N-1スターファイター(N-1 starfighter)、別名ナブー・スターファイター(Naboo starfighter)はシード宮殿宇宙船工学部隊によって製造された惑星ナブーのスターファイターである。ナブーの女王によって発注されたこの戦闘機は、ナブー・ロイヤル・スターシップと同じくナブー人の技術哲学である美と機能性の融合が図られ、芸術性と空気力学を同時に表現した優美な船体を特徴としていた。機体前方のクロミウム仕上げはナブー王室への帰属を示す純然たる装飾であり、王室のシンボルとなっていた。主船体の船尾と双発エンジンの後ろには“ラット・テール”と呼ばれる長いフィニアルが突き出ており、それぞれ動力チャージのソケットや、ヒート・シンクとしての役割を兼ねていた。
N-1スターファイターはナブー王室宇宙戦闘機部隊の主力ファイターであり、パイロット1名とアストロメク・ドロイド1体によって操縦された。この戦闘機はナブー独自の機体でありながら、首都シードでもその姿を目にすることはあまりなかった。しかし戦闘機部隊はN-1を使った訓練を定期的に行い、平和な惑星を守るためにいつでも戦う準備ができていた。32 BBY、戦闘機部隊のN-1スターファイターはナブー危機でトレード・フェデレーションの侵略部隊に立ち向かい、ナブーの軌道でヴァルチャー・ドロイドと戦闘を繰り広げた。この戦いではN-1スターファイターに乗り込んだアナキン・スカイウォーカー少年がフェデレーションのドロイド司令船<ヴータン・パラー>を撃破し、ナブーを勝利へ導いた。
クローン戦争以降、多数のN-1スターファイターが使われることなくシード・ハンガーに放置された。しかし銀河内戦終盤にナブーがシンダー作戦の標的となった際、反乱同盟のレイア・オーガナとシャラ・ベイ中尉、そして当時のナブー女王であるソーシャ・ソルーナが古いN-1に乗って出撃し、銀河帝国のTIEファイターと戦いを繰り広げた。また一部のN-1スターファイターはナブー以外でも使用された。新共和国時代、マンダロリアンの賞金稼ぎディン・ジャリンはガンシップ<レイザー・クレスト>を失った後、技術者ペリ・モットーが組み立てたアンティークのN-1を使うようになった。また冷戦の時代にはジナータ・セキュリティのリーマ・カイが専用のN-1に搭乗していた。35 ABYには、複数のN-1が“民衆の艦隊”に加わり、エクセゴルの戦いでファイナル・オーダーに立ち向かった。
特徴[]
船体[]
シード宮殿宇宙船工学部隊によって製造されたN-1スターファイターは、優美な外観と敏捷性を特徴とする単座式戦闘機である。ナブー王室保安軍のために開発されたナブー独自の機種だった。[6] 全長は11メートル(36フィート1インチ)。[3] ナブー・ロイヤル・スターシップと同じく、ナブー人の技術哲学である美と機能の融合を具現化した代表的な機体であり[1]、その滑らかな船体は芸術性と空気力学を同時に表現していた。[3]
N-1スターファイターのエレガントな船体は特別製であり、職人の手作りを尊重する、惑星ナブーの人々の美的感覚が反映されていた。ナブー王室宇宙戦闘機部隊のN-1は、機体前部の表面が光り輝くクロミウムで仕上げられていたが、これはナブー王室への帰属を示す装飾だった。かつてナブーのスターシップは有害な宇宙線を遮断するためにクロム仕上げを利用していたが、やがて電磁フィールド技術によって宇宙線を完全に遮断できるようになったため、N-1スターファイターのクロム仕上げは機能性とは無関係の純然たる装飾であり、ナブーの伝統であると同時に、王室のシンボルとなっていた。[6]
N-1スターファイターはパイロット1名とアストロメク・ドロイド1体によって操縦され、コックピットを擁する中央主船体の船尾と、両翼に設けられた双発エンジンの後部に、“ラット・テール”と呼ばれる長いフィニアルが突き出ていた。フィニアルは装飾のようにも見えるが、両翼の2本はエンジンの一部であり、中央のフィニアルは格納庫のソケットに接続して動力を補給したり、情報をダウンロードしたりするためのプラグの役割を兼ねていた。フィニアルは格納庫のソケットから高電圧のエネルギーをチャージ可能であり、ソケットの両側には大型変圧装置や転換装置が設置されていた。またフィニアルを通じてフライト・コンピューターに作戦情報を転送しておけば、パイロットが何もしなくても作戦空域までオートパイロット・モードで移動することが可能だった。[6]
N-1スターファイターのコックピットはスライドで前後に開閉する風防に守られており[5]、ビューポートの真下には円形のディスプレーが3つ並んでいた。この3つはそれぞれシステム・モニターとナビゲーション・スキャナー、戦術スコープであり、パイロットは飛行しながら船のあらゆるステータスを目視確認することができた。[4] コックピットの真後ろに配置されたN-1のアストロメク・ソケットは狭く、R2シリーズ・アストロメク・ドロイドが搭乗する場合は、機体下部からローディングする必要があった。R2ユニットは機内で脚部を少し縮め、頭部を胴体から伸長させることで、ソケットにぴったり収容可能な状態になった。ソケットの後ろにはアストロメク用のコンピューターが配置されており、機内のコンピューターや機器類はすべてR2ユニットの頭部や胴体に接続される仕組みになっていた。N-1に搭載されたアストロメクは飛行中のシステム管理や飛行性能の最適化に加え、限られた範囲で機体の補修も行った。[6]
このほか、N-1スターファイターには加速度補正機や生命維持システム、パワー・セル、通信アンテナ、バイノキュラー・レンジファインダー、照準およびフライト・センサーといった機器が搭載されていた。機体自体は職人による特別製ながら、こうした搭載装備の多くは銀河系各地で使用されている既製品であり、大半のハイテク機器は先進的な工業星系から輸入したものを使っていた。[6]
推進装置[]
- 「これがポッドレースさ!」
- ―アナキン・スカイウォーカー[出典]
N-1スターファイターはクラス1の[3] モナークC-4ハイパードライブを搭載していた。[4] また両翼に内蔵された亜光速エンジンは、ヌビアン社が製造したドライブ・モーターを利用していたが、シード宮殿宇宙船工学部隊によってかなり手が加えられていた。工学部隊が設計したこの特別製エンジンは、長いフィニアルを廃熱用ヒート・シンクとして機能させ、冷却材を循環させることでヌビアンのエンジンが発する高熱を放散させていた。ヌビアン製エンジンは完全燃焼するよう改造されていたため高熱を帯びるが、この仕組みによって大気へのガス排出量が大幅に削減されていた。[6]
N-1スターファイターの排気システムに施された改良は、ナブー人の自然環境に対する細心の配慮の結果だった。廃熱装置は宇宙船の機能上必要不可欠なものであるが、N-1の設計においては美的感覚と機械工学の両方に気を使いながら優美なフィニアルという形で昇華されており、ナブー伝来の造形美のなかでも特筆すべきデザインとなっていた。[6] このエンジンのスピードは大気中において最高時速1,100キロメートル(684マイル)を誇った。[3]
攻撃及び防衛装置[]
フォルムと機能性を融合させたN-1スターファイターは、人目を引くだけではなく優れた攻撃力を併せ持つ宇宙船だった。[4] 兵器として船首上面に2門のブラスター砲を搭載し、下面にプロトン魚雷の発射装置を2基内蔵していた。魚雷の発射チューブは1門だけであり、左右の弾倉に2発で1組になるよう、計10発のプロトン魚雷が装填されていた。主船体にはブラスター砲の火器管制プロセッサーが内蔵され、レーザー安定化フィールド・ジェネレーターによってブラスターのバックファイアによる機体へのダメージを防いでいた。[6] またN-1スターファイターは偏向シールド発生装置を搭載していた。[5]
役割[]
N-1スターファイターはナブーの君主に仕える王室宇宙戦闘機部隊の主力スターファイターとして活躍した。[4] パトロールや防衛任務に加え[10]、ハイパードライブを搭載していたため星系間のエスコート任務も可能だった。[4] ナブーの戦闘機部隊パイロットは主に志願兵で構成され[11]、宇宙における近衛隊のような儀礼的な役割が強かった。しかしナブー王室保安軍はいざという時にナブーの君主を守れるよう、戦闘機部隊に定期的にN-1スターファイターを使った訓練を行わせていた。[4] 通常のN-1は船体が鮮やかな黄色に塗装され、機首の部分だけロイヤル・スターシップを思わせるクロミウム仕上げが施されていたが[5][10]、全面クロミウム仕上げの機体も製造され、ナブーの元女王であるパドメ・アミダラ元老院議員によって使用されていた。[12]
ナブー王室保安軍およびその戦闘機部隊の拠点である[1] シード・ハンガーには、N-1スターファイターの部隊を収容可能なドッキング施設が整っていた。この施設はN-1を着陸態勢でロックし、何機も積み重ねるようにして収容することができた。ハンガーには戦術コンピューター・ステーションが設けられており、シード宮殿の戦闘コンピューターから送られてきた暗号化された戦闘計画を受信し、スターファイターのコンピューター・バンクにダウンロードしていた。またハンガーに隣接するシード・パワー・ジェネレーターが、地下のコンジットを通じてN-1スターファイターにプラズマ・エネルギーを供給していた。[13] データとエネルギーの授受はいずれも、N-1の船尾フィニアルを通して行われた。作戦情報は特別保安室とフィニアルのソケットの間のみで行われていたため、スパイが付け入る隙は無かった。[6]
歴史[]
共和国時代[]
- 「そこから出るな。そこなら安全だ」
「でも――」
「コックピットにいろ」 - ―アナキン・スカイウォーカーにN-1スターファイターの中に留まるよう命じるクワイ=ガン・ジン[出典]
シード宮殿宇宙船工学部隊によって製造されたN-1スターファイターは、銀河共和国の衰退期に惑星ナブーの空と周囲の宇宙空間の警護に使用されていた。ナブー王室宇宙戦闘機部隊のパイロットたちは厳しい訓練を積んでいたが、ほとんど実戦経験がなかった。[1]
32 BBY[14]、ナブーはヴァイスロイ・ヌート・ガンレイ率いるトレード・フェデレーションによる侵略を受けた。[5] 惑星のセンサー・アレイは敵のC-9979着陸船の到着を早々に探知して、それまでシミュレーションでしか侵略行為を経験したことがなかった宇宙戦闘機部隊のレーダー・オペレーターは、敵軍の規模と市街地への侵攻の早さに衝撃を受けた。戦闘機部隊のパイロットたちは迎撃要請に備え待機していたが、敵軍が市外に入ってもなお、アミダラが平和的外交で問題を解決しようとしたため、この段階でN-1スターファイターが出撃することはなかった。結局、戦闘のパイロットたちはバトル・ドロイドに捕縛されてしまったが、アミダラはナブー市民に抵抗はしないよう命令を出した。[13]
その後、アミダラはいったんナブーから脱出したのち、ジェダイやグンガンを味方につけ、フェデレーション占領下のシードに奇襲を仕掛けた。アミダラの作戦に基づき、彼らは手始めにハンガーを奪回し、リック・オーリー率いるブラボー小隊のN-1スターファイターを出撃させた。彼らの作戦目標は、地表のバトル・ドロイドの制御を一手に担っている惑星軌道のドロイド司令船[5] <ヴータン・パラー>[3] を破壊することだった。しかし彼らは司令船のレーザー砲やヴァルチャー・ドロイドの激しい抵抗に遭い、苦戦を強いられた。[5] N-1は優美さと機能性を兼ね備えた機体だったが、厳重なシールドで守られた司令船に充分なダメージを与えるには、単純に機体と志願パイロットの数が足りなかったのである。[15] しかし最終的に、アナキン・スカイウォーカー少年とアストロメク・ドロイドR2-D2の乗るN-1が司令船のハンガーに偶然すべり込み、船内から直接反応炉にダメージを与え、船全体を爆発させることに成功した。[5]
22 BBY[14]、銀河元老院で軍隊創設法案の投票が行われることになり、ナブーからコルサントへ向かうJタイプ外交船を[7] ポロー・ドルフィ率いる[16] N-1スターファイター部隊がエスコートした。当時ナブーの元老院議員を務めていたアミダラ元女王の安全を確保するため、外交船にはアミダラの影武者を務めるコーデが乗り込み、アミダラ本人はスターファイターに乗り込んでいた。コルサントに到着した直後、外交船は賞金稼ぎのザム・ウェセルによって爆破され、コーデは命を落としたが、アミダラは無事だった。[7]
21 BBY[14]、クローン戦争中にナブーでブルー・シャドウ・ウイルスを巡る危機が発生した時や[17][18]、賞金稼ぎキャド・ベインがフォース感応者を誘拐するためナブーにやってきた当時、多数のN-1スターファイターがシード・ハンガーに格納されていた。[19]
クローン戦争中、パドメ・アミダラ議員はジェダイ・パダワンのアソーカ・タノに付き添ってもらい、スターファイターの操縦訓練を行った。アミダラはR2-D2と一緒に全面クロミウムのN-1に乗り込み、タノはアストロメクを伴わずに標準的なN-1を操縦した。彗星の近くにハイパースペース・ジャンプした際、彼女たちの機体は付近に潜んでいたヴァルチャー・ドロイドの変種に見つかり、攻撃を受けた。タノの機体はアミダラをかばうためにヴァルチャー・ドロイドが放ったイオン魚雷に被弾し、機能停止してしまった。しかしアミダラは彗星の尾の中に隠れるという突飛な戦術で敵を攪乱し、1人でドロイド・ファイターを撃破することに成功した。[12]
やがてニーユートニー女王が宮殿のスターファイター・ベイを封鎖したため、N-1スターファイターはハンガーに格納されたまま長年にわたり放置されることになった。[20]
帝国時代[]
- 「飛べるだけで御の字ね」
- ―シャラ・ベイ[出典]
帝国時代、ナブー出身の銀河皇帝シーヴ・パルパティーンは母星の非武装化を行ったが、一部のN-1スターファイターはこれを生き延びた。[15][20] 4 ABY[14]、共和国再建のための同盟がエンドアの戦いで銀河帝国の第2デス・スターを破壊する大勝利を挙げた後、ナブーのシードで祝賀会が行われ、複数のN-1スターファイターが上空を飛行した。[21]
それからしばらくして、ナブーは帝国によるシンダー作戦の標的となり、ラー・デュヴァット艦長率いる帝国宇宙軍が惑星軌道に気候操作網を配備した。たまたまナブーを訪れていた反乱軍のプリンセス・レイア・オーガナとシャラ・ベイ中尉は、シード・ハンガーにまだ使えるN-1が3機だけ残っていることを知り、ソーシャ・ソルーナ女王とともに出撃した。彼女たちインペリアルII級スター・デストロイヤー<トーメント>から放たれた大量のTIE/ln制宙スターファイターに苦戦しつつも、気候操作網を次々と破壊していった。やがて3機のN-1はTIEの増援に行く手を阻まれて窮地に陥ったが、ランド・カルリジアン率いる同盟宇宙軍が救援に駆け付け、形勢逆転した。[20]
新共和国時代以降[]
- 「ほんとに一苦労なんだよ、銀河共和国時代のオリジナル・パーツを見つけるのはさ。こいつは全部ハンドメイドだからね。ドロイドは使ってない。それだけじゃないよ、私はあんたのことが好きだから、ファジアーよりスピードが出るように特別にカスタムしてやろうと思ってる。それにこの子は帝国以前の機体だから網に引っかからない」
- ―ペリ・モットー[出典]
新共和国時代、マンダロリアンの賞金稼ぎディン・ジャリンはガンシップ<レイザー・クレスト>を失い、惑星タトゥイーンに住む知り合いの技術者ペリ・モットーに新しい船の調達を頼んだ。モットーは古いN-1スターファイターと、その改修に必要なあらゆる部品を手に入れてジャリンに連絡を取った。モス・アイズリーにあるモットーのハンガーを訪れたジャリンは、組み立て中のN-1を見て最初は失望した。しかし出来上がった船は、モットーによる特別な改造と、ジャワに頼んで入手した部品のおかげで凄まじい速度を誇る戦闘機となり、ジャリンも大いに気に入った。[22]
ローディアンのスカイ・レーサー、ハイプ・フェイゾンが所有したレーシング・スターファイター<グリーン・エース>の機体には、N-1スターファイターのシルエットのロゴマークが描かれていた。[23] 冷戦の時代、ニモーディアンの収集家パウ・マッコン男爵はさまざまなファイターをコレクションし、惑星ケイト・ニモーディアにある自身の宮殿に展示していた。そのひとつがN-1スターファイターであり、Aウイングやデルタ7イーサスプライト級軽インターセプター、Eウイング、T-47エアスピーダー、TIE/fo制宙戦闘機、改造型アルファ3ニンバス級Vウイングといった他のコレクションとともに宮殿の広間に飾られていた。[24]
冷戦の時代、ジナータ・セキュリティのコマンダーであるリーマ・カイは青と赤に塗装された専用のN-1スターファイターを使用していた。34 ABY当時、カイは<オポチュニティー>の船団を率い、ファースト・オーダーのリザレクション計画を手伝っていた。ジナータ星系の惑星アスラ付近で新共和国のインフェルノ分隊と遭遇した際、カイのN-1はアイデン・ヴェルシオによって撃墜された。[8]
35 ABY、ファイナル・オーダー艦隊の脅威が明るみに出た際、複数のN-1スターファイターがランド・カルリジアンの呼びかけに応じ、他の無数の宇宙船とともに“民衆の艦隊”に参加した。彼らは未知領域の惑星エクセゴルへハイパースペース・ジャンプし、レジスタンスに加勢して、ジストン級スター・デストロイヤーによって構成されるシス・エターナルの艦隊に立ち向かった。[9]
登場作品[]
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参考資料[]
脚注[]
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