- 「最良の選択はより力のある最高議長を選挙で選ぶことです。官僚を支配し、正義をもたらすことのできる人物を選ぶのです」
- ―アミダラ女王に対し、シーヴ・パルパティーン議員[出典]
最高議長(Supreme Chancellor/High Chancellor)は銀河共和国の統治機構である銀河元老院の指導者。稀に国家元首(Chief of state)とも呼ばれる。銀河系各地の星々の代表者として元老院に参加している議員の中から、多数決の選挙で選び出された。共和国時代の末期、最高議長のオフィスは共和国の首都惑星であるコルサントの連邦地区、元老院オフィス・ビルに設置されていた。
シーヴ・パルパティーンが最高議長になる以前は、議長の任期は4標準年で、2期までしかオフィスに留まれない決まりになっていた。しかし分離主義危機に対する不安感が世論を後押しし、パルパティーンは銀河憲法の改正によって2期目以降も議長のオフィスに居座った。クローン戦争中、パルパティーンは戦時下の非常時大権を行使して権限と影響力をさらに拡大し、最高議長の地位は独裁的なものとなった。戦争の終盤、インターギャラクティック銀行グループの資産の支配権が共和国行政府に譲渡され、パルパティーン議長はより大きな力を手に入れた。議長の権力がジェダイ・オーダーにまで及び始めた頃、ジェダイ最高評議会はパルパティーンの正体がシスの暗黒卿ダース・シディアスであることを突き止めた。クローン戦争自体も、強大な権力を手に入れるためシディアスが画策した陰謀だった。ジェダイは最高議長の逮捕を試みたが、ジェダイ・ナイト・アナキン・スカイウォーカーの裏切りによって失敗に終わった。
パルパティーン議長はジェダイを反逆者とみなし、オーダー66を発令した。銀河各地の戦場に散らばっていたジェダイ将軍たちは、議長に忠実な共和国グランド・アーミーのクローン・トルーパーによって抹殺された。ジェダイ・テンプルが陥落した後、パルパティーンは特別議会を招集し、共和国を銀河帝国へ再編することを宣言した。これに伴い、共和国最高議長の役職も廃止され、パルパティーンは新国家の銀河皇帝となった。
権限[]
- 「わたくしに言わせていただけるなら、議長に実権などございません」
- ―シーヴ・パルパティーン議員(当時)[出典]
最高議長は銀河共和国の統治機構である銀河元老院の議会を統括する役割を果たした。しかし共和国時代の後期になると、最高議長の権限は政府内で肥大化した複雑な官僚手続きによって制限され、議会の進行が滞るようになっていた。[1] 最高議長は元老院の特別議会を招集したり[1][6]、政府の官僚に安全上の行政命令を下す特権を持っていた。[9]
共和国最後の最高議長であるシーヴ・パルパティーンの時代[6]、独立星系連合による分離主義危機に対処するため、元老院によって議長職に非常時大権が与えられた。[9] またこの時代、パルパティーン最高議長は国家元首として共和国グランド・アーミーの最高指揮官も兼任していた。[4] クローン戦争の終盤には、インターギャラクティック銀行グループの支配権も最高議長のオフィスに移管され、議長はかつてないほどの権力を得た。[10]
歴史[]
背景[]
最高議長の称号は選挙によって選び出された共和国銀河元老院の指導者に与えられた。[1] 最高議長の任期は銀河憲法によって4年と定められ、再選は2度までに限られていた。[11] 帝国時代の数世紀前、ヴァローラム家のメンバーが共和国最初の最高議長になった。[8] 1300 BBYに[5] バンコーラ種族が隕石の衝突による災害で母星を失った後、チェイセン・ピイアン最高議長は共和国の首都惑星コルサントの一地域を“バンコール保護区”として彼らに永久譲渡した。[7] 共和国時代の後期、カルパナが新しい最高議長になった。最後の2人の議長であるフィニス・ヴァローラムとシーヴ・パルパティーンは、当時いずれもカルパナ議長の党派に属していた。[8]
フィニス・ヴァローラム[]
名門ヴァローラム家の出身であるフィニス・ヴァローラムは[8]、幼い頃から共和国の指導者になるべくして育ち[12]、カルパナの後を継いで最高議長になった。[8] しかしヴァローラムの政権は官僚主義と不正によって蝕まれ、政府としての効率性を完全に失ってしまっていた。[10] ヴァローラムは善意の文官であり[13]、周囲の人々の予想に反して2期目の再選を果たすことはできたものの[8]、根拠のない汚職容疑で告発され、政治家としての評判は地に落ちていた。32 BBYにナブー危機が発生した際、ナブーの君主であるパドメ・アミダラ女王はトレード・フェデレーションによる侵略を受けた母星を救うためヴァローラム最高議長と銀河元老院に対応を求めた。しかし官僚主義に縛られて身動きの取れないヴァローラムに失望したアミダラは、ナブーの代表議員であるパルパティーンの助言に従い、最高議長に不信任案の動議を行った。[1]
ヴァローラムが失脚した後、ナブーのパルパティーン議員、オルデランのベイル・アンティリーズ議員、マラステアのエインリー・ティーム議員が新議長の候補に上がった。[1] 選挙の結果、支持者集めのロビイ活動とナブーへの同情票に後押しされたパルパティーンがヴァローラムの後継者に選ばれた。[14]
シーヴ・パルパティーン[]
シーヴ・パルパティーン議長は2期の任期のあいだに自らの権力を強固なものにした。パルパティーンの2度めの任期が終わる頃、銀河系は分離主義危機による全面戦争の脅威に直面した。元老院は分離主義者たちの共和国脱退を阻止するため、銀河憲法を改正してまでパルパティーンを最高議長のオフィスに留めた。[14] しかしパルパティーンの正体はシスの暗黒卿ダース・シディアスだった。独立星系連合による分離主義運動も、シディアスと彼の弟子であるドゥークー伯爵によって扇動された陰謀だった。[6] 共和国を愛していると口では言いながら[9]、銀河国家を独裁主義政権に作り変えることがパルパティーンの真の目的だったのである。[14]
22 BBY、分離主義危機が最高潮に達した時、ナブーのジャー・ジャー・ビンクス下級代議員が元老院で動議を提案し、パルパティーン最高議長に非常時大権が与えられることになった。パルパティーンはその場で大権を行使し、分離主義勢力ドロイド軍に対抗するための共和国グランド・アーミーを創設した。[9] その後間もなく始まったクローン戦争によって最高議長の権力はますます拡大していき、やがてパルパティーンは事実上の独裁者となり、元老院の力は矮小化した。[14] 19 BBY当時、パルパティーンは元老院のみならず裁判所や[6] インターギャラクティック銀行グループの資産[10]、そして共和国軍を意のままに操っていた。[6]
パルパティーンとダース・シディアスが同一人物であることを知ったジェダイ・オーダーは最高議長の逮捕を試みたが、フォースのダークサイドに転向したジェダイ・ナイト、アナキン・スカイウォーカーの裏切りに遭って失敗に終わった。パルパティーンはジェダイを反逆者とみなしてオーダー66を発令し、銀河系各地の戦場に散らばっていたジェダイ将軍たちをクローン・トルーパーに抹殺させた。また彼はスカイウォーカーを惑星ムスタファーへ派遣し、分離主義評議会の指導者たちを暗殺してクローン戦争を終わらせた。ジェダイと分離主義者の排除に成功したパルパティーンは元老院の特別議会を招集し、共和国を銀河帝国へ再編すると宣言した。その結果1,000年間続いた民主主義に終止符が打たれ、パルパティーンが新政府の独裁君主となった。国家の再編に伴い、最高議長の地位も銀河皇帝に取って代わられた。[6]
その後[]
銀河共和国の最高議長職が廃止された後、“議長”の称号は帝国に反旗を翻した共和国再建のための同盟(反乱同盟)によって受け継がれた。[15] シャンドリラのモン・モスマ元老院議員が反乱同盟の議長を務め、同盟の後継政府である新共和国でも初代議長を務めた。議長憲章には旧銀河元老院がパルパティーンに与えた非常時大権の要項が残されていたが、モスマはこの権限が自分の果たすべき役割の邪魔をすると考え、シャンドリラで銀河元老院が再招集された際に撤廃することを決意した。[16] モスマは自らのカリスマ性によって新共和国議長としての役割を全うすることができたが、パルパティーンの負の影響から、議長には実質的な権限が与えられていなかったため、モスマ以降の議長は効率的な政府を維持することができなくなった。[17]
呼称[]
- 「何度も言うようだが、君ほど才能にあふれるジェダイは今まで見たことがない」
「ありがとうございます、閣下」 - ―パルパティーン議長とアナキン・スカイウォーカー[出典]
シーヴ・パルパティーン政権の時代、最高議長に対する敬称として Excellency が用いられていた。そのためパルパティーンはしばしば“Your Excellency”(閣下)と呼ばれた。[9][18] またヴァローラムは元老院の議会を統括する際に、自身を“I”(私)ではなく“The chair”(議長)と呼称した。[1]
住居[]
シーヴ・パルパティーン政権の時代、最高議長は惑星コルサントの連邦地区に位置する豪勢な居住用タワー、500リパブリカにプライベートなアパートメントを所有していた。また同じ地区にある元老院オフィス・ビルには議長の執務室があり、公式な会談用オフィスだけでなく、パルパティーンのプライベートな空間も用意されていた。パルパティーンは公用の部屋から区切られた寝室で公務の合間に休息を取ることができ、専用の洗面室や文書室も持っていた。議長の執務室には秘密の通路があり、パルパティーンや側近たちは人目を避けて業務室や個室を出入りすることができた。[19]
最高議長の一覧[]
在位期間 | 画像 | 人物 |
---|---|---|
1032 BBY以降[8] | ヴァローラム家の人物[8] | |
131 BBY以降[7][20] | チェイセン・ピイアン[7] | |
32 BBY以前[8] | カルパナ[8] | |
~32 BBY[1] | フィニス・ヴァローラム[1] | |
32 BBY[1]~19 BBY[6] | シーヴ・パルパティーン[1] |
制作の舞台裏[]
- 「そんな折、政権内部で飽くことなく権力を求める連中の手を借りるばかりか、大規模な企業連合の支援まで取りつけた野心家の元老院議員パルパティーンは、自らを共和国の大統領に選出せしめた」
- ―『新たなる希望』の小説版より抜粋[出典]
共和国の指導者の地位は、映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の小説版のプロローグで初めて言及された。ただし当時は最高議長ではなく、“共和国の大統領”(President of the Republic)と表現されていた。[21]