- 「なんでそんな大事な情報をこんなぼろドロイドに預けたんだ?」
「こんなものに大事な秘密が詰まってると、誰が思う?」 - ―エズラ・ブリッジャーとサビーヌ・レン[出典]
EG-86は反乱軍に仕えた男性プログラムのEGシリーズ・パワー・ドロイドである。一度だけエズラ・ブリッジャーから単にEGとも呼ばれた。EG-86は一見無害なゴンク・ドロイドに見えたが、実際は銀河帝国と戦う反乱組織にとって重要な情報やデータの管理人だった。彼はパワー・ドロイドというありふれた存在であることを活かし、それらの情報の伝達役として活躍していた。
帝国時代の4 BBY、ヘラ・シンドゥーラはスペクターズのサビーヌ・レン、エズラ・ブリッジャー、C1-10Pをガレル・シティ宇宙港に派遣し、密使のEG-86を回収してハヴォック前哨基地に届けるよう命じた。しかし、彼女たちはその“密使”に関する情報をほとんど把握できていなかったため、EG-86を見つけるのに時間がかかってしまった。同じくブラック・サン雇われの賞金稼ぎケツー・オンヨもEG-86を手に入れるためスペクターズを妨害したが、彼女は銀河帝国と戦っている間に心変わりし、旧友であるサビーヌ・レンの手助けをした。帝国軍の軽クルーザーの攻撃を振り切った後、EG-86は無事に前哨基地へ届けられ、R2-D2に引き渡された。また、EG-86はレジスタンスの元バトル・ドロイドR0-GRが執筆した『ドロイドグラフィー』でも紹介されていた。
経歴[]
秘密情報の運び屋[]
- 「何なんだよこいつ?」
「ちょっと待って、彼が密使だわ。目立たないのが一番、貨物に紛れて来たのよ」 - ―エズラ・ブリッジャーとサビーヌ・レン[出典]
スターシップやドロイドに燃料補給をするために設計されたパワー・ドロイドはありふれた存在だった。そのため、これらのドロイドは誰からも気づかれずに仕事をこなす傾向があった。[6] 銀河帝国と戦う反乱軍は時にパワー・ドロイドを巧妙に利用した。[3] 一見無害なゴンク・ドロイドの[7] EG-86も実はその一体であり[3]、反乱軍にとって重要である秘密情報やデータの管理を任せられていた。[7] そして彼はパワー・ドロイドであることを活かし、反乱軍の[6] 秘密情報の運び屋として活躍していた。[3]
ガレルの任務[]
- 「この子の名前は…EG-86ユニット」
「初めまして、EG」 - ―サビーヌ・レンとエズラ・ブリッジャー[出典]
4 BBY[8]、EG-86は反乱軍たちの会合場所である[7] ハヴォック前哨基地[4] までスペクターズに送り届けてもらい[7]、秘密情報を伝達するため、惑星ガレルのガレル・シティ宇宙港に密使として派遣された。彼は荷物に紛れて[4] GX1短距離運搬船[9] の3765便に乗り込み、宇宙港に到着した後は停泊したシャトルのそばで他に荷物に囲まれながら佇んだ。[4] その時EG-86は帝国軍から疑われておらず、賢い判断であった。[7]
フェニックス中隊の隊長に任命されたヘラ・シンドゥーラは、スペクターズのサビーヌ・レンとエズラ・ブリッジャー、アストロメク・ドロイドのチョッパーにガレル・シティ宇宙港へ行き、密使のEG-86を回収して基地まで届けるよう命じた。しかし、彼女はその“密使”がどのような外見であるか伝えられておらず、「オルデランまでは遠い」(It's a long way to Alderan.)という合言葉に応じることしか把握できていなかった。3人は離着陸ベイに到着すると、宇宙港内を移動する乗客たちに合言葉を話しかけたが、誰一人反応することなく時間が過ぎていった。やがてハンガー封鎖のアナウンスが放送されると、エズラは荷物がどかされて姿が露になった“密使”に上に座り込み、目的が果たせなけらば<ゴースト>に帰れないと呟いた。サビーヌは合言葉が間違えていないかエズラを疑うと、彼はもう一度合言葉を言った。その言葉を聞いたEG-86は活動を再開し、エズラを振り払った。サビーヌがこの目立たないドロイドが密使だと気付くと、パワー・ドロイドの名前を確認した。エズラは何故こんなオンボロに重要な情報を預けたのか疑問を持ったが、オンボロであるからこそ誰からも疑われないとサビーヌは答えた。[4]
ブラック・サンに雇われた賞金稼ぎケツー・オンヨもEG-86を盗む仕事を与えられていた。彼女はGX1シャトルの上からサビーヌたちの前に姿を現すと、自分はドロイドを疑うと話に割り込み、EG-86を黙って引き渡すよう命令した。サビーヌがブラスター・ピストルを引き抜こうとすると、騒ぎを聞きつけた帝国軍のストームトルーパー部隊がやってきて、戦闘が始まってしまう。EG-86はチョッパーに誘導されながらGX1シャトルの63725便に乗り込み、続いてサビーヌもシャトルに押し入った。彼女はシャトルをハイジャックし、チョッパーはパイロットの[4] RXシリーズ・パイロット・ドロイド[10] を無理やり機能停止させた。エズラも船のドアの手前まで到達できたが、トルーパーの攻撃で船から落下してしまう。サビーヌはそのままGX1シャトルを発進させた。[4]
EG-86を乗せた63725便はガレルから脱出することに成功したが[4]、ケツーの操縦するランサー級追跡船<シャドウ・キャスター>[9] の攻撃によりハイパードライブが故障してしまう。サビーヌはドロイドたちにケツーの動きに気を付けるよう注意したが、続いてシャトルのドアも破壊され、チョッパーが船外に放り出されてしまった。サビーヌも宇宙空間に吸い込まれそうになるが、EG-86の四角いボディがハッチにつっかえたおかげで船内に留まれた。彼女はかろうじてハッチを閉めることに成功し、EG-86に今度スターシップを盗む時は武器を搭載したものにすると約束した。サビーヌはケツーに通信を入れると、必要とあれば船を破壊してでもパワー・ドロイドを手に入れると脅迫される。その隙にチョッパーは<キャスター>のレーザー砲の配線を分解し、攻撃を阻止した。サビーヌは再びシャトルを発進させ、EG-86にロケット・ブースターでシャトルに戻ろうとするチョッパーを船内に収容するよう頼んだが、チョッパーは<キャスター>のトラクター・ビームにより捕らえられてしまう。EG-86はチョッパーが拉致されたことを[4] ゴンキアン語[11] でサビーヌに伝えると、彼女は再びケツーに通信を入れ、取引に応じると返答した。[4]
63725便が<シャドウ・キャスター>とドッキングすると、サビーヌはEG-86に船内に残るよう言い残し、旧友との話し合いに臨んだ。ケツーは彼女に協力すればブラック・サンからの賞金を山分けすると申し出したが、サビーヌは今は金よりも大切なもののために戦っていると主張し、今からでも人生をやり直すべきだとケツーに助言した。その直後、シャトル盗難の報告を受けた帝国軍の[4] アーキテンス級司令クルーザー[9] が姿を現し、シャトルと<キャスター>に投降を命じた。彼女たちは帝国から逃れるため一時的に協力しあうことを決意し、一旦全員がシャトルのコックピットに集合した。軽クルーザーのトラクター・ビームによってシャトルと<キャスター>が牽引される中、サビーヌはシャトルを爆弾代わりに使い、軽クルーザーにぶつける作戦を立てた。彼女はケツーから渡された爆弾をコックピットにセットし、ケツーは<キャスター>を発進させる準備をした。チョッパーとEG-86が<キャスター>に乗り込むと、セットを完了させたサビーヌはシャトルをクルーザーに衝突させるため船長のRXドロイドを再起動させ、シャトルからの脱出を試みたが、軽クルーザーの砲撃のショックで倒れ、その場に取り残されてしまう。ケツーはチョッパーに船のドッキング・チューブを外すよう命じたが、チョッパーとEG-86は反対の意を示した。結局彼女はサビーヌを救うためシャトルに戻る危険を冒し、壊れかけたドッキング・チューブを通って旧友を<シャドウ・キャスター>まで運びこんだ。チョッパーによってチューブが外されると、サビーヌの作戦通り、63725便の爆発によりクルーザーの牽引が解かれ、<キャスター>はその隙にハイパースペースへ飛びこむことができた。[4]
その後[]
その後、ケツーはEG-86をハヴォック前哨基地まで届けるのに力を貸し、サビーヌたちはEG-86をベイル・オーガナ元老院議員のアストロメク・ドロイドR2-D2に引き渡すことに成功した。そしてEG-86はR2-D2や護衛と共にそのまま基地へ歩いていった。[4]
のちの時代、レジスタンスの元バトル・ドロイドR0-GRは自著『ドロイドグラフィー』でパワー・ドロイドの個体の例としてEG-86を取り上げた。彼はEG-86がただのドロイドでも一度だけ人々に“パワー”を与えたと言及したが、すぐに他のドロイドの紹介に切り替えてしまった。また本書には砂漠の惑星タトゥイーンに訪れるEG-86のイラストが掲載されていた。[6]
個性と特徴[]
EG-86は男性プログラムの[4] EGシリーズ・パワー・ドロイドであり[2]、ヴェリル・ライン・システムズ社によって製造された。[1] このドロイドのボディは灰色で、銀色や黒色のラインと赤いストライプが施されていた。[4] パワー・ドロイドには単純な人工知能しか搭載されていなかったため[12]、基本的に知性は低かったが[5]、EG-86は感情が豊かであった。ケツーがサビーヌにEG-86を引き渡すよう脅迫する時、彼は恐怖で体を震わせていた。チョッパーをGX1シャトルに収容するため船内のハンガーに到着した時、EG-86はロケットブースターで船に戻ろうとするチョッパーを見ると喜びながら体を揺らし、チョッパーがトラクター・ビームで拉致されると悲しみの声を上げた。また、彼は焦ると早口でゴンキアン語を話した。[4]
EG-86をはじめとするパワー・ドロイドの胴体は装甲プレートと放射線シールドに覆われた多層構造となっていたため、ボディを割ることは困難であった。顔面にはシンプルなディスプレイが配置されており[5]、赤や白に光る[4] 基本的なインジケーター・ライトがあった。これは補給対象の異常を知らせる機能があった。さらにEG-86のタフな油圧システムは砂ぼこりを寄せ付けないように伸縮自在なチューブで覆われており、ボディは2本の脚と冷却パイプで繋がっていた。EG-86の脚は太くて頑丈であり[5]、段差を上ることができたが、宇宙で宇宙船が亀裂が入っても、船内に留まれるほどの力は無かった。[4]
制作の舞台裏[]
EG-86は2015年11月18日に放送された『スター・ウォーズ 反乱者たち』シーズン2の第8話『旧友』で初登場を果たした。声優はガラゼブ・オレリオス役も務めるスティーヴ・ブラム。[4]
『旧友』の制作段階では、秘密情報の伝達役として登場するのはEG-86ではなくC-3POだった。しかし、サビーヌ・レンとケツー・オンヨとのやりとりが台無しになると判断され、新しいキャラクターであるEG-86に変更された。最後の場面でR2-D2が登場するのはその名残りである。[13]
EG-86という名称は劇中でサビーヌが紹介しているが、機種名までは言及されておらず、エンドロールでも単に「EG-86 Gonk Droid」としてクレジットされている。[4] EG-86は『旧友』のエピソード・ガイドをはじめとする様々な資料でGNKドロイド(GNKシリーズ・パワー・ドロイド)として紹介されていた。[3][6][10][13][14] しかし2019年10月4日に発売された設定資料集『アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション』(アダム・ブレイ、コール・ホートン、トリシア・バー、ダニエル・ウォーレス、ライダー・ウィンダム、マット・ジョーンズ著)ではEG-86はEGシリーズ・パワー・ドロイドとして紹介されている。[2] 本記事ではより最近のソースである『アルティメット・スター・ウォーズ』の内容を正確な情報として扱う。
登場作品[]
参考資料[]
- "Blood Sisters" Episode Guide | Star Wars Rebels - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- 週刊 スター・ウォーズ R2-D2:第6号 (ドロイド仕様書:EGL パワー・ドロイド)
- スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア (言及のみ)
- 週刊 スター・ウォーズ R2-D2:第28号 (ドロイド仕様書:RXシリーズ パイロット・ドロイド) (表記はGNKドロイド)
- スター・ウォーズ ビークルのすべて (間接的に言及)
- スター・ウォーズ:スカム・アンド・ヴィラニー (ビジュアルのみ) (ホログラムでの登場)
- スター・ウォーズ ヘルメット・コレクション 74 (間接的に言及)
- スター・ウォーズ:ドロイドグラフィー
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション
- スター・ウォーズ:カード・トレーダー (Card: Ketsu Onyo - 2020 Base Series 2) (間接的に言及)
- BB-8とアストロメク・ドロイド – スター・ウォーズ・エンサイクロペディア
- EG-86 - 公式データバンク
脚注[]
- ↑ 1.0 1.1 『アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション』によればEG-86はEGシリーズ・パワー・ドロイドであり、『スター・ウォーズ キャラクター事典 完全保存版』によればEGシリーズはヴェリル・ライン・システムズ社の製品である。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 ニュー・エディション
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- ↑ 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 4.12 4.13 4.14 4.15 4.16 4.17 4.18 4.19 4.20 4.21 反乱者たち – 旧友
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 週刊 スター・ウォーズ R2-D2:第6号 (ドロイド仕様書:EGL パワー・ドロイド)
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 スター・ウォーズ:ドロイドグラフィー
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 EG-86 - 公式データバンク
- ↑ スター・ウォーズ タイムライン
- ↑ 9.0 9.1 9.2 スター・ウォーズ ビークルのすべて
- ↑ 10.0 10.1 週刊 スター・ウォーズ R2-D2:第28号 (ドロイド仕様書:RXシリーズ パイロット・ドロイド)
- ↑ Every Language in Star Wars Movies - Star Wars Kids YouTube 公式チャンネル
- ↑ スター・ウォーズ キャラクター事典 最新完全版
- ↑ 13.0 13.1 "Blood Sisters" Episode Guide | Star Wars Rebels - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ EG-86 - Star Wars Rebels - Facebook