政官はナブーシーヴ・パルパティーン元老院議員をはじめとする同じ党派の議員たちとともに式典に参加した。カルパナ議長の時代が終わった後、ヴァローラムは銀河元老院の新議長に選ばれた。[7] しかしヴァローラムの政権は共和国政府の肥大化した官僚主義によって毒され[3]、議長自身も根拠のない汚職容疑で告発された。[6]

Valorum-SWE

フィニス・ヴァローラム

パルパティーン議員によれば、ヴァローラム議長はコルサントの地下に広がる下層レベルの存在を気にかけておらず、地表より下など存在しないと考えることで現実から目を背けていた。[8] しかしヴァローラム議長の任期中、スパイス・ディーラーとして知られる犯罪者集団パイク・シンジケートがコルサントの下層レベルに危機をもたらし、大規模な犯罪者戦争を招きかねない事態に発展した。ドラッグを作るのに必要な生のスパイスの利権をほぼ完全に掌握していたパイクと交渉するため、ヴァローラム議長は犯罪者の裏社会に詳しいジェダイ・マスターサイフォ=ディアスに接触した。しかしヴァローラムは、サイフォ=ディアスと自身の補佐官であるシルマンをパイクの惑星オーバ・ディア派遣したことをジェダイ最高評議会には知らせなかった。元老院はパイクのような犯罪シンジケートと公式な交渉を行うことで彼らの活動を合法化してしまうことを恐れており、官僚内部にいる反対勢力の指導者にヴァローラム政権を揺るがすチャンスを与えたくなかったのである。[9]

オーバ・ディアに到着した後、サイフォ=ディアスはジェダイ評議会からフェルーシアの任務を与えられ、フェルーシアン部族のあいだに発生した紛争を調停するよう命じられた。ジェダイ・マスターとシルマン補佐官がオーバ・ディアを離れようとした時、シス卿ダース・タイラナスに雇われたパイクがサイフォ=ディアスのジェダイ・シャトルを撃墜した。サイフォ=ディアスは命を落とし、シルマンはパイクの囚人になった。ヴァローラムとジェダイは、サイフォ=ディアスとシルマンがフェルーシアで殺されたものと思い込んだ。[9]

人々の予想に反し、ヴァローラムは議長職に2期目の当選を果たした。表向きにはヴァローラムの政友として振る舞っていたパルパティーン議員(彼の正体はシスの暗黒卿ダース・シディアスで、密かにヴァローラムの失脚を画策していた)によれば、ヴァローラムが再選を果たせたのは、自由貿易などに関する法律の抜け穴を利用して利益を得ようと企むグループがそう望んだからに過ぎなかった。こうしたグループは、官僚的な表現や手続きに簡単に巻き込むことができる指導者を必要としていたのである。ヴァローラムが2期目に入ってわずか1で、コルサントの市民は彼が次期議長に残留することができるかを巡って賭けを始めていた。この頃からすでに、ヴァローラムに代わって新議長になる可能性が高い人物としてパルパティーンの名前が囁かれていた。またエリアドゥで開かれたサミットが失敗に終わった後、ヴァローラムはパルパティーンの息がかかったウィルハフ・ターキン総督によって調査を妨害され、名誉を傷つけられた。ターキンはパルパティーンのおかげでヴァローラム家の反対を乗り越え、エリアドゥの総督に就任した経緯があった。[7]

ヴァローラム政権の末期、ジェダイとシスが繰り広げた最後の戦争や銀河共和国設立から1,000年の平和が続いていることを祝う式典の準備が始まった。ヴァローラムのチームはイベントの祝賀ポスターのロゴ・デザインやアートワークの監修に時間を費やし、議長も自らデザインの調整に深く関与した。当時人気が落ち目で、世間からのイメージを気にしていたヴァローラムは、デザインが暖かすぎる、あるいは冷たすぎる、排他的すぎる、無目的すぎるなどさまざまな理由をつけ、実に250回に渡って修正案を却下した。結局、ヴァローラムはデザインをパルパティーン議員に一任することに決めた。パルパティーンのアイデアにより、ポスターには共和国最初の憲法の制定に貢献したことで知られる古代の法律家シストロス・ネヴェットが描かれることになった。その後、アーティストナヴィーラ・ベトゥインによってコンセプトとレイアウトが制作され、ダシラ・ドベックの手でポスター『千年紀式典へのご招待』が仕上げられた。[10]

政治的失脚[]

ヤヴィンの戦い32年前[11]、銀河共和国は辺境星系に対する交易路の課税を巡り大きな議論に直面した。[6] アウター・リムにおける輸送業を独占している[7] トレード・フェデレーションは、自分たちに有利な結論を出すよう元老院に働きかけるため、惑星ナブーをバトルシップで封鎖した。ナブー危機はヴァローラムを議長の座から引きずり下ろすためパルパティーン議員によって画策された陰謀であり[6]、エリアドゥにおける通商サミットもこの事件を早めるのに一役買っていた。[7] ナブーの民衆を外部から孤立させたこの事件によって、共和国は現状の元老院には解決することのできない政治危機に陥った。[6]

封鎖を解除すべく、ヴァローラムはジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンと彼のパダワンであるオビ=ワン・ケノービ特使としてナブーへ派遣し、トレード・フェデレーションのヴァイスロイヌート・ガンレイとの交渉に当たらせた。しかしフェデレーションはジェダイの暗殺を試み、交渉は始まる前に決裂してしまった。ジェダイを取り逃がしたフェデレーションは、ナブーへの侵略を開始した。ナブー人君主であるパドメ・アミダラ女王はクワイ=ガンとオビ=ワンの助けを借りてフェデレーションの拘束から逃れ、母星の窮状をヴァローラム議長と元老院に訴えるためコルサントにやってきた。アミダラのナブー・ロイヤル・スターシップギャラクティック・シティに到着した際、ヴァローラムはパルパティーンらとともに離着陸ベイで自らアミダラを出迎え、彼女から事情を聞くため元老院の特別議会を招集したことを知らせた。[6]

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アミダラ女王から不信任案を提出され、言葉を失うヴァローラム最高議長

ヴァローラムが統括した元老院特別議会は、故郷を救うため迅速な解決策を求めていたアミダラ女王の期待に応えるものではなかった。パルパティーン議員とアミダラ女王はナブーがトレード・フェデレーションの侵略を受けていると主張したが、フェデレーション代表のロット・ドッド議員がこれに反論し、何の証拠も無い言いがかりだと喚き立てた。ドッドが事実を確認するためナブーへ調査団を派遣するべきだと訴えると、マラステア議会を代表するアクス・モー議員もこれに同調し、まず委員会を設置するのが先決だと付け加えた。ヴァローラムは彼らの発言に答えようとしたが、マス・アミダ副議長に制止されて耳打ちの相談をした後、ドッドやモーの提案を受け入れることに決めた。しかしアミダラは動議の延長を認めず、パルパティーン議員にそそのかされ、ヴァローラムに対して不信任案を提出した。[6] ヴァローラムは知らなかったが、マス・アミダも密かにパルパティーンと結託していた。アミダは事態を収集できないヴァローラムが軟弱で無能なリーダーに見えることを承知していたのである。[4]

アミダラの動議により、ヴァローラムは議長の地位を失った。すぐにヴァローラムの後継者を決めるため選挙が行われ、パルパティーンとオルデランベイル・アンティリーズ、マラステアのエインリー・ティームが候補者となった。パルパティーンが予見していた通り、ナブーの侵略によって元老院の同情票が集まり、彼がヴァローラムの跡を継いで新しい最高議長になった。ヴァローラムと元老院の無力さに失望したアミダラ女王は選挙が終わらないうちにコルサントを去り、もともとヴァローラムの特使だったジェダイたちの助けを借りて自ら危機に終止符を打った。[6]

その後[]

ヴァローラム最高議長の任期途中での失脚、そしてナブーの解放は、輸送企業間のパワー・バランスに影響を与えた。トレード・フェデレーションはアウター・リムにおける輸送独占を失い、ヴァローラム家が所有するヴァローラム・シッピング社の威信も失墜した。その結果、エリアドゥ・マイニング・アンド・シッピング社を始めとするその他の企業が台頭することになった。[7]

Valorum Yoda The Lost One

クローン戦争中にヨーダと面会するヴァローラム

議長職を失った後も、ヴァローラムは引き続きコルサントに住み続けた。[9] パルパティーン議長の陰謀によって始まったクローン戦争のさなか[12]ジェダイ・オーダーはかつてサイフォ=ディアスが所有していたライトセーバーオーバ・ディアの月で発見した。サイフォ=ディアスがクローン・トルーパーを発注して共和国グランド・アーミー誕生に密かに関与していたことを突き止めていたジェダイは、彼の謎の失踪に関する調査を開始した。やがて彼らはオーバ・ディアの任務にまつわる情報ファイルがヴァローラム政権下で封印されていたことを突き止めた。ジェダイのグランド・マスターであるヨーダは、封印された任務の内容を直接確認するため、コルサントにある邸宅で旧友の前議長と面会した。ヨーダの要請に応じ、ヴァローラムはオーバ・ディアの秘密任務の詳細をこのジェダイ・マスターに語って聞かせた。その後、ジェダイのオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーが前議長の情報をもとにオーバ・ディアへ赴き、パイク・シンジケートの牢獄で生かされていたシルマンを発見した。しかしシルマンは口封じのため“ダース・タイラナス”ことドゥークー伯爵によって殺害され、シスはクローン軍団に関する秘密を守り抜いた。[9]

ヴァローラムを議長の座から追放することで自らその地位を掴んだパルパティーンは[6]、クローン戦争を利用してますます権力を拡大した。終戦時、パルパティーンはジェダイ・オーダーを滅亡させることに成功し、共和国を銀河帝国再編成して自らその皇帝となった。[13] 帝国時代、皇帝パルパティーンは公の場はおろか帝国元老院の会議にすらめったに姿を表さなくなったため、コルサントの市民の中には、話題の尽きなかったフィニス・ヴァローラム元議長を懐かしむ者まで出始めた。[7]

人物[]

「今回のことでは、誰もが胸を痛めております。あなたの話を聞くため、元老院の特別議会を招集しました」
―アミダラ女王に対し、ヴァローラム議長[出典]
Valorum Databank

フィニス・ヴァローラム最高議長

ヴァローラムは幼い頃からいつの日か共和国最高議長になるべくして人生を歩んだ。ひとたび議長の座を手に入れたあと、ヴァローラムは国家元首としての特権を存分に楽しんだが、こうした彼の姿勢は一般の投票者たちにはあまり人気がなかった。[4] ヴァローラムは善意の文官であり[3]、進歩主義的な外交官という側面も持ちあわせていたが[14]、彼の政権は汚職や共和国の複雑な官僚機構によって蝕まれた。[3] ナブー危機が発生した際、ヴァローラムはトレード・フェデレーションとナブーのあいだに生じた紛争を解決しようと試みたものの、官僚のせいで身動きが取れず、不信任決議によって議長職を失うことになった。[6]

フィニス・ヴァローラムは人間男性で、身長は1.7メートルだった。[4] ヴァローラムの肌は白く、は青で、ナブー危機当時は白くなっていた。[6]

技術と能力[]

「官僚の横槍です。共和国の真の支配者で、いわばトレード・フェデレーションの飼い犬です。これでヴァローラム最高議長の権威は型なしになりました」
―シーヴ・パルパティーン[出典]

ヴァローラムは良き政治家ではあったものの[3]、元老院が直面していた複雑かつ強力な官僚機構を制御することができなかった。[6] シーヴ・パルパティーンによれば、ヴァローラムが再選を果たすことができたのは、法律の抜け穴を利用して利益を得ようと企む者たちが、利用しやすい指導者を望んだ結果に過ぎなかった。[7] ヴァローラムは官僚を意のままに操ることこそできなかったものの、しばしば彼らに対処するため対策を講じることがあった。例えばパイク・シンジケートとの交渉をサイフォ=ディアスに任せた際、ヴァローラムと元老院の委員会は、パイクとのやり取りを公にすることで犯罪シンジケートの活動を合法化したり、対立する官僚の立場を強めることを危惧した。そのため、彼らはパイクとの会談を極秘扱いとし、ジェダイ最高評議会にも黙っていた。[9]

ナブー危機が発生した際、ヴァローラムはナブーの民が侵略にさらされ助けを待っているにも関わらず、トレード・フェデレーションの利権に配慮して問題をすぐに解決することができなかった。パルパティーンは官僚を制御することができないヴァローラム政権の弱さにつけこみ、アミダラ女王に不信任案を提出させ、ヴァローラムを議長のオフィスから排除することに成功した。[6]

制作の舞台裏[]

ヴァローラム最高議長は1999年公開のプリクエル・トリロジー第1作『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』で初登場を果たした。俳優はテレンス・スタンプ。スタンプはヴァローラムの役が単なるカメオ出演では無いと判断し、スター・ウォーズのクリエイターにして『ファントム・メナス』の脚本・監督であるジョージ・ルーカスと一緒に仕事をしたいと願っていたこともあり、キャスティングを引き受けた。彼はヴァローラムの全登場シーンをブルー・スクリーンの前で演じた。スタンプは役の準備に充分な時間を持てず、脚本を全て読むこともできなかったため、キャラクターの土台を十分に掴めていないと感じていた。役の人物像を理解してもらうため、ルーカスはヴァローラムをビル・クリントン大統領(当時)になぞらえ、“善人だが追い詰められている”人物だとスタンプに説明したという(ただしこれはクリントンがスキャンダルを起こして弾劾裁判にかけられる前のやりとりである)。

またのちにスタンプは『ファントム・メナス』のセットでの撮影があまり気分の良い経験ではなかったと表明している。彼は本作でナタリー・ポートマンと同じシーンに登場しているが、2人がセットで共演することは一度もなかった。[15]

Valorum TCW Concept Art

『失われた者』のために制作されたヴァローラムのコンセプト・アート(キリアン・プランケット画)

正史作品におけるヴァローラムの2つ目の登場作品はTVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズザ・ロスト・ミッションの第10話『失われた者』である。『クローン・ウォーズ』のアーティストであるキリアン・プランケットがアニメ版のキャラクター・デザインを手がけ、イアン・ラスキンが声優を担当した。ヴァローラムのフルネームは映画やアニメでは語られていないが、2014年にリリースされた公式アプリ『スター・ウォーズ ジャーニー1/ファントム・メナス』やジェームズ・ルシーノによる小説『ターキン』で紹介され、正史設定として扱われている。フルネームの初出はスター・ウォーズ レジェンズの作品であり、ルシーノが2001年に手がけた小説『偽りの仮面』でも使われている。

登場作品[]

参考資料[]

脚注[]

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