ヴァルプティシーズ(Vulptices)、単数形でヴァルプテックス(Vulptex)は鉱物が豊富な惑星クレイトに住むキツネに似たクリーチャーである。塩平原の地下の巣穴や、高所の洞窟に棲息した。ヴァルプテックスは白い結晶構造の“毛”を生やしていた。この毛は外敵からの保護や、狭い場所を通り抜けられるか判断するのに役立った。彼らは群れで行動し、好奇心が強く、自分たちの縄張りに現れた知覚生物に対しても友好的だった。
クレイトの戦いより何十年以上も前、異種生物学者のドクター・パキン・メソリはヌパユニ採鉱組合のためにヴァルプテックスの野外調査を行い、この動物の生態をまとめた。メソリはヴァルプテックスが“毛”を鳴らすことで音を立て、互いにコミュニケーションをとっている可能性を指摘した。反乱同盟がクレイト前哨基地を放棄した後、ヴァルプテックスの群れが無人となった施設に住み着いた。35 ABY、ファースト・オーダーから逃げるため前哨基地に避難したレジスタンスのメンバーは、よそ者が現れたことに戸惑うヴァルプテックスと遭遇した。しかしヴァルプテックスは戦いに敗れたレジスタンスの生存者たちを基地の奥の洞窟へ案内し、ファースト・オーダーから逃れるための抜け道を示した。
生態と特徴[]
ヴァルプテックスはキツネのような外見をした[6] イヌ科の小型動物である。鉱物の惑星クレイトに生息し、4足歩行の柔軟な体を備えた。身体を覆うクリスタルの剛毛(bristles)ないしトゲ(spines)が最大の特徴である。[1] この結晶質の“毛皮”は外敵から身を守るための防衛メカニズムとして進化したものであり[5]、鉱物が豊富な環境に適応していた。[2] 毛皮は彼らのトレードマークであると同時に[7] アーマーでもあった。[2] 彼らの身体を覆う結晶はまるで白い被毛のように見え、光を浴びてきらきらと輝いた。また“毛皮”は動くたび音を立て、惑星パマースの風鈴のような音色を発した。[8] 毛皮が立てるジャラジャラという音は、他のヴァルプテックスに危険を知らせる役目も果たしていた。[9]
ヴァルプテックスの平均体高は51センチメートル(20インチ)で[2]、人間の膝よりわずかに高いくらいだった。[8] 顔面の剛毛(あるいはヒゲ)は狭い場所に入り込めるかどうかを判断するのに役立ち[1]、頬ひげのおかげで暗いトンネルの中もすいすいと進むことができた。[5] ヴァルプテックスは暗い場所でもよく視界が効き、優れた感覚を備えていた。彼らは雑食で、クレイトの塩の台地から掘り出した塊茎や、地面を潜る小型の哺乳類動物を捕食した。ヌパユニ採鉱組合のためにヴァルプテックスの実地調査記録を行った異種生物学者のドクター・パキン・メソリによると、この動物は磁場に対する感覚能力を備えている可能性があった。[1]
習性[]
ヴァルプテックスは夜明けと夕暮れ時に最も活発に活動した。[9] 彼らは夜になると洞窟の巣穴に集まる習性があった。ヴァルプテックスは高所の洞窟や渓谷[1]、塩の平原に生息した。[2] ドクター・メソリの説によると、彼らはクレイトの塩の地殻の下に夏用の巣穴を持ち、洞窟の中に冬用の巣穴を持っていた。[1] ヴァルプテックスは群れで生活した。銀河ベーシック標準語でヴァルプテックスの“群れ”を現す単語はスカーク(skulk)であり、ア・スカーク・オブ・ヴァルプティシーズ(a skulk of vulptices)で“ヴァルプテックスの群れ”という意味になる。[8] ヴァルプテックスの群れは一般的に3つから4つの家族に分かれ、各集団に多くて10頭が属していた。しかしドクター・メソリが観察したところ、こうした群れがさらに大きな社会構造を形成しており、特に理想的な巣穴は100頭ものヴァルプテックスによって共有されていた。[1]
ヴァルプテックスは知覚生物ではないが知的な動物であり、互いに強い絆で結ばれ、協力して狩りを行った。ドクター・メソリは彼らがその剛毛をコミュニケーションに利用しているのではないかと考えており、“毛”を打ち鳴らしたり石に当てることで、何らかの意味を持つ特定の音のパターンを発生させていると推測した。[1] ヴァルプテックスは好奇心旺盛な動物で、洞窟の奥深くまで探検し、自分たちしか通れない抜け道を見つけた。[5] ヴァルプテックスは危険な動物ではなく[8]、友好的な性格だった。[2] 彼らは自分たちの住処に知覚種族のよそ者が現れたとしても、戸惑うことはあっても敵意は見せなかった。[8]
歴史[]
ヴァルプテックスは銀河系のアウター・リム・テリトリーに属す惑星クレイトに生息した。ファースト・オーダー=レジスタンス戦争より何十年も昔[5]、ヌパユニ採鉱組合がクレイトを星図に記録し、その調査を行った。その際、異種生物学者のドクター・パキン・メソリがヌパユニのためにヴァルプテックスの野外調査を行い、結果を報告書にまとめた。[1] しかしほどなくして採鉱組合はクレイトでの事業を放棄した。やがて反乱同盟がこの星を訪れ、採鉱組合が残した防護壁を利用して前哨基地を作った。そして銀河内戦が終わり、反乱軍もクレイトを去った後、ヴァルプテックスの群れが前哨基地に棲みつくようになった。[5]
34 ABY、レイア・オーガナ将軍率いるレジスタンスはファースト・オーダーとの艦隊戦に敗れ、クレイトの旧反乱軍基地に逃げ込んだ。[5] フィンとローズ・ティコが乗るクサイ級軽シャトルが基地に接近した際、オーガナは敵が来たと判断して防護壁を閉じるよう命じた。すると基地を住処にしている多数のヴァルプテックスが、締め出されまいと建物の中に駆け込んだ。[10] またこの時、ポー・ダメロンは基地の奥に広がる洞窟にも何十頭というヴァルプテックスがいることに気づいた。ヴァルプテックスはレジスタンスの兵士に興味を示して鼻を鳴らし、ダメロンはいつかこの生き物を捕まえて飼いならしてみたいと考えた。[8] クサイ級シャトルが閉まりかけた扉の隙間から基地内に滑り込んだ際、数匹のヴァルプテックスがレジスタンス兵士と一緒に奥へ逃げ込んだ。またBB-8が基地内をスキャンし、防護扉が唯一の公式な出入り口であることを確認した際、数匹のヴァルプテックスがこのボール型アストロメク・ドロイドに関心を示した。[10]
レジスタンスがクレイトの戦いに備える間、ヴァルプテックスは兵士たちと一緒に基地の中を動き回った。また爆音で基地が揺れた際には、ヴァルプテックスが不安そうな鳴き声をあげた。その後、レジスタンスは地上戦でもファースト・オーダーに追い詰められ、ごくわずかな生存者が基地内に取り残された。ルーク・スカイウォーカーがたった一人でファースト・オーダー軍の足止めに向かった後、ダメロンは先ほどまで大勢いたはずのヴァルプテックスがほとんど姿を消し、坑道の奥にいる1匹がこちらを見ていることに気づいた。ダメロンはヴァルプテックスが図面には記されていない脱出口を知っているに違いないと判断し、この動物を追うよう仲間に呼びかけた。同じ頃、レイとチューバッカがレジスタンスの仲間を救うため<ミレニアム・ファルコン>でクレイトに駆け付けていた。[10] レイはヴァルプテックスの群れが山腹の亀裂から飛び出していることに気づき、チューバッカに船を降ろすよう指示した。[8] ダメロンたちがたどり着いたのは、ヴァルプテックスでなければ通り抜けられない小さな亀裂だったが、外にいるレイがフォースを使って岩を動かし、仲間たちを解放した。[10]
制作の舞台裏[]
- 「彼らは星の地下の巣穴やトンネルに住んでいる。だからこそ、暗闇の中で輝く彼らの能力が、主人公たちの道しるべとなる時がある」
- ―ニール・スキャンラン (Entertainment Weeklyから翻訳)[出典]
ヴァルプテックスは2017年12月15日に公開されたプリクエル・トリロジー第2作『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』のために制作されたクリーチャーである。[4] 同年7月15日に、D23 Expo に合わせて発表された『最後のジェダイ』の制作の舞台裏を紹介する動画で、このクリーチャーのビジュアルが初お披露目された。[11] 非正史媒体も含めたヴァルプテックスの初登場作品はディズニーランドおよびディズニー・ハリウッド・スタジオのシミュレータ型アトラクション『スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー』である。ヴァルプテックスが登場するクレイトのシーンは2017年11月17日に『スター・ツアーズ』に追加された。[12]
『最後のジェダイ』のクリーチャー・エフェクト・スーパーバイザーであるニール・スキャンランよると、デザイナーは「クリスタル・ガラスのシャンデリアと、それが生み出す光と屈折」からインスピレーションを得てヴァルプテックスを創作した。しかしクリスタルで覆われたキツネを形にするのは簡単なことではなかった。スキャンランたちは透明なストローで覆われた小さなスーツを小型犬に着せ、動物が走ったり跳んだりしたときストローがどう動くかを観察した。クリーチャー班はこの情報をもとにアニマトロニクス用のパペットを作り、デジタルスキャンにかけるための非可動モデルも別途制作された。[13]
ヴァルプテックスという名前は、ルーカスフィルム ストーリー・グループのパブロ・ヒダルゴによって名付けられた。ラテン語でキツネを意味する "vulpes" と[13]、多面体の頂点を意味する "vertices" (単数形は "vertex")の組み合わせが由来。[14]
ニール・スキャンラン曰く、このキツネがクリスタルの毛皮を手に入れたのは、長年にわたってクレイトを食べてきたからであるという。スキャンランによると「彼らは自分たちが住んでいる惑星の地表そのものを手に入れた」のである。[15] 一方、『最後のジェダイ』の監督であるライアン・ジョンソンは、ブライアン・リンチ からヴァルプテックスは何を食べるのかと問われた際、「クレイティアン低木の草とモグラネズミ(見つかり次第)の取り合わせ」と回答している。[16]
登場作品[]
- Star Wars バトルフロント II (DLC) (初登場)
- Star Wars:スコードロン (足のみ)
- スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ
- スター・ウォーズ 最後のジェダイ 小説版
- スター・ウォーズ 最後のジェダイ ジュニアノベル版
- スター・ウォーズ/最後のジェダイ コミック版
参考資料[]
- スター・ウォーズ 最後のジェダイ ビジュアル・ディクショナリー
- 最後のジェダイ:ローズ・ティコ:レジスタンス・ファイター
- スター・ウォーズ ビジュアル・ディクショナリー新完全版
- スター・ウォーズ:エイリアン・アーカイブ
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション
- Every Creature in the Star Wars Movies - Star Wars Kids YouTube 公式チャンネル
- Star Wars: The Last Jedi Behind The Scenes - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- Official Trailer | Star Wars: The Last Jedi - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- Vulptex - 公式データバンク
脚注[]
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 最後のジェダイ:ローズ・ティコ:レジスタンス・ファイター
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション
- ↑ 3.0 3.1 Official Trailer | Star Wars: The Last Jedi - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ 4.0 4.1 Star Wars: The Last Jedi Behind The Scenes - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 スター・ウォーズ 最後のジェダイ ビジュアル・ディクショナリー
- ↑ Vulptex - 公式データバンク
- ↑ スター・ウォーズ:エイリアン・アーカイブ
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 スター・ウォーズ 最後のジェダイ 小説版
- ↑ 9.0 9.1 Star Wars: The Last Jedi The Ultimate Guide
- ↑ 10.0 10.1 10.2 10.3 スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ
- ↑ Star Wars: The Last Jedi Behind The Scenes スター・ウォーズ公式YouTube チャンネル
- ↑ New Adventure from Star Wars: The Last Jedi Coming to Star Tours This Fall - Disney Parks Blog
- ↑ 13.0 13.1 Luminous Beings: How Star Wars: The Last Jedi's crystal foxes came to life (2017-11-20). Entertainment Weekly.
- ↑ @pablohidalgo(パブロ・ヒダルゴ) - X (旧Twitter)
- ↑ Nugent, John: The Last Jedi: New Revelations From Star Wars Creatures Boss (2017-10-30). Empire.
- ↑ @rianjohnson(ライアン・ジョンソン) - X (旧Twitter)