ルーヌー(Loonoo)、通称オネスト・ルーヌー(Honest Loonoo)は衛星ナー・シャダーに住んでいた男性の詐欺師で、ボス・ギャランドロのクルーの犯罪計画人である。10 BBY以前、彼はヴァーシニアス・リポジトリで行われた強奪作戦の取りまとめを行った。作戦は成功し、ギャランドロ一味は本来の標的である財宝コードリーチに加え、海賊女王マズ・カナタに起源を持つ日誌『スマグラーズ・ガイド』を手に入れた。この思いがけない戦利品の価値に気づいたルーヌーは、ギャランドロを裏切って日誌を持ち逃げし、ナー・シャダーに戻った。彼はしばらくの間コレリアン地区でリブ=キャットたちと一緒に生活を送ったが、仕事の失敗が続いて困窮し、『スマグラーズ・ガイド』を狙う者につけ回されているという被害妄想に囚われた。彼は『ガイド』を売ってナー・シャダーを去る計画を立てたが、実行に移す前に犯罪者のスクルールと遭遇して日誌と有り金を奪われてしまった。
経歴[]
ヴァーシニアスの盗み[]

ルーヌーの住処があったナー・シャダー
“オネスト”(正直者)ルーヌーは衛星ナー・シャダー出身の詐欺師で、帝国時代に活動した。ルーヌーはパイロットたちに加速カウチを売ると持ちかけ、寸法を測るため彼らの貨物船に乗り込んだ際に、船長の目を盗んで船内にあるものを盗むなどの悪事を働いていた。やがて彼はボス・ギャランドロ率いる犯罪クルーの一員となり、犯罪計画のフィクサーとして、仕事に必要な人員や戦力の取りまとめを行った。10 BBY以前、ルーヌーはガス巨星クレリオンに浮かぶヴァーシニアス・リポジトリからコードリーチと呼ばれる財宝を盗み出す計画を立てた。クライアントはコードリーチに1,575,000クレジットを支払うと申し出ており、ルーヌーは分け前として20パーセントを受け取ることになった。“ヴァーシニアスの盗み”にはルーヌーとギャランドロに加え、パイロットのロラリン・ウィーラー、封印破りのバンデン・スターシェイパー、スライサーのナーシトン、妨害役のシンナー・プロコフ、侵入役の双子のキリッツとクリングらが参加した。[1]
盗みは成功し、ギャランドロ一味はヴァーシニアス・アグロメレーション社が管理するリポジトリから、ヘクスヴォールトと呼ばれる保管倉庫を丸ごとひとつ奪って貨物船で逃げ去った。ヘクスヴォールトにはコードリーチのほかに、『スマグラーズ・ガイド』と呼ばれる日誌も保管されていた。この本はもともと海賊女王マズ・カナタの日誌として始まり、その後の複数の所有者たちによってさまざまな情報や記録が付け加えられていた。『スマグラーズ・ガイド』がヴァーシニアス・リポジトリに保管されていたのは、直近の所有者であるブラック・サンの奴隷屋がカルセドンのサイクロ市場でヴァーシニアス競売及び遺物収集組合に日誌を譲ったためであるが、ルーヌーにはその理由が見当もつかなかった。[1]
仕事が終わり、プロコフがクライアントと報酬支払の調整を行う中、ギャランドロは今回の仕事を『スマグラーズ・ガイド』に記録するようルーヌーに命じた。ボスは記録を取ることで自分たちの仕事を最適化し、次の強奪作戦につなげたいと考えていたのである。ルーヌーはボスの指示に従い、ヴァーシニアスの盗みの一部始終を記録した。またギャランドロはすでに次の仕事を取り付けており、ルーヌーはその事前情報の記録も行った。しかしこの仕事は、惑星サヴァリーンのドライ・ガルチ村をベルウイング・ギャングから防衛するというものであった。ルーヌーは、ギャングと戦うために少なくとも12名のガンスリンガーと、宇宙船の所有権を手に入れる必要があると日誌に書き記した。[1]
裏切りと困窮[]

ルーヌーがナー・シャダーで餌付けていたリブ=キャットの1匹、スモーキー
やがてルーヌーは『スマグラーズ・ガイド』の真の価値を悟り、ギャランドロからこの本を盗んでサヴァリーンから逃げ出した。彼は故郷であるナー・シャダーのコレリアン地区に帰り、これからはギャランドロといた時のような長丁場の仕事は控え、家のそばに留まることを決意した。また同時に、彼は『スマグラーズ・ガイド』に個人的な日誌を書き加えていった。彼はコレリアン地区の住処でリブ=キャットのアッシズとモリー、ミキシー、グリッシュ、スモーキーたちと同居していた。ナー・シャダーに戻って間もない頃、ルーヌーは宇宙港でお馴染みの詐欺を働き、アーゴウの信用証明書やサヴァリーン・ブランデーを手に入れた。[1]
ルーヌーは『スマグラーズ・ガイド』を売却するため、日誌の画像を鑑定機関に送った。返事を待つ間、宇宙港のセキュリティは厳しくなったが、ルーヌーは金に困りながらもリブ=キャットの餌を買い続けた。ある時、彼はヘイジアン溶解鉱と偽って金属でコーティングしただけのただの岩をラサットに売りつけたが、早々に気づかれてトラブルに陥った。それ以来、彼は同様の詐欺を控えるようになった。その後、彼はランダムに選んだ100件のレストランに医療費の請求書を送り、店の料理のせいで病気になったとクレームをつけた。実際に医療費を支払ったのは2件だけだったが、ルーヌーはヴァイタブロックスを買ったうえでパーラー・スープ1杯分をまかなえるだけの金を手に入れた。しかしスープに入っていたはずの茹でたモモングの頭は、パンの塊を頭の形にこねただけであることが分かった。しかしルーヌーはこっちの方がいいと開き直り、猫たちのためにスープを残した。[1]
首の痛みがひどくなったルーヌーは、サルヴェージ・ステーションのバザーで元ジェダイ・パダワンを名乗る男に騙され、“生けるフォース霊薬”を売りつけられた。のちに彼はこの品が雨水に金属片を混ぜただけのまがい物だと気づいた。彼はリブ=キャットを養う金を稼ぐため、メガブロック65でスパイスのたまり場を経営するレンシュと、魅力的なゼルトロンのアフラスと協力し、“スパイス窟の詐欺”を働くことに決めた。ルーヌーが立てた計画は、アフラスが星外からやってきた男をたまり場へ連れ込み、レンシュが安い品を出して10倍の値段を吹っ掛けるというものだったが、この2人はルーヌー抜きでも計画を実行できることに気づいてしまい、発案者のルーヌーは金を手に入れることができなかった。鑑定機関からは依然として返事がなく、ルーヌーは『スマグラーズ・ガイド』が貴重であるがゆえ彼らが横取りを企てているという被害妄想に囚われた。[1]
誰かが自分を追っていると考えたルーヌーは、住処を放棄する計画を立てた。バミー・デクリーに頼めば税関を通ることなくナー・シャダーの外に出られることを知っていたルーヌーは、デクリーに支払う前金を工面するため、『スマグラーズ・ガイド』の買い手を探した。彼はこの日の日誌に「その場で現金で払ってくれる買い手が見つかれば、自分の日記はこれで終わりになるだろう」と書き綴った。実際、彼の記述はこれが最後となったが、買い手を見つけられたわけではなく、バミーのスペースバーンの外にいたところを犯罪者のスクルールに襲われ、『スマグラーズ・ガイド』を奪われてしまった。スクルールは日誌だけでなく、わずかばかりの通貨と自由貿易用の地金、そしてレベル220にあるアニマル・エンポリアムのお客様カードをルーヌーから取り上げた。[1]
その後[]
スクルールはルーヌーから盗んだ『スマグラーズ・ガイド』を自分の物にしたが、のちに武器商人のエファント・モンによって奪い取られた。この日誌はその後も多くの人々の手を渡り、新たな所有者たちが過去の所有者の記述を読み返し、独自の見解を書き加えた。ルーヌーが書き記したヴァーシニアスの盗みに関するページには、ハン・ソロやドクター・チェリ・ローナ・アフラによる記述が加えられた。またルーヌーがナー・シャダーで記した日誌には、ランド・カルリジアンやサナ・スタロス、そしてアフラのコメントが加えられた。なかでもアフラは、サルヴェージ・ステーションでまがい物を購入してしまったルーヌーの日誌に、自分が何を探しているのかよく理解していれば、サルスタ#42でちゃんとした品を買えたはずだとコメントをつけた。[1]
人物[]

ルーヌーがギャランドロを裏切り、そして被害妄想に取りつかれるきかっけとなった『スマグラーズ・ガイド』
詐欺師であるルーヌーには“詐欺で傷つく者はいない”という持論があった。なぜなら詐欺師は金を得ることができ、騙された者は教訓を得ることができるためである。しかしそんな彼自身たびたび詐欺のカモにされており、詐欺師が詐欺にかかるのは苦い経験であると、先述の持論とは矛盾する内容を日誌に書き綴っていた。彼は自分のあだ名であるオネスト(正直者)について、カモの半分はこの言葉を額面通りに受け取り、残りの半分は嘘だと知りながら、それを正直に打ち明けた自分に対していずれにせよクレジットを渡してしまうのだと日誌に記した。また彼は日記の中で、かつてジェダイが言っていたようにフォースが光と闇のバランスをとっているなら、自分たちは賢者と愚者に振り分けられるはずであり、後者の方がずっと人数が多いと述べていた。[1]
ルーヌーは、ボス・ギャランドロと違って犯罪行為の記録を残すことに乗り気ではなかった。彼は犯罪を記録することは逮捕のリスクを増大させるうえ、『スマグラーズ・ガイド』には他に興味深い内容がたくさん載っているのに、誰が自分たちの強奪作戦を気にかけるだろうかと考えていたのである。ギャランドロを裏切った後、ルーヌーは彼について「ほとんどの場合、まあまあなボスだった」と日誌に書き綴った。[1]
ルーヌーはコレリアン地区にあるレストランの水槽の下の、換気用の隙間を住処にしていた。そのため彼は家で寝る時はいつも、群れで動くニードルバスカーやトゲのあるクラスティック、触手を持つモン・カル・オクトポッドといった生き物たちの暗い影が、青い光の中を泳ぎ回るさまを見上げていた。またルーヌーは水槽の海水循環装置の音も気に入っていた。装置の音が、ブラッドフィン・ヘリオンズのスウープが夜明け前にガレージに戻ってくるたび轟くエンジン音を遮断してくれたためである。[1]
ルーヌーは金に困っていた時もリブ=キャットの餌を買い続けた。しかし彼は、自分のねぐらにリブ=キャットが寄り付く理由は猫除けの肉球スパイクが仕掛けられていないからであり、彼らの目当てが自分ではなく餌であることも理解していた。この頃、彼は貧困にあえぎ、『スマグラーズ・ガイド』を狙う者につけ回されているという被害妄想を抱いて誰も信じられなくなっていた。『スマグラーズ・ガイド』を所有していた当時、ルーヌーは老齢に達しており、スクルールは彼のことを“老いぼれ”(old guy)と描写している。[1]
制作の舞台裏[]
ルーヌーは2018年に発売された正史の設定資料集『スター・ウォーズ:スマグラーズ・ガイド』(ダニエル・ウォーレス著)で初めて言及された。本書はスター・ウォーズ世界のさまざまなキャラクターによって書かれた“イン=ユニバース”作品の体裁をとっており、ルーヌーも著者のひとりである。[1]