- 「鼻を押すんだよ!」
- ―ジャー・ジャー・ビンクスに対し、アナキン・スカイウォーカー[出典]
DUMシリーズ・ピット・ドロイド(DUM-series pit droid)はサーヴ=オー=ドロイド社が製造した修理ドロイドである。小柄だが極めて丈夫であるため、ポッドレースのピット・クルーとしてずば抜けた適性を発揮した。ピット・ドロイドは頭部の単眼フォトレセプターがオン/オフのスイッチを兼ねており、オフにするとコンパクトなサイズに折りたたむことができた。ピット・ドロイドは通信アンテナで互いに交信しながら優れたチームワークで作業に取り組むことができ、値段も1体500クレジット足らずと低価格であるため、オーナーは複数のユニットを揃えやすかった。
ポッドレーサーのオディ・マンドレルはDUMドロイドのピット・クルーを所有していた。しかし32 BBYのブーンタ・イヴ・クラシックでは、ピット・ドロイドがレーサーのエンジンに吸い込まれたせいで脱落を余儀なくされるという悲劇に見舞われた。クローン戦争では、クローン・コマンダー・ネーオによってパイロット機能を追加されたピット・ドロイド、WAC-47がミーバー・ガスコン大佐率いるD分隊の一員として活躍した。またタトゥイーンに住む技術者のペリ・モットーもピット・ドロイドのクルーを所有し、仕事の合間に彼らとサバックのゲームに興じていた。
特徴[]
概要[]
サーヴ=オー=ドロイド社が製造したDUMシリーズ・ピット・ドロイドは[1]、全高1.19メートルの[4] 修理ドロイドである。[1] 第2級ドロイドに分類される。[2] 小型ながら恐ろしく頑丈であり、構造が非常にシンプルであるためメンテナンスが容易だった。きゃしゃな外見だが丈夫で[3]、落ちてくる部品から頭部を守る平たいプレートを備え[1]、自分の体の数倍の重さの物を運ぶパワーを秘めていた。[3] 彼らが頭部に備えている大きな丸い単眼フォトレセプターは“目”と描写されることもあれば[7] “鼻”と呼ばれることもあり[5]、このドロイドのオン/オフのスイッチを兼ねていた。彼らの脚、胴体、首は4つの節で構成され、どれも長さがほぼ同じであり、フォトレセプターのスイッチを叩くと5分の1ほどの大きさに折りたたまれた。たたまれた部分は頭部のヘルメットの下に収まり、腕は両側で二つ折りになるため、スペースを取らずに収納しておくことができた。[3]
ピット・ドロイドの重要なコンポーネントは硬貨合金ボディの内部に密閉されていたため、破壊するのは困難だった。フォトレセプターはマルチ・スペクトラム・スキャナーであり、ポッドレーサーのような苛烈なストレスにさらされる乗り物にとって致命傷となりうる、機械に入った微小なヒビも見逃さなかった。またピット・ドロイドの頭部には位置確認機能を持つ通信アンテナが取り付けられていた。複数のピット・ドロイドでチームを組んで活動する際、彼らはこのアンテナで互いの位置を確認しあい、作業効率をアップさせることができた。また彼らは内蔵した通信システムで連絡を取り合うことで、まるで集合意識のようにメンテナンスに取り組んだ。[3] 命令を受け次第、疑問を持つこと無く最短時間でそれを遂行するようプログラムされている[1] ピット・ドロイドたちは、それぞれの受け持ち場所に散らばると、破損箇所を分析して最適な修理方法をすみやかに決定し、協力して作業にとりかかった。[3]
自分だけでは作業現場に手が届かない場合、ピット・ドロイドは別のユニットと協力して不安定なピラミッドを造り、作業にあたることがあった。また彼らは危険な役割を与えられても怖がることがなく、むしろ喜んで危険に飛び込んでいった。ピット・ドロイドの手のひらにはシンプルなマグネット把持器が内蔵され、脚のジョイントはハイ=トルク・モーターで動いていた。[7]
欠点[]
DUMシリーズ・ピット・ドロイドの唯一の欠点は知力に限界があることであり、間違った方向に情熱を注いでしまうことがあった。チームに加わっていないドロイドや、所有者から正確な指令を与えられなかったドロイドは、停止させられるまで手当たりしだいの物を修理したり、分析のため勝手に機械を分解するなどの行動に走ることがあった。[3] また彼らは論理プロセッサーが極めてシンプルにできているため、どうやって仕事をこなすか戸惑って大混乱することがあった。[1] ピット・ドロイドの性格は陽気だが、ときにそれが人をいらつかせることもあった。[3]
用途[]
DUMシリーズ・ピット・ドロイドはメンテナンス一般や修理を行うドロイドとして設計されており、実際にさまざまなメンテナンス現場で使用されていた。なかでも特にポッドレース競技に対してずば抜けた適性を持ち、レーシング・マシーンのピット作業で大活躍した。[3] ポッドレースにおいては、高速の乗り物をメンテナンスするのが非常に危険な上、しばしば慌ただしい競技のなかで安全よりも勝利が優先されていた。そのため自分たちの危険を顧みずレース場に飛び出していき、回転を続けている加熱したエンジンの修理を行うのは、安価な消耗品であるピット・ドロイドの役目だった。[4]
ポッドレーサー・パイロットになることが許されていたのは有機生命体だけだったが、パイロット以外の重要なクルーとして多数のピット・ドロイドが使用されていた。またピット・ドロイドは1体の価格が500クレジットに満たないため、オーナーが複数のユニットを手軽に揃えやすいという利点もあった。もし壊れたとしても、低いコストで交換が可能であるため、気軽に危険な作業に従事させることができた。また廃品回収業者や古道具屋がピット・ドロイドを(開催中であってもお構いなしに)レース場で送り出し、再利用可能な落下物を回収しようとすることもあった。ピット・ドロイドが価値のあるものを持ち帰れば儲けものだが、万一ポッドレーサーや商売敵にドロイドが壊されても、安価なので大きな損失とはならなかった。[3]
歴史[]
共和国時代[]
DUMシリーズ・ピット・ドロイドは簡単な修理とメンテナンス全般を任せられる低価格なドロイドとして、サーヴ=オー=ドロイド社によって製造され、一躍ヒット商品となった。[3] ナブー危機以前、衛星ナー・シャダーにあるハンガーでピット・ドロイドのチームが活動していた。このハンガーにはハドレックス・ギャングの船が停泊していたが、キャド・ベインのグループによって制圧された。[8]
アーキットのポッドレーサー、オディ・マンドレルは3チームの優秀なピット・ドロイド・チームを所有し、愛機のエクセルブロク社製XL 5115エンジンの最速修理記録を打ち立てた。[3] しかし32 BBYに[9] 惑星タトゥイーンのモス・エスパ・グランド・アリーナで開催されたブーンタ・イヴ・クラシックでは、ピット・ドロイドの1体である[5] DUM-4[10] がピット作業中にタービンの吸気口に近づき、エンジンの内部に吸い込まれてしまった。ドロイド自体は無傷だったが、レーサーは故障してしまい、マンドレルは脱落を余儀なくされてしまった。[5]
タトゥイーンのモス・エスパにあるジャンク屋ワトーの店でもDUMシリーズ・ピット・ドロイドが扱われており、GNKシリーズ・パワー・ドロイドの上に収納状態で置かれていた。ワトーの店を訪れたグンガンのジャー・ジャー・ビンクスは、うっかりピット・ドロイドのスイッチを押して起動状態にしてしまったが、奴隷のアナキン・スカイウォーカー少年からオフにする方法を教わった。[5] 22 BBY[9]、ジェダイになったアナキンが母のシミに会うためパドメ・アミダラを連れてタトゥイーンに戻ってきた時、数体のピット・ドロイドがモス・エスパの街を歩き回っていた。アナキンが店を訪れた時、ワトーはピット・ドロイドの頭を修理しながら、近づいてきた別のピット・ドロイドを怒鳴って追い返しているところだった。アナキンはワトーからピット・ドロイドの頭部を取り上げて代わりに修理してやりながら、シミは今どこにいるのか、このかつての奴隷主に質問した。[11]
クローン戦争中、とあるスターシップが惑星バルナブに不時着し、乗っていたピット・ドロイドたちが星に取り残された。自己保存サブルーチンに導かれたピット・ドロイドたちは、可能な限り船を修理すると、ホロプロジェクション・システムを使って巨大なホログラムの指導者像をつくり出し、バルナブ族の先住民を欺いて従えた。やや原始的なバルナブたちはこのホログラム像を偉大な指導者として崇拝するようになった。[3] 20 BBY[9]、アストロメク・ドロイドR2-D2とプロトコル・ドロイドC-3POが偶然バルナブにやってきた。R2-D2は指導者の正体を暴き、怒ったバルナブがピット・ドロイドに反抗するよう仕向けてその場を去った。[12]
ピット・ドロイドWAC-47は廃品回収されて共和国グランド・アーミーの所属となり、クローン・コマンダー・ネーオによってパイロット機能を追加された。[3] WAC-47は第91機動偵察兵団の一員としてネーオに仕えていたが[13]、20 BBY[9]、ミーバー・ガスコン大佐率いるドロイド特務部隊“D分隊”の一員に選抜された。D分隊は分離主義勢力のプロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーから暗号化モジュールを奪取することに成功したが[6]、WAC-47が操縦するマキシリピード・シャトルは彗星と衝突し、虚無の平原が広がる惑星アバファーに不時着してしまった。しかし彼らはヴォイド・ストライダーに乗って入植地ポンズ・オーラを見つけ出し[14]、偶然出会ったクローン・コマンドー・グレガーの助けを借りてアバファーを抜け出した。[15] その後、WAC-47とD分隊のメンバーは共和国軍戦略会議が行われている宇宙ステーション<ヴァーラー>を分離主義勢力の攻撃から救った。[16]
帝国時代以降[]
3 BBY、<ゴースト>の反乱者たちが銀河帝国の燃料補給拠点ホライズン基地を訪れた時、このステーションにある、アグノートの商人が経営する古物屋で、動かないDUMシリーズ・ピット・ドロイドが1体陳列されていた。[17]
銀河内戦中、アウター・リム・テリトリーのラドリークにあるポッドレース場でもDUMシリーズ・ピット・ドロイドが使用されていた。とあるレースのさなか、ダース・アトリウスのライトセーバーを巡って銀河帝国と衝突したルーク・スカイウォーカーは、ストームトルーパーから逃げるためレース場に飛び出し、ピット・ドロイドが手にしていたポッドレーサー用ヘルメットを奪い、選手のマシーンに乗り込んで逃亡した。[18]
“深み”と呼ばれる未知領域の惑星では、クルレエキ卿ら貴族によって、DUMシリーズ・ピット・ドロイドたちを含む大量のドロイドが鉱山施設の奴隷労働者として酷使されていた。ピット・ドロイドたちはこの過酷な労働現場で、鉱石を積んだカートの運搬といった作業に従事した。しかしある時、ジェダイのルーク・スカイウォーカーが3POシリーズ・プロトコル・ドロイドに変装して鉱山施設に潜入し、友人のアストロメク・ドロイドR2-D2を救出した。その際、スカイウォーカーは他の奴隷ドロイドにも自由のための戦いを呼び掛けた。奴隷の監督者であるゼータやバトル・ドロイドが倒された後、解放されたピット・ドロイドたちは勝利に歓喜した。[19]
9 ABY当時[20]、タトゥイーンのモス・アイズリー宇宙港にあるハンガー3-5で働く技術者、ペリ・モットーはピット・ドロイドのチームを所有していた。モットーのピット・ドロイドはサバックをプレーすることができ、仕事の合間に彼女とボルトやモチベーターを掛け金代わりにして時間をつぶすことがあった。マンダロリアンの賞金稼ぎディン・ジャリンがハンガー3-5にやってきた時、モットーのピット・ドロイドたちは修理道具を持ってガンシップ<レイザー・クレスト>に近寄ったが、ドロイド嫌いのジャリンは彼らを船に近寄らせまいと足元にむかって発砲した。船にドロイドを近づけないよう念を押した後、ジャリンは修理費を稼ぐためハンガー3-5を去った。[21]
登場作品[]
参考資料[]
脚注[]
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