ホス[1](Hoth)、旧名ロラン(Rohlan)は、新シス戦争の末期を生きた人間の男性で、銀河共和国に仕えたジェダイ・マスターである。ジェダイ卿としてアーミー・オブ・ライトを指揮し、ルーサン戦役でシス卿スケア・カーンのブラザーフッド・オブ・ダークネスと争った。青年時代、共和国を脅かすシスの軍勢を自分ひとりで打ち負かすことを夢見ていたホスは、ジェダイ・オーダーに加わって訓練を積み、マスターに昇格した。数名の弟子を育て上げた後、彼はコルサントのジェダイ・テンプルでバトルマスターに任命され、共和国軍の最高司令官を務めるまでになった。ホスは、可能な限りあらゆる資源を集めてアーミー・オブ・ライトを築き上げ、まだ幼い子どもすら軍隊に加えた。彼は銀河系の各地でカーン卿と戦い、最終的にシス軍の拠点がある惑星ルーサンに迫った。
軍需品不足や士気の低下、戦況の悪化に苦しみながらも、ホスは友人のパーニカーや同僚のヴァレンサイン・ファーファラ卿に助けられ、カーン率いるシス軍との戦いを続けた。優れた戦術の才能で知られたホスだったが、それと同じくらいに短気な性格でも有名で、何度もファーファラ卿と口論になった。しかし、パーニカーの死後、彼らは不仲を乗り越えて手を取り合い、ついにブラザーフッド・オブ・ダークネスとの最終決戦に臨む。追い詰められたシスは、ソート・ボムと呼ばれる危険なフォース・パワーでジェダイを全滅させようと企んだが、ホスは構わず彼らのもとへ乗り込んだ。ソート・ボムは敵味方問わず無差別に戦闘員の命を奪い、ブラザーフッドは自滅した。ホスの自己犠牲によって共和国は辛勝し、1,000年近く続いたシスの脅威に終止符が打たれることになった。
目次
経歴
生い立ち

惑星ホスでシスの海賊と戦うロラン
人間の男性、ロランは、共和国の暗黒時代に惑星カルで生まれた。彼の一族はユーシャン宙域の番人を務めるジェダイ卿を代々輩出し、尊敬を集めていた。夢見がちな若者だった当時のロランは、銀河共和国を脅かすシスの脅威をひとりで破り、銀河系をよりよい場所にする力が自分に備わっていると信じていた。この夢を叶えるため、彼は一族の例に倣ってジェダイ・オーダーに加わり、青いブレードのライトセーバーを作成した。10代の頃、ロランは惑星ホスでシスの海賊を破り、コレリアン・トレード・スパインを解放したことから、「ホスの騎士」として知られるようになった。共和国がトレード・スパインの防備を固めた後、“ホス”は惑星コルサントへ旅した。彼はここでジェダイ・マスターの称号を与えられ、ジェダイ・テンプルのバトルマスターに選出される。ホスは弟子たちから大きな尊敬を集めるマスターだった(彼は正式なパダワンのジョアン・オソーンの他に、ドリー・ヴァンダップやタルを訓練した)。シスを破ったホスの物語は、テンプルの各地で密やかな噂話になったが、ジェダイ最高評議会は沈黙を守っていた。
新シス戦争の末期、最高評議会は、ジェダイ・マスターのスケア・カーンを、シスに災いをもたらす英雄として祭り上げようとした。しかし、カーンはフォースのダークサイドに転向してブラザーフッド・オブ・ダークネスを設立し、ジェダイ・オーダーに大打撃を与えた。ジェダイ最高評議会が過ちを犯したことを知ったホスは、ジェダイ・ナイトの部隊を率いてテンプルを去った。ホスはジェダイ大評議会という旗印を掲げ、当時の全てのジェダイ卿と、惑星ジャヴィン・マーチェスやクラリン、コレリア、カンパラスから集まった兵士たちを集めて大規模な軍隊を創設した。共和国の義勇軍と忠実な部下たちによって構成されるこの軍隊は、アーミー・オブ・ライトと呼ばれるようになり、カーンが指揮するブラザーフッドと戦いを繰り広げた。兵士と物資の不足に悩まされたホスは、忠実なジェダイ卿の宇宙船や兵器をかき集めた。彼の監督のもと、貨物船は軍艦に改造され、フォース感応能力を持つあらゆる市民が徴兵された。急速に減少していたジェダイの穴を埋めるため、まだ幼い子どもすら軍隊に加えられた(また、子どもたちをジェダイに加えておくことで、シスが彼らを利用できないようにする目的もあった)。
アーミー・オブ・ライト

ホス卿
ジェダイ卿から募った資源だけを頼りにした自暴自棄な戦いではあったが、ホス卿の率いるアーミー・オブ・ライトは大きな犠牲を払いながら華々しい戦績を挙げた。キール・チャーニー将軍やヴァレンサイン・ファーファラ卿といった共和国の英雄たちと協力し、ホス卿はシスのマントと呼ばれる領域や、その他無数の惑星(彼の名前の由来となった惑星ホスや、ドロマンド・カス、マルレヴIVを含む)からブラザーフッド・オブ・ダークネスを追い払った。しかし、多くの勝利を飾った当初の勢いもやがて失われ、数で勝るブラザーフッドが反撃を開始した。共和国の重要な惑星を制圧したシスは、コア・ワールドへと侵攻した。
この事態を受け、ホスは分散していた共和国の軍隊を統一し、アーミー・オブ・ライトの戦力を拡大した。共和国の将軍として6回以上の勝利を収めたホス卿は、ホロネットのスターになり、1003 BBYには共和国軍の最高司令官に任命されていた。それでもまだシス軍に数で劣っていたため、ホス卿は大規模な地上軍や宇宙軍との戦いを避け、敵軍を率いるシスの指導者、特にシスの暗黒卿たちを標的に定めた。彼はシスが占拠する惑星ルーサンに大勢のジェダイを投入し、カーン卿の軍隊をコアから引き戻そうとした。するとカーン卿は、ルーサンの戦場でジェダイを一挙に根絶しようと決断する。
ルーサン戦役
宇宙空間で行われた最初の3回の戦いは短期間で決着がついた。しかし、ルーサンの戦略的重要性が増したことで、戦いは血みどろの地上戦へと発展した。ホス卿は、ルーサンの地表を荒廃させた一連の戦闘に、2年の歳月を費やした。
両軍の戦力が減退していく中、ホス卿はジェダイの軍隊を補充する手段を模索し始めた。しかし、ホス卿の呼びかけを受けた全てのジェダイがルーサンに集まったわけではなかった。ジェダイの中には、ホス卿が戦争を個人的な復讐として利用し、むしろ戦いを長引かせているのではないかと考える者や、ルーサン以外の惑星で共和国に貢献したいと考える者がいたのである。そんな中、ホスと仲の悪いファーファラ卿が、自分が仲間を集めてくると申し出た。ファーファラは、ホスの招集に仲間たちが応じないのは、ホスの無愛想な態度が原因だと信じていた。外交と説得を用いれば援軍を集めることが出来ると考えたファーファラは、300人のジェダイ・ナイトを連れてくると宣言し、ルーサンを離れた。ファーファラが帰還するまでの間、現存の戦力を維持するため、ホス卿は戦術の方針を変えることにした。彼らは敵との正面衝突を避け、ルーサンの雨季と広大な森林を利用したゲリラ戦闘を展開した。

パーニカーの死を巡り口論するホスとファーファラ
ホスは根気強くシスとの戦いを続けたが、敵の攻撃で親友のパーニカーが命を落とすと、彼の固い決意も揺らいだ。パーニカーが戦死した直後、ファーファラ卿が援軍を連れてルーサンに戻ってきた。ホス卿は、ファーファラがもっと早く駆け付ければ親友も死なずに済んだと考え、ふたりの関係はさらに険悪になってしまった。一方、攻撃的なシス卿ダース・ベインがルーサンにやって来たことで、シス軍の戦術は冷酷さを増していった。暗黒卿たちは囮の部隊を使ってアーミー・オブ・ライトを攻撃しつつ、フォースのダークサイドで破壊の波動を引き起こし、ルーサンの森林を焼き尽くして多くの人々を虐殺した。ファーファラの援軍がシス軍の封鎖を破って駆け付けたおかげで、ルーサンのジェダイは何とか救われたのだった。
決着の見えない膠着状態と苛酷な戦況が兵士たちの士気を下げた。多くの味方を失ったことを受け、ホス卿もまた、自分が支持してきたことへの裏切りになると知りながら、ルーサンを放棄する選択肢を真剣に考え始めた。ホスが心を悩ませている時、彼の夢の中に、旧友のパーニカーが姿を現した。パーニカーは、生きていた時と同じように、夢の中でもホスに助言を与えた。彼はホスに、フォースを信頼し、絶望に屈服せず、ファーファラとの関係を修復するよう告げた。目を覚ました後、ホスは特使を通してファーファラに謝罪を伝え、シスと戦うために互いの軍隊を統合した。ついに優勢に立ったジェダイは、カーンを洞窟の中へ追い詰めた。ホス卿は、士気が上がったアーミー・オブ・ライトを率い、カーンの本拠地への攻撃を決断した。
第七次ルーサンの戦い
ホス卿は、双方ともに余計な血を流さずに済むよう、カーン卿には降伏して欲しいと考えていた。ホス卿は、そもそも最後の決戦自体を望んでいなかったのである。ホスとファーファラ卿はシス軍が罠を仕掛けているのではないかと疑い、ジェダイのタルは災難を予感した。しかし、ホスは他の全ての選択肢を捨て去り、シスの本拠地へと進んだ。
ホスとファーファラは朝に攻撃を開始した。ファーファラが軍隊を先導し、ホスはしんがりを務めた。ホス卿の部隊が到着する頃には既に戦いが終わっており、戦場にいたシスの大半は生け捕りにされ、アーミー・オブ・ライトの犠牲者はごく少数だった。しかしこの戦いのさなか、カーン卿は暗黒卿を洞窟の中に集め、周囲のあらゆる生命を根絶するフォース・エネルギーの兵器、ソート・ボムの準備をしていた。ファーファラは、ソート・ボムの脅威をホス卿に警告した。フォースを通して危険な兵器の存在を感じ取っていたホス卿は、ルーサンがこれ以上破壊されるのを防ぐため、カーン卿にソート・ボムの使用を思い留まらせるか、降伏を促す必要があると考えた。

ホス卿とカーン卿の最後の対決
峡谷へ踏み入ったホス卿とアーミー・オブ・ライトのメンバーは、戦いで死んだジェダイの首や、吊るされた死体のなかを通過し、洞窟の内部へ進んだ。ファーファラを含む軍隊の大半は洞窟の外に残され、ソート・ボムの有効範囲から離れるよう指示を受けた。ホス卿とともに洞窟の中に入ったのは、自ら志願した100人のジェダイだった。シスの暗黒卿は、ソート・ボムのパワーに満ちた空間で、ホス卿一行を待ち受けていた。暗黒卿と対面したホス卿は、自分は死の恐怖に怯えることはないと言い放った。カーン卿が正気を失っていることに気づいたホスは、シスを降伏させることは出来ないと判断し、ソート・ボムが爆発する前に彼を殺そうとした。しかし彼は間に合わず、カーン卿はフォースのダークサイドの力を解き放ってしまった。ソート・ボムは、その場にいた全てのシスとジェダイを皆殺しにした。ソート・ボムの犠牲になった人びとの霊魂は、それからおよそ1,000年もの間、ジェダイの谷と呼ばれる地に閉じ込められた。5 ABY、ルーサンを訪れたジェダイ・ナイト・カイル・カターンが、戦死者の霊を解放した。
遺産
ホスの死後、彼のパダワンだったジョアン・オソーンは、アーミー・オブ・ライトの記念碑をルーサンに建てるよう共和国に要請した。ジェダイ・オーダーは、ルーサンの悲劇を忘れ去りたいと考え、オソーンの提案に反対したが、銀河元老院は彼の意見を採用した。オソーンは、ジェダイの谷と呼ばれるようになる場所に霊廟を建設した。谷の中に造られたホスの像は、アーミー・オブ・ライトの他のメンバーの彫刻より大きく抜きん出ていた。エンドアの戦いの1年後、この地を訪れたカイル・カターンは、ジェダイ・タルの霊魂からルーサンの戦いのヴィジョンを受け取り、その中でホス卿の姿を見た。また、ホス卿の活躍を称え、ルーサン星系とその恒星は「ホス・ブランド」と改名された。
個性と特徴
青年時代、ホスはシスを倒す英雄になりたいと夢見ていた
青年時代のホスは、英雄になった自分の姿を思い描く夢想家だった。銀河系を脅かすシスの脅威に、自分ひとりの力で終止符を打つことが出来ると信じていたホスは、ジェダイ・オーダーに加わってマスターの階級を手に入れた。新シス戦争で共和国を何度も勝利に導いたホスは、銀河系の現実に対して無感覚になっていった。ルーサンの戦いが始まる頃、かつて理想主義者だった青年は、冷笑的でやつれた老兵に変わり果てていた。ホスの親友は、同じく老兵で、彼の助言者を務めたパーニカーだった。
非常に有能な軍事司令官だったホスは、シスを相手に何度も勝利を収めた。アーミー・オブ・ライトは、寄せ集めで急ごしらえの軍隊だった(装備もままならず、兵士の中には子どももいた)にも関わらず、数多くの惑星からシスを追い払った。分散していた共和国軍を統一した後、ホスは暗黒卿に対して集中攻撃を仕掛けることで、敵の軍隊をコア領域から撤退させることができるだろうと考えた。
強大な軍隊の司令官だったホスだが、平和の到来を心から望んでいた。ホス卿は、屈強な将軍でかつ優れた戦略家として知られ、共和国の人々から英雄視されていた。新シス戦争の終盤、ホスの功績はアウター・リム・テリトリーの孤立した植民地まで届くほど、広く知れ渡っていた。
ホス卿は、味方のファーファラ卿と絶えず衝突していた。ファーファラの気取った性格は、現実主義的なホスとは正反対だった。カリスマ性のあったファーファラとは対照的に、ホスは外交のために割く時間がほとんどなく、無愛想な性格はしばしば同僚たちとの諍いの種になった。しかし、夢の中に現れたパーニカーから助言を受けた後、ホスはファーファラと手を取り合って戦うようになった。また、パーニカーの亡霊はホスに、フォースを信頼するよう告げた。この言葉は、ルーサンを敵に明け渡そうかと迷っていた彼の心を慰めた。士気が低下し、刻一刻と悪化するルーサンの戦況は、ホスの重荷になっていたのである。しかし、ファーファラ卿と和解し、互いに手を取り合ったことで、彼はルーサン戦役の流れを変えることに成功した。
制作の舞台裏

ホスの設定画
ホス卿は、作家のウィリアム・C・ディーツによってつくり出され、1998年に発売されたグラフィック小説『Dark Forces: Jedi Knight』で初登場を果たした(作中で、カイル・カターンのヴィジョンの中に出現する)。
その後、ホス卿は2001年に始まったコミック・シリーズ『Star Wars: Jedi vs. Sith』(ダーコ・メイカン作)や、2006年の小説『Darth Bane: Path of Destruction』(ドリュー・カーピシン作)の主要な登場人物になった。このキャラクターは、1980年の映画『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』に登場したことで有名な、氷の惑星ホスと同じ名前である。実際、コミックの作中でファーファラが「ホス卿の心は氷の惑星のように冷たい」という台詞を発している。しかしカーピシンは、彼の知る限り、両者の間に設定上の関連性はないとコメントした。またカーピシンは、ダーコ・メイカンがこの人物をホスと名づけたのは、厳格で冷たい性格を表現するためだったのではないかと推測した。
ところが、2012年に発売された『The Essential Guide to Warfare』で、ホス卿と惑星ホスの関連性が明かされた。著者であるジェイソン・フライとポール・R・アーカートは当初、ホス卿の登場する作品と『エピソード5』の時代(1000 BBYと3 ABY)がかけ離れているため、両者を関連付けることに躊躇していた。しかし、2011年発売のゲーム『Star Wars: The Old Republic』で惑星ホスが大きく扱われたため、ホス卿に関する設定もそこに加えられることになった。
また、ポール・R・アーカートは、ホスの旧名である「ロラン(Rohlan)」について、“有名なマンダロリアン、ロラン・ダイアにちなんで名づけられたのかもしれない”と語っている。アーカートは、“新シス戦争の時代、ロラン・ダイアがジェダイの語り部たちから英雄視されていても不思議ではない”と説明している。
登場エピソード
参考資料
脚注
- ↑ カタカナ表記は『スター・ウォーズ 全史』に基づく。