RICシリーズ汎用労働ドロイド(RIC-series general labor droid)[7]、別名RIC汎用労働ドロイド、RICユニット(RIC unit)[1]、あるいはリクショー・ドロイド(Rickshaw droid)[8]、ユニポッド・ドロイド(Unipod droid)[3] はサーヴ=オー=ドロイド社が製造した労働ドロイドである。このドロイドはリクショーなどのリパルサーリフト・チェアでの移動手段や手作業による単純労働を従事させるために設計されており、様々な種類の頭部が存在した。RICドロイドは立体フォトレセプターやベーシックとバイナリー(2進数)で会話するための発声器、分厚い2つの車輪とバランス・ジャイロスコープを装備した。ボディは雑な作りではあったが、高速回転する車輪と屈強な体格を活かし、リクショーの車夫やスポーツの選手として活躍した。
RICドロイドは銀河系各地で使用されていた。惑星タトゥイーンの町モス・エスパでは共和国時代から新共和国時代にかけて、RIC-920をはじめとするRICドロイドがリクショー・ドライバーとして働いていた。惑星スコリ=レイでブルースという名のRICドロイドが活動していたほか、独立星系連合のエージェント、リシャ・シナタの所有する船やアウター・リムの未知領域の惑星“深み”、惑星プラジール15でもRICドロイドが使用されていた。またクバーズの銀行家、リカード・ロヴァスはニーマ・アウトポストのコンピューター・コアから不正に金を手に入れるため、RICなどの様々なドロイドを悪用した。
特徴[]
- 「そこで待っていろ」
- ―RICドロイドに対し、アナキン・スカイウォーカー[出典]
RICシリーズ汎用労働ドロイドはサーヴ=オー=ドロイド社が製造した労働ドロイドである。[1] このドロイドはリパルサーリフト・チェアを曳っ張って地上での移動手段を提供したり[9]、手作業による単純労働に従事するために設計された。[1] 全高は1.1メートルで[4]、第5級ドロイドに分類される。[3]
RICシリーズ・ドロイドのボディは茶色もしくは白色であり[5][6]、上半身はヒューマノイド型の体格で、パワーのあふれる2本の細い腕に3本の指を備えた。[1] RICドロイドの頭部には様々な種類が存在し、球体型や筒型、キャップ型、L字型の他に[6]、昆虫に似た形状のものも存在した。昆虫型の頭部には立体フォトレセプターが配置されており[1]、少なくとも2種類は存在した。[5][6] これは力仕事一般を任されるRICドロイドにとって欠かせないものだった。RICドロイドの顔の高い位置にはグリルがあり、その奥にある発声器を使ってベーシックやバイナリー(2進数)でコミュニケーションをとることができた。また、下半身は大きなボールのような形になっており、独立して動き、回転する時は同期される[1] 分厚い[9] 2つの車輪と、その間にバランス・ジャイロスコープが組み込まれていた。これにより、RICドロイドは常にまっすぐに立ち[1]、砂漠などの険しい地形を横切ることが出来た。[9]
RICドロイドの体躯は屈強であったが[1] その作りは雑であり[2]、移動中に故障してしまうことがあった。[10] ツアー・ガイド・ドロイドはRICドロイドのアップデート版であり、通常モデルと同じボディが使用されていたが[9]、頭部はスクリーンになっていた。[11]
用途[]
RICシリーズ・ドロイドは修理作業も可能だったが、リクショー(人力車)の車夫をはじめとする荒っぽい仕事を任せられていた。[1] ただし、アップデート版のツアー・ガイド・ドロイドよりこなせる機能は限られていた。[9] RICドロイドをはじめとする“トラベル・ドロイド”はホロネットなどの公的データベースから得た情報を活用し、混雑や悪天候を避けた旅のルートを計画する機能を搭載していた。[3]
RICドロイドの車輪は揺れを吸収し、ジャイロスコープによって時速65キロメートルでも安定した走行を保証した。そのため、このドロイドは速さを活かしたスポーツの選手としても活躍した。[1] また、ツアー・ガイド・ドロイドは銀河系のホットスポーツの解説や[9]、訪問者の案内を務めた。[11]
歴史[]
共和国時代[]
RICシリーズ汎用労働ドロイドは砂漠の惑星タトゥイーンの町モス・エスパをはじめ、銀河系各地のさまざまな場所でリクショーの車夫として利用されていた。[7] このドロイドのサービスは、タトゥイーンの強烈な暑さのストリートを移動するには最も手早くかつ心地よい方法だとされていた。[3] また、RICドロイドは速さと立体フォトレセプターを活かし[1] 、鳥類クリーチャーのヌーナをボールとして使用する[4] 「ヌーナ=ボール」競技の人気者になった。サーヴ=オー=ドロイド社が所有するRICドロイドのチームは、このスポーツで好成績を収めていた。[1]
22 BBY[12]、ジオノーシスの戦いの直前、コルサントでジェダイのオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーは、パドメ・アミダラ元老院議員の暗殺を試みた賞金稼ぎザム・ウェセルを追跡するため、アウトランダー・クラブへ訪れた。入店直後、店内ではRICドロイド対[6] オトガ222メンテナンス・ドロイド[3] のヌーナ=ボールの試合が放送されていた。ドロイド同士が争う中、筒型の頭部のRICドロイドがヌーナを持って周りを移動していたが敵のオトガ222に突進され、“ボール”を手から放してしまった。その後試合は中断され、それと同時に画面上で回転するRICドロイドのモデルが映し出された。[6]
ザムの確保に成功した後、アナキンは自分の母親シミ・スカイウォーカーが苦しむ悪夢を見る。そこで彼はパドメと共に、シミの住むタトゥイーンのモス・エスパに帰郷することにした。2人はモス・エスパで働く複数のRICドロイドの一体である[6] RIC-920[4] のリクショーに乗り、トイダリアンのジャンク屋ワトーの店を訪れた。[6]
RICドロイドは独立星系連合のエージェント、リシャ・シナタの所有する船でも使用されていた。[13] 21 BBY[14]、リシャの劇を観るために彼女の船を訪れたアナキンとパドメはRICドロイドの運転するリクショーに乗った。彼らはリクショーで劇場に向かう道中に船内で飼育されているガンダークやアクレイを観察し、その後目的地に到着することができたが、既に劇は終了していた。[13] またコルサントのとあるカンティーナでは、RICドロイドのイラストが描かれた水色の看板が設置されていた。[15]
帝国時代以降[]
帝国時代、惑星スコリ=レイで生活していたパッシュ・ダヴェインはブルースという名前のRICドロイドを所有していた。[16] また、“深み”と呼ばれる未知領域の惑星では、クルレエキ卿ら貴族によって、RICドロイドを含む大量の各種ドロイドが鉱山施設の奴隷労働者として酷使されていた。後にこれらのドロイドはR2-D2を救助するために“深み”に侵入したジェダイのルーク・スカイウォーカーによって解放された。[17]
RICドロイドは新共和国時代もモス・エスパの町で現役で使用されていた。[5] 9 ABY[14]、大名ボバ・フェットに仕えるストリート・ギャングたちがモス・エスパの街中でモク・シェイーズ市長の執事長とスピーダー・チェイスを繰り広げた時、RICドロイドがビスの二人組を乗せたリクショーを曳いて街を移動していた。執事長は衝突を避けるため前方を横切ろうとしていたRICドロイドに退けと手で合図を送ったが、ドロイドはむしろ前進し、結果的に執事長のスピーダーとリクショーが接触してしまった。[5]
数日後、モス・アイズリー宇宙港にあるハンガー3-5を運営するメカニック、ペリ・モットーと彼女の所有するピット・ドロイドたちはエイリアンの幼児グローグーをマンダロリアンのディン・ジャリンに届けるため、RICドロイドのリクショーを使用した。モス・エスパに到着すると、ペリたちは急にジャリンに引き返すよう警告され、RICドロイドも首を傾げた。その時ジャリンはボバ・フェット率いるゴートラと共にパイク・シンジケートのスコーピオン・ドロイドと抗戦していたのである。ペリはその意味を理解するとRICドロイドに引き返すよう大声で叫び、ジャリンも歯が立たなくなりリクショーにしがみついた。彼はRICドロイドの速さについての不満を告げると、ペリはRICにスピードを上げるよう命令し、頭部にハンマーを投げつけた。リクショーとスコーペネク・ドロイドとの距離の差が開くと、ジャリンはグローグーとの再会を果たしたが、再び出現したスコーペネク・ドロイドが攻撃するのと同時にRICドロイドが首元から煙を上げて機能停止し、ジャリンたちはリクショーから投げ出された。[10]
9 ABY頃、アウター・リムの惑星プラジール15でもRICシリーズ・ドロイドが使用されていた。マンダロリアンのディン・ジャリンとレディ・ボ=カターン・クライズがプラジールのドーム都市にあるドロイドの酒場“ザ・レジスター”を訪れた時、店内はRICドロイドを含む大勢のドロイド客で賑わっていた。RICドロイドは[18] 4XBプログラミングやFD4ファイティング・ドロイド[19] と同じテーブル席につき、チューブ付きのボトルから潤滑剤のネペンセを補給していた。2人のマンダロリアンが入り口に現れた際、店内のドロイドたちは一斉におしゃべりをやめ、場違いな来訪者に視線を送った。[18]
クバーズの銀行家、リカード・ロヴァスはRICドロイドをはじめとする様々なドロイドを所有していた。アーヴィング・ボーイズに借金をしていたリカードは、ニーマ・アウトポストのコンピューター・コアから不正に金を手に入れようと画策し、ニーマ・アウトポスト自警団のCZユニット、CZ-1G5に強盗の濡れ衣を着せるため再プログラムを施した。また、彼はその計画の一部としてRICドロイドたちを放棄された貨物船に配置させた。しかしRICドロイドは行方不明となったCZ-1G5を追って貨物船に潜入したズヴィオ巡査によって破壊され、リカードのドロイドの一体であるEG-6パワー・ドロイドの自爆によりドロイドたちは全滅した。[2]
のちの時代、レジスタンスの元バトル・ドロイドR0-GRは自著『ドロイドグラフィー』でRICシリーズ汎用労働ドロイドやツアー・ガイド・ドロイドのことを取り上げた。本書で彼はドライバーのRICドロイドへの支払いを忘れないよう注意し、ドロイドでさえ給料はあると述べた。[9]
制作の舞台裏[]
RICシリーズ汎用労働ドロイドは2002年公開のオリジナル・トリロジー第2作『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』のために制作されたキャラクターである。[6] レジェンズ作品での初登場作品は、映画の宣伝の為に設立された公式ウェブサイト『ホロネット・ニュース Vol. 531 50』のヌーナ=ボールの記事であるが[20]、存在自体は2001年11月に公開された予告編で明らかになっていた。[7] 正史媒体では2015年12月1日にリリースされた短編小説『ジャクーの昼下がり』(ランドリー・Q・ウォーカー著)で初めてRICという名称が判明し[2]、後に公式サイト StarWars.com のデータバンクで正式名称が明らかになった。[7]
ジェイ・シュスターが描いた初期デザインでは、リパルサー人力車の車夫はRICドロイドではなくオトガ222メンテナンス・ドロイドだった。しかし『クローンの攻撃』の監督ジョージ・ルーカスは巨大な球体の車輪を持つリクショー・ドロイドを要望していた。そこでコンセプト・アーティストのマーク・ガッバーナは後のRICドロイドとなる新しいドロイドをデザインしたが、リクショー全体と比べドロイドの大きさや横幅が大きくなってしまい、同じくコンセプト・アーティストのダグ・チャンから横幅を狭くするよう頼まれてしまった。[21] また、ガッバーナはあくまでドロイドと乗り物は別個の存在であり、両者が組み合わさっているのはデザイン性ではなく必然性に応じたものである、と考えた。なお『クローンの襲撃』に登場するRICドロイドはフルCGで再現されたが[22]、2021年に Disney+ で配信開始したTVドラマ・シリーズ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』に登場した個体は上半身のみCGではなく実物の模型で撮影された。[23]
登場作品[]
- スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 (初登場)
- 幕間 パート1—アドベンチャーズ(2017) 12
- クローン・ウォーズ – 平和を求めて (看板のみ)
- スター・ウォーズ アニュアル 2
- わたしはドロイド—The Legends of Luke Skywalker: The Manga
- ジャクーの昼下がり—はるかかなたの銀河より:エイリアン
- ボバ・フェット – チャプター3:モス・エスパの町
- ボバ・フェット – チャプター7:名誉のために
- マンダロリアン – チャプター22:傭兵
参考資料[]
- "Shades of Reason" Episode Guide | The Clone Wars - StarWars.com (バックアップ - Archive.org) (リクショー・ドロイドとしての最初の言及)
- アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科 (ビジュアルのみ)
- 週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン 第26号 (銀河系ガイド:コルサントの下層世界) (ビジュアルのみ) (映像上での登場)
- きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック
- スター・ウォーズ:カード・トレーダー (Card: Rickshaw Droid - Droid Series)
- "The Holocrons of Fate" Episode Guide | Star Wars Rebels - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- スター・ウォーズ:ドロイドグラフィー
- 週刊 スター・ウォーズ R2-D2:第38号 (ドロイド仕様書:サービス・ドロイド)
- きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック 増補改訂版
- Every Droid in Star Wars - Star Wars Kids YouTube 公式チャンネル
- The Book of Boba Fett Cargo Hold: "Chapter 7: In the Name of Honor" - StarWars.com (バックアップ - Archive.org) (ビジュアルのみ)
- ディズニー・ギャラリー/スター・ウォーズ:ボバ・フェット/The Book of Boba Fett
- Tatooine - 公式データバンク (ビジュアルのみ)
- Mos Espa - 公式データバンク (言及のみ)
- RIC-920 - 公式データバンク (RICシリーズ汎用労働ドロイドとしての最初の言及)
- Darth Maul - 公式データバンク
脚注[]
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 週刊 スター・ウォーズ R2-D2:第38号 (ドロイド仕様書:サービス・ドロイド)
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 ジャクーの昼下がり—はるかかなたの銀河より:エイリアン
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 きみは、知っているか!? スター・ウォーズ はやわかりデータブック
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 ボバ・フェット – チャプター3:モス・エスパの町
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 6.7 6.8 スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 RIC-920 - 公式データバンク
- ↑ "Shades of Reason" Episode Guide - StarWars.com (バックアップ - Archive.org)
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 9.5 9.6 スター・ウォーズ:ドロイドグラフィー
- ↑ 10.0 10.1 ボバ・フェット – チャプター7:名誉のために
- ↑ 11.0 11.1 クローン・ウォーズ – 仕組まれた救世主
- ↑ スター・ウォーズ ギャラクティック アトラス
- ↑ 13.0 13.1 幕間 パート1—アドベンチャーズ(2017) 12
- ↑ 14.0 14.1 スター・ウォーズ タイムライン
- ↑ クローン・ウォーズ – 平和を求めて
- ↑ スター・ウォーズ アニュアル 2
- ↑ わたしはドロイド—The Legends of Luke Skywalker: The Manga
- ↑ 18.0 18.1 マンダロリアン – チャプター22:傭兵
- ↑ Every Droid in Star Wars - Star Wars Kids YouTube 公式チャンネル
- ↑ Nuna-Ball League Looks to Expand—HoloNet News Vol. 531 50
- ↑ Designs of Ep II: RIC-920 on StarWars.com (バックアップ・リンク - Archive.org)
- ↑ RIC-920 - 旧データバンク (リンク無効; バックアップ)
- ↑ ディズニー・ギャラリー/スター・ウォーズ:ボバ・フェット/The Book of Boba Fett