ムスタファー(Mustafar)は銀河系のアウター・リム・テリトリーに位置した、小型の火山惑星である。ジェスティファドとレフラニという2つのガス巨星のあいだで不安定な軌道を維持しており、潮汐力によって惑星内部が加熱されている関係で、生き物が定住するのには不向きな過酷な環境になっていた。ムスタファーリアンと呼ばれる原住種族は高熱に耐えることができる頑強な体を持っていた。ムスタファーの地表は溶岩の湖や川に覆われており、貴重な金属資源が溶岩の中に溶け込んで含まれていた。そのため、ムスタファーではおよそ300標準年近くにわたってテクノ・ユニオンによる鉱業活動が行われた。
ムスタファーにはかつてシスの寺院が存在し、犯罪シンジケートのブラック・サンの要塞も築かれていた。銀河共和国時代の末期には、シスの暗黒卿ダース・シディアスがこの惑星の採鉱施設のひとつを秘密拠点として作り変え、幼いフォース感応者の誘拐計画に利用した。クローン戦争中、元シス卿のダース・モールはムスタファーでブラック・サンの幹部を抹殺し、残った戦力を自分の犯罪同盟に加えた。戦争終盤の19 BBY、シディアスは独立星系連合の指導者である分離主義評議会のメンバーをムスタファーに集め、弟子のダース・ヴェイダーに命じて彼らを一度に始末した。その直後、ヴェイダーはこの惑星でジェダイ・マスターのオビ=ワン・ケノービと対決し、敗北して重傷を負った。
帝国時代、かつてシスの洞窟があった場所にダース・ヴェイダーの城が築かれた。この時代、帝国によって捕らえられたジェダイの生存者は、尋問と処刑のためムスタファーへ運ばれた。4 BBY、グランドモフ・ウィルハフ・ターキンによって生け捕りにされたジェダイのケイナン・ジャラスがムスタファーへ運ばれた。しかし彼が所属するゴースト・チームの反乱者たちが救出に駆けつけ、惑星軌道上のインペリアル級スター・デストロイヤー<ソヴリン>で戦闘が発生した。ケイナンはこの戦いで大尋問官を倒し、フェニックス反乱分子の助けを借りて、仲間たちとともに逃亡した。
特徴[]
火山惑星ムスタファーは銀河系の中心領域から遠く離れたアウター・リム・テリトリーのアトラヴィス宙域[2]、ムスタファー星系に属した。[3] 衛星は持たず、公転周期は412日。直径は4,200キロメートルと小型で、ジェスティファドとレフラニという2つのガス巨星のあいだに挟まれ、両方からの重力が均衡している地点でバランスを保っていた。双子の惑星であるジェスティファドとの距離はかなり近く、常にムスタファーを衛星として取り込もうとしている状態だったが、レフラニの重量場によって逆方向に引っ張られ[8]、不安定な軌道を維持していた。[9] ムスタファーの地表に過酷な火山の環境が広がっていたのは、2つのガス巨星による引っ張り合いが原因であり、惑星の内部が潮汐力で加熱されていた。[8]
ムスタファーの地表には、途切れなく噴出する火山と黒曜石の山脈[8]、溶岩の湖と川が広がっていた。[9] ムスタファーの火山気流とジェスティファドの強力な電磁場は火山灰、サイクロンのような上昇気流、熱風、巨大な稲妻嵐に満ちた荒々しい大気を作り出した。ムスタファーは知覚種族が進化を遂げる場所としてはもっとも過酷な環境を有する惑星のひとつだったが[8]、高熱に耐性がある屈強な体を持った原住種族、ムスタファーリアンが住んでいた。[9] ムスタファーリアンは山脈の洞窟に住む節足動物から進化し、キチン質の外骨格を備え、水をあまり必要としなかった。[8] ムスタファーリアンにはそれぞれ別個に進化を遂げた南部および北部ムスタファーリアンという2つの亜種があり、北部の方が高温への耐性が高かった。[19] また、ムスタファーにはラヴァ・フリーや[16] ログウォート[18]、ラヴァ・イール、ザンダンクなどのクリーチャーも棲息していた。[17]
ムスタファーの内部からは、希少な元素や金属を豊富に含んだ溶岩が絶え間なく吹き出していた。ムスタファーは溶岩流に溶け込んだ高価な金属のおかげで銀河文明から見落とされずに済み、テクノ・ユニオンによる採掘活動が行われるようになった。ムスタファーの溶岩には比較的低温で溶解する珍しい鉱物同素体が含まれており、その温度は摂氏800度(華氏1500度)で、通常の溶岩よりも低かった。しかし高温の地表が無防備な施設や生き物を焦がしてしまうため、ムスタファーの建物、採鉱プラットフォーム、ロボットは、いずれも高熱を反射し、溶岩流の絶え間ない噴出を抑制するリパルサーリフト・スクリーンによって保護されていた。[8] 剛健な体を持つムスタファーリアンも、溶岩流のそばで働く際には断熱アーマーで体を覆う必要があった。[19]
またこの惑星では電磁波の干渉によってスキャナーが使えず、スターシップの航行機器や制御システムも影響を受けた。そのためムスタファーに着陸するには、鉱山施設に備わった特殊なシールドで保護された着陸支援装置がなければ、大きな危険を強いられることになった。鉱山施設では安全のために考案されたガイダンスおよびトラクター・ビームを使用し、軌道に現れたスターシップを着陸地点まで誘導した。[8]
歴史[]
古代[]
クローン戦争の数世紀前、ムスタファーの首都であるフラリデジャは火山噴火の被害に遭い、地域住民はほとんど滅んだ。しかしその後もフラリデジャは数少ないムスタファーリアン居住地のひとつとして機能した。[8]
やがてムスタファーはテクノ・ユニオンに占有され、銀河共和国末期までおよそ300年にわたって採掘活動が行われた。[8] 惑星の固有知覚種族である北部および南部ムスタファーリアンはテクノ・ユニオンと契約を結び、溶岩流から貴重な鉱物を採取・売却していた。[19] 古代、ムスタファーにはシスのテンプルが存在した。[8] また、この惑星にはフォースのダークサイドが強いシスの洞窟と呼ばれる場所もあった。[24]
クローン戦争期[]
クローン戦争の時代、シスの暗黒卿ダース・シディアスはムスタファーにある昔の鉱山施設に秘密の拠点を築いていた。ムスタファーにはテクノ・ユニオンの採鉱施設や採鉱の街、ブラック・サン・シンジケートの要塞などが点在したため、シディアスの拠点は目立たなかった。[8]
21 BBY、シディアスはデュロスの賞金稼ぎキャド・ベインを雇い、銀河系各地で誘拐したフォース=センシティブの子供たちをムスタファーの秘密施設へ運ばせた。しかし惑星ナブーでベインを逮捕したジェダイ・ナイトのアナキン・スカイウォーカーとパダワン・アソーカ・タノがベインの宇宙船<ザナドゥ・ブラッド>を調査し、この賞金稼ぎがムスタファーに寄港していたことを突き止めた。シディアスは証拠隠滅のため、現地にいるナニー・ドロイドのRO-Z67に命じて秘密施設を溶岩に沈めさせ、子供たちだけを連れ出そうとした。しかしアナキンとアソーカは幼いフォース感応者のジン・トアとウィー・ダンを救い出し、間一髪で崩壊する施設から脱出した。[13]
19 BBY、クローン戦争で再台頭を果たしたシス卿ダース・モールは、自ら組織した“シャドウ・コレクティヴ”にブラック・サンの戦力を引き込むため、弟のナイトブラザー・サヴァージ・オプレスやデス・ウォッチの指導者プレ・ヴィズラとともにムスタファーにある要塞を訪れた。ブラック・サンが協力を拒否したため、オプレスはゾミット・グランセイトをはじめとする統治評議会のメンバーをライトセーバーで皆殺しにし、残ったジットン・モジ保安主任を無理やり味方につけた。[12]
19 BBY、クローン戦争終結時、シディアスはグリーヴァス将軍に命じて、独立星系連合を率いる分離主義評議会のメンバーをムスタファーの採鉱施設に移動させた。その後、シディアスは新しく弟子にしたばかりのダース・ヴェイダーをムスタファーに派遣し、分離主義勢力の幹部を皆殺しにした。ヴェイダーはこの惑星でジェダイ・マスター・オビ=ワン・ケノービと対決し、敗北して重傷を負った。
帝国時代[]
クローン戦争終結後、銀河帝国がムスタファーの支配権を握った。当時、ダース・ヴェイダーがオーダー66を生き延びたジェダイをムスタファーへ連れて行き、拷問にかけて処刑しているという噂が流れていた。
ヤヴィンの戦いの4年前、グランドモフ・ウィルハフ・ターキンとインペリアルI級スター・デストロイヤー<ソヴリン>に率いられた帝国軍艦隊がムスタファーに配置されていた。<ソヴリン>はスペクターズがケイナン・ジャラスを救出した際に破壊された。
住民[]
惑星ムスタファーの人口は20,000人で、原住種族であるムスタファーリアンの他に、テクノ・ユニオンの鉱山管理スタッフや技術者たちが居住していた。ムスタファーの居住区を構成するムスタファーリアンの建築物は、彼らの文化を象徴する植物、カヘル洞窟キノコの形をヒントに作られていた。首都はフラリデジャだが、クローン戦争の数世紀前に発生した火山噴火によって地域の住民はほとんど滅んでいた。[8] また、クローン戦争の時代にはブラック・サン・シンジケートのメンバーが[12]、帝国時代にはシス卿のダース・ヴェイダーが、ムスタファーにあるそれぞれの拠点に住んでいた。[14]
制作の舞台裏[]
設定の変遷[]
ムスタファーはもともと、『スター・ウォーズ コンプリート・ロケーションズ』(2016年)をはじめとする複数の正史資料で衛星を持たない星であると説明されていた。[4][8] 2019年、TVゲーム『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』にて、ムスタファー星系に属す衛星ナーが初めて登場した。この時点ではナーがどの惑星の月であるかは明言されておらず[25]、直後に発売された『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け ビジュアル・ディクショナリー&クロスセクション』でもムスタファーの衛星の数は0とされていた。[15] しかし2022年、公式サイト StarWars.com に掲載された記事で、ナーはムスタファーの月であると解説された。記事の著者はルーカスフィルム ストーリー・グループのエミリー・シュコウカニ。[5]
登場作品[]
参考資料[]
脚注[]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 Mustafar - エンサイクロペディア (バックアップ・リンク - Archive.org)
- ↑ 2.0 2.1 アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
- ↑ 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン 第17号 (銀河系ガイド:ムスタファー訪問)
- ↑ 5.0 5.1 Star Wars Inside Intel: The Inquisitorius - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ スター・ウォーズ/フォースの覚醒 ビギナー・ゲーム
- ↑ 7.0 7.1 7.2 Star Wars THE GALACTIC EXPLORER’S GUIDE
- ↑ 8.00 8.01 8.02 8.03 8.04 8.05 8.06 8.07 8.08 8.09 8.10 8.11 8.12 8.13 8.14 8.15 8.16 スター・ウォーズ コンプリート・ロケーションズ
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 Mustafar - 公式データバンク
- ↑ Vader Immortal: A Star Wars VR Series – Episode I
- ↑ Vader Immortal: A Star Wars VR Series – Episode III
- ↑ 12.0 12.1 12.2 12.3 12.4 12.5 クローン・ウォーズ – 悪の同盟
- ↑ 13.0 13.1 13.2 クローン・ウォーズ – フォースの子供たち
- ↑ 14.0 14.1 14.2 ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
- ↑ 15.0 15.1 15.2 スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け ビジュアル・ディクショナリー&クロスセクション
- ↑ 16.0 16.1 16.2 16.3 16.4 16.5 きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック
- ↑ 17.0 17.1 17.2 スター・ウォーズ ギャラクティック アトラス
- ↑ 18.0 18.1 18.2 スター・ウォーズ:ナー・シャッダの決斗
- ↑ 19.0 19.1 19.2 19.3 スター・ウォーズ キャラクター事典 完全保存版
- ↑ スター・ウォーズ キャラクター事典 最新完全版
- ↑ 21.0 21.1 ダーク・ディサイプル
- ↑ ベイダーの城の物語 5:ダース・ベイダーの恐怖
- ↑ 反乱者たち – チームの絆
- ↑ スター・ウォーズ:シスの暗黒卿 帝国の爪牙
- ↑ Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー