カイロ・レン(Kylo Ren)は人間の男性で、ジェダイ・マスター・ルーク・スカイウォーカーのもとで訓練を積み、のちにファースト・オーダーの最高指導者スノークの弟子となったフォース感応者である。彼はプリンセス・レイア・オーガナとハン・ソロ将軍の息子で、もともとベン・ソロ(Ben Solo)という名前だった。5 ABY、エンドアの戦いの1年後、ベンは惑星シャンドリラで生まれた。両親が多忙なせいで孤独感を抱きながら幼少期を過ごしたベンは、最高指導者スノークによってフォースのダークサイドに誘惑された。レイアは双子の兄ルークが息子を正しい道へ導いてくれることを期待したが、ベンは実のおじを裏切り、新世代のジェダイ訓練生たちを虐殺してジェダイ・オーダー再建の試みを挫いた。ベンはレン騎士団の一員“カイロ・レン”を名乗るようになり、ファースト・オーダーの将校からはジェダイ・キラー(Jedi Killer)とあだ名されていた。カイロは祖父にあたるシスの暗黒卿ダース・ヴェイダーを崇拝しており、かつてヴェイダーが成し遂げられなかったジェダイの大粛清を、自分の手で終わらせたいと願っていた。カイロはファースト・オーダーの神秘主義的な側面を象徴する存在で、科学とテクノロジーを信奉するアーミテイジ・ハックス将軍とはライバル関係にあった。カイロはファースト・オーダー軍の正式な指揮系統には属していなかったが、ハックス将軍やキャプテン・ファズマと並び、軍隊の非公式なトップ3と目されていた。
カイロに裏切られた後、ルークは表舞台から姿を消して最初のジェダイ・テンプルを探す旅に出た。ファースト・オーダーはルークの行き先である惑星オク=トーの地図の一部を旧銀河帝国のアーカイブから手に入れていたが、彼の居場所を突き止めるには情報が足りなかった。34 ABY、カイロはフォースの教会の信徒ロア・サン・テッカが所有している地図の断片を手に入れるため、砂漠の惑星ジャクーを訪れた。しかし、地図はファースト・オーダーの敵対勢力レジスタンスの手に渡ってしまった。レジスタンスを率いるレイアは、ダークサイドに立ち向かうためファースト・オーダーよりも先に双子の兄を見つけ出そうとしていたのである。地図を強奪するためタコダナを襲撃した際、カイロは地図の内容を知るフォース感応者の女性レイを捕まえた。カイロはレイをスターキラー基地へ連れていき、フォースで精神を探って地図の情報を手に入れようとしたが、彼女はカイロの力に抵抗し、自力で拘束を解いて脱走する。その直後、レジスタンス軍によるスターキラー基地攻撃作戦のさなかに、カイロはハン・ソロと再会した。彼はライトサイドの誘惑を断ち切るため実の父親を手にかけ、森の中で元ストームトルーパーのフィンと対決した。彼はフィンにライトセーバーで重傷を負わせたが、レイの反撃によって自らも負傷し、彼女たちを取り逃がしてしまう。一方、スターキラー基地が崩壊寸前であることを知ったスノークは、カイロの訓練を完了させるため、彼を自分のもとへ連れてくるようハックス将軍に命じた。
経歴
誕生以前
- 「過去は葬ってしまえ。必要とあれば殺してでも」
- ―カイロ・レン[出典]
カイロ・レンは本人が生まれる以前から、過去の時代の人々のフォース・ヴィジョンに登場していた。[10] カイロ・レンの祖父であり、かつてジェダイ・ナイトのアナキン・スカイウォーカーとして知られたシスの暗黒卿ダース・ヴェイダーは[3]、モミン卿によって築かれた惑星ムスタファーのフォートレス・ヴェイダーでヴィジョンを経験した際、ほかの様々な人の声に混じって「過去は葬ってしまえ」(Let the past die)というカイロ・レンの言葉を聞いた。[10] またジェダイ・パダワンのエズラ・ブリッジャーが“はざまの世界”と呼ばれる異次元の領域に足を踏み入れた際にも、他の人々に混じってカイロの声が彼の耳に響いた。[11]
生い立ち
ベン・ソロ、のちのカイロ・レンは、5 ABY(エンドアの戦いの1年後)に惑星シャンドリラの首都ハンナ・シティで生まれた。彼が生まれた日、新共和国と銀河帝国のあいだに銀河協定が締結され、銀河内戦に正式に終止符が打たれた。[1] ベンの両親は、銀河内戦で帝国と戦い、共和国再建のための同盟(反乱同盟)を勝利へ導いた英雄プリンセス・レイア・オーガナとハン・ソロ将軍である。またベンの祖父はジェダイ・ナイトのアナキン・スカイウォーカーであり、帝国時代にはシス卿“ダース・ヴェイダー”として皇帝ダース・シディアスに仕えた。ヴェイダーは実の息子(ベンのおじ)ルーク・スカイウォーカーの説得でダークサイドを放棄し、エンドアの戦いで皇帝を倒し、自らも命を落とした。[12]
レイアはまだベンがお腹の中にいるときから、その存在をフォースを通して感じ取っていた。彼女は胎児の存在を光の帯のようなものとして感じていたが、ときどきその光は陰り、闇に蝕まれることもあった。レイアが無事にベンを産んだ後、出産には3日もかかっただとか、逆に無痛であっという間だった等、互いに矛盾する噂が広まった。中には、ベンが生まれた時からもじゃもじゃの黒い髪を持ち、歯も生え揃っていたという噂すらあった。ハン・ソロは妻と子と違ってフォースとの繋がりを持っていなかったが、ベンとの間には親子としての絆があると考えて自分を慰めた。[1] 幼い頃、ベンはハンが故郷コレリアにいた頃から所有している黄金のダイスをお気に入りのおもちゃにしていた。[13] またベンはハンの旧友であるランド・カルリジアンにもよくなついていた。[14]
ベンという名前は、ジェダイ・マスター・オビ=ワン・ケノービが惑星タトゥイーンで隠遁生活を送っていた頃に使っていた変名“ベン・ケノービ”に由来する。ジェダイの大粛清を生き延びたオビ=ワンは、ルークを弟子とした後、ルークとレイアをデス・スターから逃がすため0 BBYに命を落とした。[15] またソロという姓は父親から受け継いだものであるが、これはそもそも13 BBYにハンがパイロットになるため帝国アカデミーに志願した際、新兵徴募将校のドロード・マンブリンから与えられた名前である。[16]
ベンが若い頃、彼の両親は帝国との戦いを終えてそれぞれ異なる仕事に打ち込んでいた。同盟軍に加わる前は密輸業者だったハン・ソロは、ひとところに留まることができず、銀河系各地を転々とした。レイアは新共和国で尊敬を集める元老院議員となった。[9] エンドアの戦い後に設立された新共和国は、ベンが生まれた頃にジャクーの戦いで帝国を完全に破り、名実ともに銀河系の新政府となった。[17] ソロとオーガナは性分の違いのせいで衝突しがちで、多忙な生活を送っていたため、ベンは孤独感を抱きながら幼少期を過ごした。
ジェダイの訓練
- 「長い間、バランスは保たれていた。そのとき、わたしはベンを見た。強力なスカイウォーカーの血を引くわたしの甥を。わたしは傲慢にも、彼を訓練し、自分の力を伝えることができると考えたのだ。ハンはいかにもハンらしい態度をとった。だがレイアはわたしを信頼し、息子を任せてくれた。わたしは彼と12人の弟子をとり、寺院で訓練を始めた」
- ―ルーク・スカイウォーカー[出典]
母親や祖父と同じく、ベンも生まれついてフォースの感応能力を備えていた。[3] 幼いころ、ベンは自分がシスの暗黒卿ダース・ヴェイダーの孫であることを知らずに育った。スカイウォーカー家にまつわる真実、ヴェイダーの正体がアナキンであることを知っていたのは、ベンの両親とレイアの双子の兄であるルーク・スカイウォーカーだけだった。レイアはベンが適切な年齢になるまで真相を黙っておくことに決めたが、息子が23歳になった時点でまだ秘密を明かせずにいた。それでもレイアはいつの日か息子に本当のことを話したいと考えており、ヴェイダーが最期の瞬間にライトサイドに帰還してアナキン・スカイウォーカーとして死んでいったことを、ルークの口から説明してもらいたいと願っていた。[9]
ベン・ソロはやがてスノークという名の謎多きダークサイドのマスターに目をつけられた。[18] 銀河帝国の没落をその目で見てきたスノークは、ファースト・オーダーと呼ばれる軍事政権を最高指導者として指揮していた。銀河内戦終結後、帝国軍の残存勢力は銀河系の未知領域へと撤退し、帝国の思想を受け継ぐ新勢力を築き上げていたのである。スノークはベンの中に眠るフォースの潜在能力に気づき、強力なスカイウォーカーの血を引く彼こそ、フォースのライトサイドとダークサイドの焦点となる存在、フォースの戦士の理想を体現する存在だと考え、自分の弟子にしようと企んだ。[19] レイアはベンがスノークに狙われていることを知り、彼をダークサイドから遠ざけようとした。そこで彼女はルークに息子を預けることに決めた。[20] ベンとダース・ヴェイダーに共通点を見出していたレイアは、ルークの訓練が彼を正しい方向へ導いてくれることを期待していたのである。[3]
ベンは23歳以前にルークの弟子となり、新世代のジェダイの一員としてフォースの訓練を開始した。[9] ルークはもともとジェダイ・オーダーを再建する気などなく、ジェダイが復活しなくとも銀河系のバランスは保たれていると考えていた。しかしルークはベンに可能性を見出したことで考えを改め、甥を訓練すれば、自分の力を伝えることができるかもしれないと思い至った。ベンは他の12人の弟子とともにルーク・スカイウォーカーのジェダイ・テンプルで修行を積んだ。この間に、ベンは青いブレードを発するライトセーバーを自らの手で制作し[21]、やがて優れたライトセーバーの使い手となった。[19]
28 ABY、オルデランやアケニスの探検家によって入植されたインナー・リムの惑星ビレンで、最高位総督として星を統治していたメロウィン卿が死去した。レイアは存命の人物の中でメロウィン卿ともっとも近しい親戚だったが、総督位を継ぐことに興味がなく、いずれは自分の息子も同じことを考えるだろうと判断し、継承を辞退した。そのため称号はアケニスのレディ・カリース・シンディアンによって受け継がれた。それから間もなく、レディ・シンディアンの陰謀によって、銀河元老院でダース・ヴェイダーの正体が公表された。シンディアンが最高位総督になったとき手に入れた遺産の中に、本来レイアの手に渡るはずだったベイル・オーガナ(レイアの義父)のメッセージが含まれていたため、思わぬところから秘密が漏れてしまったのである。ベンに自分の口から真実を打ち明けていなかったレイアは、息子が公の報道で真実を知ったときにどんな反応をするだろうかと心配した。[9]
ダークサイドへの転向
- 「おれたちには止められなかった。あいつの中にいるヴェイダーはあまりにも強力だった」
「だからこそルークのもとで修行させたのよ。行かせるべきではなかった。あのとき、私はあの子を失ったのよ。そしてあなたも」 - ―ハン・ソロとレイア・オーガナ[出典]
やがてベンはおじを裏切り、フォースのダークサイドへ転向した。彼はルークによるジェダイ・オーダー再建の試みを挫き、彼のジェダイ・テンプルを破壊する。最高指導者スノークの弟子となり、レン騎士団のメンバーに加わったベン・ソロは、新たに「カイロ・レン」という名を名乗り始めた。[3] 最高指導者のもとで訓練を積んだことによって、「ベン・ソロ」はカイロ・レンの人生において遠い昔の記憶以外のなにものでもなくなった。スノークの最も優秀な弟子だったカイロ・レンは、シスの没落によって生じた空白を埋める新世代のダークサイド戦士として台頭する。[19]
カイロ・レンの裏切りは彼の家族に大きな傷跡を残した。ジェダイ・オーダーの再建に失敗したルークは、表舞台から姿を消して隠遁生活を送った。ルークと特に親しい人々は、彼が最初のジェダイ・テンプルを探しに行ったのだと信じていた。[3] 実際、ルークは惑星オク=トーで最初の寺院を見つけ出していた。[20] ハン・ソロとレイア・オーガナ夫妻は別居生活をはじめ、ソロはウーキーの相棒で一等航海士のチューバッカとともに密輸活動を再開した。[3] 28 ABYの事件を期に新共和国元老院を離れていたレイアは[9]、将軍として私設軍隊レジスタンスを指揮し、ファースト・オーダーの脅威に立ち向かった。 ハンはベンの中にいるダース・ヴェイダーの存在があまりにも強すぎたせいで、自分たちの息子は永遠に失われてしまったのだと嘆いたが、レイアは希望を捨てておらず、息子にはまだ善の心が残っているはずだと信じていた。[3]
最高指導者スノークの命令により、カイロ・レンの本名が口にされることはなくなった。カイロはライトサイドの誘惑を退けるため自分の過去を捨て去ろうともがき、自分には銀河系の弱者を支配する権利があるのだと信じ込んだ。彼はレン騎士団の戦闘ギアの形態を取り入れたヘルメットを作り、素顔を隠すのと同時に、見る人々をすくみあがらせた。カイロがジェダイ・オーダーの復活を阻止したことを知っているファースト・オーダー軍の将校たちは、彼のことを影で「ジェダイ・キラー」とあだ名していた。[19]
ライトサイドの誘惑を捨て去りたいという願望は、カイロ・レンが自分の血筋をどう受け止めているかということの表れでもあった。カイロは祖父のダース・ヴェイダーを崇拝し、暗黒卿の遺産であるヘルメットの残骸を手に入れて保管していた。[3] ヴェイダーはライトサイドに再転向してアナキン・スカイウォーカーに戻ったにも関わらず、カイロとスノークは“ダース・ヴェイダー”こそアナキンの真の姿だと考えており、ダークサイドを捨てたのは彼のたった一度の、かつ最後の致命的な過ちだと信じていた。[20] カイロはかつてヴェイダーが開始し、最後までやり遂げることができなかったジェダイの大粛清を自分の手で終わらせたいと願っていた。[3]
カイロ・レンは自ら製作したカスタム・ライトセーバーを携帯していた。カイロの武器に取り入れられていたクロスガード設計には古い歴史があり、何千年も昔、惑星マラコアでジェダイとシスの“大戦乱”が繰り広げられていた時代に使われていたものだった。カイロのライトセーバーに内蔵されたカイバー・クリスタルにはヒビが入っており、武器から発生する不安定なパワーをかろうじて抑制していた。カイロはクロスガード型の設計によってヒビの入ったクリスタルから放たれる過剰なエネルギーを左右に逃し、エネルギーのバランスをとっていたのである。彼のセーバーからは燃えるような赤いプラズマの刃が放出された。[19]
カイロ・レンは最高指導者スノークの弟子だったため、ファースト・オーダーの権力構造の中で特に大きな影響力を握っていた。カイロはスノークから直接指示を受けて行動し、軍隊の将校に対する指揮権も持っていたが、ファースト・オーダー軍の公式な指揮系統には属していなかった。カイロの任務は軍隊の他の作戦よりも優先されることから、彼がファースト・オーダーの上級将校と話し合うときには、常に一触即発の緊張感が走った。かつてダース・ヴェイダーが軍人でないにもかかわらず旧銀河帝国の軍隊を自由に指揮していたように、ファースト・オーダーにおけるカイロの位置づけは、帝国におけるヴェイダーのそれと意図的に似せられていた。カイロとアーミテイジ・ハックス将軍の間には特に緊迫したライバル意識が存在し、最高指導者スノークの関心を引いて認められようと互いに争っていた。ハックスはファースト・オーダーが開発した星系破壊超兵器、“スターキラー基地”の指揮官だったが、カイロは彼のことを戦士として全く尊敬していなかった。ハックスは完璧かつ複雑な戦闘シミュレーションを作り上げていたが、彼の戦闘経験はすべて理論上のものだったのである。科学とテクノロジーを信奉していたハックスは、カイロが象徴しているファースト・オーダーの神秘主義的な側面に対する理解や忍耐力を持ち合わせていなかった。カイロ・レン、ハックス将軍、ストームトルーパー部隊の指揮官キャプテン・ファズマは、ファースト・オーダーの軍隊において非公式のトップ3と呼べる存在だった。[19]
スカイウォーカー捜索
ジャクーの任務
- 「ファースト・オーダーはダークサイドから生まれた。お前は違う」
「ダークサイドを見せてやろう」
「やってみろ。だが、お前の本来の血筋を否定することはできない」
「その通りだ」 - ―ロア・サン・テッカとカイロ・レン[出典]
カイロ・レンと最高指導者スノークは、もしルーク・スカイウォーカーとジェダイが再び銀河に戻れば、ファースト・オーダーの未来にとって大きな脅威になると考えていた。34 ABY、ファースト・オーダーはルークの居場所を突き止めるため、彼の行き先である最初のジェダイ・テンプルの場所を記した地図を探し求めた。ファースト・オーダーは銀河帝国のアーカイブから部分的な地図を手に入れていたが、パズルを完成させるには、フォースの教会の信徒ロア・サン・テッカが所有する断片を回収する必要があった。ルークやレイアの古い知り合いで、幼少期のカイロ・レンとも面識のあるテッカは、ウエスタン・リーチの惑星ジャクーの聖なる村トゥアナルで他の信徒とともに禁欲的な生活を送っていた。ジェダイの遺物を求めて各地を旅して回った経験のあるテッカは、フォースのバランスを取り戻すにはジェダイの存在が不可欠だと信じていた。カイロはリサージェント級スター・デストロイヤー<ファイナライザー>に乗ってジャクーへ赴き、ユプシロン級のコマンド・シャトルでトゥアナル村へ降りた。[3]
キャプテン・ファズマのストームトルーパー部隊が村を制圧し、フォースの教会の信徒たちを一箇所に集めて包囲した後、カイロは戦場に到着してテッカと対面した。年老いた銀河探索者は地図のありかを明かすことを拒否し、“カイロ・レン”と名乗ったところで自分の血筋を否定できるわけではないとダークサイドの戦士に告げた。カイロがテッカをライトセーバーで斬り殺した直後、近くに隠れていたレジスタンス・パイロットのポー・ダメロン中佐がカイロに向けてブラスターを発射した。しかしカイロは即座にフォースでビームを空中に固定し、ストームトルーパーにダメロンを拘束させる。このパイロットは地図を持っていなかったが、カイロは彼が何かを知っているに違いないと判断し、<ファイナライザー>で尋問することに決めた。一部始終を目撃した村人たちは、カイロの命令でストームトルーパーに虐殺された。村を立ち去るためシャトルに乗り込む直前、カイロはストームトルーパーのFN-2187が村人への攻撃をためらい、銃を下ろして立ちすくんでいることに気づいた。[3]
レイア・オーガナ将軍の命令でジャクーにやってきたポー・ダメロンは、自身のアストロメク・ドロイドBB-8に地図を託し、トゥアナルから脱出させていた。[3] カイロは囚人から情報を聞き出す際に使う尋問用の椅子(旧銀河帝国の尋問官が使っていた装置をもとに作られていた[19])にダメロンを拘束し、拷問を開始した。彼がレジスタンスで最も優秀なパイロットであることは判明したものの、ファースト・オーダーのスタッフではそれ以上の情報を引き出すことはできなかった。カイロはこの囚人を一対一で尋問することに決め、フォースを使って精神に働きかけることで無理やり地図のありかを喋らせた。その結果、地図を託されたBBシリーズ・アストロメク・ドロイドはまだジャクーのどこかにいることが判明する。カイロから報告を受けたハックス将軍は、砂漠の惑星に捜索チームを派遣した。その後、ダメロンはファースト・オーダーからの離反を決意したFN-2187によって解放され、2人で特殊部隊用TIEファイターを奪って<ファイナライザー>から逃亡した。艦のブリッジでこの事件を知らされたカイロは、囚人の逃亡に手を貸した裏切り者が、トゥアナル村にいたFN-2187であることにいちはやく気づいた。ダメロンとFN-2187の乗るTIEファイターは逃亡中に撃墜され、ジャクーの砂漠へと墜落する。[3]
ハックス将軍は、ダメロンとFN-2187が再びジャクーに戻ろうとしたのはドロイドを見つけるためであると気づき、レジスタンスを出し抜くため中隊を差し向けた。ハックスから報告を受けた最高指導者スノークは、可能であればBBユニットを捕らえ、それが無理ならば破壊もやむを得ないと将軍に指示した。ハックス指揮下のトルーパーが重大な反逆行為を犯したことに不満を抱いていたカイロは[3]、最高指導者が銀河共和国や初期の帝国と同じように[22] ファースト・オーダーもクローン兵士を使うことを考慮すべきだと発言した。するとハックスはカイロが自分のやり方に口を出す権利はないと反論し、ルーク・スカイウォーカーの地図に固執しすぎて最高指導者の命令の邪魔をすることのないよう警告した。[20]
一方、FN-2187(彼はダメロンから“フィン”という名前を与えられた)はTIEファイターがゴアゾン荒地に墜落した際にダメロンと離ればなれになり、1人で入植地ニーマ・アウトポストに辿りついた。彼はそこでゴミ漁りの少女レイやBB-8と出会い、成り行き上一緒にファースト・オーダーから逃走することになった。3人はジャンク・ボス・アンカー・プラットが所有していたYT-1300軽貨物船<ミレニアム・ファルコン>(かつてはカイロの父親ハン・ソロの持ち船だった)を盗み、宇宙船の墓場で追っ手のTIEファイターを倒した後、ジャクー星系から逃げ去っていった。その後、<ファイナライザー>の艦内にて、カイロはBBユニットがコレリアン製貨物船に乗って逃亡したことをドフェルド・ミタカ中尉から知らされた。FN-2187がドロイドを手助けしたことを知ったカイロは、怒りのあまり我を忘れ、目の前にあったコンピューター端末をライトセーバーで破壊した。また、ミタカが地元民とおぼしき若い女性も事件に関与していたと付け加えると、カイロはフォースを使って若い中尉を乱暴に引き寄せ、その女に関してわかっていることをすべて話すよう命じた。[3]
タコダナの戦い
- 「われわれが捜しているドロイドは<ミレニアム・ファルコン>に乗っている。お前の父親、ハン・ソロと一緒だ」
「奴など、わたしにとってなんの意味もありません」
「レン騎士団のマスターであるお前とはいえ、これほどの試練に直面したことはなかろう」
「あなたに鍛えられたおかげで、迷いはありません」
「いずれ分かる。いずれな」 - ―スノークとカイロ・レン[出典]
BB-8を取り逃がした後、<ファイナライザー>はスターキラー基地に帰還した。カイロとハックスはスターキラー基地の中央コントロール・センターにある大きな会議室にて[20]、最高指導者スノークの巨大なホログラムと会話した。ジャクーの任務が失敗に終わったことを知ったスノークは、レジスタンスがルークの地図を手に入れ、新しいジェダイが立ち上がる可能性を危惧していた。するとハックスは、使用準備が整ったスターキラー基地の超兵器を起動し、新共和国の本部に攻撃を仕掛けてはどうかと提案した。ハックスは突然の攻撃によって銀河に混乱を巻き起こせば、レジスタンスも馬脚を現すだろうと考えたのである。最高指導者は将軍の提案を受け入れ、さっそく必要な準備に取り掛かるよう命じた。ハックスが会議室から去った後、スノークとカイロはフォースの覚醒について話し合った。[3] ルークのジェダイが滅びて以来、宇宙のフォースは活動を休止して沈黙したかのように思われていたが、ジャクーの事件と時を同じくして再び乱れが生じ、新しい能力の覚醒を告げたのである。[19] また、スノークはBB-8が現在ハン・ソロの宇宙船<ミレニアム・ファルコン>に乗って逃亡していることを弟子に教えた。カイロはハン・ソロと相対しても動じることはないと宣言したが、スノークは実の父との対決はカイロにとって最大の試練になるだろうと語った。[3]
スノークの前で心に迷いはないと宣言したものの、カイロはライトサイドの誘惑を感じていた。[3] <ファイナライザー>の艦内にある私室に戻ったカイロは[19]、かつてダース・ヴェイダーのものだったマスクの残骸に話しかけ、光の誘惑を感じてしまったことを告白し、ダークサイドの導きを求めた。カイロは実の祖父にあたる暗黒卿に、彼が一世代前に始めたことを自分が終わらせると誓った。[3]
その後、ファースト・オーダーはソロ、レイ、フィン、BB-8が惑星タコダナにある海賊マズ・カナタの古城を訪れていることを突き止めた。ソロはカナタにBB-8をレジスタンス基地へ届ける役目を頼みたいと考えていたのである。ファースト・オーダーによるタコダナ襲撃が始まる直前、ハックス将軍はスターキラー基地の超兵器を起動し、新共和国の首都惑星ホズニアン・プライムに砲撃を行った。[3] カイロはスターキラー基地から放たれたファントム・エネルギーがホズニアン星系へと突き進んでいくさまを[20] <ファイナライザー>のブリッジから見守った。[3] サブ=ハイパースペースを抜けてホズニアン星系に到達したファントム・エネルギーは、新共和国の首都を直撃し、コアを爆発させて惑星を小型の新星に変化させた。ホズニアン星系は新共和国防衛艦隊もろとも破壊され、レジスタンスは攻撃の出どころを探るため即座に偵察機を送り出した。[20]
新共和国に壊滅的なダメージを与えた後、カイロは部隊を率いてタコダナへ向かい、カナタの城を襲撃した。ソロ、フィン、BB-8は一時的にファースト・オーダーのストームトルーパーによって拘束されたが、ポー・ダメロン率いるレジスタンスのスターファイター隊が戦場に駆けつけ、彼らを救出した。その頃、カイロは古城の近くにある森のなかで、ひとりきりになっていたレイを追い詰めた。レイはブラスター・ピストルの引き金を引いたが、カイロはライトセーバーでビームを偏向し、フォースを使って彼女の動きを封じた。レイの心の中を探ったカイロは、彼女がルーク・スカイウォーカーの地図を見たことを知り、もはやBB-8を捕まえる必要はないと判断した。彼はこのゴミ漁りの少女をフォースで気絶させてコマンド・シャトルに運び込み、部下にタコダナからの撤退を命じた。[3]
カイロはレイをスターキラー基地へ連れていき、尋問用の椅子に拘束した。目を覚ましたレイが仲間たちの安否を尋ねたとき、カイロはあえて嘘はつかず、自分は何も知らないと正直に告げた。カイロが自分に向けられる殺意について指摘すると、彼女はマスクをつけた怪物に追い回されれば誰だって殺したくなると答えた。するとダークサイドの戦士はマスクを外して素顔をあらわにし、あらためてドロイドの情報を尋ねた。技術的なスペックを列挙して答えをはぐらかそうとするレイを遮り、カイロはBBユニットが運んでいた情報、ルーク・スカイウォーカーの居場所を示す地図が重要なのだと告げる。彼女があくまで答えるのを拒んだため、カイロは再びフォースを使ってマインド・プローブを行った。最初、彼はレイの心のなかに孤独と恐怖心を見出し、次に海と島を見た。また、カイロは彼女がハン・ソロを父親のように思っていることを知り、彼を慕ったところで失望するだけだと警告した。ここまできてレイはしだいに精神探査に対する抵抗を強めていき、カイロの侵入を寄せつけなくなった。最終的に彼女は逆にカイロの心の中を読み、彼が抱いている恐怖、ヴェイダーのように強くなれないのではないかという恐れを言い当てた。カイロは衝撃のあまり何も言い返すことができず、唖然としながら尋問室を後にした。[3]
父親との再会
- 「お前の息子は死んだ。父親と同じく、弱虫で愚かだった。だから俺が滅ぼした」
「スノークがお前にそう信じ込ませた。だがそれは真実ではない。俺の息子はまだ生きている」 - ―カイロ・レンとハン・ソロ[出典]
カイロはスノークのホログラムと一対一で会話し、フォース感応能力を持つゴミ漁りの件を報告した。スノークはたかが小娘が精神探査に抵抗したことに懐疑的だったが、カイロは彼女が強い力を備えており、本人もまだそのことに気づいていないと語った。最高指導者がBBユニットの件を尋ねたとき、ハックス将軍がカイロの背後から入室し、カイロがタコダナで犯した過ちを告げ口した。カイロは女さえ捕まえればドロイドは必要ないと考えたのだと釈明したが、最高指導者は地図がレジスタンスの手に渡ってしまった状況を懸念し、即座に対応策を講じる必要があると判断した。スノークはレジスタンス基地のある惑星ディカーに対して超兵器を使用するようハックス将軍に命じる。ホズニアン・プライムを破壊した後、ハックスはレジスタンスの基地がイリーニウム星系にあることを突き止めていたのである。[3] ハックスはイリーニウム星系全体を破壊する必要性を疑い、カイロも今一度レイの尋問をしたいと申し出たが、最高指導者は2人の提案を却下し、レジスタンスの重要人物が一箇所に集まっていると思われる今しかチャンスはないのだと告げた。ハックスが命令を実行に移すため退室した後、スノークはレイを自分のもとへ連れてくるようカイロに命じた。[20]
しかし、レイは既に尋問室から脱出していた。自らに備わっているフォースの力に気づいた彼女は、見張りのストームトルーパーをマインド・トリックで欺き、拘束を解かせたのである。カイロは怒りのあまりライトセーバーを起動して尋問室の設備を破壊したが、間もなく落ち着きを取り戻し、ストームトルーパーに基地内をパトロールさせた。部下の将校に格納庫の封鎖を命じたとき、カイロはフォースを通して父親の存在を間近に感じとる。このとき、ハン・ソロはスターキラー基地の惑星シールドを解除するためチューバッカやフィンとともに施設内に忍び込んでいた。彼らがキャプテン・ファズマを脅迫して惑星シールドを解除させた直後、ダメロン率いるレジスタンスのスターファイター隊がスターキラー基地への奇襲を開始する。一方、ソロのチームは施設内でレイと合流し、スターファイター隊の手助けをするために基地の弱点であるサーマル・オシレーターに潜入した。彼らはパイロ・デントン爆弾を使ってオシレーターの外殻を吹っ飛ばし、スターファイター隊の突破口を開くつもりだった。侵入者の意図を察知したカイロは、ストームトルーパーにオシレーター内を捜索させ、自らも1人で父親の姿を探した。[3]
広大な吹き抜けの空間に架けられた通路を歩いていたとき、カイロは背後にいるソロから「ベン」という名で呼び止められた。吹き抜けを見渡す上層階にいたチューバッカ、フィン、レイ、ストームトルーパー数名がこの状況に気づいたが、2人の邪魔をする者はひとりもいなかった。スターキラー基地に来る前、ソロは息子をファースト・オーダーから取り戻すとオーガナに約束していた。カイロは息子の顔が見たいというソロの要求に応じてマスクを外したが、ソロの“息子”は自分自身の手で葬り去ったと言い放った。しかしソロはカイロのもとへ歩み寄り、ベン・ソロが死んだというのはスノークの嘘だと語りかけ、彼の力を利用しようとしているだけの男を信じてはならないと告げる。カイロは一緒に家に帰ろうと誘いかけてくる父親の言葉に動揺して涙を流し、本当は苦痛から逃れたかったが、そうする勇気がなかったと告白した。自分を助けるためなら何でもすると語る父親に、カイロは腰に下げていたライトセーバーを差し出した。ソロはセーバーを掴んだが、カイロは手を離さず、2人はしばらく身動きせずに見つめ合った。このとき、スターキラー基地が太陽エネルギーの充填を完了し、オシレーター施設に差し込んでいた光も消えた。次の瞬間、カイロはライトセーバーを起動してソロを突き刺し、感謝の言葉を告げた。致命傷を負ったソロは、最期の瞬間に息子の頬をなで、眼下に広がるオシレーターの深奥へと落下していった。[3]
上階から一部始終を見守っていたチューバッカは激怒の咆哮を上げ、ボウキャスターでカイロの腹部を撃ち抜いた。ストームトルーパーはすぐに侵入者に応戦したが、チューバッカがオシレーター各地に仕掛けた爆弾のスイッチを入れ、多数の兵士が爆発で命を落とした。オシレーター施設の一部が崩れ始める中、カイロは施設の上階から外へ逃げようとしていたフィンやレイと一瞬目が合い、脇腹の負傷に耐えながら彼らを追跡した。一方、ポー・ダメロン率いるスターファイター隊は、チューバッカの爆弾によってオシレーターの外殻に亀裂が生じたのを見逃さず、施設内への直接攻撃を試みた。[3]
森林の決闘
フィンとレイは<ミレニアム・ファルコン>へと急いだが、カイロはオシレーターの外に広がる森のなかで2人の行く手を阻んだ。カイロはライトセーバーを起動し、チューバッカのボウキャスターにやられた傷の痛みに耐えながら、ハン・ソロが死んだ今2人を救ってくれる者はいないと言い放った。レイはブラスターに手をかけたが、カイロは彼女をフォースで投げ飛ばし、後ろの木にぶつけて気絶させた。1人でダークサイドの戦士と戦うことになったフィンは、かつてアナキンやルーク・スカイウォーカーの所有物だったライトセーバーを起動する。フィンはタコダナでマズ・カナタからこのライトセーバーを受け取ったのである。カイロはその武器は自分が持つべき物だと宣言し、ストームトルーパーの裏切り者と激しく切り結んだ。カイロは傷の痛みに苦しみながらも優位に立ち、鍔迫り合いのさなかにクロスガード型のブレードでフィンの肩に傷を負わせた。カイロはフィンの反撃で腕を斬りつけられたが、最終的に敵の手からライトセーバーを払い飛ばすことに成功する。無力になったところを背中から斬られたフィンは、意識を失って倒れ込んだ。カイロは自分のライトセーバーのスイッチを切り、地面に落ちたフィンのセーバーをフォースで手元に引き寄せようとした。しかし、セーバーは弧を描いてカイロの脇を通り過ぎ、カイロの後ろに立っていたレイの手の中に収まった。[3]
カイロとレイはそれぞれライトセーバーを起動し、対決に臨んだ。レイはライトセーバーで戦うのは初めてだったが、ダークサイドの戦士と一進一退の戦いを繰り広げた。この時、スターキラー基地はオシレーターの爆発によって不安定になり、カイロたちの足元も大きく揺れて崩れ始めた。カイロは地割れによって生じた崖の端にレイを追い詰め、自分なら彼女にフォースの使い方を教えてやれると語りかけた。ところがレイはフォースという言葉を聞いて落ち着きを取り戻し、カイロのセーバーを防ぎながらしばらくのあいだ目を閉じた。目を開いたレイはそれまでにない激しさで反撃に転じ、カイロは防戦一方に追いやられる。彼は最終的にライトセーバーを取り落とし、顔面に切り傷を負った。[3]
カイロは武器を失って倒れたが、足元の地面が割れてレイとのあいだに深い裂け目ができ、とどめを刺されずに済んだ。レイは溝を挟んで向こうにいるカイロに背を向け、重傷のフィンを連れてチューバッカの操縦する<ミレニアム・ファルコン>に乗り込んだ。その頃、スターキラー基地の状況を知らされた最高指導者スノークは、カイロの訓練を完了すべき時が来たと判断し、彼を自分のもとへ連れてくるようハックス将軍に命じた。[3] ハックスはカイロのベルトについた小さな位置センサーを使って彼の居場所を突き止め、ストームトルーパーに命じてシャトルに運び込ませた。彼らが脱出を果たした後、スターキラー基地は爆発を起こして新星に変わり果てる。[20] 戦いが終わった後、レジスタンスはBB-8が運んできた地図とR2-D2が所有していた帝国の記録を組み合わせ、ルーク・スカイウォーカーの行き先を突き止めた。レイは水の惑星オク=トーで最後のジェダイを見つけ、かつて彼のものだったライトセーバーを差し出した。[3]
制作の舞台裏
カイロ・レンのビジュアルは2014年11月28日に公開された『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』のティーザー・トレーラー第1弾で初めてお目見えした。アダム・ドライバーがこのキャラクターを演じる。
登場作品
|