全地形対応装甲トランスポート(All Terrain Armored Transport)、通称AT-ATウォーカー(AT-AT walker)は銀河帝国の地上軍が使用したクワット・ドライブ・ヤード社製の4脚式戦闘用ウォーカーである。全高20メートルを超えるこの巨大な全地形対応ウォーカーは兵員輸送機と重強襲ビークルの役割を兼ね、戦場をゆっくりかつ容赦なく突き進んだ。AT-ATウォーカーは銀河共和国がクローン戦争で使用した6脚式の“AT-TEウォーカー”こと全地形対応戦術攻撃兵器の後裔であり、皇帝シーヴ・パルパティーンの支配を銀河系に行き渡らせるために造られた、より威圧的な戦争兵器だった。AT-ATはブラスターの攻撃がほぼ通じない重厚な装甲プレートによって守られ、コマンド・コックピットのある“頭部”に強力な重レーザー砲と中型ブラスター砲を搭載していた。胴体中央部分の兵員区画には40名のトルーパーを乗せることができ、後部にはスピーダー・バイク5台が積めるガレージがあった。AT-ATは帝国の地上軍において最も強力な兵器のひとつであり、その巨体によって戦術的な優位性を得ると同時に、帝国に敵対する者たちに恐怖心を植え付けた。実際、迫りくるウォーカーを見ただけで震え上がって降伏する者も多く、AT-ATは極めて強力な心理戦兵器でもあった。
AT-ATは大規模な襲撃作戦で好んで使用され、しばしば帝国軍の将軍が自らこのウォーカーの重厚なコックピットに乗り込み、最前線から機甲師団の指揮を執った。AT-ATは何もない平地では非常に目立ったが、装甲が堅牢であることからコックピットの危険性が問題になることはほとんどなかった。AT-ATはインペリアル級スター・デストロイヤー等の大型軍艦で目的の星へ運ばれ、専用のドロップシップやゴザンティ級アサルト・キャリアーなどの降下船で地表に配備された。戦闘が始まると、AT-ATは隊を組んで前進し、砲撃で敵を弱体化させ、自軍の兵士を降ろすための陣地を確保した。通常、AT-ATは兵士を展開した後も戦場に留まって敵の攻撃を引きつけつつ、自軍に火力支援を提供した。このビークルの操縦を専門とするAT-ATパイロットは特殊な訓練を積んでおり、他の帝国軍地上パイロットよりも貴重な存在とされていた。またAT-ATのコックピットには温度調節機能が無かったため、パイロットは極寒惑星における任務では特殊断熱スーツを着用した。AT-ATは首と足回りが弱点であり、重心が高いぶん不安定で、トリップワイヤーを使って転倒させる戦略が有効だった。また胴体下面部分も装甲が薄く、通常はより小型のAT-STウォーカーが側面を援護し、スピーダー・バイクに乗ったトルーパーがウォーカーの動きの鈍さを補った。
AT-ATの試作型はAT-AT/Pと呼ばれ、重量や物資の投入量が限界まで許容された分、最終的な量産ラインよりも大型だった。試作型は充分な成功を収め、量産型の登場後も使われ続けた。標準的なAT-ATは帝国時代の後半に使用され、帝国軍の主要地上兵器となった。銀河内戦中の3 ABYに発生したホスの戦いでは、マクシミリアン・ヴィアーズ将軍率いるサンダリング・ハード機甲部隊のAT-ATウォーカーが反乱同盟の地上部隊を圧倒し、エコー基地のシールド・パワー・ジェネレーターを破壊する活躍を挙げた。4 ABYには、AT-ATウォーカーが第2デス・スターのシールド発生装置がある森の月エンドアにも配備されたが、密集した樹木によって動きが制限され、活躍の場のほとんどをAT-STに譲ることになった。銀河内戦の終盤、AT-ATはカワ・シティの戦いやシードの戦い、クワットの戦い、そして帝国が大敗を喫したジャクーの戦いといった数々の戦闘に投入された。ジャクーで破壊されたAT-ATウォーカー<ヘルハウンド2>の残骸は、のちにゴミ漁りレイの住居となった。帝国の後継者であるファースト・オーダーは、先代が確立した効率的な手法を変える必要はほとんど無いと判断し、より強固な装甲を採用した新世代のAT-ATウォーカーを開発した。
特徴[]
概要[]
- 「装甲が強すぎてブラスターでは破れない」
- ―ルーク・スカイウォーカー[出典]
AT-ATこと全地形対応装甲トランスポートはクワット・ドライブ・ヤード社によって製造された4脚式の強襲用ウォーカーで[1]、全地形対応戦術攻撃兵器(AT-TE)の流れを汲む[11] 全地形対応ビークルの一種である。[3] 機体は長大な4本の脚に支えられた箱形の胴体と、前方に突き出した頭部からなり[9]、全長は25.9メートル(84フィート11インチ)、全高は22.2メートル(72フィート10インチ)にも達した。[4] この巨大なウォーカーは撃破することがほぼ不可能な装甲に覆われており[3]、時速60キロメートルのスピードの[5] 重い足取りで移動した。[3] AT-ATの頭部はコマンド・コックピット、胴体は兵員を収容する2段のデッキになっており、胴体後方にスピーダー・バイクを収容する格納庫が設けられていた。兵員区画とコックピットの司令区画を繋ぐいわば“首”の部分は電磁リング・システムによって自在に駆動する[4] 柔軟な装甲トンネルになっていた。[12] AT-ATの兵器である2門の中型ブラスター砲は頭部左右の“こめかみ”に、そして2門の重レーザー砲は“顎”に当たる部分に配置されていた。[1]
AT-ATウォーカーを支える足の先端にはフットパッドと呼ばれる円盤があり、この中に地形センサーおよびスキャナーとそのコンピューターが内蔵されていた。各フットパッドには四方を向いた爪先フラップが付属し、各足の内側に1本ずつフットパッド転向用の支柱が取り付けられていた。足首と膝部分に関節があり、整備用のアクセス・カバーで覆われていた。[4] 脚の付け根の部分には駆動モーターがあり、そのあいだに燃料スラグ・タンクが配置されていた。[12] トルーパー用のメイン搭乗ハッチは胴体側面の中央部分に設けられており[6]、胴体下面にも降下出撃用の[7] 補助ハッチがあった。[6] また胴体側面の上部前後2か所にも比較的小型の緊急脱出用ハッチが設けられ[6]、胴体側面下部後方にはスピーダーを緊急出撃させることも可能な中型のハッチがあった。[7] 胴体最上部には前方を向いた吸気口があり[4]、機尾には空気循環および濾過ユニットが配置されていた。[12]
AT-ATウォーカーは分厚い装甲に覆われているため相当な重量があった。反重力テクノロジーではなく巨大な脚によって障害物や険しい地形を乗り越える手法が採用されたのは、重すぎてリパルサーリフトが充分に機能しないためだった。急斜面の丘や深い沼を乗り越えるのは不可能とはいえ、AT-ATのパイロットは驚くほど険しい地形を踏破する操縦技術を身に着けていた。またAT-ATは与圧されており[4]、海底を歩行することもできた。[13]
兵器と装甲[]
AT-ATウォーカーは顎の部分にテイム&バック社製のクラス2MS-1連動式重レーザー砲を2門、左右のこめかみにテイム&バック社製FF-4中型連射式ブラスター[4] もしくはパイペリ=セルラーン社製R-90C中型ブラスター計2門を搭載していた。司令ポッドの真下に位置するMS-1重レーザー砲は前方に対する砲撃しかできないが[7]、頭部そのものを自在に動かすことで眼下の敵に狙いを定めることができた。またこの2門は連続的かつ交互に速射することも、同時に撃つことも、1門ずつ別々にレーザーを発射することも可能となっていた。[4] こめかみのブラスター砲は旋回軸に取り付けられており、向きを変えることができた。[7] また中型ブラスターの砲身と並ぶ形で照準用のレンジファインダーが取り付けられていた。[4] AT-ATの主砲はT-47エアスピーダーなどの小型ビークルを一撃で破壊する火力を誇った。[14]
AT-ATはブラスト耐性アーマー・プレートに覆われており[11]、最強クラスのターボレーザーでもなければボディを撃ち抜くことはまず不可能だった。通常のブラスター光弾であれば軽くはじくか、問題なく吸収、消散させてしまうことができ[4]、戦闘機に搭載されたレーザー砲を食らってもびくともしなかった。[9] AT-ATはどんな重砲も通用しない金属の怪物とでもいうべき強度を誇ったが、首と足回りが弱点だった。[7] ウォーカーは不安定な足と高い重心のせいで転びやすく[1]、トリップワイヤーを張り巡らせればこの巨体を転倒させることも可能だった。首の部分を構成するアクセス・チューブはコックピットの機動性を維持するためアーマーがさほど頑丈ではなく、ここにブラスターの集中砲火を浴びせると、頭部と胴体をばらばらにできることがあった。[7]
乗員と司令官[]
- こちらの記事も参照: AT-ATパイロット
- 「出力全開、発射!」
- ―AT-ATパイロットに指示を出すマクシミリアン・ヴィアーズ将軍[出典]
AT-ATウォーカーは“AT-ATパイロット”ないし[15] “AT-ATドライバー”などと呼ばれる[16] 専門のパイロット2名と、ビークル・コマンダー1名によって運用された。2名のパイロットはどちらもAT-ATのあらゆる制御機能を操作する資格を有したが、通常の運用手順では片方がウォーカーの運転を、もう片方が砲手を担当した。[4] AT-ATパイロットは高度な機械式脚部ユニットを制御するため特別な訓練を積んでいた。[17] 帝国軍戦闘パイロットのなかでもこの訓練を受けられるのは一握りの精鋭だけだった。[16] AT-ATパイロットは他のパイロットより貴重な存在で[18]、育成に費用がかさむため、生命維持装置付きのスーツで丁重に保護されることもあった。[17] AT-ATには温度調節機能がないため、極寒惑星ではあらかじめ特殊断熱スーツを着用して乗り込む必要があった。パイロットはウォーカーの与圧されたコックピットが破壊されたとしても、このスーツによって極寒の外気に耐えることができた。[16]
AT-ATのコックピットには、横長の正面ビューポートに向かって2つの操縦席が配置されており、パイロットは並んで座って機体を操作した。[9] パイロットは強化ヘルメット、生命維持パック[16]、長持ちするパワー・パックが付属したジャンプスーツ、グローブを身に着けており、照準センサーの制御装置はグローブをはめた手でも操作できるように設計されていた。[17] パイロットは脚部の地形センサーと、コックピット下部にも搭載されたセンサーから提供されるガイダンスをもとに、ウォーカーを安定して歩行させた。[4] AT-ATパイロットはエリートを自負しており[15]、自分たちは無敵だと信じていた。[16]
ビークル・コマンダーは操縦席の後ろにあるホログラム通信装置つきのコンソールで職務に当たった。火器管制はいかなる場合もビークル・コマンダーの仕事であり、コックピットの天井にはコマンダー用のペリスコープ(潜望鏡)・ディスプレイが備わっていた。このディスプレイには標的の拡大図やセンサー情報、戦術データなどが表示された。またコマンド・コックピット自体が高所にあるため、パイロットやコマンダーは遠方からでも標的や障害物をはっきりと視認することができた。AT-ATは何もない平地では非常に目立つが、ブラスター攻撃ではびくともしないことから、コマンダーが自らコックピットに乗り込んでも特に危険性が問題になることはなかった。[4]
積載能力[]
AT-ATウォーカーは40名の兵員と[4]、乗員分の戦闘用装備[3]、5台までのスピーダー・バイクを収容することができた。[4] AT-ATが収容できるストームトルーパーの人数は2個分隊[7]、ないし1個小隊に相当する。[4] また兵士を乗せない場合は、2台の全地形対応偵察トランスポート(AT-STウォーカー)を運ぶことも可能だった。[7] 胴体内部はトルーパーの待機エリアであり、上下2段のデッキに歩行用ベンチが並んでいた。[4] 兵士は起立もしくは着座した状態で乗り込み、ベンチのチャージャーを使ってスーツのパワー・パックを充電することができた。[7]
AT-ATに乗り込んだ砲兵部隊は、ウォーカーが膝立ちの態勢になった時に胴体下面のボーディング・ランプから地上に降りた。より軽装のトルーパーであれば、ケーブルを使って地上に滑り降りることが可能だった。[7] 胴体の下段デッキ中央付近が降下待機プラットフォームであり、伸縮式の降下用ケーブル・ラックと安全ベルト付ハーネスが備わっていた。またボディ側面部からも伸縮式ラックを使って戦闘部隊やその装備を降ろすことが可能になっていた。胴体後部のガレージに収容される74-Zなどのスピーダー・バイクも、展開する際には機体の前後に搭載されたハーネスを活用した。[4] AT-ATウォーカーに積み込まれる乗員の戦闘用装備の例として、ゴミ漁りのレイがジャクーで発見した機体<ヘルハウンド2>の残骸にはE-11ブラスター・ライフルが20丁、DLT-20Aブラスター・ライフル5丁が残っており、兵器リストにはメンシックス社製LX-4プロトン機雷25発の記載もあった。[6]
用途[]
心理戦兵器[]
全地形対応装甲トランスポート(AT-ATウォーカー)は近代的な戦場において最強のビークルの一種とされ[3]、帝国地上軍のなかで最も恐るべき存在であり[19]、帝国軍の機械戦力の究極的な象徴だった。AT-ATは驚くべき火力を戦場に提供することが可能で[20]、この破壊的兵器が1台あるだけでどんな地方の抵抗勢力でも屈服させるのに充分だった。[5] AT-AT等のウォーカーは、車輪やキャタピラ式のビークルでは乗り越えられない障害物を一足でまたぐことが可能で[11]、戦場をゆっくりと、かつ容赦なく突き進んだ。[4] AT-ATウォーカーは兵員輸送機であると同時に重強襲ビークルでもあり、恐怖心をあおる心理戦兵器でもあった。クワット・ドライブ・ヤード社は帝国軍兵士1個小隊と彼らの戦闘用装備を運搬できるように、そして敵戦闘員に恐怖心を与えて士気を低下させられるように、このビークルを設計した。実際、AT-ATはどちらの役割にも非常に優れており[3]、その巨体で戦術的な優位性を獲得すると同時に心理的な効果ももたらし[11]、敵を委縮させ[1] とてつもない心理的圧迫感を与えることが可能だった。[4] AT-ATウォーカーが迫りくる光景ほど恐ろしいものは他になかなか例が無く[5]、22メートルを超えるウォーカーが進撃する様はまさに武装した巨獣さながらだった。[1] 頭上にそびえたち、大地を揺るがせて前進するAT-ATを見ただけで震え上がって降伏する者も多かった。[21]
配備と運用[]
AT-ATは高度なセンサーとコマンド・コントロール・システムを備えていたため、機動司令センターとしての役割を果たすこともできた。このウォーカーに乗り込んだ上級将校は、前線にいながら比較的安全な環境で兵士の指揮を執ることができた。[3] 実際、戦時中には多くの将軍たちが稼働中のAT-ATウォーカーから帝国軍機甲師団の指揮を執った。AT-ATは大規模な襲撃作戦で好んで使用され[7]、他にも輸送や[11] 反乱の鎮圧[5]、パトロールといった数々の任務に従事した。[11] 出撃したAT-ATはまず、恐怖を武器とする帝国のやり方に則り、その堂々たる威容をもって敵を威圧した。[4] 戦闘が始まると、AT-ATは止めることなど不可能に思える編隊を組んで前進し、搭載兵器で敵を弱体化させ、兵士を展開するための陣地を確保した。[3] このウォーカーは戦場において断続的かつ即時的に突撃部隊を地上へ展開することができた。[4] 通常、AT-ATは兵士の展開が終わった後も戦場に留まって敵の砲撃を引きつけ、味方に火力支援を提供した。[3]
AT-ATウォーカーは大型の軍艦によって輸送された。例として、同じクワット・ドライブ・ヤード社の製品であるインペリアルI級スター・デストロイヤーは20台[1]、エグゼクター級スター・ドレッドノートなら24台のAT-ATウォーカーを積載することができた。[3] 目的地の星に到着すると、AT-ATは専用のドロップシップで地表に降ろされた。インコム社製Y-85タイタン・ドロップシップの場合、1隻で4台のAT-ATとAT-STを搭載することができた。しかしY-85タイタン自体を搭載することができるのがスター・ドレッドノート等の超大型船に限られていたため、通常のスター・デストロイヤーはより小型のシータ級バージを活用した。またゴザンティ級アサルト・キャリアーも船体下部の強力なドッキング・クランプを使い2台のAT-ATウォーカーを吊り下げる形で運搬することができた。敵スターファイターによる迎撃が懸念される場合に、シータ級バージよりも機動力に富むゴザンティ級キャリアーが選択されるケースがあった。[22]
AT-ATウォーカーは眼下の敵対者を砲撃によって消し去り、街を瓦礫の山に変え、最後にこれらの残骸を巨大な足で踏みつぶしながら進撃した。AT-ATはそれ自体が生み出した混乱と破壊の真っただ中に、その“恐るべき貨物”を投下することによって銀河帝国の勝利を引き寄せた。[4] AT-ATは足回りや下面が弱点であるため、通常はAT-STウォーカーが側面に配備された。[1] AT-ATが反乱軍の主要防衛設備への攻撃に従事するあいだ、AT-STは素早さを活かして巣穴に隠れている反乱軍兵士をあぶり出す役割を担った。またAT-ATに積載されたスピーダー・バイクも、AT-ATの鈍重さを補うために用いられた。これらのバイクの主な用途は偵察や敵の残存兵の追撃であり、火力に優れるがスピードの遅いAT-ATと互いを補完し合うことで、総合的な攻撃能力を大幅に向上させた。[4]
バリエーション[]
- AT-AT/P:クワット・ドライブ・ヤード社が製造したAT-ATウォーカーの試作型で、全高26.7メートル、全長31.17メートルと、量産ラインよりも機体が大型だった。このウォーカーは充分な成功を収め、改良版である標準モデルが登場した後も現役で使われ続けた。[23] 14 BBYにはキャッシークの占領に投入され[24]、初期反乱運動でもシーロスやロザル、アバファーといった数々の戦場で活躍した。[25][26][27]
- AT-ACT:全地形対応装甲貨物トランスポートは重建築資材や武器弾薬の運送に特化した貨物ベッドを特徴とする、貨物輸送用ウォーカーである。戦闘用ではなく、標準的なAT-ATウォーカーよりも大型だった。AT-ATと違って専門のドライバーは不要であり、AT-ATドライバーでもタンク運転手でも、帝国の地上戦闘ビークルのドライバーであれば誰でも操作することができた。AT-ACTは貨物運搬用の機体でありながら、スカリフの戦いではローグ・ワンの兵士たちにとって重大な脅威となった。[28]
- エリートAT-AT:標準的なAT-ATウォーカーの改良版で、より強力なキャノンと重厚なアーマーを搭載し、黒塗りの機体を特徴としていた。エリートAT-ATの操縦者には銀河帝国でも指折りのビークル・クルーが選抜された。[20]
- ファースト・オーダーAT-AT:ファースト・オーダーが使用したクワット=エントラーラ・ドライブ・ヤード社製の新型AT-ATで、軽量素材の重層式アーマーにより、オリジナルのAT-ATよりも固い装甲を誇った。また照準センサーや兵器の再充填スピードも最新のテクノロジーによって改善されていた。[19]
歴史[]
地上軍の最強兵器[]
AT-ATウォーカーは銀河共和国がクローン戦争で使用した全地形対応戦術攻撃兵器(AT-TEウォーカー)の後裔にあたる存在だった。[11] 銀河帝国は、共和国が人々を守るために使った乗り物の多くを、皇帝シーヴ・パルパティーンの圧政を執行するための戦争兵器に作り替えた。その中でもAT-ATは、クローン戦争で使われたクローン・タンクの大半を凌ぐ、より威圧的なウォーカ・ーテクノロジーだった。[2] AT-ATウォーカーは帝国時代の後半に使用されたが[5]、その初期モデルは14 BBYの時点にはすでに存在していた。[29] AT-ATの初期モデルは重量や物資の投入量が限界まで許容された試作型であり、のちに誕生する量産ラインよりも巨体だった。このテストベッド・モデルは後付けでAT-AT/Pと名づけられ、改良バージョンが登場した後も使われ続けるほど大きな成功を収めた。[23]
4 BBY[30]、帝国情報センターの職員であるローディアンのシーボが帝国の重要機密を携えて逃亡した。[31] シーボは帝国の極秘の図面や作戦書て持ち出して姿を消し、銀河系の最重要指名手配犯のひとりとなった。[32] 帝国の日、スペクターズ反乱分子のメンバーであるエズラ・ブリッジャーとケイナン・ジャラス、サビーヌ・レンたちが惑星ロザルにあるブリッジャー家の廃墟に隠れていたシーボを保護した。彼らはシーボの頭部に移植されているAJ^6サイボーグ・コンストラクトにアクセスし、この装置にAT-ATウォーカーやセンチネル級着陸船、TIE/saボマーといったビークルの図面や、向こう5年分のロザル統治計画といった帝国の重要機密が記録されていることを知った。[31] 反乱者たちはシーボをなんとかロザルから連れ出し、反乱軍の連絡員“フルクラム”[33] ことアソーカ・タノ[34] のCR90コルベットへ送り届けた。[33]
優秀な戦術家として知られる帝国のマクシミリアン・ヴィアーズ将軍は地上作戦におけるAT-ATウォーカーの使用拡大を声高に求めたことにより、注目を集めた。実際、このウォーカーは帝国の主要地上攻撃ビークルとなり[35]、戦時下における帝国の軍事力の同義語といえるまでになった。[10] スカリフの戦い以前、同盟軍特殊部隊のピット・オノラン将軍は帝国軍の地上用攻撃ビークルについてまとめた報告書を作成し、反乱同盟の指導者であるモン・モスマ議長に提出した。オノラン将軍は本報告書のなかで、帝国軍の地上戦略のアプローチには、歩兵から機甲部隊までの幅広い戦力を組み合わせた“複合兵装”という概念が根底にあると述べ、ストームトルーパーとともに配備されることで最大の戦力をもたらすビークルの最初の例としてAT-ATウォーカーを挙げた。[36]
銀河内戦[]
ヤヴィン以降の混乱期[]
0 ABY[30]、反乱同盟はヤヴィンの戦いに勝利した勢いに乗って攻勢に出るべく、衛星サイムーン1の兵器廠アルファに対する襲撃作戦を行った。プリンセス・レイア・オーガナと密輸業者ハン・ソロ、ルーク・スカイウォーカーらがジャバ・ザ・ハットの使節団に変装して兵器廠に侵入し、メイン・パワー・コアに破壊工作を行ったが、間もなくシス卿ダース・ヴェイダーもサイムーン1に到着し、工場に厳戒態勢が敷かれた。ハンとレイアは帝国から解放した奴隷たちと共にAT-ATウォーカーが格納されているハンガーへ逃げ込み、そのうちの1台を奪取した。ハンが操縦するAT-ATウォーカーは施設を破壊しながら進撃し、偶然にも、ヴェイダーとの対決で窮地に立たされていたルークを救った。AT-ATウォーカーはストームトルーパーのE-11ブラスター・ライフルによる銃撃をものともせずに進んだが、ハンは危うく奴隷を踏みつぶしかけた。レイアはヴェイダーを踏みつぶすよう指示したが、ハンは施設から脱出することを優先した。[37]
サイムーン1の帝国軍が格納庫の奴隷たちを制圧した後、ストームトルーパーの1人がヴェイダーに、AT-ATを倒すのに必要なイオン砲が無いと報告した。しかしヴェイダーはウォーカーの相手は自分に任せるよう告げ、自分を踏みつぶそうとしてきたAT-ATのフットパッドをフォースで受け止め、空中で静止させた。ヴェイダーはウォーカーの動きを止めたままこの巨大兵器をゆっくりとフォースで破壊していったが、間もなくアストロメク・ドロイドR2-D2とジャワたちがそれまでオフラインだったAT-ATの兵器システムを復活させた。レイアはすぐさまヴェイダーの足元に砲撃を行い、ウォーカーはフォースの抑圧から解放されて施設外への突破口を開いた。ハンのAT-ATは施設外のトルーパーを蹴散らし、TIEファイターを1機撃墜したが、間もなくAT-STやインペリアル・アサルト・タンク、コンバット・ウォーカーの大軍による迎撃を受けた。ルークの活躍でタンクやスピーダーは撃退されたものの、最終的にハンのAT-ATはヴェイダーのライトセーバーで足首を切断され、転倒してしまった。しかしハンとレイア、奴隷たちは負傷しながらも何とか機外へ脱出し、ルークと合流して<ミレニアム・ファルコン>で戦場から離脱した。[37]
ヤヴィンの戦い以降、帝国は惑星タトゥイーンの反乱軍や、彼らに味方する傭兵サポンザやその相棒と一連の戦闘を繰り広げた。コシュ大尉率いる帝国軍はAT-ATウォーカーを始めとする様々な帝国軍の兵器をこの戦闘に投入した。[20] 0 ABY[30]、帝国の鉱業惑星シュー=トランで鉱石貴族たちの反乱が発生した際、皇帝は現地のトリオス女王を支援するためダース・ヴェイダーを派遣した。敵の採掘要塞への攻撃が行われた時、1台のAT-ATが砲撃で破壊されたが、ヴェイダーは敵の要塞をマグマに沈めて破壊した。戦いの終盤、戦争司祭でもあるトリオスは、ヴェイダー率いる帝国軍との通信が途絶しているにも関わらず、自らルビックス男爵の要塞への攻撃を指揮した。彼女の戦力だけでは勝利は危ぶまれたが、間もなく帝国軍が到着して数台のAT-ATが戦いに加わり、戦況が好転した。要塞は陥落し、トリオスは裏切り者のルビックスをその場で処刑して反乱に終止符を打った。[38]
反乱同盟はヤヴィンの戦いの後に衛星ヤヴィン4から撤退し[30]、反乱軍基地として使われていたグレート・テンプルは帝国軍によって占拠された。[39] 0 ABY頃[30]、オーデュ・アスペクツの研究家であるコリン・アフラは娘のチェリ・ローナ・アフラやその仲間たちの助けを借り、ラーの要塞を見つける手掛かりを得るためヤヴィン4へ旅した。旧反乱軍基地はマグナ・トルヴァン大尉率いる帝国軍の支配下にあり、周辺にはAT-ATやAT-STウォーカーが配備されていたが、アフラ父娘はクルルサンタンがジャングルで敵の注意を引いている間にグレート・テンプルに忍び込んだ。目的を果たした後、彼女たちは<アーク・エンジェルII>に乗りこみ、AT-ATの砲撃をしのいでヤヴィン4から脱出した。[39] 0 ABY頃[30]、ルーク・スカイウォーカーとレイア・オーガナはTIEファイターを追跡していたときにテイランダー・シャトルで星雲に迷い込み、とある海洋惑星に遭難した。この星で3週間サバイバル生活を送った後、2人は海中に住む原住種族と遭遇し、自分たちを追ってきた帝国軍が彼らに危険をもたらしていることを知った。原住民にこれ以上迷惑をかけまいと、ルークとレイアは島に罠を仕掛け、海中から現れたAT-ATウォーカー1台とショアトルーパーを迎え撃った。2人は手持ちのデドラナイトと自然の化学物質を組み合わせた爆薬でAT-ATを破壊することに成功し、船を修理するのに必要な部品をウォーカーから回収した。AT-ATの残骸は海に沈められ、原住民たちにとってちょうどいい暗礁になった。[13]
ホスの戦い[]
- 「足を狙うんだ。やつらを止めるにはそれしかない」
- ―“AT-AT転倒マニューバ”を指示するルーク・スカイウォーカー[出典]
3 ABY[40]、ダース・ヴェイダー率いるデス小艦隊は反乱軍の秘密基地が氷の惑星ホスにあることを突き止めた。帝国艦隊がホス星系に到着した時、反乱軍はすでにエコー基地から撤退する準備を進めており[9]、カーリスト・ライカン将軍の指示で対爆撃用の惑星シールドが展開されていた。[22] これを受け、ヴェイダーはマクシミリアン・ヴィアーズ将軍率いる地上部隊[9] ブリザード・フォース[41] を地表へ送り込んだ。[9] ヴィアーズは敵戦闘機に迎撃されることを警戒し、大型のタイタン・ドロップシップではなくTIEファイターに護衛されたゴザンティ級クルーザーでAT-ATウォーカーを一度に2機ずつホスに降下させた。[22] “サンダリング・ハード”と呼ばれるこのAT-AT中隊は[4] ムーアシュ・モレインに着陸し、ケレイン・ヴァレーを進んでノース・リッジを超えた。その際、スターク大佐のAT-AT<ブリザード4>率いる部隊はヴェイダーに認めてもらおうと危険な近道を選択し、ケレイン・ヴァレーでウォーカーを3機失う失態を犯したのち、ルートを変更した。[22]
自らAT-AT<ブリザード1>に乗り込んだヴィアーズ将軍は、エコー基地の偏向シールドを一度に無効化できる中央パワー・ジェネレーターを攻撃目標に定め、ネヴ・アイス・フローと呼ばれる氷河地帯を進撃した。[22] ホスの戦いではAT-ATが先陣を切り、AT-STウォーカーがその側面を援護、そして寒冷地用のスピーダー・バイクに乗ったスノートルーパーがそれらの足元を固めた。[21] 進撃の途上、AT-ATウォーカーは帝国軍の降下を真っ先に確認した前哨基地ベータをレーザー砲撃で壊滅させた。[42] また帝国軍のノース・リッジ到着を最初に確認したエコー・ステーション3-1-8も、ウォーカーの到着を本部に知らせたのち[9] 壊滅した。[43] 同盟軍の地上部隊は塹壕でブリザード・フォースを待ち受け、DF.9対歩兵用砲塔や1.4 FD Pタワーで抵抗を試みたものの[9]、ウォーカーには効果が無かった。[22] 同盟軍の砲台はストームトルーパーに対して威力を発揮するはずだったが、ヴィアーズ将軍は敵防衛線を壊滅させるまで歩兵の大部分をウォーカー内部にとどめておく作戦によって事なきを得た。[44] 同盟軍は味方の輸送船が脱出する時間を稼ぐためローグ中隊[9] およびコロナ中隊[14] の改造型T-47エアスピーダー(スノースピーダー)を出撃させた。[1] スノースピーダーのレーザー砲はAT-ATの弱点である首、下腹部、足首関節には有効だったが、戦闘中に狙いを定めることは困難だった。[44] 結局彼らもまた、自分たちの兵器ではAT-ATウォーカーの装甲を破ることは不可能だとすぐに気づくことになった。[9]
攻撃パターン・デルタを試した後、ローグ中隊を率いるルーク・スカイウォーカー中佐は電磁ハープーンを使ってAT-ATウォーカーの脚にケーブルを絡ませるよう反乱軍パイロットたちに指示した。[9] これはローグ中隊の隊員たちが事前に話し合っていた作戦であったが、ケーブルの精確な発射とそれに続く精密飛行の難易度はかなり高く、実際にうまくいくかどうかは誰にも分からなかった。[44] ルークの命令のもと、ローグ3のウェッジ・アンティリーズと砲手ウェス・ジャンセンの乗るスノースピーダーがネヴァー准将の<ブリザード2>にケーブルを放った。結果的に作戦は功を奏し、ツンドラに前のめりに転倒した<ブリザード2>は無防備になった首の部分を重点的に銃撃されて大破した。[22] ヴィアーズが敵基地への兵士展開を部下に命じた直後、ローグ2のゼヴ・セネスカとその砲手キット・ヴァレントもケーブルの作戦を試そうとしたが、AT-ATの返り討ちにあって撃破された。直後、ローグ・リーダー機も被弾したが、ルークは墜落を生き延びた。ルークはスノースピーダーがAT-ATによって踏みつぶされる前にコックピットから脱出すると[9]、<ブリザード4>の胴体下部にケーブルを打ち込んだ。ルークはライトセーバーを使ってこのウォーカーの底面部を破壊し、機内に爆弾を投げ込んで破壊することに成功した。[22]
元帝国軍のコロナ中隊隊員セイン・カイレルは、AT-ATの図面を見た経験からその弱点を知っており、装甲が薄い足首を重点的に狙うようイェンダー・ブレセン砲手に指示してウォーカーを1機撃破した。[14] しかし全体的戦況は同盟軍の敗戦がすでに濃厚であり、間もなくヴィアーズの<ブリザード1>がエコー基地のパワー・ジェネレーターを破壊した。これにより、シールドを失った反乱軍基地は敵の侵入や、軌道のスター・デストロイヤーの爆撃にさらされることになった。その後、ヴィアーズは残っているAT-ATのコマンダーとAT-STパイロットに、塹壕を撃破してできるだけ多くの反乱軍兵士を捕虜にするよう命じた。[22] エコー基地のシールドが消失した直後、反乱軍パイロットのデレク・クリヴィアンは、被弾して制御不能になった自身のスノースピーダーをヴィアーズの<ブリザード1>に激突させた。クリヴィアンの自己犠牲によって<ブリザード1>は頭部を落とされ、さらに数十名の同盟軍兵士が避難に成功した。[35] ヴィアーズはこの攻撃によって重傷を負った。結局、同盟軍はホスの戦いでAT-ATを3台破壊、1台を行動不能にすることができたが、帝国の進撃を食い止めるには至らず、エコー基地の人員の半数以上が戦死または捕虜となる大敗を喫した。[44]
のちにウェス・ジャンセンはホスの戦いを振り返り、AT-ATを転倒させる作戦は“恐怖の30秒間”だったと述懐した。彼らローグ3の戦いぶりは同盟軍の伝説となったが、ウェッジ・アンティリーズはこの武勇伝をくりかえし否定し、あの作戦はあの時たまたまうまくいっただけだと若輩パイロットたちに言い聞かせた。[44] またアンティリーズは反乱同盟のアーキビストであるヴォレン・ナルにホスの戦いの報告書を提出し、AT-ATを転倒させる戦術を解説した。しかし彼はここでも、帝国が新しい戦闘プロトコルを編み出すと思われるため本作戦はもう通用しないだろうと主張した。この報告書は同盟軍の資料群『レベル・ファイルズ』にまとめられた。のちにレジスタンス・パイロットのポー・ダメロン中佐がこの資料群に目を通し、AT-ATの転倒戦術を称賛するコメントを書き入れた。[36]
戦争終盤[]
4 ABY当時[40]、AT-ATウォーカーは第2デス・スターのシールド発生装置施設がある森の月エンドアに配備されていた。[45] AT-ATの強みのほとんどは密集した森林によって損なわれ、エンドアでは主に小型のAT-STウォーカーが活用されることになったが、AT-ATもパトロールなどの任務に従事し[11]、他のビークルとともにシールド発生装置施設の着陸プラットフォームの護衛も行った。[22] エンドアの戦いのさなか、反乱軍のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーが実父ダース・ヴェイダーに会うため帝国に投降してきた際、アイガー司令官が彼をAT-ATウォーカーに乗せてシールド発生施設の着陸プラットフォームへ運んだ。[45]
エンドアの戦いの17日後、帝国軍はスターディクIVのカワ・シティで発生した戦いにAT-ATウォーカーを少なくとも1台投入した。ストームトルーパーと反乱軍トルーパーが市街地で銃撃戦を繰り広げる中、AT-ATとTIEファイターはエルゥロ・ランパー率いるグリーン中隊のRZ-1 Aウイング・インターセプターを迎え撃った。しかしグリーン中隊はTIE部隊を退けてフェラル中隊のBTL-A4 Yウイング・ボマーがAT-ATにアプローチするチャンスを作った。フェラル・リーダー率いるYウイングの爆撃隊は大量の磁化クラスター爆弾をばらまき、ウォーカーを破壊することに成功した。[46]
エンドアの戦い以降、帝国はパルパティーンが生前に準備していた終末司令の一環として、シンダー作戦と呼ばれる緊急作戦を銀河各地で実行に移した。[46] 帝国に忠実な惑星ヴァードスがその標的に選ばれた際、インフェルノ分隊のアイデン・ヴェルシオとデル・ミーコは帝国からの離反を決意し、首都ケストロに配備されていたAT-ATウォーカーをハイジャックした。彼女たちはレイダー級コルベット<コルウス>の駐機場所へ進みながら、その途中に姿を現したTIEファイターやAT-ST、対空砲、そして対空照準アレイを破壊した。最終的にAT-ATは破壊されたが2人は脱出を果たし、反乱同盟(間もなく新共和国へ再編された)へ離反した。[47] エンドアの戦いの20日後には、皇帝の母星でもある惑星ナブーもシンダー作戦の標的となった。軌道に配備された気候操作網やスター・デストロイヤー<レストレーション>は反乱軍によって撃破されたが[46]、帝国軍は通常なら撤退を開始するところ、そのまま首都シードへ地上部隊を降下させた。AT-ATウォーカーもゴザンティ級キャリアーによって地上に配備され、ナブーの街を攻撃した。レイア・オーガナ率いる反乱軍はナブーの女王によって準備されていた防衛システムをオンラインにするため、インフェルノ分隊と協力してシステムの中継器を修復した。AT-ATはシード宮殿の眼前まで迫っていたが、反乱軍は防衛システムのイオン・パルスによってAT-ATを含むあらゆる機械兵器を機能停止させ、勝利を手にした。[47]
銀河内戦終盤、ホスの戦場跡にレッカーズを始めとするゴミ漁り集団が群がり、AT-ATウォーカーなどの残骸漁りが行われた。この頃、ホスが属すアノート宙域には帝国のユーブリック・アデルハード総督による“鉄の封鎖”が敷かれており、外部の情報が遮断されていた。そんな中、惑星バーニン・コンのギャングである“ハッピー”・ダップは帝国に押収された積み荷を奪還する計画を立て、必要な機材を揃えるため“スマグラー”をホスの戦場跡へ送り込んだ。スマグラーはAT-ATの残骸付近でレッカーズの指導者であるボヘント・スプリンスを倒し、ウォーカーからコードブレイカーと呼ばれる装置を入手した。[48] 5 ABY[30]、新共和国は帝国の兵器の主要供給元であるクワット・ドライブ・ヤード社への攻撃を決行し、ジーナ・ムーンソング中尉率いるブレード中隊のBウイングが惑星クワットの造船所に爆撃を行った。しかし造船所の補給モノレールはAT-ATやAT-ACT、そして年代物のAT-TEウォーカーによって厳重に防衛されていた。Bウイングを護衛するためXウイングに乗り込んでいたサンダラ・リー中尉がウォーカーへの攻撃を強行したが失敗し、救助にあたったブレード中隊が1名の戦死者を出した。[49]
5 ABY[30]、AT-ATウォーカーは銀河内戦の最後の大規模戦闘となったジャクーの戦いに参加した。惑星ジャクーの軌道や大気圏上層で帝国艦隊と新共和国艦隊が戦闘を繰り広げる中、AT-ATは地上の砂漠で新共和国軍兵士を苦しめた。戦闘中、新共和国のCR90コルベットがジャクーに墜落し、乗組員のリンジー大尉たちが2台のAT-ATと複数のAT-STウォーカーに包囲された。しかしインフェルノ分隊のアイデン・ヴェルシオとシュリヴ・スールガヴが彼らのもとへ駆け付け、スターホーク級バトルシップ・マークI<ユニティ>に爆撃を要請し、AT-ATを2台とも撃破することに成功した。[47] また帝国軍はジャクーの研究施設を防衛するためスター・デストロイヤー<インテロゲーター>からヘルハウンド攻撃部隊のAT-ATを配備した。エンドア以来、何十という戦闘を経験してきたこのAT-AT部隊は研究所の最終防衛ラインを形成し、新共和国のコマンドー分隊が立てこもっている塹壕を攻撃した。戦闘中、Aウイングが墜落して孤立した新共和国軍パイロットのオダヴィア・エイナルが帝国兵の死体からロケット・ランチャーを回収し、ストームトルーパーが迫りくるのを無視して、先頭のAT-AT<ヘルハウンド2>の弱点に6発ものミサイルを打ち込んだ。このウォーカーは戦闘不能となって倒れたが、その頃にはエイナルも戦死していた。エイナルは死後に武勇記章を授与された。[35]
終戦以降[]
新共和国時代、“アウター・リムのハンター”の開催地である惑星ヴェスパーラのグランド・アリーナで、銀河内戦の戦場を再現したマップが複数制作された。そのひとつである“サルベージでサバイブ”ではホスの戦いが再現され、帝国の滅亡後に回収された帝国の兵器の残骸が実際に使用された。このマップではホスの戦いで破壊されたAT-ATウォーカー<ブリザード4>が再現されており、帝国のウォーカーが放棄されて凍てついていた。[50]
ジャクーの戦場跡は“宇宙船の墓場”と呼ばれ、廃品回収業者や試掘者たちにとって宝の山となった。ここには宇宙船だけでなく、破壊されたAT-ATウォーカーの残骸も転がっていた。[51] ゴミ漁りのレイはケルヴィン峡谷とカーボン・リッジの間に広がるゴアゾン荒地でAT-AT<ヘルハウンド2>の残骸を見つけ、自分の家にした。このウォーカーに乗っていたはずのストームトルーパーやパイロット、司令官の末路は不明であり、高価な部品も既に剥ぎ取られていた。しかし断熱材がほぼ無傷で残っていたため、レイは入植地ニーマ・アウトポストから離れた場所であるにも関わらず、この残骸を住居に選んだ。[22] ウォーカーが横転していたため、底面の降下用ハッチがレイの家の“玄関”となった。彼女は側面部にある主要ハッチや緊急用ハッチを溶接して封鎖し[6]、90度傾いた兵員区画をキッチンと寝室、作業場を兼ねた住まいにした。彼女はウォーカーの周りに訪問者の存在を知らせるセンサーを埋めていたが、そもそもジャクーの同業者たちはレイの罠やクォータースタッフを警戒して彼女の家にはほとんど近づかなかった。[22]
レイはAT-ATの空になったエンジン・ルームを自身のスピーダーのガレージとして使い、頭部コックピットは大事な物や冷却ユニットの保管場所として活用した。[22] レイは兵員区画から回収したブラスター・ライフルや、フットパッドから回収した地形スキャナー2基[6]、そして足首駆動モーターの高価な部品をジャンク屋アンカー・プラットに売却した。[22] また地形センサーのうち1基は自分用に修理し[6]、モーション・センサーとして作り替えた。また彼女はAT-ATのレーザー砲エナジャイザーと、2台のスピーダー・バイクの残骸から手に入れた燃料セルをTIEファイターのソーラー・パネルに接続し、エクソーン社製パワー・ジェネレーターとつないで手製の動力源にしていた。レイは“家”にいる時間のほとんどを、回収品を高く売却するための研磨・洗浄といった作業に費やした。[22] 彼女はいつの日か誰かが自分を迎えに来てくれることに期待し、AT-ATの部屋の壁に一日ごとに印をつけていた。[6] 34 ABY[40]、レイはAT-ATのフットパッドにもたれて休んでいた時に物音を聞きつけ、近くでティードーに連れ去られそうになっていたBB-8を救った。[52] レイはこのBBユニットをねぐらへ案内し[6]、翌日ニーマ・アウトポストへ連れていったが、結果的にそのままジャクーを離れることになり、わが家へ戻ることはなかった。[52]
銀河帝国の流れを汲むファースト・オーダーは、旧帝国が確立した効率的な手法を変える必要はほとんど無いと判断し、かつての手順にならって新世代のAT-ATウォーカーを使用した。このAT-ATは新型AT-STやAT-M6といったファースト・オーダーの他のウォーカーと同様、クワット=エントラーラ・ドライブ・ヤード社によって製造された。ファースト・オーダーの科学者たちは先駆者から優れたデザインを取り入れると同時にテクノロジーを進歩させており、AT-ATも帝国のものより軽量かつ頑丈になっていた。[19]
制作の舞台裏[]
コンセプト[]
- 「AT-ATなんて一度も呼ばなかったよ。そんな名前嫌いだね。単にスノー・ウォーカーと呼んでたんだ」
- ―ジョー・ジョンストン[出典]
全地形対応装甲トランスポート(AT-ATウォーカー)は1980年公開のオリジナル・トリロジー第2作『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』で初登場を果たした。[9] ロケ地で『帝国の逆襲』の撮影が始まる前までは、実在の車にグリーブリース(装飾)をつけて別世界の乗り物に見立て、ホスの戦いに登場させることになっていた。実際に砲撃できる戦車を改造して帝国のトランスポートにする案や、反乱軍がホバークラフトで反撃に出る案もあった。しかし実在の車を使うと別世界らしさが薄れて現実の延長上のものに見えてしまうため、難色を示す意見もあった。また戦闘シーンのロングショットではいずれにせよ模型の使用は避けられないことから、ビークルのデザインを妥協したところで節約できる時間やコストはたかが知れていると判断され、よりクリエイティブなものが志向されることになった。[53]
1977年末、ジョー・ジョンストンがジョージ・ルーカスに2本足のウォーカーを提案した。帝国のウォーカーを大型にしたいというルーカスの意向から、ジョンストンとラルフ・マクォーリーが検討を重ね、1978年1月に最終的なAT-ATに近い4本足のデザイン案をまとめた。[53] なお制作スタッフはこの乗り物を単に「スノー・ウォーカー」と呼んでおり、AT-ATという呼称は使っていなかった。[54] ジョンストンはシド・ミードがUSスチール社のパンフレットのために描いた未来の4足歩行式マシンのイラストを参考にウォーカーを考案した。[53][55] これは“将来、鋼鉄はこう使われる”という趣旨のイラストで、著作権なしで出版され、デザイン学校や学生に配布されたものだった。[54] また実際に制作されてテレビにも登場したゼネラル・エレクトリック社のトラックもヒントとなった。H・G・ウェルズの『宇宙戦争』に登場するトライポッドもAT-ATウォーカーに大きな影響を与えた。[53] オークランド港のドック設備がデザインに影響を与えたと言われることが多いが[54][56]、撮影に携わったフィル・ティペットは後年のインタビューでこの説を否定し、自分の記憶では先史時代の巨大動物パラケラテリウムがデザインのベースになっていたと思うとコメントしている。[56] ジョンストンもこの説を否定し、シド・ミードの影響が強いとしている。[54]
1978年2月[57]、マクォーリーはジョンストンの初期コンセプトをもとに、恐竜のような生物(トーントーンの原型)に乗って帝国のウォーカーから逃げるルークのコンセプト・アートを描いた。マクォーリーは他にもAT-ATのスケッチを多数制作し、後方にケーブルがついたスノースピーダーがAT-AT付近を低空飛行する場面や、前足が折れて崩れたAT-ATの周囲をスノースピーダーが旋回する場面、スノースピーダーのコックピットから脱出したルークにAT-ATが迫る場面のコンセプト・アートも手がけた。またマクォーリーは塹壕に座る反乱軍兵士のスチール写真をもとにプロダクション・アートを描き、写真には無かったAT-ATを背景に描き加えた。[58]
アラン・トムキンズはノーマン・レイノルズの指示でAT-ATと兵士、スノースピーダーのサイズ比率がわかる図面を作成した。ニロ=ロディス・ジャメロは2名のトルーパーが乗り込んだAT-ATのコックピットのデザインを数パターン作成した。1978年11月、ジョンストンはAT-ATの頭部のスケッチを数点描いた。その中には6門のキャノン(最終案と同じ配置に加え、上面にさらに2門)が搭載されたデザイン案もあった。[58] 同月、AT-ATのデザインが最終決定された。マクォーリーはイギリスでペインティングをしていたためAT-ATのデザインの最終局面には携わっておらず、ディティールのデザインは主にジョンストンが手がけることになった。[53]
撮影[]
- 「みんな本当に献身的だった。まさに一生に一度のチャンスだったんだ。私たちはみんなこの手のことに関しては超マニアックで、それを活かす機会を手に入れたわけだ。みんな若かったし、エネルギーに満ち満ちていた」
- ―ストップ・モーション撮影について、フィル・ティペット[出典]
『帝国の逆襲』に登場するAT-ATウォーカーは模型を用いた複雑なストップモーション・アニメと呼ばれる手法で撮影された。ストップモーションとは、関節が稼働する模型を1コマずつ撮影し、コマごとに模型のポーズをわずかに変えていくことで、フィルムを通常の速度で投影した時にまるで模型が動いているように見える撮影法である。しかしこの撮影法では、カメラが常に静止画を撮影しているため、動画で見たときにモーションブラー(動作のブレ)が生じず、ギクシャクした動きに見えてしまうという欠点があった。[59] トーントーンの撮影時にはこの欠点を解決するためゴー・モーションと呼ばれる新プロセスが発案されたが[53]、AT-ATウォーカーはそもそも機械の乗り物であり、生物を描写するわけではないため、ある程度のぎこちなさは許容範囲と判断された。[59]
AT-ATやトーントーンをストップモーションで撮影するようルーカスを説得したのはデニス・ミューレンだった。ミューレンはすべてをブルースクリーンで再現する従来の ILM の手法や、実際に歩行するラジコン式ウォーカーを使う案では時間がかかり、間に合わないと考えたのである。[54] 4本足の巨体の動きを適切に表現するため、ILMはゾウの動きを研究した。[59] 1979年2月5日、『エピソード4/新たなる希望』でバンサを演じた経歴を持つゾウのマージが『帝国の逆襲』の制作に加わった。ミューレンは、アニメーターが動きをトレースできるよう体にチョークで線が引かれたマージを撮影した。この映像は歩き方の分析に使われ、AT-ATの動きのベースになった。ジョン・ヴァン・ヴリエが映像をもとにモノクロのアニマティックを作り、足の動きのモデルが出来上がった。5月、ジョン・バーグが骨組みを作ったプロトタイプ模型でテストが実施された。この骨組みはすぐに分解され、高さ450mmのAT-AT3体分のパーツに加工された。最初の模型は7月初めに完成したが、ストップモーションを撮るのに必要なミニチュア・セットは8月に入るまで完成しなかった。[53]
ノルウェーのフィンセで撮影された実写映像と組み合わせるには異なるカメラ条件に対応しなければならず[59]、ストップモーション用の3体に加え、さらに3体の模型が製作された。ルークのスノースピーダーが攻撃する際に彼の肩越しに映るシーンを撮るため、マイク・フルマーとチャーリー・ベイリーが高さ50mmのAT-ATを2体造った。またトム・セント・アマンドとダグ・ベズウィックは模型製作班から提供された胴体とディテール・パーツをもとに、1.2メートルの大型模型を作った。この大型模型はAT-ATが倒れたり爆発するシーンで使用され、スティーヴ・ゴーリーが電磁石で脚を胴体に固定し、キューに合わせて脚が外れて倒れるようにした。胴体が重すぎて脚だけでは支えられなかったためワイヤーで吊るされ、キューに合わせて少量の爆薬でワイヤーを切断する方法が取られた。[53]
当初はAT-ATウォーカーを別々に撮影し、ノルウェーで撮影された実写の背景プレートと合成する計画だった。しかし初期のテストでは、当時の合成技術の限界によってウォーカーが浅く透けて見えてしまい、満足のいく結果とはならなかった。[59] そこでミューレンは『キングコング』のような、ガラスに描いた絵や巨大背景を用いる手法を提案し[54]、AT-ATの登場シーンのために15枚の克明なマット・ペインティングによる背景が準備されることになった。これは実写に見えるほど精緻な幅10.7メートルの絵であり、5体のAT-ATが同時に映るショットをラルフ・マクォーリーが担当し、残りをマイケル・パングラジオが引き受けた。またミニチュア・セットの雪原のきめ細かい雪を再現するため、模型製作の責任者ローン・ピーターソンがマイクロバルーンという特殊な素材を調達した。[60] フィル・ティペットとニロ=ロディス・ジャメロがバキュームフォームの素材を使い、リンゴ箱のような舞台用の箱の上に前景のセットを作った。雪のセットの上は不安定であるため、前景部分は慎重に調整され、模型は前景セットと背景画のあいだのベニヤ板の上に置かれた。[54]
フィル・ティペットとアニメーターたちがストップモーションの撮影を手がけた。模型を安定させるには3本の足が常に接地している必要があり、同時に1本しか動かせなかった。そもそもAT-ATの動きがゆっくりであることも相まって、1コマの動きは目に見えないほど小さいこともあった。ミニチュア・セットの台座には仕掛け扉があり、アニメーターはセットの下から体を出して直接模型を操作した。ストップ・モーションは集中力を要する撮影法であり、ティペットによるとレンガを積むような作業だという。ティペットは誰もいない夜間に1人で作業するのを好んだ。ある1場面で、AT-AT頭部の窓の中が赤く見えるように撮影された。当初は全シーンが同様に赤く撮影される予定だったが、なぜか結局その1場面限りとなった。ミューレンはそうなった理由は覚えていないとしつつ、その1場面が俯瞰の丁寧なショットだったためかもしれないし、単に誰も気にしなかったせいかもしれないとしている。[54]
他のデザインへの影響[]
ジョー・ジョンストンが最初期に制作した10輪の巨大戦車のコンセプト・アート(帝国がウォーカーではなく戦車を使う想定だったときに描かれたもの)は、のちにウエスト・エンド・ゲームズ社から発行されたレジェンズの書籍で流用され、HAVw A5ジャガーノートと名づけられた。さらに後年、ジョージ・ルーカスは新三部作の制作にあたって旧三部作とのデザインの橋渡しをするため、旧作では使われなかったコンセプトをいくつか再利用した。10輪戦車もそのひとつであり、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005年)に登場するクローン・ターボ・タンクことHAVw A6ジャガーノートの原案となった。[61]
アニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち』シーズン2(2015年)で初めて登場した別タイプのAT-ATのデザインは、ジョンストンとマクォーリーが手がけたオリジナルのAT-ATのコンセプト・アート数点を組み合わせて制作された。『反乱者たち』版のAT-ATが映画のものとは別物であることは当初から明言されていたが[62]、2023年発売の設定資料集『スター・ウォーズ:反乱の夜明け ビジュアル・ガイド』にて前者は試作型であることが明かされた。[23]
設定のブレ[]
AT-ATウォーカーの全高は公式データバンクを始めとする複数の資料で22.5メートルとされている。[5][11][41] 『スター・ウォーズ:ローグ・ワン:AT-ACTデラックス・ブック・アンド3Dウッド・モデル』(2017年)では全高を同じく22.5メートルとしつつ、全長を20メートルに設定している。[7] しかし各種映像や画像から判断するに、AT-ATは(少なくとも頭部まで含めると)全高より全長の方が長い。[9][12] 『スター・ウォーズ/ビークル・クロスセクション完全版』(2020年)では全高22.2メートル、全長25.9メートルとされており[4]、本稿ではこの情報を掲載している。
正史の設定資料集『スター・ウォーズ ビークルのすべて』(2018年)によるとAT-ATウォーカーが使われたのは帝国時代の後半である。[5] しかし帝国設立直後を描く『スター・ウォーズ:シスの暗黒卿 燃える海原』(2018年)に量産型の外見に近いAT-ATウォーカーが登場し、モン・カラ侵略に参加する描写がある。[63] 『燃える海原』の描写がミスであるかどうかは現時点では不明だが、本作を除くと量産型AT-ATの登場作品は『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』以降の時系列に集中しており、それ以前の時系列は主に試作型AT-ATが登場している。
登場作品[]
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