密輸業者(Smuggler)は正規の手続きを経ずに禁制品や税金のかけられた品々を輸出入する職業である。彼らが運ぶ品物は密輸品とみなされ、極めて違法性が高かった。密輸業者は仕事に必要なスピードや回避能力、貨物積載能力を確保するため、しばしばスターシップを違法に改造した。彼らは運んだ品を闇市場で売りさばいたり、顧客に届けることで利益を得ていた。武器の密輸業者はガンランナー(Gunrunner)、スパイスを専門とする者はスパイスランナーとも呼ばれた。著名な密輸業者としてハン・ソロとその一等航海士チューバッカ、ランド・カルリジアンらが知られる。
概要[]
密輸業者は禁制品を運ぶことで利益を上げる、独立したスターシップ運用業者である。[1] リスクが高い半面、大きな儲けを期待できる仕事だった。[2] 彼らは儲けのためならばどんな種類の違法商品でも禁止区域へ持ち込み、仕事の障害となる法律は、誰が定めたものであれ無視した。彼らは密輸品を闇市場で売りさばいたり顧客に届けることで利益を上げ、時には自分たちで密輸品を使用することもあった。[3] 銀河系のなかでも、強力な中央政府の監視の目が行き届かないアウター・リムは密輸業者を含む犯罪者たちの温床となっていた。また密輸業者はしばしば宇宙船を違法に改造し、仕事をこなすうえで必要とされるスピードや回避能力、貨物積載能力を確保していた。[1]
密輸業者はギャングに雇われて働くことが多かったが[2]、中にはフリーランスで活動する者もいた。フリーランスの密輸業者はグラスファー・リングやクラトゥイニアン・トレード・ギルド、マンドロクサン・カルテル、テンロス・シンジケートのフロント企業であるオロロ輸送社、キーダー・リング、ドロイド・ゴートラ、ランティリアン・スペーサーズ・ブラザーフッドといった密輸組織やギルドから仕事を請け負うことがあったが、失敗した場合は友好的に扱われなくなるというリスクもあった。また雇い主が反政府勢力とつながりを持っていた場合、密輸を請け負った業者も反逆罪に問われる恐れがあった。[4] “鉄のリアナ”の異名で知られたリアナ・コールのように、密輸業者の中には略奪行為にも手を染め、欲しい物は力ずくで手に入れる海賊兼業者もいた。[5] “海賊の女王”として知られたマズ・カナタは[6] 同時に密輸業者の女王でもあり、銀河系でもっとも人脈の広い業者のひとりだった。[1]
密輸業者はしばしば信頼できる副操縦士や相棒とパートナーシップを組んだ。コレリアンの密輸業者ハン・ソロとウーキーの一等航海士チューバッカのコンビは銀河系で最も有名であり、2人のあいだには強い友情と信頼があった。チューバッカはソロとコンビを組んで間もない頃から、ソロの無謀さが災いして自分は決して金持ちにはなれそうにないと気づいていた。しかし彼は自分の命を救ってくれたソロに恩義を感じ、“命の借り”を負っていたことから、数十年にわたって相棒を支え続けた。またランド・カルリジアンとロボトのコンビも、ソロとチューバッカに近い成功と評判を獲得していた。経験豊富な船長にせよ、若いルーキーにせよ、密輸の仕事の成功率はトラブルに目を光らせる頼もしい副操縦士かパートナーの存在によって倍増した。中にはチューバッカとは対照的に、やむを得ず法律違反者と組んで密輸に手を染める者もいた。こうした人々は本当は単独で行動したり別の仕事に就くことを望んでいたが、自分や愛する人に迷惑がかかることを恐れて船長やパートナーの命令に従っていた。単独の密輸業者の場合、1人で仕事をするのが好きな者もいれば、復讐などの個人的な目的のために動いている者、所属していた組織の唯一の生き残りとなった者など、個人で活動する理由は千差万別だった。[7]
銀河内戦期には、反乱同盟のスパイも銀河帝国のスパイも密輸に手を染めた。戦時下における密輸は、情報収集や軍隊の補給ルートの確保といった目的も兼ねていた。のちの時代にはレジスタンスやファースト・オーダーのスパイも同様の活動を行った。しかし反乱軍と契約した密輸業者への報酬は多くはなかった。ロザルの反乱分子スペクターズの活動に代表されるように、そうした務めは銀河の自由という大義への義務感で行うものだとされていたためである。[7]
密輸の手段[]
- 「密輸業者の格は隠れ家で決まるとか言うが、ご覧の通りこの俺は最高ってわけさ」
- ―ハン・ソロ[出典]
密輸業者はしばしば公式の記録に載っていない宇宙港、いわゆる“シャドウポート”を利用した。[8] シャドウポートや無法者のためのガレージ、そして安全な避難所は銀河系各地に点在し[4]、密輸業者の価値は隠れ家で決まるとさえ言われていた。[9] また密輸業者は確立された既存のハイパースペース・ルート以外の航路を使用することもあり、マズ・カナタはバークズ・トレイリングやハーグリック・アレイ、バイオクス・ディートゥア、インサイザー・サイドステップ、マンブルズ・ターンアラウンド、バブル・ウインク、サニティ・スキップなどの航路を“真の通商路”と呼んでいた。[4]
仕事の最中に当局と遭遇してしまった密輸業者は、最悪の場合、摘発を免れるため禁制品を宇宙に投棄することがあった。[10] 熟練した密輸業者の中には、宇宙船舶局や帝国宇宙省といった当局からあらかじめ認可証を取得しておき、税関の取り締まりに出くわしそうな時には合法的な貨物輸送業者を装う者もいた。こうした場合、税関職員が乗り込んできたときに書類を提示できるよう、認可証を常に最新の状態に更新しておく必要があった。[4]
密輸品[]
海賊女王マズ・カナタは著書『スマグラーズ・ガイド』の中で、1キログラム当たりの儲けが最も大きい密輸品としてコアクシウム、クオレン工芸インク、ハーチ工業用接着剤、ゲイバーウール亜麻繊維、キブノンもしくはネヴータ刺激粉、そしてメゴナイト・モスを挙げていた。[4] このうちコアクシウムは未精製の場合きわめて不安定であり、爆発する前に精製所へ運び込むには優秀なパイロットと快速のスターシップが必要とされた。[11] またメゴナイト・モスは慎重に包装する必要があるうえ、所持しているだけでも第1級の重罪になってしまうという欠点があった。[4]
密輸業者のプラット・オキーフは同業者に対し、オーロディウムやグリール・ウッド、オロ=ウィーヴなどを密輸すると良いと薦めていた。彼女は他にも金になる密輸品として、メリーニウムやデュレリウム、ハイパーバライド、コルスカ・ストーン、マンダロリアンのベスカー、クエラ・ジェム、プリズマティック・クリスタルを挙げていた。[4]
スパイスを密輸する業者はスパイスランナー(スパイス運び)と呼ばれた。[12] アンドリスやカスーナム、サンサナは密輸で儲かるスパイスとして知られた。またプラット・オキーフはライルや惑星ケッセル産系統の一級品スパイスには手を出すべきではない、と同業者に警告していた。[4]
政府から手配されている人々が安全に目的地へ旅するため密輸業者を雇うこともあった。[10] またジェダ・シティで活動していたウォーン・バーソのように、難民の密輸を行う業者もいた。[13] わざわざ価値のない品を“密輸”し、詐欺で儲ける者もいた。例えばイア・タンギー出身のアストリッド・フェンリスは惑星ヴァンドアの氷をそのまま運び出し、ララ・ミネラル・ウォーターと偽って売りさばいていた。[8]
登場作品[]
参考資料[]
脚注[]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ 全記録
- ↑ 2.0 2.1 スター・ウォーズ:イウォークに食べられない方法、銀河サバイバル・スキル
- ↑ スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 4.7 スター・ウォーズ:スマグラーズ・ガイド
- ↑ Liana Kor - 公式データバンク
- ↑ スター・ウォーズ/フォースの覚醒 ビジュアル・ディクショナリー
- ↑ 7.0 7.1 週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン 第69号 (宇宙飛行の秘密:密輸パートナーシップ)
- ↑ 8.0 8.1 ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー オフィシャルガイド
- ↑ スター・ウォーズ:スカイウォーカーの衝撃
- ↑ 10.0 10.1 スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望
- ↑ ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
- ↑ ブラッドライン
- ↑ スター・ウォーズ ローグ・ワン アルティメット・ビジュアル・ガイド