- 「俺は銀河に足跡を残したいだけの、単純な男だ。俺の親父がそうだったように」
- ―ボバ・フェット[出典]
ボバ・フェット(Boba Fett)は人間の男性で、クローン戦争期から帝国時代、新共和国時代にかけて活動した賞金稼ぎ、犯罪王、大名。彼はマンダロリアンの賞金稼ぎジャンゴ・フェットのクローンであり、もともとアルファ(Alpha)というコードネームを与えられていた。共和国後期に生み出されたボバは、ジャンゴの息子として育てられ、幼い頃から戦闘技術や武術を叩き込まれていた。銀河帝国時代、ボバ・フェットは銀河系でもっとも恐るべき賞金稼ぎのひとりとしてその名を轟かせ、マンダロリアン・アーマーや数々の兵器、そしてかつて父親の宇宙船だった<スレーヴI>を駆使して獲物を追い詰めた。ボバはジャバ・ザ・ハットをはじめとする裏社会の犯罪王や、帝国に仕えるシスの暗黒卿といった大物たちからも仕事を請け負い、やがてその存在は伝説となった。
ジャンゴ・フェットはシス卿ダース・タイラナスに雇われて共和国グランド・アーミーのクローン・トルーパーに遺伝子を提供した際、見返りとして遺伝子操作を行わない純粋なクローンを1体創るようカミーノアンに要求した。クローン・トルーパーと違って老化の加速処理も施されていないボバは、ジャンゴの息子として惑星カミーノで育った。22 BBY、第一次ジオノーシスの戦いに参加したジャンゴは、息子が見ている前でジェダイ・マスター・メイス・ウィンドゥに殺害されてしまった。それ以来、ボバは生涯にわたってジェダイを憎み、オーラ・シングらの後押しを受けながらクローン戦争中に復讐計画を企てた。しかし彼はウィンドゥを殺し損ね、一度は共和国の刑務所に入ったが、やがて“クレイツ・クロー”と呼ばれる賞金稼ぎのシンジケートを組み、ボスクやデンガーといった同業者と共に活動した。
帝国時代、フェットは傭兵として犯罪王や帝国からも仕事を引き受けていた。0 ABY、フェットはシス卿ダース・ヴェイダーの依頼でデス・スターを破壊した反乱軍パイロットの素性を探り、彼がスカイウォーカーという名であることを突き止めた。また3 ABYには同じくヴェイダーの依頼で<ミレニアム・ファルコン>を捜索した。彼はこの時ハン・ソロ船長の身柄を引き取り、タトゥイーンのジャバ・ザ・ハットに送り届けた。1年後、反乱同盟がソロの救出を企てた際、フェットはジャバの勢力の一員としてカークーンの大穴における戦いに参加した。ソロが意図せずしてジェットパックを破壊したため、フェットはサルラックに飲み込まれてしまったが、このクリーチャーの腹の中から辛くも生還した。
アーマーを失ったフェットは、タスケン・レイダーの部族の捕虜となったが、間もなく部族の一員として受け入れられた。タスケンの戦い方や文化を学び、パイク・シンジケートとの争いに力を貸した後、フェットは砂漠で行き倒れていたフェネック・シャンドと行動を共にするようになった。新共和国時代、シャンドと協力して<スレーヴI>を取り戻したフェットは、自分のアーマーがコブ・ヴァンス保安官を経てマンダロリアンの賞金稼ぎディン・ジャリンの手に渡っていることを突き止めた。彼は惑星タイソンで装備を取り戻すと、ジャリンと交わした取り引きに従い、彼が帝国軍残存勢力からグローグーを取り戻す手伝いをした。その後タトゥイーンに帰還したフェットは、ジャバの宮殿でビブ・フォーチュナを殺し、この星の新たな大名として台頭した。彼は自らのゴートラを形成し、恐怖ではなく尊敬による支配を掲げ、モス・エスパの町とその犯罪ファミリーを統括した。その過程で、彼はタトゥイーンでのスパイス事業拡大を企むパイク・シンジケートと対立することになった。
経歴[]
生い立ち[]
誕生[]
- 「高額の報酬とは別に、フェットはひとつだけ条件を出しました。手を加えていない彼自身のクローンです」
「手を加えていない、とは?」
「遺伝的に純粋な複製です」 - ―ラマ・スーとオビ=ワン・ケノービ[出典]
ナブーの戦いの後、ジェダイ・マスター・サイフォ=ディアスはジェダイ最高評議会にも秘密で、クローン軍団の製造をカミーノアンに依頼した。[1] 彼はこの軍団が銀河共和国の防衛に不可欠だと信じていた。しかし彼のプロジェクトは、ジェダイ・オーダーの殲滅をたくらむシスによって利用されることになった。[10] シス卿“ダース・タイラナス”ことドゥークー伯爵は、クローン軍団の遺伝子テンプレートとして人間男性の賞金稼ぎジャンゴ・フェットを雇った。ジャンゴはこの仕事を引き受けるにあたり、高額の報酬に加え、自分のために純粋なクローンを1体用意するという条件を出した。[1]
32 BBY[2]、ナブーの戦いの後、ボバ・フェットは数多く製造されたクローンの最初の1人として[11] 惑星カミーノで生み出され[12]、“アルファ”というコードネームを与えられた。[13] ジャンゴの注文通り、アルファは共和国グランド・アーミーのクローン・トルーパーたちと違って遺伝子に手を加えられておらず、従順になるための遺伝子構造操作や、老化の加速処理が施されていなかった。[1] 知られているクローンのうち、ジャンゴのテンプレートから造られた純粋な遺伝子的コピーはアルファとオメガの2人だけだった。[13]
アルファはやがてボバと名付けられ[13]、ジャンゴの実の息子として育てられた。ボバは幼い頃から賞金稼ぎになるための訓練を受けた。[14] ボバは10年間カミーノのティポカ・シティで育ち、ジャンゴがカミーノアンから報酬の一環として提供された、軍事複合施設内にあるアパートメントで父と暮らした。[12] 彼は子どものうちから並外れた精密射撃技術に恵まれ、完ぺきなプロ根性を備えた強力な戦士となった。[14] またボバはジャンゴから多くの技術を教わり、サバイバルや武術を身に着けた。[4]
ジャンゴの教え[]
ジャンゴ・フェットはタイラナスとの取り引きで大金を手に入れた後も賞金稼ぎ稼業を続け、時にはボバを訓練のために仕事に同行させることもあった。クローン戦争以前のある時、ジャンゴはブラック・サンに加わろうとしているトワイレック娘を捕まえて依頼者である父親のもとへ連れ戻す仕事を請け負った。仕事を遂行するにあたり、ジャンゴは同業者であるローディアンのニールダ、ギャンドのリン、チャドラ=ファンのティヴァーたちとチームを組むことにした。ジャンゴが待ち合わせ場所であるテレラスのカンティーナを訪れると、3人の賞金稼ぎたちは高名な同業者が少年を連れてきたことに驚いた。ジャンゴはボバを紹介し、訓練の一環として仕事を手伝わせると告げた。[15]
<スレーヴI>に乗り込んで出発した後、ボバはなぜ聞いたこともないような賞金稼ぎたちとチームを組むのか、なぜキャド・ベインやオーラ・シング、ザム・ウェセルと組まないのかと父親に尋ねた。するとジャンゴは、知らない者と組み、未知の因子と直面することが今回のレッスンだと告げた。するとボバは、好きな仕事だけ選ぶこともできるのではないかと質問した。ジャンゴは今の自分ならできると答えつつ、しかしその段階に至るまでには長い時間がかかったと付け加え、評判は生まれながらにして持っているものではなく、自分で勝ち取るものだと諭した。[15]
獲物がいる惑星オード・マンテルのカンティーナに到着した後、ボバとティヴァー、ニールダ、リンは標的の娘がファリーン種族の恋人グリフと待ち合わせしている現場を取り囲んだ。賞金稼ぎたちに脅されたグリフは恋人を捨てて逃げ出し、ティヴァーはボバに“愛などアテにならない”という教訓を教えた。トワイレックの娘はバルコニーから脚を滑らせて落下したが、ジャンゴがジェットパックで飛行しながら彼女をキャッチし、スタン・ビームで気絶させた。仕事が終わった後、ボバはなぜトワイレックが落下すると分かったのかと父親に尋ねた。ジャンゴは可能性に備えただけだと答え、仕事においては本能を信頼することが大切であり、追い詰められた人々は愚かな決断をするものだとアドバイスした。[15]
次の瞬間、後ろにいたティヴァーがボバを力ずくで押し倒して首に2本の剣を押し当て、“背後には常に注意すること”という教訓だと語った。ティヴァーの相棒であるリンはボバが落としたブラスター・ピストルを拾ってジャンゴに向け、ボバの命と引き換えに賞金首の身柄を自分たちに譲るよう脅迫した。ニールダはほかの2人の行動に驚いたが、リンからブラスターを向けられると両手を上げて無抵抗の意を示した。2人は再びジャンゴを脅迫したが、彼は賞金首を渡す気は無いと答え、ボバを殺せるものなら殺せばいいと告げた。するとボバは体に隠していた小型ブラスターでティヴァーを撃ち殺し、“捕虜の身体はよく調べること”という教訓だと告げた。ボバは続けてリンの手と足を順に撃ち、父親の言うところの“腕を鈍らせないための規則的な射撃訓練”だと言い放って最後に頭を撃った。ニールダを生かすか殺すか自分で決めるよう父親に言われたボバは、賞金の分け前は与えないが、命は見逃すと告げた。<スレーヴI>に戻った後、なぜニールダを殺さなかったのかと父親に聞かれたボバは、今日の出来事を他の賞金稼ぎ連中に広めさせるためだと答えた。[15]
カミーノからの脱出[]
- 「やれ、パパ! やっつけろ!」
- ―ボバ・フェット[出典]
22 BBY[16]、クローン戦争勃発直前、ジャンゴは独立星系連合からパドメ・アミダラ元老院議員の暗殺依頼を引き受け、惑星コルサントへ旅した。しかしジャンゴはこの任務に失敗し、口封じのため相棒のザム・ウェセルを殺害した。ジェダイ・ナイトのオビ=ワン・ケノービはザムの殺害に使われたカミーノアン・セーバーダートを頼りに暗殺者の後を追い、カミーノにやってきた。ケノービはカミーノアンのラマ・スー首相と面会し、ジェダイの知らないうちに共和国のクローン軍団が作られていたこと、その遺伝子提供者が賞金稼ぎであることを知った。ケノービが賞金稼ぎと会いたがったため、トーン・ウィー行政補佐官が彼を連れてボバとジャンゴが暮らすアパートメントを訪ねた。ボバはドアを開けて2人を迎え入れ、ウィーが来たことを父親に伝えた。[1]
ボバとウィーが見守る中、ケノービはジャンゴにクローン軍団の感想を述べ、コルサントで発生した暗殺未遂事件に関与していないか遠回しに探りを入れた。[1] マンダロリアン・アーマーや装備を置いてある別室のドアが開きっぱなしであったため、ジャンゴはケノービに悟られないよう[1] フェット・コード語を使って[17] ドアを閉めてくるようボバに命じた。ジェダイが去った後、ジャンゴはボバに荷造りをするよう命じた。しかし2人が離着陸プラットフォームで<スレーヴI>の出発準備をしていた時、ジェダイ評議会からジャンゴの確保を命じられたケノービが再び姿を現した。ボバはジャンゴの命令で船に乗り込み、父とジェダイの対決をコックピットから見守った。ボバはジェダイと肉弾戦を繰り広げる父に加勢するため<スレーヴI>のブラスター砲を発射し、ジェダイの態勢を崩した。最終的にケノービはプラットフォームから落下し、フェット親子は無事に出発することができたが、<スレーヴI>にはホーミング・ビーコンが取り付けられていた。[1]
ジャンゴとボバはドゥークー伯爵をはじめとする分離主義勢力の指導者たちが集結している惑星ジオノーシスを目指した。しかしジオノーシス星系に到着した後、彼らを追跡してきたケノービのデルタ7イーサスプライト級軽インターセプターが現れた。ボバが敵機の出現を知らせると、ジャンゴはジオノーシスを取り囲む小惑星の環の中に入り、インターセプターとドッグファイトを繰り広げた。ボバが見守る中、ジャンゴはサイズミック・チャージでケノービを翻弄し、インターセプターの背後をとることに成功した。ケノービはスペア・パーツを放出して<スレーヴI>から発射されたミサイルをしのぎ、小惑星の裏側に隠れたが、ボバとジャンゴは敵機の反応が消えたことに満足して笑みを交わした。[1]
父親の死[]
- 「父親が死んだとき、ボバもジオノーシスにいた。私が彼を殺したのを目撃したのだ」
- ―メイス・ウィンドゥ[出典]
フェット親子がジオノーシスに到着してからしばらくして、ケノービもこの星に潜入した。ケノービは分離主義者の会合を盗み聞きして最高評議会に報告を行った後、ジオノージアンによって捕らえられた。またケノービを助けるためにやってきたパダワンのアナキン・スカイウォーカーとアミダラ議員もバトル・ドロイド工場でジャンゴやジオノージアンに捕まった。3人の捕虜は死刑を宣告され[1]、スタルガシン・ハイヴのペトラナキ・アリーナで[18] 処刑されることになった。ボバはジャンゴやドゥークー、ジオノージアンのポグル・ザ・レッサー大公、トレード・フェデレーションのヴァイスロイ・ヌート・ガンレイらと一緒に[1]、大公専用のボックス席[18] から処刑を見物することになった。ポグル大公が処刑開始を宣言すると、リークとネクスー、アクレイがアリーナに放たれたが、捕虜たちはなんとかこれらの猛獣を撃退した。やむを得ずドロイデカが投入されることになったが、その直後、ケノービを助けるためにやってきたジェダイの救出チーム[1] 212名[19] がアリーナに姿を現し、ジオノーシスの戦いが始まった。[1]
ジェダイ・マスターのメイス・ウィンドゥはボックス席のバルコニーでジャンゴの首にライトセーバーを突き付け、ドゥークーに降伏を求めた。しかし大量のB1バトル・ドロイドとB2スーパー・バトル・ドロイドがアリーナになだれ込み、ジェダイは劣勢に追い込まれた。戦闘中、ウィンドゥがリークに追われて態勢を崩したことに気付いたジャンゴは、ジェダイを仕留めるためジェットパックでバルコニーから飛び立った。しかし彼はメイスが落としたライトセーバーを拾おうとしたためにリークの突進をかわし切れず、ジェットパックが壊れてしまった。バルコニーにいるボバやドゥークーが見守る中、ウィンドゥはあっという間にジャンゴを追い詰め、ライトセーバーで首を切り落としてしまった。戦場がアリーナの外に移った後、ボバはジャンゴの空っぽのヘルメットを拾い上げ、父親の死を悲しんだ。[1] この事件がきっかけとなり、ボバは生涯にわたってジェダイを憎むようになった。[20]
クローン戦争[]
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帝国時代[]
台頭[]
ボバ・フェットは若い頃、父親と同じく伝説的な賞金稼ぎであるオーラ・シングやキャド・ベイン、そして海賊のホンドー・オナカーたちから稼業について学んだ。若い頃は仲間を率いて仕事をしていたこともあったが、フェットはやがて一匹狼になった。[21] 銀河帝国の時代が始まる頃、フェットはジャンゴに負けぬ実績を積み、狡猾で冷酷な伝説的な賞金稼ぎになっていた。[14] 彼はジャンゴの物だったマンダロリアン・アーマーを受け継ぎ[22]、肩にかけたウーキーの毛をはじめとする[19] 獲物の一部を戦利品としてアーマーに飾っていた。[14] 彼は亡き父親を偲んでマンダロリアン・アーマーを組み立てなおし[19]、人前に姿を現すときは常にこのアーマーを身に着けた。[23] またフェットはジャンゴが所有していた数々の武器と、宇宙船<スレーヴI>も継承した。[19] 帝国時代、フェットは指折りの賞金稼ぎとして名を馳せ、長年にわたって銀河系で最も危険な賞金稼ぎという評判を轟かせた。[20]
フェットは長く賞金稼ぎ稼業を続けるうちに、自分なりの規範を持つようになり、自分自身の厳しい正義感に適う仕事しか引き受けないようになった。ある時、フェットはトワイレックの村の長老たちに雇われ、惑星ライロスで奴隷商人と戦ったことがあった。彼はこの仕事で若きリン・ミーをはじめとする多くのトワイレックを奴隷商人から救った。[24] またフェットはトランドーシャンのドク・ストラッシに雇われたこともあった。[9]
カラジャムの任務[]
帝国時代、ボバ・フェットはアウター・リムの砂漠の惑星カラジャムで賞金首の反乱軍パイロットを捕まえた。機械の騎獣にまたがって賞金稼ぎギルドの施設へ向かう途中、フェットは地元住民から貴重品を搾取していた賞金稼ぎジンゴ・ガブニットやターフィッチらと出くわした。ターフィッチはフェットが自分たちを捕まえに来たと勘違いして慌てふためいたが、フェットはそのまま彼らのもとを走り去っていった。町でトワイレックのギルド・エージェントに賞金首を引き渡したフェットは、50,000の報酬を手に入れ、ジョーガン・スパで休んだらどうかという提案を無視して次の標的を検索した。フェットはリストの中に、先ほど遭遇したばかりのガブニットの顔を見つけた。ガブニットは反乱同盟の協力者として帝国から手配されているだけでなく、賞金稼ぎの掟すら破り、反乱軍メンバーを狙っていた同業者まで手にかけ、100,000クレジットの賞金を懸けられていた。フェットはこの仕事を引き受け、ギルドの拠点を後にした。[8]
賞金首を探すため砂漠に出たフェットは、死の平原に倒れているターフィッチを発見した。砂嵐に巻き込まれて砂漠に足止めされたガブニットは、ザン姉妹に連絡を取ってカラジャムから脱出する手はずを整えたが、残された水を独り占めするためターフィッチを撃ち、置き去りにしたのである。フェットから水を与えられた瀕死のターフィッチは、ガブニットを殺してくれるかと賞金稼ぎに尋ね、彼が向かった方向を教えた。フェットは遠くにいるガブニットをエレクトロバイノキュラーで確認すると、彼の背中を狙撃した。致命傷とはならなかったものの、ターフィッチは満足して息を引き取った。ガブニットの後を追って死の平原を横断したフェットは、とある村落にたどり着いた。そこの住民はガブニットに虐殺されており、杭に縛り付けられた生存者たちはフェットに助けを求めた。[8]
ガブニットは建物の中からフェットに語りかけ、自分が指名手配された経緯を説明した。ガブニットは手配書通り賞金首を殺害したにもかかわらず、生け捕りでないことを理由に帝国から賞金支払いを拒否され、借金があったためやむを得ず規則違反を犯したのだという。ガブニットはフェットに、自分を見逃せばギルドが約束した報酬の3倍を3日以内に払うと申し出た。フェットは敵の提案を無視して建物に踏み入ったが、そこにあったのは囮のコムリンクと、サーマル・デトネーターだった。しかしフェットはジェットパックを使って爆発の中から飛び出し、別の場所に隠れていたガブニットを追い詰めた。ガブニットは敗北を認めつつ、自分が略奪した貴重品と引き換えに見逃してほしいと訴えた。彼はいつかフェットも道を踏み外し、自分と同じようにギルドから見捨てられる日が来ると警告した。しかしフェットはガブニットが落としたブラスター・ピストルを彼の手元に蹴り返したうえで、この賞金首にとどめを刺した。[8]
フェットは解放された村人たちが礼を言うのを無視し、賞金首の死体を引きずって町に戻った。フェットがギルドの拠点に到着した時、スターロという名の男がフェットに声をかけた。フェットが救った村に妹がいるスターロは、賞金稼ぎに感謝の意を伝えた。フェットは無視してギルドに死体を届けたが、スターロは彼の後を追い、ガブニットの仲間であるザン姉妹もついでに始末してくれないかと依頼した。ザン姉妹は帝国と親しいから無理だとギルド・エージェントが口をはさんでもスターロは諦めず、長年にわたり地元の農場を苦しめている姉妹を倒すため力を貸してほしいと頼んだ。すでに次の賞金首を検索し始めていたフェットは、まさにこのスターロが、“タル・ジョーベン”という名で手配されていることに気付いた。スターロは悪者や殺人者、犯罪者を狩るのが仕事ではないのかとフェットに語ったが、フェットは賞金首を狩るのが仕事だと答え、スターロに銃口を突き付けた。[8]
砂漠のワイン[]
ジャバのために働いていた時、ボバはタトゥイーンの宮殿にある謁見室で、しばしば犯罪王の用心棒を務めた。そんなある日、タスケン・レイダーの一団が宮殿を訪れ、帝国やジャワが自分たちの聖域をうろついていると訴えた。彼らはタトゥイーンで起きるあらゆる事はジャバの了解のもと行われていると主張し、今すぐ止めさせなければ代償を払うことになると文句を言った。しかしジャバが怒り、フェットが武器を構えると、彼らは態度を改めた。ジャバはまもなく問題は解決されるだろうと告げ、タスケンを下がらせた。次に謁見室にやってきた陳情者は、人間とローディアンの二人組だった。彼らはジャバが輸出している“砂漠のワイン”のビジネスに一枚噛みたいと考えていた。ところがジャバはフェットや二人組が見ている前で、この貴重なワインの最後のボトルを飲み干してしまった。犯罪王の執事長を務めるビブ・フォーチュナは、砂漠のワインはタスケンにとって聖なる物であり、盗もうとすれば戦争になると二人組に告げた。しかしジャバはワインが欲しければタスケンたちがグレート・デューンで夜の祈りを捧げているときに盗むしかないと仄めかし、陳情者たちを焚きつけた。[25]
ジャバの思惑通り、人間とローディアンの二人組はワインの強奪を企て、その計画を盗み聞きしたジャワ、そして強欲な帝国軍将校も同じ結論に達した。二人組と、バトル・ドロイドを引き連れたジャワたち、そしてストームトルーパーを率いる帝国軍将校は、真夜中のグレート・デューンで一堂に会した。彼らは互いにブラスターを向けあって膠着状態に陥ったが、ローディアンはこの状況は何者かに仕組まれていると呼びかけ、争いを止めようとした。しかしジャバの命令で現地に送り込まれていたフェットが、戦いのきっかけを作るため離れた場所から帝国軍将校を狙撃した。将校の死が合図となり、グレート・デューンに集まった勢力は互いに殺し合い、その戦闘音はタスケンの集落にまで響いた。あくる日、タスケンの部族がストームトルーパーの大量の死体とともに、ジャバの宮殿を再訪した。フェットやフォーチュナが見守る中、タスケンたちはジャバが帝国とジャワによる聖域侵害問題を解決してくれたことへの感謝のしるしとして、新たに砂漠のワインを献上した。しかしフォーチュナは、砂漠のワインを人工的に製造する方法がコルサントのカルテルによって発見されたため、今やこの酒は無価値だと犯罪王に報告した。ところがジャバは、この酒は“無価値”ではなく“価値がつけられぬ”ものだと豪語し、フェットやタスケンたちの前でラッパ飲みしてみせた。[25]
暗黒卿の仕事[]
3 ABY、彼は銀河帝国のシスの暗黒卿ダース・ヴェイダーに雇われ、ハン・ソロやレイア・オーガナの乗る<ミレニアム・ファルコン>を追跡する任務を遂行した。そして彼は、ベスピンのクラウド・シティでソロがカーボン凍結されるのを見届けたあと、ソロをタトゥイーンのジャバの宮殿に届けた。
カークーンの大穴[]
- 「ボバ・フェット? ボバ・フェットだと? どこにいる?」
- ―ハン・ソロ[出典]
4 ABY[16]、反乱軍のメンバーがハン・ソロの救出作戦を開始した時、フェットはタトゥイーンの北部デューン・シーにそびえるジャバの宮殿に居合わせた。アストロメク・ドロイドのR2-D2とプロトコル・ドロイドC-3POがジャバのもとへ遣わされた後、フェットは宮殿の玉座の間で、マックス・レボ・バンドによる『ジェダイ・ロック』の演奏を見守った。この演奏の途中、トワイレックの踊り子であるウーラがジャバの不興を買い、ランコアのパティーサの餌にされた。[26] 一方、かつてフェットのおかげで奴隷商人から救われた過去を持つトワイレックの踊り子リン・ミーは、英雄的存在であるフェットに何とかして話しかけようとした。またシーリンと人間のハーフである歌手リスタール・サントもフェットの注意を惹きつけ[24]、ミーと一緒にこの賞金稼ぎに近寄った。[26]
ほどなくして、賞金稼ぎのブーシに変装したレイア・オーガナがチューバッカを連れて玉座の間に現れた。レイアは賞金首のチューバッカを生け捕りにしたと主張し、ジャバに報酬を要求した。ジャバと“ブーシ”が報酬額を巡って言い争う中、フェットはリスタールやリン・ミーのもとを離れて前に進み出た。レイアが脅迫材料としてサーマル・デトネーターを取り出すと、フェットは即座にブラスター・カービンを構えた。しかしジャバは賞金稼ぎの度胸を気に入って賞金の増額に応じ、フェットはブラスターを収めた。バンドの演奏が再開された後、フェットは部屋の向こうにいる同業者“ブーシ”に向かって軽く頭を下げた。[26]
その日の夜、レイアはソロをカーボナイトから解凍したが、彼女の正体を見抜いていたジャバに捕まり、奴隷にされた。それからしばらくして、今度はジェダイ・ナイトのルーク・スカイウォーカーが宮殿に現れ、ジャバに友人たちを解放するよう迫った。フェットがジャバの背後に立って警戒する中、スカイウォーカーはフォースを使ってナイザック・ベックからDL-18ブラスター・ピストルを奪い取ったが、ガモーリアンの衛兵ジュブナックもろともランコアの巣窟へ落とされた。フェットはジャバの台座に乗ったまま、若きジェダイ・ナイトとランコアの戦いを見守った。ジャバはスカイウォーカーがペットのランコアを殺してしまったことに激怒し、スカイウォーカーとソロ、チューバッカをカークーンの大穴で処刑することに決めた。フェットはジャバがC-3POの通訳を介して囚人たちに死刑を宣告する様子を、ハットの執事長を務めるビブ・フォーチュナのそばで見守った。[26]
フェットはジャバやその大勢の取り巻きとともにLO-KD57セール・バージ<ケタンナ>に乗り込み、処刑を見物するためカークーンの大穴へ向かった。ジャバは囚人たちをこの大穴へ落とし、獲物を1,000年かけて消化すると言われる怪物サルラックの餌食にするつもりだった。しかしジャバが処刑の開始を宣言した直後、スカイウォーカーはR2-D2に預けておいたライトセーバーを受け取り、バンサIIカーゴ・スキッフの上でジャバのスキッフ・ガードたちと乱闘を開始した。ジャバの手下たちが慌てふためく中、フェットはすぐさまセール・バージのデッキに上がると、ジェットパックを噴射してスカイウォーカーのいるスキッフへ飛び移った。しかし賞金稼ぎの接近に気づいたスカイウォーカーは、フェットが着地して間もなく、彼の手に握られているEE-3カービン・ライフルをライトセーバーで切断した。[26]
ブラスターを失ったフェットは、ウィップコードでジェダイの動きを封じた。ところがスカイウォーカーはヴィザムがセール・バージから発射した対人レーザー砲のビームをフェットに向かって偏向し、この賞金稼ぎの態勢を崩した。スカイウォーカーはフェットが倒れている間にウィップコードを振りほどき、もう1隻のスキッフに飛び移って戦いを続けた。立ち上がったフェットは、ガントレットの武器を使って離れた場所からスカイウォーカーを仕留めようとした。ところが、カーボン凍結の影響でまだ視力が完全に回復していないソロが、チューバッカに言われて闇雲にバイブロ=アックスを振り回した結果、この賞金稼ぎのジェットパックを直撃した。フェットはジェットパックの誤噴射で<ケタンナ>の船体に打ち付けられた後、そのまま大穴へ落下し、サルラックに飲み込まれてしまった。[26]
死亡の噂と伝説[]
ボバ・フェットが脱落した後、スカイウォーカーとその仲間たちは戦いに勝利し、ジャバ・ザ・ハットはレイア・オーガナによって殺された。[26] サルラックの穴に落ちて以降、多くの人々はフェットが死んだと思い込んだ。[27][28] しかしその不運かつ不名誉な出来事にも関わらず、父親をも凌ぐとの評判の、銀河系屈指の賞金稼ぎというフェットの伝説は語り継がれた。[14] 銀河内戦終盤、惑星コレリアのコロネット・シティでは、デンガーがマーキュリアル・スウィフトという名の若い賞金稼ぎと一対一の対決を繰り広げていた。デンガーがスウィフトを追い詰め、粒子アレイ・ガンの銃口を向けてとどめを刺そうとした時、スウィフトは何とか生き残るため近くの屋根の上を見つめ、驚いたふりをしながらボバ・フェットの名を口走った。デンガーがつられて屋根のほうを振り向いたすきを逃さず、スウィフトは反撃して形勢を逆転させた。結局スウィフトはデンガーにとどめを刺さずに去っていったが、デンガーは若き同業者に対し、自分たち賞金稼ぎに賞金が懸けられる日は近いと警告した。[29]
生還[]
タスケンの捕虜に[]
- 「運命は時に落伍者を救う」
- ―ボバ・フェット[出典]
フェットはサルラックに飲み込まれたが、意識を失いつつも生き延びていた。サルラックの腹の中で目を覚ましたフェットは、同じくこのクリーチャーに飲み込まれて既に息絶えているストームトルーパーから呼吸用チューブを手に入れ、空気を確保した。その後、彼は火炎放射器を駆使してサルラックの腹から抜け出し、命からがら砂の中から這い出した。しかし彼はそこで力尽き、<ケタンナ>の残骸の近くに倒れこんだ。その日の夜、ジャワのゴミ漁りがカークーンの大穴に現れ、フェットを見つけてアーマーを剥ぎ取っていった。フェットは一瞬だけ意識を取り戻したが、ジャワは彼を殴りつけ、再び気を失わせた。ジャワが去った後、今度はタスケン・レイダーの部族が大穴にやってきた。彼らはアーマーを失って倒れていたフェットを無理やり起こし、バンサで引きずって部族のキャンプまで連行した。[9]
キャンプで杭に縛られたフェットは、タスケンの子供たちに木製のスティックで痛めつけられ、気を失った。その日の夜、意識を取り戻したフェットは、タスケンたちに気づかれないうちにロープを振りほどいて逃げ出そうとした。フェットは番犬のマシフをノックアウトし、その牙を利用してロープを切断すると、近くに縛られていたローディアンの捕虜にもロープを切ってやろうかと声をかけた。ところがこのローディアンは、フェットが逃げ出そうとしていることをタスケンに知らせてしまった。フェットは逃走を試みたが、近くの砂漠ですぐにマシフに追いつかれた。しかしタスケンの酋長はマシフを下がらせ、代わりにフェットとタスケンの女戦士を一対一で対決させた。フェットはタスケンの子供から奪った棒でガダッフィ・スティックに対抗したが、一方的に打ち付けられて敗北し、再び部族のキャンプへ連れ戻された。[9]
後日、フェットとローディアンの捕虜は、タスケンの子供によって炎天下の砂漠へ連れ出された。道中、彼らはニクトのスピーダー・バイク集団である[9] キンタン・ストライダーズ・ギャング[30] が農場を襲撃する様子を遠くから目撃した。目的地に到着すると、タスケンの子供は砂漠に埋まっているブラック・メロンを素手で掘り出すよう2人の捕虜に命じた。フェットは初めて掘り当てたブラック・メロンを割り、中に含まれる水分を自分で飲んだ。フェットは怒ったタスケンの子供が振り下ろした棒を手で受け止めたが、大人しくメロンを差し出した。子供は水を飲みたいというフェットの要求を無視し、一緒に連れてきたマシフにメロンの水をすべて与えた。[9]
子供が昼寝している間、フェットはローディアンが騒がなければ2人とも逃げることができたと文句を言い、アンカーヘッドまでたどり着けられれば星を出ることができると持ちかけた。しかしローディアンはローディーズ語で悪態をつくばかりで、フェットの話を聞かなかった。その直後、地中から[9] タトゥイーン・サンド・エイプ[31] が出現し、ローディアンを地面に打ち付けて殺害した。フェットもこの巨大なクリーチャーに殴り飛ばされた。しかしサンド・エイプがタスケンの子供に襲い掛かろうとしたとき、フェットは背後からこのクリーチャーの首に鎖を巻き付け、力ずくで窒息させた。フェットによって命を救われたタスケンの子供は、サンド・エイプの頭を戦利品としてキャンプに持ち帰り、フェットの活躍を部族の者たちに伝えた。部族の酋長から敬意を勝ち取ったフェットは、褒美としてブラック・メロンを与えられた。[9]
部族の一員として[]
- 「俺たちが野蛮ではない証拠として、お前たちを生きて返す」
- ―パイクに対し、ボバ・フェット[出典]
部族に迎え入れられたフェットは、タスケンの女戦士からガダッフィ・スティックを使った戦闘法の訓練を受けた。そんなある日、犯罪組織パイク・シンジケートのリパルサー・トレインがデューン・シーに現れ、部族のタスケンと銃撃戦を繰り広げた後、そのまま砂漠を走り去っていった。その日の夜、犠牲者を火葬した後、フェットはキンタン・ストライダーズのスピーダー・バイクを使ってパイクの列車に立ち向かうアイデアを思いついた。彼は酋長の許しを経て1人でトシ・ステーションへ出向き、地元住民のレイズ・ロネオズナーやケイミー・マーズトラップに絡んでいたカジェインサニクトのバイカーたちを倒して、彼らのバイクを部族のキャンプへ持ち帰った。フェットはバイクを部族への贈り物として差し出し、タスケンたちにその扱い方をじっくり叩き込んだ。[32]
再びパイクの列車がデューン・シーに現れた時、フェットはタスケンたちと共にスピーダー・バイクに乗り、攻撃計画を開始した。狙撃手たちが銃撃戦を繰り広げる中、フェットはスピーダーで列車と並走し、タスケンの戦士たちを車両に飛び移らせた。フェットも銃撃で大破したバイクから列車に移ると、パイク・ガードの1人を窓から投げ落とし、車両の屋根の上を進んだ。彼らは前方車両のハッチから現れたパイクの銃撃に苦しめられたが、車両内部に入り込んだ女戦士の活躍で反撃のチャンスを掴んだ。フェットは機関室に侵入し、エンジニア・ドロイドに列車を止めるよう命じた。しかしドロイドは窓から逃げ出し、フェットは度重なる噴射によって故障しかけていたエンジンを無理やり停止させた。その後、フェットとタスケンはパイクの生き残りを捕まえ、列車の貨物を略奪した。[32]
フェットは列車に乗っていたパイクのリーダーに、ケッセルの奴隷鉱山で採取したスパイスを運んでいるのかと尋ねた。パイクはしらを切ろうとしたが、すぐに貨物の中からサンサナ・スパイスが見つかった。タスケンは野蛮だと思っていたと言い訳するパイクのリーダーに対し、フェットはデューン・シーを勝手に通過することは許さないと告げ、通りたければタスケンに通行料を払うよう命じた。またフェットは、自分たちが野蛮ではないことの証として彼らを生きて返すと語り、徒歩でアンカーヘッドへ向かうよう指示した。パイクは喉が渇いて死んでしまうと抗議したが、フェットは彼らに1つずつブラック・メロンを与え、タスケンのようにそのミルクを飲んで生き延びろと告げた。[32]
タスケンのキャンプにて、酋長はフェットへのお礼に小さなトカゲを差し出し、このクリーチャーが彼を導いてくれると語った。酋長がフェットに粉末を吹き付けると、トカゲが鼻の穴からフェットの頭に入り込んだ。フェットはその瞬間から幻覚的な現象を体験し、夜の砂漠をひとりで彷徨い歩き、海や大樹のヴィジョンを見た。木の枝が体に絡みつき、サルラックの腹の中や、父親の死、ティポカ・シティの光景がフラッシュバックした。まとわりつく木々を振りほどいたフェットは、最終的にワートウッド・ツリーの枝を携えてタスケンのキャンプに帰還した。酋長と再会した際、トカゲが鼻から飛び出していき、フェットはこの生き物が夢の一部ではなかったことに驚いた。その後フェットはタスケンから黒いローブを与えられ、職人の助けを借りながら、手に入れた枝を使って新しいガダッフィ・スティックを制作した。その夜、フェットは自分の武器を部族の者たちに披露し、彼らと一緒にキャンプを囲んで輪舞を舞った。[32]
新たな旅の道連れ[]
- 「俺はボバ・フェットだ」
「ボバは死んだ」
「一度はな。タトゥイーンの砂漠に置き去りにされて死にかけた……お前のように」 - ―ボバ・フェットとフェネック・シャンド[出典]
タスケンの代表者としてパイク・シンジケートからみかじめ料を徴収するため、フェットは雌のバンサに乗ってモス・アイズリーへ旅し、パイクのアジトである[33] 砂漠測量事務所[34] を訪れた。パイクのボスは、みかじめ料を払う意思があることを表明しつつも、キンタン・ストライダーズもタスケンと同じ縄張りを主張して金を要求していることを明かした。パイクのボスは惑星オーバ・ディアにいる幹部と相談したうえで、どちらか一方の勢力にしか金を払うつもりはないと語った。フェットはパイクの事情も汲み、この問題は自分が解決すると答え、キンタン・ストライダーズが再びみかじめ料の徴収に現れることはないだろうと告げ、事務所を後にした。[33]
ところがフェットがバンサに乗って再びデューン・シーに戻ると、タスケン・レイダーのキャンプから煙が上がっていた。タスケンの部族はフェットが不在のあいだに襲撃を受け、皆殺しにされていたのである。現場にはキンタン・ストライダーズの紋章が残されており[33]、フェットは彼らの仕業と思い込んだ。しかしタスケンを虐殺した真犯人はパイク・シンジケートだった。パイクはシンジケートに対してみかじめ料を要求してきた2つの勢力を片付けるため、ニクトのバイカーの仕業に見せかけてフェットの仲間のタスケンを排除したのである。[34] フェットは遺体や装備品を燃やして部族の仲間たちを弔った後、バンサを連れてキャンプを後にした。[33]
部族の仲間を失ったフェットは、彼らに恩返しできなかったことを悔やみつつ、新たな旅を始めた。9 ABY、彼は宇宙船<スレーヴI>を取り戻すため、今やビブ・フォーチュナの支配下にあるジャバの宮殿へ旅した。フェットは<スレーヴI>が駐機されたままになっているガレージを離れた場所から観察したが、宮殿はガモーリアンやウィークウェイ、ニクトの衛兵によって警備されており、すぐに行動を起こすのは無理だと判断した。その夜、砂漠で野営していたフェットは、遠くでフラッシュ・チャージが炸裂したことに気づいた。現場に行ってみると、そこには暗殺者のフェネック・シャンドが重傷を負って倒れていた。[27] シャンドは賞金稼ぎのトロ・カリカンによって撃たれ、死んだと思われて砂漠に置き去りにされたのである。[35] フェットはかつての自分と似た境遇に置かれたシャンドの命を救うことに決めた。[22]
フェットはシャンドをバンサに乗せると、モス・アイズリー郊外にあるモッド=パーラーへ運び込んだ。サイボーグの若者たちが見守る中、フェットはシャンドを寝台に乗せ、改造屋に手術を頼んだ。改造屋は予約がないと無理だと最初は断ったが、フェットが金を差し出し、すぐ手術しなければ彼女は死ぬと告げると、頼みを引き受けた。シャンドのサイボーグ化が終わった際、フェットは彼女の腹部に移植された機械が露出したままだと指摘したが、改造屋はメカを隠すのはもったいないと答え、閉じる処置は行わなかった。その後、シャンドが野営地で目を覚ますと、フェットは彼女にブラック・メロンを与えた。シャンドはフェットが自分を生け捕りにして賞金を得ようとしていると勘違いしたが、フェットは命を助けてやった引き換えに、自分が<スレーヴI>を取り戻す手伝いをしてほしいと彼女に頼んだ。[27]
<スレーヴI>奪還[]
- 「賞金稼ぎを辞める準備はできてたんだ」
「辞め時を自分で決められる稼業じゃないけどね」 - ―ボバ・フェットとフェネック・シャンド[出典]
フェットはシャンドと共にバンサに乗って再び宮殿へ旅した。シャンドのドローンが宮殿内の偵察から戻ってくるまでの間に、フェットはバンサを自由にして砂漠へ放った。またフェットは、船とアーマーを取り戻したあかつきにはビブ・フォーチュナを殺して王座を奪うつもりであることをシャンドに明かした。フェットはこのときすでに、賞金稼ぎを廃業して犯罪王になることを決意していたのである。間もなくシャンドのドローンが戻り、<スレーヴI>のハンガーとその周辺に大量の見張りがいることが明らかになった。シャンドの提案で、フェットは見張りのすきをつくため排水溝を通って宮殿の中に忍び込んだ。[27]
宮殿のキッチンに侵入した後、フェットはガダッフィを使ってEVシリーズ監督ドロイドを倒し、シャンドがCOOシリーズ・コック・ドロイドの首を切り落とした。またフェットはネズミを駆除するためにやってきたLEPシリーズ・サービス・ドロイドを捕まえ、LEPは恐怖のあまり自ら機能を停止した。格納庫にたどり着いたフェットとシャンドはガモーリアンの戦士2名を接近戦で倒したが、すぐに警報が鳴り響き、大勢の衛兵が格納庫に現れた。フェットはシャンドに援護されながら一足先に<スレーヴI>に乗り込み、エンジンを作動させた。フェットは狭い格納庫の中で<スレーヴI>を旋回させ、シャンドが開いた格納庫のドアから飛び立った。宮殿から離れた後、フェットはシャンドへの貸しは帳消しだと告げたが、シャンドはもう少し彼に付き合うと申し出た。[27]
仲間のタスケンを殺したのはキンタン・ストライダーズだと思い込んでいたフェットは[34]、砂漠を走っていたニクトのバイカーたちを見つけ、<スレーヴI>で奇襲を仕掛けた。レーザー砲とミサイルを使ってキンタン・ストライダーズを一網打尽にした後、フェットはアーマーを回収するためカークーンの大穴を再訪した。フェットはアーマーをジャワに奪われた記憶が無く、ベスカー鋼でできたアーマーならまだサルラックの腹の中に残っているはずだと考えていた。大穴を覗き込むようにホバリングした際、<スレーヴI>はサルラックの触手に捕まったが、シャンドが独断でサイズミック・チャージを穴に落としてサルラックを退治し、事なきを得た。[27]
フェットはサルラックの体内に入ったが当然ながらアーマーは見つからず、胃酸で火傷を負ってしまった。その夜、フェットとシャンドは再び今後の展望について話し合った。うまく立ち回りさえすればもっと儲かり、仲間を失わずに済んでいたはずだと考えていたフェットは、一緒にゴートラを率いていかないかとシャンドに持ち掛けた。フェットは賞金稼ぎが愚かな雇い主のせいで馬鹿を見るのはもうたくさんだと感じていたのである。シャンドは渋ったが、フェットは彼女に忠誠を尽くすと誓い、分け前は渡すし彼女の命も守ると約束した。フェットは、タスケンと暮らしたせいでヤワになったというシャンドの指摘を否定し、一匹狼のままではできることは限られていると彼女を諭した。[27]
フェットはその後もシャンドと共にアーマーの捜索を続けた。[22] サルラック以降、フェットのアーマーはジャワの手を経てモス・ペルゴの保安官であるコブ・ヴァンスの所有物になっていた。[29] ヴァンスはこのぼろぼろのアーマーを自ら身に着け、保安官としての仕事に大いに役立てた。[36] フェットとシャンドの出会いよりも後[27]、タトゥイーンに自分以外のマンダロリアンがいるという噂を聞きつけたディン・ジャリンがモス・ペルゴを訪れ、フェットのアーマーを所有するコブ・ヴァンス保安官と出会った。ヴァンスがマンダロリアンではないことを知ったフェットはアーマーを引き渡すよう要求し、保安官は町を脅かすクレイト・ドラゴンの退治を手伝えばアーマーを譲ると持ち掛けた。ジャリンがヴァンスの要求通りクレイト・ドラゴンを倒してアーマーを手に入れた後、フェットは砂丘の上に立ち、ゼファーJスピーダー・バイクに乗ってモス・アイズリーへ向かうジャリンを遠くから見守った。バイクが砂埃を上げて走り去った後、フェットも踵を返してその場を去った。 [36]
マンダロリアンとの旅[]
タイソン[]
- 「欲しいのはお前のアーマーじゃない。お前がタトゥイーンでコブ・ヴァンスから手に入れた俺のアーマーだ」
- ―ディン・ジャリンに対し、ボバ・フェット[出典]
父親のアーマーを取り戻すべく、フェットはシャンドとともに<スレーヴI>でディン・ジャリンのガンシップ<レイザー・クレスト>を追跡し、惑星タイソンにたどり着いた。ジャリンはグローグーという名のフォース感応者の幼児を保護しており、グローグーを委ねるべきジェダイを見つけるため、タイソンの古代寺院を訪れていたのである。<スレーヴI>を着陸させた後、フェットは知見の石の上で瞑想しているグローグーをいつでも撃てるよう、あらかじめシャンドに準備させておいた。ジャリンが寺院がある山から降りてくると、フェットは自ら姿を現して目的を告げた。彼はジャリンがタトゥイーンで手に入れたアーマーは本来自分が父親から受け継いだ物であると明かしたが、ジャリンはマンダロリアンの教義に従う者でなければアーマーを渡すことはできないと答えた。そこでフェットはシャンドがグローグーに狙いを定めていることを明かし、話し合いのために互いに武器を下ろすことを提案した。[22]
ジャリンが話し合いに応じると、フェットは父ジャンゴにアーマーを与えたのはマンダロリアンだと告げ、アーマーを渡せばジャリンとグローグーの安全を保障すると持ち掛けた。その直後、グローグーをつけ狙うモフ・ギデオンの帝国軍残存勢力の輸送船がタイソンの上空に姿を現し、フェットとジャリンの交渉は中断された。ジャリンは急いでグローグーのもとへ引き返し、フェットとシャンドは着陸した輸送船から降りてくるストームトルーパー部隊を迎え撃った。フェットはサイクラー・ライフルでトルーパーを1名狙撃すると、丘を登ってきたトルーパー数名をガダッフィ・スティックで撲殺した。シャンドが丘の上から巨大な石を落として敵を混乱させているうちに、フェットは敵の後方に回り込み、ストームトルーパー・コマンダーをガダッフィで仕留めた。その後、彼は輸送船の近くに駐機されている<レイザー・クレスト>の中に、自分のアーマーが保管されていることに気付いた。[22]
アーマーを取り戻して装着したフェットは、大勢のストームトルーパーに囲まれていたシャンドとジャリン(瞑想中のグローグーに触れることができず、戦場に戻ってきていた)のもとへ駆けつけ、爆弾やブラスター・ピストル、デュア24リスト・レーザー、ニーパッド・ロケット・ダーツ・ランチャーなどの各種兵器を駆使して敵を圧倒した。生き残ったトルーパーたちは2隻の輸送船に乗って逃げ出したが、フェットはジェットパックのミサイルでそのうち1隻を撃破し、結果的に残りの1隻も、落下してきた最初の輸送船との衝突で破壊された。ジャリンから腕前を褒められたフェットは、ミサイルが命中したのは狙っていたのとは別の機体だったことを明かした。その直後、<レイザー・クレスト>が大気圏上層にいるギデオンの軽クルーザーからの砲撃で粉々に破壊されてしまった。フェットはシャンドの助言に従い、ジェットパックを噴射して自分の<スレーヴI>に戻った。[22]
ジャリンはシャンドと一緒にグローグーのもとへ急いだが、ギデオンが送り込んだダーク・トルーパーが一足先に寺院跡地に到着し、子供を連れ去ってしまった。<スレーヴI>を発進させたフェットは、グローグーを抱えて飛翔するダーク・トルーパーの後を追った。グローグーに危害が及ばぬよう攻撃は控えつつ、ダーク・トルーパーが戻る先を確かめるため上昇を続けたフェットは、雲の向こうに[22] クラス546クルーザー[37] がいることに衝撃を受けた。彼はシャンドに帝国の復活を知らせると、<スレーヴI>を旋回させて地上に戻った。帝国のクルーザーが去り、ジャリンが<クレスト>の焼け跡の中からベスカーの槍を回収した後、フェットはアーマーに保存されていたチェーン・コードを彼に見せ、父親が紛れもなくマンダロリアンだったことを証明した。ジャリンはフェットがアーマーの正統な所有者であることを認め、取り引きは成立したと告げた。しかしフェットはグローグーの安全を保障するのが取り引きの条件だと答え、帝国から子どもを救出する手伝いを申し出た。[22]
モラック[]
- 「私はISBのお尋ね者だ。私もすぐにばれる」
「フェットは?」
「奴らは俺の顔に気付く、とだけ言っておこう」 - ―フェネック・シャンドとディン・ジャリン、ボバ・フェット[出典]
自分の宇宙船を失ったジャリンは、フェットの<スレーヴI>で惑星ネヴァロの街へ旅した。ジャリンは新共和国の囚人である元帝国軍狙撃手、ミグズ・メイフェルドの力を借りてギデオンの軽クルーザーの座標を突き止めようと考えており、そのためにはまずネヴァロにいる新共和国保安官キャラシンシア・デューンに協力を仰ぐ必要があったのである。[22] デューンをクルーに加えた<スレーヴI>は、メイフェルドが収監されているカーソン・チョップ・フィールズへ移動した(労働キャンプに到着した時点で、フェットのアーマーは再塗装を施されていた)。メイフェルドの情報をもとに、フェットは<スレーヴI>の針路をモラックに取り、この惑星のスキャンを行った。モラックには帝国の精製所が現存しており、フェットはこの施設でライドニウムが加工されていることを見抜いた。[37]
対空砲を避けるため、一行は<スレーヴI>を施設から離れた場所に着陸させ、遠くから偵察を行った。彼らはメイフェルドを帝国の内部端末にアクセスさせる必要があったが、誰がメイフェルドに同行するかで議論になった。精製所は元帝国保安局のメンバー率いる残存勢力によって運営されており、元反乱軍ドロッパーのデューンやお尋ね者のシャンドは辞退した。フェットも同様に、“自分の顔は敵に気付かれる”とだけ告げて断った。結局、ジャリンがメイフェルドと一緒に施設に潜入することになり、マンダロアの道を守るため、ジャガーノート・パイロットのヘルメットで顔を隠すことになった。2人はHCVw A9.2ジャガーノート輸送車で施設へ向かい、シャンドとデューンは後方支援のため施設付近の森に潜み、フェットは脱出時に彼らを回収するため<スレーヴI>で待機した。[37]
ジャリンとメイフェルドが無事にジャガーノート5でT-12トンネルから出発した際、シャンドはフェットに作戦のフェイズ1が完了したことをコムリンクで報せた。その後、精製所で目的の情報を手に入れた2人が建物の窓から出てくると、シャンドは<スレーヴI>の発進をフェットに指示した。<スレーヴI>が精製所に到着するまでの間に、シャンドとデューンは対空砲を操作する帝国軍兵器技術者や、ジャリンとメイフェルドを追いかけるストームトルーパーやショアトルーパーたちを狙撃で始末した。フェットは手はず通り<スレーヴI>を精製所の屋上につけてジャリンとメイフェルドを拾い、すぐに機体を上昇させた。その際、メイフェルドはフェットのサイクラー・ライフルを使ってジャガーノートの貨物室を狙撃し、ライドニウムを爆破して精製所にダメージを与えた。間もなく2機のTIEファイターが現れたが、フェットは客室の2人に機体が揺れることを警告して回避飛行をとり、サイズミック・チャージで敵機を一度に破壊した。その後、シャンドとデューンは森の中で<スレーヴI>と合流し、メイフェルドはその場で自由の身となった。[37]
グローグーの救出[]
- 「あんたはマンダロリアンじゃないね」
「そうだと言った覚えはない」 - ―ボ=カターン・クライズとボバ・フェット[出典]
ギデオンの座標を突き止めた後、フェットが操縦する<スレーヴI>は帝国軍残存勢力のラムダ級T-4aシャトル、2743を襲撃した。このシャトルには帝国のクローン・エンジニアであるドクター・ペン・パーシングが乗り込んでおり、ギデオンの軽クルーザーへ向かっているところだった。2743の背後を取ることに成功したフェットは、イオン兵器でこのシャトルの操縦システムを停止させると、シールド出力を下げてトランスポンダーを切るよう操縦士に呼びかけた。フェットが<スレーヴI>をシャトルとドッキングさせると、デューンとジャリンが船内に乗り込み、パーシングを人質にとった副操縦士を殺害した。クルーザーの内情を知るパーシングと、侵入用のシャトルを確保した一行は、ジャリンの知り合いであるマンダロリアンたちに助けを借りるため、砂漠の星ラフェトへ旅した。目的地に到着すると、フェットは<スレーヴI>をコムルク級ファイター/トランスポートの隣に着陸させた。[28]
フェットとジャリンはラフェトのダイナーに入り、食事をしているナイト・アウルのマンダロリアン戦士、ボ=カターン・クライズとコスカ・リーヴスを見つけた。ジャリンはグローグーをギデオンから取り戻す手助けをしてほしいと頼んだが、クライズは全てのマンダロリアンが賞金稼ぎではないと告げ、依頼を断った。またクライズはフェットがマンダロリアンではないことを見抜き、リーヴスが彼を挑発した。フェットはクライズたちがマンダロア奪還を志していることを“冗談”呼ばわりし、これに怒ったクライズはフェットがマンダロリアン・アーマーに値しないただのクローンだと侮辱した。次の瞬間、リーヴスがフェットに殴り掛かり、取っ組み合いの乱闘が始まった。2人が互いに火炎放射器の炎を向けあった際、クライズはその敵意を同胞ではなく帝国に向けていればマンダロアを失わずに済んだと呼びかけ、戦いを止めた。結局、クライズはギデオンが所有しているダークセーバーと軽クルーザーをもらい受けることを条件に、グローグー救出に手を貸すことに同意した。[28]
パーシングから得た情報をもとに、一行はラムダ級シャトルから遭難信号を発信して軽クルーザーに乗り込み、ギデオンを倒してグローグーを助け出す作戦を立てた。ジャリンとデューン、シャンド、クライズ、リーヴスは侵入用のラムダ級シャトルに乗り込み、フェットは<スレーヴI>で彼らを追跡する役を演じることになった。ハイパースペース航行中、クライズはクルーザーへのドッキング許可が降りたらすぐに離脱するようフェットに告げ、うまく芝居するよう念を押した。また敵の砲台に気を付けろと警告するクライズに対し、フェットは心配は無用だと返した。<スレーヴI>はリアルスペースに出ると同時に銃撃を開始し、ラムダ級シャトルは回避飛行を取りながらクルーザーに着艦許可を求めた。フェットはシャトルがクルーザーの発射チューブに接近するのを見送ると方向転換し、艦載砲の砲撃をかわしながら2機のTIEファイターを仕留め、ハイパースペースへ飛び去った。その後、ジャリンのチームは無事に任務の目的を果たした。[28]
タトゥイーンの大名[]
ジャバの宮殿への帰還[]
- 《ボバ! 死んだと思っていた。よく来たな。噂は聞いているよ》
- ―ビブ・フォーチュナ[出典]
グローグー救出に貢献し、ディン・ジャリンへの借りを返した後、ボバ・フェットとフェネック・シャンドは惑星タトゥイーンに帰還し、ジャバ・ザ・ハットの宮殿を襲撃した。当時、宮殿はかつてジャバの執事長を務めたトワイレックのビブ・フォーチュナによって支配されていた。フォーチュナはフェットが生きていたことに驚き、彼に歓迎の言葉を継げた。しかしフェットは返事をする代わりにフォーチュナを撃ち殺した。彼はフォーチュナの死体を押しのけると、シャンドを脇に従え、宮殿の玉座の新たな支配者となった。[28]
装備[]
ビークル[]
- 「貨物室に閉じ込めてやろうか。空きはあるぞ」
- ―ボバ・フェット[出典]
ジャンゴ・フェットの死後、ボバはファイアスプレー31級哨戒攻撃艇<スレーヴI>の所有権を継承したが[19]、フローラムで手放し、しばらく使用せずにいた期間もあった。[38] そのためクレイツ・クローを率いて活動していた頃、フェットと仲間たちは[39] ボスクの宇宙船であるYV-666軽貨物船[12] <ハウンズ・トゥース>を使用していた。[39] のちにフェットはホンドーから<スレーヴI>を取り戻し、賞金稼ぎのキャリアを通して長きにわたってこの船を使い続けた。[40] フェットが受け継いだ時点で既に、<スレーヴI>にはプロの賞金稼ぎのニーズに応え大幅な改良が施されていた。しかしフェットは自らの手で更なるアップグレードを機体に加えた。例として各種センサーや偏向シールド発生装置、数点の追加兵器が挙げられる。また盗品である軍用のジャミングおよびマスキング装置のおかげで、<スレーヴI>はほとんどのスキャナーによる探知を免れることができた。フェットは腕利きの殺し屋として知られていたが、時には獲物を生け捕りにすることもあったため、この船には6基の拘束寝台を備えた檻が装備されていた。[41]
フェットは<スレーヴI>の圧倒的な装備を駆使し、敵やライバルの重武装の船を撃破してきた。<スレーヴI>にかかればガンボートですら何もできないうちに消し炭になってしまうほどだった。[41] この船は銀河系で象徴的な存在となり、恐るべき賞金稼ぎの所有船として、逃亡者たちのあいだで知れ渡っていた。[40] <スレーヴI>は露出している短距離用のツイン・ブラスター砲を除いて搭載兵器のほとんどを隠蔽しており、一見すると軽武装に見えるため、敵に過小評価されがちだった。しかし数々の機能を隠し持ったこの宇宙船はフェットの最強の所有武器であり、敵がその実力に気づいたときはすでに手遅れだった。<スレーヴI>には二連回転式ブラスター砲のほか、トラクター・ビーム発生装置、イオン砲、震盪ミサイルやプロトン魚雷の発射装置といったさまざまな武器がとうさいされていたが、こうした破壊的な攻撃力は4基のパワー・ジェネレーターによって支えられていた。[41]