- 「分かるだろう、誰もが自由を求めていると思っているが、実際に求めているのは秩序だ。彼らもいずれはそれに気づき、両手を広げて我々を迎えるはずだ」
- ―ヴァリン・ヘス[出典]
ヴァリン・ヘス(Valin Hess)は人間の男性で、銀河帝国および帝国軍残存勢力に仕えた将校である。帝国地上軍の将軍だったヘスは、銀河内戦終盤の4 ABYにシンダー作戦に参加し、惑星バーニン・コンで攻撃を指揮した。彼はこの戦いで自らが指揮する師団を犠牲にし、街ひとつを丸ごと滅ぼした。新共和国時代、ヘスは惑星モラックの帝国精製所で帝国軍の残党に仕えた。9 ABY、ヘスのかつての部下である元帝国軍狙撃手のミグズ・メイフェルドが、モフ・ギデオンの軽クルーザーの座標を手に入れるため、マンダロリアンのディン・ジャリンとともにジャガーノート・パイロットに変装してモラックの精製所に潜入した。
ジャリンが精製所の中にある将校用食堂のコンピューター端末から情報を手に入れた直後、ヘスは彼に話しかけ、TKナンバーを尋ねた。メイフェルドはジャリンに助け舟を出すため、やむを得ず元上官の前に姿を現し、変装がばれないよう調子を合わせて嘘をついた。メイフェルドはこの2人の“トルーパー”に一緒に飲もうと持ち掛け、席について会話を交わした。ヘスが何に乾杯すべきか悩んだ際、メイフェルドはシンダー作戦に乾杯してはどうかと提案した。これがきっかけとなり、ヘスとメイフェルドはそれぞれ指揮官と兵士として参加したバーニン・コン攻撃について振り返ることになった。ヘスは戦いで死んだ人々は“大いなる善のための小さな犠牲”だと語り、彼らは自ら死を招いたに過ぎないと断じた。しかしヘスが帝国に乾杯するためカップを上げた瞬間、メイフェルドはこの元上官をブラスター・ピストルで撃ち殺した。
経歴[]
銀河内戦[]
- 「つらい一日だった。苦痛の決断をいくつも下さなくてはならなかった」
「でしょうね。ひとつの街が住民もろとも一瞬で消えた。我々の師団も同じ日に全滅でした。犠牲者は5千から1万人ほど」
「ああ、全員帝国の英雄だ」
「ええ、全員死んだ」 - ―バーニン・コン攻撃を振り返るヴァリン・ヘスとミグズ・メイフェルド[出典]
銀河帝国が銀河系を支配した時代、人間男性のヴァリン・ヘスは帝国地上軍において上層部の将軍を務め[4]、師団の指揮官を務めていた。[2] 銀河内戦中の4 ABYに[5] 銀河皇帝シーヴ・パルパティーンがエンドアの戦いで命を落とすと、帝国軍は皇帝の遺志である終末司令に着手し[6]、ヘスもシンダー作戦に参加することとなった。[2]
ヘスは自らの師団を指揮し[2]、アウター・リム・テリトリーのアノート宙域に属す惑星[7] バーニン・コンで攻撃作戦を行った。この戦いで、民間人たちは家と自由を守るために抵抗したが、ヘスは街ひとつを丸ごと滅ぼし去る決断を下した。またその過程で、ヘスの師団は5,000から10,000人もの犠牲者を出すこととなった。[2] 帝国と新共和国が繰り広げた戦争の終盤、ヘスは複数の攻撃作戦で重要な役割を果たし、大規模な被害をもたらした。[8] しかし結局、帝国は5 ABYに惑星ジャクーで大敗を喫し、戦争は終結した。[5]
メイフェルドの復讐[]
2人のトルーパー[]
新共和国時代、ヴァリン・ヘスは惑星モラックを拠点とする帝国軍残存勢力の将校のひとりとなっていた。元帝国保安局局員たちに率いられたこの帝国軍残党は、燃料物質ライドニウムの精製所を運営し、新共和国の混乱期に秘かに力を蓄えていた。[2] 9 ABY[5]、ライドニウムを精製所へ運ぶHCVw A9.2ジャガーノート輸送車がシャイドップ海賊団による襲撃を受けた。複数の車両が襲撃で破壊されたが、ジャガーノート5だけは無事に精製所に帰還し、兵士たちから祝福を受けた。この時、ヘスは施設内にある将校用の食堂で別の軍人と会話していた。モラックの帝国軍人たちは気付いていなかったが、ジャガーノート5を運転してきた2人のトルーパーは、精製所に潜入するためジャガーノート・パイロットに変装したマンダロリアンのディン・ジャリンと、元帝国軍狙撃手ミグズ・メイフェルドだった。かつてヘスの部下だったことがあるメイフェルドは、食堂に元上官の姿があることに気付いた。[2]
ジャリンとメイフェルドがモラックにやってきた目的は、モフ・ギデオンの軽クルーザーの座標を突き止めることであり、そのためには将校用食堂にあるコンピューター端末にアクセスする必要があった。本来それはメイフェルドの役割だったが、彼はヘスに気付かれることを恐れて任務の中断を提案した。ヘスは食堂の入り口で会話する2人の“ジャガーノート・パイロット”に視線を送り、メイフェルドの代わりに端末を使用することになったジャリンが敬礼しながら食堂に入ってくるのを見守った。ヘスはその後もこのパイロットを遠くから見続け、彼がヘルメットをかぶったまま端末を使用したため認証に失敗し、再度アクセスしてようやく成功したのを目撃した。ジャリンが目的を果たして端末を離れた時、ヘスはこのトルーパーに声をかけた。彼は上官の呼び止めを無視しようとしたジャリンに近づき、TKナンバーを言うよう迫った。[2]
ヘスの質問に口ごもってしまったジャリンに助け舟を出すため、メイフェルドは元上官の前に姿を現し、ジャリンの識別番号はTK-593で、自分はインペリアル・コンバット・アサルト・トランスポートの中尉TK-111だと自己紹介した。またメイフェルドは、TK-593はタナブで船の減圧に遭ったため耳が悪いのだと嘘をついた。そこでヘスは大声を出してジャリンに名前を尋ねたが、またしてもメイフェルドが代わりに答え、彼のことは“ブラウン・アイズ”と呼んでいると教えた。メイフェルドはTPSリポートを提出してパワー・コイルを再充電する必要があるとジャリンに告げ、そのまま部屋を出ようとしたが、ヘスは退去を許した覚えはないと告げた。ヘスはこの2人が今日の輸送任務を唯一やり遂げたジャガーノート5のパイロットであることを確認すると、一緒に一杯飲もうと誘った。[2]
帝国に乾杯[]
- 「大いなる善をもたらす小さな犠牲だ」
「それは立場によるでしょう、違いますか」
「何が言いたい、トルーパー?」
「あの時死んだ彼ら。そのひとりひとりにとっても善ですか? ん? その家族や俺の仲間たちにとっても? 住民たち、あの泥まみれの貧しい人々は家や自由を守るために戦って死んだ。それも善ですか?」
「我々が生き延びるためだ。彼らは自ら死を招いた。新共和国は無秩序で、我々は力を増している」 - ―ヴァリン・ヘスとミグズ・メイフェルド[出典]
ヘスは(メイフェルドがかつての部下であることには気づかないまま)2人のトルーパーと一緒にテーブルにつくと、何に乾杯したらよいかと彼らに尋ね、“健康に”とか“成功に”などのように決まりきった形は避けたいと語った。続けてヘスは“ブラウン・アイズ”に出身地を尋ねたが、メイフェルドが会話に割って入り、先ほどの質問に対して、シンダー作戦に乾杯するのはどうかと提案した。ヘスはトルーパーが自分の歴史に詳しいことを褒めたが、メイフェルドはバーニン・コンで実際にシンダー作戦を体験したのだと明かした。当時のことを振り返り、ヘスは“苦渋の決断”をいくつも下さなければならない辛い一日だったと語った。メイフェルドが師団の戦死者たちについて言及すると、ヘスは彼らは全員帝国の英雄だと答えた。[2]
ヘスは自分の決断によって失われた命は“大いなる善のための小さな犠牲”であると語ったが、メイフェルドはそれは立場しだいだと反論した。ヘスから要点を言うよう迫られたメイフェルドは、死んだ仲間たちやその家族にとっても“善”と言えるのか、家や自由を守るために戦って死んだバーニン・コンの住民についても同じことが言えるのかと問いかけた。しかしヘスは、彼らが死んだことで自分たちは生き延びたのだと答え、彼らは自ら死を招いたに過ぎないと断言した。またヘスは混乱状態にある新共和国とは対照的に、自分たち帝国軍残存勢力は力を増していると語り、ジャガーノート・パイロットたちが運んできたライドニウムがあれば、バーニン・コンすら比較にならないほどの破壊をもたらせると告げ、そうなれば人々も再び帝国を求めるだろうと付け加えた。[2]
話を終えると、ヘスは帝国に乾杯を捧げながらコップを上げた。ところが次の瞬間、メイフェルドがSE-14r軽連射式ブラスターを引き抜いて元上官の胸を撃った。ヘスは絶命して床に倒れ、食堂は一瞬のあいだ凍り付いた。メイフェルドはすぐさま食堂に居合わせたショアトルーパーや将校たちを撃ち、ジャリンも連射式ブラスターを手にして加勢した。その後、ジャリンと一緒に帝国精製所から脱出を果たしたメイフェルドは、サイクラー・ライフルを使って施設の屋上に駐機されているライドニウム輸送車を狙撃し、精製所に打撃を与えた。[2]
人物[]
- 「上官に呼ばれたらちゃんと返事をしろ」
- ―ヴァリン・ヘス[出典]
ヴァリン・ヘスは白色人種の人間男性で、目は青色、髪は茶色だった。バーニン・コンの攻撃に参加した際、ヘスは街ひとつを丸ごと滅ぼす決断を下したが、大いなる善のための小さな犠牲だと割り切っていた。また彼は、人々は自由を求めているようでいて、本当に求めているのは秩序であると考えており、そのためいずれ帝国の復活が歓迎される日が来ると信じていた。ジャリンとメイフェルドが帝国精製所の食堂に現れた際、ヘスは興味深く彼らに目を向け、ジャリンがコンピューター端末の操作に手間取る様子を見守った。ヘスはジャリンのTKナンバーや名前をしつこく問いただし、メイフェルドがジャリンを連れて行こうとした際も、許可なく去ることを禁じた。しかし彼は2人のトルーパーがライドニウム運搬に成功したパイロットであることを確認すると、成功を祝して一杯飲もうと持ち掛けた。[2]
ジャガーノート・パイロットたちと一緒に席に着いた時、ヘスは何に乾杯すべきか迷い、決まりきった文句は避けたいと考えた。またメイフェルドがシンダー作戦について言及した際、ヘスはこの“トルーパー”が自分の歴史に詳しいと褒めた。ヘスはバーニン・コン攻撃の際に下した“苦渋の決断”を振り返りつつも、師団の5,000から10,000人もの兵士を犠牲にしたことを悪びれる様子はなかった。メイフェルドはヘスの言う“大いなる善”は見方の問題に過ぎないと反論し、あの日死んだ人々にとっては善でもなんでもなかったはずだと指摘した。しかしヘスは彼らの犠牲があってこそ自分たちが生きていると告げ、彼らは自ら生を捨てたのだと語った。[2]
装備[]
- 「お前たちが運んだライドニウムさえあれば、バーニン・コンなど比べ物にならない大打撃をもたらせる」
- ―ヴァリン・ヘス[出典]
ヴァリン・ヘスは標準的な灰色の帝国軍の軍服を身に着け、帝国軍ケピ帽をかぶり、黒いブーツとグローブ、銀色のバックルが付いた茶色のベルトを付けていた。また彼は左肩のスリットにコード・シリンダーを差していた。ヘスの左胸の階級プレートには、上段に赤いバーが4つ、下段に青いバーが4つ付属していた。また彼は右の腰のホルスターにSE-14r軽連射式ブラスターを携帯していた。[2]
制作の舞台裏[]
ヴァリン・ヘスは実写TVシリーズ『マンダロリアン』シーズン2第7話『チャプター15:信奉者』(リック・ファミュイワ監督)で初登場を果たした。本作は2020年12月11日に Disney+ で配信が始まった。俳優はリチャード・ブレイクで、デイン・ファーウェルがスタント・ダブルを務めた。[2]
登場作品[]
- マンダロリアン – チャプター15:信奉者 (初登場)
参考資料[]
脚注[]
- ↑ 『スター・ウォーズ タイムライン』によればヴァリン・ヘスの最期が描かれた『チャプター15:信奉者』の時系列は9 ABYである。
- ↑ 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 2.12 2.13 2.14 2.15 2.16 2.17 2.18 2.19 2.20 2.21 2.22 マンダロリアン – チャプター15:信奉者
- ↑ 3.0 3.1 3.2 スター・ウォーズ キャラクター事典 最新完全版
- ↑ Valin Hess - 公式データバンク
- ↑ 5.0 5.1 5.2 スター・ウォーズ タイムライン
- ↑ Star Wars バトルフロント II
- ↑ スター・ウォーズ・アップライジング
- ↑ スター・ウォーズ:マンダロリアン ハンドブック