攻撃型偵察機170スターファイター(Aggressive ReConnaissance-170 starfighter)、通称ARC-170スターファイター(ARC-170 starfighter)はインコム社とサブライト・プロダクト社が共同開発した重武装の長距離偵察用大型スターファイターである。戦闘機と爆撃機の資質を兼ね備えたARC-170は、共和国宇宙軍最強の重スターファイターであり、クローン戦争で活躍した。ARC-170はZ-95ヘッドハンターをはじめとするインコム/サブプロ系統の戦闘機のデザインを受け継いでおり、左右の翼がそれぞれ3枚に展開される分割翼を最大の特徴としていた。この機能により、ARC-170はヒート・シンクを露出させて温度上昇を抑えると同時に、大気圏飛行の安定性を向上させることができた。スターファイターとしては珍しく3人乗りで、さらにナビゲーター用のアストロメク・ドロイドを積載したARC-170は、優れたハイパードライブと各種センサー・パッケージによって長期間・長距離の偵察任務をこなすことができた。乗員と兵器を多く積んだ代償として速度や機動力は限られていたものの、ARC-170は対艦戦闘だけでなくドッグファイトでも活躍することができた。
ARC-170を開発した当時、インコム社とサブプロ社はすでに業務提携の解消を決定していたが、履行せざるを得ない契約の一環としてこの戦闘機を製造した。開戦前に開発されていたにもかかわらず、ARC-170は両社の意見の食い違いによってクローン戦争への参加が遅れることとなった。戦闘準備が整うと、ARC-170はすぐに実戦に配備され、ドッグファイトにおける銀河共和国の主力機体としての座をV-19トレント・スターファイターから奪い取った。ARC-170はより機動力が高いアルファ3ニンバス級Vウイング・スターファイターやイータ2アクティス級軽インターセプターと組むことで強力な戦力となり、独立星系連合の機敏なドロイド・スターファイターとの戦闘では、攻撃型爆撃機としての役割に従事した。ARC-170はクローン戦争を通して活躍し、マラステアやサラスト、カミーノ、アンバラといった各地の戦場に展開された。コルサントの戦いでは、自らARC-170に乗り込んだCC-2237“オッド・ボール”率いるクローン・フライト・スクワッド7がジェダイ将軍アナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービを支援した。
終戦後、ARC-170は新政府銀河帝国の宇宙艦隊で引き続き使用されたが、維持費と乗員に割く費用がかさみ過ぎたため、すぐにTIE/ln制宙スターファイターに置き換えられた。しかし一部のARC-170は帝国時代中期も現役で使用され、ウィルハフ・ターキン総督指揮のもとセイリエント戦役や、バーチ・テラー率いる反乱分子との戦闘に投入された。また共和国再建のための同盟(反乱同盟)もARC-170を使用したが、彼らには1機の戦闘機に3名の乗員を割くほど余裕がなかったため、大半は解体された。しかしARC-170のデザインは、銀河内戦で最も有名な機体にして反乱軍のシンボルであるT-65B Xウイング・スターファイターをはじめとする後世の戦闘機に影響を与えた。
特徴[]
機体[]
ARC-170こと攻撃型偵察機170スターファイターはインコム社とサブライト・プロダクト社(サブプロ社)が共同開発した、共和国宇宙軍最強の重スターファイターである。[4] 全長12.71メートル、翼長19.85メートル、全高3.81メートルの[5] 頑丈かつ耐久性のあるがっしりとした機体で[3]、アウター・リム・テリトリーの共和国軍が頻繁に使用した他のインコム/サブプロ社製戦闘機とよく似ていた。より“重厚な”兄弟機としてはPTB-625惑星爆撃機やNTB-630宇宙爆撃機と類似性がみられ、より“軽装”なZ-95ヘッドハンターを彷彿とさせるところもあった。[4] インコム社の近代的デザインの典型例ともいうべきこの大型戦闘機は、細長い胴体部分に、大型の後部エンジン・ナセルが配置されていた。[4]
ARC-170のもっとも人目を引く特徴はその可変翼であり[3]、左右の主翼の上下に小さなSフォイル翼が配置されており、これを開くことで左右の翼をそれぞれ3つに分割することができた。[4] この独特の機構は交差分割翼(スプリット・トランスバース・ウイング)と呼ばれ[9]、その形状は“フラワー型”と表現されることもあった。[16] 交差分割翼は追跡行動時や戦闘中に展開することで、主翼や小型翼の内側に配置されたヒート・シンクを露出させ、冷却ラジエーター・パネルを機能させる役割を果たした。これにより、ARC-170は偏向シールドを稼働させて機体を防御しつつ、温度上昇を抑えて機体の安定を図ることができた。また分割翼は戦闘によって生じたエンジンや火器の熱を効率的に逃がすだけでなく[9]、大気圏内での機動性を向上にも寄与した。[4]
乗組員[]
- 「やる気らしいな。用意はいいか、兄弟」
「いつでも来やがれ」
「了解。俺たちの力を見せてや――」 - ―ARC-170の操縦士、副操縦士、砲手[出典]
ARC-170はスターファイターとしては珍しく3人乗りで[3]、彼らのコックピットが戦闘機上面部の全長のほとんどを占めていた。[4] 1人目はパイロットとして正面の座席に乗り込み、2人目は最も見晴らしがよい位置を占めた。[3] 2人目は副操縦士として電子機器および武器システムの責任者を務めると同時に[4]、2門のレーザー砲の砲手という二役を務めた。3人目は後ろ向きに座り、上下の尾部レーザー砲の砲手を受け持って追撃機に対処した。2人目と3人目のコックピットのあいだにアストロメク・ソケットが設けられており、長距離星間任務でナビゲーターとして役立つアストロメク・ドロイドがここに収容された。[3] 機内システムのメンテナンスと監視、そしてハイパースペース航行のバックアップ用に、ARC-170はほぼすべての一般的なアストロメク・ドロイドを搭載することができた。[4]
武器および防衛システム[]
- 「ARCファイターが武器追跡システムを起動したのを探知しました」
- ―ダース・ヴェイダーのドロイド[出典]
ARC-170は長射程戦闘、スタンドオフ戦闘、武装偵察用に設計されており、バランスの取れた攻撃・防御システムを備えていた。船体は非常に頑丈で、同じクラスのどの機体よりも重装甲だった。この分厚い装甲は三重の過剰なシールド・システムでバックアップされており、最強クラスの兵器を除くほぼすべての火器からの攻撃をしのぐことができた。[4] ARC-170の前方偏向シールド・プロジェクターは船体左右のエンジン・ナセルに組み込まれていた。[9] クローン戦争で最も重武装の戦闘機であるARC-170は 中型レーザー砲2門、尾部レーザー砲2門、そしてその多彩な戦闘能力に合わせた[3] 強力な[16] プロトン魚雷発射装置(魚雷6発)で武装していた。[3] イオン砲は非搭載にも関わらず、エネルギー兵器と弾薬のコンビネーションにより、ARC-170は突出した対艦戦闘能力を発揮することができた。[4]
ARC-170の主力兵器は、機体に対して不釣り合いなほど大きい翼端の中型レーザー砲であり、自機より大型の標的にも十分な威力を発揮した。このキャノンは強化デュラスチール装甲を難なく貫通することが可能で[9]、主力艦の装甲さえ危うくし[3]、敵クルーザーにとって脅威となった。[16] 主に副操縦士が主砲の操作を担当したが、パイロットが制御することもできた。主砲には照準用のレンジファインダーが設置され、砲身の内部にはティバナ冷却剤用の幾層にも重なった超伝導体とナノ・ダクト群があり、ブラスター・ビームのエネルギーがスピンしながら凝縮・調整され、共振チャンバー内の収束エネルギー・フィールドの振動によって強力なビームが生成された。正確に照準を定めるため、ビームの角度はマズル(砲口)の内部でも微調整することができた。[9]
普通の戦闘機なら弱点となる後部も、ARC-170は追撃機を寄せ付けないほど強力な上下の[3] 対戦闘機用[4] レーザー砲で守られていた。また前方に装備された[4] プロトン魚雷発射装置は、恐ろしいほど正確な射撃で敵に対して莫大なダメージを与えることが可能で、これにより優秀な爆撃機としての役目を果たすことができた。こうした兵器と防衛システムの組み合わせにより、ARC-170は何百という軽量で素早いドロイド・スターファイターに囲まれた時でさえ、高い生存率を誇った。[9]
推進装置とその他のシステム[]
ARC-170スターファイターは機体の左右にIGP-440aイオン・タービン・エンジンを搭載していた。このエンジンを収容した大型ナセルはSフォイル翼の基部としても機能した。[4] またエンジン・ナセルから投射されるシールドが大気圏飛行時に生じる熱を逃がすことで、超音速飛行が可能になっていた。イオン・エンジンには逆推進ロケットも搭載されており、通常時は前方の放熱口は閉鎖されていた。[9] ARC-170は乗員と兵器を多く積んだ代償として速度が限られ、機動性や加速度が落ちていた。[3] ARC-170の大気中での最高速度は1,050 kphで[8]、最大加速度は2,600 Gだった。[6] ハイパードライブの等級はクラス1.5で[2]、船尾に配置されていた。[9] このハイパードライブは高速で信頼性が高く[4]、航続距離は5,000光年を誇った。[3]
武装偵察の役割をこなせるよう、ARC-170は洗練された長距離センサー・パッケージを搭載していた。[4] これらの精密機器は機首の内部に高密度で実装されており、アクティブ・スキャナー・モジュールやパッシブ・センサー、専用エネルギー受容器、ガンマ線画像処理分光器、ジャミング装置、長波アンテナ、通信およびセンサー・プロセッサーが取り揃えられていた。その他、ARC-170は機首にヘッドライト、機体前方下部にリパルサーリフト、コックピット前方にフライト・コンピューター、機体中央内部に燃料タンクを装備していた。[9] ARC-170はパイロットのために5日分の消費空気を積むことが可能だった。[3]
役割[]
- 「私の位置をマークしろ。編隊を組んで後に続け」
「後ろについています、ケノービ将軍」 - ―オビ=ワン・ケノービとオッド・ボール[出典]
攻撃型偵察機170スターファイター(パイロットとクルーにはARC-170と呼ばれた)は[4] 銀河共和国宇宙軍の主力スターファイターであり、その大きさと武装の幅により、戦闘でさまざまな役割をこなすことが可能だった。[14] 戦闘機と爆撃機の資質を兼ね備えたマルチタスクの機体であり[16]、攻撃、対艦任務[4]、施設防衛[17]、ドッグファイト、爆撃といった幅広い任務をこなすことができたが[1]、本来は長距離偵察機として設計されていた。[3] 内蔵されたハイパードライブとドロイドのナビゲーターにより、ARC-170は敵の宙域深くに潜入して、孤独な単独偵察任務や危険な襲撃任務をこなすことができた。また5日分の消耗品を備えていたため、軍艦や、母艦を必要とする短距離戦闘機ではたどり着けない場所にも到達可能だった。[9]
ARC-170はいかなる脅威にも対処できるよう万全の装備を積んでおり[1]、本来は偵察機であるにも関わらず、大規模な戦闘や空中戦でも活躍することができた。[3] 強力な破壊力を持つARC-170が機動力の高いアルファ3ニンバス級Vウイング・スターファイターやイータ2アクティス級軽インターセプターと組めば、向かうところ敵なしの攻撃編隊となった。[9] 独立星系連合の機敏なドロイド・スターファイターとの戦闘においては、Vウイングとジェダイ・インターセプターは通常、ドロイドとの戦闘に集中し、ARC-170は破壊的な攻撃型戦闘爆撃機としての役割を果たした。[3] VウイングはARC-170やV-19トレント・スターファイターの技術的に優れた部分を取り入れた機体であり[18]、ARC-170よりはるかに小回りが利くため[9]、ARC-170の援護を任されることが多かった。[19]
共和国宇宙軍や[10] 初期の帝国宇宙軍においては、クローン・トルーパー・パイロットがARC-170スターファイターの乗組員を務めた。[17] ARC-170は共和国軍において人気が高く[9]、分離主義勢力の主力艦の排除を任されたクローン・パイロットたちに愛用された。[20] クローンの戦闘機部隊は最新のスターファイター・テクノロジーを駆使したこの機体に乗り込み、共和国の星々の空を防衛した。[5] ARC-170のクローン・パイロットたちは重武装のスターファイターを操縦して戦闘に赴くのが自慢であり、レイザー中隊のようなエリート部隊に至っては、機体を塗装して恐ろしい生き物を連想させる外見にデザインしていた。[3] クローン・パイロットはさまざまな装備を身に着けたが、クローン戦争終盤には視界を改善したオープン型ヘルメットが一般的になっており、ARC-170のパイロットたちによって着用された。[21] ARC-170の操縦性は、よりスリムで機動性に優れたクローンZ-95ヘッドハンターと似ており、多くのクローン・パイロットが両タイプのクロス・トレーニングを受けた。[22]
歴史[]
開発と影響[]
ARC-170はインコム社とサブプロ社によって共和国のために開発されたスターファイターである。両社がクローン戦争勃発以前から行っていた研究開発と、共和国軍最高司令部が戦時下に取り組んだ戦闘機の開発と製造発注によって誕生した。当時、インコム社とサブプロ社は長いパートナー関係にあったが、Z-95ヘッドハンターの失敗を受けて共同事業の解消を決定していた。しかし、履行しなければいけない契約がまだ残っており、そのひとつがARC-170だった。両社の意見が合わなかったことから、ARC-170のクローン戦争への参加はかなり遅れたが[3]、それでも戦争初年の22 BBYには戦場に導入された。[11]
ARC-170はクローン戦争中に共和国軍がアウター・リムで使用した他のインコム/サブプロ社製戦闘機とよく似ていた。ARC-170自体も、インコムとサブプロの有益な共同事業の産物と評価することができ[9]、実際に両社の連名で発表されたが、実態としてはサブプロ社のデザインは名ばかりのものだった。クローン戦争で最も重武装の戦闘機となったARC-170は、任務遂行の準備が整うとすぐに配備され、戦争中に数々の戦闘に参加した。[3] ARC-170の登場により、ドッグファイトにおける共和国の主戦力としての役目は、V-19トレントからこの新型機へと瞬く間に取って代わられた。[2]
インコム/サブプロ社が開発した各種爆撃機やZ-95ヘッドハンター[9]、そしてARC-170は[2] インコム社で大成功を収めることになるXウイング・スターファイターのデザインに影響を与えた。[9] Xウイングは人気の高いZ-95や強力なARC-170など、クローン戦争期の有翼戦闘機のパフォーマンスを査定して得られた教訓を取り入れ設計されており[23]、特にARC-170はXウイングの第一世代のテンプレートとなっていた。[2] このXウイング・シリーズは同盟宇宙軍や新共和国防衛艦隊、レジスタンス宇宙軍にとってなくてはならない戦闘機として大活躍することになった。[9] またARC-170の長所はVウイングにも取り入れられた。[18]
クローン戦争[]
戦争序盤(22 BBY~21 BBY)[]
22 BBY[24]、ジェダイ将軍プロ・クーンは専用のデルタ7イーサスプライト級軽インターセプターに乗り込み、惑星クオメンディにおける戦いでARC-170スターファイターからなる戦闘機部隊を指揮した。クーンの部隊がヴァルチャー・ドロイドと空中戦を繰り広げる間、クローン・コマンダーCC-3636“ウォルフ”率いるウルフパックが交易所ネクサスに侵入した。敵の指揮官であるエマー・ワット・タンバーはネクサスを破壊して逃げ去っていったが、共和国軍はこの戦いでネクサスの監守オークルを救出することに成功した。[25] またコマンダー・ウォルフと[26] その部下であるトルーパー・シンカーは戦場でARC-170を操縦した経験があった。[27]
21 BBY[24]、マラステアにおける戦いで共和国の新兵器であるエレクトロ=プロトン爆弾が初使用された際、ARC-170とV-19トレント・スターファイターからなる編隊が、インペリアル・パレスから出撃したBTL-B Yウイング・スターファイター/ボマー部隊を護衛した。“ゴジ”と“ロッド”の乗るYウイングは友軍機や共和国地上軍、ダグ軍の支援を得ながら投下ポイントに辿り着き、分離主義勢力ドロイド軍団の頭上にエレクトロ=プロトン爆弾を投下した。この新兵器は大規模な電磁パルスですべてのバトル・ドロイドを機能停止させ、共和国とダグ評議会に勝利をもたらした。[28]
クローン・トルーパーの生産拠点である惑星カミーノがグリーヴァス将軍率いる分離主義勢力の侵略にさらされた際、ARC-170スターファイターがBTL-B YウイングやV-19トレントとともに防衛戦に投入された。分離主義艦隊がカミーノ星系に姿を現すと、専用のデルタ7Bイーサスプライト級軽インターセプターに乗り込んだジェダイ・ナイトのアナキン・スカイウォーカー将軍がティポカ・シティから出撃し、YウイングとARC-170もそのあとに続いた。彼らは指揮所にいるジェダイ・マスター・シャアク・ティの指令に従って迎撃を開始し、戦いを優勢に進めた。しかしグリーヴァスは初めから宇宙戦で勝利を収めるつもりはなく、破損した軍艦の残骸に偽装したトライデント級アサルト・シップの部品を落下させ、密かにカミーノの海中へと送り込んでいた。[29]
戦争中盤(20 BBY)[]
- 「全てのパイロットは持ち場につけ」
- ―アディ・ガリアの旗艦の艦内アナウンス[出典]
20 BBY[24]、ARC-170スターファイターはサラストの上空で繰り広げられた宇宙戦に投入され、アサージ・ヴェントレス率いる分離主義艦隊と交戦した。[30] ローラ・サユーの戦いでは、惑星の地上にいる味方を救出するため、ARC-170の編隊が3隻のヴェネター級スター・デストロイヤーから出撃した。これらの編隊は、それぞれデルタ7Bインターセプターに乗り込んだジェダイ・マスターのアディ・ガリア、サシー・ティン、キット・フィストーらによって率いられた。彼らはプロ・クーンのスペース・ガンシップ<プロズ・ブロス>を大気圏内に送り込むため、惑星軌道でヴァルチャー・ドロイドやハイエナ級ボマー、ドロイド・トライ=ファイターからなる敵戦闘機部隊と激戦を繰り広げた。[31]
プロ・クーン将軍とウォルフ率いる第104大隊のARC-170スターファイターは、戦争序盤は赤い塗装だったが[25]、アリーンの人道支援任務を行った頃には、彼らのLAAT/iガンシップやYウイングと同じ青い塗装に切り替わっていた。この任務当時、彼らのアクラメイター級アサルト・シップのハンガーに少なくとも1機のARC-170が収容され、クローン・トルーパー・フライト・クルーの手で整備を受けていた。[32] アリーンの任務の直後、アディ・ガリアの旗艦であるヴェネター級艦がパティタイト・パトゥーナ付近でグリーヴァスの艦隊による奇襲を受けた際、ハンガーに格納されていたARC-170とYウイングが緊急出撃した。ガリアはこの戦いでグリーヴァスの捕虜となって敵艦に連行されたが、間もなくプロ・クーン率いる救援部隊が駆け付け、ARC-170とYウイングの増援部隊が展開された。戦闘のさなか、クーンとウォルフは敵の旗艦に乗り込み、ガリアを救い出すことに成功した。[33]
共和国が重要な補給用航路を分離主義勢力に抑えられて苦戦していた頃、ゴースト星雲の戦略的要衝アンバラに対して奇襲攻撃が行われた際、ARC-170やYウイング、クローンZ-95からなる戦闘機部隊が惑星軌道で敵の防衛艦隊と交戦した。ジェダイ・コマンダー・バリス・オフィーやアソーカ・タノ率いる戦闘機部隊の活躍により、共和国は敵の防衛線を突破してアンバラの地表に部隊を送り込むことに成功した。[34] のちにオビ=ワン・ケノービ将軍の旗艦<ネゴシエーター>がグリーヴァスの艦隊による奇襲を受けた際、ケノービは全戦闘機の出撃を命じた。しかしARC-170を含む複数の戦闘機がまだ格納庫に残っているうちに、グリーヴァス率いる乗船部隊が<ネゴシエーター>に乗り込んできてしまった。<ネゴシエーター>はこの戦いで破壊され[35]、ケノービとコマンダーCC-2224(コーディ)はのちに別のヴェネター級艦に移った。フローラムの侵略当時、このヴェネター級艦にもARC-170をはじめとする戦闘機部隊が格納されていた。[36]
戦争終盤(19 BBY)[]
- 「オーダー66を実行せよ」
「はい閣下」 - ―シーヴ・パルパティーンとCT-55/11-9009[出典]
19 BBY当時[24]、アナキン・スカイウォーカーの旗艦のヴェネター級艦には複数のARC-170が積載されていた。しかしケイト・ニモーディアの防衛戦では、アナキンとアソーカ・タノはARC-170をハンガーに残したまま、主にクローンZ-95からなる部隊を指揮して空中戦に参加した。[37] 同じ頃、共和国の首都惑星コルサントにある共和国軍事作戦センターの大規模なハンガー・ベイには、各種スターファイターおよびガンシップにまじってARC-170が駐機されていた。[38] 戦争終盤、ARC-170はアウター・リム包囲作戦でも活躍した。[3]
リンゴ・ヴィンダの戦いのさなか、共和国軍はジェダイ将軍ティプラーを殺害した第501軍団のクローン・トルーパーCT-5385“タップ”を拘束し、精密検査のためカミーノに送り返すことに決めた。4機のARC-170スターファイターがタップを乗せたロー級輸送シャトルの護衛に割り当てられ、スカイウォーカーの旗艦であるヴェネター級艦から出発した。しかし彼らはハイパースペース・ジャンプを行う直前に、分離主義勢力による奇襲を受けた。2機のARC-170がHMPドロイド・ガンシップによって撃墜された後、残りの2機はB2スーパー・ロケット・トルーパーによるコックピットへの直接射撃で仕留められた。その後、分離主義勢力はロー級シャトルを制圧してタップを誘拐した。[39]
戦争終盤、ケノービとスカイウォーカー、クインラン・ヴォスは24機のARC-170を指揮し、ヴァンコアにある分離主義勢力基地の破壊作戦を行った。しかし内通者であるヴォスの密告により、すでに分離主義勢力は基地から撤退していた。またのちにARC-170はクリストフシスにおける二度目の戦闘にも投入された。[40] 共和国最大の造船所があるアナクセスがトレンチ提督による攻撃を受けた際、ARC-170を含む大量の戦闘機が数週間に及ぶ防衛戦に投入された。長い戦いのさなか、一部のARC-170は谷間に築かれた共和国軍基地フォート・アナクセスに収容された。[41] 共和国軍が反撃に転じた際、メイス・ウィンドゥ将軍とケノービ将軍はARC-170に護衛されたLAAT/iガンシップに乗り込み、敵に制圧されている造船所へと飛行した。[42]
コルサントが分離主義者の奇襲を受け、シーヴ・パルパティーン最高議長がグリーヴァス将軍に誘拐された際、多数のARC-170スターファイターが惑星軌道で繰り広げられた大規模な艦隊戦に参加した。[10] 共和国オープン・サークル艦隊に属す[43] クローン・フライト・スクワッド7の隊長、クローン・コマンダーCC-2237“オッド・ボール”もこの戦いでARC-170に搭乗した。彼らはヴェネター級スター・デストロイヤー<ロ=ティ=ムンディ>から出撃し[20]、議長救出のためグリーヴァスの旗艦<インヴィジブル・ハンド>へ向かう[10] ケノービとスカイウォーカーのイータ2を援護した。オッド・ボールは敵のドロイド・トライ=ファイターを突破するようV-19に命じ、自機を含むARC-170をジェダイの後に続かせた。[20] しかしトライ=ファイターはディスコード・ミサイルを発射し、多数のバズ・ドロイドをジェダイ・インターセプターとスクワッド7に放った。[10] ARC-170のうち1機はバズ・ドロイドにエンジンを切断され、戦闘不能になった。また別のARC-170はバズ・ドロイドのせいで兵器を失い、<ロ=ティ=ムンディ>への帰艦を余儀なくされた。オッド・ボールはジェダイもバズ・ドロイドと格闘していることに気づいたが、クローンが追いつく頃には、ジェダイは自力で問題を解決していた。[20]
戦争終盤、ジェダイ・マスター・デパ・ビラバの大隊はARC-170に護衛されたヴェネター級艦で惑星カルドアの戦場に赴いた。[44] オビ=ワン・ケノービ率いる第212突撃大隊の一員である[10] アストロメク・ドロイドR4-P44はARC-170に配属されていた。[45] また包囲作戦中にケイト・ニモーディアが再び戦場となった際、オッド・ボールと[46] スクワッド7のARC-170が戦闘に参加し、共和国の勝利に貢献した。[43] マンダロア包囲戦が終結し、囚人となったダース・モールが惑星マンダロアからスター・デストロイヤー<トライビューナル>に護送されることになった際、首都サンダーリのハンガー・ベイに複数のARC-170の姿があった。[47] オーダー66発令時、CT-55/11-9009“ジャグ”はARC-170でケイト・ニモーディアを飛行しているときにパルパティーンから指令を受け取った。ジャグは命令を即座に実行に移し、前方を飛行していたプロ・クーンのデルタ7をARC-170の主砲で撃墜した。[10]
帝国時代[]
- 「ARCが4機とも撃墜? 敵機は一発も被弾せずにか?」
- ―クローン・トルーパー[出典]
19 BBYにクローン戦争が終結し[24]、共和国が銀河帝国へ再編された後も[10]、ARC-170スターファイターは帝国軍で使用され、引き続きクローン・トルーパー・パイロットたちが操縦士を務めた。帝国設立直後は、クローン戦争期と同じ赤いカラーリングのARC-170が使用されたが[17]、やがて共和国のマークを外した機体が帝国宇宙軍で使われるようになった。しかしARC-170は維持費と乗員に割く費用がかさみすぎるため[3]、新たに台頭した[9] TIE/ln制宙スターファイターに置き換えられていくことになった。[3] 終戦直後、オーダー66を生き延びたジェダイ・パダワンのケイレブ・デュームは、ジェダイ・テンプルに戻るためジェイナス・カスミアから盗んだ<カスミリ>でコルサント星系へ旅したが、そこでARC-170部隊に待ち伏せされた。クローン・パイロットたちはジェダイの生存者を匿っていると思しき<カスミリ>に降伏を迫ったが応答がなかったため、ジェダイを抹殺すべく銃撃を開始した。ケイレブはやむを得ず反撃に転じ、2機のARC-170を撃墜したのちハイパースペースへ逃げ去っていった。[48]
終戦間もない頃、ミッド・リムにあるジェダイ・オーダーの宇宙ステーション<ブライトホーム>が帝国の管理下に置かれ、ARC-170スターファイターのパトロール隊が配備された。銀河皇帝パルパティーンの弟子となったばかりのシス卿ダース・ヴェイダーは、ジェダイの生存者に関する手がかりを得るため、帝国設立直後に<ブライトホーム>を訪問した。ヴェイダーは帝国のドッキング・コードを所持していたが、クローン・パイロットからの呼びかけを無視し、あえてパトロール隊と交戦した。ヴェイダーのスターシップはあっという間にARC-170を2機撃墜すると、背後についた残り2機の存在をフォースで把握し、船尾キャノンで破壊した。<ブライトホーム>の中にいるクローン・トルーパーたちはARC-170が4機とも撃墜されたことに驚き、敵の飛行技術を見てジェダイのそれを思い出した。[17]
17 BBY[24]、セイリエント星系で数週間にわたる反乱が発生した際、ウィルハフ・ターキン総督率いる帝国軍がセイリエントの戦団と交戦した。これはターキンにとってクローン戦争以来となる激戦であり、彼のインペリアル級スター・デストロイヤー<エグゼキュートリクス>を支援するため、旧世代のヴェネター級スター・デストロイヤーとARC-170が惑星テロスから駆け付けた。しかしセイリエントの抵抗勢力は星系最深部にあるセイリエントIの巨大な断崖に宇宙船を駐機し、ARC-170による偵察を回避していた。[49]
14 BBY[24]、バーチ・テラー率いる反乱分子がターキンから盗んだステルス・シップ<キャリオン・スパイク>を使って反乱活動を展開した際、帝国のARC-170が複数の戦闘に参加した。ガリドラーンIII軌道のガリドラーン・ステーションでは、ARC-170とVウイングからなる防衛部隊が<スパイク>に応戦した。フィンダー星系では、帝国軍が<スパイク>を巻き添えにするためタンカー施設を爆破したが、それにより6機のARC-170が犠牲となった。テラーの一味がガルフ・オブ・タトゥイーンで帝国の戦団を襲撃した際も、複数のARC-160が反乱分子によって破壊された。[12] 同年[24]、ジェダイの生存者カル・ケスティスがゼフォを探索した当時、墜落したARC-170の残骸がこの星の湖に取り残されていた。[50] 13 BBY[24]、当時ラムーで暮らしていた幼いジン・アーソは、自家製のARC-170ファイターのおもちゃを所持していた。[51] また5 BBY~4 BBY当時[24]、亜惑星PM-1203にある共和国基地の廃墟にクローン戦争当時のARC-170の残骸が放置されていた。[52][53]
銀河内戦の時代、ARC-170の姿は同盟軍艦隊でも見られたが、反乱同盟には1機のスターファイターに3名の操縦士を割く余裕がなかったため、ほとんどが解体された。しかしARC-170の構造は、銀河内戦で最も有名なスターファイターかつ反乱同盟のシンボルであるT-65B Xウイング・スターファイターに影響を及ぼしていた。[3] 反乱同盟や新共和国には、ARC-170の操縦経験があるパイロットが何人か在籍していた。[54] 例として、同盟軍レッド中隊の隊長を務めたXウイング・パイロットの[55] ガーヴェン・ドレイスや[56]、グリーン中隊のAウイング・パイロットである[57] シャラ・ベイ[58]、ゴールド中隊のYウイング・パイロットである[59] ノラ・ウェクスリー[60]、ブレード中隊の隊長を務めたBウイング・パイロットの[61] ブレイレン・ストラム[62]、コロナ中隊のXウイング・パイロットである[63] セイン・カイレルなどが挙げられる。[64]
新共和国時代以降[]
- 「一機撃墜! 残りも片付ける!」
- ―ARC-170を撃墜したアイデン・ヴェルシオ[出典]
冷戦の時代、プロトコル・ドロイドC-3PO率いるレジスタンスのドロイド・スパイ網は、クドンの貿易商メク・ヌティヴがファースト・オーダーに貴重なデータ・アーカイブを売ろうとしていることを突き止めた。レイア・オーガナ将軍からデータ回収作戦を命じられたブラック中隊は、敵に身元を悟られないよう旧世代の戦闘機に乗り込むことになり、ポー・ダメロンがZ-95ヘッドハンターに、テミン・ウェクスリーがイータ2に、カレ・キューンがV-19トレントに、そしてジェシカ・パヴァがARC-170に搭乗した。ヌティヴのクルーザーをパワー・ダウンさせたあと、ポーは他の隊員たちが敵戦闘機部隊と交戦している間にクルーザーに乗り込み、データを回収した。[15]
ジナータ星系の法執行機関であるジナータ・セキュリティは、新共和国時代もARC-170やVウイング、N-1スターファイターといった旧世代の戦闘機を使用していた。冷戦の時代、ジナータ・セキュリティのリーマ・カイはARC-170を含む船団を指揮し、ファースト・オーダーのリザレクション計画に従事した。[14] 34 ABY[24]、アイデンとゼイ・ヴェルシオ、シュリヴ・スールガヴからなるインフェルノ分隊は、惑星アスラ付近でリーマ・カイの船団と遭遇した。アイデンはXウイングでARC-170をはじめとする護衛機を撃墜し、ジナータのEF76ネビュロンBエスコート・フリゲート<オポチュニティー>を降伏させた。[14]
制作の舞台裏[]
作中の描写[]
ARC-170スターファイターは2005年に公開されたプリクエル・トリロジー第3作『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で初登場を果たした。[10] 『シスの復讐』の台本上では単に“クローン・ファイター”としか書かれておらず、ARC-170という名称は、その外見を確定させたイラストのファイル名「ART 170」にちなんで名づけられた。[65] 2002年8月に制作された初期のコンセプト・アートをもとに、ライアン・チャーチがこの戦闘機のデザインを完成させた。[3] 搭乗しているクローン・パイロットはCG合成、もしくは俳優テムエラ・モリソンの顔をCGのヘルメットやコスチュームと組み合わせたエレメント写真である。[65] また『シスの復讐』に登場するARC-170の照準コンピューターの画面は、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』でルーク・スカイウォーカーのXウイングがTIEファイターを撃墜した際の照準スクリーンと酷似している。[10][55]
ARC-170の『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』シリーズでのデビュー作は、2010年4月9日に放送されたシーズン2第18話『いにしえの巨獣』である。[28] 本作では、オリジナル・トリロジーに登場したXウイングと同じエンジン音がARC-170に用いられている。[3] 2023年発売のゲーム『Star Wars ジェダイ:サバイバー』のためにARC-170のシエルエットを描いた「ミュージック・レインボー」という音楽アルバム・カバーがデザインされたが[66]、本編では未採用に終わり[67]、のちに『Star Wars ジェダイ:サバイバー』にアートが収録された。[66]
設定の矛盾[]
本記事で紹介しているARC-170スターファイターの寸法は現行の StarWars.com のデータバンクに基づくが[5]、『週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン』(2015年)や『スター・ウォーズ/ビークル・クロスセクション完全版』(2020年)では全長14.5メートル(47フィート7インチ)、翼長22.6メートル(74フィート2インチ)、全高4.78メートル(15フィート8インチ)とされている。[3][9] これはレジェンズの設定と一致する。[68]
また積載可能な消耗品について、『Collapse of the Republic』(2019年)では「最大1ヶ月分の消耗品」とされているが[4]、『週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン』(2015年)では「5日分の消費空気」とされており[3]、『スター・ウォーズ ビークルのすべて』(2018年)や『スター・ウォーズ/ビークル・クロスセクション完全版』(2020年)でも同様に5日分の物資とされている。[2][9]
登場作品[]
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参考資料[]
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