- 「Yウイングは標的に近づいてからが強えんだよ」
- ―フェレスク・ツァット[出典]
BTL-A4 Yウイング強襲用スターファイター/ボマー(BTL-A4 Y-wing assault starfighter/bomber)はコーンセイヤー・マニュファクチャリング社が製造したBTLシリーズYウイングの一種で、戦闘機兼長距離爆撃機である。最初のYウイングであるBTL-Bタイプがクローン戦争で活躍したことを受けて開発されたバリエーションのひとつであり、先行モデルと違って砲手の座席は無く、パイロット1名とアストロメク・ドロイド1体によって運用された。クローン戦争終結後、新政府である銀河帝国が主力艦を宇宙艦隊の主軸に据える方針を取ったため、Yウイングのようなハイパードライブ搭載戦闘機は重視されなくなった。その結果、コーンセイヤー社は在庫を地方の惑星防衛軍市場へ売りさばくことになり、一方の帝国は古いYウイングの解体を進めた。そんな中、反乱同盟は中古品業者や解体場から古い機体を購入・奪取し、できる限り多くのYウイングを確保した。そうして最も多く手に入ったBTLモデルが、BTL-A4タイプだった。
BTL-A4タイプも本来、BTL-Bと同じくアーマー・プレートによって機体が保護されていたが、反乱軍技術者は整備や修理の利便性を考慮してプレートを取り外し、代わりに偏向シールドのパワーを強化した。アーマーを剥ぎ取られて内部構造がむき出しになった反乱軍のYウイングは、護衛や偵察、軽爆撃飛行、精密攻撃など、さまざまな任務に投入された。Yウイングは比較的スピードが遅く、帝国軍のTIEファイターに対して脆弱ではあったが、反乱軍パイロットはこの戦闘機のおかげで、軍事目標に対して甚大なダメージを与えて即ハイパースペースへ離脱する作戦を遂行することができた。アーマー・プレートを外したYウイングを爆撃機および対主力艦用戦闘機として活用する方針は、反乱軍のトレードマークとなった。Yウイングはより新型のXウイングやAウイングの影に隠れがちではあったが、反乱軍の戦闘機作戦には必ずと言っていいほど関与し、帝国の船やインフラの脅威となっていた。
2 BBY、フェニックス反乱分子は帝国の廃棄処理施設レクレム・ステーションから複数のBTL-A4を奪取することに成功した。またジョン・ヴァンダーが隊長を務めるマサッシ・グループのゴールド中隊はBTL-A4によって構成された。彼らはハンドオフ作戦において反乱軍の指導者であるモン・モスマ議長の亡命を成功させ、反乱同盟宣言の実現に貢献した。1 BBY、ゴールド中隊のYウイングはスカリフの戦いでインペリアル級スター・デストロイヤー<パーセキュター>を制御不能にする戦果を挙げた。続くヤヴィンの戦いではデス・スターの子午線トレンチへ最初の突入を行ったが、ヴァンダー以下大半の隊員が撃墜され、生還したYウイングはエヴァン・ヴァーレインの1機のみだった。Yウイングはその後も反乱軍およびその後継政府新共和国の戦力としてエンドアやジャクーといった数々の戦いで活躍した。
特徴[]
機体[]
BTL-A4 Yウイングはコーンセイヤー・マニュファクチャリング社が開発したBTLシリーズYウイングの一種であり[2]、スターファイターとボマーの役割を兼ねる強襲用戦闘機である。[6] BTLシリーズのYウイングはコックピットの形状を除いてどれも同じデザインであり、BTL-A4タイプも中央のコックピット・モジュールと、両翼の長大なイオン・ジェット・エンジンから成るY字型の機体を特徴としていた。改造が行われていないオリジナル・タイプの機体全長は23.04メートル(75フィート7インチ)、横幅は8.54メートル(28フィート)、高さは2.44メートル(8フィート)。Yウイングの最初のモデルであるBTL-Bタイプがパイロットと砲手の2人乗りであったのに対し、BTL-A4タイプは単座式だった。BTL-A4は反乱同盟によってカバーが取り外され、内部構造がむき出しの状態で使われたことで有名だが、オリジナルの機体はBTL-Bタイプと同様、機体全体が頑丈なアーマー・プレートで覆われているのが本来の状態だった。[2]
他のYウイングと同じく、BTL-A4も機体中央後方に横向きのスパー(翼桁)があり、その左右にコーンセイヤー社製R200イオン・ジェット・エンジンを搭載した翼が取り付けられていた。この翼は円筒形で、各4本の頑丈なパイロンがエンジン・タービンの後方に伸び、長大なエンジン・ナセル(機体本体から離して設置される筐体)を支えていた。重イオン・ジェットの排熱ノズルより後方、ナセルの後端にはディスク=ヴェントラルと呼ばれる円盤状の装置があり、推力を偏向して機動力を向上させる役割を果たした。[2] BTL-A4の大気中での最高速度は1,000 kph であり[6]、動きは遅く、重量もあるためドッグファイトには不向きとされた。[12] さらにまたYウイングは飛行時に熱を発しやすく、エンジンには複雑な冷却システムが張り巡らされていた。このシステムはデリケートであり、頻繁なメンテナンスが必要だった。[2] Yウイングにはコックピット下部と両翼下部に収納式の着陸ギアが内蔵されており、この3点を使って着地を行った。[13]
コーンセイヤー社はBTL-A4 YウイングにR300-Hハイパードライブ・モチベーターを備えたクラス1のハイパードライブを搭載させていた。一般的なハイパードライブと同様、このユニットも目に見えない超物質の粒子を生成して機体を包み込み、Yウイングのハイパースペース突入を可能にした。[2]
操縦系統[]
- 「まあ、Yウイングを飛ばしてみたら、居眠り運転がどんなものか身にしみて分かる」
- ―ケオ・ヴェンジー[出典]
BTL-A4のコックピットはトランスパリスチール製の窓がはめ込まれたキャノピーを備え、本来はBTL-Bタイプと同じくバブル型の砲塔を後部に有していた。また他のYウイングと同様、コックピットの後部にアストロメク・ソケットが設けられ、1体のアストロメク・ドロイドがパイロットの補佐役として搭乗した。ドロイドはYウイングの中央回路マトリックスに接続してフライト及びエンジン、パワー系統の制御を行い、ナビゲーション業務や、緊急時の修理といった作業に従事した。[2] またYウイングは航法コンピューターを搭載しておらず[14]、代わりにアストロメク・ドロイドがハイパースペース・ジャンプに必要なデータを記憶した。Yウイングの飛行制御装置はサブライト・プロダクト社製NH-7飛行制御電子機器パッケージであり、ハイパードライブとリパルサーリフト・ドライブ、亜光速システムすべての制御を担った。またコックピットには与圧生命維持システムとグイデンハウザー社製射出座席が搭載されていた。[2]
BTL-A4 Yウイングのコックピットには、照準スコープ付きのコンピューター・スクリーン・マスクが装備されていた。パイロットは普段は収納されているスクリーン・マスクを目の前に持ってくることで、照準データのリードアウトや戦術ディスプレーを確認した。BTL-A4 Yウイングの照準システムはSI 5g7“クイックスキャン”図形映像システムに接続されたファブリテック社製ANc 2.7追跡コンピューターによって構成された。[2] Yウイングの主センサー・アレイは機首に内蔵されており[5]、ファブリテック社の3つの製品(ANs-5d“ロック・トラック”全波長トランシーバー、PA-9r、PG-7u)で構成された。これらのセンサー及びコンピューター機器はYウイングがどれだけ速く飛行していようともピンポイントで正確な照準データをパイロットに提供した。[2]
またYウイングは両翼の先端のドーム部分にファブリテック社製ANx-yセンサー・アレイを装備していた。[5] これは長距離用の照準センサー・アレイであり、複合装甲センサー・ドームによって保護されていた。このタンデム式長距離センサー・セットは、爆撃機としての役割に必要となる、双眼型のレンジファインダー機能を提供した。Yウイングはこのツイン・センサー・システムが正常に機能することで、わずかであるがXウイング・スターファイターよりも正確に敵機を捕捉することができた。[15]
武装[]
BTL Yウイングの主要兵器は機首に搭載されたテイム&バック社製IX4レーザー砲である。このレーザー砲はコックピット・モジュール前方の凹んだスロットに格納されており、Yウイングの飛行方向に対して照準が合わせられていた。Yウイングの中央翼桁に配置されたノヴァルデクス社製のパワー・ジェネレーターがレーザー砲にエネルギーを供給した。また砲筒の短いIX4に代わり、磁気逆流遮断装置を備えたテイム&バック社製KX5レーザー砲を搭載した機体もあった。IX4とKX5は二連砲を片方のみ発射することも、同時発射することも可能だった。[2]
Yウイングの標準的な補助武器はタレット搭載型の二連式アーメック社製SW-4イオン砲である。このキャノンはイオン化エネルギーを発射し、標的の電子機器をオーバーロードさせることができた。BTL-A4は1人乗りであるため、パイロットは戦いの前にキャノンの発射位置を4つの射撃方向のいずれかに設定しておき、操作を行った。[2] またSW-4の代わりにSW-5イオン砲を搭載した機体もあった。[5] イオン砲は命中率が低く、標的を無力化するときや、メインのレーザー砲が破壊されたときに使われ[14]、またドッグファイトが不可避の場合にレーザー砲と併用されることもあった。[16] Yウイングのイオン砲は極めてデリケートな精密機械であり、クリスタル・マトリックスは飛行や戦闘の振動で必ず調整にズレが生じた。そのため整備には途方もなく時間が必要となった。[15]
Yウイングにはアラキッド社製フレックス・チューブ・プロトン魚雷発射装置が2基搭載されており、標準型の場合各6発の魚雷を装填することができた。またフレックス・チューブはプロトン魚雷の他に震盪ミサイルやプロトン爆弾、クラスター・ミサイル[2]、イオン魚雷[7] といった様々な弾薬を発射することができた。誘導コンピューターを搭載したクラプクス社製MG7プロトン魚雷は、一般的に機銃掃射に備えて目標を弱らせておく際に使われたが、エンジンやシールド発生装置といった重要な攻撃目標の破壊にも用いられた。[2]
新共和国軍スターファイター隊においては、BTL-A4 Yウイングの標準兵器としてテイム&バック社製KX8レーザー砲を用いたり、主要兵器をクラプクス社製追尾式ロータリー・キャノンや重ロータリー・キャノン、クラプクス社製JR-89イオン砲に換装するオプションがあった。新共和国では他にもアーメック社のフルオート・イオン砲やアラキッド社のMD-88マルチ=ロック・ミサイルやPW-16プロトン爆弾、ゴリアテ・ミサイル、チェンパット社製緊急アサルト・シールド、テイム&バック社製イオン爆弾、クラプクス社製MG7-Aプロトン魚雷、クザーカ・アームズ社製シーカー・マインといった兵器が追加装備されることがあった。[17]
Yウイングのコーンセイヤー社製R200イオン核融合エンジン2基はチェンパット社製偏向シールド発生装置にも動力を供給していた。シールド発生装置はノヴァルデクス社製パワー・ジェネレーターの後ろに配置されており、同じくチェンパット社製のシールド投影装置に接続されていた。パイロットやアストロメク・ドロイドは防衛力を最大にしたり、ダメージを負った特定の箇所の保護に回したりと、シールドの投射角度を調整することができた。[2] Yウイングは平均よりも高い船体ダメージ閾値と優れた装甲により、同種の機体よりも多くの衝撃に耐えることができた。[14]
改造型[]
- 「確認した。Yウイングだ。強固なシールドに銃座を持っている」
- ―ウェッジ・アンティリーズ[出典]
反乱同盟の技術者やメカニックたちはBTL-A4 Yウイングに必要なアップグレードや改造、修理を施すうちに、この戦闘機の複雑な冷却システムが、飛行を終えるたび徹底的な整備と調整を必要とすることに気づいた。またメンテナンスに際しても、内部の機械にアクセスするためは毎回Yウイングのアーマー・プレートを取り外さなければならず、フライト・クルーたちは頭を悩ませた。最終的に彼らは、Yウイングのアーマーをほとんどはぎ取り[2]、整備に要する時間を短縮させた。その結果、機体の上部構造がむき出しになって傷つきやすくはなったが[18]、防衛力を補うため代わりにエネルギー=シールドのパワーが追加された。Yウイングから回収されたアーマー・プレートは同盟軍の他の船の改修に利用された。有名なところでは、戦闘用・寒冷地用に改造されたインコム社製T-47エアスピーダーがある。[2]
Yウイングに標準搭載されていた燃料リサイクル・システムは、長距離任務には極めて有効であると判断され、クーリエ便として仕様されたBTL-S3タイプではそのまま利用された。しかし迅速さが要求されるヒット・アンド・ランの任務においては、重量のある燃料リサイクル・システムを積んでいるとかえってパフォーマンスが低下するため、爆撃機として用いられる全Yウイングからこのシステムが排除された。他にも、反乱軍はYウイングのスピードを向上させるため不要な各種部品をそぎ落とし、再構成を行った。[2] コックピット・エリアとエンジンのイオン排気口を覆うカウリングのサイズも縮小された。[18] 至近距離での操作性向上を目的としてエンジンから延びるパイロンも短縮され、反乱軍が改造したYウイングの全長は16.24メートル(53フィート3インチ)となり、オリジナルより7メートル近く切り詰められた。反乱軍が改造したYウイングは比較的ひょろ長い外見をしていたが、これらの改造によって機体の全体的な完成度が損なわれることは無かった。[2] また美的感覚よりも実用性を重視する姿勢には、多くの反乱軍の理想が体現されていた。[1]
小型戦闘機の場合、航法コンピューターやアストロメク・ドロイドはハイパースペース・ジャンプ1回分のデータしか保持できないことが多かったが、反乱軍が改造したYウイングは、再プログラムしなくてもジャンプ10回分の座標を記憶することができた。またYウイングが弾倉1基に標準搭載できる魚雷は6発だが、反乱軍技術者はより軽量でコンパクトな4発式の弾倉と取り換えた。[2] 大幅な修理と改造が繰り返された反乱同盟のYウイングは、各機体がそれぞれ一品物のような独自性を有していた。[15]
役割[]
- 「攻撃続行!」
- ―デイヴィッシュ・クレイル[出典]
当初Yウイングは制宙戦闘機に分類され、他の戦闘機が利用不可能なケースでは、実際にその役割で使われることもあった。しかしYウイングの本業は地上の標的や宇宙ステーション、主力艦の破壊を専門とする中型攻撃戦闘機である。[14] 爆撃の他にドッグファイトに使用されることもあったが[10]、スピードが遅く鈍重であり、対戦闘機戦を目的として設計されていたわけではなかった。[12] Yウイングは強襲戦闘機としての役割にふさわしく分厚い装甲と強力なシールドを装備しており、目標に接近するまでのあいだ機体が強固に保護された。Yウイングの強力なエンジンと頑丈な機体、重火器は、激しい銃撃戦をかいくぐって目標へ接近し、爆撃を行い、かつ安全に離脱する任務に適していた。[14]
Yウイングは反乱軍艦隊が使用した最初のスターファイターの一種であり[19]、創設当初から使われていた。[14] 銀河内戦を通し、BTL-A4 Yウイングは反乱軍にとって最も利用しやすい戦闘機だった。反乱軍はアーマーを剥いだBTL-A4を偵察や軽爆撃飛行、精密攻撃などに使用した。[2] 帝国時代、Yウイングはすでに年季が入った戦闘機だったが、反乱軍パイロットたちは攻撃を食らいながらも無事に帰還できる能力を高く評価していた。[10] 古いYウイングは多くの欠点を抱えていたが、信頼性の高さは相変わらずで、帝国の船やインフラにとって深刻な脅威となった。[14]
アーマー・プレートを剥いだYウイングを爆撃機および対主力艦用の戦闘機として活用する方針は反乱軍のトレードマークとなり、特に初期の反乱軍においてその傾向が顕著だった。YウイングはTIE/ln制宙スターファイターの攻撃に対して脆弱だったが、反乱軍パイロットはこの戦闘機のおかげで軍事標的に対して甚大なダメージを与え、すぐにハイパースペースへ離脱するヒット・アンド・ラン作戦を行うことができた。[20] Yウイングは同盟軍で最も一般的なファイターの一種であり、同盟軍のスターファイター隊が交戦を行う場合、必ずと言っていいほどYウイングが戦闘に参加した。[14] Yウイングの歴史的重要性は素晴らしく[10]、反乱同盟とその後継政府である新共和国の宇宙軍で長年にわたり活躍を続け[20]、数世代に及ぶスター・パイロットに利用された。[10]
歴史[]
反乱軍による確保[]
クローン戦争中、BTL-BタイプのYウイングが大きな戦果を挙げたことを受け、銀河共和国の宇宙軍は製造元であるコーンセイヤー・マニュファクチャリング社にさらなるBTL-Bの生産と、新しいバリエーションの開発を委託した。これらの新機体は“BTLシリーズ”と呼ばれるようになり、BTL-S3などと並んでBTL-A4 Yウイングが誕生した。[2]
コーンセイヤー社製Yウイングはクローン戦争で長距離ボマーとして活躍し、華々しい戦果を挙げた。しかし共和国の後継政府である銀河帝国は主力艦を宇宙艦隊のバックボーンに据える戦略に比重を置き、ハイパードライブを搭載した戦闘機は重要視されなくなった。その結果、Yウイングのメーカーであるコーンセイヤー・マニュファクチャリング社は政府との大規模契約を失うことになり、帝国による干渉を受ける前に在庫を地方の惑星防衛軍市場へ売りさばいた。[1] そんな中、反乱軍はできる限り多くのBTLシリーズYウイングを確保して同盟宇宙軍に加える方針を打ち出し、捜索隊を送り出して、軍の中古品販売業者や解体場からYウイングを購入もしくは徴用した。そうやって最も多く手に入ったBTLシリーズの機体が、BTL-A4タイプだった。[2]
4 BBY、フェニックス戦隊の反乱者ヘラ・シンドゥーラはモン・カラマリの技師クアリーが開発したプロトタイプB6“ブレード・ウイング”を始めて実戦で使用した。[21] ブレード・ウイングの活躍を受け、反乱軍のメンバーであるベイル・オーガナ元老院議員はスレイン&コーピル社と協力してA/SF-01 Bウイングの開発に乗り出した。シンドゥーラはジャン・ドドンナ将軍宛てに報告書を作成して一連の経緯を説明し、帝国軍戦艦に対する主力攻撃機というYウイングの役割は、新型のBウイングに取って代わられることになるだろう、とコメントした。[22] しかしBウイングの生産モデルはYウイングよりもスピードが遅く、操作性に劣る代物だった。[2]
反乱軍はクローン戦争期の兵器や資材のポテンシャルを高く評価しており、年代物のスターファイターを奪取して戦線に復帰させるため、帝国の施設に対して襲撃を繰り返した。そうした作戦の一環として[20]、2 BBYに惑星ヤルマにある帝国の廃棄物処理施設レクレム・ステーションへの襲撃が行われた。フェニックス戦隊に属すゴースト・チームは、ジェダイの反乱者エズラ・ブリッジャー少佐の指揮のもと、海賊ホンドー・オナカーから提供された情報をもとにヤルマへ赴いた。彼らはブロム・タイタス中佐の監督下にあるステーションから廃棄予定のBTL-A4を複数奪取し、クエーサー・ファイア級クルーザー=キャリアー<フェニックス・ネスト>に収容してヤルマ星系から離脱した。このとき獲得したYウイングはドドンナ将軍率いる[23] マサッシ・グループ[1] の戦力に加えられた。[23]
初期反乱運動[]
- 「わあ、今のは何?」
「イオン砲だ。奴らのシールドを無力化した」 - ―エズラ・ブリッジャーとジョン・ヴァンダー[出典]
初期反乱運動の時代、惑星モントロスにある帝国のTIEファイター・パイロット育成施設、スカイストライク・アカデミーでは、Yウイングをはじめとする反乱軍宇宙船のデータを利用したシミュレーション訓練が行われていた。2 BBY、アカデミーに潜入した反乱者のサビーヌ・レンは、当時帝国軍の候補生だったウェッジ・アンティリーズと共に訓練に参加し、シミュレーション上のYウイングを撃墜した。[24]
2 BBY、BTL-A4 Yウイングによって構成される反乱軍のゴールド中隊は、帝国によるゴーマンの虐殺を公然と非難したモン・モスマ議員の亡命を手助けした[25] (ハンドオフ作戦)。[22] ゴールド・リーダー・ジョン・ヴァンダー指揮のもと、ゴールド中隊はモスマのテイランダー・シャトル<シャンドリラ・ミストレス>を護衛し、スペクターズのVCX-100軽貨物船<ゴースト>と深宇宙で合流した。<ゴースト>が運んできた燃料タンクで戦闘機の補給を行っていた時、一行は帝国のアーキテンス級司令クルーザーとTIEファイターによる襲撃を受けた。“ゴールド2”が船内で転倒した際に意識を失ったため、スペクターズのメンバーであるエズラ・ブリッジャーが代わりにYウイングに乗り込み、他の中隊隊員たちと一緒に帝国軍に応戦した。ゴールド中隊はYウイングのイオン砲とプロトン魚雷を駆使して軽クルーザーを仕留め、モスマが乗り移った<ゴースト>と一緒にハイパースペースへ離脱した。[25]
<ゴースト>は惑星ダントゥインを目指すモスマのために、アーキオン星雲を通る危険な航路アーキオン・パスへ向かった。ところが帝国宇宙軍のスローン大提督は反乱者たちがアーキオン・パスを使うことを見抜き、アリンダ・プライス総督とカシウス・コンスタンチン提督の部隊を送り込んだ。ゴールド中隊のYウイングと<ゴースト>は帝国のTIE/inインターセプターや、ヴァルト・スケリス司令官が操縦する試作型TIE/dディフェンダーに追撃され、タイソン(ゴールド3)とゴールド4のYウイングが撃墜されてしまった。星雲に突入した後、ゴールド5も命を落としたが、ヴァンダーとブリッジャーがスケリスを撃退することに成功した。アーキオン・パスを抜けた後、ヴァンダーとブリッジャーはプロトン魚雷を星雲に放って大爆発を引き起こし、待ち構えていたコンスタンチンのインペリアルI級スター・デストロイヤーに甚大なダメージを与えた。その後、Yウイングと<ゴースト>は無事にダントゥイン星系にたどり着いた。ダントゥインの軌道にて、モスマはYウイングを係留した<ゴースト>の船内から[25] 反乱同盟宣言を行い、“共和国再建のための同盟”を正式に設立した。[22]
2 BBY[20]、スローン大提督率いる第7艦隊が惑星アトロンに集結していた反乱軍艦隊に奇襲を仕掛けた際、グリーン中隊とブルー中隊のYウイングが軌道上の戦いに参加した。帝国は2隻のインターディクター・クルーザーを使ってアトロンを封鎖したが、反乱軍は<ガントレット>1隻を何とか逃がして外部の助けを呼ぶ作戦を立てた。Yウイングは<フェニックス・ネスト>から出撃して帝国艦隊と交戦し、グリーン中隊がプロトン爆弾を使って[26] コーフ・フェルノ艦長のインペリアル級スター・デストロイヤー<ダーク・オーメン>[20] にダメージを与えた。反乱軍はYウイングを含む多大な損失を出したが、サトーは<フェニックス・ネスト>を使ってインターディクターに特攻し、<ナイトブラザー>を脱出させた。反乱軍の生き残りはいったんアトロンのチョッパー基地へ避難して地上戦を繰り広げ、ブリッジャーがレン氏族のマンダロリアンを連れて戦場に戻ると、再度脱出を試みた。しかしアトロンに住むフォース感応者ベンドゥの無差別攻撃により、駐機されていたYウイングが少なくとも1機、雷撃の犠牲となった。反乱軍はこの戦いで多大な犠牲を出し、アトロン星系から脱出できたYウイングはたったの2機だけだった。[26]
Yウイングによって構成されるゴールド中隊の隊長、ジョン・ヴァンダーは、ダントゥインにある反乱軍基地に配属されていた時、出撃を控えた隊員たちの前でYウイングがいかに優れた機体であるか演説を行った。彼は反乱軍のYウイングが旧式で、コーンセイヤー社のデザイナーが見たらぞっとするほどパーツを失った状態であることを認めつつ、だからといってガラクタと呼ぶには早いと語った。ヴァンダーはクローン・パイロットの操縦するYウイングがクローン戦争で分離主義勢力のドロイド・スターファイターを相手に善戦した事実や、装甲版を失ってもなお高い防衛能力、TIEファイターより優れた火力、そしてTIEには無いエネルギー・シールドの存在などを列挙し、ゴールド中隊の隊員たちを鼓舞した。[2]
1 BBY当時、衛星ヤヴィン4の反乱軍基地ベース・ワンには大量のBTL-A4 Yウイングが配備されていた。この年、フェニックス・リーダー・ヘラ・シンドゥーラ率いるYウイング部隊がある任務に出撃したが、情報が間違っていたせいで失敗に終わり、ダメージを負って黒煙をなびかせた状態でベース・ワンへ逃げ戻ることになった。仲間たちが不時着に備えて離着陸場に集まる中、シンドゥーラはウェッジ・アンティリーズたちに燃料を破棄してシールドを前方に集中させるよう指示した。シンドゥーラのアストロメク・ドロイドは任務を生き延びることができなかったが、彼女たちのYウイングはなんとかベース・ワンの着陸ベイへ不時着を成功させた。[13] 1 BBY、ロザルにある帝国軍兵器工場施設を破壊するため、シンドゥーラ将軍率いるT-65B Xウイング及びBTL-A4 Yウイング計24機が攻撃作戦を行った。シンドゥーラはXウイングに対し、Yウイングの通り道を確保するため帝国の防衛網に突破口を開くよう指示したが、作戦は失敗に終わり、ほとんどの戦闘機が撃墜されてしまった。[27]
銀河内戦[]
序盤[]
- 「レッド・リーダー、こちらゴールド・リーダー。我々は攻撃飛行を開始する」
「了解、ゴールド・リーダー。定位置につく」 - ―ジョン・ヴァンダーとガーヴェン・ドレイス[出典]
Yウイングは反乱同盟の発足当初から使われていたが[14]、AウイングやXウイングといった新型機の陰に隠れがちで[10]、より高速な新型機のせいで反乱軍パイロットからの人気が下火になったこともあった。しかしその一方で、根強くYウイングを支持する強襲パイロットのグループもいた。帝国との戦いを通し、この旧式戦闘機は(特に古くから続く貧しい反乱分子において)数多の戦闘を経験した。[14] ヤヴィン4の反乱軍では、ゴールド中隊はすべてYウイングで構成され、必要に応じてグリーン中隊やブルー中隊にもローテーションされていた。頑丈なYウイングはほぼ休むことなく使われ続け、それを証明する多くの傷が機体に刻まれていた。[1]
1 BBY、同盟情報部のデイヴィッツ・ドレイヴン将軍はDS-1デス・スター機動バトル・ステーションの設計者であるゲイレン・アーソを抹殺するため、反乱軍評議会の承認を得ぬまま、YウイングとXウイングによって構成される[7] ブルー中隊[28] を惑星イードゥーへ派遣した。現地にいた情報部員のキャシアン・アンドー大尉は攻撃中止を要請したが間に合わず、戦闘機部隊は帝国カイバー精製所のプラットフォームに爆撃を行った後、イードゥーから離脱した。[7]
イードゥーの作戦の直後、ゴールド中隊と[7]、ブルー中隊の一部が[1] Yウイングに乗り込み、スカリフの戦いに参加した。彼らはラダス提督率いる同盟軍艦隊の一員として惑星スカリフの軌道へハイパースペース・ジャンプすると、シールド・ゲートの外で帝国軍と宇宙戦を繰り広げた。戦闘中、ジョン・ヴァンダー率いるゴールド中隊はシールド・ゲートのタレットや施設に爆撃を行った。また“ゴールド9”のウォーナ・ゴバンらがインペリアル級スター・デストロイヤー<パーセキュター>へイオン魚雷を放ち、制御不能状態に陥らせた。ラダスはYウイングが仕留めたスター・デストロイヤーにハンマーヘッド・コルベット<ライトメイカー>を体当たりさせ、もう1隻のスター・デストロイヤー<インティミデイター>とシールド・ゲートを玉突き式に破壊することに成功した。反乱軍はこの戦いでYウイングを含む多数の艦船を失ったが、ローグ・ワンが地上で手に入れたデス・スター設計図の受信に成功し、生存者はハイパースペースへ脱出した。[7]
それからしばらくして、デス・スターが反乱軍の基地を攻撃するためヤヴィン星系に姿を現し、ヤヴィンの戦いが発生した。[9] この戦いではゴールド中隊のYウイングが8機、レッドおよびグリーン中隊のXウイングとともにヤヴィン4の基地から出撃した。[29] 彼らはドドンナ将軍が立てた作戦に従い、デス・スターの弱点である排熱孔にプロトン魚雷を撃ち込むため、バトル・ステーションに攻撃を仕掛けた。[9] このとき、精密機械であるYウイングの二連イオン砲がまともに機能している機体はたったの2機だけだった。またYウイングはXウイングよりも照準性能がわずかに優れていることなどを理由に、デス・スターの子午線トレンチへ最初に突入する攻撃隊に選ばれた。[15]
戦闘中、ゴールド・リーダーのヴァンダーとデックス・タイリー(ゴールド2)、デイヴィッシュ・クレイル(ゴールド5)らのYウイングがバトル・ステーションのトレンチへ最初に突入し、排熱孔への攻撃を試みた。しかしシス卿ダース・ヴェイダーが操縦するTIEアドバンストx1とその僚機が彼らの背後を取り、3機とも撃墜してしまった。最終的にXウイングに乗り込んだルーク・スカイウォーカー(レッド5)がデス・スターの破壊に成功し、反乱軍を勝利へ導いたが[9]、戦いから生還することができたYウイング・パイロットはエヴァン・ヴァーレイン(ゴールド3)ただひとりだった。[1][30]
0 ABY当時、YウイングやXウイングで構成される反乱軍のスターファイター部隊プラズマ・デヴィルズはアンサン・プライムの衛星アンサン1に秘密の拠点を持っていた。ヤヴィンの戦いの後、ダース・ヴェイダーとサノス検査官は情報ブローカーのジ・アンティからプラズマ・デヴィルズの拠点がアンサン1にあることを聞き出し、アーキテンス級司令クルーザーで攻撃に向かった。帝国軍の接近に気づいたプラズマ・デヴィルズはただちに撤退を開始したが、最初に基地から発進したYウイングは、外で待ち構えていたヴェイダーが投げたライトセーバーで翼を切断され、爆発した。プラズマ・デヴィルズは帝国軍の攻撃で壊滅し、そのパイロットたちのヘルメットはカシオ・タッグ大将軍に証拠として差し出された。[31]
0 ABY、惑星ヴロガス・ヴァスにおける戦いでダース・ヴェイダーのTIEアドバンストx1が墜落した後、シス卿にとどめを刺すため、Yウイングで構成されるグレイ中隊がヴロガス・ヴァス燃料補給基地から出撃した。彼らは墜落地点の近くでヴェイダーを発見したが、爆撃を開始しようとした直後、ヴェイダーがフォースを使って破片を投げつけてきた。グレイ5をはじめとする隊員たちは、破片や破壊された味方機とぶつかって爆発し、全滅した。ヴェイダーとの熾烈な地上戦が続く中、反乱軍のプリンセス・レイア・オーガナはYウイング・ボマーのアンバー飛行隊に連絡を取り、自分が指定した地点への爆撃を命じた。彼女は自分を犠牲にしてでもヴェイダーを葬るつもりだったが、彼らは目標地点へ向かう途中でカービン中佐率いる帝国軍部隊の奇襲を受け、撃墜されてしまった。[32]
1 ABY[33]、リー=チャー王の最期のメッセージが公開されたことがきっかけとなり、惑星モン・カラで大規模な反乱が発生した際、反乱同盟のギアル・アクバー提督は同胞を支援するため機動部隊を率いて母星に駆け付けた。YウイングとXウイングからなる機動部隊は、モン・カラ貿易艦隊の脱出を可能にするため、タイラス・メオリ提督指揮下の帝国軍封鎖艦隊に攻撃を仕掛けた。彼らはTIEファイターやTIE/saボマーと激しい宇宙戦を繰り広げ、ピスク・リラ艦長のMC80Aスター・クルーザー<オーロラ・フレア>による特攻で敵の封鎖が崩れた際、モン・カラマリ星系から離脱した。[34]
終盤[]
反乱軍が3 ABYにホスの戦いで敗北した後、同盟宇宙軍の再合流地点にはYウイングの姿もあった。[35]
4 ABY[30]、ゴールド中隊、グレイ中隊、レッド中隊の一部パイロットがYウイングに乗り込み、エンドアの戦いに参加した。グレイ・リーダーのホートン・ソームはYウイングから自身の部隊を指揮した。彼らは同盟軍艦隊の一員としてエンドア星系にジャンプし、衛星エンドアの軌道に浮かぶ第2デス・スターの周辺で帝国軍艦隊と戦いを繰り広げた。[36] グレニ・テルシジや[37] エケラーク・ヨンをはじめとするYウイング・パイロットたちがこの戦闘で命を落とした。エンドア攻撃チームの活躍でデス・スターのシールドが消滅すると、ゴールド・リーダーを務めるランド・カルリジアン将軍の<ミレニアム・ファルコン>は[36]、ノラ・ウェクスリー(ゴールド9)の[38] Yウイングをはじめとする数機のファイターを従えてバトル・ステーションの内部に突入した。[36]
反乱軍がエンドアの戦いに勝利してから17日後、フェラル中隊のYウイングがスターディクIVのカワ・シティで帝国軍との空中戦に臨んだ。エルゥロ・ランパー(グリーン1)率いるグリーン中隊のRZ-1 Aウイング・インターセプターが攻撃経路上にいる敵TIEファイターを排除した後、フェラル・リーダー率いるYウイングがカワ・シティのAT-ATウォーカーを磁化クラスター爆弾で爆撃し、破壊した。それからしばらくして帝国のシンダー作戦が始まり、惑星ナブーがその標的となった際、現地で戦うレイア・オーガナやシャラ・ベイ中尉、ソーシャ・ソルーナ女王らを支援するため、Yウイングを含む反乱軍艦隊がナブーの軌道に駆け付けた。[39] Yウイングは反乱同盟の後継政府である新共和国でも活躍を続けた。新共和国軍スターファイター隊の混成戦闘機部隊であるアンヴィル中隊やヴァンガード中隊にはBTL-A4 Yウイングも含まれていた。ヴァンガード中隊では、トランドーシャンのパイロットであるフェレスク・ツァットが主にYウイングの操縦を担当した。[17]
新共和国のシェパード中隊もさまざまな戦闘機で構成される混成部隊であり、バク・ライチャク中尉(シェパード2)とホープアータ(シェパード3)、ノブレス・エイラム(シェパード5)がBTL-A4 Yウイングのパイロットを務めた。5 ABY、シェパード中隊はフォンドア造船所における戦いに参加し、インターディクター級スター・デストロイヤー<スペクトラル>への攻撃を試みた。しかしレイ・スローネからジャクー付近の合流地点への呼び出しを受けた<スペクトラル>がハイパースペースへジャンプした際、ライチャク中尉のYウイングがジャンプに巻き込まれ、一緒にハイパースペースに引きずり込まれた。ライチャクの機体は光速航行中に損傷を負ったが、結果的にそのデブリが<スペクトラル>の試験型兵器アレイにダメージを与えた。ジャクー星系に到着した後、ライチャクのYウイングは片方のエンジンを失ったまま逃げようとしていたところを、トラクター・ビームによって捕捉され<スペクトラル>のハンガーに収容された。しかしライチャクのアストロメク、ジートゥー=ジートゥーが<スペクトラル>に破壊工作を行い、このスター・デストロイヤーをジャクーに墜落させることに成功した。その直後、Yウイングを含む新共和国艦隊がジャクーの戦いに駆け付けた。[40] ジャクーの戦いには他にも、ファントム中隊やティアフォン・イエロー・エース[41]、アルファベット中隊、ヘイル中隊といったさまざまな戦闘機部隊のYウイングが参加した。[42]
終戦後[]
惑星ジャクーの宇宙船の墓場には、ジャクーの戦いに参加した他の数多くの艦船とともに、Yウイングの残骸も取り残された。これらの宇宙船はニーマ・アウトポストを拠点とするゴミ漁りの獲物となり、機体から価値のあるテクノロジーがはぎ取られていった。Yウイングは頑丈であるため、戦闘や墜落を経てもなお、他の宇宙船と比べて良い状態で見つかることが多かった。ゴミ漁りのレイは自作のサバイバル・ガイドにYウイングをはじめとする宇宙船のイラストを描き、それぞれの特徴や、回収する上での注意点などをまとめた。レイによると、Yウイングを漁る際はコックピットの下のプロトン魚雷発射装置に注意する必要があり、両翼先端のセンサー・ドームの有無が、同業者がすでに手を付けたYウイングであるかどうかを見分ける判断基準となった。[43]
34 ABY以前、レイはインターディクター級スター・デストロイヤー<スペクトラル>の残骸の中で、かつて新共和国のバク・ライチャク中尉の機体だったYウイングを発見した。彼女はこの機体からジャンク・ボスのアンカー・プラットが欲しがっていた燃料ポンプを回収した。また彼女はYウイングの操縦席に座り、“ジャクー非正規軍”のキャプテンになったつもりでごっこ遊びに興じた。しかしレイは<スペクトラル>で活動を続けていた帝国軍のKXシリーズ・セキュリティ・ドロイド、K-8Z8がコックピットのキャノピーを外から殴ってきていることに気づき、我に返った。[44]
制作の舞台裏[]
BTL-A4 Yウイングは1977年公開の映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で初登場を果たした。[9] Yウイングのコンセプト・デザインはラルフ・マクォーリーやコリン・キャントウェルが手掛けた。キャントウェルによるYウイングの初期デザインには、砲手が中に入るバブル型のタレット・ドームが搭載されていた。しかし当時のブルースクリーン技術には限界があり、透明なドーム付きのミニチュアを撮影したうえで合成加工し、そのドームを映像上に正しく表示させることは不可能だった。ILMの模型製作者であるデヴィッド・ビーズリー、スティーヴ・ゴーリー、ジョン・アーランドはキャントウェルのデザインをベースにしたオリジナルのYウイング模型を製作した。しかし『新たなる希望』で画面に同時に映るYウイングの数は3機だけであるため、模型製作者たちは主にXウイングに力を注ぎ、Yウイングは少数しか作られなかった。[45]
Yウイングを視覚効果用のモデルとして仕上げたジョー・ジョンストンは、Yウイングは本来は滑らかな外見の戦闘機であり、映画に登場する機体は反乱軍技術者の手でホットロッドのように改造された後の姿なのだと仮定した。すなわち、コックピット部分の滑らかな形状だけが、Yウイングの本来の姿の名残であるという考えである。なおこのコックピット部分は当時の射出成形技術としては珍しく、映画に登場するほかの複雑な物より“きれい”に仕上がった。このすっきりとした機首は、キットバッシングによる細かい部品で埋め尽くされたごちゃごちゃした部位と接続された。Yウイングの巨大なエンジンは1/144スケールのアポロ サターンVロケット模型の一部であり、その先端のドームはパンティストッキングの容器である。[45]
『新たなる希望』のために制作された数少ないYウイングのうち1機は、20世紀フォックスの重役であるアラン・ラッド・ジュニアに贈られた。『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』製作にあたって再び反乱軍のYウイングが必要になった際、模型製作者のビル・ジョージはILMで働き始める前に自主制作したYウイングを持ち込んだ。ビル・ジョージのYウイングは、のちにオリジナル・トリロジーの模型の巡回展でも展示された。[45]