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「一触即発の危機だよ」
―ドゥークー伯爵[出典]

分離主義危機(Separatist Crisis)、分離主義運動(Secessionist Movement)は数千の星系銀河共和国から離脱し、ドゥークー伯爵率いる独立星系連合へ加わった政治的混乱期。ナブー危機以降に始まったこの運動は、ドゥークーと彼のシス・マスターである暗黒卿ダース・シディアスによって操作されていた。銀河帝国の創設とジェダイ・オーダーの破壊を究極目標に掲げるシスは、共和国の支配権を握るため、分離主義運動を利用して銀河規模戦争を引き起こそうと企んでいた。来たるべき戦争で共和国のために戦う軍隊を用意するため、シスは密かに惑星カミーノクローン・トルーパーを製造させていた。

表向きには共和国のパルパティーン最高議長として知られたシディアスは、分離主義危機を両面から操った。パルパティーンは共和国の危機を外交的に解決するつもりだと宣言し、分離主義同盟との戦争は避けたいと発言した。分離主義元老院のメンバーをはじめ、分離主義者も多くは戦争を望んでおらず、ただ単に腐敗した共和国からの解放を願っていただけだった。ロイヤリスト・コミッティーの有力メンバー、惑星ナブー代表のパドメ・アミダラ元老院議員の命を狙う暗殺未遂事件が起きた後、調査を担当したジェダイ・ナイトオビ=ワン・ケノービが惑星カミーノのクローン軍団を発見した。また、彼はジオノーシスの集会を盗み聞きし、トレード・フェデレーションを筆頭とする経済界の大物たち(のちの分離主義評議会)がドゥークー伯爵のために大量のバトル・ドロイドを準備していることを知った。

ケノービ、アミダラ議員、パダワンアナキン・スカイウォーカーが独立星系連合に捕まり死刑を宣告された後、ジェダイ・オーダーのメンバーが救出作戦を開始し、ジオノーシスの戦いが勃発した。銀河元老院は未曽有の危機に対処するため議長に非常時大権を付与し、パルパティーンは与えられたばかりの権利を使って正式に共和国グランド・アーミーを立ち上げた。グランド・アーミーのクローン兵はジェダイ・マスターヨーダに率いられてジオノーシスに駆け付け、分離主義勢力ドロイド軍と激突した。この戦いは共和国の勝利に終わったが、分離主義危機は3年間続くクローン戦争へ発展した。戦争終結時、共和国は連合軍を破ったが、最高議長はより安定した政府を作るという口実で共和国を帝国へ再編し、シスの悲願が達成された。帝国は約25年後に新共和国に破られたが、分離主義危機の遺産はその後の銀河史にも影響を与えた。帝国の残党から生まれたファースト・オーダーは、銀河に安定をもたらすため新たなる戦いを開始する。

歴史[]

背景[]

「不平不満が強まり、犯罪組織や利己主義な企業に雇われた傭兵グループも生まれている。セスウェナ宙域では、多くのロマイト鉱石関係者が通商連合の気を引こうと競っている。通商連合は自由貿易ゾーンの独占権を得ようとしている。わたしの故郷であるナブーでも、王がプラズマの輸出を巡って通商連合や辺境域の銀行家と衝突した。われわれの故郷は辺境宙域だ。だがそのアウター・リムで起こることが、銀河全体に大きく反響する可能性がある」
―ウィルハフ・ターキンに対し、シーヴ・パルパティーン[出典]

世紀もの間、銀河共和国コア・ワールドにおける魅力的な商取引によって近隣の惑星を取りこんできた。コア領域との通商が約束されているという強みに惹かれ、未加盟の惑星も次々と引き込まれ、共和国との強固な関係を築いた。しかし、共和国の元老院議員たちは領域が拡大することで政治的影響力が薄まることを恐れた。そのため、主にコアに近い惑星の代表議員の反対により、新しい惑星の加盟手続きに時間がかかることが少なくなかった。共和国内部には勧誘と排他が共存し、地域によっては拡張の勢いに歯止めがかかるところもあった。そこで、新たに加盟したメンバーは地域ごとに連携し、独自に連合を形成するようになった。[1]

共和国の元老院議員はしだいに公益よりも自分たちの利益を優先するようになり、共和国の礎だった民主主義がゆっくりと蝕まれていった。トレード・フェデレーションをはじめとする巨大企業は銀河元老院に代表者を派遣する権利を与えられ、自由貿易圏の利権を手に入れようとした。[2] 共和国ジュディシアル・フォースの力がアウター・リム・テリトリー星系に及ぶことは少なく、コアに非協力的な辺境惑星に対しては援助を差し控えることも多かった。そのため、アウター・リムの惑星エリアドゥセスウェナ宙域を防衛するため自ら辺境域保安軍を立ち上げた。エリアドゥ出身の若き士官候補生ウィルハフ・ターキンは、保安軍のメンバーとして目覚ましい活躍を遂げた。[3]

しかし、こうした動きは銀河社会全体にほとんど変化をもたらさなかった。プラズマ輸出をめぐるトラブルを受け、トレード・フェデレーションが惑星ナブー封鎖した際、共和国のフィニス・ヴァローラム最高議長はナブーのパドメ・アミダラ女王による不信任投票で失脚し、シーヴ・パルパティーン議員が後継者となった。銀河市民の大半が知らなかったが、パルパティーン議長の正体はシスの暗黒卿ダース・シディアスだった。彼は共和国指導者の座を手に入れるため、故郷のナブーとトレード・フェデレーションを利用して最初から事件を操っていたのである。[2][3]

ナブーの戦い弟子ダース・モールを失ったシディアスは、元ジェダイ・マスタードゥークー伯爵を新しい弟子にとった。ジェダイ・オーダー脱退後、ドゥークーは8年もの間消息を絶った。その間、各地の宙域で政情不安を煽っているという噂が流れたため、伯爵は亡命してジェダイの支部組織を作っているのではないかと思い込む者たちもいた。8年後、ドゥークーはラクサス星系ホロネット中継ステーションを乗っ取り、共和国を非難して分離主義者の運動を支持する扇動的なスピーチを発信した。突如として銀河全域の注目を集めたドゥークーだったが、あくまで内密に活動を進め(共和国の暗殺者の裏をかくためとも言われた)、ライロスのクーデターを後押しし、キャッシークサラストオンダロンといった惑星の内政に干渉した。また、伯爵は最高議長からの交渉の申し出を全てはねのけた。[3]

危機の始まり[]

「私は見識ある指導者に統治された銀河の実現を決意しているのだ。普遍的に適用される法がある世界――コア・ワールドだけでなく、アウター・リムまでも守る法でね」
「専制政治。セレノー出身の伯爵の独裁というわけですか」
「私は野心家だが、そこまでではない」
―クローン戦争勃発の数週間前に交わされたドゥークー伯爵とターキン総督の会話[出典]

ドゥークー伯爵の刺激的なレトリックは、ミッド・リムインナー・リムの大学の若き知識人たちに響いた。彼らの領域はコアと辺境の間に位置し、中央政府の政治力が届かないうえ、アウター・リムから効率的に利益を得ることもできない“狭間”に位置した。カリスマを備え、自信に満ちたドゥークーのメッセージは、何千という人びとの心をひとつにした。伯爵の言葉に魅了された若者たちは、政治運動へと駆り立てられた。

分離主義危機が拡大するにつれてドゥークーの露出は珍しくなり、メッセージも短いものになった。特に分裂が進んだアンドーアンシオンのような惑星では、伯爵のメッセージがきっかけとなり暴力沙汰が起きることもあった。ドゥークーは分離主義者の星系をまとめて独立星系連合を形成し、ヤグデュルスルイス・ヴァンを味方に引き入れることで銀河系南部に勢力基盤を築き上げた。ハイディアン・ウェイリマ・トレード・ルートの交差点上に位置するセスウェナ宙域の惑星エリアドゥは紛争地帯となり、共和国と連合の双方がこの惑星を取りこもうとした。コア・ワールドを効果的に崩壊・収縮させるため大セスウェナ領域を必要としていたドゥークーは、自らエリアドゥを訪れ、ウィルハフ・ターキン総督と交渉した。しかし、ターキンは銀河系の分裂よりも腐敗した共和国を選び、ドゥークーの勧誘を拒否した。ターキンがいつか味方になることを期待していたドゥークーは、もし戦争が始まっても出来る限りエリアドゥに被害が及ばないよう取り計らうと約束した。

エリアドゥは加盟を拒否したが、不満を抱える何千という星系が共和国から脱退し、独立星系連合の唱える抵抗の呼びかけに賛同した。コア・ワールドのための穀倉地帯として利用されていた農業惑星ユキオは、充分な見返りが与えられていないのではと疑問を抱き、共和国への抗議を開始した。その後、ユキオを包括するアブリオン宙域の代表議員は、他の辺境惑星と共に脱退の意志を表明した。

クローン戦争[]

SecessionistMovement

独立星系連合の幹部たち

分離主義危機がシスの陰謀によって拡大すると、銀河元老院では軍隊創設法案が提案され、正規軍を組織して分離主義者の脅威に立ち向かうべきだと主張する者たちが現れた。最終的に、グンガンジャー・ジャー・ビンクス下級代議員の発案でパルパティーン最高議長に非常時大権が与えられることになった。パルパティーンは大権を行使して惑星カミーノクローン・トルーパーを正規軍として採用し、共和国グランド・アーミーを組織した。かつてジェダイ・マスターサイフォ=ディアスが発注したクローン軍団は、シス卿の陰謀によって分離主義者危機の時代までその存在を隠されていた。パドメ・アミダラ元老院議員の暗殺未遂事件を調査していたオビ=ワン・ケノービがカミーノを訪れたことで、ジェダイ最高評議会はサイフォ=ディアスによるクローン発注の事実を初めて知った。

その後、調査を続けてジオノーシスへ赴いたケノービは、独立星系連合の指導者たちの秘密会議を盗み聞きした。この会議にはドゥークー伯爵のほかに、テクノ・ユニオンコーポレート・アライアンストレード・フェデレーションインターギャラクティック銀行グループといった大企業の代表者たちが集まっていた。ケノービは分離主義者たちがバトル・ドロイド軍団を組織していることを知り、ジェダイ評議会に警告を発した。ケノービはドゥークーに捕えられたが、200名のジェダイとクローン・トルーパーが救出に駆け付け、ジオノーシスの戦いが勃発した。戦いは共和国の勝利に終わったが、分離主義勢力の幹部は戦場から逃げ延び、銀河系全域を巻き込むクローン戦争が始まった。

その後[]

クローン戦争終結時、共和国に代わって専制主義政府の銀河帝国が台頭した。新たに創設された帝国保安局は分離主義者の反乱に加わった惑星への処罰を開始し、アンターの虐殺と呼ばれる事件が発生した。分離主義者のプロパガンダに使われたパンフレットや書籍は焼却され、違法物品に指定された。分離主義勢力の軍艦は解体され、ドロイドは闇市場に流れた。解体された軍艦の部品やドロイドは、しばしば反乱分子や犯罪組織の手にわたった。

初期の帝国は分離主義者の抵抗勢力との戦いに力を入れた。帝国時代、分離主義運動は銀河共和国の腐敗や無力さの象徴として語られ、旧政府の負の側面は帝国から消え去ったと信じられた。まだ戦争の記憶が生々しく残っていた頃、多くの星系が新帝国の力の象徴であるインペリアルI級スター・デストロイヤーを歓迎した。かつて分離主義危機に参加した惑星から支持を得るため、帝国アカデミーインナー・リムにある旧分離主義勢力の惑星出身者のために合格枠を設けていた。

分離主義危機の約30年後、帝国は銀河内戦に敗れて新共和国が台頭した。しかし、帝国と同じ事が繰り返されるのではないかと恐れ、多くの星系が新共和国への加盟を拒否した。結果的に新共和国は銀河共和国や帝国よりも規模の小さい政府となった(ただし多数の星系が新共和国と友好な関係を維持していた)。また、新共和国は分離主義危機の再来を恐れる星系を安心させるため、首都を選挙制の輪番式にした。

登場作品[]

参考資料[]

脚注[]

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